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店舗研修とは?重要性や目的、効果的な実施方法などの基本を徹底解説!

店舗研修とは?重要性や目的、効果的な実施方法などの基本を徹底解説!

店舗を運営するために大切なことは管理や集客など、多岐に渡ります。

中でも「店舗研修」は重要度が高い業務のひとつで、店舗の売上や存続に大きく関わると言っても過言ではないでしょう。

learning BOX株式会社が行った「人材教育についての悩み」に関する調査結果を見ても、研修担当者は研修内容や研修現場において多くの悩みを抱えていることがわかります。

▼実際の社員教育や研修の現場において苦労していること

「人材教育についての悩み」

この記事では店舗研修の重要性や目的のほか、効果的な研修の実施方法などについて詳しく解説します。

店舗研修とは? 

店舗研修とは店舗で働く従業員のスキルや、知識を高めるために行う業務を指します。

個人がもっている素質や能力を引き出すために行われる「教育」とは異なり、現場で役立つスキルや知識を高めるために行うものです。

ただし研修を受ける対象者によっては、社会人の一般常識も含めた研修が行われる場合もあります。

ひと昔前まで店舗研修は自社ですべて行う傾向でしたが、最近では研修に長けた講師がいる企業に一部外注して行う店舗や企業も増えています。

店舗研修の重要性と主な目的

店舗研修は従業員満足度と顧客満足度の向上のために必要不可欠な業務です。また店舗の売上にも影響を与えるため、目的意識をもって行うことが大切です。

厚生労働省の調査によると、主に美容室を利用している人がお店を決めている理由として「行きやすさ」に次いで上位を占めているのが「技術」や「お店の雰囲気」「居心地の良さ」でした。

▼お店を決めている理由

「お店を決めている理由」

顧客が再来店したくなる、そしてスタッフが働き続けたいと思う店舗であるために大切な取り組みが「研修」です。

また店舗運営を長く続けていくためには、時代の流れやニーズに合わせた変革も忘れてはなりません。たとえば人口減少が進む日本で生き残るためには、従業員が英会話を身に着けて外国人旅行客に対応できるようにすることも大切です。

次の項で研修の重要性を店舗研修の目的と絡めてさらに深掘りし、解説します。

新規採用人材の育成

採用したばかりの人材には基本的な業務を覚えてもらい、ひとり立ちするまでのサポートをします。

研修の内容は業種ごとに異なる一方で、挨拶や整理整頓、チームワークといったどの業務にも共通するものもあります。

提供するサービスの技術や知識といった研修の前に、社会人や接客サービスの基本や基礎を教えることも新人研修において不可欠です。

美容業を例に、新人が研修で学ぶべき具体的なスキル及び業務を挙げると次のとおりです。

  • 来店されたお客様への挨拶
  • 丁寧なカウンセリング
  • お見送り、
  • 先輩美容師やエステティシャンのサポート業務開店準備や閉店作業などの雑務

昨今は、雑用のすべてが新人の仕事、という概念はなくなりつつあります。しかし店舗は基本的にシフト制で回すため、従業員の全員がすべての業務を遂行できるように研修する必要があります。

既存従業員のスキルアップ

基本業務をマスターして、すでに一人前として働ける従業員には、さらに進んだ業務を担当してもらうとよいでしょう。その際は、「スキルアップ」を目的とした研修を行います。

業種によってスキルアップの内容は異なりますが、店舗で働く人にとって必要なスキルとは販売力や接客力でしょう。さらに美容業の場合、技術力も向上すべきスキルと言えます。

美容業も含まれる生活関連サービス業は各業種の中でも離職率の高い業種です(令和3年雇用動向調査結果の概要|厚生労働省 )。離職する原因の一つとして、従業員が自分のキャリアに満足できていない点が挙げられます。 

ホットペッパービューティーアカデミーが行った「美容就業実態調査」によると、離職した理由として給与面や労働時間が上位を占める中「別の場所でキャリアを積みたかった」という理由も約15%ありました。

「離職理由」

「別の場所でキャリアを積みたかったから」の中には、離職した店舗ではキャリアを積めないと感じた人もいると推測されます。離職しなくてもスキルアップできる環境を整えることが大切です。

既存従業員のスキルアップのやり方として、外部から招いた講師の話を聞く機会を設ける方法が考えられます。さらに従業員に資格試験を受けてもらい、新しいスキルの習得を促すこともおすすめです。

外部から講師の方を招いて、話を聞くということもしています。新しい商材が出た時とか、同じような注文が入った時、それに応えるために行うことが多いですね。最近は”ヘアケアマイスター”という認定試験を受けています。日本ヘアケアマイスター協会が認定するもので、お客様の毛髪診断を正しく行い、それに対する処置やアドバイスを的確に行うことができると認定されるものなんです。

引用:モアリジョブ|Plus Lounge スタイリスト 川崎慶子さん

顧客満足度の向上

顧客満足度は、お客様の期待値をいかに上回るかで決まります。つまりお客様の期待以上の「サービス」や「商品」を提供することが重要です。

ある程度の業務をこなせるようになった従業員には、来店した顧客の満足度をさらに向上させるためのワンランク上の技術や接遇スキルを高めることを目的とした研修を行います。

株式会社ファンくるが行った「美容師の接客についての意識調査」ではカットの上手さとイメージ通りの仕上がりが最重要との結果が出ています。

また「イメージ通りの仕上がりにおいて何が最も重要だと感じますか?」の問いに関して「美容師のセンス」や「美容師の理解力」が上位に上がっています。

▼イメージ通りの仕上がりにおいて最も重要なこと

「美容師の接客についての意識調査」

施術に入る前のカウンセリングや何気ない会話から顧客のイメージ像や好みを汲み取り、求めるイメージに合った形に仕上げることが顧客を満足させ、リピートへ繋げる鍵となります。

接客対応と技術面でのクレームでした。接客面では冷たく、技術面では雑に感じたとありました。自分では精一杯やらせていただいたんですけど、クレームをいただいて、おもっているだけではお客様に伝わらないし、お客様の気持ちを考えることまでできていなかったなと反省しました。

引用:モアリジョブ|オリーブスパ セラピスト 大菅 幸奈さん

インバウンド需要への対応

観光庁がまとめたデータによると2023年の訪日外国人旅行者数は2,507万人で、コロナが明けて以降順調な回復を見せています。

「2023年訪日外国人旅行者数」

また電通が世界15の国と地域を対象に行った「ジャパンブランド調査2024」という調査では再訪したい国として、日本は2位のシンガポールを大きく引き離し1位という結果でした。他国にはない多彩なグルメや独自の文化などが世界の人々を魅了し、コロナ後のインバウンド回復につながっているようです。

さらに同調査では、6位にホスピタリティ、7位に他国にはない美意識がランクインしています。

最近ではインバウンド美容という言葉も生まれ、美容目的で訪日する人もアジア圏を中心に増加傾向です。(海外へのお客様への取組み|ホットペッパービューティーアカデミー)

そういった外国人観光客を取り込むため、英会話研修や異文化の学びを目的とした研修が求められます。大手英会話スクールECCでも販売員(接客員)向けの英語研修を法人向けにスタートしています。

また海外の人は日本人とは髪質や肌質が異なるため、技術や知識面でのアップデートも必要です。

メラニンの量や皮膚、毛髪の構造などによって使う溶剤を変える必要があり、そもそも国ごとの法律で定められた基準をクリアしたものしか使用できない場合もあります(日本でいう薬機法のようなもの)。

また欧米や欧州などの人は日本よりプロに求めるレベルが高いため、意識改革も必要でしょう。

カラー剤は日本製のものだと黒髪に合わせて作られている場合が多く、発色の仕方がどうしても変わってきてしまうんですよ。(中略)日本ではマイナーだけど海外では人気のある、そんな商品を使っています。(中略)日本では、美容師はしょせん髪を切るだけ……という風に見られることもあるのですが、海外ではプロフェッショナルとしてみてくれます。ですからこちら側にも、プロとしての提案を求めてきます。

引用:モアリジョブ|『HAYATO』COO(最高執行責任者) 鈴木太一さん

リーダー人材の育成

現場をまとめたり、管理業務を行ったりするリーダーの存在は、店舗運営に欠かせません

リーダー次第で現場の雰囲気やモチベーションは大きく変わり、売上や経営状況に影響を及ぼすこともあります。

リーダー育成の対象となる人物には自己理解を深めてもらい、自分の苦手や得意を把握した上で状況に応じた振舞いができるようになるための研修プログラムが必要です。

また部下の特性に合わせた、さまざまな対応ができる能力も鍛えていかなくてはなりません。たとえば部下や後輩に一律に同じ作業や業務をさせるのではなく、個々の能力を見極め得意を引き出してあげるのもリーダーの役目です。

POP作成やブログ更新、SNS投稿などの雑務ひとつをとっても、得意な人もいれば苦手な人もいます。業務の負荷に偏りが出てはいけませんが、可能な限り適材適所に人を配置していくことで従業員みんなが生き生きと働けるようになります。

従業員のキャリア形成

厚生労働省では職業能力評価基準で設定されているレベル1〜4をもとに、能力開発の標準的な道筋を示した「キャリアマップ」を作成しています。

「キャリアマップ|厚生労働省」

上記マップはスーパーマーケット業のキャリアマップを示したものです。厚生労働省は企業ごとにアレンジした適切な内容のキャリアマップで、キャリア形成のための人材育成を図っていくことを推奨しています。

エステティック業の場合は以下のようなキャリアマップで進めると良いでしょう。

「エステティック業キャリアマップ」

エステサロンや美容室、ネイルサロンといった美容業は単店舗型か多店舗型で目指せるキャリア形成は異なります。

多店舗型の場合、本社を別に設けて運営や予算、売上などを管理している場合が多く、キャリアマップでは店舗の現場から離れることも想定されます。

関西でリラクゼーションサロンを展開する「なごみ庵」では施術者の経験を経て、本人の希望や特性に応じて、店長やマネージャーなどの役職につけるキャリアアップ制度を充実させています。

また従業員のライフスタイルや年齢に配慮しながら、キャリアマップを考えることも大切です。なぜなら従業員のなかには、子育てや家事、介護などの負担を抱え、体力的に仕事と両立できるかどうか不安を抱えるケースがあるからです。

実際に、株式会社リクルートライフスタイルが理美容師を辞めた人に行った調査では、辞めた理由として体力面に対する不安が上位にきています。

▼理美容師を辞めた・休職した理由(アンケート回答者:現在無職)

辞めた・休職した理由

割合

体力面・健康面が厳しかった

45.6%

精神面が厳しかった

40.0%

楽しくなかった

36.8%

やりがいが感じられなかった

35.2%

労働時間が長かった

34.4%

※株式会社リクルートライフスタイルが行った調査をもとに作表

たとえば、プレーヤーとして経験を積んだ従業員は希望に応じて昇進させ、管理職として働けるようなキャリアマップを設定することも1つの手段です。管理職となり、現場から離れることで体力面の不安による離職の防止が期待できます。

家庭との両立が難しいと思われがちな美容業界ですが、オーナーが従業員のみでなく従業員の家族のことまでしっかり考えてくれますので、仕事と子育てを無理なくできています。私も管理者としてより女性スタッフが働きやすい職場にして、スタッフの人生とサロンを豊かにすることが目標のひとつです。

引用:モアリジョブ|Nail&Eyelash LeeB 山道秦さん

店舗研修の種類

主な店舗研修として、新人研修とスキルアップ研修、マネジメント研修の3つが挙げられます。各研修について、内容や対象となる従業員について具体例を交えながらわかりやすく解説します。

新人研修

新人を対象とした研修では、採用されたばかりの新人に基本的な業務を教えます。どの業種にも共通しているのは社会人としての基本的なマナーや身だしなみです。

さらに業種によって以下のような研修を新人向けに実施します。

  • 外食産業:開店準備、閉店作業、清掃、商品(メニュー)知識、お客様の案内、商品の調理・提供、仕込みなど
  • アパレル業:自社ブランドの基礎知識、コーディネートの提案など接客対応、レジ対応、商品陳列など
  • 美容業:カウンセリング、洗濯などの雑務、座学、技術研修、商品やコースメニューの販売など

どの業種においても高いレベルを要求するものではなく、基本的な業務や技術を身につけるのを目的としています。

また研修はOJTなど内部で行う研修と、外部講師や提携企業(取引先)に委託して行う外部研修があります。

スキルアップ研修

スキルアップ研修は、すでに基本的な業務を一通りこなせるようになった従業員を対象に行う研修です。

さらなる顧客満足度の向上が主な目的で、定期的なステップアップは従業員満足度にもつながります。

美容師を例にあげると、スタイリストになることを目指すアシスタント向けのスキルアップ研修では、お客様の髪をカットするためのスキルを学びます。

従業員それぞれのスキルアップには、先輩など周りの協力も欠かせません。店舗スタッフが一体となり成長していくという意識改革も必要です。

ここでは役職に関係なくスタッフ全員で掃除や後片付けに取り掛かります。なので営業が終わり次第、すぐに練習に入れるんです。今、自分が教える立場になって、アシスタントも大変だけど教えるほうも体力的にキツいことが分かりました(笑)。営業が終わって疲れているところに、よく見てもらえたなぁ…と(笑)。感謝しかありません。

引用:モアリジョブ|kakimoto arms ROPPONGI HILLS 美容師 スタイリスト 栗原 彩さん

マネジメント研修

多店舗展開する接客業や小売店などを運営する企業は、店舗と本社の機能を切り分けている場合が多い傾向です。

本社に入社した店舗管理責任者やマネージャー候補の人材には、実際の現場を知ってもらうために、店舗へ研修に行かせる場合があります。

現場の雰囲気や顧客のニーズなどを肌で感じてもらうのが目的です。

まさに大手携帯キャリアのソフトバンクモバイルが同様のことを行っています。本社で新規入社した社員はショップでの店舗研修へ参加させます。ショップの雰囲気を知り、お客様がどのようなことを望んでいるかを学ぶためだそうです。

マネジメント研修では実際の店舗で働きながら商品知識を身につけたり、接客を通して顧客像の解像度を高めたりすることができます。また部下やアルバイトのマネジメントを通してピープルマネジメントも学べます。

ピープルマネジメントとは、管理職が従業員に寄り添いながら、成果の最大化を目指すマネジメント手法です。従来のマネジメントと比べ、上司と部下の距離が近く、従業員のモチベーションを維持させやすい点が特徴です。

最近では日本の技術に商機を見出した中国企業を中心に、日本の美容技術や接客を学ぶための講師依頼が増えています。高い技術やホスピタリティ力を兼ね備えたマネージャー候補を現地へ派遣し、実践をもって育てていくのも効果的なマネジメント研修です。

先でも解説しましたが、昨今は日本の美容技術に対する期待やニーズが顕著です。海外でのマネジメント力は顧客ニーズに応えるための強い武器となるでしょう。

店舗研修の効果的な実施方法

店舗研修を効果的に実施するための3ステップについて解説します。

1.研修プログラムを設計する

研修プログラムでは研修の目的やゴール、具体的な業務マニュアルの作成を行います。従業員が研修に集中できるように、おおまかなカリキュラムも設計しておきましょう。

  • 階層別、職種別に分ける(新入社員・既存社員・役職候補/フロア・キッチンなど)
  • 現状の課題を調査、分析する
  • 目的とゴールを決める
  • 研修の方法や場所を決める(オンラインかオフラインか、店舗か研修会場か、など)
  • 講師を選定する(内部講師もしくは外部講師)
  • カリキュラムと日程を決定する

研修は店舗運営を円滑に行うために行います。過去に実施した研修プログラムをそのまま流用するのではなく、常にアップデートすることが大切です。

2.研修を実施する

作成した研修プログラムに沿って、研修を実施します。研修期間中は必ず、先輩がメンターとして被研修者をサポートするように心がけましょう。

先輩と後輩が1対1でコミュニケーションを取りながら研修をできる環境を整えると、多数に対して行うよりも細やかなことまで指導できるでしょう。受講者自身も指導してもらった内容を理解しやすくなります。

さらに先輩も後輩の変化や成長に気づけるため、苦手な点を早めにフォローできます。

高い技術を身に付けている理由は大きく2つあり、1つ目は新人の指導に力を入れているためです。研修期間は3ヵ月から半年間ほどで、その間は専属の担当スタッフがマンツーマンで接客や技術を教えます。担当制にすることで集中して学ぶことができ、指導スタッフも毎日の変化や成長に気づけるためです。

引用:モアリジョブ|まつげエクステサロン R.GRACE 表参道店 店長 河野恵さん

担当制で集中して学べる環境を整えると、新人の成長を促せるため、離職しにくくなる点もメリットです。

また研修当日には研修の目的と必要性、学んで欲しいことを再度明確にします。さらに研修中盤で振り返りを行い、進捗具合を確認しながら進めましょう。

3.研修レポートを課題とする

研修が意味あるものになったかを判断する材料にするために、受講者にはレポートを書いてもらうことをおすすめします。

研修には「4:2:4の法則」があると言われており、研修の前後の対応によって研修の効果が変わるということを示しています。

受講者自身が受け身ではなく「研修に対する明確な目的意識」や「「新しい知識やスキルを身につけたいという意欲」をもち研修を受講し、その後の活動に活かす姿勢が大切です。

研修前の「研修の目的と必要性」の再確認に加えて、レポートを通じて研修後の確認を行うことでさらに研修の効果を高めます。

研修後の提出レポートに記載してもらう主な項目は、下記のとおりです。

  • 氏名
  • 研修期間
  • 実施店舗
  • 研修で何を学んだか?どのようなことができるようになったか?
  • 目的(ゴール)に対して達成率は何%だったか?
  • 今後の業務にどのような点を活かせるか?
  • 研修を通して感じた問題点はあるか?(研修内容・会社・仕組みなど)

また上司は提出レポートと照らし合わせながら、研修を実際の業務に活かせているかを注視しましょう。

店舗研修を行う上で注意すべきポイント

これまで解説してきたものも含めながら、店舗研修を行う上でとくに注意すべきポイントについて3つ解説します。

1.研修で達成すべきゴールを明らかにする

「研修を行うこと」が目的にならないよう、研修で達成すべきゴールを明らかにしましょう。

  • 何のための研修なのか?
  • 研修をどう業務に活かしていくのか?
  • 自分は研修を通じてどう成長していくべきなのか?

目的に齟齬が生まれないよう、明確にすり合わせておくことがポイントです。とくに現場の理解が不十分な新人研修では注意が必要です。

研修側が一方的に伝えるのではなく受講者側に発言をしてもらうなど、研修の目的を理解しているかをしっかり確認しましょう。

2.研修の評価基準・内容を本人にも公開する

研修を実施する際には内容だけでなく、評価まで設計し従業員に公開しましょう。

評価設計のポイントは以下の通りです。

  • どのようなレベルになる必要があるか?
  • 研修を通じてどのような成長があれば評価されるのか?

研修前と研修後には作成した評価基準を適宜従業員に伝えます。必要に応じて、フォロー研修を実施するなどフォローアップの体制も整えましょう。

3.店舗負担や顧客体験に配慮する

研修内容によっては営業中の店舗で研修を行う必要があります。

研修を営業中の店舗で実施する際には、店舗で働く他の従業員の負担にならない(なりにくい)体制を整えておくことが大切です。

また実際に店舗に来店されたお客様対応を行う研修では、お客様が不満を抱えないように配慮しましょう。

スーパーマーケットのレジでは研修中であることを明記したり、美容室やリラクゼーションサロンでは新人価格を設定したりするケースもあります。

研修中であることがお客様に伝わるように名札などに明記すると、お客様が不満を抱えずに済みます。

店舗研修の事例

実際に行なわれている店舗研修の事例を2つ紹介します。

事例1: 自分のライフスタイルや目標に合わせて受けられる店舗研修システム

沖縄県で理美容を中心とした美容事業を行う「スウィートハンズ株式会社」では「理念とビジョンがやる気のもとになる。」をコンセプトに、人が辞めない組織作りを目指しています。

それぞれのライフステージや目的に合わせたさまざまな研修を用意し、あえて強制にしないことで自分のタイミングで成長できる環境を整えました。

事業計画や人事労務といった運営やマネジメントの知識も学べるなど、将来のビジョンを立てやすい環境が整っている企業です。

事例2:研修時間を確保し現役ネイリストがインストラクター

店舗では技術研修をスキマ時間に実施しがちです。しかし東京の人気エリアで店舗展開している「ネイル&アイラッシュTerra」では、しっかりと技術をマスターしてもらうためにも、研修のための時間を確保しています。

また現役のネイリストやアイリストとして店舗で働く経験豊富なインストラクターが、研修を担当します。

実際に現場で働くネイリストやアイリストだからこそ、現場目線での技術を伝えられます。その結果、スタッフの成長を確認しながら行き届いた指導ができるため、効率的なスキルアップが可能です。

ちなみに、『研修を最優先にして、しっかりと時間を取る』という研修スタイルはオープン当初から変わっていません。売上はもちろん大切ですが、技術研修会は良質なサービスを生むためには欠かすことができない時間です。

引用:モアリジョブ|ネイル&アイラッシュ Terra 取締役事業部長 北川亜由美さん

まとめ

本文を総括すると次のとおりです。

  • 店舗研修とは店舗で働く従業員のスキルや、知識を高めるために行う業務
  • 店舗研修は従業員満足度と顧客満足度の向上につながる
  • 目的に応じた効果的な研修を行うことが大切
  • 研修は「前」と「後」の対応で約8割が決まる

本社と店舗が分離している場合、上層部と現場との間で意識や課題に溝が生じることもあります。本社から定期的に人を派遣したり、現場からの意見を小まめに吸い上げたりするなど普段から意思疎通を図りながら、研修に取り組むことを意識しましょう。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。