ハローワークで求人掲載する場合の料金は?掲載するメリットやデメリットについても解説
ハローワークの求人掲載料は無料なので、採用コストをあまりかけられない小規模事業者や中小企業を中心に、多くの事業者が利用しています。
しかしハローワークには、人材のマッチングや掲載までのスピードについて不安な点もあります。不安要素を補いたい場合は、必要に応じて有料媒体の利用も検討したほうがよいでしょう。
本記事では、ハローワークの掲載料金やメリット・デメリット、有料媒体との併用をおすすめするケースについて解説します。
ハローワークの求人掲載料金は無料
ハローワークは掲載から採用まで完全に無料で利用できる求人サービスです。なぜなら、営利を目的にした民間企業が運営するのではなく、公共福祉事業の一環として厚生労働省が提供するサービスだからです。
掲載が無料の民間サービスでも、採用成果報酬や、求人の露出を増やすための課金が必要な場合が多いです。マイナビの中途採用に関する調査によると、平均的には一人当たり20万〜80万の採用費用が必要な中、完全無料で採用できるメリットは大きいと言えます。
無料で利用できることもあり、小規模事業主や中小零細企業などの採用に多くのコストを割けない事業者も利用しやすいことが魅力です。
ハローワークで求人を掲載する方法
ハローワークで求人を掲載するためには、事業所情報と求人情報の2つを仮登録する必要があります。
仮登録をハローワークの担当者が確認して、問題がなければ本登録となり求人情報が掲載されます。仮登録はパソコンを使ってインターネットで登録することが基本で、ハローワークや会社にあるパソコンから登録可能です。
パソコンで登録できない場合は、紙の申込用紙に記入して窓口に提出すると、求人掲載の手続きを進められます。
なお、職員が求職者に求人を紹介するハローワークと求職者がインターネットで求人を探すハローワークインターネットの2つのサービスがあります。それぞれを別々に登録する必要はなく、事業者情報と求人情報を登録すれば両方とも利用可能です。
ハローワークに求人を掲載する際に必要な手続きについては、次の記事をご覧ください。
ハローワークに無料で求人掲載するメリット
三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社の調査によると、ハローワークに求人を掲載するメリット(ハローワークを利用する理由)は多いものから順に次のとおりでした。
アンケートの項目 |
ハローワーク |
ハローワークインターネットサービス |
---|---|---|
採用に係るコストが安い |
82.9% |
81.3% |
多くの求職者からの応募が期待できる |
29.1% |
28.6% |
希望する能力を持った求職者を採用できる |
20.8% |
18.1% |
迅速に求職者を確保することができる |
8.3% |
11.0% |
専門性の高い人材や熟練した人材の紹介を受けることができる |
6.8% |
8.2% |
就職後の離職率が低い |
5.1% |
2.2% |
他の人材サービスでは採用につながらない |
4.8% |
3.3% |
苦情やトラブルの際に的確に対応してもらえる |
4.0% |
3.3% |
就職後のアフターケアが充実している |
1.1% |
0.5% |
就職のために必要な教育訓練が充実している |
0.9% |
1.6% |
その他 |
6.3% |
5.5% |
ハローワークは無料で掲載できるため、採用コストが安いことに魅力を感じる利用者が多いようです。
無料で求人を掲載できると、次のような利点が考えられます。
- 無料で掲載できるため、人材が見つかるまで採用活動を続けやすい
- 採用に予算が避けない場合でも、コストを抑えて採用活動を進められる
- コストがかからないため、求人の方法を試行錯誤しやすい
次の記事では、無料で求人する方法を紹介しているので参考にしてください。
また令和4年時点で、ハローワークを利用する求職者数は約17.1万人もいるため、多くの求職者からの応募を期待して利用する企業も比較的多い傾向です。
ハローワークの担当者が求職者と面談するシステムになっているため、希望する能力を持った求職者を採用できたと考える企業も一定数存在します。
ハローワークに無料で求人掲載するデメリット
先述した三井UFJリサーチ&コンサルティングの調査では、ハローワークを利用する理由として、「希望する能力を持った人材・専門性がある人材の紹介を受けることができる」や「迅速に求職者を確保することができる」などの項目が低い結果でした。
これは裏を返すとハローワークが他の媒体よりも劣る要素とも考えられ、以下のデメリットがあるといえます。
- 他の媒体と比べて、希望する能力を持った人材・専門性がある人材の紹介を受けられない
- 他の媒体と比べて、迅速な求職者の確保が難しい
そして、それぞれのデメリットに影響を与えるハローワークの特性として、「ターゲットとは異なる人材からの応募があること」や「求人の掲載開始までに手間がかかること」などがあげられます。
ターゲットとは異なる人材からの応募がある
掲載できる情報量が乏しいためか、ターゲットとは異なる人材からの応募が多いケースもみられます。応募者数の増加により面接する母集団も拡大して、選考に手間がかかる可能性があります。
自社の仕事内容や雰囲気を求職者に知ってもらうためには、自由記入欄に仕事内容や職場の状況を詳しく書くことが大切です。
しかし、ハローワークの求人情報で自由に記入できる箇所は、主に下記の3つに限られます。
- 仕事内容(360文字)
- 事業所からのメッセージ(600文字)
- 求人に関する特記事項(600文字)
画像の掲載もできないため、店舗や職場の雰囲気などの、言語化が難しい内容を伝えづらいこともデメリットとして考えられます。
求人掲載までに手間がかかる
事業所情報と求人情報は続けて登録することになりますが、両者を合計すると記入事項が60項目を超えます。
さらに難しい専門用語も出てくるため、自分で調べたり、ハローワークの担当者に尋ねたりしながら書くケースも多く、すべて入力するまでに時間がかかる可能性があります。
また、インターネットで仮登録しても窓口で内容を確認して本登録となるため、ハローワークへの訪問が必要です。場合によっては、ハローワーク職員による事業所訪問があり、さらに時間のかかる可能性があることもデメリットとして考えられます。
人手不足ですぐにスタッフが必要な場合は、ハローワークだとスタッフの補充が間に合わないかもしれません。
有料の求人掲載を検討すべきケース
有料の求人掲載を検討すべきケースとして、自社にマッチした人材を採用したい場合や採用までの時間が限られる場合が考えられます。
自社にマッチした人材を採用したい場合
自社にマッチした人材を採用したい場合は、有料の求人掲載の併用を検討するとよいでしょう。
「企業等の採用手法に関する調査研究」報告書によると、新規事業を立ち上げる「変革人材」や事業の中核を担う「中核人材」を採用するためには、人材紹介会社やダイレクトリクルーティングを採用戦略に取り入れることが示されています。
ハローワークの求人情報には書ける内容が限られる反面、求人紹介会社などの有料媒体であれば書ける内容の自由度が高く、文字数も多い傾向です。画像の掲載ができるケースも多いことから、求職者に豊富な情報を提供できます。
求職者が自分に合った企業を見定めやすくなるうえに、採用側も求める人物像を伝えやすくなるため、自社にマッチした人材からの応募を集めやすくなると考えられます。
たとえば弊社リジョブの場合、次のような豊富な掲載内容でターゲットにアピールできます。
【リジョブの掲載内容】
- 夢・想い
- 募集要項
- 基本画像(5枚)
- 職場の詳細
- メニュー・客層
- オーナーからのメッセージ
- 店舗動画
- スタッフプロフィール
- 店舗アルバム(最大10枚)
さらに「リジョブ」は、求職者の経歴やプロフィールを見てスカウトできる機能も実装しており、それをダイレクトリクルーティングに応用することも可能です。
美容・ヘルスケア関連の求人に強いリジョブの詳細について詳しく知りたい場合は、詳細資料を無料でダウンロードしてご覧ください。
関連リンク
採用までに時間が限られる場合
有料求人サイトは申し込みから求人票の掲載までがすべてインターネットで完結するため、ハローワークよりも求人の掲載までの時間がかからないと考えられます。
また、たとえば転職エージェントなどの人材紹介会社は担当者のサポートを受けられるため、企業が採用に費やす工数の削減にもつながるでしょう。採用に人的リソースを割く余裕がない場合にも、有料媒体を有効活用できます。
中途採用のほぼ全員を人材紹介会社経由で採用している。人事部の工数削減が大きな理由となっている
応募者とも求人サービスを介して直接やり取りができるため、面接日時の決定も迅速に進められます。
すぐに人材が必要な場合は、ハローワークと一緒に求人サイトの利用も検討したほうが、スタッフの欠員を早めに補えるでしょう。
インターネットで職場探しをする求職者にもアプローチしたい場合
インターネットで職場を探す求職者にしっかりとアプローチしたい場合は、有料求人サイトの利用をおすすめします。
なぜなら、ハローワークインターネットサービスの求人情報はインターネットで検索しても上位表示されにくいからです。
たとえば「美容師 求人」と検索すると、上位には民間の求人サイトばかりが表示されます。
ハローワークの情報を取得して表示するサイトもありますが、有料の求人サイトの方がSEO対策を徹底する傾向にあります。そのため、「〇〇 求人」「〇〇 採用」などの求人系のキーワードで検索すると、検索結果の1ページ目には有料の求人サイトばかりが並ぶことが多いのです。
インターネット検索で求人を探している求職者を取りこぼしたくない場合は、有料の求人サイトの利用も検討したほうがよいでしょう。
また有料媒体においては、近年は次の傾向が見られます。
- アグリゲーション型求人検索エンジンの登場により、複数の求人媒体を跨いで検索がなされるようになっている。
- ライター等を活用し、単なる求人要件や職務内容だけではない企業や仕事の魅力を求職者向けに発信するような求人広告が登場している。
- AI 求人レコメンドにより、自身の経歴や閲覧履歴等を踏まえて求人のレコメンドがなされている。
有料媒体には、採用活動を効率化するためのさまざまなサービスや機能が登場しています。インターネットの検索と合わせて以上の利点を活かすことで、自社にマッチした人材を採用しやすくなるでしょう。
まとめ
本記事の内容を総括すると次のとおりです。
- ハローワークは国が運営する施設なので無料で掲載できる
- ハローワークは無料で掲載できるメリットがある反面、人材のミスマッチや手間などのデメリットがある
- 状況によっては有料の求人サイトの利用も検討したほうがよい場合もある
採用コストに余裕がない場合は、まずは無料のハローワークに求人を出稿するとよいでしょう。ハローワークでは求める人材からの応募が集まらなかったり、早急に人材を確保する必要があったりする場合は、有料媒体の利用も一緒に検討することをおすすめします。
- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部