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効果的な店舗集客とは?スタッフが関わって集客に成功した事例も紹介

効果的な店舗集客とは?スタッフが関わって集客に成功した事例も紹介

インターネットが普及したこともあり、さまざまな集客方法が誕生しました。そのため「どれを利用すればわからない」「効果的な集客方法を知りたい」といった悩みを抱える人も多いのではないでしょうか。

また店舗集客を成功させるためには、直接顧客と接するスタッフの存在も欠かせません。スタッフが良質なサービスを提供することで、紹介や口コミによる集客が期待できます。

この記事では、具体的な店舗集客の方法をオンラインとオフラインに分けて解説します。スタッフが店舗集客に貢献した事例も紹介するので参考にしてください。

多くの店舗が実践する集客方法とは

まずは美容室と飲食店を例に、多くの店舗が実践する集客方法についてみていきましょう。

美容室

モアリジョブによると美容室においては、ホームページを作成したり、SNSを利用したりして集客する店舗がとくに多いようです。

美容師の得意なスタイルや所属スタッフの顔写真をホームページやSNSに画像で掲載すると、美容室の魅力をアピールできるでしょう。

他にもチラシやダイレクトメールなどのオフラインによる集客も行われています。

飲食店

飲食店リサーチによると、Facebookを利用して集客する飲食店が最も多いことがわかりました。次いで、Instagramやホームページ、口コミサイトの食べログを利用するケースも多いです。

以上の結果から、美容室や飲食店に共通してホームページやSNSを集客に利用する店舗が多いようです。店舗集客の方法には、他にもさまざまなものが考えられるので、次項では種類についてみていきましょう。

オンライン集客の種類        

ここでは、オンライン集客についてコストをかけずに実践できる方法から順に解説します。

SEO対策

SEO対策とは、検索エンジン最適化(SEO)を施して店舗のホームページやブログを検索結果に上位表示させることです。SEO対策を実施するためには、まずはホームページを準備してコンテンツを充実させる方法が一般的です。コンテンツを充実させる方法の1つとして、ブログが活用されることがあります。

ホームページ

SEO対策を実施するためには、まずはホームページを準備しましょう。WordPressやホームページ作成サービスを利用すると、専門的な知識がなくてもホームページを無料で作成できます。ある程度コストをかけられる場合は、専門業者に依頼してきれいなホームページを作成してもらうとよいでしょう。

ただしSEO対策を施したい場合は、自分でホームページにコンテンツを追加したり、修正したりできる状態にしておくことが重要です。

なぜなら、ホームページ内の情報を更新して最新の状態に保つことがSEOにおいて欠かせないからです。業者にホームページ作成を依頼する場合は、ホームページを自分で操作できるかどうか確認するようにしましょう。

ホームページを作成したら、ページ数を増やしてコンテンツを充実させることも大切です。自社で販売するサービスや商品を紹介してコンテンツを充実させるとSEO対策になります。

たとえば整骨院の場合、「肩こり」や「腰痛」などの症状ページを作成して、症状に対する施術方法やセルフケア方法を説明すると検索結果に上位表示されやすくなります。

▼「肩こり 江戸川区」の検索結果

「肩こり 地域名」「腰痛 地域名」などのキーワードで症状ページが上位表示されると、その地域で肩こりや腰痛を改善できる整骨院を探している検索ユーザーへのアピールにつながります。

ブログ

ブログの作成もSEO対策のひとつです。店舗の専門分野に関連したお役立ちブログを作成すると、それが検索結果に上位表示された際に集客につながる可能性があります。

例えば、美容室のブログによる集客例をご紹介します。前髪の作り方がわからずに悩んでいる方が、「前髪 作り方 どこから」などで検索したとします。

このときに、自社で作成したブログが紹介されると、そこからホームページのアクセスを伸ばせるのです。

▼「前髪 作り方 どこから」の検索結果

ブログを観た人が近所に住んでいると、美容室にも訪問してくれるかもしれません。またはブログへの被リンクが集まったり、ブックマークしてくれる人が増えたりするとサイト全体のSEO対策にもなります。

美容室の事例では、ブログを使った集客について次のような意見もあります。

ブログは、投稿してから時間が経っても、キーワード検索でたどり着いて読んでもらったり、商品の売り上げにつなげることができる。だからいまは、過去の自分に働いてもらっているイメージですね。

引用:モアリジョブ /美容師・イワタコウジさん

年齢を重ねるごとに髪の悩みが増えてくるので、悩みを検索したときにブログのほうが見てもらいやすいと考えました。

「脱おばさん」というわかりやすいコンセプトを掲げたことも、反響につながったと思います。

引用:モアリジョブ /美容師「eau」田中亜彌さん

ブログ更新も大切なお仕事のひとつです。更新間隔が空かないように、スタッフに交代で書いてもらっています。記事の内容はお客さまのネイルのことを中心に、例えば美術館に行ったとかおしゃれなカフェに行ったとか、『見ていただく方が飽きない情報をプラスできるように』と伝えています。

引用:モアリジョブ/ネイルサロン「CHESTNUTS」

MEO対策

MEO対策とは、地図エンジンを最適化することで地図上に店舗が表示されやすくする施策です。株式会社MOVの調査によると、多くの人が地図アプリはGoogleマップを利用しています。

▼地図アプリの利用率

そのためMEO対策を実施する場合は、Googleマップを対象に行うことが基本です。実際に、Googleマップを利用して集客に成功している店舗もあります。

約3万人がグーグルマップ上で『Door代官山』をタップして、それからホームページに飛び、スタッフやサロンのSNSを見て、そして気に入ったら予約をする。この流れが多いですね。ちなみに、現在『代官山 美容室』で検索をかけると私たちがトップで表示をされます。

引用:モアリジョブ / 美容室「Door代官山」

ここでは、Googleマップに対するMEO対策について3つ紹介します。

Googleプロフィールの充実

MEO対策を実施する場合、まずはGoogleプロフィールを登録してGoogleマップ上に店舗の詳細情報が表示されるようにする必要があります。

▼Googleプロフィールの開始画面

引用:Google

プロフィールの登録が済んだら、店舗情報を充実させます。

▼Googleプロフィールの管理画面

まずは電話番業や所在地、営業時間などの基本情報を記入して、顧客が店舗に訪れる際に必要な最低限の情報を掲載してください。

さらに写真を追加したり、キャンペーンやサービス案内などの最新情報を記入したりして店舗をアピールするとMEO対策になります。

口コミの増加

来店した顧客にGoogleマップから店舗の口コミを記入してもらうと、MEO対策になります。

▼Googleマップの口コミ

口コミは自然に増えにくいのですが、店舗のスタッフが顧客に記入をお願いすると増えやすくなります。ただしお願いする際に金品やクーポン券を渡したりする行為はペナルティの対象となるので、注意してください。

受付の会計のときなどに「よかったら、口コミに記入していただけると、嬉しいです!」と軽く伝える程度で、口コミの記入を依頼してみましょう。

サイテーションへの対策

サイテーションとは言及や引用という意味で、インターネット上で次のような特定の情報が記載されることを指します。

  • 店舗名
  • 社名
  • ブランド名
  • サービス名
  • 住所
  • 電話番号

たとえばSNSや個人ブログ、ニュースサイトなどで、以上の情報を記載してもらえると、サイテーションにつながります。

多くのサイテーションを獲得すると、SEOやMEOアルゴリズムから高い評価を得て、検索結果に店舗が上位表示されやすくなります。ポジティブな意見が書かれたサイテーションであれば、Googleマップ上に積極的に表示してもらえるため集客効果が期待できるのです。

SNSを利用した店舗集客

現在多くの店舗が、SNSを利用した集客を実践しています。その理由として、SNSの利用者数が多いことが考えられます。総務省の調査によると、LINEやYouTubeの利用者数は全年代を通して利用率が高く、他のSNSについても特定の年代で高い利用率が示されています。

SNSはフォロワー数を増やすと、無料でも高い集客効果が期待できる方法です。フォロワー数を増やすためには、企画力や創造力を活かして多くの人の興味をひくコンテンツを発信する必要があります。

ここでは利用率の高い順番に、それぞれのSNS集客の特徴を解説します。

LINE

LINEは前年代を通して利用率の高いSNSなので、多くの顧客にアプローチできることが魅力です。飲食店の中には、LINE集客に積極的に取り組む店舗も見られます。

既存のお客さまを大切にしながら、若年層のファン獲得を目指すにあたり、人々の日常に浸透したLINEであれば効率的な情報発信が実現できると考えました

引用:LINEヤフーfor Business/お好み焼店「ぼてぢゅう」運営 BOTEJYU Group ホールディングス株式会社

LINEで集客する場合、まずは店舗の公式LINEに登録してもらう必要があります。登録者数が少ないうちは無料でも集客に活用できるため、気軽に試せる点も魅力です。

登録した顧客全員にお得なサービス情報を提供したり、個別にフォローメッセージを送ったりすると集客やリピートにつながります。さまざまな工夫を凝らしながらLINEを活用して、集客に役立てる店舗も多いです。美容師におけるLINE集客の事例を紹介すると、次のとおりです。

タイムライン機能はとくに効果的だと感じていて、私たちの投稿に対してお客さまが『イイね』を押すと、その方のアカウントページにも私たちの発信が表示されるんです。つまり直接『Amoute』とつながっていないお客さまにも、サロンの存在を知っていただくことができます

引用:モアリジョブ/美容室「Amoute」 代表 HIROさん

効果的だと感じているのが、LINEを使った悩み相談です。不安なポイントを来店前に相談してもらい、サロンにいらっしゃった時にはある程度カウンセリングが終わっている状態を作るようにしています。対面では自分の気持ちを打ち明けることが恥ずかしいと感じる方もおり、そういったお客さまはLINEを通じたほうが本音を話しやすいようです。

引用:モアリジョブ/美容室「Lily」 美容師 大野道寛さん

美容師はハサミを使わなくても、お客さまの髪をきれいにできると感じているので、LINEを使ったオンラインカウンセリングを考えています。このアイデアを思いついたきっかけは、少し前にブログ経由で僕のLINEに予約の申し込みが届いたことでした。

引用:モアリジョブ/美容室「Lily」 美容師 木村賢司さん

YouTube        

YouTubeアカウントを開設して、動画を投稿すればコストをかけずに集客できます。ユーザーにチャンネル登録してもらうと、配信した動画を確認してもらいやすくなるので、見込み客との関係維持にもつながります。

動画で店舗の雰囲気を配信できる点もポイントで、スタッフに動画出演してもらうことで店舗に対して親近感をもってもらえるでしょう。また美容やヘルスケア関連の場合は、顧客に役立つ情報を発信するとチャンネル登録者数や集客数の増加につながるようです。

お客さまの悩みを解決することを目的に動画を作っているため、企画はサロンで直接いただいたご意見を元にして発想を得ることが多いです。

ご来店いただいている時間内に、お客さまが知りたいことや美容師からのアドバイスをすべて伝えるのは難しいと思うんです。その日は覚えていても次のご来店までに忘れてしまうこともありますし。髪の毛のことで気になることがあったときに、僕の動画を見て解決してほしいという想いから更新を続けています。

引用:モアリジョブ/YouTube「エイチャンネル」 美容師  犬飼英介さん

動画を見て来院してくださったお客様には、人によっては、「会いたかったです!」とまで言ってもらえることもあります。まだ何もしていないのに(笑)。最初から信頼してもらえているわけですから、施術の効果も出しやすくなるんじゃないかと思います。

引用:モアリジョブ/さんちゃ整体院  関野まさあきさん

Instagram(インスタグラム)        

Instagramは投稿が拡散されやすく、幅広い層に情報を届けられる点が特徴です。画像を中心にした投稿なので、美容室やネイルサロン、アパレルなどのデザイン性を重視する店舗で利用されることが多いです。コンセプトを統一した投稿を続けることで、フォロワーが増え集客につなげやすくなります。

例えば、美容サロンや鍼灸サロンでは次のような事例が見られます。

SNSが発達したことによって個人が全世界に向けて情報発信できるようになり、「『個』で売れる」ことが可能になりました。SNSで注目を集めることができれば、肩書や所属する会社に関係なくフューチャーしてもらえる時代に突入したと思っています。

引用:モアリジョブ/ 美容サロン「cache cache」オーナー  前田渉さん

Instagramでサロンを検索することが主流になっていますよね。多くの美容師が同じようなカラーリングスタイルを載せても、いまいち決め手にかけると思うんです。その中から人目を引くために考えたのが、投稿に添える文章です。カラーリングのポイントやおすすめのシーンをはじめ、とにかく載せているカラーのメリットを書き出しました。

引用:モアリジョブ/ 美容サロン「Ms.CHARM」 美容師 大河原修太さん

オープン当時はInstagramでキャンペーンを行ったんです。「Instagramで感想や写真をアップすることを条件に価格をお安くする」というような内容でした。

この方法で、インスタをアップした方の紹介という形で、お問い合わせが多くなっていきました。大きく広告を打つよりは、こうした方が「コンセプトに合ったお客さまが来てくれる」と思っていたので、そこは戦略通りでしたね。

引用:モアリジョブ/鍼灸サロン「Hariest」 代表 倉内夕さん

X(旧:Twitter)        

XもInstagramと同じく投稿が拡散されやすいSNSです。利用者が20代や30代などの比較的若年層に集中しているので、若い世代を集客したい場合はXを利用するとよいでしょう。無料で利用する場合は、投稿文字数に制限がありますが、課金すれば投稿文字数を10,000文字まで広げられます。

投稿の内容に工夫を凝らすと、フォロワー数を伸ばしてそこから集客につなげられます。美容業界の事例を上げると、次のとおりです。

動画との相性がよいと感じているからです。動画のメリットはカットの技術を打ち出せることで、その一方基本的に画像をアップするインスタグラムはカラースキルとの相性がよいと感じています。Twitterでは動画でカット技術を発信しつつ、『骨格に合うように前髪を作りました』など140文字を使いこだわりを説明できることもポイントです。ちなみに文章ではカッコの使い方や改行の位置も意識しています。多くの情報を読みやすく伝えることが大切ですね

引用:モアリジョブ/ヘアサロン「Sorcier」 美容師 井上佳祐さん

フォロワーさんのことを徹底的に考えたときに、美容情報を押し付けたり、教えてあげるという上から目線ではなく、「寄り添い」が大切だと思ったんです。だからひとつの商品の良さを伝えるより、レビューくらいのほうがいいなと。

妻と一緒にドラッグストアに行ったときに、たまたまずらっと並んだシャンプーが目に入り、ふとこれを試してレビューを載せたらみんなに喜ばれるかもしれないと思ったのがきっかけです。9本を買い、それぞれ自分が使ってレビューを書きました。このツイートによってフォロワーが1000人になりましたね。

引用:モアリジョブ/ 美容室「SELAh HAIR DESIGN」 代表  りょうさん

Facebook        

Facebookは実名で利用するSNSなので、投稿した内容に対する信頼感を高めやすい点が特徴です。Instagramとの連携もしやすく、FacebookとInstagramの両方を集客に利用する店舗も見られます。

友達や知り合いなどともつながりやすく、オープンしたての頃に既知の顧客に店舗を訪問してもらう際に役立ちます。エステサロンでは、次のような事例がありました。

「オープン記念価格60分¥5000」のメニュー一本だけにし、Facebookの友達限定記事のみで発信しました。ご来店いただいたのは全員、私の友達や知り合い、そのご紹介の方のみ。仕事に対する私の想いや、独立に向けての準備段階について発信していたので、記事を読んで応援してくれた方々が来てくださったんです。

引用:モアリジョブ/エステサロン「美寿」 オーナー  在間麻里さん

TikTok        

TikTokは10代から20代の若年層がメインに利用する動画投稿型のSNSです。若い世代を集客したい場合は、TikTokがおすすめです。動画の長さが60秒に制限されているので、短時間でユーザーの興味をひくコンテンツを考える必要があります。美容室の事例を紹介するので、ご覧ください。

TikTokを勧められ、同時に流行っているアレンジ動画を教えてくれました。その投稿をはじめ、さまざまなアレンジ動画を見ているうちに、「自分だったらこんなアレンジを勧めたい」と思うことが増えてきたんです。そこで、それらの動画を参考に、自分なりのスタイルを発信していくことに2021年1月に始めて、半年ほどでフォロワーが2万人を超えました。

引用:モアリジョブ/シェアサロン「SALOWIN原宿IL Salice」 美容師 川原梨央さん 

口コミサイトを利用した店舗集客

口コミサイトは「広告媒体」にあたり新規顧客に有効で、中には無料で利用できる媒体もあります。しかし媒体内で露出度を増やして集客力を高めたい場合は、掲載料や手数料などが必要です。さらに掲載料を多く支払った店舗ほど優先的に検索結果に上位表示されたり、紹介されたりするケースも見られます。

そのため、地域内に多額の広告コストをかける競合店が多いと、口コミサイトで集客するために多額の広告費が必要な場合もあります。

また口コミサイトには、サイトによって得意な集客ジャンルがあることも特徴です。2024年1月現在、店舗サービスごとに代表的なサイトを例として3つ上げると次のとおりです。

  • ホットペッパービューティー:「整体院」「美容室」「リラクゼーション」
  • 柔道チャンネル:「整骨院」
  • 食べログ:「飲食店」

以上は比較的検索結果に上位表示されやすい口コミサイトです。各サイトについて解説します。

ホットペッパービューティー

引用:ホットペッパービューティー

ホットペッパービューティーは予約サイトですが、口コミを投稿する機能もあるので口コミサイトとしても利用者から認知されています。

ホットペッパービューティーの掲載料金は、エリアやキャンペーンによって変動する点が特徴です。利用の際は、担当者と原稿の内容の打ち合わせをして掲載する流れです。

柔道チャンネル(接骨ネット)

引用:柔道チャンネル(接骨ネット)

柔道チャンネルは柔道関連の情報を発信するサイトで、コンテンツの一部が接骨院や整骨院の紹介サイトの「接骨ネット」になっています。大手の賃貸物件検索サイト「ホームメイト・リサーチ」により運営されているので、口コミ検索や画像検索などの検索機能が充実している点が特徴です。

接骨ネットは無料でも掲載可能ですが、有料会員になると店舗の掲載情報を充実できるので、集客力のアップが期待できます。

食べログ

引用:食べログ

食べログは、飲食店に特化した口コミサイトで、2024年1月現在は6,000万件以上の口コミが投稿されています。

飲食店の幅広いジャンルに対応しており、検索機能も充実しているので店舗サービスにマッチしたターゲット顧客を集客しやすい点が魅力です。有名人が食べログを使って店舗を紹介したり、さまざまなメディアに取り上げられたりするため、全国的に認知度の高い口コミサイトです。

インターネット広告を利用した店舗集客

インターネット広告を利用した店舗集客とは、有料でインターネット検索に上位表示させたり、メディアの広告に表示させたりして集客する方法です。

2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」によると、媒体費の構成は検索連動型広告やディスプレイ広告、ビデオ広告の順に多い結果となりました。

ここでは、各媒体の特徴について解説します。

検索連動型広告

検索連動型広告とは、ユーザーがインターネット検索した際に自然検索よりも上位に「スポンサー」として掲載される広告です。

▼「検索連動型広告」の掲載位置(Google)

表示された広告がクリックされると、そのたびに課金されます。課金される額は、検索キーワードや地域、時間帯などによって異なり、キーワードごとに入札方式が採用されています。

そのため特定のキーワードに対して広告を出稿したい業者が多くなると、それに比例して単価も高くなります。Googleを例に、特定キーワードの入札単価を示すと次のとおりです。

▼Google広告の入札単価

検索連動型広告は、Googleの他にもYahoo!で申し込むことができ、それぞれ「Google広告」や「LINEヤフー for Business」に登録して広告の運用を開始します。

ディスプレイ広告        

ディスプレイ広告とは、Webサイトやアプリの広告枠に表示される広告を指します。

▼ディスプレイ広告の掲載位置(Yahoo!)

ディスプレイ広告も「検索連動型広告」と同様に、GoogleとYahoo!の関連媒体に広告を掲載できます。

動画広告        

動画広告とは、動画を利用した広告をさします。現在は、YouTubeやTickTok、Facebook、Instagram、X(旧:Twitter)などのさまざまな媒体に動画広告を掲載できます。

動画広告のメリットは、静止画よりも伝えられる情報量が多いことです。商品やサービスの魅力をアピールできるため、動画を広告として利用する企業も増えています。

サイバーエージェントによると、動画広告市場は年々上昇傾向で、2026年には1兆2,000億円を超えると予想されています。

引用:Web担当者 Forum

以上の傾向から、今後は動画広告がインターネット広告の主流となることが予想されます。

オフライン集客の種類        

インターネットを利用せずにオフライン集客をする場合は、次の方法が考えられます。

  • チラシの配布
  • イベントの開催
  • 看板・のぼりの設置
  • 既存顧客からの紹介

それぞれについて解説します。

チラシの配布

チラシは近隣住民に向けて店舗をアピールする際に役立ちます。実際にチラシを見てもらう場合は、ポスティングで配布したり、新聞の折込チラシに加えてもらえるように広告代理店に依頼したりします。

ニュースサイトの利用者数の増加に伴い、新聞を取らなくなった人も多いので、折込チラシの効果は減少していると考えられます。しかし中高年世代は、まだ新聞を読む習慣があるため、チラシで集客が可能です。

新聞通信調査会の調べによると、50代より上の世代では半数以上が紙の新聞を購読すると答えています。

そのため高い年齢層をターゲットにする場合は、折込チラシの集客効果が期待できるといえるでしょう。

さらに日本トレンドリサーチの調べでは、半数以上がポスティングに対して効果があったと回答しています。

また高齢者になるとインターネットの利用率が下がるので、チラシ集客の方が有利であることも考える必要があります。

下記の総務省の調査結果で示されているように、比較的インターネットの利用率の低い80代以上を集客したい場合は、インターネット広告よりもチラシ広告の方が集客に有効でしょう。

たとえば高齢者を中心に施術を行う整骨院であれば、インターネット広告にのみに集客を頼るのではなく、チラシ広告も有効活用することをおすすめします。

複数のスタッフを抱えていれば、来店数がまばらな時間帯に多くのチラシをポスティングできます。現在は無料でチラシを作成するサービスも充実しているので、工夫次第では印刷代のみで集客が期待できる手法です。

イベントの開催        

イベントを開催して集客をする場合、次のような方法が考えられます。

  • 定期的なイベント
  • 新規出店のプレオープン
  • モニターの募集

定期的なイベントとして、コスプレイベントを開催する整骨院も見られます。顧客と触れ合う機会を儲けることで、店舗に親近感を持ってもらえるため、新規集客と顧客の定着が期待できます。

プレオープンは、さまざまな業種において店舗開業時の集客方法として実施されることが多いです。無料もしくは低料金で商品やサービスを販売することで、多くの地域住民に足を運んでもらい認知度を高める効果が期待できます。

またモニターの募集は美容室やエステサロンで実施されることが多いです。新規集客のきっかけ作りになるだけではなく、モニターを受けた顧客に感想をヒアリングすることで施術サービスや顧客対応の改善に役立ちます。

看板・のぼりの設置

店舗前に看板やのぼりを設置するのも効果的な集客方法です。PopJapanの調査によると、7割以上の人がのぼりがきっかけで店に立ち寄ったことがあると回答しています。

比較的人通りの多い場所で出展する場合は、目立つ看板やのぼりを店舗前に設置すると効果的に集客できるでしょう。

既存顧客からの紹介        

既存顧客からの紹介は広告費がかからないうえに、ある程度の集客効果が期待できる方法です。

CREAKSの調べによると、美容室を探す場合、「インターネット・SNS」についで「口コミ・人からの紹介」が多い結果となりました。

スタッフの対応が良かったり、技術力が高かったりすると店舗の評判が上がるため、口コミや紹介による集客を行いやすくなります。優秀なスタッフの採用や教育の充実を図って、口コミや紹介を増やすのもひとつの集客方法と考えられます。

店舗集客を成功させるための考え方

集客を成功させるためには、高額な媒体を利用するだけでは広告費が膨らんでしまい、利益が残りづらくなる可能性があります。無料で実践できるSNSやブログ、紹介などをうまく利用して、なるべく費用を抑えるようにすると経営に負担をかけずに効率的に集客できるでしょう。

SNSやブログ、紹介などを利用した方法は、顧客を惹きつけるコンテンツ発信力や、高い更新性やコンテンツ量が必要であり、いずれも集客効果がスタッフの能力や人数に左右されます。そのため、店舗集客を成功させるためには、スタッフの採用や教育に力を入れることも大切です。次項では、スタッフが店舗集客に貢献した事例を紹介するので、参考にしてください。

スタッフが店舗集客に貢献した事例        

ここでは、スタッフが店舗集客に貢献した事例を3つ紹介します。

スタッフに集客を任せる

美容室「middle daikanyama」では、スタッフの性格に合わせて、それぞれに集客を任せています。具体的には、次のように集客を役割分担しているようです。

あるスタッフには美容予約サイトの運営を任せて、メルマガや企画などに積極的に参加してもらったり、お店の公式サイトを任せているスタッフには、お店のインスタグラムアカウントも併せて運営してもらったり。各スタッフとどんなところで集客していくかを話し合いながら、完全に任せるのではなく協力してやっています。

引用:モアリジョブ /美容室「middle daikanyama」 代表 丸岡奈央さん

以上のように、それぞれの得意分野を活かして集客する仕組み作りに取り組んでいます。

スタッフの情報発信力を養う

美容室「REDEAL」では、スタッフに1日1投稿を心がけてもらうことで、Instagramの集客を実施しています。

僕は「衣食住発信」とスタッフに伝えているくらいです。1日1投稿は当たり前、必ずやることとして習慣化してもらっています。インスタに参入する人が増えてきて、今後はコラム的なもの、まとめ的な投稿でしかフォロワーを増やせないと思うので、画像に文字入れをするような編集技術も必要です。これがなかなか難しいので、習慣化して身につけてもらうようにしています。ちなみにうちのサロンでは新卒の子にも、入社が決まった瞬間から、画像に文字入れなどをしながら発信の練習をしてもらっています。

引用:モアリジョブ/デザインカラー特化型サロン「REDEAL」代表 中村雄樹さん

以上の取り組みもあり、駆け出しのスタッフでも大きな売上を達成するケースもあるようです。

既存顧客を大切にできるスタッフを育てる

既存顧客を大切にできるスタッフを育てることが、集客の安定につながったサロンもあります。

美容サロン「lien.」では、既存顧客とスタッフとの人間関係づくりに注力して、まずはリピーター獲得を成功させました。

これまでのお客様をまずは大切にしたかったので、オープンからしばらくは新規集客に関しては少し抑えつつ、顧客様メインでスタートしました。

引用:モアリジョブ/美容サロン「lien.」  代表 相楽顕さん

その取り組みによって顧客を大切にできる素養がスタッフに身に付き、新規集客した顧客の安定化につながったようです。

3ヶ月くらい経ってお客様が安定してからは、若手のスタイリスト2人がしっかりとお客様を増やせるようにということを一番イメージして動きました。なのでそこからは新規集客に一気に取り組んで、その2人もしっかりお客様をリピートさせてくれたので、今のところ順調に進んでいます。

引用:モアリジョブ/美容サロン「lien.」  代表 相楽顕さん

 

まとめ

  • 店舗集客の方法にはオンライン集客とオフライン集客がある
  • 高額な集客媒体に頼るだけではなく、無料でできる方法も利用しつつ効率よく集客することが大切
  • 店舗集客を成功させるためには顧客とかかわるスタッフの存在も欠かせない

店舗の状況や予算に合わせた集客方法を採用して、経営の安定化を目指しましょう。優秀なスタッフを採用したり、教育したりするとSNSやブログ、紹介による集客につながります。

さらに新規集客した顧客がリピートしやすくなるので、売上の安定化も図れるでしょう。集客の方法に注目するのと同時に、スタッフの採用や教育に力を入れることが大切です。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。