美容・ヘルスケア業界
経営者・採用担当者のためのメディア
美容室集客のコツとは?課題や集客方法を紹介

美容室集客のコツとは?課題や集客方法を紹介

美容室の集客を成功させるためには、事業規模や目標売上に見合ったコストを投入して、スタッフにも協力してもらいながら効率よく進めることが大切です。

株式会社CHIMJUNのアンケートでは、61.4%の人が集客数を課題として挙げています。多くの美容室オーナーが集客に苦労する理由として、競合店の増加により、集客の難易度が上がっていることが挙げられます。

しかし集客は経営の行く末を左右する重要な施策であるため、難易度が高いからといって、棚上げしないことが大切です。

この記事では、集客方法のコツについて、成功事例や客観的なデータをもとに解説します。美容室の集客に力を入れたい場合は、ぜひ参考にしてください。

集客できない美容室が多い理由

集客に苦戦する美容室が多い理由は、美容室数の増加傾向が続いており、競争が激化しているためです。

厚生労働省が出した平成30年度以降のデータによると、美容室の数は令和4年度にかけて増加傾向です。さらに令和2年度以降は、毎年5,000件以上のペースで増加しており、美容室の増加傾向がますます強くなっています。令和4年時点での美容院数は269,889 施設で、前年に比べ5,666施設の増加でした。

▼美容室数の推移

美容所数の年間推移

※「令和4年度衛生行政報告例の概況|厚生労働省」のデータをもとに作図

それに対して、日本の総人口は減少傾向が続いている点にも注意が必要です。総務省統計局のデータでは、令和6年現在の日本人総人口は1億2378万人になっています。

総人口の減少を表すグラフ

これは前年同月に比べて57万人も減少しており、これ以降も人口減少が止まらないと予想されています。

美容室数の増加と人口減少によって、美容室間での競争の激化は続くでしょう。早めに集客に注力しないと、経営が苦しくなる可能性があります。

美容室の集客に関する課題

美容室の集客に関する課題として、リピート率の低さと新規集客数の少なさが挙げられます。集客を成功させるためには、それぞれに対してしっかりと対策を行いましょう。

リピート率の低さ

リピート率が低いと、新規顧客を集客できたとしても、既存顧客の数が増えないため、経営が安定しません。集客に注力する前に、リピート率を高める努力をしましょう。

タカラベルモントがPOSデータをもとに集計した結果によると、3回来店した顧客の割合(3回目のリピート率)の平均は約30%でした。

業界全体の平均を示すものではありませんが、複数の美容室のデータを集計した結果であるため、リピート率の改善を図る際は目安として参考にするとよいでしょう。

新規集客数の少なさ

どんなにリピート率が高くても100%でもない限り、新規集客をできないと徐々に顧客は減っていきます。

一方で新規顧客が増えれば、リピーターも増える可能性が広がり、経営は安定しやすくなるでしょう。新規集客が少ない原因の具体例として、次の2つが挙げられます。

  • 集客数の多い美容室の特徴を把握できていない
  • 良い口コミが多い美容室の特徴を理解していない

これらを理解して対策ができれば、新規集客数を増やすためのヒントが見つかるはずです。

美容室の集客力をアップするためのポイント

美容室の集客力を高めるには、情報発信と口コミを意識しましょう。

スタッフが発信する情報や口コミは、美容室の信頼度や認知度の向上につながります。

これから紹介するスタッフの情報発信の方法と、良い口コミの獲得方法を参考にして、集客力アップを図ってください。

スタッフが情報発信をする

顧客は美容室の雰囲気を重視して美容室を選ぶため、集客を成功させるにはスタッフの情報発信が重要です。

株式会社しんげんが行った美容室選びに関するアンケートによると、最も多かった回答は「美容師の雰囲気や相性」でした。

美容室選びで重視するポイントに関するアンケート

顧客は美容師の個性や雰囲気を重視するため、それをしっかり伝える情報発信が集客成功のポイントとなります。

顧客に「この美容師に任せたい」と感じてもらえる情報発信を心がけましょう。

良い口コミを集める

新規顧客数を増やすための重要なポイントのひとつが、良い口コミを集めることです。

例えば、Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)での評価を上げるため、顧客に口コミを書いてもらうように依頼するとよいでしょう。その際には、ステマ規制法に抵触しないように注意する必要があります。

また悪い口コミを集めないようにするために、顧客対応や接客の質を高めることが大切です。ホットペッパービューティーアカデミーのデータによると、来店前に失客した理由の38.0%が「口コミの悪さ」でした。

リピートしていた美容室を変えた具体的な理由に関するアンケート

悪い口コミの投稿を防ぐためにも、まずは美容師の採用と教育に注力して、顧客の信頼性を高める企業努力を惜しまないようにしましょう。

本項では、良い口コミを集めるためのポイントとして、質の高い人材を集めることとステマ規制法について解説します。

質の高い人材を集める

良い口コミを集めるためには、美容室全体の質の高さが求められます。特に、カットの技術が重要です。

株式会社ROIの「とても良いと感じる美容師はどのような点が優れていましたか?」というアンケートでは、カットの重要性がわかる内容となっていました。

とても良い美容師だと判断できるポイントを聞いたアンケート

顧客が美容師の印象を良くする重要なポイントとして挙げられる回答が、以下の内容となります。

  • カットが上手い:85%
  • 仕上がりがイメージ通り:51%

これらのデータから、技術面を重視する顧客が多数派であるとわかります。そのため、質の高い人材を集めるには、カット技術が高い美容師を採用しましょう。

集客力を高めるためには、美容室全体ではなく、美容師個人の技術に注目して採用や育成の注力が重要です。

ステマ規制に注意する

Googleビジネスプロフィールや口コミサイトなどで口コミの投稿を依頼する際には、ステマ規制に注意しましょう。

そもそもステマとは、ステルスマーケティングの略語で、消費者に広告であると隠して宣伝する手法です。

このステマを規制する法律があり、「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」の運用基準が公表されています。

口コミの投稿を依頼するだけなら問題ありませんが、割引や報酬の提供、または内容を指定すると、ステマ規制法違反のリスクがあります。口コミの投稿を依頼する際は、インセンティブを約束したり、内容を指定したりせずに、投稿をしてほしい旨を伝えるのみにしましょう。

美容室におすすめの集客方法

美容室で集客を成功させるには、コストを意識して集客方法を使い分けるのが重要です。コストのかからない方法と、かける方法の2つを状況に応じてバランスよく取り入れてください。

リジョブのデータによると、43.1%の美容室がホームページやSNSを使って集客を行っています。

これらの方法は工夫次第で、コストをかけずに幅広い人にアプローチでき、美容室の認知度を高める効果が期待できます。

集客のために導入している方法に関するアンケート

一方、35.3%の美容室はチラシやダイレクトメールの配布によって集客を行い、8.8%の美容室は新聞や雑誌の広告を利用して集客しています。

コストはかかるものの、さまざまなターゲット層にアプローチできるため、新規顧客の獲得に役立つでしょう。

「コストのかからない集客方法」と「コストをかける集客方法」について、それぞれ詳しく解説します。

コストがかからない集客方法

できるだけ少ない予算で効率的に集客を行いたい美容室には、InstagramやYouTubeなどのSNSを活用した集客方法がおすすめです。

さらに、Googleビジネスプロフィールに良い口コミを増やして、SNSのフォロワーに見てもらえるようにすると、集客の良いサイクルが生まれるでしょう。

SNSで認知度を高め、美容室に興味を持ったユーザーが口コミを確認できるようにすると、集客数の向上が期待できます。

Instagramを使った集客

Instagramの写真やショート動画を活用し、美容室の魅力を視聴者にうまく伝えましょう。

施術後の写真やヘアアレンジの動画を使えば、美容室のイメージや技術力をユーザーにアピールできます。

さらにコメント機能を活用し、ユーザーとの交流を意識してください。信頼感が得やすくなり、ニーズの合った投稿も作りやすくなるため、より質の高いコンテンツが投稿できます。

これによりフォロワー数が増加し、集客効果を高められるでしょう。

Instagramは無料で写真やショート動画を投稿できるため、美容室の存在を知らないユーザーに対して認知度を高められます。新規顧客を増やすために気軽に活用してみてください。

YouTubeを使った集客

YouTubeは、動画コンテンツをメインとするSNSで、美容室の施術内容や店内の雰囲気をリアルに伝えられます。

動画は情報量が多く、具体的な施術方法やヘアスタイルの作り方の紹介で、視聴者からの信頼が得やすくなるはずです。

例えば、髪の悩みに特化したYouTubeチャンネルを作り、定期的にヘアケアの豆知識を発信すれば、ターゲット層にアプローチしやすく、信頼感も高まります。

さらに、コメント欄での交流を大切にしましょう。視聴者を巻き込んだ企画によって集客効果をより一層高められます。

YouTubeは無料で動画を投稿でき、美容室のブランディング力を高めるための有効なツールのひとつです。うまく活用し、集客力を高める参考に使ってみてください。

Googleビジネスプロフィールを使った集客

集客のためにGoogleビジネスプロフィールを活用する際は、既存顧客に良い口コミを書いてもらう施策から始めましょう。

良い口コミは新規顧客に、雰囲気の良さや施術、サービスの質の良さを伝える重要なポイントです。

接客や施術で既存顧客の満足度を高め、信頼関係を築いた上で、口コミをお願いすれば、自然と良い評価が増えていくはずです。

また、Googleが提供するサービスであるため、口コミが増えると検索結果で上位に表示される可能性が高まります。

無料で利用できるため、予算が限られている美容室でも一定の効果を得られるでしょう。

このように、Googleビジネスプロフィールはコストをかけずに新規顧客を集め、来店数を高めるためのおすすめの集客ツールです。

コストをかける集客方法

集客にコストをかけることで、無料でできる方法以上に、美容室の露出度を高められるため、新規集客が期待できます。主な方法として次の3つが挙げられます。

  • フリーペーパーを使った集客
  • リスティング広告を使った集客
  • SNS広告を使った集客

それぞれについて解説します。

フリーペーパーを使った集客

地元のお客様に来店してもらいたい時には、フリーペーパーをうまく活用してみましょう。

フリーペーパーの購読者は地域の情報誌として利用するケースが多いため、美容室の周辺地域の住民に認知度を高めるために活用しましょう。

ただし、1回の掲載だけでは効果が薄い場合もあります。美容室の認知度を地域に定着させるために、定期的に広告を掲載してください。広告費はかかりますが、長期的には集客力を高められるおすすめの方法です。

リスティング広告を使った集客

リスティング広告を活用すれば、ターゲット層に効率的にアプローチでき、自社サイトへのアクセスの増加が期待できます。

例えば、自社の得意なメニューをアピールするために、そのメニューに関連するキーワードを選んで広告を表示すれば、検索エンジンからのアクセスが期待できます。

また、新しいメニューを開発し、それに合わせたリスティング広告を出せば、さらに効果的な集客が可能です。

リスティング広告は、GoogleやYahoo!などのユーザーが検索したキーワードに合わせて広告を表示する仕組みです。

適切なキーワードを選定できれば、興味を持ったユーザーに広告が表示され、ターゲット層に効率的にリーチできるでしょう。これにより、無駄なく集客ができます。

SNS広告を使った集客

SNS広告は、ユーザーの興味や関心に合わせた広告を配信できるため、潜在的な顧客層を引き寄せやすくなるでしょう。

広告を1回だけで終わらせず、ターゲットを明確にし、適切な媒体を選んで継続的に広告を出し続けてください。

例えば、Instagramではクリックごとの課金方式を選べるため、予算に応じて広告費を調整しながら運用できます。そして広告の効果を分析し、改善を繰り返すと、集客効果はさらに高まります。

面白い企画で集客に成功した美容室の事例

現代の美容業界は、エンターテインメント性や体験を重視したアプローチが集客効果を高めるうえで重要です。

実際に顧客との関係を深めるために、従来のサービスに加え、ユニークなイベントや企画を取り入れるサロンが増えています。

本項では、面白い企画で集客に成功した美容室の事例を紹介します。

YouTubeでイメチェン動画を作って視聴者が美容室に来店

YouTubeの企画作りに悩んでいる美容室は、フリーランス美容師のマツカワリュウドウさんの事例が参考になるでしょう。YouTubeのコメント欄を活用し、視聴者とのコミュニケーションを深めて面白い企画を作り上げています。

  • YouTubeチャンネルの視聴者との交流を重要視
  • 視聴者を美容室のモデルとして招待
  • ヘアメイクや服装を含むイメチェン動画を制作

その結果、チャンネル登録者数が大幅に増加し、美容室としての集客や売上も急増したそうです。

————YouTubeのチャンネル登録者数が増えたことによって、美容師のお仕事にはどんな影響がありましたか?

集客のためにと思っていたわけではないのですが、結果的に集客につながっていて、美容師としての売上がとても増えましたね。登録者数が一気に増えたタイミングで、ありがたいことに予約もどんと増えたという。ただそうすると元々のお客さまの予約が取りづらくなってしまうので、既存のお客さまは2カ月先まで予約できるようにして、ご迷惑がかからないように配慮していました。

引用:モアリジョブ|フリーランス美容師 マツカワリュウドウさん

「自分も参加できる」と感じる視聴者が増え、親近感を持ってもらえた結果、チャンネル登録者数の増加に繋がったのでしょう。

YouTubeは交流を楽しむSNSでもあるため、視聴者との関わりを重視した企画が、集客に効果的です。

イベントで新しい層の顧客を増やす試みが成功

美容室Karunakaralaでは、インストラクターとのコラボイベントを行い、その様子をInstagramで発信したところ、通常とは異なった層の来店者が増加したそうです。

————サロンワーク以外の取り組みはありますか?

「ヨガや占星術など、さまざまなイベントを開催しています。昨年までは『リトリート』というワークショップも行っていて人気でした。『リトリート』は、実際にスリランカを訪れて自分の暮らしを見つめ直す企画です。自然のなかでヘルシーな食事を摂るなどの優しい生活を送るので『心地よいひと時を過ごせてスッキリしました』と、とても好評でした。

ちなみに、先ほど言ったヨガのイベントでは著名なインストラクターの方とコラボをして、その先生がイベントの内容をインスタグラムにアップしてくれました。投稿を見た方がご来店してくださったので、新規のお客さまの集客にもつながりとてもありがたかったですね(笑)」

引用:モアリジョブ|Karunakarala代表 唐澤さん

さらに、イベントを通じてスタッフと既存顧客との関係も深まり、リピート率の向上にも役立ったと言います。

とはいえ、大規模なイベントを開催するのは難しいと感じる美容室も少なくないでしょう。そのような場合には、手軽に実施できるバーベキューイベントもおすすめです。

美容室THE CENTRALでは、「友達の家でくつろぐ感覚」というコンセプトを大切にしており、その延長としてバーベキューイベントを開催しています。

  • 顧客がリラックスできる雰囲気を作る
  • スタッフとの距離が縮まる
  • 気軽に友人を誘ってくれるようになる

このような流れでバーベキューイベントを活用した結果、新規顧客数が増えるのと同時に、リピート率向上にも繋がりました。

バーベキュー大会や、開店1周年、2周年パーティーといったイベントを定期的に開催しているんです。お客さまが友達を誘って足を運んでくださるので、毎回100人くらいの規模になります。イベントをきっかけにお店を気に入っていただいた方が、後日髪を切りにご来店されることも多く、好循環が生まれていますね。

引用:モアリジョブ|THE CENTRAL ゼネラルマネジャーである 小嶋猛さん

イベントの開催は新規顧客の獲得だけでなく、リピーターの増加にも繋がる可能性があります。集客に悩んでいるなら、定期的にイベントを企画してみてはいかがでしょうか?

地元事業者とのコラボイベントを使ってお客様同士を繋げる取り組み

美容室「フルールクレール」では、地域の美容鍼やエステサロンなどの美容系事業者と協力してイベントを開催し、集客に成功した事例があります。

  • イベントの参加者が美容室の存在を知る
  • 好印象を持った参加者が美容室へ来店
  • 新規顧客数が増加

このイベントを通して、美容室と地元事業者との繋がりが深まり、お互いの顧客が増加したといいます。

2019年11月には「駒込美容と健康の会」のうちの5社が、初のコラボレーションイベント「小顔マルシェ」を開催。小顔矯正や痩身、美容鍼、美容室、スキンケアの事業を行う美容のプロたちが一堂に会し、各方面からの「小顔」を提案しながら、お客さまへそれぞれ10分ほどの体験を提供した。1日だけの開催だったが、各社のお客さまを中心に約40名ほどが来場。反響はよく、参加した5社の間でお客さまの相互来店が起きるようになった。

引用:ホットペッパービューティーアカデミー|フルールクレール 代表 田中恵美子さん

イベントの規模が大きくなると、1店舗での開催が大きな負担となりがちです。しかし、地元事業者との連携で、負担を分散すると、イベントを開催しやすくなるでしょう。

地域との繋がりを深めつつ、美容室の認知度を広めたいと考えている美容室は、ぜひ地元事業者とコラボイベントを開催してみてください。

まとめ

美容室の集客を成功させるためには、限られたコストの中で効率的な方法を見つけましょう。

  • SNSや口コミを使った方法:コストをかけずに長期的に活用可能
  • フリーペーパーやリスティング広告を使った方法:露出度を高めて集客したい場合に有効

これらの手法を効果的に使い分けて、集客力を強化しましょう。顧客との交流を大事にしたいのなら、イベントを開催するのもおすすめです。

もし集客に苦戦しているなら集客に強い人材を採用し、経営の改善を図るのもひとつの解決策です。採用に興味がある場合は、弊社の問い合わせフォームからご相談ください。

Bizリジョブ編集部 プロフィール画像
執筆者情報
Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。