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【経営者向け】鍼灸師の平均給料はいくら?オーナーが気になる給与設定方法も紹介

【経営者向け】鍼灸師の平均給料はいくら?オーナーが気になる給与設定方法も紹介

鍼灸院の経営において、スタッフに当たる鍼灸師の給料設定は避けては通れません。適切な給料体系は優秀な人材の確保と定着に直結します。

「鍼灸師の給料相場は一体いくらなのか?」

「どのような給料形態が自院に適しているのか?」

こうした悩みを抱える経営者の方は少なくありません。

そこで本記事では、鍼灸師の全国的な平均給料やデータ、具体的な給料設定の方法・採用成功のためのポイントなどを解説します。従業員のモチベーションを高め、健全な経営を実現するために、ぜひ最後までご覧ください。

鍼灸師の平均給料はいくら?

業界の平均値を知るのは、自院の給料水準を検討する第一歩となります。鍼灸師の給料が社会全体でどの程度の水準なのか、基本的なデータをチェックしましょう。

業界の平均給与

国税庁の「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、日本の給料所得者全体の平均年収は約458万円です。これに対し、各種求人情報などをもとに算出された鍼灸師の平均年収は約382万円と、この水準より低い位置にあります。

【鍼灸師の平均給料(全国平均)】

項目

金額

平均年収

約382万円

月収

約32万円

時給

1199~1301円

ただし、この数字だけで平均的な給料と判断してはなりません。鍼灸師の仕事は患者様の心身に寄り添う専門職です。精神的な集中力と肉体的な負担が伴い、予約が立て込む日やマッサージなどの手技も提供する場合、労働時間は長くなります。

労働時間や心身への負担を考慮すると、額面上の年収が平均的な職場でも、給料が低いと感じる鍼灸師は少なくないかもしれません。

条件別の給与

鍼灸師の給料は、雇用形態によって以下のように大きく変動します。国税庁のデータをもとにした求人ボックスの統計を見てみましょう。

【雇用形態別の給料水準】

雇用形態

年収

正社員

約382万円

派遣社員

時給1503円

アルバイト・パート

時給 1193円

特筆すべきは、この統計には含まれていない起業という働き方です。

鍼灸院を開業した場合、経営が軌道に乗れば年収1000万円を超えます。経営のリスクはすべて自身で負いますが、成功した際の収入は勤務形態に比べて格段に高いです。

しかし、雇用される側の収入は決して高いとはいえません。よって、雇用される鍼灸師側からの不満が起こるリスクは高く、人材が離職しないための給料設定が重要です。

地域別の給与

鍼灸師の給料は、勤務する地域によっても大きな差が見られます。都市部では物価や家賃が高い分、給料水準も高くなる傾向があります。

【地域別 鍼灸師の平均年収ランキング】 

 

地域

平均年収

1位

中国地方

約399万円

2位

関西地方

約390万円

3位

九州・沖縄・東海地方

約385万円

4位

関東地方

約382万円

5位

甲信越・北陸地方

約377万円

参考:求人ボックス給料ナビ

最も高い中国地方と、全国平均との差は15万円以上です。

経営者は自院エリアの給料相場を把握し、それを基準に給料を設定せねばなりません。水準が低い地域で鍼灸師を雇用する際には、鍼灸師から不満が出ないよう給料設定を工夫する必要があります。

鍼灸師の労働環境別給料の平均

鍼灸師が活躍する場は多く、労働環境でも給料水準は大きく異なります。代表的な労働環境別の給料平均と特徴は、以下の通りです。

【労働環境別の平均年収一覧】

労働環境

平均年収(目安)

特徴

鍼灸院・鍼灸整骨院

約398万円

雇用が安定

幅広い症例を経験できる

大手のグループ系医院



350~440万円

福利厚生が充実

キャリアパスが明確

個人開業の医院

経営ノウハウを学べる

多様な働き方ができる

高齢者向け(訪問など)

300~650万円

高い需要

社会貢献性が高い

美容系の鍼灸院

300~400万円

近年需要が急増

専門スキルが活きる

以下で各環境の給料について解説します。

鍼灸院や鍼灸整骨院

最も一般的な勤務先であり、給料水準は平均的です。保険診療と自費診療を組み合わせている院が多く、さまざまな症状の患者様が来院します。鍼灸師の基本スキルを幅広く磨ける環境です。

しかし、美容系のような特化型専門スキルを身に付け給料を上げられる環境ではありません。そのため、非常に高い給料を望むハイスキル人材には求人を避けられる傾向にあります。

大手のグループ系

全国展開しているような大手のグループ院では、給料水準はスタート時は平均してやや低めです。一方で、福利厚生が充実しています。

社会保険の完備はもちろん、研修制度やキャリアアップ制度が整っているところが多いです。院長やエリアマネージャーなどへの昇進によって大幅な給料アップが見込めます。安定した環境で長期的キャリアを築きたい鍼灸師に人気です。

個人開業の医院

院長との距離が近く、アットホームな雰囲気で働けるのが個人開業の医院です。最大のメリットは、経営や開業のノウハウを間近で学べることでしょう。

技術だけでなく、集客や財務管理といった実践的な知識を吸収できる貴重な環境です。正社員ではなく業務委託など、多様な働き方が用意されているところもあります。よって、独立志向が強い鍼灸師が、求人では集まるでしょう。

しかし、経営が厳しい個人院の場合、資金繰りの問題から福利厚生や給料水準が低い場合もあります。

高齢者向けのリハビリや在宅ケア医院

高齢化社会の進展に伴い、非常にニーズが高まっている分野です。給料水準も比較的高く、年収は300万円~650万円と幅があります。

働き方としては、高齢者施設や老人ホームに所属する方法や、患者様の自宅へ直接伺う「訪問鍼灸」があります。特に訪問鍼灸の平均年収は401万円と高く、需要の拡大も見込めるでしょう。

移動時間や一人で対応する責任は伴いますが、社会貢献性も高くやりがいを感じやすい仕事です。

美容系の鍼灸院

近年、テレビや雑誌で特集されることも増え、美容鍼灸の需要は急速に高まっています。平均給料は300万円~400万円が相場ですが、人気やスキルによってはそれ以上を目指すことも可能です。

美容という特性から自費診療がメインとなるため、高い技術力と接客スキルが求められます。通常の鍼灸師資格で施術可能ですが、美容に関する民間資格などを追加で取得せねばなりません。

経営者は美容分野に着手するには自身の価値を高め、さらなる給料アップにつなげられるハイスキル人材を雇用する必要があります。

鍼灸師の給料形態の設定方法

経営者が最も頭を悩ませるのが、具体的な給料形態の施策です。従業員のモチベーションを維持し、かつ経営を圧迫しないバランスの取れた制度設計が求められます。

ここでは代表的な給料形態のパターンと、そのメリット・デメリットを解説します。まずは以下の表をご確認ください。

給料形態

特徴

メリット

デメリット

基本給+歩合+賞与

正社員で多い

固定給+インセンティブ

安定とやりがいを両立できる

歩合や賞与の算定基準を明確にする必要がある

固定月給制

毎月決まった額を支給する

給料計算が容易

従業員は収入が安定しやすい

頑張りが給料に反映されにくい

歩合制

施術売上に応じて支給される

人件費を変動費化できる

人気施術者は高収入になる

従業員の収入が不安定で新人は稼ぎにくい

時給制

働いた時間に応じて支給

短時間雇用に対応しやすい

帰属意識が育ちにくい

月給制と歩合制の兼用

固定給と歩合給を計算して高い方を支給

最低保証と成果報酬を両立できる

給料計算がやや複雑になる

各給料形態を詳しく解説します。 

基本給+歩合+賞与

正社員の給料形態として、多く採用されているのがこのハイブリッド型です。

  • 最低限の生活を保障する基本給
  • 指名数や自費診療の売上げなどの歩合
  • 会社全体の業績を評価する賞与

従業員の安心感とモチベーションを両立できる、非常にバランスの取れた方式といえます。鍼灸師の場合、基本給に加えて患者様からの「指名料」や特定自費診療メニューの売上げの一部を歩合給として上乗せする形が一般的です。

固定月給制

毎月決まった額の給料を支払う、最もシンプルな形式です。昔ながらの鍼灸院には多い給料形態でもあります。経験年数や役職に応じた昇給が一般的で、収入が安定するメリットがあります。

しかし、個人の技術や人気が売上げに直結しやすい鍼灸師では、固定月給制をおすすめできません。インセンティブが全くないと、頑張っても給料が変わらないという不満につながるからです。

鍼灸師は拘束時間が長くなる仕事です。時間に対する給料メリットが感じられないと、優秀な人材が早期離職するリスクが高まります。

歩合制

主に業務委託契約のフリーランス鍼灸師に対し、採用される形式です。

施術した分だけ収入が増えるため、人気と実力のある鍼灸師は高収入を得られます。経営者側から見れば、固定費である人件費を変動費化できるというメリットがあります。歩合率の設定は売上げの40%~60%が一般的です。

ただし、完全歩合制は従業員の収入が不安定になりがちな点には気を付けねばなりません。特に、経験の浅い鍼灸師を雇用する際には不向きです。

時給制

アルバイトやパートタイマーの鍼灸師に適用される形式です。経営者にとっては繁忙期のみ人員を増やすなど、柔軟な雇用調整ができます。

鍼灸師の時給平均は1115円~1227円程度です。特に派遣の平均給料はそれよりも高い1503円で、多くの地域の最低賃金を上回っています。

鍼灸師の資格取得を目指す学生や、家庭と両立しながら働きたい主婦(主夫)など、ライフスタイルを重視する人材にとって魅力的な働き方です。

月給制と歩合制の兼用(最低保証付き歩合制)

固定月給額と月売上から計算した歩合給額を比較し、いずれか高い方の金額を支給するという方式です。

従業員の売上げが伸び悩んだ月でも最低限の給料が保証されるため、安心感があります。一方で、頑張って成果を出した月は、それが直接収入に反映されやすいです。よって、高いモチベーションを維持しやすいメリットがあります。

鍼灸師は給与にプラスして手当やボーナスがある?

基本給や歩合給の他に、手当や賞与(ボーナス)の有無も従業員の満足度を大きく左右します。これらは法律で義務付けられているものではありません。ただし、人材確保の観点からは非常に重要な要素です。

指名料が手当としてつきやすい

鍼灸師の仕事における大きな特徴のひとつが「指名制度」です。通常、施術者は院の采配で決まります。しかし、患者が特定の鍼灸師を指名する場合、別途の指名料が発生するケースも多いです。

この指名料の全額または一部を手当として還元する制度は、技術力向上へのインセンティブとして非常に有効です。指名は患者様からの信頼の証であり、給料に反映させれば鍼灸師のやりがいと満足度を直接的に高められるでしょう。

賞与(ボーナス)は事業形態により異なる

賞与の支給は、勤務先の経営状況や雇用形態に大きく左右されます。

一般的に正社員なら、業績に応じて年1~2回の賞与が支給されがちです。特に全国展開する大手グループ院では、賞与の制度が規定されています。一方の個人鍼灸院は、経営状況が不安定だと賞与がありません。そもそも制度を設けていないところもあります。

なお、業務委託やアルバイト・パートのような非正規雇用では、基本的に賞与が支給されません。求人募集の際には、賞与の有無や支給実績を明記しましょう。応募者とのミスマッチを防ぐ上で重要になります。

なぜ鍼灸師の給料設定は重要なのか?

鍼灸師の給料を取り巻く環境は複雑です。では、なぜ経営者はここまで真剣に給料設定と向き合う必要があるのでしょうか。その理由は、鍼灸業界が抱える構造的な課題にあります。

鍼灸院数が多く競争率が高い

厚生労働省の「令和2年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況」によると、近年あん摩・マッサージを行う診療所の数が増加しました。治療院同士の競争や優秀な人材の採用競争がますます激化しています。

3_現在の給与に満足している理由のアンケート

他院と比較して魅力に乏しい給料・待遇しか提示できなければ、優秀な人材を確保できない環境下にあるといえるでしょう。一方で、同調査によるとあん摩やマッサージを行える人材の数も年々増加しています。

2_あん摩やマッサージ師の就業数推移

診療所の競争率は上がっていますが、人材の確保もしやすい状況になっているのです。鍼灸師を雇用したいオーナーにとって、人材確保を取り巻く環境は難しい傾向ばかりではないといえるでしょう。

拘束時間が長く従業員の不満が出やすい

鍼灸師は、施術時間以外にも多くの付随業務をこなしています。

  • カルテの記入
  • 洗濯
  • 院内清掃
  • 予約管理
  • 上司の場合は新人の教育

患者様の予約が途切れない人気院では、休憩時間もままなりません。

拘束時間が長くなると対価である給料が見合わず、従業員の不満は高まります。マッサージなどの徒手療法も提供する院では、肉体的な負担も加わるかもしれません。

しっかり稼いでスキルアップしたい人材と、プライベートを大切にしたい人材では、求める給料体系や働き方が異なります。画一的な制度ではなく、多様なニーズに応える給料形態を用意しましょう。離職率を下げ、従業員の定着を図る上で非常に効果的です。

相場以上の待遇が叶えにくく離職率が高い

残念ながら、鍼灸業界の給料が比較的安いイメージは否定できません。鍼灸治療の需要は、マッサージより限定的だからです。

鍼灸とマッサージの両方を扱う治療院では、売上げの大半をマッサージが占めているところもあります。鍼灸師として入職したものの鍼の施術機会が少なく、歩合給を稼げないため辞める方も少なくありません。

給料・待遇が見合わないと感じると、鍼灸師は離職してしまいます。経営者は従業員の貢献を正当に評価し、それを給料という形で明確に示すべきです。

鍼灸師の雇用で給料を設定するときのポイント

従業員の満足度を高め、採用競争を勝ち抜くための4つのポイントを紹介します。

専門分野がある場合は給与設定を変える

従業員が鍼灸の基礎技術に加えて特別なスキルや専門知識を持っているなら、給料に反映させるべきです。特に、以下のような分野は現代の患者ニーズも高く、集客につながります。

能力やスキルへの手当として、基本給に以下要素の上乗せを検討しましょう。

美容関係スキル

美容鍼やフェイシャルケアなど、女性からの需要が高い技術

高齢者への対応スキル

訪問鍼灸の経験や介護施設での勤務経験、認知症や麻痺に対するアプローチなど

スポーツ関連のリハビリ施術スキル

スポーツトレーナーの経験や特定競技のコンディショニングに関する知識など

これらのスキルは他院との差別化を図る上で、大きな武器になります。

指名料などの歩合制を導入する

前述の通り基本給のみの固定給制度は、従業員のモチベーション低下を招きます。個人の頑張りを正当に評価するためには、歩合制(インセンティブ制度)の導入が不可欠です。

  • 患者様からの指名料の一部を本人に還元する
  • 美容鍼や骨盤矯正といった高単価の自費メニューの売上げに対し、一定率のインセンティブを支給する
  • 回数券の販売額に応じて手当を支給する

上記のような仕組みは、従業員に頑張れば収入が増えるという明確な目標を与えられます。

地域別の平均給料をチェックする

給料設定の際には、必ず自院が所在する地域相場をリサーチしましょう。

鍼灸師の給料は地域によって大きな差があります。全国平均だけを参考にしていると、相場より低い給料を提示しかねません。

リサーチには厚生労働省の「jobtag」や、民間の求人サイトなどがおすすめです。近隣エリアの求人情報を定期的にチェックし、自院の給料水準が市場に見合うかを確認しましょう。

最低保証額を基本給で設定する

正社員雇用では、完全歩合制のような不安定な給料体系は避けるべきです。鍼灸師の歩合は指名数に左右されます。新人やまだ地域に馴染めていないスタッフが、なかなか指名がつかず辞めてしまいかねません。

まずは安心して働き続けられるよう、生活を支えるための最低保証額を基本給として設定すべきです。その上で、個人の成果に応じて歩合給を上乗せする「基本給+歩合制」や「最低保証付き歩合制」を採用しましょう。

これは従業員の生活基盤を守り、長期的な信頼関係を築く上で最も推奨される方法です。

鍼灸師の採用で失敗しないためのポイント

最後に、給料設定と密接に関わる「採用」の段階で失敗しないためのポイントをリジョブのアンケート統計をもとに5つ紹介します。

給与と待遇が釣り合うようにする

院長やマネージャーといった責任のある役職を任せる人材には役職手当を支給し、手厚い給料を設定する必要があります。リジョブの調査によると、給料に満足している治療業界従事者は、その理由として以下のような点を挙げています。

1_あん摩やマッサージを行う施術所の年次推移

上位3つの項目は、以下の通りです。

  • ⾃分の能⼒が評価されていると感じる…30%
  • 仕事の成果が反映されている…22%
  • 責任やポジションに⾒合っている…18%

従業員は単に給料額の多寡だけでなく、「自分の働きが正当に評価されているか」を重視しています。能力や役職、仕事の成果に見合った公正な給料体系を構築しましょう。満足度と定着率の向上につながります。

雇用形態を多様化する

鍼灸師の働き方に対するニーズは、以下のようにさまざまです。

  • 正社員としてフルタイムで働いてスキルアップや高収入を目指したい
  • パートタイムで家庭と両立したい
  • 業務委託で自由な時間に働きたい

時給制のアルバイト・パートや、歩合制の業務委託などの幅広い雇用形態の選択肢を用意してください。より多くの優秀な人材にアプローチできます。

以下の鍼灸整骨院グループでは、フレキシブルな働き方ができるよう定期的にフォローアップやキャリアプラン相談を行っています。

スタッフの働き方の多様性も実現しています。子育てや介護をしているスタッフがフレキシブルな働き方をすることも可能ですし、資格を持っているけれど実務経験が少ない人が安心して働けるようにフォローアップ研修も定期的に行っています。

また2カ月に一度、人事との面談も実施しているため、困っていることを相談できる環境も整っています。働き方やキャリアプランなどを、一緒に解決していくことが可能です。

モアリジョブ|「マーサメディカル」鈴木彩夏さん |

プライベートが充実するよう福利厚生を整える

近年の鍼灸師は給料の高さより、ワークライフバランスを重視する傾向が強いです。

リジョブの調査でも、給料に満足している理由として「求める生活水準に対して十分な額だから」と答えた人が23%と、高い割合を占めました。必ずしも高給を求めず、プライベートな時間を大切にできる生活を望む人が多いといえます。

  • 完全週休2日制の導入
  • 有給休暇の取得促進
  • 残業時間の削減
  • 研修費用補助や資格取得支援

上記のような福利厚生を充実させてみましょう。給料額以上の魅力を生み出し、従業員に「この治療院で長く働きたい」と思わせる重要な要素となります。

必要に応じて業務委託も検討する

繁忙期の一時的な人員不足や産休・育休に入るスタッフの代替など、限定的な期間だけ人手が必要な場合もあるでしょう。その際には業務委託契約のフリーランス鍼灸師に依頼するのも、有効な選択肢です。

正社員雇用に比べて採用コストや社会保険料などの固定費を抑えられるため、経営の柔軟性を高められます。まずは業務委託で院の雰囲気や仕事内容を知ってもらい、双方の合意があれば正社員登用へというステップを踏むのも可能です。

元々は業務委託美容師のサロンとしてスタートしましたが、今は正社員の働き方も選べるようになりました。

業務委託サロンとして経営していたとき、あるスタッフが辞めることになってその理由を聞いたら、「社員として働いていた方が年金を多くもらえるし、産休育休も取れるから」と話していたのを聞いて、確かにそういうスタッフもいるかもしれないと思ったんです。

モアリジョブ 「anemone」松本平さん

給与のアップダウン差を大きくしない

成果主義を導入することは重要です。ただし、会社の業績や個人の成績によって給料が乱高下するような過度な歩合制度はよくありません。従業員の生活を不安定にし、長期的な就労意欲を削いでしまいます。

理想的なのは安定した基本給で生活基盤を保障しつつ、頑張りに応じてインセンティブが上乗せされることです。これは、安心感とやりがいを両立できる仕組みといえます。

業績が悪化したからといって、一方的にボーナスを全額カットするようなことは避けましょう。従業員が安心して働き続けられる環境を整えるのが、経営者の重要な務めです。

まとめ

本記事では、経営者向けに鍼灸師の平均給料から、労働環境別の実情、そして具体的な給料設定の方法と採用のポイントまで、幅広く解説してきました。以下に要点をまとめます。

  • 鍼灸師の平均年収は日本の平均と同水準だが労働負荷を考えると「低い」と感じる人もいる
  • 給料は地域や労働環境によって大きく変動する
  • 給料形態は安定とやりがいを両立できる「基本給+歩合制」が最も推奨される
  • 専門スキルの評価やインセンティブの導入、福利厚生の充実が人材確保の鍵となる
  • 従業員の能力や役職に見合った公正な評価と生活を保障する安定した給料体系は離職率を下げる

自院の理念と従業員の幸福を両立させる、最適な給料体系を構築してください。それが、患者様から選ばれ、スタッフから愛される鍼灸院への確かな一歩となるはずです。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。