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ジム経営が難しい・儲からない時代は終わった! 失敗しない経営のためのステップアップガイド

ジム経営が難しい・儲からない時代は終わった! 失敗しない経営のためのステップアップガイド

  1. ジム経営は本当に儲からない?今や常識が変化している
  2. 【はじめに】ジム経営の市場トレンドを知っておこう
    1. Z世代・ミレニアル世代の利用動向が強くなった
    2. サービス多様化が進行している
    3. 価格競争 vs 高品質差別化の二極化が進む
    4. 大型店舗だけでなくスモールビジネス店舗も人気に
  3. ジム経営や開業にかかる費用の目安
    1. イニシャルコスト(初期費用)
    2. ランニングコスト(運営費用)
    3. 資金がない場合はフランチャイズや補助金も検討しよう
  4. うまくいくジム経営の開始方法5ステップ
    1. ①経営コンセプトの決定と事業計画書の作成
    2. ②ターゲット層と立地の選定
    3. ③資金調達と物件契約
    4. ④内装工事とマシン・設備の導入
    5. ⑤集客と採用活動
  5. ジム経営者が失敗しがちなポイント
    1. 集客の不足で顧客が遠退く
    2. ターゲット層の選定やアプローチのミス
    3. 周辺ジムとの差別化不足
    4. 店舗の立地設定ミス
    5. ランニングコストと設備のミスマッチ
  6. ジム経営成功のヒント
    1. 専門性で差別化して明確なターゲットにリーチする
    2. 自己資金をある程度確保する
    3. 差別化ニーズ対応やブランド力の活用を適切にする
    4. 雇用するトレーナーを慎重に選ぶ
    5. デジタル化での省人化・効率化を行う
  7. 実際にジムを経営し成功した事例を紹介
    1. 通いやすさを売りにして成功した事例
    2. 女性専用の個室トレーニングで差別化に成功した事例

「ジム経営は儲からない」そんな常識は、今や過去のものです。健康意識の高まりを背景に、フィットネス市場は回復・成長期を迎えました。新たなビジネスチャンスが生まれているといえますが、ただ開業するだけでは成功しません。

この記事では、ジムオーナーが知っておくべき市場の現状把握と成功するための具体的なヒント、開業から運営までをスムーズに進めるためのノウハウを網羅的に解説します。

ジム経営は本当に儲からない?今や常識が変化している

かつて、ジム経営は儲からない時代がありました。高額な初期費用がかかり、会員数が安定するまでにも時間がかかったためです。しかし現代のフィットネス業界は、常識を覆す変貌を遂げています。

経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」によると、フィットネスクラブ業界の売上げ高は2022年以降、増加傾向です。

年度

前年度比の売り上げ(%)

2019年度

-3.3

2020年度

-37.9

2021年度

17.6

2022年度

9.6

2023年度

4.7

コロナ禍で一時的に落ち込んだ市場が着実に回復し、再び成長軌道に乗っているのです。業界全体が、今後の成長に大きな期待を寄せています。

ジム経営の収益モデルは、小売業のように在庫リスクを抱えないこともあり、比較的シンプルで安定しやすいといえます。主な収入源は以下のとおりです。

  • 月額定額制の会費
  • 都度利用料
  • パーソナルトレーニングのようなオプションサービス

ただし収益を最大化するには、「会員数 × 平均客単価 × 契約継続率」という方程式を常に意識する必要があります。会員数を増やしつつ客単価を上げ、顧客に長く継続してもらえるようなサービスを提供しましょう。軌道に乗れば、年収1000万円超を目指すのも決して夢ではありません。

【はじめに】ジム経営の市場トレンドを知っておこう

成功するには、まず市場の「今」を知ることが必要不可欠です。現在のフィットネス市場は、従来の常識にとらわれない多様なトレンドが生まれています。

Z世代・ミレニアル世代の利用動向が強くなった

近年、フィットネス市場における主要顧客層として存在感を増しているのは、Z世代やミレニアル世代です。この世代の特徴は、以下のとおりです。

  • 単に体を鍛えるだけでなく、自己肯定感を高めるためにジムを利用する
  • コミュニティに属するためのツールとしてジムを利用する
  • 情報収集には主にSNSを用いる
  • InstagramやTikTokなどで見たインフルエンサーの投稿がジム選びに影響しやすい

Z世代やミレニアル世代の心を掴むには、SNSを活用した魅力的な情報発信や、デジタル技術を駆使した利便性の高いサービスの導入が鍵です。彼らは「効率的なトレーニング」や「共感できるブランドイメージ」を求めるからです。

「ABC Wellness Watch Report Fall 2024」の調査では、フィットネスジム利用者のうち、Z世代とミレニアル世代の72〜73%が定期的に利用しているというデータもありました。このことからも、この層の取り込みが今後のジム経営を大きく左右するでしょう。

サービス多様化が進行している

一昔前のジムといえば、大型のトレーニングマシンが並ぶ総合型フィットネスクラブが主流でした。しかし、現在は顧客のニーズが細分化され、それに合わせてジムの形態も多様化しています。

  • マンツーマン指導で個別の目標達成を強力にサポートするパーソナルトレーニング専門ジム
  • 体幹強化や柔軟性向上、リフレッシュを目的とする層に人気なピラティス併設スタジオ
  • 仲間と一緒に楽しく運動したいニーズに応えるセミパーソナルジム
  • 時間や場所の制約を受けずにトレーニングできる24時間ジム

多様化は特定のニッチな市場を狙い、大手にはない強みを持つチャンスを生み出しています。

価格競争 vs 高品質差別化の二極化が進む

現在のジム市場は、大きく「価格競争」と「高品質・高付加価値による差別化」という2つの方向性に分かれています。

価格競争モデル

  • 人件費を抑えて月額数百円から数千円という低価格を武器にする
  • 利便性と手軽さを求める層にアピール

高品質差別化モデル

  • 専門性の高いトレーナーによるマンツーマン指導や最新設備の導入、栄養指導や食事管理まで含めたトータルサポートなどを行う
  • 質の高いサービスを提供し、富裕層や健康への意識が高い層がターゲット

どちらの戦略を取るかで、ターゲット層や集客方法も大きく変わります。特定のモデルに応じた成長戦略を立てれば、ジム経営は成功しやすいです。

大型店舗だけでなくスモールビジネス店舗も人気に

大規模なフィットネスクラブの出店には莫大な資金と広い土地が必要です。近年はパーソナルジムや、スタジオ形式の小規模店舗経営が人気を集めています。

これらのスモールビジネスは、初期費用やランニングコストを大幅に抑えられます。さらに特定の顧客層に特化した、きめ細やかなサービスも提供しやすいです。個性を前面に出して、顧客との深い信頼関係を築きましょう。強固なコミュニティを形成し、顧客の退会を防げるのも大きな魅力です。

ジム経営や開業にかかる費用の目安

ジム経営の成功には、徹底した資金計画が不可欠です。費用は大きく「イニシャルコスト(初期費用)」と「ランニングコスト(運営費用)」に分けられます。

イニシャルコスト(初期費用)

イニシャルコスト(初期費用)とは、開業時に1度だけかかる費用です。金額はジムの規模やコンセプトによって大きく異なります。

  • 敷金、礼金、仲介手数料などの初期費用
  • 内装・外装工事費
  • トレーニングマシン・器具購入費
  • ウェブサイト制作費、SNS広告費、チラシ作成費などの広告費
  • 開業前のスタッフ研修費用にかかる人件費

個人経営のパーソナルジムの場合、初期費用は300~500万円が一般的とされています。しかし、開業後の半年分の運転資金を含め、多めに金額を用意するのが理想です。

一方、大型・企業型ジムの場合は、2000〜3000万円の費用が必要となることもあります。

ジムの規模

総額

内訳

個人経営(小・パーソナルジム)

300〜500万円程度

物件取得費、内装工事費、設備費、広告宣伝費など

大型・企業型ジム

2000~3000万円

物件取得費、内装工事費、設備費、人件費、広告宣伝費など

高額な土地を買い、最新のマシンをそろえれば高額になります。マシンの中古品を活用したり、リース契約にしたりして初期費用を抑えることも検討しましょう。

ランニングコスト(運営費用)

ランニングコスト(運営費用)とは、毎月かかる費用のことです。これらをいかに効率的に管理するかが、安定経営の鍵を握ります。

家賃や光熱費、広告費などを含め、月70万円〜100万円程度の余裕があると安全だといわれています。自分の生活費や人件費も含め、費用を考慮し資金計画を立ててください。

なお、物件の賃料は最も大きな固定費です。立地選定の際に慎重に検討しましょう。トレーナーや受付スタッフの給与は、人件費となります。無人ジムでは、コストを大幅に削減可能です。

マシンや空調、照明などの費用は意外とかかります。マシンを安全に長く使うための定期的なメンテナンス費用も必須です。継続的な集客活動のための費用として、広告費もぜひ確保しましょう。

資金がない場合はフランチャイズや補助金も検討しよう

自己資金だけで開業するのが難しい場合でも、諦める必要はありません。

フランチャイズは本部の強力なブランド力や集客ノウハウ、経営サポートを受けられるのが最大のメリットです。一方で、加盟金や毎月のロイヤリティが発生し、経営の自由度が低いというデメリットもあります。

加盟金の目安

100〜400万円

店舗関連費

1000万円

研修費

50万円ほど

運営資金

300万円ほど

上記は中〜大規模ジムの目安であり、小規模な場合には300万円前後で開業可能です。

また、国や地方自治体の補助金や助成金は、資金調達の有力な手段です。特に雇用創出やデジタル化のようなテーマに沿ったプランニングをすれば優遇されやすいため、積極的に活用しましょう。

新事業進出補助金

中・小規模企業が新事業に着手する際に使える補助金

他事業からジム経営に参戦する場合に使える

事業再構築補助金

新事業を始める事業者に対し多めの予算を提供する補助金

地域の開業支援資金

事業の創立から開業後の資金繰りまでを支援する補助金

うまくいくジム経営の開始方法5ステップ

成功への道は、綿密な計画から始まります。以下のステップを参考に、順序立てて経営を始めることで、リスクを最小限に抑えられます。

①経営コンセプトの決定と事業計画書の作成

まずは「誰に、何を、どのように提供するか」を明確に定義し、ジムのコンセプトを固めます。具体的には以下のとおりです。

  • ターゲット層
  • 提供するサービス
  • ジムの雰囲気
  • 収益モデル
  • 資金計画
  • マーケティング戦略

上記を詳細に盛り込んだ、事業計画書を作成しましょう。金融機関からの融資を受ける際に必要となる書類にも活用できます。

②ターゲット層と立地の選定

コンセプトに基づいて、ターゲットとなる顧客層を明確にします。

  • 仕事帰りのビジネスパーソンなら駅近
  • 子育て世代の主婦層ならファミリー向け住宅地の近く
  • 高齢者が多い場合、公共交通機関や病院などがある閑静な住宅地

周辺の競合店舗を調査し、家賃や集客のしやすさを総合的に判断して立地を決定しましょう。

③資金調達と物件契約

事業計画書を元に、金融機関からの融資や補助金の申請を行う段階です。資金計画に目処が立ったら、選んだ物件の契約を進めます。利用可能な補助金を申請するのも、この段階です。

物件を選ぶときには、以下のポイントに気をつけてください。

広さ

必要なトレーニング機器を設置し、顧客がスムーズに移動できる十分なスペースがあるか確認する

天井高

スクワットやデッドリフトなどの種目を行う際、天井高が低いと動作を妨げる可能性があるため注意

床の強度と防音・防振

マシンを置く床の耐荷重や、騒音・振動が近隣に影響しないかを確認する

特にマンションやオフィスビルの上階では、防音・防振工事が必須になる

空調・換気

多数の人が集まるため、十分な換気能力と空調設備が整っているか確認する

電気容量

トレーニングマシンや空調、照明など、多くの電力が必要となりやすい

契約している電気容量が十分かを確認する

居抜き物件の場合でも以前の用途が異なる場合は、ジムとして利用するために用途変更の許可が必要になるかもしれません。必ず不動産会社や専門家に確認しましょう。

特に、契約内容に「ジム・トレーニング施設としての利用を禁ずる」といった特約がないかは要チェックです。騒音や振動に関する制約が厳しすぎないかも、入念に確認してください。

④内装工事とマシン・設備の導入

コンセプトに合った内装工事を行い、トレーニングマシンやその他の設備を導入する段階です。顧客が快適に過ごせる清潔な空間づくりや、動線を意識したレイアウトが重要です。

マシンを配置する際は、顧客がスムーズに移動でき、かつ窮屈に感じないよう十分な間隔を確保します。有酸素運動や筋力トレーニング、ストレッチ、フリーウェイトなど、目的別にエリアを分けるのも忘れないでください。顧客が集中して、トレーニングできる環境を整えましょう。

ジムの空間には鏡を多く用いてください。空間を広く見せるだけでなく、顧客が自身のフォームを確認しやすくなります。

カラーコンセプトも決めておきましょう。たとえば明るい色と暖色系の照明は、女性向けジムやヨガ、ピラティスなどのコンセプトにおすすめです。清潔感やリラックス効果を高めます。

筋トレジムやボクシングジムであれば、ダークトーンの色とクールな照明がおすすめです。集中力を高め、力強さやクールな印象を与えます。

木材などを使うナチュラル系はどんなコンセプトにも取り入れやすい要素です。自然の温かみや安らぎを与え、居心地の良さを高めます。

なお、受付システムやセキュリティシステムなどのデジタル設備を検討しているなら、この段階で導入してください。機器類の動作確認も、忘れてはなりません。

⑤集客と採用活動

開業前からSNSやチラシ、Webサイトなどを活用して集客活動を開始します。特にSNSは、ジムの雰囲気を伝えやすく、ターゲット層に直接リーチできるため積極的に活用しましょう。

活用しやすいSNSの特徴

概要

Instagram

視覚的な訴求力が高い

ジムの内装やトレーニング風景を共有し雰囲気を伝えるのに最適

TikTok

短尺動画で手軽に情報発信が可能

若年層へのリーチに効果的

LINE公式アカウント

顧客との直接的なコミュニケーションが可能

予約管理や情報配信、クーポンの配布などに活用できる

YouTube

長めの動画で、トレーニング方法の解説やジムの魅力を詳しく伝える

同時に、コンセプトに共感し、質の高いサービスを提供できるトレーナーやスタッフの採用・教育を行ってください。人材の選定は求人特化サイトやハローワークなどに依頼しましょう。

ジム経営者が失敗しがちなポイント

成功のヒントを知るのと同時に、失敗例から学ぶのも重要です。以下のポイントに注意し、リスクを最小限に抑えましょう。

集客の不足で顧客が遠退く

開業したものの、十分な集客ができずに会員数が伸び悩むケースも少なくありません。

特に開業から数ヶ月間は、収益が不安定になりがちです。集客は開業したら始めればいいのではなく、開業前から計画的に行う必要があります。オープン前から積極的に情報発信を行い、潜在的な顧客にアプローチする方法は、以下のとおりです。

Googleビジネスプロフィールへの登録

地域のユーザーが「○○(地域名) ジム」などで検索した際に、地図上に表示されるように登録する

写真やサービス内容を充実させる

ホームページ・SNSの活用

ジムのコンセプトや設備、トレーナーの紹介などを掲載したホームページを作成

InstagramやTikTokなどのSNSでは、トレーニング風景やマシンの使い方、お得なキャンペーン情報などを事前発信し、視覚的に魅力を伝える

プレオープンイベント・キャンペーンの実施

開業前に内覧会や体験会を開催したり、オープン記念として入会金無料などの割引キャンペーンを実施したりして、集客を促進する

直接的な広告アプローチ

チラシのポスティングや折り込み、近隣の掲示板への掲載などを行う

オープン後も、集客の手を止めてはいけません。ホームページやSNSで「初回無料体験」や「見学歓迎」を強く打ち出し、まずはジムに足を運んでもらう機会を作りましょう。オープンと同時に安定した会員数を確保し、スムーズなジム経営をスタートさせてください。

ターゲット層の選定やアプローチのミス

「誰にでも来てほしい」そんな考えは、結果的に誰の心にも響かないジムを作ってしまいます。ターゲット層の選定やアプローチのミスを起こさないためにも、以下のようなターゲット層のペルソナ作成は念入りに行ってください。

ペルソナの作成例

特徴

女性

30代

会社員

運動不足解消とダイエットが目的

仕事が忙しく、トレーニングにかけられる時間は限られている

マンツーマン指導で効率的に結果を出したい

男性

60代

退職者

健康維持と体力向上が目的

トレーナーや仲間と交流しながら楽しく運動したい

ターゲットが不明確な場合、サービスや料金設定、集客方法も曖昧になり、顧客が遠のいてしまいます。実際の人物像が想定できるくらい、ターゲットを具体的に絞り込みましょう。

周辺ジムとの差別化不足

周辺に競合となるジムが多数ある場合は、要注意です。

明確な差別化ができないと価格競争に巻き込まれたり、顧客が他店に流れてしまったりします。自分のジムにしかない独自の強みや付加価値を、明確に打ち出しましょう。

専門性

  • 独自のメソッド
  • 特定の資格を持つトレーナーによる指導

設備

  • 最新のAI搭載マシン
  • 珍しいトレーニング器具の導入

サービス

  • 栄養士による食事指導
  • オンラインでのサポート
  • ウェアやタオルの貸し出しサービス

他にない強みを打ち出したら、積極的に媒体を使いアプローチしてください。重要なのは強みのアピールをどの媒体でも一貫することです。ブレない強固な軸をつくり、ジムの魅力をアピールしましょう。

店舗の立地設定ミス

家賃の安さや物件の見た目だけで立地を決めると、後々集客に苦労しやすいです。ターゲット層の動線や生活圏、駅からの距離などを考慮した立地選びが成功を左右します。

駅近

  • 会社員
  • 学生
  • 忙しいビジネスパーソン

仕事や学校帰りに立ち寄りたい方向け

住宅地

  • 主婦層
  • シニア層
  • 在宅ワーカー

生活圏内で手軽に通いたい方向け

商業施設内

買い物ついでに立ち寄る層

幅広い年代層にアピールできる

近隣の他店舗がどのような経営方式を実施しているのかを、参考にすることもおすすめです。うまくいっている他店のビジネスをロールモデルにすれば、立地条件が経営スタイルと合っているかを客観的に判断できます。

ランニングコストと設備のミスマッチ

最新・最高級のマシンをはじめからそろえるのはおすすめできません。集客が追いつかず、ランニングコストが重くのしかかるケースがあるからです。

店舗の規模やターゲット層に合わせた適切な設備投資が求められます。必要に応じて、中古やリースも検討しましょう。

ジム経営成功のヒント

成功を収めているジムオーナーが実践している具体的なヒントを紹介します。

専門性で差別化して明確なターゲットにリーチする

明確なターゲットを定めて、専門性でアピールするのが有効です。具体的には、上記のような特定分野に特化すれば、他店との明確な差別化を図れます。

  • パーソナルトレーニング専門
  • 女性専用
  • シニア向け
  • アスリート向け

専門性が高ければ高いほど、そのニーズを持つ顧客に刺さりやすいジムを作れるでしょう。あなたのジムが、唯一無二の選択肢となります。

自己資金をある程度確保する

開業初期は、予期せぬ出費や集客の遅れが発生するものです。経営が軌道に乗るまでの運転資金として、半年分程度のランニングコストに相当する自己資金を確保しましょう。心理的な余裕が生まれ、冷静な経営判断を下せます。

開業を決意したら、計画的に貯蓄を始めましょう。自己資金は、事業の評価によって金融機関からの融資額にも影響します。自己資金が多いほど、金融機関からの信頼を得やすくなり、有利な条件で融資を受けられる可能性が高まるため多いに越したことはありません。

開業後には毎月の収支を予測し、資金の動きを可視化しましょう。いつ資金が不足しそうになるかを事前に把握でき、対策を講じられます。以下のような補助金の活用も検討してください。

小規模事業者持続化補助金

販路の開拓を支援するための補助金

事業再構築補助金

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化に対応するための事業再構築の補助金

IT導入補助金

中小企業・小規模事業者がITツールを導入する際の経費を支援する補助金

差別化ニーズ対応やブランド力の活用を適切にする

フランチャイズに加盟する場合は、本部のブランド力や知名度を最大限に活用して集客力を高めるべきです。開業当初から集客に苦労することなく、多くの顧客を引きつけられます。

特に競合が多い地域では、通常、個人ジムがゼロから認知度を高めるには莫大な広告費と時間が必要です。一方、フランチャイズならそのコストを大幅に削減できます。

加盟店全体で器具などを大量購入するため、個人で仕入れるよりも安価に設備を導入できます。リース制度を利用できる場合もあり、初期費用を抑えられるでしょう。プロテインやサプリメントといった商材も、本部経由で効率的に仕入れられます。

独自ジム経営ならぜひ顧客の多様なニーズに対応できるサービスを導入し、付加価値を高めてください。

  • パーソナルトレーニング
  • ピラティス
  • グループレッスン
  • 栄養指導

上記に加え、以下のようなさらに明確なコンセプトを決めるのもおすすめです。

コンセプト

ペルソナやキャッチコピー

特徴

ターゲット特化型

  • 女性専用
  • シニア向け
  • アスリート向け
  • 学生向け

ターゲットの悩みに特化したプログラムやコミュニティ形成で強い支持を得られる

目的・効果特化型

  • ダイエット専門
  • 姿勢改善専門
  • 腰痛改善専門

短期間での成果を求める顧客に強くアピールできる

結果を出すことで高い口コミ効果が期待しやすい

メソッド・技術特化型

  • パーソナル専門
  • マシンピラティス専門
  • キックボクシング専門

トレーニングの専門性を強調し熱心な顧客層を惹きつけられる

専門性で高い客単価を設定しやすい

場所・環境特化型

  • 早朝営業専門レッスン
  • 都心の一等地にある隠れ家ジム
  • 24時間利用可能

利便性や他にない個性を求める顧客を獲得できる

ターゲットの悩みやニーズに深く寄り添ったサービスを付加すれば、競合との圧倒的な差別化が図れます。

雇用するトレーナーを慎重に選ぶ

ジムの評判は、トレーナーの質に大きく左右されます。

  • 専門知識
  • スキル
  • コミュニケーション能力
  • ホスピタリティ

上記を重視して採用しましょう。質の高いトレーナーは顧客満足度を高め、リピーターを増やし、口コミで新規顧客を呼び込みます。

面接ではどんな顧客層を指導してきたか、その結果どうなったかを具体的に聞きましょう。顧客のビフォーアフター事例や、長期的な顧客の継続率も重要な評価ポイントです。

顧客一人ひとりの体調や目標に合わせ、プログラムを柔軟に調整できる能力があるかも見極めてください。「膝に痛みがある顧客にはどういったアプローチをしますか?」といった具体的なケーススタディを提示してみましょう。

採用活動に悩んだら、リジョブのような専門の求人サービスを活用するのも有効な手段です。

デジタル化での省人化・効率化を行う

受付業務や会員管理、予約管理をデジタル化でシステム化しましょう。人件費を削減し、業務の効率化を図れます。

紙の会員台帳や手書きの予約表から脱却し、オンラインで一元管理すれば受付業務を大幅に効率化できます。顧客自身が、アプリやウェブサイトから予約・変更・キャンセルをできるようにするのもおすすめです。スタッフの負担が減り、人件費の削減にもつながります。

LINE公式アカウントを活用して、顧客とのコミュニケーションを効率化するのもよいでしょう。お得な情報やパーソナライズされたメッセージを配信し、集客や顧客満足度の向上につなげられます。オンラインフィットネス動画の配信や、遠隔でのパーソナルトレーニング指導を提供すれば、既存顧客の満足度を高めつつ新たな収益源も確保できます。

顧客管理をデジタルデータで把握することで、スタッフの配置や設備の増設・入れ替えを効率的に計画できます。新規顧客がどこから来ているか、どのサービスがリピートにつながっているかなどを分析し、マーケティング戦略を最適化できます。

顧客の利用頻度が急に減った場合に自動でアラートを出すシステムを構築すれば、退会しそうな顧客に早期にアプローチし、引き留めるための施策も打ちやすいです。

クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などのキャッシュレス会計システムを導入するのもおすすめです。会計業務のスピードが上がり、入金管理も容易になります。クレジットカードの分割に対応すれば、客単価の向上も期待できるでしょう。

実際にジムを経営し成功した事例を紹介

成功事例から学ぶことは、自身の経営戦略を立てる上で非常に有効です。ここでは、独自の強みを活かして成功を収めているジムの事例をいくつかご紹介します。

通いやすさを売りにして成功した事例

パーソナルジム「かたぎり塾」は、従来の「暗くてスタイリッシュ」というジムのイメージを覆し、白を基調とした優しい雰囲気の空間づくりで成功を収めています。

秘訣はいくつもあるのですが、ひとつ挙げるなら通いやすいジム作りです。一般的にジムは、暗い雰囲気でスタイリッシュというイメージがあると思います。しかし弊社のメイン事業となっている「かたぎり塾」は、コンセプトのもと白を基調としたやさしい雰囲気が漂う空間です。

比較的ハードルが低く感じられますし、パーソナルジムなので周りの目も気にならない。そのような幅広い層が通いやすい環境がここまで店舗展開できた秘訣だと思います。あとは、トレーナー1人ひとりに店舗運営を任せていることも秘訣です。

引用:モアリジョブ|「caname」椎原海斗さん

この事例から、ターゲットが抱く「ジムは怖い、ハードルが高い」という潜在的な不安を解消すれば幅広い層にアプローチできることがわかります。顧客の心理を深く理解し、それに応える空間とサービスを提供するのが成功の鍵です。

女性専用の個室トレーニングで差別化に成功した事例

女性専用のパーソナルジム「REVIA」は、「女性を応援するジム」をコンセプトに、完全個室でのマンツーマン指導を提供し、多くの女性顧客から支持を得ています。

「女性を応援するジム」をコンセプトに女性専用のパーソナルジムとして運営をしています。回数券や週に何回通うか、部位ごとの集中アプローチなどメニューはさまざまですが、すべて個別レッスンなので、トレーニング内容は1人ひとり異なることが「REVIA」の特徴です。お客さまの目標を伺い、体の状態をみて一緒に考えてきます。

(中略)経営として成り立つギリギリのラインまで価格を下げています。お客さまに通っていただくために安い金額でどれだけサービスができるかはオープン当初からずっと課題として考えてきました。安価な分お客さまのほとんどがリピートしてくださるので、安定して売上げがキープでき、好循環が生まれていると思います。長い方は私が前のジムで働いていたときから7年間続けてきてくださっている方もいるんですよ。

引用:モアリジョブ|「REVIA」菜月さん

特定のターゲットのニーズに徹底的に応えて高い顧客満足度とリピート率を実現し、安定した収益を確保している事例です。

まとめ

「ジム経営は儲からない」という認識が誤りである点という内容から、実際の成功事例までを紹介・解説してきた本記事のポイントをまとめると、以下のとおりです。

  • ジム経営は、正しい知識と戦略があれば、安定した高収益を目指せる魅力的なビジネス
  • 市場の現状とトレンドを理解し、明確なコンセプトとターゲット設定が必要
  • 差別化戦略を立てることが成功の鍵
  • 開業前の綿密な準備と、開業後の顧客満足度を高める努力が必要

フィットネス業界は現在売り上げや会員数が上昇傾向にあります。開業前の徹底した戦略立案で、ぜひあなたのジム経営を成功へと導いてください。

Bizリジョブ編集部 プロフィール画像
執筆者情報
Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。