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鍼灸院集客の完全ガイド|患者が来ない悩みを解決する13の実践方法

鍼灸院集客の完全ガイド|患者が来ない悩みを解決する13の実践方法

鍼灸院の集客にお困りではないでしょうか。厚生労働省の調査によると、はり師・きゅう師の就業者数は2年間で約7400人増加し、施術所数も1883カ所増加するなど、業界内の競争が激化しています。

そこで本記事では、鍼灸院が注目すべき3つの重要指標から、効果的な集客方法13選まで、成功事例とともに詳しく解説します。

適切な集客戦略を実施し、競合に負けない安定した鍼灸院経営を実現しましょう。

鍼灸院にとって集客施策が重要な理由

鍼灸院業界において集客施策の重要性が高まっている背景には、競合の急激な増加があります。

厚生労働省の調査によると、はり師の就業者数は、令和4年末現在で13万4218人となり、令和2年と比較して7420人(5.9%)の大幅な増加を記録しています。同様に、きゅう師についても13万2205人と7249人(5.8%)の増加となっており、鍼灸従事者の数は着実に拡大しています。

この従事者数の増加に伴い、施術所数も増加傾向にあります。「はり及びきゅうを行う施術所」は3万3986カ所で、前回調査と比較して1883カ所(5.9%)増加しており、競争環境の激化が数字からも明確に読み取れます。

従事者数と施術所数、両方の増加が示すのは、鍼灸業界全体のパイは拡大しているものの、一院当たりの患者数は相対的に減少している可能性が高いということです。

したがって、何もしなければ自然と患者が来院する時代は終わり、積極的な集客活動が経営存続の必須条件となっているといえます。

鍼灸院が集客する際に注目したい3つの数字

鍼灸院が集客する際に注目したい3つの数字は次の通りです。

  • 閲覧数
  • 成約数
  • リピート率

それぞれの重要性について解説します。

閲覧数

ここでいう閲覧数とは、鍼灸院の存在を認知してもらった回数を示す指標です。たとえば、ホームページやSNSへのアクセス数、街頭看板の視認回数、チラシの配布数など、媒体を問わずに院の情報に触れた人数の総計を指します。

閲覧数を獲得し、認知度が高まれば、将来的な来院につながる可能性のある「見込み客」を増やせます。

この閲覧数を獲得するためには、オンラインとオフラインの両面でのアプローチが重要です。

オンラインでは、検索エンジン最適化によるホームページの上位表示、地域情報サイトへの登録、SNSでの情報発信などで閲覧数を獲得します。一方のオフラインでは、目立つ看板の設置、地域情報誌への掲載、ポスティングなどが効果的です。

より詳しい方法については後述しますので、ぜひ参考にしてください。

成約数

成約数とは、院の存在を知った潜在患者が、実際に初回来院した数です。具体的には、院の情報に接触した人のうち「ここで治療を受けてみたい」と判断し、能動的に予約・来院行動を起こした人を指します。

成約数を増やすためには、潜在患者が来院を決断する際の心理的な障壁を把握し、それらを取り除いてあげる作業が必要です。たとえば「本当に効果があるのか」「どんな先生なのか分からない」「費用が不明で不安」といった懸念を解消する情報の提供などが挙げられます。

具体的には、Webサイトにて「院長の人柄が伝わるプロフィール」「実際の改善例」「明確な料金表」などの掲載により懸念が解消され、顧客の心理的な障壁を壊せます。

また、初回限定の体験価格設定や、電話・メールでの事前相談受付なども、来院のハードルを下げる効果的な手法です。

なお、成約率は「初回来院者数÷情報接触者数×100」で算出できます。

リピート率

リピート率とは、初回来院した患者が継続的に通院する割合を示す数値で、鍼灸院経営において極めて重要な指標となります。なぜなら、新規患者獲得に比べて既存患者の維持は遥かに低コストで実現でき、経営の安定化に直結するためです。

リピート率の向上には、初診時からの適切な治療計画の説明が欠かせません。たとえば、患者の症状や生活習慣にもとづいた個別の改善プログラムを提示し、回復までの道筋を具体的に示せば、継続治療への理解と意欲を高められます。

また、患者とのコミュニケーションも重要です。丁寧なカウンセリングによる信頼関係の構築、症状の変化に対する共感的な対応、次回来院までのセルフケア指導などにより、患者満足度と継続意欲を向上させられます。

なお、リピート率は「2回目以降の来院患者数÷初回来院患者数×100」で計算できます。

鍼灸院の集客に効果的な方法13選

鍼灸院の集客に効果的な方法は次の通りです。

  1. MEO
  2. SEO
  3. Web広告
  4. SNS運用
  5. ポータルサイト登録
  6. YouTube運用
  7. ポスティング
  8. 看板設置
  9. 公式LINEの運用
  10. タウン誌への掲載
  11. 紹介カードの導入
  12. イベント開催
  13. インフルエンサーの起用

それぞれの方法について詳しく解説していきます。

1.MEO

MEO(Map Engine Optimization)とは、Googleマップでの検索結果で上位表示を目指す施策です。

Googleビジネスプロフィールへの正確な情報登録と定期的な更新により「鍼灸院+地域名」で検索した際の露出を高められます。

以下がその実例です。

▼「新宿 鍼灸院」の検索結果

1.「新宿 鍼灸院」の検索結果

近隣住民の多くがGoogleマップで治療院を探す傾向にあるため、MEO対策は地域密着型の鍼灸院にとって必須の施策です。また基本的には、後述するSEO対策により上位表示が可能なWebサイト群よりも上部に表示されるため、優先度が高いとされています。

上位表示のためには、営業時間、電話番号、住所の正確な登録に加え、院内外の写真掲載、口コミへの返信なども重要な要素となります。

無料で実施できる施策でありながら、地域での認知度向上に直結するため、優先的に取り組むとよいでしょう。

2.SEO

SEO(Search Engine Optimization)とは、GoogleやYahoo!といった検索エンジンの検索結果で上位表示を目指す施策です。

たとえば「鍼灸院+地域名」「はり+地域名」などの検索キーワードで上位表示できれば、ホームページへのアクセス数増加が期待できます。

以下がその実例です。

▼「新宿 鍼灸院」の検索結果

2.「新宿 鍼灸院」の検索結果

SEO対策にはノウハウが必要ですが、専門業者への委託も可能であるため、本格的な集客強化を図りたい場合は検討する価値があります。

継続的な取り組みが必要な施策ですが、一度上位表示を獲得できれば、長期間にわたって安定的な集客効果を得られる点もメリットのひとつです。

3.Web広告

Web広告は短期間で集客効果を実感できる手法です。リスティング広告、ディスプレイ広告、SNS広告など多様な形態があり、それぞれに特徴があります。

リスティング広告は、特定キーワードの検索結果で最上位に表示され、即効性の高い集客が期待できます。

ディスプレイ広告は、Webサイトの広告掲載枠に表示され、幅広い認知拡大に効果的です。

SNS広告はFacebook、Instagram、LINEなどのタイムライン上に表示され、ターゲティング精度の高い広告配信が可能です。

それぞれの運用にはコストが必要ですが、インターネット社会の現代において集客効果は絶大であり、短期間での成果を求める場合には有効な選択肢となります。

ただし、Web広告は資金力のある院との耐久戦になるケースが多いため、初動での施策としてはあまりおすすめできません。Web広告を出稿する際は、中長期的な効果が得られるよう、リピーター獲得施策と並行して実施するようにしましょう。

4.SNS運用

近年では、若者を中心にX(旧Twitter)やInstagramで情報収集をする傾向が強いため、認知拡大には必須のツールとなっています。

また、各SNSプラットフォームにはそれぞれ異なる特徴があるため、ターゲット層に応じた使い分けが重要です。以下では、各SNSの特徴と運用のポイントを紹介します。

SNS名

特徴

メインユーザー

運用ポイント

X(旧Twitter)

・140字以内の短文投稿が可能

・リポスト機能による高い拡散力が魅力

・20代を中心とした10代~40代

・ユーモアのある親しみやすい投稿で「リポストしたい」と思わせるのが重要

・フォロワーとの積極的なコミュニケーションにより拡散力を高める

Facebook

・実名登録が基本

・信頼性の高い口コミが共有される傾向

・中高年男性の利用率が高い

・ビジネス目的の利用者が多い

・信頼性の高い有用な情報発信が重要

・院の想いや治療方針を伝えるストーリー性のある投稿で共感を獲得

Instagram

・写真・動画共有に特化

・ハッシュタグによる情報検索が活発

・10代~40代の女性が中心

・50代ユーザーも増加傾向

・質の高い視覚的コンテンツを重視

・ハウツー情報の発信で認知度と信頼度を向上

・最大30個のハッシュタグを効果的に活用

公式LINE

・国内登録者数No.1

・幅広い年齢層が利用

・10代~70代まで幅広く浸透

・LINE公式アカウントで一斉配信機能を活用

・既存顧客や休眠顧客のリピート促進に効果的

・クーポン配布機能も活用可能

5.ポータルサイト登録

鍼灸院を探すユーザーの多くは、まずポータルサイトにアクセスして店舗を比較検討する傾向があるため、登録は必須の取り組みです。以下に主要なポータルサイトの特徴をまとめました。

ポータルサイト名

運用元

主な特徴

向いている院

健康にはり

セイリン株式会社

・鍼メーカー運営の安心感

・24時間予約受付

・信頼性の高い口コミ

・鍼治療に特化した院

・信頼性を重視する院

しんきゅうコンパス

カリスタ株式会社

・5分で店舗ページ作成

・集客ノウハウ提供

・60分無料相談

・Web集客初心者

・サポートを求める院

エキテン

株式会社デザインワン・ジャパン

・無料店舗登録

・地域密着型集客

・写真掲載機能

・地元患者をメインターゲットとする院

ホットペッパービューティー

株式会社リクルート

・24時間ネット予約

・美容特化

・広告プランが柔軟

・美容鍼に力を入れる院

・女性患者が多い院

ポータルサイトの効果を最大化するためのポイントは次の通りです。

  • プロフィールの充実
  • 定期的な情報更新
  • 口コミや評価の促進と管理
  • オンライン予約機能の活用

実際に施術を受けた患者のリアルな口コミは信頼性を高め、新規患者の安心した来院につながります。

6.YouTube運用

YouTube動画は、写真や文章では伝えられないニュアンスを効果的に伝えられる媒体で、成約数の向上につながります。

動画コンテンツとしては、院内紹介、施術者・スタッフの紹介、施術の流れ説明、患者の声などが効果的です。実際の施術シーンや施術者の人柄は、視聴者に安心感を与え、来院への意欲を高めます。

▼YouTube運用の例

継続的な動画制作には労力が必要ですが、一度制作した動画は長期間にわたって集客効果を発揮するため、投資対効果の高い集客手法といえるでしょう。

7.ポスティング

集客はオンラインに偏りすぎるのも適切ではありません。特にインターネットに疎い高齢者がターゲットの場合は、新聞広告やポスティングなどのオフライン集客が効果を発揮します。

東京都練馬区にある整体院では、練馬区田柄を中心にポスティングを行いました。配布部数は6,550部、予算は50,809円。6日間・30名限定の無料体験会を実施することをチラシでアピールしました。

反響数としては集客18名、売上15万円という結果に。ポスティングで集客できたことにより、リピーターの獲得にもつながりました。

引用元:ラクスル

上記は、ポスティングでの集客により、リピーター獲得にもつながった事例です。チラシはすぐに捨てられる印象がありますが、デザインや訴求方法を工夫すれば、現在でも有効な集客ツールとして機能するでしょう。

8.看板設置

看板や店頭ボードは、通行人に院の存在を認知してもらう基本的な集客施策です。鍼灸院に興味のない人でも、何かをきっかけに「そういえば、あそこに鍼灸院があったな」と思い出して来院する可能性があります。

▼看板の設置例

3.看板(鍼灸院)の設置例

引用元:妙蓮寺ゆう鍼灸院

以下に代表的な看板の種類と特徴をまとめました。

看板の名前

看板の特徴

設置に向いている鍼灸院

ファザード看板

・入り口上部の横長看板

・院の「顔」となる看板

・店舗型で入り口が分かりにくい院

スタンド看板

・歩道に置く立て看板

・移動可能で安価通行人の多い立地

・コストを抑えたい院

プレート看板

・自由な大きさや形状にできる

・さまざまな用途に対応

・駐車場案内や営業時間表示が必要な院

ウィンドウサインガラス

・窓に貼る看板

・内照効果も活用可能

・大型看板設置が困難な院

看板やボードの設置はそれほど高額な投資ではなく、内容も自由に変更できるため、まだ設置していない院は検討する価値があります。

9.公式LINEの運用

LINE公式アカウントの導入は、既存患者との継続的な関係維持に極めて効果的です。一度来院された患者にLINE友だち追加をしてもらえれば、定期的に院の情報を直接届けられます。

またLINEは開封率が高い傾向にあるため、イベント告知やクーポン情報を送付すれば、リピーター獲得につながる可能性が高まります。

LINE公式アカウントから届いたメッセージを開封するまでの時間を集計すると、約2割のユーザーがメッセージを受け取ってすぐに開封し、約5割のユーザーが3~6時間以内、さらに約8割のユーザーがその日のうちに開封すると回答しました。このことからも、LINE公式アカウントから届くメッセージは開封率が高く、即時性もあることが分かります。

引用元:LINEヤフー for Business

さらに、LINEは予約システムとの連携も可能で、チャットのみで予約ができるため、電話予約が面倒な患者にとっても利便性が向上します。

リピーターを離さないためにも、LINE公式アカウントの導入は優先的に検討すべき施策といえるでしょう。

10.タウン誌への掲載

タウン誌(フリーペーパー)への掲載も、オフライン集客の有効な手法で、認知度の向上に期待できます。

タウン誌には、その地域のさまざまな情報がまとめて掲載されているため、鍼灸院に興味のない人にもアプローチできる点が魅力的です。

▼情報誌の掲載例

4.情報誌の掲載例

引用元:鍼灸院「満月」

コストをかけないと目立つ位置に広告が掲載できず、埋もれてしまうデメリットはありますが、予算に余裕がある場合は認知獲得の大きなチャンスとなります。

地域密着型の鍼灸院にとって、地元住民への露出機会を増やす重要な手段となるため、投資対効果を算出して活用しましょう。

11.紹介カードの導入

既存患者からの紹介は、最も信頼性が高く成約率の良い集客方法です。紹介カードの導入により、患者が知人を紹介しやすい環境を整備できるため、高いリピート効果を得られます。

紹介した患者と紹介された患者の両方にメリットを提供する仕組みを構築すれば、自然な紹介を促進できます。

口コミによる集客は費用対効果が極めて高いため、積極的に取り組むべき施策といえるでしょう。

▼実際の紹介カード

5.鍼灸院の紹介カード

引用元:久米川ひかり鍼灸院・整骨院

12.イベント開催

イベント開催は、地域住民との直接的な接点をつくり、認知度向上と信頼関係構築を同時に実現できる効果的な集客手法です。

イベント開催には以下のようなメリットもあります。

  • 普段来院しない層へのアプローチが可能
  • 実際の施術体験により安心感と納得感を提供
  • 地域とのつながり強化による長期的な集客効果の維持

効果的なイベント例としては以下が挙げられます。

  • 無料体験会
    →姿勢分析や簡単な施術体験で効果を実感してもらう
  • 健康相談会
    →個別の悩みに対する専門的なアドバイスを提供
  • 健康セミナー
    →ターゲット層に合わせたテーマで健康意識を向上

▼実際のイベント

6.鍼灸院のイベント

引用元:すずらん鍼灸接骨院グループ

イベント成功のポイントは次の通りです。

  • 目的の明確化
  • ターゲットに適した内容設計
  • SNSなどによる効果的なプロモーション
  • イベント後のフォローアップ

特に、イベント後の個別フォローによる参加者の来院促進は重要です。イベントの際に公式LINEへ誘導し、クローズドな環境でアプローチするとよいでしょう。

13.インフルエンサーの起用

インフルエンサーの起用は、認知度の向上に効果的です。EN body conditioning salon代表、白石明世さんの成功事例を見てみましょう。

元々ここに通ってくださっていたファッションインフルエンサーのMBさんが、育毛鍼灸の効果を実感し、発信してくださったことで徐々にこの施術が広がっていきました。現在は患者様の約9割が育毛鍼灸の施術のために来院されています。

引用元:モアリジョブ|EN body conditioning salon代表 白石明世さん

上記事例の通り、インフルエンサーマーケティングは大きな集客効果を生み出す可能性があります。

ただし、自然な形での発信が重要であり、過度な宣伝色は逆効果となる場合もあるため、慎重なアプローチが必要です。

鍼灸院集客のノウハウをもった人材の採用もおすすめ

鍼灸院の集客を効果的に進めるためには、デジタルマーケティングの専門知識をもった人材の採用も有効な選択肢です。SNS運用やWeb広告のノウハウをもった人材を確保すれば、集客力の大幅な向上が期待できます。

たとえばSNS運用の分野では、各プラットフォームの特性理解と継続的なコンテンツ制作スキルが、Web広告運用では、適切なターゲティング設定と効果分析能力をもった人材が必要です。

こうした専門人材を採用できれば、院長は施術に専念しながら効果的な集客活動を並行して進められ、集客に強い鍼灸院を構築できるでしょう。

しかし、そのようなデジタルマーケティング人材の獲得は難しく、一般的な採用活動では採用に至らないケースがほとんどです。

そこでおすすめなのが鍼灸業界に特化した採用サイトの活用です。特化型の採用サイトであれば、業界特性を理解した人材や医療・ヘルスケア分野での経験者に効果的にアプローチできます。

たとえば、鍼灸業界特化の採用プラットフォームとして「リジョブ」が特におすすめです。

リジョブは、美容・ヘルスケア業界求職者の転職満足度98%、総会員数70万人超の業界最大級サイトで、業界従事者の2人に1人が登録しています。

個人店舗に強く、完全採用成果報酬プランなら掲載費0円で始められるため、集客力向上のための人材採用を検討している鍼灸院経営者の方はぜひ活用を検討してみてください。

鍼灸院の集客効果を上げる4つのポイント

鍼灸院の集客効果を上げるうえで重要なポイントは次の通りです。

  1. ターゲットを明確にする
  2. 院のコンセプトを設定する
  3. 新規とリピーターで集客方法を変える
  4. 検証と改善を繰り返す

それぞれのポイントについて解説します。

1.ターゲットを明確にする

効果的な集客を実現するためには、まず「誰に向けて情報を発信するのか」を明確にするのが重要です。

ターゲット層の世代や性別が明確になれば、SNS集客を行うプラットフォームの選択や、適切な広告媒体の判断がしやすくなります。

ターゲット設定においては、単純な年齢層や性別だけでなく、より具体的なペルソナ(理想的な顧客像)を設定するのが効果的です。

▼ペルソナ設定例

項目

詳細

基本情報

佐藤 健一(68歳)男性、埼玉県川口市在住

家族構成

妻(65歳・主婦)、息子夫婦と孫(別居)

職業・業種・役職・年収

・元製造業管理職

・現在は年金生活

・年収250万円

趣味

・ゲートボール

・園芸

・孫との時間

・健康番組視聴

・散歩

好きなエリア

・地元商店街

・イオン

・ホームセンター

・温泉施設

価値観

・健康で長生きし孫の成長を見守りたい

・医療費を抑えたい

・地域貢献

情報収集の方法

・テレビ

・新聞

・地域のフリーペーパー

・口コミ

・かかりつけ医

このような詳細なペルソナを設定すれば、どのようなメッセージが響くか、どの媒体で情報発信すべきかが具体的に見えてきます。

また、施術メニューの構成や院内環境の整備方針も、ターゲットのニーズに合わせて最適化しやすくなります。

2.院のコンセプトを設定する

自院のコンセプトや強みの明確化は、競合との差別化を図るうえで重要です。

近隣の競合となる他院をチェックして、自院がどのような強みがあるのか、どのようなコンセプトで経営しているのかなど、ユーザーに強く打ち出したい特徴を明確にしましょう。

アーティスト専門鍼灸師兼サロン代表のMEGAPANさんは、明確なコンセプト設定の重要性について次のように語っています。

鍼の森の客層に多い働き盛りの多忙なお客様方が、そんな日々の中でお越しいただく頻度を少なく済ませられるような、「通わせない」施術に力を入れているのが大きな特徴ですね。

(中略)

鍼の森では、鍼灸治療における身体への効果を、“一度で確実に体感していただく”ことを心がけています。そのためには鍼灸師が出し惜しみすることなく、常にベストを尽くす必要があるため、求められる施術の質も当然高くなるわけです。

スタッフに技術指導する際にも、「目の前の人に鍼を打てるのは、今この時の一度だけ」というマインドで臨むように、と言い聞かせています。

引用元:モアリジョブ|アーティスト専門鍼灸師兼サロン代表 MEGAPANさん

上記事例のように「通わせない施術」といった明確なコンセプトを設定すれば、多忙なターゲット層に対する強力な差別化要素となります。

また、一度の施術で確実な効果を実感してもらうという方針は、患者満足度の向上とリピート率の改善を同時に実現する優れた戦略といえます。

以上を参考にし、コンセプト設定の際は「自院の技術的な特徴」「施術方針」「患者との関わり方」などを総合的に考慮し、他院では提供できない独自の価値を設定しましょう。

3.新規とリピーターで集客方法を変える

新規開拓には新規開拓に適した方法が、リピート率アップにはそれに適した方法があります。そのため、同じ集客方法にこだわらず、それぞれの集客を分けて行うことで、より効果が高くなります。

たとえば、新規患者向けの集客方法は次のようなものがあります。

  • SEO対策による検索流入の増加
  • Web広告による認知度拡大
  • SNSを活用した情報発信
  • ポータルサイトへの登録
  • 初回限定の体験価格設定
  • 地域イベントへの参加

新規患者の獲得では、まず院の存在を知ってもらうことが最優先です。そのため、露出機会を増やす施策に重点を置き、安心感を与えるような情報発信が重要視されます。

一方、リピーター向けの集客方法としては以下が挙げられます。

  • LINE公式アカウントでの定期連絡
  • メール配信による健康情報提供
  • 回数券やポイントカード制度
  • 紹介キャンペーンの実施
  • 定期メンテナンスプランの提案
  • アフターフォローの充実

既存患者に対しては、継続的な関係維持と満足度向上に焦点を当てた施策が効果的です。個別のニーズに応じたアプローチを行うなどし、長期的な通院を促進しましょう。

4.検証と改善を繰り返す

集客施策は一度実施して終わりではなく、継続的な検証と改善が不可欠です。各施策の効果を定期的に測定し、データにもとづいた改善を重ねることで、集客効率を向上できます。

たとえば、下記の指標は継続的にチェックするとよいです。

  • ホームページのアクセス数と滞在時間
  • SNSのフォロワー数とエンゲージメント率
  • 各媒体からの問い合わせ数
  • 初回来院者数と来院経路
  • 施策別の費用対効果

これらの指標は月次で追跡し、成果の上がっている施策は継続・強化し、効果の薄い施策は見直しや停止を検討するのが一般的です。季節要因や地域のイベントなども考慮して、タイミングに応じた施策の調整を行うのが重要になります。

検証結果をもとにした改善案の実施と効果測定を繰り返せば、安定した患者数の確保と経営の安定化を実現できるでしょう。

鍼灸院が集客する際の注意点

鍼灸院が集客する際の注意点は次の通りです。

  • 広告規制に注意する
  • SNS運用を怠らない
  • 口コミはしっかりと管理する

それぞれの注意点について解説します。

広告規制に注意する

鍼灸院において、規制されている広告とOKな表現の例を紹介します。

広告名

広告の詳細

OKな表現の例

バナー広告

インターネット上のバナー広告

・施術所名 + 国家資格保有の明記

・はり師・きゅう師・あん摩マッサージ指圧師の表示

・営業時間・休診日

・電話番号

・駐車場に関する事項

・予約制・夜間対応可の表記

リスティング広告

検索結果画面のスポンサー表示

・「○○鍼灸院 - 国家資格保有者による施術」

・最寄駅からの距離

・駐車場完備

・「医療保険適用可(医師の同意が必要)」

・営業時間

・予約制の表記

SNS広告

Facebook、Instagram、LINE等のタイムライン広告

・施術所の外観と内観写真

・住所

・電話番号

・営業時間

・駐車場情報

・アクセス案内

・国家資格保有の明示

動画広告

YouTube等での動画広告

・写真・イラスト・映像・音声による表現可能

・広告可能事項の範囲内のみ

・施術者の技能

・施術方法

・経歴に関する映像は禁止

施術所紹介サイト

掲載料を支払っている口コミサイトやランキングサイト

・開設届出をした旨

・医療保険療養費支給申請ができる旨

・駐車場台数

・料金

・予約制

・出張対応の可否

参考元:~あはき・柔整広告ガイドライン~|厚生労働省

違反時は30万円以下の罰金と、保険適用停止のリスクがあるため、以下を参考にして事前の対策を行いましょう。

  • 広告可能事項一覧の作成
  • 制作前後の二重チェック体制
  • 管轄保健所への事前相談

これらに加えて「迷ったら掲載しない」を徹底するのも大切です。

SNS運用を怠らない

SNS運用は継続的な取り組みが成功のカギとなります。そのため、続けられる範囲で日常的な管理を行うのが重要です。

たとえば「週に3回投稿」「毎日10分のSNSチェック」など、現実的な目標設定を行いましょう。

ただし、毎日のタスクとしてコメントへの返信、いいねやシェアへの反応、フォロワーとの交流などは継続して行うとよいです。

また、明確な目標を設定すればモチベーションが上がります。具体的には「フォロワー数を3カ月で500人増加」「SNS経由の問い合わせを月3件獲得」など、具体的で測定可能な目標を設定しましょう。

口コミはしっかりと管理する

口コミ管理は、鍼灸院の信頼性向上と新規患者獲得において極めて重要です。ここでいう口コミとは、Googleマップやポータルサイトで掲載されるものを指しています。

実際、メディカル革命の調査によると、全体の35.9%の人が口コミを重要視しています。

7.医院を選ぶ際に重要視していること

上記の通り、Googleマップやポータルサイトでの口コミは、患者の院選びに大きな影響を与えます。このため、すべての口コミに対して迅速かつ丁寧な返信を行ったり、管理を徹底したりすれば、院の姿勢と信頼性をアピールできます。

好意的な口コミには感謝の気持ちを込めた返信をし、批判的な口コミには誠実で建設的な対応を心掛けるのが大切です。

また、明らかに事実に反する内容や嫌がらせ的な口コミについては、各プラットフォームの報告機能を利用して適切に対応しましょう。たとえば、Googleマップ上の不適切な口コミは削除申請が可能であり、ポータルサイトでも同様の機能が提供されています。放置は厳禁なので、必ず定期的に観測しましょう。

鍼灸院の集客に関する成功事例2選

ここでは、鍼灸院の集客に関する成功事例を2つ紹介します。

各事例の成功ポイントについても解説します。

成功事例1.EN body conditioning salon

SNSからの集客が見込めない時期は、紹介による集客しかないため、常に何らかの成果を上げるように意識したという白石さん。

今でこそSNS経由で新規の患者様がいらっしゃるケースは多いのですが、当初は患者様の紹介しかルートがありませんでした。

目の前の患者様に対して成果を上げられなければ、この方がまた次にいらっしゃることはないし、その先のご紹介もなくなってしまうかもしれないという危機感が常に私にはあったんです。だからこそ患者様の身体をどのように改善していくかということを、追求していました。

引用元:モアリジョブ|EN body conditioning salon代表 白石明世さん

成果を上げるために重要となる姿勢や考え方についても解説してくれています。

施術の際のインスピレーションもとても大事だと思っています。私は腰痛が悪化してバレエを辞めたのですが、実は心因性の痛みだったんですね。腰自体にはまったく問題がないけど、腰が痛くて足がまったく上がらない状態が続きました。

体というのはとても不思議でそういったことがよく起こるので、肩の痛みを訴えていたとしても別の場所に意識を向けてみたり、その方の生活習慣や背景について詳しくお話を伺ってみたり。そういったことで改善につながることもあります。

引用元:モアリジョブ|EN body conditioning salon代表 白石明世さん

上記事例から学べる成功のポイントは次の通りです。

  • 目の前の患者に対して確実に成果を上げることを最優先
  • 紹介につながる施術結果の追求
  • 表面的な症状だけでなく根本原因の探求
  • 患者の生活習慣や背景まで深くヒアリング
  • 心因性の要因も含めた多角的な施術アプローチ
  • 一人ひとりに対する丁寧なカウンセリングの実施

成功事例2.金鍼灸サロンフューム

独自のジャンルを築き、競合が多い鍼灸業界を勝ち抜いた折橋さんは、次のように述べています。

一般的に、鍼灸は体の不調を改善する場所、エステは美容のために顔や体をトリートメントする場所と分けて考えますよね? そこで、両方を組み合わせれば、体と美容の悩みをいっぺんに解消できるはずだと考え、美容鍼灸という新しいジャンルに挑戦することにしました。

ただ、鍼灸の知識はあっても、どうすれば美容と融合できるのか、やり方が分かりません。インターネットで検索すると、今でこそ関連ワードが2000万件以上出てきますが、当時は10件もないくらい。たまたま表参道に鍼灸を併設しているエステサロンとご縁があり、卒業後、そこで鍼灸師として働きながら勉強させてもらうことにしました。

引用元:モアリジョブ|美容鍼灸師・白金鍼灸サロンフューム代表 折橋梢恵さん

上記事例から学べる成功のポイントは次の通りです。

  • 既存の市場に新しい価値を見出す発想力が重要
  • 「鍼灸×美容エステ」などの掛け合わせによる差別化
  • 競合他院との明確な差別化による独自ポジションの確立
  • 患者の複数ニーズを同時に満たすサービスの設計

まとめ

鍼灸院の集客を成功させるポイントは以下の通りです。

  • 閲覧数・成約数・リピート率の3つの指標を重視して効果測定を行う
  • MEO・SEO・SNS運用など複数の集客方法を組み合わせて実施する
  • ターゲットを明確化と院のコンセプトを設定して差別化を図る
  • 広告規制を遵守しながら継続的な検証と改善を繰り返す

鍼灸院業界の競争激化により集客の重要性は高まっていますが、適切な戦略と継続的な取り組みにより必ず成果は上げられます。

本記事で紹介した13の集客方法を参考に、自院に最適な施策を選択し、持続可能な鍼灸院経営を実現してください。

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執筆者情報
山田 大地(Yamada Daichi)
大学卒業後に上京し、新卒から転職エージェントと人事部を担当。その後、訪問型セラピストの展開を目指してリラクゼーションサロンに勤務する傍ら、副業として始めたWebライターで独立を果たす。現在はWebマーケティングの専門知識を活かし、父が経営する複数店舗の集客支援に従事。転職支援から接客サービス、コンテンツ制作まで幅広い業界経験を持ち、デジタルマーケティングを軸とした事業成長支援を行っている。