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派遣の柔道整復師に働いてもらうメリットや注意点を解説

派遣の柔道整復師に働いてもらうメリットや注意点を解説

厚⽣労働省 「労働者派遣事業報告(年度報告)」によると、リーマンショックの影響でいったん減少した派遣事業者は再び増加しています。派遣スタッフへの需要拡大を受けて、派遣事業者が増加していると考えられます。

現在は正社員だけではなく、非正規雇用や業務委託契約で働く人材も増え、働き方が多様化しています。そのような状況のなかで、派遣会社に柔道整復師の派遣を依頼してスタッフを確保しようと考える整骨院・接骨院オーナーもいるのではないでしょうか。

本記事では派遣の柔道整復師に働いてもらうメリットや注意点を解説します。派遣会社にスタッフの派遣を依頼するためには一定の費用もかかるので、費用対効果を考えて活用を検討してみてください。

柔道整復師の派遣とは

柔道整復師を雇用する際には、派遣よりも正社員の採用が一般的です。しかし、なかには派遣で働く柔道整復師も存在するので、派遣会社に依頼して柔道整復師を確保するのも1つの手段です。ここでは、派遣で働く柔道整復師の割合や派遣の仕組みと他の雇用方法との違いについて解説します。

派遣で働く柔道整復師の割合

厚生労働省運営の職業情報サイト「jobtag」によると、派遣で働く柔道整復師が全体に占める割合は4.2%です。

▼柔道整復師の雇用形態

柔道整復師の雇用形態

正社員として働く柔道整復師の約7分の1となり、あまり多くないことがわかります。

派遣の仕組み

派遣は、派遣スタッフと派遣先の会社、派遣会社の3者で成り立つ仕組みです。派遣スタッフと雇用契約を結ぶのは派遣会社であり、派遣スタッフに働く場を提供する派遣先の会社とは雇用関係を結ばない点が特徴です。

▼派遣制度の仕組み

派遣制度の仕組み



柔道整復師に派遣スタッフとして働いてもらう場合、整骨院や接骨院は柔道整復師と雇用契約を結ばずに、派遣会社と派遣契約を結びます。派遣スタッフとして訪れた柔道整復師には、契約にて定められた範囲で業務遂行を指示できます。

派遣と他の雇用方法との違い

派遣と他の雇用方法との違いを表にまとめると次のとおりです。(※1)

雇用形態

雇用主

特徴

正社員

職場のオーナー

  • 契約期間を定めずにスタッフを雇用する
  • 1日8時間のフルタイムで働くのが一般的
  • 勤務時間が少ない短時間正社員と呼ばれる雇用のやり方もある

契約社員

職場のオーナー

  • 契約期間を定めてスタッフを雇用する
  • 雇用期間の上限は基本的に3年
  • 契約期間が満了したら雇用契約は自動的に終了

パート・アルバイト

職場のオーナー

  • 一定の時間や条件で働く雇用形態
  • 繁忙期や閑散期に合わせて勤務時間を自由に調整できる

派遣社員

派遣会社

  • 社員が雇用契約を結ぶのは派遣元となる会社
  • 業務を指示する会社と賃金を支払う会社が異なる

業務委託契約

なし

  • 雇用契約を結ばずに業務委託でスタッフに働いてもらう
  • 仕事やサービスの完了を持って報酬が支払われる
  • 柔道整復師の場合、施術を担当した数や時間で報酬が決まる

※1 さまざまな雇用形態|厚生労働省

派遣会社を活用して柔道整復師を確保するメリット

厚生労働省の調査をもとに、柔道整復師の派遣スタッフに働いてもらう主な理由を、多いものから4つ挙げると次のとおりです。

派遣スタッフに働いてもらう理由

回答の割合

欠員補充等必要な人員を迅速に確保できるため

66.9%

軽作業、補助的業務等を行うため

45.3%

一時的・季節的な業務量の変動に対処するため

41.7%

専門性を活かした人材を活用するため

40.2%

※2 柔道整復師が属する職業分類「専門・技術サービス業」のデータを掲載

以上について、柔道整復師に求められる働き方に当てはめながら、派遣会社を利用するメリットを紹介します。

スタッフを早く確保できる

整骨院は時期的な要因で業務量の変化が見られる業種です。繁忙期には欠員が出ることも予想されるので、派遣会社を活用することでスタッフを早く確保できる点は魅力です。

具体的には次の時期は来院数が増えるため、業務量が増加する可能性があります。

  • 4~5月:一般顧客の新生活の疲れが出やすい時期
  • 6~7月:8月に開かれる中体連や高校総体に向けた練習でのケガが増えやすい時期

他にも地域によっては、祭りや市民マラソンなどのイベントの前後で来院数が増えることもあります。一方で冬場は、高齢者を中心に比較的患者数が減少しやすい時期で、閑散期になることも多いです。

即戦力を確保できる

整骨院や接骨院で保険請求をする場合、施術は柔道整復師が担当することが法律で義務付けられています。

柔道整復師は国家資格の取得が必要で専門性が高いため、募集をしても適切な人材が見つからない場合もあります。そのような場合に、派遣会社を利用すると柔道整復師の資格を持ったスタッフを確保できる可能性があります。柔道整復師の資格を持ったスタッフであれば、即戦力として保険を適用した施術を担当してもらえます。

とくに昨今は、柔道整復師の取得に必要な国家試験の合格率が低下しており、資格取得が難しくなっています(※3)。今後も柔道整復師の確保が難しくなると予想されるので、柔道整復師を手配できる派遣会社を見つけておくと、人材確保が有利になります。

柔道整復師の即戦力を確保したい場合は、リジョブの活用もおすすめです。リジョブは、ヘルスケアに特化した転職サイトなので、一般的なサイトよりも多くの柔道整復師が登録しています。下記より資料をダウンロードできるので、ぜひ参考にしてください。


※3 公益財団法人 柔道整復研修試験財団が公開するデータより合格率の推移を確認

派遣の柔道整復師に働いてもらう場合の注意点

派遣された柔道整復師に働いてもらう場合は、派遣契約を守ることが大切です。さらに柔道整復師の保険業務に関する法律や派遣に関連した法律の違反を防ぐためにも、関連法規を事前に確認しておきましょう。

契約以外の仕事を指示できない

派遣スタッフには契約で定められた本業以外の仕事を依頼できないので注意しましょう(※4)。たとえば、柔道整復師の場合、施術を担当してもらうように契約に定められていたら、施術以外のそうじや受付などの業務は依頼できません。

柔道整復師の場合、顧客サービス向上のためにも施術スキルを高めるための練習やチームワーク向上のためのミーティングなどへの参加が欠かせません。派遣スタッフを依頼すると、このような本業以外の業務を依頼しづらくなるため、顧客サービスやチームの足並みに影響を与えるリスクも把握しておきましょう。

※4 派遣相談事例集(Q28)|厚生労働省

契約にない残業をさせられない

派遣先の会社は派遣契約で定められた就業日や就業時間、残業時間の限度を守る必要があります(※5)。そのため契約に残業時間の規定がない場合は、派遣スタッフに残業をさせられません。また残業時間が規定されている場合は、その範囲内で残業をさせる必要があります。

レセプトの記入を柔道整復師が担当することも多く、レセプト請求に向けた月末の残業が必要になることもあります。その場合は、予め派遣会社と話し合い労働基準法で定められた範囲内で契約内容に含めるようにしましょう。

※5 派遣相談事例集(Q34)|厚生労働省

法律で定められた保険の業務範囲を守る

柔道整復師法では、保険を請求できるのは柔道整復師が施術を担当したときのみであることが定められています。法律にも次のように記されており、医師や柔道整復師以外が施術を行っても、保険を請求することができません。

医師である場合を除き、柔道整復師でなければ、業として柔道整復を行なつてはならない。

引用:柔道整復師法 第十五条 

たとえば、無資格の整体師が施術を担当して保険を請求すると、法律違反になります。保険を適用する施術を担当してもらいたい場合は、必ず柔道整復師に限定して派遣スタッフを依頼しましょう。

派遣スタッフが働ける期限を守る

派遣スタッフが同じ事業所で働ける期間は、原則3年以内と法律で定められています(※6)。3年を越えて派遣スタッフに仕事を依頼する場合は、次のような措置が必要です。

  • 別の派遣スタッフに交代してもらう
  • 同じ派遣スタッフに別の課で働いてもらう
  • 同じ派遣スタッフを正社員として雇う

同じ派遣スタッフが働ける期限が3年以内であることを念頭に置いて、派遣会社に依頼しましょう。

※6 派遣で働く皆様へ|厚生労働省

費用がかかる

派遣スタッフを依頼する場合は、一定の費用がかかることを把握しておきましょう。厚生労働省の調べによると派遣スタッフの受け入れをしない理由として、25.6%の企業が「費用がかかり過ぎるため」と回答しています。

また「労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、令和4年における派遣料金は全業務平均で1日(8時間換算)あたり24,909円でした。派遣スタッフを依頼する場合は、その費用対効果をしっかりと検証した上で依頼を検討することが大切です。

派遣会社に柔道整復師を依頼する際のポイント

派遣会社に柔道整復師を依頼する際には、派遣期間中の離職を防止するための対策や社員の確保も同時に考える必要があります。

派遣期間中の離職を防ぐ

派遣期間中に派遣スタッフが離職する可能性があるため注意しましょう。派遣スタッフも正社員のスタッフと同じように、職場とのミスマッチや労働条件面の不満などで辞める可能性があります。

派遣先でお仕事をして2日目です。

職場の雰囲気が合わず、派遣先が求めている人材とわたしとでは合わないと感じて退職の意を伝えました。

引用:Yahoo!知恵袋

(退職する)本音は、お金に困ってなく、時間が欲しくて派遣にしたのに定時に帰れない、正社員より業務が多くて頑張っていても給料も上がらないしボーナスも無いなら他の仕事先でもいいと思っている。

引用:Yahoo!知恵袋

派遣期間中の離職を防ぐためには、派遣スタッフの雇用主となる派遣会社と条件面や働き方についてすり合わせを行っておくことが大切です。

正社員の確保も考える

派遣スタッフの場合、依頼できる業務や残業時間などが制限されているため、柔軟に業務に対応しづらい点がデメリットです。そのため事業規模の拡大にともない新店舗を開いたり、複数のスタッフを統括する人材が求められたりしたときに、不便かもしれません。

事業規模の拡大を目指すのであれば、マネジメント業務を任せられる人材を確保するためにも、正社員の確保も考えることが大切です。派遣社員を正社員として登用する制度を活用したり、採用活動を継続したりして正社員の確保に努めましょう。

派遣の社員登用制度

派遣の社員登用制度を活用すると、派遣スタッフの期限である3年以上が経過しても、引き続き正社員として同じスタッフに働いてもらえます。3年間の派遣期間の間で、整骨院や接骨院の業務にも慣れ、成果が出せる状態になっている場合は、派遣スタッフを正社員として雇用することも検討するとよいでしょう。

紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、直接雇用をすることを前提として派遣会社にスタッフを依頼することです(※7)。両者が正社員の雇用について合意したら、派遣スタッフが正社員として派遣先の会社で働くことになります。

派遣会社に依頼すればスタッフを確保できる上に、自社にマッチした人材であれば正社員として雇用できます。採用活動をすることなく自社に合った正社員を確保できる点が、紹介予定派遣のメリットです。

※7 紹介予定派遣の概要|厚生労働省

採用活動を継続する

柔道整復師は有効求人倍率が高く、企業間でも人材確保の競争が激しい業種です。厚生労働省が運営する職業情報サイト「jobtag」によると、柔道整復師の有効求人倍率は3.6倍(2024年6月時点)です。

3~4社が1人の柔道整復師を取り合っている状況なので、正社員を急に雇用しようとしても難しいと考えられます。そのため、日ごろから正社員を確保できるように、採用活動を続けることが大切です。

柔道整復師の正社員など、直接雇用したい場合は、ヘルスケア関連の業種に特化したリジョブがおすすめです。豊富な求職者のなかから気になる人材にスカウトメールでアプローチできる点も魅力です。詳しい資料は下記からダウンロードできるので、ぜひご覧ください。

 

まとめ

本記事を総括すると次のとおりです。

  • 派遣のメリットだけではなく注意点を把握したうえで派遣スタッフの活用を検討する
  • 派遣スタッフが対応できる時間や業務は契約により制限される
  • 派遣スタッフに働いてもらいながら採用活動を継続させて正社員の確保に努めることも重要

派遣会社にスタッフの派遣を依頼する場合はメリットとデメリットを把握した上で、派遣料金も確認し、費用対効果を考えながら検討しましょう。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。