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【経営者向け】整体師の年収はいくらが適正?採用力・定着率を向上させる給与設定のコツを徹底解説

【経営者向け】整体師の年収はいくらが適正?採用力・定着率を向上させる給与設定のコツを徹底解説

  1. 整体師の平均年収はいくら?
    1. 整体師の平均年収
    2. 正規雇用の整体師における年収相場
    3. 非正規雇用の整体師における年収相場
    4. 整体師の年収を左右する要素
  2. 整体師の年収に対する満足度
  3. 整体師が理想とする年収
  4. スタッフの年収を上げるメリット
    1. スタッフのモチベーション維持・向上につながる
    2. 採用力・定着率を向上できる
    3. 優秀な人材を獲得できる
    4. 店舗の利益向上につながる
  5. スタッフの年収を上げるデメリット
    1. 人件費が高くなる
    2. 公平な評価制度を整備する手間がかかる
    3. 年収アップを目指せないスタッフの離職率増加が懸念される
  6. 採用力・定着率を高める年収設定のコツ
    1. インセンティブだけでなく基本給を上げる
    2. 年収だけでなく福利厚生を充実させる
    3. 昇給制度やスキルアップ制度を充実させる
    4. 売上に直結しないポイントも評価対象にする
  7. 評価するべき整体師のスキル・資格
    1. 国際ホリスティックセラピー協会認定整体師
    2. 整体セラピスト
    3. ゆがみ矯正インストラクター
    4. リラクゼーションセラピスト
    5. 東日本療術師協会認定療術師
    6. 認定整体師資格
    7. 柔道整復師
    8. あん摩マッサージ指圧師
  8. スタッフの年収を設定する際の注意点
    1. 求人票にはリアルな年収目安を記載する
    2. 人件費率40%程度に抑える
    3. 給与ダウンは難しいので基本給は慎重に設定する
    4. スキルに見合った年収設定のために試用期間を設ける

整体師を雇う際に、給与および年収をいくらに設定するべきか悩んでいる経営者もいるのではないでしょうか。

サロン経営で整体師を雇用する場合、優秀な人材を獲得できる待遇を用意する必要があります。ただし、人件費を上げすぎると利益が減少してしまうため、スタッフの年収は慎重に設定しなければなりません。反対に給与を下げ過ぎると応募率・定着率が低下し、店舗運営に必要な整体師を確保できないため、適正年収を把握しておくことが大切です。

本記事では、整体師の年収をいくらに設定するべきか、経営者向けに詳しく解説します。整体師が希望する年収目安から、年収を上げるメリットとデメリットまで網羅的に解説するので、ぜひ最後までご覧ください。

整体師の平均年収はいくら?

整体師を雇う際には、スタッフが納得できる待遇を用意する必要があります。整体師の雇用を検討している経営者は、下記のポイントを押さえてスタッフの年収を設定しましょう。

  • 整体師の平均年収
  • 正規雇用の整体師における年収相場
  • 非正規雇用の整体師における年収相場
  • 整体師の年収を左右する要素
  • 整体師の年収に対する満足度

市場の平均年収を知っておけば、整体師を雇う際の適正年収を理解したうえで、募集要項を作成できます。優秀な人材からの応募率を増やすために、競合他社より選ばれる年収を設定しましょう。

整体師の平均年収

厚生労働省の2023年度賃金構造基本統計調査によると、整体師を含む「その他の保健医療従事者」の平均給与額は、下記のとおりです。

企業規模

全体(10人以上)

1,000人以上

100~999人

10~99人

きまって支給する現金給与額

31万8,500円

34万7,200円

31万3,400円

29万4,800円

所定内給与額

29万4,400円

31万7,000円

29万800円

27万4,800円

年間賞与その他特別給与額

77万6,000円

90万4,100円

82万2,600円

53万8,600円

時間外手当や深夜勤務手当などを差し引いた所定内給与額の平均が29万4,400円、基本給に各種手当を含み、所得税や社会保険料を控除する前の総支給額の平均が31万8,500円です。

上記の平均額をもとに、おおよその平均年収を算出しました。

企業規模

全体(10人以上)

1,000人以上

100~999人

10~99人

平均年収(手取り)

367万8,400円

405万6,400円

366万6,720円

326万960円

平均年収(総支給額)

459万8,000円

507万500円

458万3,400円

407万6,200円

整体師の平均年収は、総支給額で約460万円、手取りで約370万円が相場です。なお、各種税金の控除額は年収や扶養家族の有無によって異なるため、上記はあくまで目安です。

企業規模によっても、平均年収が異なる傾向にあるので、自身が経営する店舗の規模に応じた待遇を設定しましょう。

正規雇用の整体師における年収相場

2025年5月時点のリジョブで掲載されている、整体師の正規雇用求人を検索すると「月給20万〜50万円」の募集要項が多いです。

数多くの求人が掲載されているため、なかには50万円や60万円・100万円の高月給で募集されているケースもあります。しかし、多くの場合はインセンティブ込みの金額なので、最低月給としては「20万〜30万円」が一般的です。

下記は2025年5月現在、リジョブに掲載されている正規雇用の整体師求人から抜粋しました。

▼正規雇用の整体師年収例

1_整体師の正規雇用給与例1

2_整体師の正規雇用給与例2

正規雇用の整体師は、1年目で300万円前後、店長クラスで500万円ほどが平均年収の目安です。

非正規雇用の整体師における年収相場

非正規雇用の整体師は、アルバイトであれば地域の最低賃金、業務委託の場合は完全歩合の給与設定が一般的です。下記は2025年5月現在、リジョブに掲載されている非正規雇用の整体師求人から抜粋しました。

▼業務委託の整体師年収例

3_業務委託の整体師給与例

▼アルバイトの整体師年収例

4_アルバイトの整体師給与例

業務委託で指名が多い整体師の場合、年収1,000万円を目指すことも夢ではありません。アルバイトの場合は、年収100~200万円台が多く、一般的な非正規雇用と同程度の給与水準です。

整体師の年収を左右する要素

整体師は雇われのスタッフであっても、個人事業主のような成績に年収が左右される点が特徴です。主に下記のような要素で、整体師の年収が決まります。

  • 基本給
  • 時間外勤務手当
  • インセンティブ
  • 資格手当
  • 店長手当

指名の多い整体師はインセンティブで稼ぎ、店長やマネージャーなど役職がつくと手当と昇給によって年収アップを目指せます。

整体師の年収に対する満足度

リジョブが治療業界従事者に実施した「給与に関するレポート」によると、約6割の方が「現在の給与に対して不満がある」と回答しました。

▼給与への満足度

5_給与に対する満足度

なお、約4割の方は「現在の給与に満足している」と回答しており、満足している理由を調査すると、下記のようなものが多かったです。

▼給与に満足している理由

6_給与に満足している理由

対して、給与に不満な理由を調査すると、労働時間や責任・ポジションに見合わない、求める生活水準に達していない、成果が反映されていないなどが多く挙げられました。

7_給与に不満な理由

過半数の方が、現在の給与に不満があるため、スタッフの年収を上げる施策が求められます。

整体師が理想とする年収

リジョブが治療業界従事者に実施した「給与に関するレポート」で、整体師を含む治療業界の方が求める理想の月収が判明しました。

▼理想の月給

8_理想の月給

もっとも多い月給が21万~25万円、次に16万~20万円、26万~30万円と20万円台の月給を求めるスタッフが多い傾向にありました。ただし、上記の調査では時短勤務や業務委託・パートタイムなどの非正規雇用も含まれており、正規雇用だけに絞ると理想の月給は上がる見込みです。

スタッフのスキルや経歴に応じて年収を設定し、満足する給与待遇を整えましょう。

スタッフの年収を上げるメリット

近年は賃上げが推奨されており、アルバイトやパートタイムの最低賃金も高まっています。整体師の年収設定について悩んでいる経営者は、スタッフの年収を上げるメリットを確認しておきましょう。

  • スタッフのモチベーション維持・向上につながる
  • 採用力・定着率を向上できる
  • 優秀な人材を獲得できる
  • 店舗の利益向上につながる

スタッフの年収を上げれば、採用力や定着率だけでなく店舗の利益向上にもつながります。それぞれのメリットを確認して、平均年収より高めの給与待遇を整えるべきか検討しましょう。

スタッフのモチベーション維持・向上につながる

給与待遇は、働くスタッフにとってモチベーションと密接に関わる重要な要素です。業務量が多くストレス過多の仕事でも、給与が高いと耐えられるケースも珍しくありません。

厚生労働省が公表した「賃金引上げによる経済等への効果」によると、賃上げによって企業が下記のような効果を実感していました。

▼賃上げで企業が実感する効果

9_賃上げで企業が実感する効果

年収を上げるとスタッフのモチベーションが高まり、離職率も低下する効果が期待できます。スタッフにとって給与は、労働の対価となる成果なので、年収が高い職場で働きたいものです。

スタッフのモチベーションが高まれば、労働生産性も向上するため、生産性アップの効果も期待できます。

採用力・定着率を向上できる

スタッフが勤務先を選ぶ基準として、年収が重要視される傾向にあります。厚生労働省が公表した資料によると、現在の勤務先を選んだ理由として下記のようなものが多かったです。

▼男女別・雇用形態別の現在の勤め先を選んだ理由

10_男女別・雇用形態別の勤務先を選んだ理由

労働条件や収入面を重視して勤務先を選ぶスタッフが多く、年収で店舗を選ぶ整体師も少なくありません。また、同資料によると前職を辞めた理由に、労働条件や収入面での不満が多く挙げられました。

▼男女別・雇用形態別の前の勤め先を辞めた理由

11_男女別・雇用形態別の前職を辞めた理由

そのため、年収が低いと離職率が高まる傾向にあり、年収が高いと採用力・定着率が向上する可能性が高いです。高額な採用費・教育費を無駄にしないためにも、スタッフの年収を上げて採用力・定着率を向上させましょう。

優秀な人材を獲得できる

現在は少子高齢化の影響に伴い労働人口が減少しており、採用市場が激化しています。各業界で人材不足が課題となっており、特に優秀な人材となれば各社で獲得競争が繰り広げられます。

厚生労働省が公表した「人口減少社会への対応と人手不足の下での企業の人材確保に向けて」によると、2020年には7,509万人いた労働人口が2040年に6,213万人、2070年には4,535万人まで減少する推移です。

▼国内の年齢別人口減少推移

12_人口減少社会の推移

労働人口が減少し続ける日本社会において、採用力・定着率を高める施策は極めて重要です。スタッフの年収を上げると、採用力・定着率が向上するため、労働人口減少社会に対応できます。

さらに、優秀な人材を獲得すれば、サービスの質を高めて顧客満足度向上につながります。競合他社より優秀な人材を一人でも多く獲得するために、スタッフの年収を上げましょう。

店舗の利益向上につながる

離職率が高いと高額な採用費・育成費が無駄になり、企業にとっての損失が増えます。就職みらい研究所が実施した調査によると、スタッフ一人を採用するためにかかる平均採用コストは下記のとおりです。

採用枠

一人あたりの採用コスト

新卒採用

93.6万円

中途採用

103.3万円

さらに、産労総合研究所が実施した「教育研修費用の実態調査」によると、スタッフ一人あたりの教育コストは約3.5万円であり、採用から育成までにコストと労力が膨大にかかります。

▼スタッフ1人あたりの教育研修費用の推移

13_従業員1人あたりの研修費

また、人材不足やスキル不足の店舗は顧客満足度が下がり、売上が低下するリスクが高いです。採用力・定着率を高めて、スタッフがモチベーション高く働ける待遇を整えれば、質の高いサービス提供で顧客満足度を高められます。

さらに、採用・育成にかけるコストを最小限に抑えられるので、実質的な店舗の利益を向上できます。

スタッフの年収を上げるデメリット

スタッフの年収を上げるメリットに惹かれて、安易に給与待遇を改善すると後悔する可能性があります。年収を見直す前に、下記のデメリットを確認しておきましょう。

  • 人件費が高くなる
  • 公平な評価制度を整備する手間がかかる
  • 年収アップを目指せないスタッフの離職率増加が懸念される

年収を上げる際は、デメリットを理解したうえで自社に無理のない範囲で給与基準を決める必要があります。

人件費が高くなる

スタッフの年収を上げると、人件費が高くなるため店舗の利益が減少します。サロン経営では、売上高に対する人件費の割合は40%程度が目安で、基準より高くすると店舗運営が赤字化するリスクがあるのです。

サロンの固定費は、人件費が大部分を占めており、年収を高く設定すると利益が大幅に下がる可能性があります。年収を上げる際は、売上高に対する人件費の割合を40%程度に抑えて、自店舗の収益に応じた賃上げを行いましょう。

公平な評価制度を整備する手間がかかる

整体師の年収を上げる際は、基本給アップだけでなくインセンティブ制度や各種手当を充実させる方法が効果的です。整体師の年収は、インセンティブや手当に大きく左右されるので、給与待遇を改善するには公平な評価制度を整える必要があります。

しかし、インセンティブ制度を導入・強化する場合、スタッフの成果を適切に評価し、公平にチャンスを与える制度を整えなければなりません。スタッフ一人ひとりの努力や成果を公平に評価する制度を構築するには手間がかかり、経営者の負担が増えます。

さらに、スタッフ間で年収に差があると不平等だと不満が募るリスクがあるため、極端に成果主義の賃金システムを採用してはなりません。インセンティブ制度や昇給制度を導入・強化する際は、公平な評価制度とスタッフ間の賃金差で不満が生じない仕組みづくりが求められます。

年収アップを目指せないスタッフの離職率増加が懸念される

インセンティブ制度や昇給制度を強化すれば、スタッフが高収入を目指して、モチベーションと生産性の向上が期待できます。

ただし、技術面が未成熟なスタッフや、勤務時間に制約のあるスタッフにとって、成果主義の賃金システムではモチベーションを上げにくいです。そのため、時短勤務やパートタイム勤務、就職したての新人スタッフにとって、売上ごとに給与待遇が変わるインセンティブ制度は稼ぎにくい傾向にあります。

スタッフの定着率を向上する目的で賃金システムを見直しても、稼げないスタッフのモチベーションは上がりません。さらに、他スタッフと年収で差が生じる不満から、離職率が高まるリスクもあります。

年収アップを目指せないスタッフからすると、インセンティブや昇給制度を強化するより、基本給アップが望ましいです。その結果、年収アップを目指せないスタッフは、他職種や多店舗に転職するリスクが高いです。

採用力・定着率を高める年収設定のコツ

スタッフの年収を高めると、採用力・定着率向上につながります。しかし、極端に年収を上げてしまうと、企業の利益が減少し、スタッフ間で賃金格差が生じてしまいます。

採用力・定着率を高めたい場合は、下記のコツを押さえておきましょう。

  • インセンティブだけでなく基本給を上げる
  • 年収だけでなく福利厚生を充実させる
  • 昇給制度やスキルアップ制度を充実させる
  • 売上に直結しないポイントも評価対象にする

それぞれのコツを押さえたうえで、無理のない年収を設定してください。

インセンティブだけでなく基本給を上げる

インセンティブや昇給制度を強化するだけの年収アップは、優秀なスタッフしか喜びません。技術が不足していたり勤務時間に制限があったりするスタッフにとって、インセンティブの強化は賃金格差を広げるだけです。

スタッフが一律で年収アップによってモチベーションを高めるには、インセンティブだけでなく基本給を上げることが大切です。基本給が高ければ、リピート客がまだついていない新人スタッフや時短勤務のスタッフでも、年収アップの恩恵を受けられます。

また、インセンティブが強化されると「稼ぐために成果を上げなければ」とプレッシャーを感じ、本来の能力を発揮できない可能性があります。

求人票でも「基本給18万円+インセンティブで月給40万円」より「基本給26万円+インセンティブで月給40万円」のほうが、働くスタッフにとってプレッシャーが少ないです。求人票に掲載する年収目安が高いと、求職者からの応募率アップを期待できるでしょう。

働くスタッフがインセンティブで稼げない場合の補償の意味でも基本給を上げることが、採用力・定着率を高めるコツです。

年収だけでなく福利厚生を充実させる

給与待遇を改善すれば採用力・定着率向上につながりますが、固定費が上がってしまうので利益が減少してしまいます。採用力・定着率を向上させる施策として、給与待遇を改善するだけでなく、福利厚生を充実させる方法も効果的です。

就職みらい研究所が実施した「就職プロセス調査(2025年卒)」によると、「自らの成長が期待できる」「福利厚生や手当が充実している」企業が求職者に選ばれやすいです。

▼就職先を確定する決め手となった項目

14_就職先を選ぶ基準となった項目

働くスタッフにとって魅力的な福利厚生を提示すれば、高年収を設定しなくても採用力・定着率を向上させられます。スタッフがどのような福利厚生を求めているか、現職のスタッフにヒアリングやアンケートを実施し、満足度の高い制度を導入しましょう。

昇給制度やスキルアップ制度を充実させる

スタッフにとって、昇給やスキルアップの見込みがない組織で働き続けるのは、モチベーションが上がりません。企業は昇給制度やスキルアップ制度を疎かにしていると、スタッフの離職につながるので、長く働き続けたいと思える体制を整えましょう。

具体的には、昇給やスキルアップの制度を充実させて「この組織で働くメリット」を提示することが大切です。マイナビが実施した「転職動向調査2024年版」によると、離職理由として給与や人間関係・企業の将来性に対する不満が多く挙げられました。

▼離職理由

15_離職理由

対して、転職先を決める理由としては、給与やライフワークバランス・勤務地の他に、キャリア・スキルアップの可能性が上位にランクインしています。

▼転職先の決定理由

16_就職先の決定理由

基本給を高く設定すると利益に直接影響を及ぼしますが、昇給制度やスキルアップ制度はスタッフの能力向上・生産性向上・顧客満足度向上にもつながるので、企業にとってもメリットが大きいです。

売上に直結しないポイントも評価対象にする

インセンティブの評価対象を売上や指名数だけに限定すると、新人スタッフや勤務時間が限られているスタッフのモチベーションを上げにくいです。そのため、直接的に売上に直結しないスタッフの努力や長所を評価すれば、定着率を向上させられます。

例えば、顧客からのリピート率やスタッフの育成指導・資格取得・皆勤賞などに手当やインセンティブ制度を反映させられないか検討してください。資格取得や皆勤賞は、スタッフのスキルアップや休職・遅刻防止にもつながり、生産性を向上させられる評価項目です。

スタッフのモチベーションを向上させれば、生産性向上により売上増加にもつながります。売上に直結しないポイントでも、インセンティブの評価対象にすれば、結果的に売上を増加させる効果が期待できるので経営面でメリットがあります。

評価するべき整体師のスキル・資格

整体師は国家資格がなく、働く上で必要な資格はありません。ただ、資格手当を支給している企業も多いため、スタッフの給与待遇を決める際の参考として、有資格者にいくら程度の手当を与えるべきか検討しましょう。

具体的には、下記のようなスキル・資格を持つ整体師は、資格手当など年収アップのチャンスを設けてください。

  • 国際ホリスティックセラピー協会認定整体師
  • 整体セラピスト
  • ゆがみ矯正インストラクター
  • リラクゼーションセラピスト
  • 東日本療術師協会認定療術師
  • 認定整体師資格
  • 柔道整復師
  • あん摩マッサージ指圧師

スキルが高い整体師は顧客満足度が高く、売上を増加させる効果を期待できます。それぞれのスキル・資格を有する人材を獲得するために、資格手当やスキルアップ支援を充実させましょう。

国際ホリスティックセラピー協会認定整体師

国際ホリスティックセラピー協会(IHTA)認定整体師は、民間資格の中でも信頼性が高く、整体技術や知識の基礎を網羅しています。

IHTAはセラピスト養成スクールと連携しており、認定者は解剖学や東洋医学の基礎・姿勢分析・ボディケア手技などを学んでいます。そのため、下記のIHTA認定資格を持つ整体師は、顧客へ安全かつ効果的な施術を実施し、店舗のサービス品質を向上させられるのです。

17_IHTA認定資格(整体)

給与面での優遇や資格手当を設定すれば、スキルを持つスタッフの離職防止にもつながります。

整体セラピスト

整体セラピストは、NPO法人日本セラピスト認定協会が認定する整体師向けの資格です。実践的な手技療法に特化したスキルを有すること証明であり、資格取得には実務検定や管理者経験が受験資格として求められます。

18_整体セラピスト受験資格

民間団体によって認定される資格ですが、3級免許であってもカリキュラムで顧客対応やカウンセリングスキルまで習得しており、現場で即戦力となる点が魅力です。施術レベルが一定水準以上と見なせるため、資格手当や昇給条件に反映する価値があります。

ゆがみ矯正インストラクター

ゆがみ矯正インストラクターは、日本インストラクター技術協会が認定する、骨盤・背骨・関節などの歪みにアプローチする専門資格です。

姿勢の悪さや体のバランス崩れから生じる慢性的な痛みや不調に対して、的確な施術とアドバイスを行える能力が評価されます。体の歪みは多くの来院者が抱える課題であるため、ゆがみ矯正インストラクター資格を持つスタッフは、顧客満足度を向上させる働きが期待できます。

また、指導者として他スタッフへの技術教育も行えるため、社内教育体制を強化する目的で、役職手当やインストラクター手当の設定対象に適しています。

リラクゼーションセラピスト

リラクゼーションセラピストは、リラクゼーション分野における幅広い知識と技術を有することを証明する資格です。具体的には、リラクゼーションセラピストとして必要な下記の知識を習得し、知識量と理解度によって認定資格2級・1級を認定します。

  • リラクゼーション業
  • 業界の知識
  • 関連する法律の知識
  • 人の身体を触るうえでの身体・衛生・安全性の知識
  • セラピストとしての接客術
  • 店内の環境知識

整体師としてのスキルだけでなく、関連する法律の知識や接客術・店内環境の整え方など、店舗運営に必要な知識を備えています。リラクゼーションに特化したサービス提供力を強化し、女性顧客やリピーター獲得につながる資格です。

顧客単価を向上させられるスキル・知識が期待できるので、資格手当の付与でスタッフのスキル向上が促進できます。

東日本療術師協会認定療術師

東日本療術師協会認定の療術師は、体の自然治癒力を高めることを目的に、東洋医学や手技療法の知識・技術を身につけた施術者です。療術は、整体とマッサージ・カイロプラクティック・気功などを含む代替医療の要素を持ち、幅広い顧客ニーズに対応できます。

療術師資格を持つスタッフは、顧客の体調や体質に合わせた個別対応ができ、リピート率を向上させられます。資格手当や役職登用の条件として設定すれば、高度な技術力を持つ人材の確保・定着が期待できるのです。

認定整体師資格

認定整体師資格は、日本整体セラピスト認定協会が認定する、民間資格の中でもベーシックなタイプです。一定の施術知識と接客対応のスキルが身についている証明になり、多くのスクールで座学と実技を伴うカリキュラムが組まれています。

そのため、資格保有者は基礎的な解剖学や生理学・施術マナーまで幅広く習得しており、店舗において即戦力として採用しやすいです。即戦力の整体師を獲得するためにも、認定整体師資格保有者には資格手当を設定しましょう。

柔道整復師

柔道整復師は国家資格であり、整体師として働くうえで役に立つ、医療系の知識や施術スキルを習得できます。接骨院や整骨院で勤務できる専門職であり、骨折・脱臼・捻挫・打撲などのケガへ対応できる資格です。

整体院で働く場合でも、柔道整復師の資格を持つスタッフは、正確な判断力や施術理論にもとづいた対応ができるため、顧客からの信頼度が高まります。高い専門性と安全性を備えているため、資格手当を支給することで他スタッフとの待遇差をつけやすい資格です。

あん摩マッサージ指圧師

あん摩マッサージ指圧師も国家資格であり、厚生労働大臣の認可を受けた療法を提供できる専門職です。筋肉のこりをほぐす、血行を促進するなどの効果が科学的にも裏付けられており、リラクゼーションだけでなく、治療的な施術を提供できます。

整体業界では「無資格者との差別化」「信頼性の担保」として極めて高い評価を得ており、整体院における差別化が図れます。あん摩マッサージ指圧師資格を保有する人材には、積極的に資格手当や役職を設定し、組織全体の技術レベルアップを目指しましょう。

スタッフの年収を設定する際の注意点

スタッフの年収を設定する際は、下記のポイントに注意しましょう。

  • 求人票にはリアルな年収目安を記載する
  • 人件費率40%程度に抑える
  • 給与ダウンは難しいので基本給は慎重に設定する
  • スキルに見合った年収設定のために試用期間を設ける

年収が低すぎると離職率の増加につながり、高すぎると店舗の利益が減少するため、適切な給与設定が必要です。スタッフの年収を設定する際の注意点を確認して、無理のない範囲で年収を上げましょう。

求人票にはリアルな年収目安を記載する

あまりに高額すぎる参考年収を記載しておくと、入社後のギャップにより離職に至るリスクがあります。人材募集をかける際に、応募率を上げたいがために実現できない年収目安を記載しないよう注意してください。

実際に働いているスタッフの年収を参考に「入社何年目:月収〇円・年収〇円」など、さまざまな人材を想定した年収目安を記載しましょう。

人件費率40%程度に抑える

人件費率には、給与・社会保険料・育成コスト・福利厚生費など、スタッフを雇用するためにかかる費用が含まれます。整骨院は、人件費率40%前後が目安なので、経営を破綻させないためにも売上に対する人件費の割合を意識しましょう。

例えば、店舗の売上が350万円の場合は、人件費率を140万円以内に抑えると、無理なく給与待遇を改善できます。

給与ダウンは難しいので基本給は慎重に設定する

一度設定した基本給は、労働契約上の権利として守られるため、業績が悪化したりスタッフのパフォーマンスが期待に達していなかった場合でも、簡単には減額できません。

(就業規則による労働契約の内容の変更)

使用者は、スタッフと合意することなく、就業規則を変更することにより、スタッフの不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。

引用:労働契約法 第九条|e-Gov 法令検索

減給には正当な理由と本人の同意、もしくは就業規則に基づく厳格な手続きが必要です。適切に手続きをふまない場合は、トラブルに発展する可能性があるため、初期の基本給は慎重に設定しましょう。

スキルや業務遂行能力を明確に確認できるまでは、使用期間などを設けて、業績や成長に応じて段階的に昇給させる契約がおすすめです。給与の見直しは「上げる」より「下げる」ほうが難易度が高いため、年収は慎重に設定しましょう。

スキルに見合った年収設定のために試用期間を設ける

スタッフのスキルや適性を正確に判断するには、採用前の履歴書や面接だけでは限界があります。そのため、試用期間を設けて、技術力や接客力・勤怠状況などを見極めることが大切です。

試用期間中は、基本給を本採用時よりも低めに設定することで、人件費の負担を抑えながらスタッフの実力を把握できます。試用期間終了時には、フィードバック面談を実施し、スキルや貢献度に応じた給与設定を行えば、スタッフの納得感も高まり離職を防止できます。

独立行政法人労働政策研究・研修機構が実施した「従業員の採用と退職に関する実態調査」によると、86.9%の企業がスタッフを採用する際に試用期間を設けていました。正規雇用のスタッフに設ける具体的な試用期間としては、新卒・中途ともに3カ月程度がもっとも多いです。

▼正規雇用の試用期間

19_正規雇用の試用期間の長さ

整体師のスキルや対応力によって、売上が大きく変わるため、試用期間を設けて人件費の適正化と育成プランを策定することが大切です。

まとめ

整体師の平均年収は新人で300万円ほど、店長クラスでは500万円ほどと役職や成績によって変動します。顧客から指名の多い場合は、インセンティブで稼げるケースが多く、業務委託で年収1,000万円を目指すことも可能です。

そのため、サロン経営者は整体師を雇う際の基本給・インセンティブの評価対象を慎重に決める必要があります。一度、決定した給与は簡単に減額できないので、まずは試用期間を設けて、整体師のスキルや適性をチェックしましょう。

整体師の年収を決めるうえで大切なポイントは、下記のとおりです。

  • 競合他社より低い年収設定では、応募率・定着率を増やせない
  • 高年収やスキルアップ制度が充実している企業は定着率が高い
  • 年収アップによってスタッフのモチベーションが上がれば、顧客満足度・生産性向上につながる
  • 有資格者や経験者は手当の支給や高待遇を検討する
  • 人件費率は40%程度に抑える
  • 採用後は試用期間を設ける

優秀な人材を獲得して、店舗の売上を増加させるために、スタッフが長く働きたくなる環境を整えましょう。

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執筆者情報
山藤 寛司(Santo Hiroshi)
パティシエを経て、人材会社でBtoB法人営業兼人材コーディネーターとして勤務した後に、Webライターとして独立。美容業を含むさまざまな業界で、人材不足の解消をサポートしたり、面接対策や人材募集のノウハウを伝えたりして店舗運営を支える。Bizリジョブでは、悩みや人材募集・育成に関する専門職ならではのノウハウを活かして、課題解消に貢献できるよう実践的な情報を発信する。