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田舎でのジム経営は失敗しやすい?失敗・成功の理由や注意点を紹介

田舎でのジム経営は失敗しやすい?失敗・成功の理由や注意点を紹介

  1. 田舎でのジム経営は儲かるのか?まず特徴を知っておこう
  2. 田舎でのジム経営が失敗しやすい5つの理由
    1. 出店に成功する場所が限られる
    2. ジムを利用する人口・年齢層が少ない
    3. スタッフ採用が困難
    4. スポーツジムの認知度が低い
    5. 悪評が広まりやすく接客に細心の注意が必要
  3. 田舎でのジム経営にはメリットもある
    1. 開業・運営コストを抑えやすい
    2. 客層を絞れば大きな利益も狙える
    3. 地域での口コミ拡散力が高い
    4. 競合が少ない
  4. 田舎でのジム経営が失敗しにくい方の特徴
    1. 小規模ビジネスモデルを展開したい
    2. エリア特化した店舗を経営したい
    3. 費用を抑えてジム経営をしたい
    4. プライベート時間を大切にしたい
    5. シニア層向けの店舗を運営したい
  5. 田舎でのジム経営に失敗しやすい方の特徴
    1. 多店舗経営を希望する
    2. 大手ジムのフランチャイズ出店をしたい
    3. 大規模店を開業したい
  6. 経営者が田舎でジムを出店するときの失敗しにくいプランニング例
    1. 1.ターゲット・立地を厳選する
    2. 2.事前集客を行い口コミを広める
    3. 3.ターゲットに合った店舗を設計する
    4. 4.仮店舗ができたら体験会を実施する
    5. 5.体験会の感想をもとにさらにメニューや料金を厳選する
    6. 6.オープン後にも顧客対応をコンスタントに行う
  7. 田舎で成功しやすいジムの経営モデル
    1. パーソナルジム
    2. 高齢者向けの一般ジム
    3. 24時間経営のジム
  8. 田舎でのジム経営を成功させるためのポイント
    1. 顧客のフィードバックに真摯に対応する
    2. 田舎に合ったトレーニングメニューや料金設定を作成する
    3. 地域のスポーツイベントや健康啓発活動に参加し認知度を高める
    4. 適切な広告媒体を使い認知度を高める
    5. 口コミ拡散を誘発し紹介による顧客増を狙う
  9. 田舎でのジム経営成功・失敗事例を紹介
    1. 成功事例
    2. 失敗事例

「自然豊かな地元で、健康を支える仕事をしたい」「都会の喧騒を離れ、自分のペースでジムを経営してみたい」

そんな想いを抱き、田舎でのフィットネスジム開業を夢見る人は少なくありません。しかし、人口の少ない田舎で都会と同じ経営をすると失敗する可能性は高いといわれています。実際に、十分な準備や戦略なしに開業し、志半ばで撤退を余儀なくされるケースも後を絶ちません。

本記事では、田舎でのジム経営に失敗しないためのコツや、成功・失敗しやすい方の特徴、モデルケースなどを紹介します。

田舎でのジム経営は儲かるのか?まず特徴を知っておこう

田舎でのジム経営は都市部での経営とは異なる収益構造とコスト感覚です。それを理解するのが、成功への第一歩となります。

年収の振れ幅は300~1,000万円以上と非常に大きいです。選択するビジネスモデルや経営手腕に、儲けが大きく左右されます。開業に必要な初期費用は数百万~1,000万円程度が一般的といわれています。

会員数が100人に達すれば、月間売上は60万円、年間で720万円。経費を差し引いても年収500万円以上を目指せます。鍵はいかにして地域の固定客を掴み、退会率を低く抑えるかです。

年収1,000万円を目指すには、低価格な会費モデルから一歩踏み出さねばなりません。「付加価値」を提供し、客単価を上げる戦略が不可欠になります。競合が少ない田舎の市場で特定のニーズを独占し、都市部以上の高収益を実現しましょう。

しかし、このラインを超える領域は、単にジムを運営するだけでは到達が難しいステージです。このレベルに達する経営者は、ジム経営を核としつつ収益源を巧みに多角化しています。

田舎でのジム経営が失敗しやすい5つの理由

多くの人が陥りがちな5つの典型的な失敗理由を、具体的な事例と共に深く掘り下げていきます。

出店に成功する場所が限られる

都市部は多くの人が利用する鉄道の「駅近」が、集客の生命線で一等地とされます。しかし、日常の移動を車に頼る車社会の田舎で、この常識は全く通用しません。駅がどれだけ近くてもそれが集客の決め手にならず、車でのアクセスのしやすさや十分な駐車場の有無が命運を左右します。

▼車でのアクセスを考えて避けるべき場所

  • 地域の主要な道路から一本入った道が狭く見通しの悪い場所
  • 駐車スペースが数台分しかなく、他の車と切り返すのに苦労するような場所
  • 対向車とのすれ違いが困難
  • 駐車スペースが縦列駐車や狭い区画しかない

開業を決める前には、必ず候補地の周辺を実際に見にいきましょう。平日と休日、朝昼晩と時間帯を変えて、車の交通量や人の流れを徹底的に観察します。生活動線を確認しその動線上にある、広くて停めやすい駐車場を備えた物件を、粘り強く探してください。

ジムを利用する人口・年齢層が少ない

田舎でビジネスを行う以上、避けては通れない宿命が「絶対的な人口の少なさ」です。見込み客の総数は、都市部に比べて圧倒的に少なくなります。

さらに深刻なのは、その人口構成です。フィットネスジムの主要ターゲットとされがちなのは、20代~40代の若年層・中年層といわれています。

しかし、田舎は高齢者の割合が高く、ターゲット層を見誤ると危険です。都市部で流行しているビジネスモデルをそのまま持ち込むと、田舎でのジム経営は確実に失敗します。限られたコミュニティの中で悪印象が一度でも広まれば、新たな顧客を獲得する道は閉ざされます。この課題を乗り越えるためには、発想の転換が求められるのです。

スタッフ採用が困難

優れたスタッフは会員のモチベーションを高め、居心地の良い空間を創り出します。しかし、地方や田舎では、優れたスタッフを確保すること自体が非常に困難です。

田舎では都市部と同じように募集をかけても、応募が一人も来ないということさえ珍しくありません。経験者は田舎特有の濃密な人間関係や、高齢者を中心とした顧客層とのコミュニケーションに順応できないかもしれません。ドライな接客スタイルが、地域住民との間に壁を作るケースもあります。

結局、多くの場合は未経験者を採用し、オーナー自らが時間とコストをかけて一から育成していくことになります。トレーニング理論や指導技術、接客マナー、そして地域の顧客との適切な距離感の取り方まで、教えるべきことは山積みです。

スタッフが一人前になった途端に辞めてしまったら、全て水の泡です。この「採用・育成の困難さ」を乗り越えられないジムは、サービスの質を安定できず閉業するケースが多くみられます。

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スポーツジムの認知度が低い

田舎では健康のためにジムに通う文化が、根付いていない地域も少なくありません。日々の生活の中で体を動かす機会が多く、健康を維持・増進するための手段としてジムに通う選択肢をもつ人が少ないからです。

大手の有名ジムでも根本的価値観の壁にぶつかり、集客に苦戦するケースは珍しくありません。求められるのは、単なる「宣伝」ではなく、地域に対する「啓蒙活動」です。

ジムに関する根本的な価値を、粘り強く繰り返し伝える地道な活動が不可欠になります。短期的な集客ばかりを追い求めた結果地域に根付かず、経営に失敗するオーナーは多いです。

悪評が広まりやすく接客に細心の注意が必要

田舎のコミュニティは良くも悪くも非常に狭く、物理的・心理的な距離が近いです。この「コミュニティの狭さ」は、ビジネスにとって諸刃の剣となります。

話が伝わる過程で尾ひれがつき、回復困難なネガティブなレッテルが貼られるケースも散見されます。そうなれば新規の顧客は寄り付かなくなり、既存会員も「周りの目が気になるから」と辞めていき、ジムが倒産しかねません。

田舎でのジム経営にはメリットもある

田舎でのジム経営には、もちろん大きな魅力とメリットも存在します。メリットを最大限に活かし、田舎での成功戦略を立てましょう。田舎でのジム経営が持つ4つの大きなメリットを以下で紹介します。

開業・運営コストを抑えやすい

田舎は都市部に比べ、資金における圧倒的な開業・運営アドバンテージを持っています。

物件コストが劇的に安くなる点は見逃せません。田舎では広々とした物件が、非常に低い家賃で借りられる可能性があります。駐車場付きの倉庫や空き店舗を安価に改装できるケースも多いです。

人件費も抑えやすい傾向にあります。最低賃金が低ければ、都市部に比べてスタッフの雇用にかかる費用を安くできるでしょう。経営全体で見たコスト構造をスリム化しつつ、しっかり福利厚生も充実できるかもしれません。

広告宣伝費も競争率の低さからコストを抑えられるのも魅力です。地域の広報誌やフリーペーパーへの掲載、ポスティングチラシのような安価媒体でも十分にターゲット層へ情報を届けられるからです。

ビジネスの損益分岐点が低い構造は経営の自由度を高め、不測の事態にも耐えうる強固な財務体質を築く上で非常に大きな武器となるでしょう。

客層を絞れば大きな利益も狙える

田舎にある人口が少ないデメリットは戦略の視点を180度変えると、「特定の客層に深く、独占的にアプローチできる」という強力なメリットに転化します。以下のような特化戦略を立てれば、機能するモデルケースも多いです。

モデルケース

提供するサービス

トレーニング例

高齢者(シニア層)特化モデル

介護予防やリハビリ支援、健康寿命の延伸活動

  • 簡単な体操
  • 転倒予防のためのバランストレーニング
  • 関節の痛みを和らげる水中運動

学生アスリート特化モデル

部活動が盛んな伝統校の学生向けにパフォーマンス向上に特化した指導を行う

  • 最新のスポーツ科学に基づいた体幹トレーニング
  • 瞬発力を高めるプライオメトリクストレーニング
  • 怪我を予防するためのコンディショニング

地域の人口構成や文化、ニーズを深く分析して特定の客層の「悩み」や「願い」にピンポイントで応えるサービスを提供するのがおすすめです。競争を避け、高い利益率を確保するビジネスモデルを構築できます。

地域での口コミ拡散力が高い

「〇〇さんちの奥さんが言ってたけど新しくできたジムに通い始めたら、長年悩んでいた膝の痛みがすっかりなくなったらしいよ」「うちの孫が、あそこのトレーナーさんに走り方を教わったら、この前の大会で自己ベストが出たんだって」

上記のような実体験に基づいた具体的な成功事例が、田舎では洗練された広告コピーよりも人々の心を動かします。信頼できる知人や友人からの推薦は、行動を直接的に引き起こす絶大な力を持つのです。

血の通ったコミュニケーションを通じ、顧客の期待をわずかでも超えるサービスを提供し続ければ、ポジティブな口コミの源泉となります。

競合が少ない

田舎では競合が少なく、ジム同士の消耗戦がほとんどありません。その町や村で唯一のフィットネスジム、つまり「地域一番店」になることが可能です。

地域で「運動や健康づくりをしたい」と考えた人が、無条件でジムを選んでくれる可能性も非常に高いです。ブルーオーシャン市場でビジネスを始めれば、誰にも荒らされていない手付かずの市場で「先行者利益」を独占できるかもしれません。

将来的には競合が出現する可能性もゼロではありません。とはいえ、地域住民との間に揺るぎない信頼関係を築けば、後発から簡単に顧客を奪われません。

田舎でのジム経営が失敗しにくい方の特徴

田舎でのジム経営に向いている、失敗しにくい方の特徴を5つ紹介します。ご自身がこれらの特徴に当てはまるか、ぜひチェックしてください。

小規模ビジネスモデルを展開したい

自分の目の届く範囲で質の高いサービスを提供したい方は、田舎経営に非常に向いています

田舎ではそもそも市場規模が限られるため、大規模施設は過剰投資になりがちです。オーナー自身が会員一人ひとりの顔と名前、目標を把握できるのが理想でしょう。

10坪~30坪程度の小規模なジムは地域住民との密な関係性を築きやすく、愛される存在になりやすいです。初期投資を抑え、固定費を低く保ちつつ堅実に利益を積み上げましょう。

「スモールビジネス」の思想を持つ人にとって、田舎は理想的な環境です。

エリア特化した店舗を経営したい

この町だからこそ成功するビジネスを創りたい方は、田舎での成功確率が格段に高まります。エリアへの深い洞察と愛情に基づいた店舗経営は、大手チェーンには決して真似のできない強力な差別化要因となります。

地域の人口構成や主要産業、文化的な背景を深く理解し、「この町の人々の健康課題は何か?」「彼らが本当に求めているものは何か?」を徹底的に考え抜ける方は理想です。答えを具体的なサービスとして提供できるならなおよしです。

費用を抑えてジム経営をしたい

事業を始める際のリスクを最小限に抑え、手堅く経営をスタートさせたいと考える現実的な思考の持ち主も田舎経営で失敗しません。田舎では家賃や人件費、広告費といったあらゆるコストを低く抑えられます。

  • 居抜き物件をうまく活用する
  • 中古のトレーニングマシンを導入する
  • 少ない会員数でも利益を出せるビジネスモデルを構築する

上記のような創意工夫で初期費用を、極限まで圧縮することに喜びを感じるタイプの方ならなお理想的です。低コスト構造という田舎のメリットを最大限に享受し、精神的な余裕を持って経営に臨めるでしょう。

プライベート時間を大切にしたい

都会の喧騒や時間に追われる生活から離れ、ワークライフバランスを重視したい方にも、田舎でのジム経営は魅力的な選択肢です。

自分で営業時間や定休日をコントロールしやすく、家族との時間や趣味の時間を確保する理想ライフスタイルを実現しやすい環境です。午前中はジムを営業し午後は畑仕事や子育てに時間を使う、柔軟な働き方もできます。

シニア層向けの店舗を運営したい

フィットネスの対象を地域の高齢者、シニア層に広げたいという方は、田舎の市場で大きな成功を収める可能性を秘めています。多くの地方都市が直面する高齢化という社会課題を、ビジネスチャンスと捉えられるからです。

シニア層とのコミュニケーションには忍耐強さや、相手の人生に敬意を払う姿勢が求められます。単にトレーニングを教えるだけではなく、彼らの話し相手になったり日々の健康相談に乗ったりできる方は理想的です。

温かい交流を楽しみ、地域のおじいちゃん、おばあちゃんの笑顔をやりがいに感じられるならシニア層から絶大な信頼を得られます。地域にとってなくてはならない「健康のインフラ」のような存在を目指せるかもしれません。

田舎でのジム経営に失敗しやすい方の特徴

田舎でのジム経営にはあまり向いていない、失敗しやすい方の特徴を3つ紹介します。

多店舗経営を希望する

田舎での成功モデルは、土地の特性や人間関係に深く根差しています。多店舗経営のコピー&ペーストで他地域に展開してもうまくいかないケースがほとんどです。

各地域でゼロから信頼関係を構築する必要があり、労力は都市部の比ではありません。店舗間の距離が離れていると、スタッフの管理やサービスの質の均一化も非常に困難です。

一つの店舗に深くコミットし、圧倒的な存在になるのを目指す方が田舎では結果的に大きな成功につながります。広さを求めず、深さを求める姿勢が重要です。

大手ジムのフランチャイズ出店をしたい

大手フィットネスジムのフランチャイズ(FC)に加盟して出店を考える方もいるかもしれません。しかし、これも田舎では慎重になるべき選択です。

FC本部のビジネスモデルは、人口密度の高い都市部で最適化されています。全国一律のサービス内容や料金体系、ブランドイメージは田舎の特殊な市場ニーズと合致しない可能性が高いです。

  • 本部が推奨する若者向けの派手な広告が地域の高齢者層に敬遠される
  • ロイヤリティの支払いが低コストで運営できるはずの田舎経営のメリットを相殺する
  • 独自の裁量で地域に合わせた柔軟なサービスや料金設定をできない

上記のデメリットがあるため、FC加盟は足かせになるケースも多いのです。

大規模店を開業したい

豊富な資金力を背景に最新のマシンを何十台も揃えた大型のフィットネスクラブを開業したい方も、田舎では失敗リスクがあります。

田舎は市場規模が小さいため、大規模な施設を維持できる会員数を確保するのが極めて困難です。初期投資が膨らむと損益分岐点も高くなります。常に多くの会員を集め続けなければならないというプレッシャーに苛まれる結果になりかねません。

身の丈に合わない大規模投資は、経営の柔軟性を失わせ少しの環境変化にも対応できなくなる危険性を孕んでいます。小規模で始め、地域の反応を見ながら徐々に拡大していく方が、田舎でははるかに賢明な戦略です。

経営者が田舎でジムを出店するときの失敗しにくいプランニング例

失敗のリスクを最小限に抑え、着実に地域に根付いていく具体的なプランニングを6つのステップに分け紹介します。

1.ターゲット・立地を厳選する

あなたが開業を考えている地域の人口動態や、産業や文化、ライフスタイルを徹底的に調査しましょう。「誰の、どんな悩みを解決するのか」というターゲットを明確に定めてください。

「運動不足に悩む60代以上の女性」「農作業による腰痛を改善したい50代男性」「パフォーマンスを向上させたい高校球児」など、具体的であればあるほど良いでしょう。

ターゲットが決まったら、彼らが最もアクセスしやすい立地を探します。

  • 彼らが日常的に車で通る主要道路沿いか?
  • よく利用するスーパーや役場の近くか?
  • 「広くて停めやすい駐車場」が確保できる物件はあるか?

上記は絶対条件です。家賃の安さだけで物件を選んではいけません。ターゲットの生活動線上にあり、ストレスなく通える場所を厳選すれば将来の集客が大きく増やせるでしょう。

2.事前集客を行い口コミを広める

物件の契約や内装工事と並行して、オープン前から事前集客を開始してください。これは、オープン初日からロケットスタートを切るために非常に重要です。

まずは、SNSで、ジムのコンセプトや工事の進捗状況などを発信してください。InstagramやFacebook、地域によってはLINE公式アカウントが有効です。「この町に、こんな想いを持ったジムができるらしい」という期待感を醸成しましょう。

アナログな手法も積極的に活用するのがおすすめです。地域の公民館や集会所、有力者が集まる場所に直接出向き、自己紹介とジムのコンセプトを説明して回りましょう。

地域の広報誌やフリーペーパーに、プレオープン告知を掲載するのも効果的です。この段階で、「応援するよ」と言ってくれるキーパーソンを見つけ、味方につけるのが理想でしょう。オープン前に、ジムが地域で噂になる状況を作り出してください。

3.ターゲットに合った店舗を設計する

ステップ1で定めたターゲットに合わせ、ジムを最適化します。

ターゲット

最適化の内容

マシンの種類

シニア層

ギラギラした派手な内装は避け、木目調の落ち着いた、温かみのある空間デザイン

座ったまま安全に使える油圧式マシンや、リハビリ用の機器

学生アスリート

フリーウェイトゾーンを充実させスタイリッシュなデザインにする

パワーラックやプラットフォーム

地域の主婦層

会員同士が交流できるコミュニティスペースを設ける

女性に人気の高く清潔感のあるパステルカラーで空間を統一

ダイエットに効果的で負荷のかかりにくいマシン

ターゲットの心に響く、居心地の良い空間づくりを徹底しましょう。

4.仮店舗ができたら体験会を実施する

店舗が概ね完成したら、グランドオープン前に「無料体験会」や「プレオープンイベント」を実施しましょう。集客のためだけでなく、実際のオペレーションを試して改善点を見つけ出す重要なテスト期間です。

事前集客でアプローチした人々や地域のキーパーソンを招待し、実際に施設を使ってもらってください。単にマシンを体験してもらうだけでなく、オーナーであるあなたの想いや人柄を直接伝える絶好の機会です。

一人ひとりにていねいに声をかけ、トレーニングの目的や体の悩みをヒアリングしましょう。この段階で数人でも「あなたのファン」を作れれば、グランドオープン後の経営は格段に楽になります。

5.体験会の感想をもとにさらにメニューや料金を厳選する

体験会に参加してくれた人々からは、必ずフィードバックをもらいましょう。

  • マシンの使い方が少し分かりにくかった
  • 料金プランが少し複雑だ
  • こんなプログラムがあったら嬉しい

上記のような否定的意見も聞き逃さないでください。利用者の生の声は、何よりも貴重な経営資源です。

トレーニングメニューは本当にターゲットのニーズに合っているでしょうか。 料金設定は、地域の所得水準や価値観から見て、納得感のあるものになっているかも確認してください。

独りよがりな計画になっていない利用者の視点から徹底的に見直し、磨き上げていきましょう。微調整を怠らないことが、顧客満足度を大きく左右します。

6.オープン後にも顧客対応をコンスタントに行う

グランドオープンからが本当のスタートです。田舎での成功の鍵は、継続的な顧客との関係構築にあります。

  • 入会してくれた会員一人ひとりの名前と顔を覚える
  • 日々のトレーニングの様子に気を配り小さな変化や成長を見つけては声をかける
  • 定期的にカウンセリングの機会を設けて目標の進捗を確認する
  • 必要であればメニューの見直しを提案する

上記のような地道でコンスタントな対応が、顧客の信頼を育みつつ退会率を下げます。新たな口コミが生まれれば、売り上げや会員数も爆発的に増えるかもしれません。

常にお客様のために何ができるかを考え、行動し続けましょう。田舎で長く愛されるジムを創るための唯一にして最強の戦略となります。

田舎で成功しやすいジムの経営モデル

都市部とは異なるニーズやライフスタイルに合致した、田舎ならではの強みを活かせる経営モデルは、大きく分けて3つ存在します。

パーソナルジム

マンツーマンで個別の指導を行うパーソナルジムは、田舎において非常に有望な経営モデルです。少数の顧客から安定した収益を上げられるため、人口が少ない田舎の市場と非常に相性が良いといわれています。

マンツーマンの指導で、顧客との間に非常に深い信頼関係を築きやすいのも特徴です。信頼が強力な口コミの源泉となり、「あの先生に任せれば間違いない」という評判が広がれば勝ちパターンは見えてくるでしょう。

都市部でパーソナルトレーナーとしての経験を積んだ人が、地元にUターンして開業するケースで成功事例が多く見られます。都市部レベルの質の高い指導を競合のいない田舎で提供し、大きな利益を得ましょう。

高齢者向けの一般ジム

多くの地方では、人口の3割以上を高齢者が占めています。「いつまでも元気に歩きたい」「孫と遊びたい」「病気を予防したい」というニーズに応えるサービスは、大きな需要が見込めます。

このモデルケースでは居心地の良いコミュニティを形成し、操作が簡単で安全性の高いマシンや集団での体操プログラムを作成しましょう。過剰な設備投資が必要なく、運営ノウハウも比較的確立しています。

地域の病院、クリニック、デイサービス、地域包括支援センターなどと連携しやすいのも強みです。医師やケアマネージャーから「運動が必要な患者さん」を紹介してもらう、集客チャネルを構築できます。

24時間経営のジム

田舎にも、不規則な勤務時間の工場労働者、早朝や深夜にしか時間が取れない自営業者、看護師など、さまざまなライフスタイルの人々がいます。時間を気にせず利用できる24時間ジムは非常に貴重なため、成功する可能性が高いです。

周辺に他のジムがない、あるいは通常の営業時間でしか運営していない場合はチャンスでしょう。24時間いつでも使える利便性そのものが、他にはない強力な差別化要因となります。

スタッフが常駐しない時間を設け、人件費を大幅に削減できるのもメリットです。セキュリティシステムや会員管理システムへの初期投資は必要ですが、月々の運営コストを低く抑えられます。

このモデルを成功させるには一定の人口が見込まれ、夜間でも比較的アクセスしやすく、安全性が確保できる立地であることが前提条件です。無人運営の時間帯のセキュリティ対策とトラブル対応体制の構築が、経営の安定を左右する重要なポイントとなります。

田舎でのジム経営を成功させるためのポイント

田舎でのジム経営を成功へと導くために、経営者が常に心に留めておくべき5つの重要なポイントを紹介します。

顧客のフィードバックに真摯に対応する

田舎の狭いコミュニティでは、顧客一人ひとりの声が非常に大きな重みを持ちます。入会時のカウンセリングはもちろん、日々の何気ない会話の中から、顧客が感じている不満や要望、改善のヒントを丁寧に拾い上げましょう。

フィードバックに対して真摯に耳を傾け、できることから迅速に対応する姿勢を見せるのが重要です。誠実な対応が、「このジムは私たちのことを本当に考えてくれている」という深い信頼につながり、顧客満足度と定着率を飛躍的に高めます。

田舎に合ったトレーニングメニューや料金設定を作成する

都市部の流行を、田舎にそのまま持ち込んではいけません。地域ならではのペルソナや経営モデルから、田舎に合ったトレーニングメニューや料金設定を作成しましょう。

農作業で腰や膝を痛める人が多い地域なら体幹を強化し、正しい体の使い方を学ぶプログラムがおすすめです。デスクワーク中心の役場職員が多いなら、肩こりや眼精疲労を解消するストレッチクラスを作ると良いかもしれません。

地域の所得水準や金銭感覚を考慮し、顧客が納得できる絶妙なバランスのサービス・料金設定を見つけ出す必要もあります。高すぎれば敬遠され、安すぎれば事業が成り立ちません。地域の価値観に寄り添ったメニューと料金で、持続可能な経営の土台を手にしましょう。

地域のスポーツイベントや健康啓発活動に参加し認知度を高める

ジムの建物の中で、お客様が来るのをただ待っているだけではいけません。自ら積極的に地域コミュニティの中へ飛び込み、ジムの存在や専門知識をアピールしましょう。

地域のマラソン大会や運動会に救護スタッフや準備体操の指導役として、ボランティア参加するのがおすすめです。公民館や老人会で無料の健康セミナーを開催したり、地元の祭で体力測定ブースを出展するのもよいでしょう。

地道な活動を通じて、地域住民との接触機会を増やし、「〇〇ジムのトレーナーさん」として顔と名前を覚えてもらうのは何よりの広告宣伝になります。

適切な広告媒体を使い認知度を高める

インターネット広告やSNSももちろん重要ですが、それだけに頼るのは危険です。地域によっては、今なお最も影響力を持つメディアがあるからです。

  • 自治体が発行する広報誌
  • 全戸に配布される地域のフリーペーパー
  • ポスティングされるチラシ
  • 地域のスーパーや掲示板のポスター

高齢者層をターゲットにする場合は、上記のような紙媒体の力が絶大です。どの媒体が地域のターゲット層に最も響くのかを見極め、限られた広告予算を効果的に投下してください。

口コミ拡散を誘発し紹介による顧客増を狙う

田舎における最強の集客エンジンは「口コミ」です。口コミを戦略的に誘発する仕組みを、しっかりと作りましょう。

「紹介キャンペーン」を導入するのがおすすめです。既存の会員さんが新しい友人や家族を紹介してくれた場合、紹介者と新規入会者の両方に月会費の割引や特典を提供しましょう。

お客様がトレーニングで素晴らしい結果を出した際には、許可を得た上で成功事例をSNSや店内の掲示で紹介させてもらうのもよいでしょう。具体的なビフォーアフターや喜びの声は、見込み客の心を動かす何よりの証拠となります。

田舎でのジム経営成功・失敗事例を紹介

田舎での成功事例と失敗事例を紹介します。

成功事例

離島の少人数という特性を生かし、生徒一人ひとりにていねいなアプローチをかけて成功したヨガジムの事例です。活動を継続したところ、企業から声がかかり専属のコーチとしても雇用されています。

「いつもより元気がないな」「元気がないのを隠している気がする」とか。本人が隠したいのであればこちらから根掘り葉掘り聞くことはしませんが、そういったときは少しでもクラスが楽しいものになるように意識するとか、リラックスする内容に変えるとか、生徒さんの表情を読みながら教えるようにしています。

【中略】

活動を発信していたところ、とある企業様とご縁がありました。「社員の健康があるからこその会社だ」との考えで、月に2回ペースで3年ほどやらせていただいたところ、嬉しいことに禁煙に成功した社員の方もいらっしゃると聞きました。

引用:モアリジョブ|ヨガインストラクター ERIKOさん

失敗事例

格闘技のジムを田舎で経営しているが、田舎の深刻な人材不足で経験者が集まらず店舗拡大ができない事態に陥った事例です。

私は格闘技のジムを経営しており、店舗増を考えています。しかしながら、身近にインストラクターができる人はおらず、住んでいる地域がらも田舎ですので、格闘技ができる人はかなり少ないです。求人を出し、応募は来るのですが、皆、未経験者です。

研修期間として、未経験者を育てるのが普通かと思いますが、そこまでの時間や労力を避けません。むしろ、研修期間中にもこちらは給料を払わないといけない中、格闘技の技術は隙間時間での練習では莫大な時間がかかってしまうので、独り立ちに相当な時間とお金がかかってしまいます。

引用:Yahoo!知恵袋

まとめ

田舎でのフィットネスジム経営に失敗しないためのコツを、最後に確認しましょう。

  • 田舎でのジム経営が失敗しやすい理由は出店場所の不足やスタッフ採用の困難性にある
  • 絶対的な口コミ社会のため悪評が広まりやすいのも要因
  • 田舎でのジム経営は低コストで競合が少ないメリットもある
  • 口コミを味方につけ正しい経営モデルを組めば成功も十分可能
  • 自分に田舎でのジム経営適性があるか事前に見極めておこう

緻密なプランニングを実行し、地域に最適化された経営モデルを選択してください。何よりも顧客の声に耳を傾け、成功のポイントを愚直に守りましょう。単なるビジネスの枠を超え、ジムを地域にとって「なくてはならない大切な場所」へと成長させられれば田舎でのジム経営は失敗しにくくなります。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。