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店舗経営における人材採用の重要ポイントとは?

作成者: Bizリジョブ編集部|2025.06.16

「店舗経営における人材採用の重要ポイントを知りたい」と考える企業は多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、店舗経営における人材採用の重要ポイントを紹介します。人材採用の現状と課題や、店舗経営における人材の重要性、ミスマッチを防ぐ人材採用の流れ・ポイントを紹介するため、ぜひ最後までご覧ください。

店舗経営とは

店舗経営とは顧客に商品やサービスを提供し、収益を上げるのを目的とした事業活動です。店舗の利益を最大化し安定した収益を上げ続けるためには、商品やサービスの活用方法を検討し実行に移す必要があります。

また店舗経営では利益を生むだけでなく、店舗を経営し続けるための資金繰りも必要です。キャッシュフローを定期的に確認しつつ資金繰りの対策をして、初めて安定的な店舗経営が実現します。

なお以下のページでは店舗経営に関する記事をまとめて紹介しているため、ぜひあわせてご覧ください。

人材採用の現状と課題

人材採用の現状と課題を、以下の視点から厚生労働省や帝国データバンクのデータを抜粋しわかりやすく解説します。

  • 人材採用における市場の最新動向
  • 業界別の現状と背景
  • 就職観・価値観の変化

以下では、各項目を詳しく紹介します。

人材採用における市場の最新動向

厚生労働省が示す下記データが示す通り、少子高齢化に伴い生産年齢人口(15〜64歳)の割合は減少傾向にあります。

このような傾向は採用市場にも影響を与えており、候補者の母数は減少し、限られた人材を企業が奪い合うような状態が続いています。

また、各企業において「人手不足」の傾向が顕著に表れています。帝国データバンクの調査によると、2024年には51.7%もの企業が人手不足(正社員)に悩んでおり、過去最高を記録した2018年の53.9%と同程度にまで高まっています。非正社員も同様の傾向です。

以上から、各企業が人手不足を補うべく新たな人材を求めるものの、候補者の絶対数が減少しているため、採用市場における人材獲得競争が激化しています。さらに厚生労働省の予測や帝国データバンクが示す調査結果を見る限り、こうした傾向は継続するでしょう。

また厚生労働省の調査によると、転職入職率は「20〜24歳」「25〜29歳」の割合が12~14%前後と他世代よりも高く推移しています。そのため、20代人材の流動性が高く、採用市場では主要な層といえる反面、定着が難しい点も示唆しています。

業界別の現状と背景

帝国データバンクが調査した業種別の「正社員の人手不足割合」によると、「情報サービス」「メンテナンス・警備・検査」「建設」などの人手不足が顕著です。

一方で、同調査の「非社員の人手不足割合」では「飲食店」「旅館・ホテル」「人材派遣・紹介」などの人手不足が上位でした。特に飲食店が1位である点は、店舗経営における深刻な状況を示しています。

就職観・価値観の変化

厚生労働省が調査した「就業価値観の推移」によると、近年は会社のために尽くす人材が減少傾向にあります。「自分の仕事の目的は会社を発展させることである」と答えた方は、49%でした。

一方、ライフワークバランスを重視したい人は、増加傾向にあります。「会社や仕事のことより、自分や家庭のことを優先したい」と回答した方は79%と非常に多く、会社に尽くしたい人材よりも30%多い比率となっています。

また、勤務先を1か所に絞らず、副業をする意識の高まりもみられます。2012年頃までは「本業以外の仕事も持ちたい」と回答していた方の割合は、3割程度でした。しかし、その後は増加し続けており、2021年には41%まで高まっています。

さらに、安定化を望むミレニアル世代は2025年以降、労働者の半数を占めると予想されています。彼らはプライベートと仕事を両立させるスタイルを好むため、企業はライフワークバランスを重視した対応を行うべきです。

Z世代以降の人材はタイムパフォーマンスを重視する傾向が強く、フレキシブルな働き方を求めています。フレックスタイム制やテレワーク、アルバイトでのスポット勤務などを希望する人材も多く、より柔軟な採用形態への対応を行う必要があるでしょう。

なお以下は、美容・ヘルスケア業界に従事しているZ世代(18~24歳)とミレニアル世代(25~34歳)の就業感を比較した資料です。無料ダウンロードのうえ、ぜひ参考にしてください。

店舗経営における人材の重要性

店舗の競争力を高める上で、「人材」は非常に重要です。以下で詳しく解説します。

サービス品質と顧客満足度の相関関係

現代の消費社会において、サービス品質は顧客満足度を測る上で重要な指標です。顧客満足度とは、顧客が期待するサービスレベルに対して、企業が実際に提供するサービスがどの程度応えられているかを指します。

サービス品質が高まると、以下の向上効果が得られ顧客満足度も必然的に向上します。

  • 業績や利益
  • 企業の価値
  • 従業員のエンゲージメント

ただ企業がマーケティングやブランドポジショニングで質の高いサービスを謳っていても、実際には期待以下のサービスしか提供できていないケースも散見されます。このような場合、顧客は失望し、企業への信頼を失う危険もあるため注意してください。

従業員エンゲージメントと業績の関係性

「なぜ組織は従業員エンゲージメントにリソースを割くべきなのか?」と考える採用担当者も多いでしょう。その理由は、従業員エンゲージメントが重要なビジネス成果に直接関係しているためです。

従業員のエンゲージメントと業績には、以下のポジティブな関係があります。

  • 生産性
  • 社員定着率
  • 顧客ロイヤルティ
  • 収益性

対して、やる気のない従業員が直接顧客と接すると、顧客からの苦情が多くなります。仕事をしない従業員は同僚に悪影響を与えかねない、不安要素にもなるため注意が必要です。特に、従業員の給与とエンゲージメントは密接に関係します。

弊社の初任給は24万円と、一般企業と比較しても高水準の賃金設定です。(中略)また、この価格設定の理由として、サービスの品質向上にもつながるからというもあります。収入が多ければ、プライベートを充実させやすくなります。ワークライフバランスも保つことで仕事にメリハリがつき、結果的にサービスの質とお客様の満足度につながるんです。

熱心な従業員は組織目標における自分の責任を理解し、その目標を達成するために同僚の意欲を引き出します。職場で積極的に行動し、従業員が意欲的であれば業績も高まるのです。

引用:モアリジョブ|「Oasis Garden」齋藤逸生さん

リピート率向上における人材の重要性

顧客との接点となる「人」の力は、リピート率を大きく左右する要因です。高品質な商品やサービスを受けても、接客が不快なら顧客はリピーターになりません。

顧客のモチベーションは、他者からの好感度や感謝、評価によって変化しやすいです。スタッフの対応が顧客の購買意欲に影響を与え、リピート率の低下や上昇につながります。

以下のネイルサロンでは、スタッフ全員のトレーニングを行い一定のスキルを身に着けたことで80%以上のリピート率を達成しました。

オープンしてからは、他サロンのオーナーやネイリストに、トレーニングをお願いしたこともありました。また経験のある日本人ネイリストを雇い一緒に働きながら教えてもらっていたこともありましたね。実践しながら教えてもらえるので、とても効果があったと思います。スタッフ全員が一定の技術を身につけてからは格段にリピート率が上がりました」

引用:モアリジョブ|ネイルサロン「Arusha」

ミスマッチを防ぐ人材採用の流れ・ポイント

ミスマッチを防ぐ人材採用の流れ・ポイント7つを、以下で解説します。

1.採用計画を策定する

人材採用において、まず重要なのは計画の策定です。必要な人員数を設定するために業務のシフト表や繁忙期を考慮し、適切な根拠をもとに決定しましょう。

繁忙期に業務が集中する業態では、期間限定で人員を増やす必要があります。採用にかかる費用を算出し、予算を策定するのも大切です。人件費だけでなく、求人広告費や面接にかかる費用も含めて計算してください。

なお採用にかかるコストについては、以下の記事で相場や削減方法を紹介していますので、あわせてご覧ください。

採用スケジュールを策定し、募集から内定までの流れを具体的に決めるのも重要です。スムーズな採用活動を実現できます。採用スケジュールについては、以下の記事にて最近の動向や策定方法を解説していますので、こちらもあわせてご覧ください。

2.採用基準を明確化する

採用においては、求めるスキルや人物像を明確にするのが重要です。

まず、職務に必要不可欠なスキルと、あれば望ましいスキルを切り分けてください。人物面での要件定義を行い、組織の文化に適合する人材を見極めるのも欠かせません。

給与レンジを事前に設定し、応募者に対して適切な条件を提示すれば採用後のミスマッチを防ぎやすくなります。なお、業態ごとに求められる人材要件は以下の通りです。

接客を重視する店舗

顧客対応力やコミュニケーション能力

技術提供型の店舗

専門スキルや経験の有無が重要

マルチタスクを必要とする店舗

柔軟性や適応力

物品提供型の店舗

正確な作業能力や効率的な業務遂行

採用基準を明確にして、適切な候補者を選びやすくしましょう。

また、企業が求める人材を明確化する際には、採用要件を作ってください。採用要件とは、企業が求めるスキル・経験、資格や能力などを具体的な評価基準に落とし込んだものしたものです。

採用要件は採用における、3Cの視点で考えるのがおすすめです。顧客・自社・競合他社の3つを分析し、採用したい人材のペルソナを組み立てましょう。

採用要件をしっかり作成すれば、候補者の選出がしやすくなります。以下のリンクでは採用要件について詳しく解説しているため、ぜひあわせてご覧ください。

3.求人原稿を作成する

求人原稿は、応募者に対する最初のアプローチです。職務記述は、明確かつ魅力的に記載しましょう。必須記載要項には、以下が求められます。

  • 職務内容
  • 給与
  • 勤務地
  • 勤務時間
  • 福利厚生
  • 勤務条件
  • 必要スキル
  • 必要資格

応募資格仕事内容を具体的に説明し、業務の魅力を伝えることで、応募者の関心を引いてください。

応募者の心理に訴求するためには、自社の価値観や志向を言語化することが効果的です。目指す価値観や環境・文化・教育制度など、自社の魅力は特にしっかり記載しましょう。

効果的な職務記述を作るには、最低限と理想を分けて記載するのがおすすめです。すべての人材をキャッチするのは難しく、採用にも時間がかかってしまいます。MUST(必須)要件とWANT(後日の習得も可)要件を分けて言語化し、自社に合う人材の幅を広げましょう。

効果的な採用要件を作成したい方は、以下のホワイトペーパーもぜひ参考にしてください。

4.募集チャネルの選定と活用

求人媒体にはさまざまな種類があるため、自社にあった媒体の選定は欠かせません。媒体ごとの特性を理解し、職種や業態に応じて適切に使い分けることが重要です。

ターゲットに合ったチャネルの選定を行えば、特定の業界に強い求人媒体や、地域密着型の媒体を求める人材にリーチしやすくなります。

たとえば、リジョブのような特定の業界に強い媒体を活用すると、ターゲットに合った人材を効率的に募集できます。

また応募者データを適切に管理し、採用活動の最適化を図ることも忘れないでください。採用活動の最適化を図るには、採用管理システム(ATS)や採用分析を活用するのがおすすめです。

採用管理システムを活用すれば、応募者の履歴書や職務経歴書などをデジタルで一元管理できます。採用の進捗や面接の管理もできるため、複数媒体を活用しても混乱が起きにくくなるでしょう。

一方の採用分析とは、応募者数、内定率、入社後の定着率などをデータベース化して記録することです。過去のデータを基に、どのステップでどのような応募者が高いパフォーマンスを発揮しているかを分析できます。募集チャネルの選定と活用には、どちらも非常に効果的な選択肢です。

さらに、掲載費用と採用効果のバランスを考慮すれば費用対効果を測定可能です。費用対効果は「利益または効果 ÷ 採用にかかったコスト」で算出できます。採用活動にかかっている費用と効果を数値化し、採用チャネルや施策の有効性を明確にしてみましょう。

5.書類選考、面接を行う

採用プロセスでは、以下のようなポイントをおさえたスクリーニングを行うことが求められます。

書類選考

職務要件に適合するかどうかを迅速に判断

1次面接

基本的な適性を確認

2次面接

より詳細なスキルや意欲を見極める

最終面接

最終的な入社意思や定着見込みを見極める

書類選考では、まず自社にその人材がしっかり適合しているかを確認します。MUST要件とWANT要件のバランスや、保有スキル・資格などもチェックしてください。書類審査におけるビジネスマナーのチェックも必須です。誤字脱字がないかはもちろん、基本的な書類の書き方や証明写真なども適切か確認しましょう。

1次面接では基本適性を見極めます。自己紹介を求める質問や履歴書の内容、志望動機などは必ず確認してください。2次面接では、その人材がより企業に合っているかを見極めるのが大切です。1次面接の内容を参考にしつつ、評価点を深掘りしたり再評価したりしましょう。

ただし、1次面接と2次面接は別の面接官が行うことを推奨します。。例えば、現場の責任者などが面接官を担当すれば、より現場目線での評価が可能となり、ミスマッチを予防しやすくなるためです。

なお、昨今はオンライン面接が普及しています。安定した通信環境の整備や応募者のリラックスを促す工夫で、より効率的かつ効果的な選考を行えます。

6.採否を決定し通知する

採用の最終段階では、評価の適切なまとめや客観的な判断が求められます。

候補者ごとの評価を比較し、最も適した人材を選定しましょう。給与条件の最終調整を行い、双方納得のいく契約となるよう交渉をします。不採用通知の対応も重要です。適切なフィードバックを提供し、企業のイメージを損なわないように細心の注意を払ってください。

内定通知は迅速に行い、応募者の不安を解消しましょう。なお承諾の確認時には、以下の項目を明確にしてください。

  • 給与や賞与の支払方法や時期
  • 時間外やその他の諸手当の有無
  • 業務内容
  • 社会保険の有無
  • 雇用の形態
  • 勤務時間
  • 勤務地
  • 異動の可能性
  • 休日や有給休暇の規定
  • 入社日
  • 契約期間
  • 退職に関する規定

7.内定者をフォローする

内定後のフォローも、人材の定着率を高める上で欠かせない要素です。入社まで定期的な連絡を行い、業務情報を提供しましょう。

例えば、以下のようなフォロー施策が挙げられます。

  • フォロー面談・懇談会
  • 内定者向け研修・勉強会
  • 社内イベント招待(忘年会・新年会・社内見学など)
  • メンター・先輩社員との交流
  • 定期的な連絡・ニュースレター
  • 配属予定部署との顔合わせ
  • 課題・レポート提出(業務や企業理解を深めるため)
  • 入社手続きの案内・サポート

アルバイト採用においても入社手続きの丁寧な案内やサポートなどを通じて、内定者とのコミュニケーションを継続すれば辞退防止が可能です。

必要書類の管理を適切に行い、入社時の手続きをスムーズにするのも大切です。正社員の場合には研修スケジュールを事前に共有し、業務への適応をサポートする体制を整えましょう。