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売れるサロン名の決め方「3つのルール」と付ける際の注意点を解説!アイデアが浮かばないときのコツも紹介

売れるサロン名の決め方「3つのルール」と付ける際の注意点を解説!アイデアが浮かばないときのコツも紹介

売れるサロンの経営者は、集客を意識してサロン名を決めています。

サロン名は広告塔も担っており、どんな名前にするかで集客に違いが出ることも少なくありません。

エステサロンやネイルサロン、美容室など美容系の店舗ではお洒落なサロン名が多く見られます。しかし「お洒落なサロン名=売れるサロン」ではないのです。

本記事では売れるサロン名の決め方のルールや、ネーミングする際の注意点を解説します。開業予定の方だけでなく、店舗リニューアルを検討している方はぜひ参考にしてください。

サロンを成功させるためにネーミングが重要な理由

サロン開業においてネーミングが重要な理由は、集客に影響を及ぼす可能性があるためです。

ネーミングだけでサロンの成功、失敗が決まるわけではありません。しかし覚えにくい名前や読みにくい名前、イメージがしにくい名前は集客の機会を失う恐れがあります。

たとえば美容室を変えたいと思ったとき、店舗名に「Hair salon(ヘアサロン)」と書かれていると、つい目が向いてしまう経験はありませんか?

また、知人におすすめされたサロンの名前が思い出せず、検索や予約ができなかったという経験がある方も少なくないでしょう。

このように、集客や失客はサロンのネーミングによっても起こりえるのです。

サロン名で集客に失敗しないためにも、次に解説するサロン名の決め方や注意点を参考にネーミングしてみてください。

売れるサロン名の決め方「3つのルール」

売れるサロン名の決め方には「3つのルール」があります。

  • コンセプトやイメージがわかる
  • 覚えやすい
  • 何のお店なのかわかる

視覚などの五感を通じて入ってくる多くの情報は、長くて数秒しか記憶されないといわれています。

上記3つを意識したサロン名にすることで、短期記憶や長期記憶として定着でき、後日また思い出してもらえる可能性が高くなります。

では、「3つのルール」について詳しくみていきましょう。

コンセプトやイメージがわかる

サロン名はコンセプトやイメージが伝わるネーミングがおすすめです。

店舗のコンセプトやイメージが顧客に伝われば、興味をもってもらえる可能性が高まります。店舗の雰囲気がわかったうえで来店する顧客は、リピート顧客になる可能性が高く、継続的な売上げにつながるでしょう。

名前を通じてサロンの思いを発信するなど、サロン紹介でもネーミングの理由を取り上げることで、人々の記憶にインプットされやすくなります。

また、長く店舗経営をしているとさまざまな影響を受け、コンセプトからずれていってしまう場合があります。しかしサロン名にコンセプトを入れておけば、コンセプトからずれた経営になるのを防ぐ効果も期待できるでしょう。

覚えやすい

サロン名は、覚えやすい名前を付けましょう。

SNSや通りすがりに良い雰囲気のサロンを見かけても、多くの場合、実際に来店するのは後日です。後日思い出して再検索や予約をしてもらえるように、時間が経過しても覚えていられるネーミングにしましょう。

また覚えやすいサロン名なら、友人や同僚との会話の最中でも話題に上げてもらいやすくなります。

ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、4〜5人に1人が「友人・知人の口コミやおすすめ」で現在利用しているサロンを知ったと回答しています。

▼現在利用サロンの認知経路(15~69歳の女性/2025年上期/複数回答)

 

割合

美容室(n=5,226)

21.4%

エステサロン(n=446)※フェイシャル

23.5%

ネイルサロン(n=565)

22.8%

リラクゼーションサロン(n=780)※着衣

23.8%

※ホットペッパービューティーアカデミー 美容センサス2025年上期(美容室編・エステサロン編・ネイルサロン編・リラクゼーションサロン編)をもとに作表

サロン名は雑談の中でサラッと思い出し、話題に挙げられるくらいの覚えやすい名前がおすすめです。

なお覚えやすい名前とは、以下のような視認性の高いものを指します。

  • シンプル
  • 響きの良さ
  • 意味の明確さ

何のお店なのかわかる

サロン名は、何のお店なのかがわかるネーミングにしましょう。

英語やフランス語、ハワイの言葉を取り入れたお洒落なネーミングをよく見かけますが、たとえお洒落な名前でも、何のお店かわからないと集客につながりません。

―「CasaRera hairmake salon」という店名の由来を教えてください。

造語なのですが、「Casa」には家とか空間という意味があり、そこに「Relax」の「Rela」をつなげました。ヘアメイクに特化していきたいので、「hairmake salon」もつけています。

引用:モアリジョブ|CasaRela hairmake salon オーナー SEIKAさん

たとえば上記のように、サロン名に「hairmake」とついていれば、ヘアメイクが売りであるとひと目でわかるため、ヘアセットやメイクをプロにお願いしたい人へのアプローチになります。

なお、ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、20〜40代女性の約3割が専門サロンを利用した経験があると回答しています。

専門サロンはお値打ち系と効果改善系に分けられますが、いずれの利用者も専門スキルや知識への期待を理由として上げています。

▼専門サロンの利用理由

1.専門サロンの利用理由

※ホットペッパービューティーアカデミー 専門サロンに関する調査から一部抜粋

サロン名に業種や強みとなる専門性がわかるワードを入れることで、上記のように専門スキルを求める顧客の獲得へとつながります。

人気キーワードを入れることでSNS効果も期待できる

サロン名に人気キーワードを入れておけば、SNS効果も期待できます。

人気メニュー名のほか、エリアで検索されやすい場所に出店するのであれば、サロン名にエリアを入れるのもよいでしょう。

ただしサロン名は一度決めてしまうと変更は難しいため、一過性の人気キーワードではなく、ヘッドスパや髪質改善といったような、定番化した人気メニューがおすすめです。

サロン名を決める際の注意点

サロン名を決める際には以下の3点に注意しましょう。

  • 商標登録の有無
  • 他店との重複
  • ターゲット層とのマッチング

また外国語を取り入れる場合は、意味をしっかりと調べるのも怠らないでください。英語やフランス語などの外国語にはダブルミーニングといって、複数の意味をもつ場合があるので、サロン名に使う際には一層の注意が必要です。

商標登録されていないか確認する

サロン名を決める際に注意すべきなのが、商標登録です。商標登録された名前を使ってしまうと、商標権侵害で訴えられる恐れがあります。

商標とは、商品やサービスを区別するためのネーミングやマークのことです。商標を登録しておくと他社が同じ商標を使えないため、ブランドイメージや利益の保護につながります。

ただ、商標登録されたネーミングはすべて使えないわけではなく「商品・サービス」と「商標」がともに「同一」もしくは「類似」している場合に限り、使用不可とされています。

つまりサロン名に使いたい名前が商標登録されていても、提供する商品やサービスが異なる場合は使用可能です。

商標登録の有無は、特許庁のサイトで検索可能です。

商標を検索してみましょう | 経済産業省 特許庁 

他業種を含め、ほかのお店と被っていないか確認する

商標登録されている名前でも提供する商品やサービスが違えば、使用は可能です。しかし、売れるサロンにしたいのであれば他業種を含め、被っていないネーミングをおすすめします。

他業種であれ、同じ名前があるとSNSやWeb検索で他店(他社)が出る可能性があり、検索による集客効果の低下につながります。

最近では美容室をGoogleマップで検索するという人も多い(株式会社ニュートラルワークスの調査)ため、近隣に似たサロン名がないかの注意も必要です。

▼美容室を探すとき、まず最初に使う情報源はどれですか?

2.美容室を探すとき、まず最初に使う情報源

商標登録の有無と合わせて、Googleマップで近隣に類似する店舗名がないかの確認も忘れないでください。

ターゲット層に合うネーミングにする

サロン名を考える際は、ターゲット層に合っているかも確認しましょう。

たとえば若年層対象であれば多少読みにくくても、日本語のサロン名より英語やフランス語を取り入れたお洒落なネーミングのほうがよいかもしれません。

また若年層ほど専門サロンの利用が高い傾向がある(ホットペッパービューティーアカデミーの調査)ため、専門スキルがわかるサロン名にするのもよいでしょう。

一方でシニア層の場合、英語やフランス語を使った読みにくいサロン名は覚えにくく敬遠される可能性があります。覚えやすく、業種がわかるシンプルなサロン名がおすすめです。

サロン名のアイデアが浮かばないときのコツ

サロン名の候補が思い浮かばないときには、以下の方法を試してみてください。

  • コンセプトの具体化や見直しをする
  • 近隣同業種の人気サロンを参考にする
  • 風水を取り入れてみる
  • 開業している人に店舗の由来を聞いてみる

詳しく解説するのでネーミングで行き詰った方や、候補はいくつか出たものの、本当にこれでよいのかと悩んでいる人は参考にしてください。

コンセプトの具体化や見直しをする

サロン名が思い浮かばない場合、コンセプトが曖昧である可能性があります。

コンセプトとは事業全体の方向性を示すもので、基本的な考えや概念を指します。つまりサロンで販売する商品やサービスを通して、顧客に何を提供するのか・したいのかをまとめたものです。

サロン名が思い浮かばないときは原点に立ち返り、コンセプトの具体化、もしくは見直しをしてみましょう。

  • 自分たちが提供する商品やサービスを通して、誰にどうなって欲しいのか?→商品やサービスの目的、ターゲットの具体化
  • 同業他社にはなく、自社にあるものとは?→他社との差別化、自社の強み

顧客の立場になり、客観的に自社をイメージしてみるのもおすすめです。

たとえば「サードプレイス」をコンセプトに掲げるスターバックスは、自宅でもない、職場でもない第3の場所として多くの人に愛されています。

さまざまな視点でコンセプトを見つめなおし、具体化、見直しをすれば、サロン名のヒントが出るかもしれません。

近隣同業種の人気サロンを参考にする

店舗出店エリアに同業種のサロンがある場合、人気店のサロン名をチェックしてみてください。予約ポータルサイトで、口コミ評価が良いお店を参考にするのもおすすめです。

ブログやサロン紹介をみればコンセプトや店舗名の由来が記載されています。

人気サロンの傾向はエリアによって異なるため、なるべく近隣店舗を参考にするのがよいでしょう。

ただし、あまり似通ったサロン名にすると混合され、顧客の記憶に残りにくくなるので、あくまで参考程度にすることをおすすめします。

風水を取り入れてみる

コンセプトや近隣店舗を参考にしてもまだ良いアイデアが出てこないときや、候補が多く決定できないときには、風水を取り入れてみるのもおすすめです。

風水の考えでは、金運アップや幸運をもたらすとされる漢字や画数、方角があるとされています。

「幸」「愛」「彩」などポジティブさや明るいイメージをもつ漢字や外国語、縁起や金運の良いとされる画数を参考にしてみましょう。

その際、サロンのイメージやコンセプトとつながる名前であることも大切です。エステサロンであれば若々しさや美を、リラクゼーションサロンであれば癒しを連想できるものを選ぶとよいでしょう。

開業している人に店舗名の由来を聞いてみる

身近に開業している人がいるなら、店舗名の由来を聞いてみましょう。

店舗名はコンセプトを取り入れて付けられたものが多い傾向ですが、ペットや創業の地名を外国語に変換したもの、好きな言葉からアイデアを得たものなどさまざまです。

―こうして生まれたアトリエ「HAKUJITSU」ですが、名前の由来はありますか?

僕には、座右の銘がありまして。自由人・作家である高橋歩さんが自著で記していた「NO RAIN - NO RAINBOW(雨が降るから虹も出る)」って言葉です。(中略)僕たちのお店に来てくれたお客様が過ごすひと時が、日々の辛いことやしんどいことを乗り越える糧になるように、施術を終えアトリエを出られる時には晴れやかな気持ちになれるように願っています。

引用:モアリジョブ|HAKUJITSU -晴空日- オーナー 五十嵐将寿さん

美容室やネイルサロンなど同業種だけでなく、飲食店やセレクトショップといった異なる業種の人に店舗名の由来を聞くことで、ネーミングの新たなアイデアが生まれるかもしれません。

もし身近に開業している人がいない場合、大手の飲食店などを参考にしてみるのもよいでしょう。大企業の多くは自社のホームページで、社名や店名の由来を公開しています。

サロン名が決まったらすべきこと

サロン名が決まれば開業届や各業種ごとに必要な行政上の手続きに加え、「サロン名の商標登録」と「ドメインやSNSアカウントの取得」をおすすめします。

上記2点は必須ではありませんが、事前に行っておくことでサロン名を他社に使われるのを防ぎ、Web集客をするうえで有利になります。

サロン名が決まったらなるべくすぐに、商標登録とアカウントの取得を行いましょう。

サロン名の商標登録

商標登録は店舗イメージの失墜や売上げの損失からサロンを守る、保険のような役割を担うものです。

昨今、SNSでの配信や広告などをきっかけの炎上トラブルが少なくありません。もしサロン名が類似する他のサロンでトラブルが起きた場合、全く関係なくても人々の勘違いからブランドイメージの失墜や売上損失につながる可能性があります。

また類似するサロンがあると、顧客が関連ある店舗だと勘違いして来店し、トラブルに発展する可能性も考えられます。

商標登録は先に登録が認められた者が商標権をもち、他の使用を制限できます。商標登録は申請してから認められるまでに時間を要するため、サロン名が決まり次第、なるべく早めに申請しましょう。

【商標登録の流れ】

  1. 商標登録願の出願(特許印紙必要)
  2. 登録査定
  3. 登録料納付(30日以内)
  4. 設定登録(商標登録証の発行)

なお、商標権は10年で切れるため、更新を忘れないように注意が必要です。(更新費用が必要)

商標登録やかかる費用については、以下特許庁のサイトをご覧ください。

初めてだったらここを読む~商標出願のいろは~ | 経済産業省 特許庁

産業財産権関係料金一覧 | 経済産業省 特許庁  

ドメインやSNSアカウントの取得

サロン名が決まったら、サロン名を入れたドメインやSNSアカウントの取得をしましょう。ドメインやSNSアカウントにサロン名を入れることで、販促効果が高まります。

ドメインとはインターネット上における住所のようなもので、同じものはひとつとしてありません。

インターネットで検索するときに使うURLの「https://www.」やメールアドレスの「@」のあとに続く部分がドメインです。好きな文字列でつくったドメインを、独自ドメインといいます。

独自ドメインには主に以下のメリットがあります。

  • サイトへの信頼度が高まる
  • SEO評価が上がる
  • 迷惑メール判定されにくくなる

デメリットとしてはドメインの場合、取得や更新に費用がかかる点です。(SNSアカウントの場合はかかりません)

ただ、使いたい文字列があっても、すでに他人が登録している場合はその文字列は使用できません。

ドメインやSNSアカウントの取得は簡単にできるため、サロン名が決まり次第なるべく早めに取得しましょう。

売れるサロンを作るにはネーミング同様、人材採用も重要!

ここまで解説したようにサロン名は集客に影響を及ぼすため、慎重に決定すべきものですが、ネーミング同様に慎重になるべきなのが人材採用です。

ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、フェイシャルサロン利用者の約4割がエステティシャンやサロンスタッフの対応や技術を理由に、サロン変更を検討した経験があると回答しています。

▼「サロンを変更したい」と思った具体的な理由(フェイシャルサロン利用/女性20~59歳/n=1,000/複数回答)

3.サロンを変更したいと思った具体的な理由

どんなに覚えやすく、イメージしやすいサロン名で来店につなげられたとしても、技術者の対応や技術が良くなければ、顧客はリピートしません。それだけでなく口コミ評価も悪くなり、新規顧客獲得へ悪影響を及ぼす可能性も高まります。

サロンオープンの際はネーミング同様、人材採用にも注力することが大切です。

なお、採用とネーミングが同時期になるのであれば、採用したオープニングスタッフ全員でサロン名を決めるのもおすすめです。みんなでサロン名を決めれば愛着も沸きやすく、一丸となってサロン運営に取り組めるでしょう。

―お店の名前の由来やコンセプトを教えてください。

「arc」は「円」や「弧」という意味があるんですが、周りの人や繋がりを大事にするという思いが込められています。これ、スタッフが考えてくれたんですよ。みんなで候補を出して、話し合って決めました。

引用:モアリジョブ|arc代表 前田秀樹さん

サロン開業時の採用人材はサロンイメージに直結しやすく、サロン運営に大きな影響を及ぼします。サロン開業を成功させたい経営者や採用担当者は、下記のホワイトペーパーをぜひ参考にしてください。ダウンロード無料です。

まとめ

本記事を総括すると、次のとおりです。

  • ネーミングの際は覚えやすく、何のお店かわかるものにする
  • 商標登録や他店との重複した名前に注意する
  • アイデアが浮かばないときは、コンセプトの具体化や見直しをする
  • 近隣同業種の人気店や、開業している人のネーミングを参考にする
  • ネーミング同様、人材採用も重要!サロンイメージに合う優秀な人材採用を行う
田中 久美(Tanaka Kumi) プロフィール画像
執筆者情報
田中 久美(Tanaka Kumi)
温泉施設や大手スポーツクラブのエステティックサロン、大型リラクゼーションサロンにて、エステティシャンやアロマセラピストとして勤務。エステティックサロン勤務時代は人材採用や育成、店舗管理なども担当。 その後独立し、現在は完全貸切のアロマリラクゼーションサロンを運営。約20年の知識や技術を活かし、集客や経営、接客などを自身で行う。約7~8割がリピート顧客で、30代から50代の女性を中心に指示を得ている。