採用面接には事前準備が欠かせません。特に応募者を見極めるための質問選びは重要な要素の一つとなります。
そこで本記事では、面接の基本的な流れや準備の仕方に加え、場面ごとに活用できる質問例を紹介します。
採用面接で応募者を見極められる質問を探している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
面接官の重要な役割
面接官が果たすべき役割のなかで、特に重要な項目は次のようになっています。
- 自社にマッチしているかを見極める
- 企業の顔であることを自覚する
以下にて詳しく見てみましょう。
自社にマッチしているかを見極める
面接官のもっとも重要な役割は、応募者を公平かつ客観的な視点で評価し、見極めることです。これには、応募者のスキル、経験、性格、そして企業文化への適合性を正確に判断することなども含まれます。
また面接官は、応募者の現在のスキルや経験だけでなく、将来的なポテンシャルも見極めなければなりません。例えば、応募者が将来的にどういった人材に成長し、企業に貢献できるのかを判断する必要があります。
エン転職が行った調査によると、多くの面接官が見ているのは、「柔軟性(66%)」「適応力(48%)」「主体性(46%)」であることが分かっています。応募者のスキルや将来性を見極める際の判断軸として参考にしてみるとよいでしょう。
美容ヘルスケア業界で取締役と採用を担当している池戸さんは以下のような点を見ていると回答しています。
見ているポイント
- 入社したい理由を将来のビジョンも見据えて伝えられる
- 今まで経験してきた出来事が何の役に立つのか自分で説明できる
- 面接の種類に応じて、常に適切な判断・行動ができる
参考:モアリジョブ
このように、業界によって見ているポイントは異なるため、業界ならではの視点を重視することも大切です。
企業の顔であることを自覚する
面接官は、応募者に対し、企業の代表として接する必要があります。面接中の言動や態度は、応募者に企業のイメージを強く印象付けるため、面接官はプロフェッショナルな態度を保ち、企業の価値観や文化を正確に伝えなければなりません。
実際のところ、エン転職が1万人に対して行った調査によると、「転職活動中に面接や企業の対応で”この会社には入社したくない”と思ったことはありますか?」という質問に対し、72%が「ある」と回答しています。
また同調査によると、入社意欲が下がった企業の対応、上がった企業の対応、ともに理由は「面接官の態度・印象」だったと約半数以上が回答しています。
つまり、面接官の態度・言動によっては応募者の入社意欲を削いでしまう可能性があるということですから、面接官は十分に注意しなければなりません。
面接の基本的な流れと質問例
面接の基本的な流れは次の通りです。
- 事前準備
- アイスブレイク(雑談)
- 自己PR
- 志望動機の確認
- 経験やスキルの深掘り
- 自社の働き方や風土の説明
- 応募者の選考状況の確認
- 逆質問の時間
以下では、各パートの詳細と質問を紹介します。
質問例は、株式会社ビズヒッツが面接経験者500人に対して行った調査「面接で聞かれた質問内容ランキング」を参考に作成しています。
1.事前準備
事前準備は以下の手順で進めます。
【手順1.面接の目的と評価基準の明確化】
面接の目的を明確にし、どのような能力や特性を評価するのかを事前に設定。評価基準を統一して面接官全員で共有する。
【手順2.質問リストの作成】
応募者の職務経歴やスキルを確認するための具体的な質問を準備。スキルや適性を見極めるための質問を羅列し、精査する。質問は人材を募集している部門と話し合いをして決めるとよい。
【手順3.面接の流れの設計】
面接の大まかな流れ(例:自己紹介、会社紹介、質疑応答、締めくくり)を設計。各パートにかける時間配分もあらかじめ設定しておく。
【手順4. 面接場所の準備】
面接を行う場所が静かで落ち着いているか、環境が整っているかを確認。必要な資料や設備(例:プロジェクター、ホワイトボードなど)が揃っているかをチェックする。
【手順5.面接官の役割分担】
面接官が複数いる場合、それぞれの役割を明確にし、誰がどの質問を担当するのかを事前に設定。面接の進行役、記録係などの役割も必要に応じて決める。
【手順6.事前連絡と確認】
応募者に面接日時や場所、持ち物などを事前に確認して再度連絡。面接当日における応募者の緊張を和らげるための案内や説明も準備しておく。
2.アイスブレイク(雑談)
応募者が到着し、席に着いたらまずはアイスブレイクを行いましょう。面接の最初にアイスブレイクを行うことで、応募者の緊張を和らげ、リラックスした雰囲気を作り出せます。
また、良い雰囲気を作ることで、応募者が本来の自分を出しやすくなり、自然なコミュニケーションが図れるようになります。
アイスブレイクには以下のような質問がよいでしょう。
質問例
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3.自己PR
自己PRのパートでは、応募者に自分の強みや特長をアピールしてもらいます。ここでは、応募者のスキルや経験、個性を引き出す質問がおすすめです。
質問例
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4.志望動機の確認
志望動機の確認では「応募者がなぜその企業を選んだのか」または「その職種に応募した理由」を深堀りします。このパートでは企業や職務に対する理解度や熱意を測ります。
質問例
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5.経験やスキルの深掘り
このパートでは、応募者の過去の職務経験や具体的なスキルについて詳細に確認します。
実際の業務内容や成果、スキルついて深掘りし、応募者の実力を図りましょう。
質問例
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6.自社の働き方や風土の説明
このパートでは、応募者に自社の働き方や企業風土を説明します。ここでは、企業文化や業務環境について詳しく伝えることで、応募者が自社に適しているかどうかを確認します。同時に、応募者に企業について理解を深めてもらう機会でもあります。
以下では、働き方や風土のマッチ度を測るうえで聞いておきたい質問を紹介します。
質問例
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7.応募者の選考状況の確認
このパートでは、応募者の現在の選考状況を確認し、他社の進捗状況や希望条件を把握します。
応募者の状況を把握し、整理しておくことで採用スケジュールや条件面の調整がしやすくなります。
応募者の選考状況や希望条件を聞きたい場合の質問例は以下の通りです。
質問例
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8.逆質問の時間
面接の最後に、応募者からの質問を受け付ける時間を設けることで、応募者が疑問や不安を解消できます。これにより、内定後の定着率を上げることが可能です。また、このパートを通じて応募者の関心や理解度を測ることもできます。
質問例
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【ジャンル別】採用面接の質問例90選
ここでは下記のジャンルに分けて、採用面接の質問例とその意図を紹介していきます。
- 新卒採用での面接質問
- 中途採用での面接質問
- 退職理由を把握するための面接質問
- 志望動機を理解するための面接質問
- 人間性を見極めるための面接質問
- コミュニケーション力を把握するための面接質問
- 向上心を把握するための面接質問
- 志望度を把握するための面接質問
以下で紹介する質問例の中から自社の風土にマッチした質問を選択しましょう。
新卒採用でおすすめの面接質問15選
新卒採用では、応募者のポテンシャルや成長の可能性、会社への適応力を見極めることが重要です。
以下は、新卒採用面接でおすすめの質問と、その質問をする意図です。
「自己PRをお願いします。」
意図:応募者の強みや特長を具体例とともに話してもらい自己肯定感や特性を見極める。
「学生時代に力を入れたことは何ですか?」
意図:具体的なエピソードを引き出して努力や工夫に対する意識を確認する。
「アルバイト経験について教えてください。」
意図:職務内容だけでなく、そこで学んだことや身につけたスキルを掘り下げて将来性を探る。
「チームで働いた際の経験を教えてください。」
意図:役割や成果、協力した過程を詳しく聞き、チームワークの能力を確認する。
「困難に直面した時の対処方法を教えてください。」
意図:問題解決能力やストレス耐性を確認する。
「弊社を志望した理由は何ですか?」
意図:企業研究の深さや志望動機の具体性を見極める。
「今後のキャリアビジョンを教えてください。」
意図:長期的な視点での目標や成長意欲を確認する。
「リーダーシップを発揮した経験を教えてください。」
意図:リーダーシップのスタイルやマネジメント力のポテンシャルを確認する。
「周囲からどのような人だと言われますか?」
意図:自己認識や対人スキルを確認する。
「現在の関心事や趣味について教えてください。」
意図:応募者の人となりや多様な側面を把握する。
「学生時代に学んだことをどのように活かしたいですか?」
意図:学びを職務にどう応用するか考えているかを確認する。
「長所と短所を教えてください。」
意図:自己分析の深さや改善意欲を確認する。
「グループでの活動で意見が対立した場合、どう対処しますか?」
意図:コミュニケーション能力や対人スキルを確認する。
「卒業論文のテーマとその選定理由を教えてください。」
意図:論理的思考や専門知識の深さを把握する。
「最後に何か質問はありますか?」
意図:企業への関心度や事前準備の程度を見極める。
●美容業界でおすすめの質問
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中途採用でおすすめの面接質問15選
中途採用では、応募者の即戦力性や実務経験、専門スキルを見極めることが重要です。
以下では、中途採用面接でおすすめの質問と、その質問をする意図を紹介します。
「前職の仕事内容を教えてください。」
意図:具体的な業務内容と役割を把握し、即戦力としての適性を確認する。
「これまでのキャリアで最も達成感を感じたことは何ですか?」
意図:成功体験や会社への貢献度を確認する。
「退職理由を教えてください。」
意図:前職での不満や転職動機を確認し、自社での適応度を見極める。
「弊社を志望した理由は何ですか?」
意図:企業研究の深さや具体的な志望動機を見極める。
「自身の強みと弱みを教えてください。」
意図:自己肯定感の高さや改善意欲を確認する。
「チームでの仕事で大切にしていることは何ですか?」
意図:協調性やコミュニケーション能力を確認する。
「これまでに担当したプロジェクトの中で最も困難だったものは何ですか?」
意図:問題解決能力やストレス耐性を確認する。
「リーダーシップを発揮した経験について教えてください。」
意図:リーダーシップや応募者がもつリーダー像を確認する。
「弊社で実現したいことは何ですか?」
意図:入社後の目標や向上心を把握する。
「業務改善の提案をした経験がありますか?」
意図:改善意識や提案力を確認する。
「これまでのキャリアで最も役立ったスキルは何ですか?」
意図:即戦力としてのスキルや適性を確認する。
「新しい技術や知識をどのように学んでいますか?」
意図:成長意欲と学習意欲を見極める。
「周囲の同僚や上司からどのように評価されていましたか?」
意図:対人スキルや評価の客観性を確認する。
「在籍していた職場での一日の業務の流れを教えてください。」
意図:実務の具体的な内容やスケジュール管理能力を把握する。
「最後に何か質問はありますか?」
意図:企業への関心度や事前準備の程度を見極める。
●美容業界でおすすめの質問 |
退職理由を把握するための面接質問10選
退職理由を把握することは、応募者のキャリア志向や職場での適応性を評価するうえで重要です。
以下は、退職理由を把握するための質問例とその意図です。
「前職を辞めた理由は何ですか?」
意図:シンプルな質問で、直接的な理由を引き出す。ネガティブな内容が多いと感じた場合は深掘りして詳細を確認する。
「前職で満足できなかった点はどこですか?」
意図:不満点を把握し、自社での適応可能性を見極める。
「前職での最大の課題は何でしたか?」
意図:チャレンジの捉え方と改善能力を確認する。
「前職での人間関係について教えてください。」
意図:対人スキルや職場の適応性を確認する。
「退職を決意したきっかけは何ですか?」
意図:退職につながった具体的なトリガーを把握し、自社との適性を見極める。
「転職を考えた時期はいつですか?」
意図:転職活動の計画性や理由を探る。
「前職でやりがいを感じなかった点はありますか?」
意図:モチベーションの源泉や適切なポストを見極める。
「前職での経験を経て改善したいと思っている点はありますか?」
意図:問題意識や改善意欲を確認する。
「上司や同僚との関係について教えてください。」
意図:職場での対人関係やコミュニケーションの構築方法を把握する。
「転職後に期待することは何ですか?」
意図:応募者のキャリア志向や期待値を確認する。
志望動機を理解するための面接質問10選
志望動機を理解することで、応募者の本気度や企業研究の深さを評価できます。
以下は、志望動機を理解するための質問例とその意図です。
「弊社を志望した理由は何ですか?」
意図:企業研究の深さや具体的な志望動機を見極める。
「弊社のどの部分に魅力を感じましたか?」
意図:具体的な意図を聞き出し、適性を評価する。
「弊社のどんな点が他社と違うと思いますか?」
意図:企業理解の深さや比較の視点を確認する。
「弊社の理念やビジョンについてどう感じましたか?」
意図:企業文化への共感度を評価する。
「弊社で実現したいことは何ですか?」
意図:入社後の意欲や目標を確認する。
「弊社の製品やサービスについてどのような意見を持っていますか?」
意図:具体的な製品理解や市場認識を評価する。
「弊社に入社したら最初に取り組みたいことは何ですか?」
意図:入社後の行動計画や積極性を確認する。
「弊社の業界で今後の課題は何だと思いますか?」
意図:業界理解や問題意識を評価する。
「弊社で働くことに期待することは何ですか?」
意図:応募者の期待値や希望を把握する。
「弊社の社風や働き方についてどう感じましたか?」
意図:企業文化への適応性を評価する。
人間性を見極めるための面接質問10選
人間性を見極めることは、職場での適応性やチームとの相性を評価するうえで重要です。
以下は、人間性を見極めるための質問例とその意図です。
「これまでの人生で一番苦労した経験は何ですか?」
意図:逆境にどう対応したかを確認し、困難への対処法を確認する。
「他人からどのような性格だと言われますか?」
意図:自己認識や他者からの評価を確認する。
「あなたの長所と短所を教えてください。」
意図:自己理解の深さや自己改善意識を確認する。
「チームで仕事をする際に大切にしていることは何ですか?」
意図:協調性やチームプレイへの意識を確認する。
「あなたが尊敬する人物は誰ですか?」
意図:価値観や憧れる人物像を理解する。
「過去に失敗したことと、その経験から学んだことは何ですか?」
意図:失敗から何を学んでいるかや成長意欲を確認する。
「休日の過ごし方を教えてください。」
意図:リフレッシュ方法や趣味から人間性を見極める。
「他の人と意見が対立したとき、どう対処しますか?」
意図:対人関係のスキルや問題解決能力を確認する。
「これまでの人生で一番誇りに思うことは何ですか?」
意図:価値観や達成感を感じる瞬間を理解し、人間性を推察する。
「どのような環境で最も働きやすいと感じますか?」
意図:職場環境への適応性やストレス耐性、好みなどを確認する。
コミュニケーション力を把握するための面接質問10選
コミュニケーション力は、職場での円滑な業務遂行やチームワークに不可欠です。
以下は、コミュニケーション力を把握するための質問例とその意図です。
「プレゼンテーションを行った場面や経験を教えてください。」
意図:プレゼンテーションスキルや説明力を確認する。
「職場で意見を伝える際に心掛けていることは何ですか?」
意図:対人スキルや思いやる気持ちを確認する。
「チームでチャットのやり取りを際に大事だと思うことを教えてください。」
意図:情報共有のスキルやリモートワークの適正を確認する。
「顧客対応で困難な状況をどのように解決しましたか?」
意図:顧客対応力や問題解決能力を確認する。
「上司や同僚とコミュニケーションを取る際に心掛けていることは何ですか?」
意図:上司や同僚との構築方法を確認する。
「職場での意見交換やディスカッションの経験を教えてください。」
意図:論理的思考力や折衝力を確認する。
「対話が苦手な人とのコミュニケーション方法を教えてください。」
意図:困難なコミュニケーション状況への対応力を確認する。
「プロジェクトでリーダーを務めた経験を教えてください。」
意図:リーダーシップやチーム管理能力を見極める。
「フィードバックを受けるとき、どのように対応しますか?」
意図:フィードバックの受け入れ態度や改善意識を確認する。
「異なる意見をもつ人との対話をどのように進めますか?」
意図:意見の違いを調整するスキルや共感力があるかを確認する。
●美容業界でおすすめの質問 |
向上心を把握するための面接質問10選
向上心をもつ人材は、成長意欲が高いため企業やチームにとって貴重な存在になり得ます。
以下は、向上心を把握するための質問例とその意図です。
「最近、何か新しいスキルを習得しましたか?」
意図:自己啓発の姿勢や新しいことに挑戦する意欲を確認する。
「キャリア目標を教えてください。」
意図:将来のビジョンや長期的な目標を把握する。
「これまでにどのような自己改善を行ってきましたか?」
意図:自己改善の具体的な努力と結果を確認する。
「仕事において、最も達成感を感じた経験を教えてください。」
意図:達成感を感じる瞬間から向上心の高さを見極める。
「次のステップとして、どのようなスキルを身に付けたいですか?」
意図:成長意欲やスキルアップ計画を把握する。
「失敗から学んだことを教えてください。」
意図:失敗をどのように捉え、成長につなげているかを把握する。
「現在、学んでいることや興味のある分野は何ですか?」
意図:現在の学習意欲や興味の範囲を確認する。
「5年後の自分をどのようにイメージしていますか?」
意図:長期的な成長計画や目標を把握する。
「仕事以外での目標や挑戦していることはありますか?」
意図:仕事以外での向上心や挑戦意欲を確認する。
「あなたにとって、成長とは何ですか?」
意図:成長に対する考え方や価値観を把握する。
●美容業界でおすすめの質問 |
志望度を把握するための面接質問10選
志望度の把握は、応募者がどれほど本気でその企業で働きたいと考えているかを見極めるために重要です。また選考を進めるかどうかの指標にもなります。
以下は、志望度を把握するための質問例とその意図です。
「弊社に興味をもったきっかけは何ですか?」
意図:会社への興味や応募の動機を確認する。
「弊社のどの点に魅力を感じましたか?」
意図:企業の魅力や強みをどのように感じているかを確認する。
「他社と比較して、弊社を選んだ理由は何ですか?」
意図:競合他社との比較から、志望度の高さを確認する。
「弊社の企業理念についてどう思いますか?」
意図:企業理念への共感度を確認する。
「入社後、弊社でどのように貢献したいと考えていますか?」
意図:入社後の意欲や貢献意識を確認する。
「弊社の製品やサービスについてどのような印象をもっていますか?」
意図:製品やサービスへの理解度や興味を確認する。
「他に応募している企業はありますか?」
意図:他社への応募状況から志望度の相対的な高さを確認する。
「弊社で達成したい目標は何ですか?」
意図:具体的な目標設定から志望度の高さを見極める。
「入社後のキャリアプランを短期・長期で教えてください。」
意図:入社後の具体的な計画や意欲を理解する。
「弊社について何か質問がありますか?」
意図:企業についてどれだけ調べているかや関心度を確認する。
採用面接の質問で応募者の本質を見極めるコツ
採用面接の質問で応募者の本質を見極めるコツは次の通り。
- 採用要件の定義化する
- 応募者が話しやすい場をつくる
- 応募者の回答を深掘りする
以下にて解説します。
採用要件の定義化する
採用面接において、応募者の本質を見極めるためには、まず採用要件を明確に定義することが重要です。具体的な手順を見てみましょう。
1. 必要なスキルと経験の明確化
採用要件の定義化は、具体的なスキルや職務経験をリストアップすることから始まります。また、特定の技術や業界経験が求められる場合は、その詳細を明確に記載します。美容ヘルスケア業界で必要とされる具体的なスキルや経験を見てみましょう。
【美容ヘルスケア業界で必要なスキル】
参考:モアリジョブ |
2. 求める人材像を描く
会社の文化やチームの雰囲気に合う人材像を描きます。具体的には、チームワーク、リーダーシップ、自己管理能力などの性格特性です。
3. 求める行動特性を具体化する
行動特性とは、応募者がどのように問題解決を行い、ストレスに対処し、他者と協力するかを示す指標です。これを具体的に定義することで、面接時の質問内容を最適化できます。
4. 面接質問の設計
定義された採用要件に基づき、具体的な面接質問を設計します。
5. 一貫性のある評価基準を設定する
採用要件が明確になったら、一貫性のある評価基準を設定します。一貫性は、複数の面接官が一貫した基準で応募者を評価する際に重視されます。
6. 継続的な改善
採用プロセスは常に改善が必要です。面接後に面接官同士でフィードバックを出し合い、採用要件や質問内容を適宜見直します。
以上の手順を踏むことで、採用面接において応募者の本質を見極めることができるため、組織に最適な人材を採用しやすくなります。
応募者が話しやすい場をつくる
応募者が話しやすい場をつくることで本音を聞きやすくなり、本質を見極めやすくなります。
株式会社ベクトルが行った調査では、500人のうち約70%の応募者が面接に苦手意識をもっていることが分かっています。
このことからも、空間や雰囲気をリラックスさせ、緊張を和らげることが非常に重要であると言えます。とはいえ、あまり難しいことを考える必要はなく、笑顔で迎えたり、打ち解けやすい質問から始めたりといった小さな気遣いをするだけでよいです。
また、面接官がオープンかつ受容的な態度を示すことも効果的です。応募者が自分の考えや経験を素直に話せるように、積極的に聞き手として関心を示すのもよいでしょう。
具体例として、株式会社ベクトルが「面接経験のある男女500人」に対し行ったアンケートでは、以下のような結果が出ています。
面接官の嬉しかった対応
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面接であった嫌なこと
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上記を参考に応募者とのコミュニケーションを図りましょう。
応募者の回答を深掘りする
面接で応募者の本質を見極めるためには、質問への回答を深掘りすることが重要です。
例えば、応募者の回答に対して、さらに深く掘り下げるためのフォローアップ質問を行います。具体的な事例や経験を挙げてもらい、応募者の考えや行動の背後にある理由や価値観を探りましょう。
また、応募者が過去にどのような経験を積んできたかを把握し、その経験から得た教訓や成長を見極めることも大切です。
具体的には、過去の成功や失敗についての質問を深掘りすることで、応募者がもつ成長意欲や柔軟性が見えてくるでしょう。
採用面接で質問NGな7つの項目と例
採用面接では、質問NGな項目があります。
この項目に触れる質問をしてしまうと、応募者の志望度を下げてしまうだけでなく、採用ブランディングにも悪い影響を与えてしまいます。
そのため、以下で紹介する質問NGな7つの項目と例は必ずチェックしておきましょう。以下では、厚生労働省が公表している「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」に記載されている項目と質問例を参考に紹介します。
1.性別・年齢・出身などの個人情報に関する質問
「結婚しているのですか?」
「子供は何人いますか?」
「あなたの出身地はどこですか?」
2.宗教・信条に関する質問
「あなたは何の宗教を信仰していますか?」
「学生運動についてどう思いますか?」
3.健康状態や障がいに関する質問
「精神的な病気を患ったことはありますか?」
「仕事に支障が出るような何らかの障がいをもっていませんか?」
4.出身校や学歴に関する質問
「あなたの学歴はどのようなものですか?」
「どこの高校を卒業しましたか?」
5.政治的な立場に関する質問
「あなたはどの政党を支持していますか?」
「応援している政治家はいますか?」
6.家族構成や世帯収入に関する質問
「あなたの配偶者はどのような職業をしていますか?」
「兄弟はどのような仕事をしていますか?」
7.婚姻・出産計画に関する質問
「将来的に結婚や子供をもつ予定はありますか?」
「現在結婚を考えている人はいますか?」
これらの質問は個人情報の保護や差別防止の観点からNGとされています。
採用面接では、応募者のスキルや適性に関する質問のみに絞り、公平かつ適切な面接を行うよう心がけましょう。
まとめ
本記事では採用面接の重要性と、場面ごとの質問例を紹介しました。
採用面接では応募者を見極めるのと同時に、応募者もまた企業(面接官)を見ています。
そのため企業は、応募者を見極める質問の準備に徹するだけでなく、応募者を迎え入れるための準備も徹底しなければなりません。
両面でしっかりとした事前準備を行い、自社にマッチした人材の獲得を目指しましょう。
- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部