ネイリストを雇う場合、正社員、アルバイト、そして業務委託が主な手段としてあげられます。
また短期的な人材補充や直接雇用を避けるには、派遣ネイリストを依頼する方法もあります。
この記事では、ネイリストを派遣会社へ依頼するメリットやデメリット、依頼する際の注意点について解説します。ネイリストの採用や人材不足で悩んでいる担当者は、ぜひ参考にしてください。
派遣ネイリストとは
派遣ネイリストとは、派遣会社に登録されたネイリストを指します。派遣ネイリストの雇用主は自店でなく派遣会社になるため、自店で採用のネイリストとは雇用契約の締結先や勤務条件が異なります。
派遣ネイリストの割合や派遣の仕組みについて詳しく解説します。
派遣で働くネイリストの割合
厚生労働省運営の職業情報サイト「job tag」によると、派遣で働くネイリストの割合は3.8%です。※2024年12月22日現在
▼ネイリストの雇用形態
正社員やパートタイマーと比べると、派遣ネイリストとして働く人の割合は少ない傾向です。
派遣の仕組み
派遣は労働者と派遣元事業主、派遣先の3者で成り立つ仕組みです。
雇用関係は労働者と派遣先との間でなく、派遣会社(派遣元事業主)との間にあります。派遣先の企業や店は人材を派遣してもらった対価として派遣会社に派遣料金を支払い、派遣会社が派遣社員に給与を支払います。
ネイリストを派遣してもらう場合、派遣先であるネイルサロンは派遣会社に派遣依頼をし、派遣会社と派遣契約を締結します。
その後、待遇や労働条件、派遣料金などを明示し、希望にあったネイリストを派遣してもらう流れです。
派遣と他の雇用方法との違い
派遣と他の雇用方法との違いは次のとおりです。
雇用形態 |
雇用主 |
特徴 |
正社員 |
職場のオーナー |
・雇用期間のない労働契約 ・一般的に1日8時間のフルタイム勤務 ・所定労働時間が少ない短時間正社員という形もある |
契約社員 |
職場のオーナー |
・雇用期間のある労働契約 ・契約期間の満了で労働契約は自動的に満了する ・1回あたりの契約期間は最長3年 |
パート・アルバイト |
職場のオーナー |
・正社員に比べて所定の労働時間が短い ・一定の条件をクリアすれば社会保険の加入対象になる |
派遣社員 |
派遣会社 |
・労働者に賃金を払う会社と業務指示を行う会社が異なる ・トラブルが起きた場合は派遣会社が対応する |
業務委託契約 |
なし |
・請け負った仕事に対して報酬が支払われる ・労働者ではないため、労働法の保護を受けられない |
派遣と他の雇用方法との大きな違いは雇用主です。派遣社員の雇用主は勤務場所のオーナーではなく、派遣会社です。
そのため、賃金の支払いやトラブル時の対応も雇用主である派遣会社が行います。
ネイリストの派遣を依頼するメリット
厚生労働省の調査をもとに、ネイリストの派遣を依頼する主な理由をまとめると次のとおりです。
派遣スタッフを就業させる理由 |
回答の割合 |
必要な人材を迅速に確保できるため |
66.6% |
一時的な業務量の変動に対処するため |
24.8% |
自社で養成できない労働力を確保するため |
18.9% |
専門性を活かした人材を活用するため |
12.3% |
※ネイリストが分類される産業「生活関連サービス業,娯楽業」のデータを掲載
以上の調査結果を参考に、ネイリストの派遣を依頼するメリットについて解説します。
即戦力のネイリストを確保できる
派遣会社にネイリストの派遣を依頼すれば、即戦力のネイリストを確保できます。
日雇いのアルバイトでも人材不足を補えますが、スキルレベルは不明のため即戦力になるかわかりません。
しかし、ネイリストの派遣に強い派遣会社であれば、登録時に保有資格やスキルレベルの確認を行うことが多いため、即戦力のネイリストを確保できます。
繁忙期に対応できる
派遣ネイリストは期限付きで依頼できるため、繁忙期の人手不足をカバーできます。
学校が休みになる期間やクリスマス、バレンタインなどのイベント時期、フットネイルのニーズが増える夏の期間などは、ネイルサロンの繁忙期です。
繫忙期を既存のネイリストだけで対応しようとすると、休憩や休日が取れなくなる可能性があり、疲弊やモチベーションダウンにつながります。
繁忙期は、休みやイベントがある3、7、8、12月。逆に2、10、11月が閑散期です。この時期は、スキマ時間で料金表を見直したり、ちょこっと買い物に出掛けたりなど、リフレシュをはさみながら仕事をしています。
引用:モアリジョブ|GO TODAY SHAiRE SALON 表参道mico店所属 フリーランス ネイリスト Aoiさん
繁忙期など長期間休みが取れないと、心も体も疲れてきますね。
引用:モアリジョブ|株式会社HARMONISTAのネイルサロン「アーラ」代表 鈴木見佳子さん
繁忙期に派遣ネイリストに入ってもらうことで、既存のネイリストにも休憩時間や休日を取ってもらいながら店舗の売上げに貢献することができます。
既存スタッフの育児休暇に対応できる
派遣ネイリストは育児休暇のような一定期間の人材不足の補填に有効です。
厚生労働省が行った調査によると、9割近くの人が育児休暇を取得したいと回答しました。女性に限った回答結果では、9割超が育児休暇の取得を希望しています。
育児休暇は、子供が満1歳の誕生日を迎える前日まで取得が認められており、産前産後と合わせると1年以上の期間、ネイリストが1人欠けることになります。
しかし新たに正社員やアルバイトなど無期雇用で雇うと、育児休暇期間が終わった際に過剰人員となります。
派遣であれば必要な期間のみ依頼できるため、既存のネイリストの育休をきっかけに人件費が運営を圧迫するという心配もありません。
また、育児休暇が明けても子供が小さいうちは17時までといったように、決まった時間までしか働けません。
午前8時から午後5時までの勤務なのですが、最初は仕事が終わっていないと帰りづらかったんです。しかし、他のスタッフが手伝ってくれたり、『もう5時になったから帰りな~』って声をかけてくれたりして。なので、ストレスはほとんど感じませんね。
引用:モアリジョブ|アトリエはるか ネイリスト青山 紗里衣さん
上記のように、余裕があればスタッフ間でフォローが可能ですが、ネイリストが不足しているネイルサロンの場合では難しいでしょう。その際にも派遣ネイリストの存在は助かります。
派遣のネイリストに働いてもらうメリット・デメリット、注意点
即戦力になる人材を派遣してもらえたり、一時的な人材不足に対応できたりと人手不足に悩みがちなネイリストサロンにとって派遣ネイリストは助かる存在です。
ここでは広域的な意味での派遣のメリット、デメリット、そして派遣ネイリストを受け入れる際の注意点について解説します。
派遣のメリット
派遣を利用する主なメリットは以下のとおりです。
- コスト削減できる
- 急な人材不足に対応できる
- 正社員として雇い入れもできる
通常人を雇う場合、求人にかかる広告代や雇ったあとの給与、社会保険、雇用保険など多くの費用がかかります。しかし、派遣であれば求人広告費はかからず、社会保険は雇用主である派遣会社が負担するため、それらのコストが不要です。
さらに派遣は一般的な採用に比べて、依頼してから派遣してもらうまでの期間は短いです。ただし、派遣先企業として登録されるまでは一定の時間を要するため、余裕をもったスケジュールで動きましょう。
また、派遣で働いてもらったのちに双方で合意があれば、正社員雇用し継続して働いてもらうことも可能です。
派遣のデメリット
派遣の利用の主なデメリットは以下のとおりです。
- 契約以外の仕事を頼めない
- 契約にない場合、残業を頼めない
派遣先が派遣社員に指示できる仕事は、派遣元との間に定められた業務のみです。ただし、就業時間の1割以内といった、一定制限内であれば指示することが認められています。
また残業の可否も派遣先との取り決めにより決まります。派遣の場合、残業などに関する規定が定められた労働基準法の義務は、雇用主である派遣会社が負います。
そのため残業については派遣会社と派遣社員が、事前に残業に関する取り決め「36協定」を結んでおかなくてはなりません。その上で労働派遣契約書にて派遣会社と派遣先が残業に関する契約を結んでおけば、残業させることが可能になります。
参考:平成21年度「労働者派遣事業雇用管理等援助事業」派遣相談事例集|厚生労働省|Q28・Q34
派遣ネイリストを受け入れる際の注意点
派遣ネイリストを受け入れる際は、経費の圧迫や店舗内でのトラブルを未然に防ぐため、事前にコストの確認や認識の共有などの準備が必要です。
採用コストと派遣依頼のコストを比較する
ここでは全業種における、派遣の依頼料金と正社員の賃金を比較してみます。
「令和4年賃金構造基本統計調査」によると正社員の賃金は月換算で、31万1800円です。さらに社会保険料や労働保険料などの法定福利費(給与の16.5%)を含めると、1人の正社員を雇った場合にかかるコストは次の通りになります。
311,800円+(311,800円×16.5% )=363,247円
一方で「令和4年度 労働者派遣事業報告書の集計結果」によると、派遣の依頼料金は8時間(1日)換算で24,909円です。この依頼料金と1人の正社員を雇う際にかかるコストを比べると、派遣社員を月に15日以上依頼すると、正社員を雇った際にかかるコスト363,247円を超えます。
契約社員を15日間依頼した場合にかかるコスト=24,909円×15日=373,635円
つまり日本の平均値をもとに計算すると、契約社員の依頼日数が月15日を超える場合は、正社員を雇用した方がコストパフォーマンスは良いことになります。以上を、依頼予定の派遣会社やネイリストの賃金に当てはめて計算してみるとよいでしょう。
既存社員への理解を求める
派遣を受け入れる際は、既存社員へ派遣社員の位置づけについて説明し、契約にない業務や残業はお願いできないことを理解してもらう必要があります。
派遣の仕組みについて理解していないと派遣社員だけ楽をしていると誤解し、トラブルや不満のもとになりかねません。
派遣ネイリストがサロン業務に入るまでにミーティングの機会を設けて、派遣労働者と直接雇用者の違いについて説明しておきましょう。
派遣ネイリストと既存社員の格差や壁を作らない
平成30年の労働者派遣法改正により、派遣社員と直接雇用の社員との間に不合理な格差を作ってはいけないことが明記されました。
参考:派遣労働者の≪同一労働同一賃金≫の概要(平成30年労働者派遣法改正)
基本的に職務内容(業務の内容や責任の程度など)が同じである場合、派遣であることを理由に差別的、また不合理な待遇は違法です。
たとえば業務内容はまったく同じなのに給与の著しい格差や研修に参加させないなどは、差別的な扱いや不合理な待遇差に値します。
また社員食堂や休憩室、更衣室も既存ネイリストと同じく、派遣ネイリストにも使用する権利があります。
以上のことは違法になるだけでなく、派遣社員のモチベーションダウンや離職につながります。派遣ネイリストであっても、自店のネイリストと同じ待遇を与えるべきと理解しましょう。
派遣ネイリストの依頼と採用活動を並行して行う
ネイリスト不足をカバーするために派遣ネイリストを依頼する場合、採用活動も並行して行うことをおすすめします。
求人掲載してもすぐに最適な人材が見つかるとは限らず、そもそも掲載してから最初の応募が来るまで1カ月以上の期間を要することも少なくありません。
リジョブの調査では、求人掲載してから応募まで平均37日の期間を要することがわかりました。
また日本ネイリスト協会によると、ネイル市場はコロナ禍でも施設数が増え、2021年には3万件を超えています。このことから、ネイリストの需要は以前より高まっており、採用するまでのハードルはさらに高くなっていると予想されます。
自店に合ったネイリストを採用するまでには長い期間を要します。派遣ネイリストで一時的な人材不足対策を行いながら、採用活動を進めていきましょう。
求人スケジュールの立て方の詳細は下記資料をダウンロードしてお読みください。
まとめ
本記事をまとめると、次のとおりです。
- 派遣ネイリストを依頼すると「即戦力のある人材確保」「繁忙期や育児休暇の欠員対応」ができる
- 派遣ネイリストを依頼する際は、労働者派遣法に遵守し、規定内で業務にあたらせなくてはならない
- ネイリストの人材不足対策として、派遣ネイリストの依頼と並行して採用活動を行う
派遣ネイリストを依頼する際はメリット・デメリットを理解し、契約しましょう。既存社員とのトラブルが起きないよう、配慮や情報共有も大切です。

- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部