効果的な採用動画はどのように作る?面白い事例やトレンド、費用相場も紹介!
求職者向けのコンテンツとして、採用動画を活用する企業が増えてきました。しかし、採用動画にはさまざまな種類があり、自社の目的やターゲットに合わない動画を制作しても、採用にはつながりません。採用動画の制作を検討しているものの、以下のような悩みを抱えている企業がいるかもしれません。
「効果的な採用動画を作りたい」
「他の企業の事例を知りたい」
「採用動画の費用相場を知りたい」
この記事では、採用動画の必要性やトレンドとともに、活用事例や動画制作時のポイント、費用相場について解説します。
採用動画の必要性と効果
消費者庁の調査によると、パソコンやスマートフォンでインターネットを利用している人の割合は78.8%でした。その中でも動画閲覧を利用している人は62.4%、SNSを利用している人は56.4%でした。
※消費者庁の調査より一部を抜き出して掲載
YouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームの利用が浸透しており、インターネット上で動画を見ることが当たり前になりつつあります。
レバレジーズの調査によると、就職活動において、SNSを活用している学生は58.3%でした。そのうち、57.7%がX(旧Twitter)を利用しており、46.3%の学生がYouTubeで採用動画を視聴したと回答しています。career ticket(キャリアチケット)の調査では、70.7%の学生が採用動画を視聴したことがあると回答しました。
採用活動においても、WebサイトやSNSのコンテンツに動画の使用が欠かせないものになってきています。
採用動画の効果1:情報提供の効率化
どんなに職場環境や風土が魅力的な企業でも、知名度が低ければ求職者の目に留まらず、応募は集まりません。知名度を高めるためは、自社のことについてなるべく多くの人に知ってもらう必要があります。
その際に、文章よりも多くの情報を伝えられる動画を活用すると、求職者に対して効率的に情報を伝えられます。それが採用活動の際に自社の知名度を高めることにつながるでしょう。
例えば、SNSを利用して採用動画を公開すれば、求職者に多くの情報を伝えられ、さらにその情報を記憶に残してもらえるでしょう。
採用動画の効果2:母集団の形成
コロナ禍以降、求職者と企業が接触する場はオンラインが主流になりつつあります。そのため、オンラインでの採用活動が母集団形成の鍵を握ると考えられます。
例えば、視聴者数の多いYouTubeやTikTokなどの動画プラットフォームで採用動画を配信すれば、多くの求職者に情報を伝えられるため、母集団形成につながるでしょう。
採用動画の効果3:採用ミスマッチの防止
テキストや画像での情報の場合、数字や業務内容に関する情報は伝えられます。しかし、現場の雰囲気や温度感を伝えることは困難でしょう。動画であれば、業務内容とともに現場の雰囲気や温度感を伝えられます。
現場の雰囲気や温度感を知ることにより、求職者は入社後の姿をイメージしやすくなります。入社後の姿をイメージできれば、自分には合わないと思う企業の応募は控えるはずです。それにより、採用ミスマッチの防止につながるでしょう。
採用動画の効果4:採用ブランディングの推進
動画を活用すると、企業のメッセージや雰囲気をテキストよりもわかりやすく、直感的に伝えられるため、求職者に自社で働く魅力を強く印象付けられるでしょう。それが採用ブランディングを推進することにつながります。
実際に動画を採用ブランディングに役立てる企業は多く、株式会社PR Tableの調査によると、中堅企業と大手企業ともに4割以上が採用動画でブランディングを行っていることがわかりました。
とくに中堅企業の場合、パンフレットや会社説明資料よりも動画を採用ブランディングに役立てる企業が多い結果でした。
動画をうまく活用して採用ブランディングを進めると、自社の認知度も向上するため、求人に対して自然と応募が集まる可能性があります。その結果、求人広告の作成にコストをかける必要がなくなるため、長期的に考えれば、採用コストの削減効果も期待できるでしょう。
採用動画の種類とトレンド
近年では、以下の採用動画がトレンドになっています。
- インタラクティブ動画
- ドキュメンタリー動画
- 社員座談会系動画
- アニメーション系動画
ここでは、それぞれの採用動画について解説します。
採用動画のトレンド1:インタラクティブ動画
インタラクティブ動画とは、動画内にクリック要素が用意され、視聴者の選択によってシナリオや内容が分岐するものです。これまで、動画は視聴するだけのものであり、視聴者側が参加するものではありませんでした。
しかし、インタラクティブ動画では、視聴者の選択によって内容が変わります。例えば、部署を選択すると、その業務内容を紹介する内容に切り替えたり、エントリーボタンを設置してエントリーを促したりすることもできます。
視聴者のアクションを促すことにより、企業側と求職者側の双方でのコミュニケーションが実現する採用動画になり、求職者のエンゲージメントを高められるのです。
採用動画のトレンド2:ドキュメンタリー動画
ドキュメンタリー動画とは、社員を主役に見立て1日の働いている様子を撮影し、リアルな職場の様子を伝えるものです。これまでも採用サイトや企業ブログで、社員の1日のスケジュールや様子を紹介しているコンテンツは、存在していました。
しかし、テキストや画像では、職場のリアルな空気感を伝えるのは困難です。ドキュメンタリー動画にすると、オフィスの様子や他の社員との会話なども映せるため、入社後の姿を求職者にイメージしてもらいやすくなります。
美容室であれば、カットの様子や閉店後に練習する様子などを撮影すると、よりリアリティのある動画になるでしょう。
採用動画のトレンド3:社員座談会系動画
社員座談会系動画とは、複数の社員が決められたテーマに対して座談会形式で話をする様子を撮影したものです。細かい台本や司会役を設けず、参加者がフラットな立場で座談会を開催することにより、社員の本音や日常のエピソードなどを引き出せます。
本音やエピソードなどの情報だけでなく、話のやり取りにより社員間の雰囲気も見えてくるため、社内の雰囲気もイメージできるでしょう。
採用動画のトレンド4:アニメーション系動画
アニメーション系動画とは、事業内容やデータなどの情報をアニメーションにしたものです。求職者の中には、求職に関する情報を短時間で得たいと考えている人がいます。テキストや画像で公開している情報をアニメーションにすることにより、より整理した情報を伝えられます。
自社の事業や採用に対するコンセプトを前面に出したアニメーションにすれば、自社に共感した求職者からの応募を集めやすくなるでしょう。
種類別の採用動画事例
採用動画は、下記の2つに大別されます。
- 社風や採用コンセプトを伝える採用動画
- 仕事内容や働く様子を伝える採用動画
ここでは、それぞれの種類に該当する事例を紹介します。
社風や採用コンセプトを伝える採用動画
社風や採用コンセプトを伝える採用動画として、旅館業と製造業、美容業のなかから具体例を1つずつ紹介します。
【旅館業】株式会社百楽荘
旅館事業を営む株式会社百楽荘は、倒産寸前の状態から成功に至るまでの過程をストーリーにして制作しています。動画に「仲間」のワードをちりばめることにより、社員を大切にする企業であることを伝えています。
【製造業】株式会社アマダ
金属加工機械メーカーの株式会社アマダは、採用コンセプトが明確な動画を制作しました。はじめの「私たちには、使命がある。」のメッセージにより、求職者の関心をひきつけ、求める人物像や企業の方向性を伝えています。
【美容業】美容室アン
美容室アンは、若手スタッフによる座談会系動画を制作しました。動画では就職を決めたきっかけや先輩との人間関係、自身の成長などを質問し、実際に働くスタッフの声を聞ける動画になっています。動画では笑顔も多く見られ、職場での温かい雰囲気も伝わるとともに、リアルな気持ちを語る場面もあり、入社後の姿をイメージできます。
美容室アン 採用動画(キャストインタビュー) 美容室 美容院 ヘアーサロン アン ann 堺市 岸和田市 貝塚市 泉佐野市 annie anco 鳳 深井 なかもず 三国ヶ丘 堺市美容室
仕事内容や働く様子を伝える採用動画
仕事内容や働く様子を伝える採用動画については、IT業から1社、美容業から2社紹介します。
【IT業】株式会社EgoDiva
コンテンツ事業を運営している株式会社EgoDivaでは、2名の社員の1日に密着し、働く様子を伝える動画を制作しました。寝起きから密着することにより、よりリアルな働く様子を伝えるとともに「がむしゃら」「大人になりたくない大人、求む」というインパクトのあるワードで、求める人物像も伝えています。
【美容業】株式会社コンヴァノ
ネイル事業を営む株式会社コンヴァノは、社員インタビュー動画を公開しています。中途採用の社員へのインタビューで入社した経緯や職場での人間関係を社員に聞くことにより、応募を迷っている求職者を後押しできる内容になっています。
#1株式会社コンヴァノ 社員インタビュー【ファストネイル・中途採用】
【美容業】y’s(ワイズ)美容室
y’s(ワイズ)美容室では、働く様子や仕事に対する想いを伝える動画を制作しました。業務中や勉強中の様子を映すとともに、スタッフのインタビューを入れることにより、入社後の姿が伝わる動画となっています。
採用動画を制作する際のポイント
採用動画を制作する際のポイントとして、以下の4つが挙げられます。
- 目的やターゲットを明確にする
- 自社の魅力を明確にする
- 活用方法を決める
- 求職者の興味を引く構成を考える
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
目的やターゲットを明確にする
採用動画を制作する際に、はじめに押さえておきたいポイントとして、目的やターゲットを明確にすることが挙げられます。「母集団を増やす」「認知率を上げる」「ミスマッチを減らす」など、目的が異なれば、コンテンツの内容やチャネルも異なります。そのため、何のために採用動画を作るのかを明確にすることが大切です。
目的が定まったら、ターゲットを明確にします。ターゲットには「新卒採用」「中途採用」のほかに「理念に共感してくれる人」「自社のことを知らない人」なども考えられます。「企業説明会用」「自社採用サイト用」など、用途によってもターゲットは変わるでしょう。
誰に向けて、何のために、採用動画を作るのかを明確にしたうえで、動画制作に取り組むことが大切です。
自社の魅力を明確にする
目的やターゲットを明確にしたら、自社の魅力を洗い出し、何を伝えるのかを決めます。採用動画では、競合と比べて優れている部分や自社独自の魅力を伝えることにより、求職者から興味を持ってもらえます。
給与や研修制度、評価制度のほかに、福利厚生や若手の抜擢、特別休暇なども魅力のひとつに挙げられるでしょう。自社の魅力をベネフィットとして示せば、自社で働いてもらうことを強く訴求できます。
しかし、競合と比べて優れている部分や自社独自の魅力が見つからないケースもあるかもしれません。その場合は、複数の特徴を提示するとよいでしょう。
例えば「給与が競合よりも少し高い」「休みが競合よりも少し多い」「研修制度がある」といった複数の特徴を組み合わせるだけでも、競合にはない魅力になります。
活用方法を決める
自社の魅力を明確にしたら、採用動画を公開するチャネルを決めます。自社採用サイトや動画プラットフォーム、SNS、会社説明会など、チャネルによってユーザー層が異なります。そのため、ターゲット層が多く集まるチャネルを調査したうえで、適したチャネルを選ぶことが大切です。
また、目的に合わせたチャネルを選ぶことも重要です。認知度を上げたいのにもかかわらず自社採用サイトを活用しても、そもそも自社採用サイトまでたどり着ける人がいないため、効果を得ることは難しいでしょう。
認知度を上げたいのであれば、SNSや動画プラットフォームのように、不特定多数のユーザーが集まるチャネルを選ぶ必要があります。自社の目的やターゲット層に適した活用方法を決めることがポイントです。
求職者の興味を引く構成を考える
動画を公開するチャネルを決めたら、コンテンツの構成を考えます。目的に合わせるとともに、求職者の視点に立った構成を作ることもポイントです。例えば、認知度を上げたいのであれば、求職者を惹きつけるインパクトのある演出をするとよいでしょう。
業務内容や職場の雰囲気を伝えたいのであれば、ドキュメンタリー動画がおすすめです。社員同士の関係性を見せたいのであれば、社員座談会系動画にするとよいでしょう。自社の目的と求職者の視点が合うような構成を考えることが大切です。
採用動画の費用相場
採用動画の制作を動画制作会社に依頼するのであれば、費用相場を知っておく必要があります。主な動画制作会社の費用は以下のとおりです。
動画制作会社 |
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動画制作会社によって得意分野や費用は異なります。自社のコンセプトや、求職者のニーズを理解してくれる会社を選ぶことが大切です。
まとめ
就職活動で採用動画を視聴したことがある人は70%と、採用動画は企業が求職者にアピールするメインコンテンツのひとつなってきました。採用動画を活用することにより、知名度向上や母集団の形成、採用ミスマッチの防止のほか、採用ブランディングも期待できます。
採用動画は、大きく分けると「社風や採用コンセプトを伝えるもの」「仕事内容や働く様子を伝えるもの」の2つがあります。また近年では、以下のような採用動画を制作する企業が増えてきました。
- インタラクティブ動画
- ドキュメンタリー動画
- 社員座談会系動画
- アニメーション系動画
採用動画を制作する際のポイントを押さえるとともに、自社のコンセプトや求職者のニーズを理解してくれる動画制作会社を選びましょう。
- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部