美容・ヘルスケア業界
経営者・採用担当者のためのメディア
離職率とは?定着率との違い・計算方法・改善策を解説サムネイル画像

離職率とは?定着率との違い・計算方法・改善策を解説

  1. 離職率とは?基本の定義と定着率との違い
    1. 離職率の定義とは?
    2. 離職率の計算方法
    3. 定着率とは?離職率との違い
  2. 離職率・定着率を見る前に決めるべき集計条件
    1. 算定期間をそろえる
    2. 対象者をそろえる
    3. 自社の離職率を比較するときの注意点
  3. 日本における離職率の現状
    1. 雇用動向調査から見る全体の傾向
    2. 産業別に見た離職率の傾向
    3. 新卒者の3年以内離職率の傾向
    4. なぜ離職率・定着率が注目されているのか
  4. 離職率が高い企業に見られる主な特徴
    1. 労働時間・休暇取得に課題がある
    2. 評価・給与・キャリア形成に不満が出やすい
    3. 人間関係やハラスメントの問題がある
    4. 育成・研修・マネジメント体制が整っていない
    5. 働き方の柔軟性が低い
  5. スタッフが退職する理由を把握する方法
    1. 退職理由には本音と建前がある
    2. 退職者ヒアリング・面談で確認する
    3. 在職者の不満を早めに把握する
  6. 離職率を下げ、定着率を高めるための改善策
    1. 労働環境を改善する
    2. コミュニケーションを活性化する
    3. 育成・研修制度を見直す
    4. 評価制度・キャリア支援を整える
    5. 福利厚生や働き方の柔軟性を見直す
    6. 定期面談を仕組み化する
  7. 離職率・定着率改善を採用活動に活かすポイント
    1. 採用時のミスマッチを減らす
    2. 定着を前提に採用条件・職場情報を見直す
    3. 採用後の育成・定着まで見据えて採用手法を選ぶ

離職率は、従業員がどれくらい退職しているかを示すだけでなく、職場環境や採用・育成の課題を把握するための重要な指標です。

ただ、計算方法や定着率との違い、平均値との比較方法が分からず、自社の状況を正しく判断できない方も多いのではないでしょうか。

本記事では、離職率の定義や計算方法、定着率との違い、日本全体・産業別の傾向、離職率が高い企業の特徴、定着率を高める改善策を解説します。自社の課題を整理し、採用や職場改善に活かすための参考にしてください。

離職率とは?基本の定義と定着率との違い

離職率とは、一定期間に退職した従業員の割合を示す指標です。働きやすい職場を作れているか、人材が定着しているかを確認するうえで重要な数字といえます。

ただし、離職率は単なる退職者数の確認ではありません。採用しても人が辞める、人材が育たない、採用コストが増えるといった経営課題を見つけるための指標でもあります。

また、離職率とあわせて見たいのが定着率です。離職率が「辞めた人」を見る指標であるのに対し、定着率は「働き続けている人」を見る指標です。両方を確認することで、自社の採用・育成・定着のどこに課題があるのかを整理しやすくなります。

離職率の定義とは?

離職率とは、一定の期間で退職した従業員数の割合のことです。たとえば、1年間でどれくらいの従業員が退職したのか、入社後3年以内にどれくらいの人が離職したのかを確認する際に使われます。

厚生労働省の 令和6年 雇用動向調査結果の概要|主な用語の定義 では、離職者を、常用労働者のうち調査期間中に退職または解雇された者として整理しています。また、入(離)職率は常用労働者数に対する入職者数・離職者数の割合として定義されています。

一方で、企業が自社管理に使う場合は、どの期間・どの対象者で見るかをそろえる必要があります。月単位、年度単位、入社後3年以内など、目的によって見る期間は変わるためです。

また、離職率が高いからといって、必ずしも悪い職場とは限りません。定年退職者が多い時期や、事業拡大期で採用人数そのものが増えている場合、短期雇用が多い業態では、数字が高く出ることもあります。

重要なのは、離職率の高さだけで判断しないことです。誰が、いつ、どのような理由で退職しているのかを確認し、職場改善が必要な状態なのかを見極めることが大切です。

離職率の計算方法

離職率の基本的な計算式は、次のとおりです。

離職率=離職者数÷(対象期間の)在職者数×100

期間は1年か3年、対象範囲は新卒もしくは全従業員とすることが一般的です。

たとえば、期間は3年間、全従業員が100名いる企業で10人の退職者が出ている場合の離職率の求め方は以下の通りです。

離職者数:10人 ÷ 全従業員数:100人×100=0.1

0.1×100=10

→離職率は10%

厚生労働省の公的統計では、1月1日現在の常用労働者数を分母として、入職者数・離職者数の割合を算出しています。一方、企業実務では、期初から期末までを対象期間として見るケースもあります。たとえば4月始まりの会社であれば、4月から翌年3月までを1期間として集計する考え方です。

ただし、離職率は分母と対象者の決め方によって数値の意味が変わります。全従業員で見るのか、新卒入社者だけで見るのか、正社員とパートを分けるのかによって、読み取れる課題は異なります。

この章では基本式の理解にとどめますが、実際に自社で集計する際は、期間や対象者をそろえることが重要です。具体的な算出手順や計算時の注意点は、 離職率の計算方法 を確認すると整理しやすくなります。

定着率とは?離職率との違い

定着率とは、入社後から一定期間働き続けている従業員の割合を示す指標です。離職率が「一定期間で退職した人」を見るのに対し、定着率は「一定期間後も働き続けている人」を見る指標といえます。

基本的な計算式は、次のとおりです。

定着率=現在の従業員数÷入社時の従業員数×100

たとえば、期間を3年、入社時に10名、現在の従業員数が7名の定着率を求める場合、以下のように計算します。

現在の従業員数:7名÷入社時の従業員数:10名×100=0.7

0.7×100=70

→定着率は70%

離職率は、退職がどれくらい発生しているかを把握するための指標です。一方で、定着率は、人材が職場に残り、育ち、継続して活躍できているかを見るための指標です。

厚生労働省の 人材確保対策 でも、魅力ある職場づくりによって採用と定着を向上させることが重要だとされています。採用した人材が長く働ける職場を整えることは、人手不足への対策としても欠かせません。

特に店舗運営では、スタッフが定着しないと採用活動や教育を何度も繰り返すことになり、時間やコストが増えます。既存スタッフの負担が増えたり、サービス品質が安定しにくくなったりする可能性もあります。

定着率の考え方や重要性を整理したい場合は、 定着率の基本 を確認すると、離職率との違いを把握しやすくなります。また、実際に数値を出す際は、 定着率の計算方法 をあわせて確認すると、算出方法や見るべきポイントを整理できます。

離職率・定着率を見る前に決めるべき集計条件

離職率や定着率は、計算式だけでなく「どの条件で集計するか」によって意味が変わります。期間や対象者が毎回異なると、数値が上がったのか下がったのかを正しく判断できません。

まず決めるべきなのは、主に次の条件です。

  • 算定期間
  • 対象者
  • 雇用形態
  • 採用区分
  • 比較する基準

決める項目

注意点

算定期間

年度、暦年、入社後1年、入社後3年

比較する期間を毎回そろえる

対象者

全従業員、新卒、中途、特定店舗

分析目的に合わせて対象を決める

雇用形態

正社員、パート、アルバイト

雇用形態を混ぜると原因が見えにくくなる

採用区分

新卒採用、中途採用

採用施策ごとの課題を見やすくする

比較基準

前年、自社平均、業界平均

条件が近いデータと比較する

とくに、正社員とパート、新卒と中途を混ぜて集計すると、離職率が高く見えても原因を特定しにくくなります。まずは何を確認したいのかを決め、その目的に合わせて集計条件をそろえることが大切です。

たとえば、全従業員の年間離職率と、新卒入社者の3年以内離職率をそのまま比べても、見ている対象が違うため正確な判断はできません。自社の課題を把握するには、目的に合わせて集計条件をそろえることが重要です。

算定期間をそろえる

離職率・定着率を見るときは、まず算定期間をそろえる必要があります。離職率を求める期間に一律の決まりがあるわけではなく、年度、暦年、入社後1年、入社後3年など、目的によって見る期間は変わります。

たとえば、全社の年間傾向を見たい場合は、1年間の離職者数をもとに集計する方法があります。4月始まりの会社であれば、4月から翌年3月までの期初〜期末で見ると、社内の年度管理と合わせやすくなります。

一方で、新卒採用の定着状況を見たい場合は、入社後1年以内や3年以内など、入社からの経過年数で見る方が実態を把握しやすくなります。公的統計でも、調査の目的に応じて対象期間は異なります。厚生労働省の 令和6年 雇用動向調査結果の概要|主な用語の定義 では、令和6年1月から12月までの1年間を調査対象期間としています。

重要なのは、「1年で見るのが正しい」と決めつけることではありません。前年と比べたいのか、入社後の早期離職を見たいのか、採用施策の効果を見たいのかによって、使う期間をそろえることが大切です。

算定期間をそろえずに比較すると、実際には改善しているのに悪化して見えたり、逆に問題があるのに見落としたりする可能性があります。具体的な計算時の注意点は、 離職率の計算方法 を確認すると整理しやすくなります。

対象者をそろえる

離職率や定着率は、誰を対象にするかによって数値が変わります。全従業員で見るのか、新卒入社者だけで見るのか、中途入社者だけで見るのかを決めずに集計すると、数字の意味が曖昧になります。

たとえば、全従業員の離職率が高い場合でも、実際にはパートタイム従業員の入れ替わりが多いだけかもしれません。反対に、全体の離職率は低く見えていても、新卒入社者や入社1年未満の従業員だけを見ると早期離職が目立つケースもあります。

厚生労働省の資料でも、常用労働者、一般労働者、パートタイム労働者などの区分が示されています。自社で分析する場合も、正社員とパート、フルタイムと短時間勤務、新卒と中途などを分けて見ることで、どこに課題があるのかを把握しやすくなります。

既存記事では、中途入社を除外することが多いと説明していましたが、実務上は「除外するかどうか」よりも、分析目的に応じて扱いを統一することが重要です。新卒採用の定着を見たいなら新卒に絞り、中途採用のミスマッチを見たいなら中途入社者を分けて集計します。

定着率も同じです。入社時の従業員数と現在の在籍者数をもとに見るため、どの入社年度・どの雇用区分を対象にするかをそろえなければ、比較しにくくなります。定着率側の算出条件を整理したい場合は、 定着率の計算方法 もあわせて確認しておくとよいでしょう。

自社の離職率を比較するときの注意点

自社の離職率を見るときは、全国平均と単純に比べるだけでは不十分です。業界、雇用形態、事業規模、採用区分が違えば、離職率の水準も変わるためです。

たとえば、短時間勤務やパートタイム従業員が多い業態と、正社員中心の企業では、人の入れ替わり方が異なります。また、事業拡大期で採用人数が増えている会社と、採用を抑えている会社でも、同じ離職率の意味は変わります。

自社の良し悪しを判断するには、日本全体の平均を把握したうえで、自社と近い条件のデータと比べることが大切です。ただし、平均より高いからすぐに問題がある、平均より低いから安心できる、とは限りません。大切なのは、自社と近い業界・雇用形態・事業規模のデータと比べることです。

全国や産業別の傾向を確認したい場合は、厚生労働省の 令和6年 雇用動向調査結果の概要 が参考になります。外部データと比べるときも、雇用形態や産業分類が自社の実態に近いかを確認しましょう。

また、離職率は数字だけで完結する指標ではありません。離職理由、退職時期、定着している人材の特徴とセットで見ることで、採用・育成・職場環境のどこを見直すべきかが見えやすくなります。自社比較の方法を整理したい場合は、 離職率の調べ方 も確認しておくと、平均値との向き合い方を整理できます。

日本における離職率の現状

自社の離職率を判断するには、まず日本全体の水準を把握しておく必要があります。平均と比較することで、自社の数値が高いのか、業界として一般的な範囲なのかを考えやすくなるためです。

ただし、離職率は全体平均だけで判断できるものではありません。産業別、雇用形態別、新卒者の3年以内離職率など、見る切り口によって数字は変わります。

ここでは、厚生労働省の令和6年データをもとに、日本全体の離職率、産業別の傾向、新卒者の早期離職、人手不足との関係を整理します。

雇用動向調査から見る全体の傾向

日本全体の離職率を把握するうえで参考になるのが、厚生労働省の雇用動向調査です。雇用動向調査では、入職者数や離職者数、入職率・離職率などが集計されています。

厚生労働省の 令和6年 雇用動向調査結果の概要|入職と離職の推移 によると、令和6年の入職率は14.8%、離職率は14.2%でした。全体としては、入職率が離職率を上回る入職超過となっています。

▼入職率・離職率の推移(全体)

入職率・離職率の推移(全体)

※出典: 厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要|入職と離職の推移」

ただし、全体の数字だけを見ると、実態を見誤ることがあります。一般労働者の離職率は11.5%である一方、パートタイム労働者の離職率は21.4%と差があります。雇用形態によって離職率の水準が大きく変わるため、自社と比較する際も同じ条件で見ることが重要です。

区分

入職率

離職率

全体

14.8%

14.2%

一般労働者

11.8%

11.5%

パートタイム労働者

22.7%

21.4%

たとえば、パートスタッフが多い店舗で全体平均だけを基準にすると、実態よりも離職率が高く見える場合があります。反対に、正社員だけを見ると問題が小さく見えても、短時間勤務者の入れ替わりが店舗運営に影響しているケースもあります。

自社の数字を外部データと比較する際は、調査対象や雇用形態を確認することが欠かせません。比較に使う資料や調べ方を整理したい場合は、 離職率の調べ方 も参考になります。

産業別に見た離職率の傾向

離職率は、産業によっても大きく異なります。全体平均だけでなく、自社が属する業界や近い業態の水準を確認することで、より現実に近い判断ができます。

厚生労働省の 令和6年 雇用動向調査結果の概要|産業別の入職と離職 では、産業別の入職率・離職率が示されています。産業別に見ると、宿泊業,飲食サービス業、サービス業、生活関連サービス業,娯楽業などで離職率が高い傾向があります。

▼産業別の離職率(令和6年)

産業別の離職率ランキング(厚労省データを基に作成)

厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」表4-2「産業、就業形態別入職率・離職率・入職超過率(令和6年)」 をもとに作成

特に宿泊業,飲食サービス業の離職率が25.1%と高くなっています。入職率も高い業界では、人を採用している一方で、退職も多く発生している可能性があります。つまり、採用数だけを増やしても、定着しなければ人手不足は解消しにくいということです。

生活関連サービス業や宿泊・飲食では、入職率と離職率がともに高い傾向があります。このことから、採用活動と定着支援は切り離して考えるのではなく、セットで見直す必要があるといえます。

ただし、ここで重要なのはランキングの順位そのものではありません。自社の業界では人の入れ替わりが起こりやすいのか、雇用形態別に見たときにどこで離職が起きているのかを確認することです。産業別の詳しい傾向は、 離職率が高い業界ランキング で確認できます。

新卒者の3年以内離職率の傾向

新卒採用を行っている企業では、入社後3年以内の離職率も重要な指標です。採用直後は問題が見えにくくても、1年目から3年目にかけて離職が続く場合、採用時の説明、配属、教育、職場環境に課題がある可能性があります。

厚生労働省の 新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者) によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者で37.9%、短大等卒就職者で44.5%、新規大卒就職者で33.8%でした。いずれも3割を超えており、新卒者の早期離職は多くの企業にとって無視できない課題です。

学歴

就職後3年以内離職率

高卒

37.9%

短大等

44.5%

大卒

33.8%

特に、若手人材は入社前に聞いていた仕事内容と実態が違う、教育体制が整っていない、将来のキャリアが見えないといった理由で離職を考えることがあります。そのため、新卒採用では採用活動だけでなく、入社後の受け入れや育成まで含めて設計することが重要です。

新卒者の離職率を見ることで、採用後に人材が定着できているかを確認しやすくなります。これは、単に「若手が辞めやすい」という話ではなく、採用時の説明、配属、教育、入社後フォローを見直すための判断材料になります。

新卒者の離職率や産業別の傾向、早期離職の原因を詳しく確認したい場合は、 新卒の離職率 もあわせて確認すると、若手人材の定着支援を考えやすくなります。

なぜ離職率・定着率が注目されているのか

離職率や定着率が注目されている背景には、人手不足の長期化があります。採用活動を強化しても、採用した人材がすぐに辞めてしまえば、採用コストや教育コストが繰り返し発生します。

帝国データバンクの 人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月) によると、2026年4月時点で正社員が不足していると感じる企業は50.6%でした。多くの企業が人材確保に課題を感じているなかで、離職を防ぎ、定着を高める重要性はさらに増しています。

▼正社員・非正社員の人手不足割合(月次推移)

正社員・非正社員の人手不足割合 月次推移

※出典: 帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月)」

正社員不足を感じる企業が半数を超える状況では、採用した人材をいかに定着させるかが重要になります。離職率・定着率は、採用活動の成果を判断するうえでも重要な指標です。

厚生労働省の 人材確保対策 でも、魅力ある職場づくりによって採用と定着を向上させることが重要だとされています。つまり、採用数を増やすだけでなく、働き続けたいと思える職場環境を整えることが、人材確保の前提になります。

人手不足が続くなかで、離職率に敏感になる経営者は増えています。離職率は、同業他社と比べて自社の運営状態を確認する指標になります。一方で、定着率は人材が残り、育ち、サービス品質や店舗運営の安定につながっているかを見る指標です。

人材が定着しない状態が続くと、採用・教育の負担だけでなく、既存スタッフの負担増や顧客対応の質にも影響する可能性があります。離職を防ぎ、定着率の高い組織づくりを進めたい場合は、 人材定着の考え方 も参考になります。

離職率が高い企業に見られる主な特徴

離職率が高い企業には、労働時間、評価制度、人間関係、育成体制、働き方の柔軟性などに課題が見られることがあります。もちろん、離職率が高いからといって、すぐに悪い職場と決めつける必要はありません。

退職者が継続して増えている場合は、職場のどこかに従業員が働き続けにくい要因がある可能性があります。ここでは、離職につながりやすい職場課題を5つに整理して見ていきます。

分類

主な特徴

離職につながりやすい理由

労働時間・休暇取得

残業が多い、休みにくい

心身の負担が大きくなる

評価・給与・キャリア形成

評価基準が曖昧、成長が見えない

不満や将来不安につながる

人間関係・ハラスメント

相談しにくい、ハラスメント対応が弱い

安心して働きにくくなる

育成・研修・マネジメント

教育不足、上司のフォロー不足

成長実感を持ちにくくなる

働き方の柔軟性

勤務時間や雇用形態の選択肢が少ない

ライフステージの変化に対応しにくい

なお、どれか1つだけが原因になるとは限りません。実際には、評価への不満と人間関係、労働時間と休暇取得のしにくさなど、複数の要因が重なって離職につながることもあります。

労働時間・休暇取得に課題がある

長時間労働や残業の慢性化、休暇の取りにくさは、従業員の負担を大きくし、離職につながりやすい要因です。特に人手不足の職場では、休みたくても代わりがいない、残業が当たり前になっているといった状況が起こりやすくなります。

長時間労働や休暇の取りにくさは、離職率を高める要因になりやすい課題です。働く人がプライベートの時間や心身の余裕を確保できない状態が続くと、仕事を続ける意欲が下がりやすくなります。

また、年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員には、年5日の取得が義務づけられています。単に制度があるだけでなく、実際に取得しやすい雰囲気や人員体制を整えることが重要です。

厚生労働省の 令和7年 就労条件総合調査の概況 では、年次有給休暇の取得率は66.9%とされています。社会全体で休暇取得は進みつつありますが、自社で取得しにくい状態が残っている場合、従業員にとっては働き続けにくい職場と受け止められる可能性があります。

項目

数値

労働者1人平均付与日数

18.1日

労働者1人平均取得日数

12.1日

年次有給休暇取得率

66.9%

取得率だけを見るのではなく、自社で実際に休みやすい雰囲気があるか、取得時に周囲へ負担が偏っていないかも確認する必要があります。

労働時間や休暇取得の課題を整理したい場合は、 労働環境を改善するポイント を確認すると、職場環境の見直しにつなげやすくなります。

評価・給与・キャリア形成に不満が出やすい

評価基準が不明確だったり、給与やキャリアの見通しが持てなかったりする職場では、従業員の不満が離職につながりやすくなります。頑張っても評価されない、将来の成長イメージが見えない状態では、働き続ける理由を見つけにくくなるためです。

人事評価制度が整っていなかったり、社員のモチベーション低下が起きていたりする職場では、離職率が高くなりやすい傾向があります。評価制度があっても、基準が曖昧だったり、評価者によって判断がばらついたりすると、従業員は納得感を持ちにくくなります。

また、給与面への不満だけでなく、成長が見込めない、優秀な人に負担が集中する、評価に納得できないといった理由も退職の背景になります。こうした退職理由の整理には、 スタッフが退職する理由 も参考になります。

厚生労働省の 人材確保対策 でも、魅力ある職場づくりを通じて採用と定着を向上させることが重要だとされています。評価、処遇、育成、キャリア支援は、従業員が「この職場で働き続けたい」と感じられるかに関わる重要な要素です。

評価制度やキャリア支援の具体的な改善策は後半で扱いますが、まずは不満がどこに出ているのかを把握することが必要です。

人間関係やハラスメントの問題がある

人間関係の悪化やハラスメントの放置も、離職率が高い企業に見られやすい特徴です。上司や同僚との関係が悪い、相談しにくい、意見を言っても受け止めてもらえない職場では、従業員が安心して働き続けることが難しくなります。

若手社員を対象にした民間調査でも、相談しづらい雰囲気やチーム内の関係性が離職意向に関わることが示されています。

株式会社IKUSA調べの「新人・若手の早期離職に関する実態調査」では、社会人1〜3年目の若手社員400名のうち、日々の業務で最もストレスを感じる瞬間として「チーム内で相談しづらい雰囲気を感じたとき」が29.8%で最多でした。

日々の業務で最もストレスを感じる瞬間

※出典: 株式会社IKUSA「新人・若手の早期離職に関する実態調査」プレスリリース をもとに作成

また、早期離職を防ぐうえで最も重要だと思うものは「チームの雰囲気」が31.3%で最多とされています。

早期離職を防ぐうえで最も重要だと思うもの

※出典: 株式会社IKUSA「新人・若手の早期離職に関する実態調査」プレスリリース をもとに作成

このような結果からも、人間関係の問題は単なる相性の問題ではなく、相談しやすさや安心して意見を出せる雰囲気とあわせて確認する必要があります。

また、ハラスメントは個人間のトラブルで済ませず、企業として対応すべき問題です。厚生労働省の 職場におけるハラスメントの防止のために では、職場におけるハラスメント対策に関する情報が整理されています。

パワーハラスメントやセクシュアルハラスメント、妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントだけでなく、カスタマーハラスメントや求職者等へのセクシュアルハラスメント対策も重要なテーマになっています。相談窓口や対応ルールが曖昧なままだと、従業員は「会社は守ってくれない」と感じやすくなります。

人間関係の問題は表面化しにくいため、退職者が出てから気づくこともあります。意見収集や心理的安全性を高める取り組みは、後半の改善策で扱いますが、まずは 職場改善の考え方 を押さえておくと、現状把握の視点を持ちやすくなります。

育成・研修・マネジメント体制が整っていない

入社後の育成やフォローが不足している職場では、従業員が成長実感を持てず、早期離職につながりやすくなります。採用時点では意欲があっても、仕事の進め方が分からない、相談できる相手がいない、将来像が見えない状態が続くと、不安や不満が大きくなるためです。

新人受け入れや初期研修、メンター制度など、入社後の育成環境が整っていないことも、離職率が高くなる要因のひとつです。特に若手社員は、入社後のフォローが不足すると、職場に馴染む前に離職を考える可能性があります。

ただし、育成体制は新人向け研修だけで完結するものではありません。中堅層や管理職の育成が不足していると、現場で部下を支える力が弱くなり、若手の定着にも影響します。現場のマネジメント力が低いと、評価の伝え方、業務の任せ方、相談対応にもばらつきが出やすくなります。

厚生労働省の 人材確保対策 でも、魅力ある職場づくりによる採用・定着の向上が重要とされています。人材育成やマネジメント体制は、その土台になる要素です。

従業員が長く働き続けるには、待遇面だけでなく、成長機会やキャリア支援も欠かせません。人材定着の視点から整理したい場合は、 人材定着の考え方 も参考になります。

働き方の柔軟性が低い

働き方の柔軟性が低い職場も、離職につながりやすい傾向があります。育児、介護、体調の変化、家庭の事情など、従業員のライフステージが変わったときに働き続ける選択肢が少ないと、退職を選ばざるを得ない場合があるためです。

働き方の柔軟性が低いことも、離職率が高くなる要因です。ただし、柔軟な働き方はリモートワークだけを指すものではありません。

店舗や対面サービスの仕事では、在宅勤務が難しい場合もあります。その場合でも、勤務時間、シフト、休日の取り方、短時間勤務、雇用形態の選択肢などを見直すことで、働き続けやすさを高められる可能性があります。

厚生労働省の 人材確保等支援助成金のご案内 では、雇用管理改善による人材確保・定着支援に関する制度が案内されています。テレワーク等を含む雇用管理改善の取り組みは、人材確保や定着を考えるうえでも重要な視点です。

働き方の柔軟性が低いと、従業員の事情に合わせた継続勤務が難しくなります。結果として、採用と育成を繰り返す状態になり、店舗運営やサービス品質にも影響する可能性があります。

定着率を高めるには、自社で対応できる範囲から働き方や福利厚生を見直すことが大切です。具体的な施策を考える際は、 定着率を向上させる方法 も確認しておくと、改善の方向性を整理しやすくなります。

スタッフが退職する理由を把握する方法

離職率の数字を見るだけでは、なぜスタッフが辞めているのかまでは分かりません。退職者が増えている場合でも、原因が労働時間なのか、評価への不満なのか、人間関係なのかによって取るべき対策は変わります。

そのため、離職率を改善するには、退職理由を丁寧に把握することが重要です。退職者ヒアリングだけでなく、在職者面談、匿名アンケート、1on1などを組み合わせ、退職前の不満や不安を早めに拾う必要があります。

方法

分かること

注意点

退職者ヒアリング

退職を決めた直接的な理由

本音を話しにくい場合がある

在職者面談

退職前の不満や不安

面談者によって質がばらつきやすい

匿名アンケート

職場全体の傾向

回答後の改善につなげる必要がある

1on1

個別の悩みや成長課題

継続的に実施する仕組みが必要

日常的な声かけ

小さな変化や違和感

属人的にならないよう注意する

退職理由の把握は、1つの方法だけで完結させないことが重要です。退職者の声と在職者の声をあわせて見ることで、離職の原因を早めに把握しやすくなります。

退職理由には本音と建前がある

退職時に伝えられる理由は、必ずしも本音とは限りません。家庭の事情、体調、キャリアアップなど、角が立ちにくい理由として説明されることもあります。

もちろん、それらの理由が事実である場合もあります。ただし、その背景に人間関係、評価への不満、労働条件、将来への不安などが隠れていることもあるため、表面的な退職理由だけで判断しないことが大切です。

厚生労働省の 令和6年 雇用動向調査結果の概要|離職理由別離職率の推移 では、離職理由を「個人的理由」「事業所側の理由」などに分けて整理しています。令和6年の男女計では、個人的理由による離職率が10.7%、事業所側の理由による離職率が0.8%と示されています。

このように、離職理由は分類して見ることで傾向を把握しやすくなります。自社でも、単に「退職者が出た」と見るのではなく、どの理由が多いのか、どの時期に発生しているのか、どの部署や店舗で目立つのかを整理することが重要です。

スタッフの退職背景を考える際は、 スタッフが退職する理由 も参考になります。労働条件、人間関係、評価、キャリア不安など、退職理由の見方を整理しやすくなります。

退職者ヒアリング・面談で確認する

退職者ヒアリングは、自社の課題を知るための重要な機会です。実際に退職を決めた人は、働き続けにくいと感じた理由を持っている可能性があるためです。

ただし、退職者に聞けば必ず本音が分かるわけではありません。直属の上司との関係が退職理由に関係している場合、本人は上司に本音を話しにくいことがあります。そのため、人事担当者や経営者など、第三者に近い立場の人がヒアリングした方が話しやすい場合もあります。

確認する観点は、次のように絞ると整理しやすくなります。

  • 業務量や労働時間に無理がなかったか
  • 評価や給与に納得感があったか
  • 教育やフォローは十分だったか
  • 上司や同僚との関係に問題がなかったか
  • 職場環境や働き方に不満がなかったか

大切なのは、退職者を責めるためではなく、今後の職場改善に活かすために聞くことです。「自社の改善に役立てたい」という姿勢で確認すると、退職者も話しやすくなります。

厚生労働省の 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) では、従業員調査や1on1ミーティングなどが職場活性化制度の例として示されています。退職者ヒアリングだけでなく、日頃から声を拾う仕組みを持つことが、離職防止につながります。

在職者の不満を早めに把握する

離職を防ぐには、退職者の声だけでなく、在職者の不満を早めに把握することも重要です。退職が決まってから原因を聞いても、すでに改善の機会を逃している場合があるためです。

在職者の声を拾う方法には、定期面談、1on1、匿名アンケート、日常的な声かけなどがあります。特に、少人数の店舗やチームでは、経営者や店長との距離が近い一方で、本音を言いにくい場合もあります。面談担当者、頻度、記録方法を決め、属人的にしないことが大切です。

面談では、いきなり退職意向を聞くよりも、業務量、職場の人間関係、評価への納得感、今後の働き方、成長実感などを確認すると、退職につながる兆候を把握しやすくなります。

定着率を向上させる方法 でも、コミュニケーションや職場環境の見直しは重要な要素として扱われています。また、 人材定着の考え方 を踏まえると、離職を防ぐには待遇だけでなく、成長機会や職場への信頼感も整える必要があります。

面談を精神論で終わらせず、継続的に声を拾い、改善につなげる仕組みにすることが大切です。

離職率を下げ、定着率を高めるための改善策

離職率を下げ、定着率を高めるには、退職理由を把握したうえで、職場の課題に合った改善策を選ぶ必要があります。数字だけを見て採用数を増やしても、働き続けにくい原因が残っていれば、退職は繰り返されます。

改善すべき領域は、労働環境、コミュニケーション、育成、評価・キャリア、福利厚生・働き方、定期面談などです。ここでは、離職率を下げる施策を、定着率改善の視点も加えて整理します。

課題

見直すポイント

対応する改善策

長時間労働・休暇取得のしにくさ

業務量、シフト、人員配置

労働環境を改善する

不満や孤立の放置

相談機会、意見交換

コミュニケーションを活性化する

教育不足

研修、メンター、管理職育成

育成・研修制度を見直す

評価への不満

評価基準、キャリアパス

評価制度・キャリア支援を整える

働き続けにくさ

福利厚生、勤務時間、雇用形態

福利厚生や働き方を見直す

離職兆候の見落とし

面談頻度、記録、フォロー

定期面談を仕組み化する

すべてを一度に改善する必要はありません。退職理由や在職者の声をもとに、自社で優先度の高い課題から着手することが現実的です。

労働環境を改善する

離職率を下げるには、まず労働環境を見直すことが重要です。長時間労働、休暇取得のしにくさ、過度な業務負担が続くと、従業員は心身の余裕を失いやすくなります。

労働環境というと、作業場や設備などの物理的な環境を思い浮かべるかもしれません。しかし、実際には労働時間、休暇、業務量、人間関係、心理的安全性なども含めて考える必要があります。

長時間労働や休暇の取りにくさは、離職につながりやすい要因です。たとえば、人手不足を理由に休みにくい状態が続くと、従業員は「この職場では長く働けない」と感じやすくなります。

厚生労働省の 人材確保対策 でも、魅力ある職場づくりによって採用と定着を向上させることが重要だとされています。働きやすさを整えることは、採用後の定着にも直結します。

労働環境の見直しでは、いきなり大きな制度変更を行う必要はありません。まずは、業務量の偏り、休暇取得のしにくさ、現場の不満が出やすい場面を確認し、改善しやすいところから着手することが大切です。具体的な見直しの視点は、 労働環境を改善するポイント も参考になります。

コミュニケーションを活性化する

社内のコミュニケーション不足は、不満の放置や孤立につながります。従業員が悩みを相談できない、意見を言っても反映されないと感じる職場では、離職の兆候に気づきにくくなります。

コミュニケーションを活性化するには、単に雑談を増やすだけでは不十分です。定例ミーティング、1on1、意見交換の場、匿名アンケートなど、従業員の声を拾う仕組みを整えることが重要です。

たとえば、モアリジョブで紹介されている「エサージュ 渋谷店」の事例では、店長の発言率を10%以下に抑え、スタッフが順番にミーティングを担当する取り組みが紹介されています。店長がすべてを決めて伝えるのではなく、スタッフ自身が考え、意見を出し、それが採用されることで、主体性ややりがいにつながっている事例です。

引用: モアリジョブ |「エサージュ 渋谷店」店長 須永茜さん

 

このように、コミュニケーション施策は「仲良くするため」だけの取り組みではありません。スタッフが意見を出しやすくなれば、現場の課題や不満を早めに把握しやすくなり、職場改善にもつなげやすくなります。

厚生労働省の 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) でも、1on1ミーティング、従業員調査、メンター制度などが職場活性化制度の例として示されています。

重要なのは、コミュニケーションを「仲良くするための施策」で終わらせないことです。不満や課題を早めに把握し、改善につなげるための仕組みとして運用する必要があります。職場全体を巻き込んで改善を進めたい場合は、 職場改善のアイデア も参考になります。

育成・研修制度を見直す

育成・研修制度が不十分だと、従業員は成長実感を持ちにくくなります。特に入社直後に十分なフォローがない場合、業務への不安や職場への違和感が大きくなり、早期離職につながる可能性があります。

改善策としては、入社直後の導入研修、定期面談、フォロー研修、メンター制度などを整えることが考えられます。ただし、育成は新人向けの研修だけで完結するものではありません。中堅層や管理職の育成も、現場の定着率に影響します。

中堅層の育成や管理職・中堅社員研修も、定着率を高めるうえで重要です。中堅層が育っていないと、若手に仕事を教える力や、現場でフォローする力が弱くなります。その結果、若手が孤立したり、成長の見通しを持てなかったりすることがあります。

厚生労働省の 人材確保対策 では、魅力ある職場づくりの一環として人材育成の重要性が示されています。また、 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) でも、メンター制度などが雇用管理改善の例として扱われています。

新卒・若手の早期離職対策を考える場合は、採用後の教育体制やメンター制度の視点も重要です。新卒者の離職背景を整理したい場合は、 新卒の離職率 も確認しておくとよいでしょう。

評価制度・キャリア支援を整える

評価制度やキャリア支援も、離職率・定着率に大きく関わります。評価基準が曖昧なままだと、従業員は「頑張っても報われない」「何を目指せばよいか分からない」と感じやすくなります。

改善するには、評価基準を明確にし、従業員が自分の成長や役割を理解できる状態をつくることが大切です。給与や役職だけでなく、スキルアップ、専門性、接客力、教育担当としての貢献など、職種や業態に合わせた評価軸を考える必要があります。

たとえば、NAILsGUSH・NAIL MAFIAの木下さんの事例では、管理職への昇進だけでなく、プレイヤーとして腕を磨き続ける働き方も評価できる仕組みが紹介されています。これは、職種や業態に応じた評価制度を考えるうえで参考になる例です。

厚生労働省の 人材確保対策 でも、魅力ある職場づくりによる定着向上が重要とされています。また、 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) では、人事評価制度なども雇用管理改善の例として扱われています。

評価制度を整える目的は、単に査定を厳密にすることではありません。従業員が「この職場で成長できる」「続ける意味がある」と感じられる状態をつくることです。キャリア支援の視点は、 人材定着の考え方 でも整理されています。

福利厚生や働き方の柔軟性を見直す

福利厚生や働き方の柔軟性は、従業員が長く働き続けられるかに関わる重要な要素です。福利厚生は単なる待遇の上乗せではなく、従業員の生活や働きやすさを支える仕組みとして考える必要があります。

福利厚生には、法定福利と法定外福利があります。社会保険などの法定福利だけでなく、住宅手当、交通費、休暇制度、健康管理、育児・介護との両立支援など、従業員が本当に必要としている制度を考えることが大切です。

また、働き方の柔軟性も重要です。リモートワークが難しい業態でも、勤務時間、休日、短時間勤務、シフト調整、雇用形態の選択肢を見直すことはできます。育児や介護、体調の変化など、ライフステージに応じて働き続けられる選択肢があるかどうかは、定着率に影響します。

厚生労働省の 人材確保等支援助成金のご案内 では、人材確保や定着支援に関する制度が案内されています。福利厚生やワークライフバランスの整備は、人材確保の観点でも重要です。

ただし、福利厚生を増やせば必ず離職率が下がるわけではありません。大切なのは、自社の退職理由や従業員の不満に合った制度を選ぶことです。働き方や福利厚生の見直しは、 定着率を向上させる方法 でも重要な施策として整理されています。

定期面談を仕組み化する

定期面談は、離職の兆候を早めに把握し、定着率を高めるための継続的な施策です。従業員の不満や不安は日々の業務の中では見えにくいため、意識的に話を聞く場をつくる必要があります。

ただし、面談は不満を聞くだけの場ではありません。業務上の困りごと、働き方の希望、将来のキャリア、不安や負担感を確認し、必要なフォローにつなげることが大切です。

他には、各スタッフと個人面談を行って把握するようにしています。気になることがあるときはこちらから声を掛けて食事に行ったり、個人的に話すようにしています。それぞれ性格が違うので、必ず1対1で話す時間を作るようにしています。仕事で実現したいこと、プライベートで実現したいことは、営業時間以外で話す時間を大切にして、スタッフのモチベーション、やりたいことなどを聞く機会を作っています。

引用: モアリジョブ |「middle daikanyama」代表・丸岡奈央さん

このように、定期面談や日常的なコミュニケーションは、従業員の不満を把握するだけでなく、得意分野や成長の方向性を一緒に考える機会にもなります。

一方で、面談を属人的にすると、担当者によって質がばらつきます。頻度、担当者、記録方法、フォローの流れを決め、継続的に運用することが重要です。

厚生労働省の 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース) でも、1on1ミーティングや従業員調査が職場活性化制度の例として示されています。面談を一時的な聞き取りで終わらせず、職場改善や人材育成につなげる仕組みとして運用することが、離職率の低下と定着率の向上につながります。

離職率・定着率改善を採用活動に活かすポイント

離職率・定着率の改善は、職場環境の見直しだけでなく、採用活動にも活かせます。採用してもすぐに退職が続く場合、求人内容、採用条件、入社後のフォローにミスマッチがある可能性があるためです。

人手不足のなかでは、応募数を増やすだけでなく、採用した人材が定着し、活躍できるかまで見据える必要があります。ここでは、離職率・定着率の改善を採用活動に反映するポイントを整理します。

採用活動で見直すこと

反映する内容

期待できる効果

求人情報

仕事内容、勤務条件、評価制度を正確に伝える

入社後のギャップを減らす

採用条件

定着しやすい人材像に合わせて条件を整理する

ミスマッチを防ぎやすくなる

面接・選考

働き方やキャリア希望を確認する

入社後の活躍イメージを合わせやすい

入社後フォロー

研修、面談、メンター制度を整える

早期離職を防ぎやすくなる

採用媒体・支援先

業界理解やマッチング支援を確認する

定着を見据えた採用につながる

採用活動は、応募を集めるだけでなく、入社後に長く働ける人材と出会うための設計が重要です。離職率や定着率の分析結果を求人内容に反映することで、採用後のミスマッチを減らしやすくなります。

採用時のミスマッチを減らす

離職率を下げるには、採用時のミスマッチを減らすことが重要です。仕事内容、勤務条件、給与、評価制度、教育体制、職場環境を正しく伝えないまま採用すると、入社後に「聞いていた内容と違う」と感じられやすくなります。

求職者にとって離職率は、早期退職や入職後のミスマッチを避ける判断材料になります。採用側にとっても、自社の離職率や定着率を見ることは、同業他社と比べて正常な採用・運営ができているかを確認する手がかりになります。

採用時に大切なのは、求人を良く見せることではありません。実際の働き方に合った情報を伝え、応募者が入社後の働き方を具体的にイメージできるようにすることです。

たとえば、労働時間、休日、教育体制、評価の考え方、入社後に求める役割を曖昧にしたまま採用すると、入社後の不満につながる可能性があります。こうしたズレは、 スタッフが退職する理由 でも扱われているように、労働条件や仕事内容、人間関係、評価への不満として表面化することがあります。

厚生労働省の 人材確保対策 でも、魅力ある職場づくりによって採用と定着を向上させることが重要だとされています。採用時点から定着を見据えることが、早期離職の防止につながります。

定着を前提に採用条件・職場情報を見直す

離職率や定着率を採用活動に活かすには、退職理由を分析し、求人票や採用ページの情報を見直すことが大切です。退職理由が分かれば、応募者に何を正しく伝えるべきか、どの条件を改善すべきかが見えやすくなります。

たとえば、退職理由に「勤務時間が合わない」「教育体制が不十分」「評価基準が分からない」といった傾向がある場合、求人情報でも勤務時間、研修制度、評価制度、キャリアパスの見せ方を見直す必要があります。

定着率を上げるには、採用したい人材像を明確にすることも重要です。単に応募数を増やすだけでなく、自社の働き方や職場環境に合い、長く活躍できる人材を採用する視点が求められます。

人材定着の考え方 では、待遇面や組織風土、キャリア支援などを整え、長く働きたい職場環境をつくることが重要とされています。これは採用後だけでなく、採用条件や求人情報の設計にも関わります。

また、 定着率を向上させる方法 でも、評価制度、柔軟な働き方、コミュニケーション、キャリアサポートなどが重要な施策として整理されています。採用活動では、こうした要素を入社後の説明だけでなく、応募前の情報提供にも反映することが大切です。

求人情報は、単なる募集条件の一覧ではありません。自社で働く魅力と、入社後にどのように成長できるかを伝える接点として見直す必要があります。

採用後の育成・定着まで見据えて採用手法を選ぶ

採用活動では、応募数や採用人数だけでなく、採用後に活躍・定着できるかまで見る必要があります。人手不足が続くなかで、採用してもすぐに離職が発生すれば、採用コストや教育コストが繰り返し発生するためです。

先に紹介した帝国データバンクの 人手不足に対する企業の動向調査(2026年4月) では、2026年4月時点で正社員不足を感じている企業は50.6%でした。多くの企業が人材確保に課題を抱えるなか、採用活動は「人を入れる」だけでなく、「入社後に定着してもらう」視点が欠かせません。

求人媒体や採用支援を選ぶ際も、単に掲載できるかどうかだけでなく、業界理解、求職者とのマッチング、採用後の育成・定着を見据えた支援ができるかを確認することが重要です。

特に美容・ヘルスケア業界のように、接客力、技術力、職場との相性が定着に影響しやすい業界では、採用段階からミスマッチを減らす設計が求められます。応募者に対して、仕事内容や条件だけでなく、教育体制、キャリアの見通し、職場の雰囲気をどう伝えるかが重要です。

リジョブでは、美容・ヘルスケア業界に特化した求人掲載を通じて、求職者との接点づくりを支援しています。人材が定着しにくい、採用しても早期離職が起きやすいと感じている場合は、求人条件や採用後フォローも含めて見直すことが大切です。

採用活動を見直す際は、応募数だけでなく、定着しやすい人材との出会い、入社後の育成、長く働ける職場づくりまでを一体で考える必要があります。

まとめ

離職率を改善するには、数値を確認するだけでなく、原因を分析し、定着につながる施策へ落とし込むことが大切です。

  • 離職率は、一定期間に退職した従業員の割合を示す指標
  • 定着率とあわせて見ることで、採用・育成・職場環境の課題を把握しやすくなる
  • 比較する際は、算定期間・対象者・雇用形態をそろえることが重要
  • 離職防止には、労働環境、評価制度、育成、面談、採用時のミスマッチ対策が欠かせない

自社の離職率・定着率を定期的に見直し、働き続けやすい職場づくりと採用改善につなげましょう。

高橋祐哉(Takahashi Yuya) プロフィール画像
執筆者情報
高橋祐哉(Takahashi Yuya)
BtoB・BtoC双方の商社で、営業・経営企画・企業HP運用・採用・社員教育・総務など企業の根幹を支える業務に計11年従事。幅広い実務経験を活かし、人材確保や店舗経営に役立つ実践的な情報をメディア記事として発信中。Bizリジョブ編集部では記事執筆のほか、一部編集・ディレクションを担当。