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美容師の人材紹介とは?採用時に考えるべき派遣との違いなどもわかりやすく解説

自店で働く美容師を募集するにあたって、人材紹介を利用する方法があります。ただ、人材紹介とは一体どのようなサービスなのか、自店に合っているのかなど、気になる点もあることでしょう。

そこで、今回は人材紹介に焦点を当て、人材紹介は本当に採用できるのか、自社の採用したい人材に出会えるのかといった点や、人材派遣など他の手法との違いについて解説します。

また、おすすめの人材紹介サービスや、実際に利用する人材紹介会社の選び方もお伝えします。

美容師の人材紹介とは

美容師の人材紹介とは

美容業を含む「サービス業」の中途採用の状況を見ると、企業ホームページ・求人検索エンジン・転職サイト・人材紹介・ハローワークを利用している割合が高いと言われています。。そのなかでも、今回は人材紹介について解説していきます。

美容師の雇用形態の種類

人材紹介の解説の前に、雇用形態について理解しておくことが必要です。美容師の雇用形態には、正社員・アルバイト・パート・契約社員・派遣社員・業務委託・面貸しといった種類があります。

正社員とは、会社(美容室運営側)に直接雇われ、雇用期間の定めなく、会社の所定労働時間分だけ(フルタイム)しっかり働く社員のこと。固定給や福利厚生、休日などが決まっていることが多く、安定して働ける形態です。

アルバイトやパートは、正社員と同じく直接雇用ですが、働く時間が正社員に比べて短いことが特徴。学業や育児と両立したい方などでも働きやすい形態です。

契約社員とは、直接雇用で正社員と同じように働きますが、雇用期間に決まりがある形態です。上限は3年で、期間終了後は契約の延長・打ち切り・正社員への登用などの道に分かれます。

派遣社員とは、美容室ではなく派遣会社と契約し、勤務先となる美容室で働く形態。契約社員同様、期間が決まっており、終了後は延長や別のサロンへの派遣などの道があります。

業務委託とは、個人事業主(フリーランス)として美容室と契約を結び、美容室から依頼されて仕事をする形態です。美容室側から、「報酬」という形で働いた分のお金を受け取ります。美容室とは雇用関係ではないため、比較的自由に働くことができるのが特徴です。

面貸し(ミラーレンタル)とは、業務委託と同様に個人事業主として美容室と契約しますが、サロンの一部を借りて自分のお客様にサービスを提供し、美容室に場所代を支払うという形態。複数の事業主が利用する、面貸し専用の「シェアサロン」も増えてきています。

人材紹介の仕組み

人材紹介とは、厚生労働省の認可を受けた企業が、求職者に対して職業を紹介するサービスです。主に「一般紹介・登録型(登録型)」「サーチ型」「再就職支援型」の3つのタイプがあります。

厚生労働省による、「採用における人材サービスの利用に関するアンケート調査 報告書 」では、3つのなかでも大部分(86.8%)を占めるのが登録型。美容師の人材紹介においても、登録型がもっとも多いケースとされています。。

登録型とは、求人が出た際に、登録している求職者に対して求人企業の紹介を行う方法。サーチ型とは、他社に登録している求職者や現役で働く人なども含めて、求人にマッチする人材を探して紹介する方法です。「ヘッドハンティング」とも呼ばれます。

また、再就職支援型とは、リストラなどにあった社員が再就職できるように支援する方法です。「アウトプレースメント型」とも呼ばれます。

人材派遣との違い

人材紹介と混同されやすいものに「人材派遣」があります。

人材派遣とは、派遣社員について前述したように、労働者側は派遣会社と契約し、勤務先の美容室に行って働くという形態。あらかじめ美容室が派遣会社と契約して料金を支払っており、派遣社員の給料は派遣会社から支払われるという仕組みです。

一方で人材紹介の場合は、契約料ではなく、求職者と企業がマッチングした際に「成功報酬(紹介手数料)」という形で企業が紹介会社に支払う形式。マッチングしなければ料金は発生しませんが、成立すれば、相場として求職者の予定年収の30~35%程度を払います。

求職者のスキルを見極めた上できちんと採用したいという場合、会社によっては、まず人材派遣を利用して働き手を試用し、双方がよければ本採用することも可能です。

中途採用に強く、美容室を含むサービス業全体では利用率48.8%

前述にもあるように、 マイナビキャリアリサーチLabの「中途採用状況調査2023年版(2022年実績) 」によれば美容業を含めた「サービス業」における人材紹介の利用率は高く、48.8%と半数近くが利用しています。

ただし、業種を問わず全体的に見た場合、人材紹介は従業員数が少ない企業ほど利用割合が低いです。300名以上の規模の企業では55.8%なのに対し、50名以下の企業では25.8%と、ハローワーク(49.8%)や転職サイト(34.1%)などのほうが多く利用されています。

このような状況下において、美容室が人材紹介を利用するメリットやデメリットはどんな点なのかを次章で解説します。

美容室の求人で人材紹介を選ぶメリット・デメリット

ここからは、美容室で人材を探す際に、人材紹介を利用することのメリットやデメリットを見ていきましょう。

なお、今回お伝えする内容は、主に正社員・契約社員・業務委託を採用する際についてです。また、下記の内容に当てはまらないサービスもあり、すべての人材紹介がそうだとは限らないこともあわせてご理解ください。

メリット1:詳細な条件を理解し的確なマッチングができる

厚生労働省の『「 職業紹介事業に関するアンケート調査結果の概要」 によると、人材紹介を利用する理由として、「マッチングの的確性が高く、希望する能力を持った求職者を採用できる(マッチングの的確性)」の割合が52.3%、「専門性の高い人材や熟練した人材の紹介を受けることができる」が32.2%と高いです。

美容師の求人においては、業界に精通した人材紹介であれば、アシスタントかスタイリストか・実務経験・資格などのスキル要件をもとに求職者を選んでくれます。

実際に人材紹介を利用した方々の口コミ例を見てみましょう。

【募集側(企業)】

  • 最初にしっかりヒアリングしてくれ、自分たちのこだわりや想いなどを最大限に考慮して人材を選んでくれる
  • 求職者にしっかりサロンの情報を説明してくれるので、入社後のギャップが生まれにくい
  • 対応やレスポンスがスピーディーで、素早く採用に至った

【求職者側(美容師)】

  • 面接までの対応が早く、スムーズだった
  • 気軽に相談しやすく、面接後や入社後のアフターケアも充実している
  • 親切・丁寧に対応してもらい、自分に合った職場の候補をピックアップしてもらえた
  • 初めての転職で不安ななか、担当者の対応がよく、安心して利用できた

このように人材紹介サービスは、あらかじめ求人を募集する企業の話を入念にヒアリングし、親身になって求職者の相談に応じながらスムーズにマッチングさせる、という点が特徴です。

引用:美容専門の求人紹介会社 サロンdeジョブの口コミ事例

メリット2:面接調整・条件交渉などを仲介してくれる

募集側と求職者側間での面接の日程調整や就業条件面の交渉を、仲介で行ってくれる人材紹介会社もあります。そのため、マッチング度や採用スピードが上がりやすいことがメリットです。

上述のアンケート結果では、人材紹介を利用する理由として「迅速に求職者を確保することができる(採用に至るまでのスピード)」も34.4%と高割合です。

前項の口コミからもわかるように、主観ではなく客観的に、募集側にも求職者側にも喜ばれるサービスとして提供されています。

デメリット1:採用率が転職サイトと比べて低い

美容師の転職先の探し方に関するある調査によると、TOP3は「知人の紹介」「求人サイト」(転職サイト)「ハローワーク」でした。人材紹介サービスには「転職エージェント」が該当しますが、割合はこれらよりも比較的低いです。

前述のマイナビキャリアリサーチLabで転職サイトと人材紹介を比較してみると、従業員規模が3~50名の企業で実際に採用に至ったのは、転職サイトでは17.6%でしたが、人材紹介では9.7%と1割にも満たない結果に。

「採用になった数÷利用数」でいうと、転職サイトは約50%であるのに対し、人材紹介は37%と低いです。

美容師の転職活動において、転職サイトに比べて求職者の利用率が低いなかで、人材紹介は条件にマッチする求職者が登録していればよいですが、していないと採用自体ができません。

デメリット2:人材紹介手数料の存在

人材紹介会社を利用してマッチングした際、企業側が支払う手数料は、年間平均で340.7万円という結果が出ています。他の採用方法を見てみると、求人広告は117.9万円、求人検索エンジンは113.1万円などで、人材紹介はその3倍ほどと高めです。

美容室のみのデータではありませんが、厚生労働省の 調査報告書 によれば、実際に人材紹介を利用した企業も、38.9%が「手数料を安くしてほしい(サービスに見合った手数料にしてほしい)」という要望を持っています。

人材紹介は、「人が間に入る分のコストをかけてでも、本当に必要な人とマッチングしたい」という際に役立ちます。しかし、良い結果が出たとしても費用対効果が良いとは限らない、ということも頭に入れておきましょう。

美容師の採用でおすすめの人材紹介サービス5選

さまざまな人材紹介サービス・サイトがあるなかで、利用している企業が多い・歴史があるといった判断基準から、美容師の求人におすすめしたいものを5つ挙げます。

利用したい方は、それぞれのサービスの特徴をもとに、自社に適切なものを選んでいただければ幸いです。(※数値は特に記載のない場合、2023年8月時点のものです)

リクエストQJエージェント

7500社以上のサロンが利用している国内最大級の美容師紹介サービス、「リクエストQJエージェント」。非公開で求人を出したい・積極募集はしていないがよい人材を見つけたい、などの要望を持つ美容室に支持されています。

2023年6月のサイト閲覧数は約1100件。美容業界に精通したコンサルタントが担当し、求職者にサロンの魅力を存分にアピールしてくれます。体験入店システムを利用して、求職者に最長1週間、お試しで働いてもらうことも可能です。

リクエストQJエージェント

美容師求人.com

美容師求人.comは、スタッフクリエイションが運営する、美容師専門の人材紹介サービスです。1万3000件以上の掲載があり、年間利用者数も20万人以上と大規模。2023年6月のサイト閲覧数も、約1万1100件ありました。

求人募集するサロン側にとってありがたいのが、紹介手数料の返金保証があること。マッチングして採用したのち、万が一すぐに人材が退職してしまった場合、採用から2週間以内の退職なら100%、1カ月以内なら80%など、最大3カ月以内までの保証がついています。

美容師求人.com

beauty mirai agent(ビューティーミライエージェント)

ビューティーミライエージェントは、主に美容師や理容師の求人を取り扱っているサイトです。2023年6月のサイト閲覧数は136件と、上記2サイトに比べて少ないですが、美容師の求人数は東京都で約4000件、神奈川県で約1500件と、決して少なくありません。

キャリアパートナーが真摯に対応し、理想の人材との出会いを仲介してくれます。

beauty mirai agent

株式会社関西理美容師紹介所

株式会社関西理美容師紹介所は、およそ30年の歴史がある、近畿エリアを中心とした人材紹介サービスです。新規オープンでのスタッフ探しやヘルプスタッフ(単発・短期)の募集など、美容室の状況に合わせて優れた人材を紹介してくれます。

2023年6月のサイト閲覧数は291件。エリアが絞られているので、特に関西で優秀な美容師を探したいサロンにはおすすめです。

株式会社関西理美容師紹介所

リクルートエージェント

人材紹介サービスのなかでも名高いであろう「リクルートエージェント」は、総合業種を取り扱っているサービス。美容師の公開求人案件数もおよそ3000件と多く、全国各地の求人情報が掲載されています。

大手企業「リクルート」が手がけていることもあり、2023年6月のサイト閲覧数(美容に限定しない)は490万件とずば抜けていることが特徴。信頼と実績の両面で、安心感の高いサービスといえるでしょう。

リクルートエージェント

美容室の人材紹介会社の選び方

前述でも触れた厚生労働省の調査報告書では、人材紹介を利用した企業によるサービスへの要望から、人材紹介サービスにとっての課題も読み取れます。そこで各要望について、サービスの選び方と絡めながら解説していきます。

採用条件と求職者のマッチ度

まず、「経験やスキルなどの条件に合った求職者を紹介してほしい」(37.4%)という要望からわかるのが、企業が希望する人材への条件と、実際に紹介してもらった求職者のマッチ度が低いというパターン。登録者数や紹介担当者のコミット具合などの要因が考えられます。

人材紹介を通じてうまく採用するためのポイントとしては、美容師の求人であれば、美容業界に精通している・美容師の求人を多く取り扱っているなどの強みを持つサービスを利用すること。ミスマッチを防ぐために、実績なども参考にしながら選ぶとよいでしょう。

入社後の定着率

「入職後、きちんと定着してくれる人を紹介してほしい」という要望も35.8%ありました。

「紹介」という形のため、求職者が自分から意欲的に就職先を探して入社する場合に比べ、企業への理解度や温度感が低くなることもあるようです。その結果、就職後に「思っていたのと違う」と感じ、定着できずに退職する人もいます。

そこで、給与・入社日などの条件交渉や、求職者側の懸念へのフォローなどを行っている人材紹介会社もあります。定着率を高めるための対策としてそのようなサービスを利用し、事前にしっかりすり合わせを行って、長く働いてくれる人材を手に入れましょう。

登録求職者の数

企業からは「登録求職者の数を増やすなどして、できるだけ多くの求職者を紹介してほしい」という声も。どれくらいの求職者が登録しているかは、サービスによってまちまちです。そのため、比較して選ぶ方法もあります。

登録者数が公開されていない場合は、

  • サイトのPV数
  • 検索した際に上位に表示されるか
  • LINEを使っている場合は公式アカウントの友達数

が参考になるので、チェックしてみてください。

まとめ

今回は、前半で人材紹介の概要やメリット・デメリットをお伝えし、後半では具体的なサービスの例や選び方のポイントを解説しました。自社にとってそもそも人材紹介という方法が必要かどうかも考えつつ、利用を検討してみてください。

人材紹介が適していると判断できたら、マッチ度や定着率、サービスへの登録者数といった点をしっかりチェックした上で、利用するサービスを選びましょう。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。