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店舗運営のよくある課題とその解決策とは?課題の見つけ方〜解決までのステップや改善事例をわかりやすく解説!

店舗運営のよくある課題とその解決策とは?課題の見つけ方〜解決までのステップや改善事例をわかりやすく解説!

店舗運営をするなかで、経営者は誰しも課題に悩むことがあるのではないでしょうか。厚生労働省の調査した結果では、店舗ビジネスが主である生衛業(理・美容、クリーニング、ホテルなど18業種)の経営課題は客数の減少や店舗の老朽化、客単価の減少など、さまざまな点にあるとしています。

経営者に求められるのは、自店舗の抱える課題の洗い出しと早急な対策です。本記事では、店舗運営においてよくある課題や、その解決策を厚生労働省のデータを元にお伝えします。

さらに、具体的な解決までのステップも解説します。実際に行動する際に役立つ改善例を交えてわかりやすく解説しますので、ぜひ参考にしてください。

店舗運営とは

店舗運営とは、店舗の状況に合わせた売上や利益の目標を設定し、目標に向けて在庫や人員を管理したり、集客したりすることです。

目標を達成するためには、魅力的なレイアウトや内装の作成、店舗のプロモーション・販促、働くメンバーの管理や育成まで、多くのことをこなさなければなりません。

店舗運営に必要なことは、店舗の取り扱い商材や経営方針によっても変わります。販売業であれば、商品の仕入れ・在庫管理も店舗運営の一環です。

店舗運営における主な業務

店舗運営で行う具体的な業務は、主に以下の7つがあります。

① 開店・閉店業務
② 接客業務
③ 仕入・在庫業務
④ 売上管理業務
⑤ スタッフ管理/教育業務
⑥ 販売促進業務
⑦ 顧客管理業務

店舗運営の目標は、経営に支障がないように利益を出すことです。従業員規模によって経営者自身の業務範囲は変わるものの、上記の7つについては必ず行う必要があります。

経営者は、業務が円滑に回る方法を常に模索しなければなりません。特に顧客満足につながる接客業務、スタッフ管理/教育業務は経営者に高いレベルが求められます。

人材育成や採用は重要な地盤であり、地盤が揺らいでは顧客管理や販促業務を行っても求める成果は得られないでしょう。

また、店舗に課題があるとすれば7つの業務のなかに必ず隠れています。まずは自身が行っている業務について、棚卸ししてみましょう。

解決への詳しいステップについては、この後で解説します。

店舗運営の難しさ

店舗運営は、誰しもが円滑にできるわけではありません。厚生科学審議会の調査結果では、経営課題に対しての今後の経営方針について、実に16.2%もの割合で廃業を選択しています。

同調査では、営業年数が30年を超えた美容業の廃業選択の割合は21%を超え、営業年数増加とともに廃業の意向も増加する傾向です。

さらに、同調査では立地条件別の方針も調査しています。調査結果によると、複合施設内などの一部の状況では40%もの経営者が廃業と回答しました。

以上から、多くの施設が抱えた課題の解決策が見いだせないままに廃業を選択していることがわかるでしょう。

店舗運営でよくある課題とその解決策

店舗運営の課題への対策については、国も重要視しています。その解決のため、厚生労働省は代表的な店舗型ビジネス業界である生衛業に向け、よくある課題と改善のためのガイドラインをまとめた「生産性&効率アップ必勝ガイド」(以降は「必勝ガイド」と記載)を作成しました。加えて、生衛業16業種に向けた業種別の改善マニュアルも作成しています。

今回は、上記ガイドラインと改善マニュアルを参考に、現場で起こりがちな10の課題とその解決策についてご説明します。

1.特長のある店舗づくりができていない

経営者が抱える課題の1つとして、他店舗との差別化ができておらず、集客につながらないことがあります。

たとえ長く経営している店舗であっても、市場は変化しており昔よりも競争は激化しているとまずは認識しましょう。

改善マニュアル内に記載されている調査結果では、2009年と比べると2017年にはパーマ・カット代の市場規模は588億円の減少しているのに対し、従業美容師数は約7万人も増加しているのです。それに伴い、施設、美容師あたりの利用人口はどちらも減少しています。

経営者を対象としたアンケートのうち、最重要課題は「客数の減少」であるという回答からも、経営者が直面している問題が如実に表れているでしょう。

他店舗と同じ価値を提供しているだけでは、客数増加は見込めません。課題を解決するには、自店舗独自のバリュープロモーション(顧客への提供価値)の創出が必要です。

自店舗と周辺店舗の客層や人の流れを分析し、お客様が真に求めているサービスを考えてみてください。周辺店舗との違いが自店舗内では見えないときには、常連客の声に耳を傾けてみるのもよいでしょう。

2.集客力が弱く、新規顧客開拓ができていない

客数減少の原因には、特長のある店舗づくりに付随する問題として「集客力の弱さ」と「新規顧客開拓の不足」が挙げられます。

自店舗の客数が増えずに他店舗にお客様が流れてしまっている場合には、自店舗の集客力が弱いことが原因かもしれません。

改善マニュアル」の消費者動向についての調査結果では、お客様は口コミやインターネットによる店舗検索などの評判により利用する店舗を決定しています。

また、お店を決める理由は、「明確な料金開示」や「手ごろな金額」、「従業員の経歴」を重要視している人が多いようです。

上記を元にした即効性のある解決策としては、多くの人の目に触れる予約サイトや店舗のWebサイトのメニューを充実させ、より明確化してみましょう。Googleマップの情報を使用してプロモーションできる「グーグルマイビジネス」の活用も有効です。

本記事の1.2の課題へのヒントは、必勝ガイド内の内容をさらに細かく解説している「特長ある店舗・施設づくりで業績を改善しよう」に記載されています。

また、SNSやICTを活用した集客法については、ICT初心者向けの「 ICTを活用して集客力を高めよう」編、具体的活用法は「② SNSの特性を集客に活かそう」編に解説されていますので、自身の知識レベルに合わせて参考にしてみてください。

3.コストがかさみ、収益性が低い

利益を上げるのに即効性のある施策は、コストカットです。余分なコストが掛かっていないか、店舗全体の経費を見直してみましょう。

必勝ガイドの「費用を削減して収益性を高めよう」編によると、店舗運営に掛かる経費のうち、削減しやすいのは以下のポイントです。

削減しやすい経費の例

消耗品費

安い他社製品への変更

発注量・使用量を減らす

仕入れ業者の変更

水道光熱費

長期的運用を視野に入れたメンテナンス

人件費

採用費の削減

宣伝広告費

集客サイト費用の削減

4.顧客満足度が低い

お客様は、店舗に対する期待値を上回らなければ満足にはなりません。想定通りの体験では、顧客満足度は上がらないのです。予想を超える接客をすることで、はじめてお客様は満足します。

お客様への声掛けを当たり前レベルから満足レベルにアップするには、「優良顧客を増やそう」編のP4に記載されているような自店舗のサービス感想のアンケートを作成するのが効果的です。

ポイントは、要望・ご意見欄や、お客様が過去感動した利用体験など、自由に記載できる欄を用意すること。生の声を収集することで、真にお客様が求めているサービスが見えるでしょう。

また、生衛業では清潔感や設備の新しさも重視されています。しかし、普段の業務をしながらでは細かいところまで目が行き届かないかもしれません。

店舗全体を見直す策としては、お客様目線になったチェックリストを作成し、今一度サービスが行き届いているか全従業員で確認するのもよいでしょう。

5.リピート顧客が少なく、客単価が低い

消費者アンケート結果では、美容室を利用する決め手となる1位は立地ですが、2位は「担当者の技術や提案力が良いから」となっています。

また、お店に行くのをやめた理由の2位も「担当者の技術や提案が良くなかった」という回答です。

再来店のお客様が少ない場合、スタッフによる適切な提案やアドバイスができていないのかもしれません。また、客単価が低い場合にも提案力不足が疑われます。

提案力を上げる方法の一例としては、個別カルテの作成がおすすめです。お客様としては会話内容を覚えられていることが嬉しいうえに、従業員にとっては前回来店時の会話を元にした自然な追加メニューの提案ができるようになります。

トーク例

「前回は髪の長さをそのままにして形を整えただけだったので、今回は気分を変えてパーマに挑戦してみましょう! 」

「前回来店時に縮毛矯正されていますが、その後のケアや髪の痛みは大丈夫ですか?当店では、ヘッドスパやケアメニューも充実してます。良かったらついでにどうです? 」

ただし、提案時には強引過ぎず、あくまで自然に提案することも大切です。商売気を出し過ぎるとお客様には敬遠されます。居心地の良い空間づくりを優先しましょう。

2回目来店を促すためのスタンプカードや、限定クーポンも有効です。昨今ではLINEでも簡単に作成可能ですので、特別感を付与して再来店動機につなげましょう。

6.外国人の顧客が少ない

コロナ禍も落ち着き、円安の状況が続くなかでインバウンドの流れが強まっています。客数減少が悩みなら、新規顧客開拓に外国人も取り込む方向で動きましょう。具体的に行える施策は、以下のような内容です。

行うこと

ポイント

日本ならではの「おもてなし」を行う

  • 特別なことではなくまごころを込めた接客
  • 丁寧なあいさつや気遣いが重要

メニューやサービス説明を多言語対応にする

  • よく説明する内容に絞る
  • 訪日ゲストに合わせて用意できるように英語、中国語などに対応する

スマートフォンを使った言語通訳機能の活用促進

  • スタッフに来店シミュレーションをする

クレジットやキャッシュレス決済の導入

  • 国際規格のカード・決済方法に対応する

行うことは日本人対象と変わりません。訪日ゲスト(外国人客)の特性や、旅行者ならではの特徴を考えて、自店舗で可能なおもてなしを考えます。

キャッシュレス決済の導入については、IT導入補助金制度の対象になる可能性もあります。導入前に、対象条件を確認しておきましょう。

7.従業員のスキルとモチベーションが低い

美容室は、お客様が1~3時間と長時間滞在する空間です。そのため、店舗全体の雰囲気や、スタッフの対応をお客様はより重視しています。

従業員のモチベーションが低ければ、スタッフの態度も悪くなりがちです。また、優れたスキルを指導したとしても、望む結果にはつながらないでしょう。

解決するには、「従業員のスキルとやる気を高めよう」編で解説されているような受け入れ時の教え方を工夫するのもひとつの手段です。入社後に適切な指導ができていれば、モチベーションはおのずと上がるでしょう。

スタッフの定着率を高めるには、店舗全スタッフの協力が必要です。できる限り全員で読み合わせをし、育ちやすい受け入れ姿勢を考えましょう。

また、スタッフに育成を任せるのもよいですが、経営者も月1回程度の個別面談の機会を設け、なるべく現場の声に直接耳を傾けてください。日常会話ではなく、面談でしか言えないことも多くあり、離職率低下につながるでしょう。

8.作業しにくい職場環境になっている

店内でスタッフが物を探していたり、何をどこに置いたかスタッフ同士で確認し合ったりしてはいないでしょうか? また、よく使う設置物や置き場が遠く、無駄な動きが多くはないですか?

思い当たる場合、定物定位置に戻せるような仕組みづくりと、導線の見直しを行いましょう。「作業しやすいお店・職場にしよう」編を参考にした職場環境の改善で行えることは、主に以下のとおりです。

行うこと

ポイント

備品の必要最低限数の洗い出し

  • ・最も多く使う時ではなく、「最低限」を意識する
  • ・減らし過ぎて不便がでないように、予備備品は若干は残しておく

備品の戻り保証(物が決まった位置に戻せる仕組み)付け

  • 管理番号を付けたり、必要な備品以外は入らないようにしたりする
  • 使用頻度の高い備品は全スタッフから近い位置にする

導線の見直し

  • 店舗レイアウトに人の動きを書き込む
  • 導線がぶつかっている、もしくは移動距離が長い位置を改善する
  • 導線改善に費用が必要な場合には長期的視野も検討する

9.仕事の効率が悪い

美容室の労働時間には、お客様と関わる時間と、清掃や整理などの直接関わらない時間があります。どちらも短縮できれば、残業時間削減やサービス向上に利用できるでしょう。

仕事効率を上げるには、現状の作業時間を把握し、以下の4つの目線で作業を見直します。

  1. 作業をなくせないか?
  2. 作業を同時あるいは別々にできないか?
  3. 順序やタイミングを変えることで効率良くならないか?
  4. 作業をもっと簡単にできないか?

参考:「効率的に作業しよう」編

時間改善を行う際には、店舗で最も人気のあるメニューから行うとよいでしょう。改善を行った後、スタッフ同士で意見交換をし合うことも大切です。

特に歴の長いスタッフほど、作業を変更することに抵抗感を覚えやすいため、なぜ行わなければならないのかを事前に説明し、理解を得てから取り掛かるようにしてください。

10.ヒューマンエラーが多く発生している

人的ミス(ヒューマンエラー)の原因には、うっかりしたミスと手抜きなどのあえて行っているミスの2パターンがあります。あえて行っているミスは、個別指導やモチベーション向上によって改善するしか方法はありません。

しかし、うっかりミス型は、店舗側の心がけ次第で予防が可能です。人的ミスは、「人的ミス(ヒューマンエラー)をなくそう」編で以下の4つに分類できると記載されています。

改善する手順は、まずはサービスを工程に分けて、工程ごとにミスが起こりやすい事象を上記4つのエラーに分けて書き出しましょう。そのうち、すでに改善されているものは消し、対策可能なことを絞り込みます。

次に、なぜそのミスが発生するのかを考え、対策を実行しましょう。たとえば、美容室の予約間違いやチェック漏れがある場合、操作の簡単なシステムに変更することや、Web上でお客様入力だけで完成するシステムへ変更することで防げるかもしれません。

対策はひとつの方法には限りません。スタッフ全員で意見を出し合い、全員で防ぐ意識を持てるようにすることも大切です。

店舗運営のデジタル化が生産性向上のカギ

経済産業省の調査では、産業別の労働生産性が全業種平均が848万円に対し、店舗運営が主流であるサービス業、個人教授所(学習塾など)、飲食サービス業、小売業生活関連サービス業・娯楽業業の生産性は全て500万円以下と低い傾向になっています。

経済産業省のデータを参考に作成

人手不足や生産性向上は、デジタル化の導入を進めれば改善できることも多くあります。そこでここからは、厚生労働省の作成したデジタル化推進マニュアルの内容を参考に、課題と具体的取り組み例を紹介します。

業界の生産性課題

製造業や通信業などと比べて、なぜサービス業の生産性は低くなるのでしょうか。それを考えるにはまず、生産性とは何かを知る必要があります。生産性とは、投入資源に対してどれくらいの成果があったかで計算します。

つまり、オートメーション化やIT化が進む製造業と比べると、人件費が多く必要なサービス業の生産性が下がることは当然なのです。

さらに昨今の働き方の変化や少子高齢化、物価上昇による経費圧迫などが生産性低下を後押ししています。

生産性向上に向けた取り組み

デジタル化の導入で改善できるのは、人件費と宣伝広告費です。デジタル化による売上向上も、生産性アップと言えます。

人件費削減には、キャッシュレス決済や、顧客・勤怠管理ツールの導入が効果的です。人的リソースが削減できる箇所がないかを検討しましょう。

ただし、ツールによっては導入コストだけでなく、維持費用が高いケースもありますので、費用対効果を考えて導入は進めてください。

集客で発生する宣伝広告費は、SNSの活用で削減できます。TwitterやInstagram、Facebookなどを活用して、美容室のスタッフやスキルを宣伝しましょう。

取り扱う題材を決める際には、お客様の悩みに寄り添った内容にするとフォロワー数増につながります。

主にインスタグラムを使って集客を行っています。最近はTik Tokもはじめました。つねにトレンドを意識しながらお客さまのお悩みを解決する動画を投稿しています。

SNSでは「透明感カラー」と「パーソナルカラー」を推しています。「透明感カラー」は多くの女性の悩みである色落ちの際の赤みを抑えるカラーのこと。

引用:モアリジョブ/Of HAIR銀座店・GRAN CLUB Of HAIR 齋藤大智さん

他社研究もできればベストです。より多くのファンを獲得できるでしょう。

1~10位の方のSNSは必ずチェックするようにしています。上位に入っている美容師さんの投稿は、時代や世の中の需要にフィットしていると思うんです。そこで最新の潮流を掴んで、自分の投稿に取り入れるようにしていますね。

引用:モアリジョブ/「cache cache」前田渉さん

SNSを通じてお客様とより近い関係になることで、リピーターも獲得できるかもしれません。

お客様との繋がりも大事にしています。お客様とフォローし合うことで、交流を深めるツールとしても役立っています。お客様がストーリーズや投稿している内容を把握しておくと、次回来店いただいたときに話が広がり、コミュニケーションがとりやすくなるんです。

引用:モアリジョブ/「hair&make first」舩木宏哉さん

SNSは、低予算で使える集客ツールです。ぜひ、成功事例を参考に有効活用してみてください。

課題発見から解決までのステップ

ここからは、具体的に自店舗で動けるように、課題の発見方法から解決までの5つのステップとポイントを解説します。

よくある課題すべてに共通する進め方ですので、実行するときの参考にしてください。

ステップ1:自店舗の課題を把握・特定する

自店舗の目標に対する課題は何かを書き出します。経営者がする場合は、とにかく気になる点を書き出すだけでも最初は問題ありません。厚労省のマニュアルなども参考にしながら、以下の4つのカテゴリーに分けて現状と問題点・課題を細分化して書き出してください。

  1. 売上(顧客数・平均単価)
  2. 財務体質・コスト
  3. 業務プロセス
  4. 人員・人材

書き出すときには、関わるスタッフも巻き込むとよいでしょう。たとえば、残業時間の短縮を目標とするなら、スタッフと一緒に何にどれくらいの時間を掛けているかを表にします。

書き出した項目を本記事の10項目に分類していき、次の優先順位を決めるステップに移りましょう。

ステップ2:課題の優先度を決める

書き出した後は、改善しやすさ、費用対効果と必要な労力を元に優先順位を付けます。理想は、費用対効果が高く、改善の労力はあまりかからない事項からの改善です。

とはいえ、時間や金額を先行投資することで大きな見返りが期待できる課題にも取り組んでよいでしょう。

改善しやすさには、費用だけでなく時間も含まれます。HP開設による集客アップの施策など、取り組んでから半年程度経たなければ効果が見えない施策もありますので、いくつかの対策を同時並行で進めることも必要です。

ガイドラインの項目に沿って進めるのもよいですが、自店舗の状況的に取り組むのが難しい可能性もあります。チェック結果はあくまで参考程度に留め、経営者として取り組むべき課題を認識しましょう。

ステップ3:課題に対する目標を設定する

課題に取り組む前に、具体的な目標を決めます。目標を決めるときは、以下のポイントを意識してください。

  1. 測定可能な具体的数字にする
  2. 目標達成の期日を設定する
  3. スモールステップを設ける

上記の内容に沿って目標を設定した例は次のとおりです。

  • 魅力ある店舗づくりに取り組む→客数の前月・前年比達成を半年後
  • スタッフの提案力の強化→客単価アップを3カ月後
  • 費用の削減→販管費◯円減を半年後

具体的数値は、前年や前月を参考にするのがわかりやすいです。また、売上減少の要因に競合の出店のような外的要因が強いと考えられる場合には「現状予測との差をどれくらい埋めたいか」で設定しましょう。

最終目標は全項目に共通して「売上の向上」かもしれませんが、どのように動くかを決めるには個別目標の設定もしなければ目的意識が共有しにくくなります。客単価や客数など、なるべく細かい数字の目標を設定してください。

ステップ4:課題の解決策を検討・実行する

具体的にどう動いていくのかを考え、実行します。計画表を作成し、5W1Hに落とし込みながら計画を立てましょう。

たとえば、スタッフのスキル向上を目標とした設定をする場合、厚労省のマネジメントマニュアルに以下のように記されています。

施策を進行する際には、スケジュール表を作成しましょう。スケジュール作成をすることで、進捗を確認しながら計画の修正を行えるようになります。

計画の実行と成功には、スタッフの意識と協力が必要不可欠です。休憩室や朝礼などで目標の進捗が目に見えるようにし、常にスタッフ同士の話題になるように場を作りましょう。また、達成した後のビジョンを伝えてモチベーションを上げるのも経営者の大事な役割です。

ステップ5:解決策の実行前と実行後を比較する

施策の実行後には、必ず振り返りをしましょう。振り返りをするのはこまめにする必要はなく、1カ月ごとなどのおおまかな期間でも良いです。実際に実行してみてどのように変わったのか、効果はあったのかを見直します。

数字を目標にしてはいますが、振り返るときに数字のみにこだわるのもよくありません。店舗運営をしているからには、スタッフやお客様の反応にも意識を向ける必要があります。

施策を進めるなかでスタッフの不満や戸惑いが出ていないか、常連のお客様からの従来との違いについてのご意見が集まっていないかといった、生の声も確認するようにしてください。

まとめ

美容業は、担い手が増加している一方で、利用するお客様は減少している傾向があります。多くの経営者は客数減少に悩んでおり、解決のための施策を模索しているのです。

この記事では、厚生労働省の作成したガイドラインマニュアルの内容を参考に、経営者が抱えがちな課題とそれに対する施策、実行のための動き方について解説しました。

店舗の数だけ悩みがあり、解決に取り組む難しさがあるかもしれません。この記事を参考に、まずは冷静に店舗の現状を見つめ、取り組む課題を分析したうえで目標を設定してみてください。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。