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【事例あり】田舎の美容室は儲かる?経営の方法を詳しく解説します

【事例あり】田舎の美容室は儲かる?経営の方法を詳しく解説します

田舎での美容室経営を検討している方にとって「本当に儲かるのか?」という疑問は最も重要な関心事でしょう。

ホットペーパーアカデミーの調査によると、年間美容室利用総額ランキングでは東京都に次いで島根県、三重県、高知県などの地方県が上位にランクインしており、田舎での美容室経営は決して「儲からない」わけではありません。

適切な戦略と運営方法を選択すれば、都市部と同等またはそれ以上の収益性を実現する可能性があります。

そこで本記事では、田舎で儲かっている美容室の特徴や成功事例、効果的な集客方法について詳しく解説します。

田舎の美容室経営は儲かる?

田舎での美容室経営を検討している方にとって、最も気になるのは「本当に儲かるのか?」という点でしょう。実は、ホットペーパーアカデミーの調査内容を見ると、意外な結果が見えてきます。

1.【美容室】年間利用総額ランキング

年間の美容室利用総額ランキングでは、1位の東京都(3万8,569円)に次いで、大阪や福岡といった大都市圏ではなく、島根県、三重県、高知県などの地方県が上位を占めています。これは田舎の美容室経営にとって希望ともいえるデータです。

東京都が年間利用総額で1位となる背景は、高付加価値メニューの利用回数の多さにあります。カラー、トリートメント、ヘッドスパの年間利用回数がいずれも全国1位となっており、特にブリーチなどのハイトーンカラーのメンテナンス需要や、髪質改善への関心の高まりが影響しています。

一方で、地方県が上位にランクインしている理由として、以下の要因が考えられます。

  • 田舎では美容室の選択肢が限られるため、顧客の集中度が高い
  • 一度信頼関係を築けば、長期間にわたる固定客となりやすい
  • 田舎では家族全員が同じ美容室を利用するケースが多い

これらのデータから分かるように、田舎の美容室経営は決して「儲からない」わけではありません。むしろ、適切な戦略と運営方法を選択すれば、都市部と同等またはそれ以上の収益性を実現できる可能性があるといえます。

田舎での美容室を経営する方法は主に3つ

田舎で美容室を経営する場合、主に下記3つの運営スタイルから選択します。

  1. 一人美容室
  2. スタッフ雇用によるチーム運営
  3. フランチャイズ

それぞれ収益構造や必要な資金、年収の目安が大きく異なるため、自分に合った方法を慎重に選択しましょう。

1.一人美容室

一人美容室は、経営者自身がサービス提供から経営管理まで全てを担当する運営スタイルです。田舎での美容室経営を始める際に、最も一般的で始めやすい方法といえるでしょう。

一人美容室の最大の魅力は、低い初期投資と運営コストにあります。小規模なスペースを借り、必要最小限の設備を揃えれば、自己資金の額により融資額は変わりますが、運転資金を含めて約900万円の資金で開業できます。

一人美容室の経営者の平均年収は約400万円から600万円となることが多く、収益は完全に個人の労働能力に依存します。田舎の場合、都市部と比較して家賃や人件費などの固定費を抑えられるため、利益率を高めやすい環境といえます。

メリット

デメリット

・自分のスケジュールを完全にコントロールできる

・柔軟な働き方が可能

・固定費が低く、経営リスクを最小限に抑えられる

顧客との距離が近く、信頼関係を築きやすい

・休暇や病気の際には収入が途絶えるリスク

・集客に多くのコストがかかる場合がある

・老後の保障などがなく、長期的な視点での覚悟と責任が必要

2.スタッフ雇用によるチーム運営

スタッフを雇用する美容室は、経営者が中心となって徐々に規模を大きくしていきます。田舎でも需要が見込める立地や、確実な顧客基盤がある場合に検討されるケースが多いです。

スタッフ運営による美容室の経営者は、平均して年収800〜1,000万円に達することが可能です。一人美容室と比較すると大きな差が生まれるでしょう。

メリット

デメリット

・複数スタッフによる同時接客で収益性が向上

・チーム運営によりサービスの質を高められる

・経営者が施術以外の業務に集中できる

・人件費や教育コストがかかる

・管理が行き届かなければクレームや失客のリスク

・スタッフの独立による経営面のリスクが存在

3.フランチャイズ

フランチャイズは、既存の成功したビジネスモデルを利用して美容室を運営する方法です。ブランド力や確立されたノウハウを活用できる点が大きな特徴といえます。

具体的な運営方法としては、フランチャイズ本部からブランド、ノウハウ、サポートを受けながら、独立した経営者として店舗を経営します。

強固なブランド力をもとに、確立された運営システムを利用できるため、ビジネスの立ち上げと運営がスムーズになります。

フランチャイズ美容室の平均的な年収は1,000万円以上になることが多く、3つの運営スタイルの中では最も高い収益性が期待できます。

メリット

デメリット

・強固なブランド力により集客力が向上

・確立されたビジネスモデルでリスクを軽減

・継続的なサポートと教育により経営スキルが向上

・マーケティング戦略や運営ノウハウを活用できる

・フランチャイズ料やロイヤリティの支払いが必要

・本部の方針に従う必要があり、自由度が制限される

・初期投資額が他の方法より高くなる場合がある

このように、それぞれの経営スタイルには異なるメリット・デメリットがあるため、慎重に検討しましょう。

田舎で儲かっている美容室の特徴

田舎で儲かっている美容室には次のような特徴があります。

  • 客単価が高い
  • 周辺の美容室との差別化ができている
  • リピーター率が高い
  • スタッフの質が高い

それぞれの特徴について詳しく見てみましょう。

客単価が高い

田舎で儲かる美容室の特徴として、高単価・高付加価値メニューの提供が挙げられます。その地域でそのサロンにしかできない高単価メニューがあれば、それを求めるお客様がサロンに集まります。

しかし、ただ高単価メニューを導入するだけでなく、そのメニューや商品をどのように伝えるかが重要になります。

たとえば、QO株式会社の調査によると、商品購入の際は機能面が重要視される傾向があるため、利用による効果を適切に伝えることが重要だと考えられます。客単価が上がっても、提供する技術やサービスの質が高ければ、お客様は価格上昇を受け入れてくれるでしょう。

単価アップ戦略の成功事例として「ECLART CENTRAL 赤坂」のエグゼクティブディレクターまっきーさんの体験があります。

「ECLART」では美大卒のブランディングと赤坂という土地柄にあわせ、1人ひとりに丁寧な接客を行うスタイルに変更しました。「ECLART」全体ではカットが4000円くらいの店舗もあり、そこまで高単価というわけではないのですが、自分のブランディングに見合うよう会社側と交渉して、池袋店では6000円、赤坂店には入ったときにカット8000円、指名料1000円とさせてもらうことになりました。以前働いていた低価格帯のサロンではカットが2,200円でしたから、今では4倍になっています。

(中略)

ちなみに低価格帯のサロンから通ってくれているお客さまもいらっしゃいますが、今はマンツーマンで丁寧に接客ができているので、価格があがったことを受け入れてくれています。

引用元:モアリジョブ|「ECLART CENTRAL 赤坂」エグゼクティブディレクター まっきーさん

このように、価格に見合う価値を提供できれば、田舎でも高単価での経営は十分に可能といえます。

周辺の美容室との差別化ができている

地方の美容室が利益を上げやすい理由の一つに、同価格帯の競合が少ないことが挙げられます。

地方では美容室の数自体が都会に比べて少ないため、特定の価格帯で競合する美容室が周囲に少ないのです。そのため、独自のサービスや特色をもつ美容室はお客様に選ばれやすく、安定した経営が可能になります。

この差別化を生み出すためには、徹底した競合分析が非常に重要です。近隣店舗の価格設定やサービス内容、経営スタイルなどを調査したうえで差別化ポイントを見出します。

また、調査の際は2,3店舗ではなく、できるだけ多くの店舗をリサーチしましょう。この際、田舎の場合は車での移動が一般的であるため、商圏は広めにとっておくのがベターです。

競合の調査データは、価格設定や新商品の考案といったさまざまな場面で役立ちます。マーケティング戦略のベースになる情報であるため、徹底的なリサーチを心がけましょう。

具体的な調査方法については後ほど詳しく解説します。

リピーター率が高い

地方の美容室の最大の強みは、リピーター率の高さにあります。地方ではコミュニティが密接であり、お客様との個人的な関係が築きやすい環境にあるためです。他に行く店が限られているのもあるでしょう。

また田舎に限らず、美容師とお客様との間に信頼関係が生まれると、お客様は同じ美容室を継続して利用する傾向にあります。この信頼関係が築きやすいのも田舎美容室の特徴です。

さらに田舎では口コミが広がりやすいため、一人のお客様への接客の質が非常に重要になります。実際の成功事例として「ambino」オーナーの蛸井タケミネさんの体験があります。

実は、ご新規様の約8割はご紹介なんですよ。それが一番のやりがいですね。地元で開業して良かったと心から思えます。

(中略)

都内に勤務していた頃は、同じ駅でも「南口には行くけど、北口には行かない」という人が多かったんですが、こっちだとそれがないんです。「同じ職場の人に教えてもらった」「家族の紹介で」という理由で、隣の市からわざわざ通ってくれる方もいるくらい。「紹介」はエリアを超えるんです。しかも、即日です。「旦那もここに連れて来たいんだけど」となっても、都内ではなかなか難しいですが、こっちではその日のうちに来てくれるんです(笑)。

引用元:モアリジョブ|「ambino」オーナー 蛸井タケミネさん

このように、田舎では紹介による新規集客が期待でき、即日での来店も珍しくありません。リピーターのお客様は新規集客にかかるコストを削減するとともに、口コミによる新規集客にも大きく貢献してくれる貴重な存在となります。

スタッフの質が高い

スタッフの質は、売上に直結するため、採用に力を入れている美容室は多いです。実際、中小企業庁の調査によると、最も優先度が高い経営課題として「人材の確保」「人材の育成」がトップ2に並んでいます。

田舎で成功している美容室も例外ではなく、少数精鋭でスタッフの質を重視している傾向があります。都市部のように多くのスタッフを抱える必要がない分、一人ひとりの技術力や接客スキルの向上に集中して投資できるのが一つの要因でしょう。

また、質の高いスタッフは、前述した高単価メニューの提供やリピーター率の向上にも直結する重要な要素となります。田舎という環境を活かして、都市部では実現が困難な密度の濃いサービスを提供すれば、高い競争力を維持できるでしょう。

美容・ヘルスケア業界での採用については下記の資料にて解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。無料でご覧いただけます。

開業前の方は以下の資料をご覧ください。

田舎で儲かっていない美容室の特徴

一方、田舎で儲かっていない美容室には下記のような特徴があります。

  • 割引やクーポンの多用
  • リピーター獲得できない広告や接客
  • 薄利多売での営業

以下にて詳しく見てみましょう。

割引やクーポンの多用

割引やクーポンの多用は、田舎の美容室経営で避けるべき戦略の一つといえます。一時的にお客様を集められても、長期的な顧客関係の構築が難しくなるためです。

また割引の多用はサロンの価値を下げ、利益率を低減させる原因にもなります。特に田舎では口コミの影響が大きいため「安い店」というイメージが定着してしまうと、後から価格を戻すのが困難になります。

さらに割引頼りの集客を続けていると、お客様も「割引がある時だけ来店する」という行動パターンになってしまい、結果として客単価の向上は期待できません。

したがって地方の美容室では、割引やクーポンを特別なイベントやキャンペーン時にのみ使用するのが望ましいといえます。これにより、サロンの価値を維持しつつ、適切なタイミングで新規集客を図れるでしょう。

リピーター獲得できない広告や接客

地方の美容室で特に注意すべきは、誇大広告や不適切な接客によってリピーターを失うことです。誇大広告は一時的な関心を引けても、期待と異なる結果に終わるとお客様の信頼を失います。

前述した通り、田舎では口コミの拡散が高いため、一度誠意のない広告や接客をすると噂が広がり、新規とリピーター両方の獲得が難しくなります。

接客面においてはホットペーパーアカデミーの調査が参考になります。調査データによると、一度美容室に通った57.2%の人が会話の楽しさでリピートしており、会話の重要性が明らかになっています。

しかし、接客における会話については注意点もあります。美容室で会話をしたい人は47.2%である一方、会話をしたくない人は52.9%と、ほぼ半数に分かれています。その日によってもお客様の気持ちは変わりますので、美容室での会話は一人ひとりにあわせた細やかな対応が必要でしょう。

したがって、地方の美容室では、正直で誠実な広告と、お客様一人ひとりに合わせた丁寧な接客が重要といえます。

薄利多売での営業

薄利多売は低価格で多くのお客様を獲得する戦略ですが、地方ではこの方法が失敗しやすい傾向にあります。地方の市場は人口が少なく、低価格で多くのお客様を集めるのが根本的に難しいためです。

都市部であれば人口密度が高いため、薄利多売でも一定の売上を確保できる可能性があります。しかし、田舎では来店可能なお客様の総数に限りがあるため、いくら価格を下げても売上の上限が決まってしまうのです。

そのため、地方の美容室では、高単価で質の高いサービスを提供し、それに見合う価値をお客様に届けるのが成功のカギとなります。

また薄利多売を続けていると、設備投資や技術向上のための資金も確保しにくくなり、結果として競争力を失ってしまう悪循環に陥る危険性があります。田舎の美容室経営では「量より質」の考え方が特に重要といえるでしょう。

田舎で美容室を経営するメリット・デメリット

ここでは、田舎で美容室を経営するメリット・デメリットを紹介します。

田舎で美容室を経営するメリット

田舎での美容室経営には主に以下のメリットがあります。

  • 競合が少なく価格競争に巻き込まれにくい
  • リピーター率が高く固定客を獲得しやすい
  • 固定費が安く経営リスクを抑えられる

田舎は都会に比べて美容室の数が限られているため「新規を取るためのクーポン合戦、値下げ合戦」に巻き込まれるプレッシャーが少なめです。

また、お客様にとって選択肢が少ない分、技術や接客の丁寧さ、担当者の人柄や安心感、店内の雰囲気といった「人と空間」の価値が決め手になります。このため、サービスやスタッフの質が高ければ、必然的に固定客を獲得できます。

さらに、家族・親戚ぐるみで来店してくれたり、学校や職場を通じて新規が自然に増えたりするなど、都会にはない横のつながりで顧客が広がります。

このように、新規集客の母数が少なくても、リピーターと紹介によって安定した売上を確保しやすくなるのが田舎美容室の大きなメリットといえるでしょう。

田舎で美容室を経営するデメリット

一方で、田舎での美容室経営には以下のデメリットもあります。

  • 人口が少なく集客の母数が小さい
  • 空きテナントが少なく希望物件が見つかりにくい
  • 人材確保が難しい

田舎はそもそもの人口が少なく「駅前に出しただけでお客様が入る」という環境はありません。地域イベントやお祭りに参加して顔を覚えてもらったり、地元紙やフリーペーパーなど地域ならではの広告を活用するといった「地域密着の集客」が必須になります。

この地域密着の集客を怠ると、数ヵ月で経営が立ち行かなくなるリスクがあります。

また田舎は家賃が安い反面、テナント数自体が少ないのが現実です。特に「駐車場付き」「目立つ通り沿い」といった好条件の物件はなかなか空きません。

希望条件を下げて妥協するか、空き物件が出るまで半年から1年以上待つ場合もあり、開業スケジュールが不透明になりやすいのが田舎サロン特有の大きなデメリットといえます。

田舎の美容室経営で効果的な集客方法7選

田舎の美容室経営で効果的な集客方法は次の通りです。

  1. MEO
  2. SNS運用
  3. ホームページの開設
  4. ポスティング
  5. DM送付
  6. 名刺作成
  7. ポータルサイトへの掲載

以下にて詳しく解説します。

1.MEO

MEO(Map Engine Optimization)は、Googleマップ上での表示順位を向上させる施策です。田舎の美容室経営では、まずGoogleマイビジネスの開設をおすすめします。

MEOの実施により、Web検索エンジン(Googleや Yahoo!など)のトップに地図や店舗情報が表示できます。サロン内の様子やスタイル写真などの画像掲載も可能なため、認知度だけでなく来店率の向上にもつながります。

▼「高知市 美容室」の検索結果

2.「高知市 美容室」の検索結果

▼ユーザーが気になる写真を掲載できる

3.美容室のGoogleビジネスプロフィール

周辺検索時に多くの人に見てもらえるのが最大のメリットで、ホームページへの導線や電話予約なども掲載できるため、優先的に取り組んでおきましょう。

またホットペーパーアカデミーの調査によると、事前の口コミ調査で客離れが起きる可能性があるため、口コミ管理は重要です。田舎では口コミの影響力が特に大きいため、Googleマイビジネスの口コミ対応は丁寧に行う必要があります。

2.SNS運用

株式会社クロス・プロップワークスの調査によると、10~30代では特にSNSきっかけでの来店が多いです。美容室・理容室では23.6%がSNSを見て来店しており、10~30代ほどSNSをきっかけに来店している傾向があります。

サロン探しの情報源は「ホットペッパービューティー」が最多ですが、若年層ではSNSも上位にランクインしており、10~30代はInstagramやTikTokなどSNSを活用する人が多く、情報収集チャネルが多様化しています。

上記SNSユーザー層の特徴から見て、Instagramは特におすすめです。ファッション・美容系のインフルエンサー層が厚く、リアルで行動するのを好むユーザーが多い傾向があるためです。自店のターゲット層にささる情報やスタイリング画像などを積極的にアップしていきましょう。

3.ホームページの開設

Web施策として、自社のホームページ開設は必須といえます。あまり費用をかけずに発信できるのが大きなメリットで、広く視覚的にもアプローチし続けることができるため、集客には効果的な手法です。

実際の成功事例として「ambino」オーナーの蛸井タケミネさんは、田舎でのホームページの重要性について以下のように語っています。

田舎あるあるかもしれませんが、この辺りの美容室って情報が不透明なところが多いんです。開業するにあたり、地域の美容室情報を集めていたとき、ホームページすらない美容室が多すぎて、ほとんど情報を集められなかったんです。

(中略)

こっちの地域では「ホームページがあり、スタッフの顔写真が載っていて、料金が明確に記載されている」という風に、当たり前のことをきちんと発信しているだけで差別化をはかれるんです。

また、ホームページにも予約窓口を開設しました。「ネット予約ができる」というだけでもかなりのアドバンテージになるからです。

引用元:モアリジョブ|「ambino」オーナー 蛸井タケミネさん

ユーザーファーストなホームページを作成するだけで、田舎では大きな差別化になるのです。

4.ポスティング

集客・宣伝の王道ともいえるチラシのポスティングも有効な手段です。特に地方ではチラシ広告はまだまだ効果を見込めます。サロン近辺の住所に絞って投函し、初回限定クーポンをつけるなどの工夫により効果が期待できます。

実際に「ambino」の蛸井さんは、オープン初月で200人の来店があり、一番最初に着手したのはチラシ配りでした。

実際にオープンしてみると、初月の来店数は200人。当時はシャンプーしかできないアシスタントと2人体制で、今だから言えますが、キャンセルがでたらちょっと嬉しいくらいでした(笑)。

(中略)

まず、「チラシ」ですね。集客ツールとして大手広告サイトをメインで使用し、オープン時だけチラシを全力で配りました。

僕が住む鶴岡市には「コミュニティしんぶん」という優秀な媒体があり、そこに折り込んでもらったのですが、配布エリアを町名まで細かく設定できるため、予算を抑えてピンポイントで打つことができたんですよ。

やはりこっちでは学区内で動くというか、近隣の方の来店がすごく多くて。僕自身もよその学区にはあまり出かけないですからね。なので、まずは同じ学区内の世帯にチラシを配りたかったんです。

引用元:モアリジョブ|「ambino」オーナー 蛸井タケミネさん

5.DM送付

DM(ダイレクトメール)やポストカードの送付も集客方法として有効です。ただし、DMは新規よりも既存・リピーターが対象になります。ローカルではメジャーなやり方であるほど、一定数の効果が見込めます。

▼DMの作成例

4.DMの作成例

DM送付を実施する際のポイントは次の通りです。

  • お客様の名前を間違えずに明記する
  • 来店から2〜3日、遅くとも1週間以内に届くように送る
  • 施術内容や会話の話題に触れて特別感や親近感を演出する
  • 年代や性格、新規・常連など属性を考慮して読みやすさや雰囲気を調整する
  • できれば全文、難しければ宛名や一言だけでも手書きにして人柄や誠意を感じてもらう

6.名刺作成

名刺配布は人脈づくりに有効な手段です。配布場所としては、各都道府県にある「商工会議所」などが一般的になります。

商工会議所とは、商工業者の経営改善に役立つ情報を提供したり、その地方でビジネスを営んでいる人が集まったりする場所です。

商工会議所では、交流会などのイベント開催時などで名刺交換からさまざまな経営者と交流するため、新規客の集客効果に期待できます。

また、田舎では特に横のつながりが重要になってくるため、名刺交換した人伝いに新規顧客を得られることも多いです。名刺を持っておけば、常に顧客獲得のチャンスを伺えるでしょう。

7.ポータルサイトへの掲載

資金に余裕がある場合には、美容ポータルサイトへの登録や、広告費をかけての宣伝もあります。

具体的には、ホットペッパービューティーに掲載したり、Googleの「広告枠」に表示させるなどの選択肢があります。ただし、美容系ポータルサイトといっても、それぞれに得意分野や機能、ターゲットが異なります。

ここでは、現在利用者が多い代表的なサイトの特徴や掲載メリットを解説しますので、自サロンに最適な選択肢を見つけましょう。

ポータルサイト名

特徴

向いているサロン

プライベートサロン

・個人経営サロンに特化

・大手に埋もれずアピール可能

・1年間掲載無料

・個人経営の美容室

・こだわりの空間を持つサロン

ホットペッパービューティー

・圧倒的な知名度と集客力

・月間数千万人利用

・検索上位表示が容易

・成長フェーズのサロン

・短期間で新規獲得したいサロン

ミニモ

・個人スタイリスト向け

・20〜30代女性に人気
・掲載料安価

・フリーランス美容師

・開業初期のスタイリスト

楽天ビューティー

・楽天ポイント還元でリピーター獲得

・コスト抑制可能

・楽天経済圏ユーザーをターゲットにしたいサロン

オズモール

・働く女性向け高級志向

・体験価値重視層にアプローチ

・高価格帯メニューを扱うサロン

・ハイブランド志向

EPARKリラク&エステ

・リラクとエステ特化

・SEOに強く自然検索流入豊富

・リラクゼーション系サロン

・ネット集客初心者

ビューティーパーク

・多ジャンル対応

・全国展開

・リーズナブルな掲載料

・小規模サロン

・個人経営店

・地域密着型サロン

ビビットbeauty

・動画でアピール可能

・キャンペーン・クーポン充実

・施術過程を動画で見せたいサロン

・視覚的アピール重視

エキテン

・地域密着型

・口コミ重視

・無料掲載から開始可能

・地域密着で運営するサロン

・低コスト集客希望

エステ・人気ランキング

・エステ専門

・ランキング形式

・無料掲載プランあり

・エステサロン

・フェイシャル・痩身・脱毛メニュー中心

田舎の美容室では、地域の特性や顧客層に合わせてポータルサイトを選択することが重要です。特に田舎では、地域密着型のサイトや、個人経営に特化したサイトが効果的な場合が多い傾向にあるため、多角的な視点をもって慎重に検討しましょう。

田舎で成功する美容室経営のポイント5選

田舎で成功する美容室経営のポイントは次の通りです。

  1. ターゲットの明確化
  2. 競合分析の徹底
  3. 高単価に見合ったサービス設計
  4. 地域に根差したブランディング
  5. 徹底したリピート対策

以下では、それぞれのポイントについて詳しく解説します。

1.ターゲットの明確化

田舎での美容室経営において、明確なターゲット選定は必須となります。ターゲットの明確化は集客戦略の選定やリスクヘッジなど、さまざまな場面で役立つためです。

たとえば、田舎の人口が少ないことを理由に幅広い層を取り込もうと安易に想定してしまうと、かえって失敗するリスクが大きくなります。限られた市場では、特定の層に深く刺さるサービスを提供することが非常に重要なためです。

ターゲット設定の際は、年齢、性別、職業、ライフスタイル、美容への価値観などを具体的に設定したペルソナを作成するとよいでしょう。

「30代で子育て中の働く女性」「美容意識の高い20代の女性会社員」など、具体的な人物像を描けば、サービス内容から広告まで一貫したアプローチが可能になります。

実際のペルソナをご覧ください。

▼実際に作成したペルソナ

項目

詳細

年齢

35歳

性別

女性

職業

地方公務員

ライフスタイル

・小学生の子ども2人を持つ働く母親

・平日は仕事と家事・育児で忙しい

・美容室には月1回程度で土日に通う

・時間に余裕がないため効率的な施術を重視する

よく見る媒体

・LINE

・Instagram

・地元のフリーペーパー

・ママ友からの口コミ

美容への価値観

・扱いやすいヘアスタイルを重視

・白髪染めやトリートメントなど、メンテナンス重視

・価格は適正であれば品質を優先

2.競合分析の徹底

先ほど「競合分析はマーケティング戦略の礎となる重要なアプローチである」と述べました。ここでは、具体的な競合分析の方法について解説します。

まずはホットペッパービューティーを開きましょう。エリアを自店と同じエリアに設定し、自店とコンセプト、価格帯が近いサロンを探します。競合店が見つかったら、トップページの特集、クーポンの価格帯、スタイル写真、口コミなど、すべてのページを確認し、自店との違いを洗い出してください。

次に、Google検索で「地域名 美容室」のように検索し、上位に表示される店舗をリストアップします。この際、競合店のWebサイトや口コミサイトを調査し、提供サービス、価格設定、お客様の声を収集することも重要です。

上記のオンライン調査に加えて、自店の商圏内の実地調査も欠かせません。店舗から車でのアクセス範囲内のサロンを実際に訪問し、店舗の雰囲気、サービス内容、価格帯、客層を観察します。地域のイベントやチラシ、広告を通じて競合店のマーケティング活動も調査しましょう。

続いて、InstagramやX(旧Twitter)で競合店や関連ハッシュタグをフォローし、プロモーション活動やお客様とのコミュニケーション方法をリアルタイムで把握します。

これらの情報を総合的に分析すれば、効果的な自店の差別化ポイントを見つけやすくなるでしょう。

3.高単価に見合ったサービス設計

田舎で利益を出している美容室の共通点は、客単価を高めに設定していることです。しかし、やみくもに価格を上げても効果は得られません。

株式会社QOの調査によると、全年代の利用料金の総額で最も多かったのは1万1,000~7,000円で、特に20代・30代はその傾向にありました。若年層に対しては、この価格帯でのサービス設計が重要視されます。

ただし、注意すべきなのは、技術や接客の質が値段に見合っているかどうかです。提供されるサービスがそれほど良くないにもかかわらず、メニュー価格ばかり高いと、かえって悪い噂が広がってしまいます。

したがって、高単価に見合ったサービス設計では、以下の要素を重視して慎重に検討しましょう。

  • 最新のトレンドに対応できているか
  • 上質な空間づくりによる居心地の良さがあるか
  • アフターフォローが充実しているか
  • 丁寧なカウンセリングと個別対応を意識しているか

4.地域に根差したブランディング

田舎での美容室経営では、地域密着型のブランディングが成功のカギとなります。

地域に根差したブランディングでは、その土地の文化や価値観を理解し、地域住民に愛される店舗づくりが重要です。

具体的には、地域のイベントへの参加や、地元の方々との関係性構築を通じて「地域の美容室」としての認知度を高めることなどが挙げられます。

そのほか、地域の特性を活かした独自のサービス提供も効果的です。たとえば、地元のお祭りがある際に、ヘアセットや着付けなどのサービスを提案すれば、地域性を考慮したうえで差別化が図れます。

また田舎の人には、都会の人がもたない悩みをもっているものです。コミュニケーションを通じ、その悩みが何かをお客様から聞き出すことも重要になるでしょう。

5.徹底したリピート対策

田舎は都会と比べて顧客の母数が少ないため、徹底したリピート対策が重要になります。売上安定のためのリピート率は30%以上が目安です。

ホットペーパーアカデミーの調査によると、美容室を「また利用したい」と思った場面では、技術力「だけ」ではサロンをリピートする理由になりづらくなってきています。特に重要視されているのは、メインとなる施術を除くと「カウンセリング」といったコミュニケーション面や「会計時(さまざまな決済方法に対応)」の場面です。

▼女性のリピート要因

5.女性のリピート要因

女性では「カウンセリング」の重要度が高まっており、丁寧なコミュニケーションが求められています。

また、「会計」の場面も2.0ポイント上昇しており、決済方法の多様化やスムーズな会計処理の重要性が高まっています。

▼男性のリピート要因

6.男性のリピート要因

男性では「電話、予約サイトで予約する」「サロンを知る(事前のネット調査)」「事前の口コミ確認」といった来店前の情報収集が女性以上に重要視されています。男性にとって来店前の事前情報がいかに大切かが分かります。

これらの調査結果を踏まえ、技術力の向上はもちろん、カウンセリングの充実、決済方法の多様化、予約システムの利便性向上、ホームページやSNSでの情報発信の充実などを総合的に取り組むことが、効果的なリピート対策となります。

田舎で経営している美容室の成功事例

ここでは、田舎で経営している美容室の成功事例を紹介します。

実際の事例から学べる成功のポイントについても見てみましょう。

成功事例1.象と太陽社

人口の少ない地域で美容室「象と太陽」を経営する山口憲太郎さんは、地域の特性を活かした経営で成功を収めています。

山口さんは美容師業務だけでなく、地域への影響力を意識した多角的なアプローチを取っています。

地方にもよると思いますが、僕がいるような人口の少ない地域であれば、1人の影響力ってすごいんです。新しい人が1人入るだけで、地域が変わるんですよね。お店ができれば風景も変わるし、新しい情報が入れは文化も変わる。

(中略)

地方で何か新しいことをするというのは、自分の力が地域に影響を及ぼせる楽しさがあるんです。それをうまく使って、楽しんで経営していけたらいいんじゃないかなと思います。

引用元:モアリジョブ|「象と太陽」代表 山口憲太郎さん

山口さんの事例から学べる成功のポイントは次の通りです。

  • 地域への影響力を意識した経営戦略の構築
  • 美容室業務を超えた地域貢献活動への取り組み
  • 新しい文化や情報の発信拠点としての役割を担う
  • 地域の変化を楽しむポジティブなマインドセット
  • 人口の少なさをデメリットではなく、影響力の大きさとして捉える視点

成功事例2.GRAFF hair

「GRAFF hair」代表の今泉孝記さんは、ターゲットの明確化とそれに合わせたSNS運用により売上を大幅に向上させた成功事例です。

今泉さんは戦略的なInstagram運用により、3倍の売上達成という驚異的な成果を上げています。

当時の僕はショートヘアに絞って、毎日投稿を続けていました。またターゲットも「雑誌でいうと『GISELe』を読んでいる人」の様に、なるべく明確にしていましたね。毎日投稿するには写真やネタが必要なので、休日はモデルさんを呼んで撮影をさせていただくことも多かったです。

いまだによく覚えているのですがインスタを始めてから3ヶ月後に、インスタを見た3名のお客様が来てくれました。次の月に15名、その次は30名とどんどん増えていき、最終的にはそれまでの3倍ほどの売上を達成することができました。

引用元:モアリジョブ|「GRAFF hair」代表 今泉孝記さん

今泉さんの事例から学べる成功のポイントは次の通りです。

  • ショートヘアという特定分野への専門特化
  • 「GISELe読者」という具体的なターゲット設定
  • 毎日継続的な投稿による認知度向上
  • 休日を活用したコンテンツ制作への投資
  • 段階的な成長プロセス(3名→15名→30名)の実現
  • SNS運用による3倍売上という明確な成果

まとめ

田舎での美容室経営は、適切な戦略を立てることで十分に儲かる可能性があります。本記事で紹介した成功のポイントは以下の通りです。

  • 技術力に見合った適正価格設定で利益率を確保して競合との価格競争を避ける
  • 田舎特有の高いリピート率を活かして安定した顧客基盤をつくる
  • 限られた市場で特定の層に深く刺さるサービスを提供して競合店との明確な違いを作る
  • MEO、SNS運用、ポスティングなど田舎の環境に適した多角的な集客手法を実践する

田舎という環境の特性を理解し、地域に愛される美容室づくりに注力すれば、安定した収益を上げられるでしょう。

山田 大地(Yamada Daichi) プロフィール画像
執筆者情報
山田 大地(Yamada Daichi)
大学卒業後に上京し、新卒から転職エージェントと人事部を担当。その後、訪問型セラピストの展開を目指してリラクゼーションサロンに勤務する傍ら、副業として始めたWebライターで独立を果たす。現在はWebマーケティングの専門知識を活かし、父が経営する複数店舗の集客支援に従事。転職支援から接客サービス、コンテンツ制作まで幅広い業界経験を持ち、デジタルマーケティングを軸とした事業成長支援を行っている。