営業時間内は施術に追われ、残業で施術以外の業務に対応しているネイルサロンは珍しくありません。勉強を理由にサロンに残り続けるスタッフもおり、ネイリストたちの労働時間管理が気になっているサロンオーナーも多いのではないでしょうか。
多くのネイルサロンでは、労働時間への考え方や実態に共通の問題があり、対策を講じる必要があります。本記事では、働き方によるネイリストの勤務時間の違いや、ネイリストの労働時間における問題とともに、労働時間に関連する法令やサロンオーナーに求められる対策について解説します。
働き方によるネイリストの勤務時間の違い
厚生労働省のjobtag によると、ネイリストの平均労働時間は169時間でした。ただし、ネイリストの就業形態には正社員・パート・自営・アルバイトがあり、働き方によって勤務時間が異なります。ここでは、それぞれの働き方によるネイリストの勤務時間について解説します。
正社員
正社員の場合は労働基準法に則り、1日8時間・週5勤務のシフト制を採用しているサロンがほとんどです。休憩時間は、8時間勤務であれば1時間〜1時間半が一般的です。予約が埋まっている場合はまとまった休憩をとるのが難しく、施術の合間に小分けにして休憩します。
休憩を含めると、1日9時間(実働8時間)ネイルサロンにいることになり、自主練習の時間と合わせるとサロンにいる時間がさらに長くなるネイリストも多く存在するようです。
また、ネイルサロンは平均10時間〜12時間営業している場合が多く、早番と遅番に分かれているお店もあります。早番勤務と遅番勤務の場合のタイムスケジュール例は以下のとおりです。
▼早番勤務の場合
9:00~ |
出勤 |
・開店時間30分~1時間前に出勤する。 ・店内の清掃や備品補充、道具の手入れ、予約確認などの開店準備をする |
10:00~ |
開店 |
・メイン業務はお客様の施術 ・お客様1人当たりの平均施術時間は1~2時間程度 |
14:00~ |
休憩 |
・予約が空いたタイミングで昼休憩をとる ・来客状況によってはまとまった休憩時間を確保できず、時間を分けたり、休憩自体とれなかったりする場合もある |
15:00~ |
お客様対応 |
・引き続きお客様の施術を行う ・隙間時間でサンプルチップの作成や備品対応、シフト作成などの事務作業も行う |
17:00~ |
引き継ぎ |
・お客様の施術が終わるタイミングで遅番スタッフへ引き継ぐ |
18:00~ |
退勤・自主練習 |
・勤務時間が終われば退勤する ・技術力向上のため、自主練習を1~2時間程度する場合もある |
▼遅番勤務の場合
13:00~ |
出勤 |
・すでに開店しているため、すぐに施術対応に入る ・最も人手が多い時間帯のため、事務作業も行う |
16:00~ |
休憩 |
・17:00以降は会社帰りのお客様が増えるため、その前に休憩をとる ・来客状況によってはまとまった休憩時間を確保できず、時間を分けたり、休憩自体とれなかったりする場合もある |
17:00~ |
引き継ぎ |
・早番スタッフとの引き継ぎを行う ・開店まではお客様の施術がメイン業務になる |
21:00~ |
閉店 |
・最後のお客様の施術後、閉店作業を行う ・施術内容によっては閉店時間をすぎる場合もある ・閉店後はレジ締めや清掃、翌日の予約確認などを行う |
22:00~ |
退勤・自主練習 |
・勤務時間が終われば退勤する ・技術力向上のため、自主練習を1~2時間程度する場合もある |
以下のように、フレックスタイム制を導入しているサロンも存在します。
営業時間は10時~21時ですが、フレックスタイムが採用されているので、勤務時間は8時間。予約の関係で勤務時間がオーバーしてしまっても、その分別の日に早く帰れるので、美容師時代よりも体はラクですね。研修もすべて営業時間内に行われ、休みの日に撮影が入ることもないので週休2日制が守られています。
へんなギャップはなかったですね。拘束時間がかなり短くなったので、自分の時間が確保しやすくなりました。そのおかげで、いまは趣味を楽しむ時間が持てています。
引用:モアリジョブ|ao. ネイリスト&アイリスト 稲垣香子 さん
アルバイト・パート
アルバイトやパートは、自分のライフスタイルに合わせて勤務時間を決められます。予約が埋まりやすい午後から閉店までの時間帯や、正社員が出勤してくるまでの短時間での募集を行っているサロンも存在しており、1日4時間以上・週2回からなど、さまざまです。
休憩時間は、労働時間が6時間以上8時間未満であれば45分までです。正社員と同様、予約が埋まっている場合はまとまった休憩時間がとれず、施術の合間に小分けにして休憩をとります。
アルバイトやパートのタイムスケジュール例は以下のとおりです。
14:00~ |
出勤 |
・すでに開店しているため、すぐに施術対応に入る ・休憩は施術の合間にとる |
20:00~ |
退勤 |
・お客様の施術が終わるタイミングで退勤する ・閉店時間まで勤務している場合、閉店作業も行う |
出張ネイリスト
美容室やエステサロンの空きスペース、お客様のご自宅、イベント会場などへ出向いて施術を行う出張ネイリストも存在します。出張ネイリストは、ネイルサロン勤務より勤務時間の融通が利くイメージはあるものの、固定された仕事場所を持たないため、移動が必要です。
同日に異なる場所で仕事が入った場合、異動したうえで施術をしなければならないため、トータル的にネイルサロン勤務よりも勤務時間が長くなるケースもあります。
出張ネイリストのタイムスケジュール例は以下のとおりです。
9:00~ |
出勤 |
・当日の仕事場所に出勤する。 ・レンタルスペースでの施術の場合、店内の清掃や備品補充、道具の手入れ、予約確認などの開店準備をする |
10:00~ |
開店 |
・メイン業務はお客様の施術 ・お客様1人当たりの平均施術時間は1~2時間程度 |
14:00~ |
移動・休憩 |
・予約が空いたタイミングで昼休憩をとる ・午後からの仕事場所が異なる場合は、移動しながら休憩をとる ・状況によっては休憩をとれない場合もある |
15:00~ |
お客様対応 |
・お客様の施術を行う |
18:00~ |
退勤・自主練習 |
・予約のお客様の施術が終われば勤務終了となる ・勤務終了後や空き時間にサンプルチップの作成や備品対応をする ・予約が入っている場合や売上げを増やしたい場合は、22時前後まで働くこともある |
独立開業
独立してネイルサロンを開業する場合は、自身のライフスタイルに合わせて営業時間や勤務時間を自由に決められます。自宅兼サロンにすれば、移動時間もなくなるため、自由に使える時間が増えます。
ただし、営業時間を短くした場合、お客様が来店できず集客が難しくなるかもしれません。反対に、営業時間が長すぎると身体への負担が大きくなるため、無理のない範囲で働くことが大切です。集客状況や自身の売上目標、体調を踏まえたうえで営業時間を設定しましょう。
自宅サロンのタイムスケジュール例は以下のとおりです。
9:00~ |
開店準備 |
・開店時間30分~1時間前から開店準備をする |
10:00~ |
開店 |
・メイン業務はお客様の施術 ・お客様1人当たりの平均施術時間は1~2時間程度 |
12:00~ |
休憩 |
・予約が空いたタイミングで昼休憩をとる ・長めの休憩をとり、私用をすませる場合もある |
14:00~ |
お客様対応 |
・引き続きお客様の施術を行う ・隙間時間でサンプルチップの作成や備品対応、集客対応などの事務作業も行う |
17:00~ |
閉店 |
・予約のお客様の施術が終われば閉店となる |
ネイリストの労働時間における問題
ネイリストの労働時間における問題として以下の4つが挙げられます。
- 十分な休憩時間を確保できていない
- 接客以外の業務を残業で対応するケースがある
- 勉強時間は労働時間に含まれていないケースがある
- 休日が少ない
ここでは、それぞれの問題が発生する理由や実態について解説します。
十分な休憩時間を確保できていない
ネイルサロンの多くは、一般企業のように決まった休憩時間は設けられていません。予約が空いたタイミングで休憩をとります。平日なら比較的まとまった休憩時間がつくれることも多いものの、週末や祝日、イベント前などの繁忙期では、まとまった休憩時間の確保は困難です。
そのため、時間を分けて休憩するケースは珍しくありません。1時間の休憩が定められていても、そのときの状況によっては1時間も休憩していないケースもあります。
接客以外の業務を残業で対応するケースがある
ネイリストの業務は施術だけではありません。備品の点検や在庫管理のほか、サンプルチップやシフト作成などの仕事もネイリストの業務に含まれます。もしお客様の施術対応で営業時間がすぎた場合には、施術以外の業務は営業時間外で対応するしかありません。
特に来店客数に対してスタッフ数が不足している場合、残業で施術以外の業務をすることが常態化し、労働時間が長くなってしまいます。
勉強時間は労働時間に含まれていないケースがある
ネイル業界では日々新しい技術やデザインが生まれており、新しい技術の勉強や練習が欠かせず、勤務時間外や休日に勉強や練習をする姿は珍しくありません。また、ネイルサロンのなかには、歩合制を取り入れているお店があります。
歩合制は、指名が増えることにより、給料も上がる仕組みです。しかし、歩合制は基本給が低く設定されているケースも多く、指名が増えなければ十分な給与がもらえません。そのため経験の浅い人は、自らの技術を高めて指名獲得につなげるため、勤務時間後もサロンに残って練習します。
これらの勉強や練習は強制ではなく、あくまでも「自主的にやっている」ため、労働時間には含まれません。労働時間には含まれないものの、実態としてはサロン内にいる時間が長くなります。勉強時間の取扱いを労働時間とはみなさない慣習が長年あったものの、近年では勉強時間を勤務時間内に含めるサロンも出てきています。
休日が少ない
サロン自体に定休日があれば、決まった休日がありますが、年中無休の店舗の場合、スタッフでシフトを決めて交代で休日をとります。スタッフの人数が多ければ週休2日を確保できるものの、人数が少なければ、月に6回程度の休日になることも珍しくありません。
特に、ネイルサロン業界は会社員のお客様が多く、繁忙日となるのは土日祝日です。独立して開業したネイリストの場合、家族と過ごす時間を確保するため、土日は定休日にしている人もいますが、基本的には平日休みが多くなる傾向があります。
また、売上げを確保するため、労働時間を増やさざるを得ないケースもあります。ネイルサロン「biotope」でも、休日を惜しんで働いた時期があったようです。
実は昨年銀座7丁目にサロンを移転してリニューアルオープンをするまでは思うように業績が上がらず、ギリギリ営業を保っている状況だったんです。僕も休日出勤は当たり前で休む暇なく働いていました。
引用:モアリジョブ|biotope+ 経営者&ネイリスト 星俊亮 さん
労働時間や有給取得は法律を遵守する必要がある
労働基準法により、労働時間や休憩の定義が定められています。労働時間の上限や休憩時間、有給取得日数が定められており、違反した場合は罰則が科される可能性もあります。ネイルサロンを経営するのであれば、労働基準法を遵守したうえで働いてもらわなければなりません。
労働時間は1日8時間・週40時間が原則
労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれていると認められる時間です。労働基準法により、使用者は原則として1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけないと定められています。
休日についても定めがあり、使用者は労働者に毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させる場合は、労働基準法第36条にもとづき、労働者と使用者間で締結する時間外労働の労使協定を締結し、労働基準監督署に届け出る必要があります。
ただし、労使間での合意や残業代の支払いができていれば、残業できるわけではないため注意が必要です。違反した場合、労働基準法第119条にもとづき「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」の刑事罰が科せられる可能性があります。
なお以下に該当する人は、残業自体が認められていません。
- 18歳未満の年少者
- 育児・介護をしている労働者
- 妊産婦の労働者
参考:労働時間・休日|厚生労働省
休憩時間は仕事から離れることが原則
労働基準法によると、休憩時間とは労働時間の途中でスタッフが仕事から離れることができる時間です。たとえば、休憩中に電話対応をしてもらうケースはよくある光景です。
しかし、休憩中の電話対応は、休憩の定義である「仕事から離れる」という条件を満たしておらず、休憩として認められない可能性があります。施術や電話対応をしていない場合でも、店舗内で待機することが指示されている場合、スタッフが仕事から離れているとは認められません。
また、労働基準法第34条では、労働時間に合わせて以下の休憩時間を与えることが決められています。
- 労働時間が6時間を超える場合:45分以上
- 労働時間が8時間を超える場合:1時間以上
前述したように、ネイリストはまとまった休憩時間の確保が困難であり、上記の休憩時間を確保できていないケースも存在します。ただし、本来は労働基準法で定められた休憩時間を遵守しなければならないのです。
年5日の有給取得は義務
労働基準法改正により、2019年4月からすべての企業で年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対して、年次有給休暇の日数のうち年5日については、使用者が時季を指定して取得させることが義務付けられました。
労働基準法第39条により、有給休暇取得義務の対象者は、有給休暇の付与日数が10日以上である労働者と定められています。これは、パートタイムの従業員や派遣社員も対象です。
期間は、10日分の有給休暇が付与された日から1年間以内で、義務化対象として認められる有給休暇は、半日または1日の休暇のみとされています。ただし、労使協定を締結していれば、時間単位での有給休暇取得も義務化の範囲に認められます。
期間内に5日分の有給休暇を取得しなかった場合、企業には日にちを指定して取得させる時季指定の義務も課されました。労働基準法第89条によると、有給休暇を時季指定する場合、就業規則で規定しておく必要があることが定められています。
また、年次有給休暇管理簿の作成と保管も必要です。これらに違反した場合、労働基準法第119条にもとづき「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」という刑事罰が科せられる可能性があります。
参考:年次有給休暇の時季指定義務|厚生労働省
育児や介護のための休暇
使用者は、育児や介護のための休暇取得にも注意する必要があります。子を持つ人には、負傷した子や疾病にかかった子の世話をする際や学校行事に参加する際、1年度当たり5日を上限として看護休暇を取得できる権利があります。対象となる子が2人以上の場合は10日が上限で、対象となるのは、小学校3年生までです。
育児・介護休業法第16条の8により、残業免除の対象が拡大され、小学校就学前の子を養育する労働者は、事業主に請求すれば所定労働時間を超える労働が免除されました。
また、家族のいずれかが要介護状態にある労働者は、1年度当たり5日を上限として、介護休暇を取得できます。対象となる家族が2人以上の場合は10日が上限で、介護に対する理解を深めるための環境整備も義務付けられています。
参考:育児・介護休業法について|厚生労働省
参考:育児・介護休業法 改正ポイントのご案内|厚生労働省
サロンオーナーに求められる対策
労働時間が長かったり十分な休憩時間を確保していなかったりした場合、スタッフが労働基準監督署や労働組合に報告し、改善指示や罰則を受ける可能性があります。サロンオーナーは、労働時間や休憩時間の問題の対策を講じることが求められています。
労働時間や休憩時間を明確にする
労働時間や休憩時間の定義を理解し、「何をすれば労働時間となるのか」「休憩時間に何をしてはいけないのか」を明確にしましょう。営業時間後の勉強や練習についても、労働時間であると認め、勤務時間内に教育する仕組みをつくる必要があります。
ネイルサロンNailsalon.BIENでは勤怠をシフト制にし、自分の体力や時間、給与にあった働き方を選択できる仕組みにするとともに、スクールを開講して技術を習得したうえで働ける仕組みを構築しています。
勤怠をシフト制にして自分の都合のいい時間に働けるようにしています。これは子育て中の方だけではありません。たとえばジュニアネイリストのなかにはまだサロンの給料だけでは生活が厳しいとのことで、勤務時間を調整してダブルワークを行っている人もいます。シフトを自由にすることで、自分の体力や時間、給与にあった働き方ができるんです。その分技術や接客は厳しくチェックして、勤務時間中はしっかりと働いてもらうことを心がけています。
それから、手に職をつけるためにネイルスクールに通う方が多いのですが、資格を取ってスクールを卒業しても実務経験がないと実際に就職するのは難しいんです。子どもがいたらなおさら。子育て中でも、経験がなくてもネイリストを仕事にするための挑戦ができる場所をつくりたいと思い、2022年4月にスクールを開講しました。
引用:モアリジョブ|Nailsalon.BIEN オーナー 稲村裕子 さん
休憩時間を確保する仕組みをつくる
ネイルサロンがまとまった休憩時間を確保しにくいことは前述したとおりです。スタッフが順番で交代して休憩する方法もあるものの、繁忙期によっては、それでも休憩をとりづらい場合もあるでしょう。
営業時間に休憩時間を設けたり、シフト体制を見直したりするほか、休憩をとりやすい雰囲気をつくることも重要です。ネイルサロン「pour toujours」では、オーナーに意見を植える環境づくりの必要性に気づき、1対1でのコミュニケーションや感謝の気持ちを伝えることを意識しています。
大切な意見が上がってくるように、スタッフと同じ目線を保って働くことを常に意識しています。もし、私が上に立って抑えつける態度を取ってしまうと、スタッフは私によいアイデアを伝えることはできません。それはサロンの運営に悪影響を与える状況であり、サロン内やスタッフ間に悪い空気感を生むもとになります。
チーム内の関係が悪ければ、スタッフはサロンの改善点や自分自身の課題を私や先輩に言えずに、自分だけで抱え込むことになります。そのため、雰囲気が暗くなりよい接客ができません。この状況は、他のスタッフやお客さまに伝わってしまうため、サロンに悪影響を与える問題ですから、『私に意見を言える風通しのよい環境を作ることがとても大切だ』と思っています。
引用:モアリジョブ|pour toujours オーナー 山口麗 さん
勤務時間や休憩時間を管理する
勤務時間や休憩時間、休暇を記録・管理するだけでも、スタッフの労働時間への意識が高まります。たとえば、勤怠管理システムを導入し、時間外労働時間が多くなったときにアラートを出すようにすれば、残業の抑制につながるでしょう。
株式会社mirror ballでは、給与の透明性と勤務の自由度が大きな課題と感じ、勤怠管理に力を入れています。
給与の部分では、勤怠の管理、残業の計算など、かなり細かくきっちりと行っていまして、その透明性は業界トップクラスといってもいいほどだと思っています。
引用:モアリジョブ|mirror ball 代表取締役 中野剛志 さん
スタッフ数を確保する
スタッフが休憩時間や休暇を取得できない原因に、スタッフ数の不足が挙げられます。スタッフ数が不足しているため、事務作業を残業で対応せざるを得ないケースもあるでしょう。スタッフ数を確保すれば、営業時間内で事務作業の対応ができたり、スタッフの都合に合わせた休暇がとれるシフトを組めたりできます。
さまざまな雇用形態のスタッフを雇用するのもひとつです。株式会社mirror ballでは、業務委託でスタッフを確保し、柔軟なシフトを組めるようにしています。
正直、給与の透明性と労働時間に関しての自由度が高くできれば、雇用形態にこだわりはありませんでしたが、当時はどちらも解決できる、一番いい形だと思ったのが業務委託だったんです。
引用:モアリジョブ|mirror ball 代表取締役 中野剛志 さん
リジョブでは、ネイリストの求人掲載におけるノウハウを提供しています。手順を詳しく知りたい場合は、無料でダウンロードできる下記の資料をご覧ください。
適切な給与を設定する
ネイリストの残業が増える原因として、給与が低いことが挙げられます。厚生労働省のjobtagによるとネイリストの平均給与は22.7万円であり、高いとはいえません。特に歩合制を採用している場合、指名が増えなければ給与が増えないため、指名を増やせるよう勤務時間後もサロンに残って練習するケースは珍しくありません。
しかし、本来であれば勉強や練習は、労働時間に含まれるものです。労働時間を減らすためには、勤務時間内に教育できる仕組みを構築したうえで、適切な給与を設定する必要があります。適切な給与を設定すれば、スタッフのモチベーション向上にもつながるでしょう。
ネイリストの賃金設定については下記の資料が参考になります。
まとめ
ネイリストは、十分な休憩時間を確保しづらいことや、施術以外の業務や勉強時間で労働時間が増えてしまう傾向が問題となっています。労働時間や休憩時間、有給休暇の取得など、本来は法律で守られるべき事項であっても、それが守られていないケースがあるのが実態です。
サロンオーナーに求められている対策は、以下の5つです。
- 労働時間や休憩時間を明確にする
- 休憩時間を確保する仕組みをつくる
- 勤務時間や休憩時間を管理する
- スタッフ数を確保する
- 適切な給与を設定する
これらの対策に取り組むことにより、スタッフのモチベーション向上にもつながります。本記事を参考に、労働環境や待遇の見直しに取り組みましょう。

- 執筆者情報
- 田仲ダイ(Tanaka Dai)