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効率的に人材採用を行う方法とは?採用活動を強化するステップ、チャネルごとの特徴、企業事例をわかりやすく解説!

効率的に人材採用を行う方法とは?採用活動を強化するステップ、チャネルごとの特徴、企業事例をわかりやすく解説!

効率的に人材採用を行うには、採用活動の原理原則を理解しなければなりません。そもそも、採用活動が必要な理由がわからない人もいるでしょう。近年では、さまざまな採用方法が出てきており、どの採用方法を選べばいいのかわからない人もいるかもしれません。

「効率的に人材採用を行いたい」
「採用活動が必要な理由を知りたい」
「応募を増やす方法を知りたい」

この記事では、採用活動を行う理由や戦略的な採用活動のステップ、候補者と出会う方法とともに、チャネルごとの特徴や見立てのポイントについて事例とともに解説します。事例については美容業界を中心に紹介しますが、美容業界以外の業種でも通用する考え方や採用強化の方法を紹介します。

そもそもなぜ採用活動を行うのか

厚生労働省の調査によると、令和5年(2023年)上半期の離職率は8.7%でした。各業種の離職率は以下のとおりです。

美容業界が含まれる「生活関連サービス業、娯楽業」の離職率は、トップの15.0%となっており、入職率も20.6%とトップの数字です。このことから、美容業界は人の入れ替わりが多い業界であることが読み取れます。

人の入れ替わりが多い業界において、優秀な人材を確保するために欠かせないのが、採用活動です。ただし、人材を確保するためだけに採用活動をするのではありません。type・女の転職typeが2023年に実施した調査によると、人材を募集する背景として以下のものが挙げられました。

この結果から、採用活動を行う理由は以下の3つであるといえるでしょう。

  • 人手不足を解消するため
  • 事業課題を解決するため
  • 組織を活性化させるため

ここでは、それぞれの理由について解説します。

1.人手不足を解消するため

企業の人員は、定年やライフイベント、転職により減少していくものです。近年では、働き方改革の推進や多様性を認める文化の浸透により、働き方に対する考え方が多様化してきました。それにより、人材の流動化も高まっています。厚生労働省職業安定局の調査でも、同一企業に勤め続ける社員の割合は減少傾向にあることがわかります。

転職が珍しいものではなくなりつつある現代において、企業の事業規模を維持するためには、常態的に採用活動をすることが必要です。しかし、少子高齢化による労働人口の減少が叫ばれる現代は売り手市場となっており、優秀な人材は簡単には確保できません。

自社が求める人材を確保するためには、採用計画を立てたうえで採用活動を行う必要があるのです。

2.事業課題を解決するため

事業課題を解決するためにも、採用活動が必要です。既存の従業員だけでは、事業拡大や新規事業への取り組みは困難です。既存業務においても、課題を抱えているケースもあるでしょう。

スキルやノウハウを持った人材を確保することにより、これらの課題解決につながります。ただし、ただ求人広告を出すだけでは、自社が求める人材は確保できません。採用する目的や人物像によっては、新卒採用よりも中途採用のほうがよい場合もあるでしょう。

採用の目的と自社が求める人物像を定義し、計画的に採用活動を行うことにより、事業課題を解決できる人材を確保できます。

3.組織を活性化させるため

人員補充や課題解決以外にも、人材を採用する効果があります。同じ従業員だけで仕事を続けていた場合、マンネリ化し、新しい発想が生まれません。保守的な考え方が強まり、挑戦する文化が醸成されない可能性もあるでしょう。

新しい人材は、企業にこれまでとは異なる考え方や知識を持ち込みます。新しい考え方や知識が入ってくることにより、既存の従業員だけでは出てこなかった発想が生まれることもあるでしょう。人材採用は、組織の活性化にもつながるのです。

採用活動のステップ

採用に強い企業は、採用活動を戦略的に行っています。戦略的な採用活動における原理原則となるのが「出会う」「見立てる」「結ばれる」の3つのステップです。

本記事ではこの表現を使用して解説していくため、ここではステップごとの定義や概要について説明します。

ステップ1.候補者と出会う

「出会う」とは、候補者とコンタクトをとることを指します。自社の情報を発信し、自社に魅力を感じた人と出会わなければ、採用活動は始まりません。「出会う」は、候補者と出会うための、採用方法を選択するステップです。

採用方法には、メディアやエージェントの活用やスカウトなど、さまざまな方法があり、求める人物像や予算によって適した採用方法は異なります。自社の求める人物像を定義し、候補者と出会える可能性が高い採用方法を選択する必要があります。

ステップ2.候補者を見立てる

「見立てる」とは、自社の業務と人材用件、選考方法を連動させ、自社とマッチした人材なのかを見極めることです。出会った人が自社とマッチする人材なのかを判断できなければ、自社が求める人材を採用できません。

「見立てる」は、候補者を採用するための採用基準を決めるステップといえます。採用基準は、企業が求める人物像によって異なります。自社が求める人物像に近い人材かどうかを判断する基準を決め、判断方法を決める必要があるのです。

本記事では、採用基準を決めるための方法までは深堀しませんが、ミスマッチが多い場合の改善ポイントについては後ほど解説します。

ステップ3.候補者と結ばれる

「結ばれる」とは、他社ではなく、自社を選んでもらうことです。近年は、少子高齢化による労働人口の減少が叫ばれ、売り手市場となっています。自社とマッチした人材を見極めても、内定辞退され、人材を確保できないケースもあります。

内定辞退を回避し、自社が求める人材を確保するためにも、内定辞退を回避する取り組みを行うことが重要です。内定辞退を回避する取り組みには、魅力的な労働環境の整備のほか、定期的な懇親会の開催や定期的な連絡など、さまざまな方法があります。

本記事では、内定辞退の方法まで深堀しないものの、内定辞退を回避するためのアイデアを出すことが、候補者と結ばれるポイントとなるでしょう。

採用における候補者との出会い方

候補者が求職活動で利用している方法を利用すれば、候補者と出会う可能性が高まります。厚生労働省の調査によると、求職者が正社員になるための求職活動で利用している方法の上位5つは以下のとおりでした。

  1. インターネットの求人情報サイト:46%
  2. ハローワーク:32.3%
  3. ハローワークインターネットサービス:23.7%
  4. 民間職業紹介事業者:21.9
  5. 知り合いからの紹介:13.5

上位5つには入らなかったものの、インターネットの求人情報サイト(12.5%)スカウトサービス(11.1%)も、多く利用されています。これらの方法を利用する理由として、以下のものが挙げられています。

  • 手軽に利用することができる
  • 求人企業の詳しい情報を知ることができる
  • 求人件数が多い
  • 希望に合った求人を紹介してもらえる
  • 提供されている求人情報が信頼できる

調査結果から、候補者は手軽さや情報量、情報の正しさを条件に求職活動の方法を決めていることがわかります。採用活動における候補者の出会い方を大別すると、以下の4つに分けられます。

  • エージェント
  • リファラル
  • スカウト
  • メディア

ここでは、それぞれの出会い方について解説します。

1.エージェントを使って採用する

エージェントは、企業と求職者とのマッチングから、雇用契約成立までをサポートするサービスです。採用活動業務を代行するため、採用活動における自社の工数を削減できるほか、専門的なスキルを持った人材の採用にも有効です。エージェントが抱えている人材と自社が求める人材がマッチすれば、すぐに人材を確保できます。

ただし、エージェントを使った採用をスムーズに進めるためには、エージェントとの関係性を理解しておかなければなりません。エージェントは自社以外にも紹介先となる企業を抱えています。そのため、需要(求人件数)に対して供給(求職者数)が少ない場合、エージェントの立場が強くなり、自社に人材を紹介する優先度が下がる可能性があります。

そのような状況の場合でも自社への優先度を上げてもらうためには、エージェントが自社に協力したくなるような施策が必要です。エージェントが自社に協力したくなる要素は、以下の3つに分けられ、それぞれの具体的な要件は以下のとおりです。

クロージングのしやすさ

  • 合格ラインが高くないか
  • 必要な情報をエージェント提供しているか
  • 口説きに使える資料があるか

スピード

  • 選考結果は早く伝えているか
  • 面接の日程を調整しやすいか
  • 問い合わせに迅速に対応しているか

リトライ

  • エージェントからアドバイスを聴く姿勢があるか
  • 改善に必要な情報をエージェントに提供しているか
  • エージェントと話し合う場を定期的に設けているか

上記以外にも、紹介料率やエージェントへの感謝も挙げられます。これらの要件を意識することにより、エージェントのモチベーションが上がり、自社に協力的になるのです。

2.リファラルで採用する

リファラル採用とは、自社の従業員に知人や元同僚などを紹介してもらう採用手法です。リファラル採用は、マッチング率の高さや採用費の抑制といったメリットがある反面、人数の限界や採用しなかった場合の紹介者との関係性悪化などのデメリットが存在します。

リファラル採用を増やすには、以下のような取り組みが必要です。

協力社員数を増やす

  • 全社集会や社内報、部門長からの呼びかけなどにより制度を周知徹底する
  • 社内報や掲示板で進捗状況や成果を共有する
  • 紹介インセンティブを提供または増加する

1人あたりの紹介数を増やす

  • 候補者との飲食費の支給といった活動しやすくなる制度を作る
  • 会社の魅力を紹介しやすい資料やトークを準備する
  • 候補者は全員面接を実施するといった紹介者に対する安心感を高める制度にする

合格率や応諾率を高める

  • 社内向けの求人要件を作成し、要件への理解を深めてもらう

ただし、従業員に「自社は知人には勧められない」と思われていた場合、どんなに制度を整備しても意味がありません。従業員が「知人を誘いたい」「一緒に働きたい」と思うような会社にすることが1番の施策といえるでしょう。

3.スカウトで採用する

スカウト採用には「個別スカウト」と「一斉スカウト」があります。個別スカウトは、一人ひとりの経歴を確認し、ひとりずつ文面を考えてスカウトメールを送ります。個別スカウトで魅力あるメッセージを作成するためには、以下の要素を盛り込むことがポイントです。

  • 個別感
  • 見てくれている感
  • 期待する理由

一方、一斉スカウトでは採用ターゲットのパーソナリティを想定したうえで「温度感」と「事実やデータ」を盛り込む必要があります。万人受けするものではなく、採用ターゲットが「自分に向けて発信されている・自分が活躍できそう」と思えるような文章で採用ターゲットの心に訴えかけましょう。

事実やデータには、募集部門の平均年齢や具体的な業務内容、業務における現状の課題などを記載します。事実やデータを記載することにより、具体的なイメージが伝えられるでしょう。

4.メディア経由で採用する

メディア経由で候補者と出会う方法もあります。メディアには、リクナビやマイナビをはじめとした求人サイトや自社採用ページのほか、人事ブログやSNS、イベントなどのチャネルが挙げられます。適したチャネルは採用ターゲットや予算によって異なるため、各チャネルの特徴を理解しておくことが必要です。

この記事では、メディア経由で採用する際のポイントや各チャネルの特徴について深堀りしていきます。

メディアを通した採用に大切な3つのAとは

メディア経由での採用に大切な要素として「3つのA」が挙げられます。

参考:青田努「採用に強い会社は何をしているか」

採用ターゲットに近い人材と出会えていないのであれば、この「3つのA」の中で改善することがないかを考える必要があります。

届けるべき人に届ける(Attention)

届けるべき人に求人情報が届かなければ、候補者と出会えません。採用ターゲットに自社の求人を届けるには、各メディアの特徴を理解し、適したアプローチをする必要がありますチャネルには「採用に特化したチャネル」と「一般的なチャネル」が存在します。

採用に特化したチャネル

一般的なチャネル

  • 求人サイト・アプリ
  • 自社採用ページ
  • オウンドメディア・人事ブログ
  • イベント
  • 採用パンフレット・冊子
  • 企業SNS/個人SNS
  • WEB広告
  • マス広告
  • 交通広告・屋外広告
  • 業界紙・業界向けメディア

各チャネルの特徴については、後ほど詳しく紹介します。

ターゲットを「振り向かせる」ことも大切です。採用活動では、自社が求める人材ではない人から応募がくることは珍しいことではありません。人材要件にマッチしない人材を動かしてしまっていることは、候補者側と企業側の双方にとっても望ましいことではないでしょう。

採用において、ターゲットを振り向かせるには、以下の3つのパターンに該当するワードを求人広告に記載することが大切です。

経験で振り向かせる:「〇〇経験をお持ちの方」「ターゲット界隈のあるあるネタ」

欲求・悩みで振り向かせる:「〇〇を求めている方」「〇〇でお悩みの方」

共感で振り向かせる:「〇〇ではないですか?」

また、人に伝えたくなる仕組みを作ることも大切です。「役に立つ」「面白い」価値が入った求人広告を作成すれば、意図的に情報拡散を狙えます。最初からバズを狙うのではなく、自社なりに発信できるものを考え、反響を確認しながら進めていくとよいでしょう。

惹きつける(Attract)

求人広告は、採用ターゲットを惹きつけるものであることが重要です。例えば「新規事業の立ち上げメンバーを募集!」のような求人広告のタイトルは、自社の都合を示している無難なものです。ターゲットを惹きつけるには至らないでしょう。

多摩信用金庫が過去に出していた「ぜったい世界にはばたかないたましん。」は「海外勤務がない」というベネフィットを示せています。そのため「国内で働きたい」と考えている人からの関心を引けるはずです。

例えば以下のユニクロのように、ベネフィットを証明する事実を伝えることも大切です。

ファーストリテイリング(ユニクロ)

2014年の新卒採用ページでグレード別の給与額と年齢を公開し、実力主義を掲げていることを事実として示しています。ベネフィットとエビデンスをセットで提供することにより、ベネフィットの信憑性を高められるのです。

また、優秀な人材を獲得するには、競合との差別化も必要です。差別化を図るには、他社の情報を把握し、自社の強みとなる魅力を見出します。しかし、他社に対して強みとなるものが見つからない場合もあるでしょう。

その場合は、魅力となるものを作ったり、採用スタンスを変えたりする必要があります。例えば、リクルートは優秀な理系人材を獲得するため、1987年に10億円以上のスーパーコンピューターを購入し、差別化要素を作りました。

このような極端な方法をとれない場合は、オウンドメディアで事業や社内の様子を継続的に発信するだけでも、差別化につながります。些細なことから情報を発信し、反響やアクセス状況を見ながら発信内容を見直していくとよいでしょう。

応募しやすくする(Apply)

応募してもらうためには、応募に至るまでのハードルを考慮した施策をすることも大切です。候補者が、仕事内容や職場環境で不安を感じ、応募を躊躇してしまうケースがあります。候補者に応募まで踏み切ってもらうためにも、不安を想定し、先回りしておく必要があります。

例えば、ニトリは商品開発から製造、物流、販売を一貫して手掛けている企業です。商品開発には興味を持ってもらえる一方、店舗での販売業務の人気は高くありません。店舗勤務に限定されたキャリアになることを不安視している人もいるかもしれません。

ニトリは、そのような不安を想定し、さまざまな業務に携わる「配転教育」についての説明を自社サイトやセミナーで実施しています。ほかにも、合同企業説明会で配布される持ち帰り用の袋のデザインを、キャリア選択の多様さを表したものにすることにより、不安払拭に努めています。

応募を歓迎しているムード「ウェルカム感」を出すことも、候補者の不安払拭につながる施策です。社員と食事をしながらカジュアルな雰囲気で話せる「ミートアップ」の開催や、採用活動の様子の公開は、採用に前向きな会社であることのアピールにつながるでしょう。

見落としがちなのが、応募までの作業負荷です。エントリーや応募に至るまでの工程や作業量が多い場合、エントリーや応募を完了する前に離脱してしまうケースがあります。三幸製菓は「日本一短いエントリーシート」として、以下の2つの質問のみに絞ってエントリーを受け入れました。

また、ライフネット生命は、あえて作業負荷をかけることにより、本気度の高い人のみに募集を抑える施策を講じています。応募に至るまでの行動心理を意識した施策を考慮することが大切です。

候補者と出会うチャネル10選 その特徴と向き不向きとは?

メディア経由での採用方法には、さまざまなチャネルがあり、それぞれの特徴や向き不向きの企業を理解することにより、自社に適したチャネルを選択できます。ここでは、それぞれのチャネルについて解説します。

1.求人サイト・アプリ

採用活動に慣れていない企業は「総合型」しか利用していないケースがありますが、求人サイト・アプリのチャネルには、以下のようにさまざまな媒体が存在します。

媒体

特徴

主な媒体

総合型

  • 会員数が多く、幅広い業界や地域に対応している
  • リクナビ
  • マイナビ
  • リクナビNEXT
  • マイナビ転職
  • doda

ハイクラス向け

  • 即戦力となる人材や高年収層向けの媒体
  • 「総合型」を利用していないユーザーが利用している
  • ビズリーチ
  • リクルートダイレクトスカウト
  • AMBI
  • ワンキャリア
  • 外資就活ドットコム

ビジネスSNS

  • 投稿で自社の魅力をアピールできる
  • 有料契約すれば、候補者データベースの検索やスカウト機能の利用も可能
  • Wantedly
  • LinkedIn

WEBサービスからの発展型

  • WEBサービスから求人広告サービスが発展したもの
  • 元々のWEBサービスを利用していた層と出会える
  • ジョブオファー
  • LINEキャリア
  • LINEバイト

これら以外にも、逆求人型就活サイト「OfferBox」や副業・転職人材のリファラル採用プラットフォーム「YOU TRUST」など、多くの媒体が生まれています。これらのサービスの中から、自社に適した媒体を選ぶには、以下の8つの情報を整理し、比較検討することがポイントです。

  1. サービスを利用した際に採用が見込める人数
  2. 採用が見込める人数の根拠(計算式)
  3. 想定ターゲット
  4. 想定ターゲットの応募を喚起させるコミュニケーション設計
  5. 掲載期間
  6. 総額および採用単価
  7. 提案いただいたプランにおける商品構成
  8. 自社のタスクと進行スケジュール

美容・ヘルスケア専門の求人サイト「リジョブ」は、業界特化型メディア最⼤級の登録者数・案件数を誇る求人サイトです。経験者や資格保有者の比率も高く、美容・ヘルスケア業界に従事したい求職者の集客力を強みとしています。東京都⽬⿊区で美容師5名を募集した事例では、22名の応募を集め5名の採用に成功し、ひとり当たりの採用単価は173,910円でした。

この事例のように、業界に特化した媒体を選ぶことにより、採用ターゲットに出会える確率も高まります。採用ターゲットと出会う機会を失わないためにも、採用ポジションや自社のネームバリュー、予算、工数などを踏まえて比較検討することが大切です。

2.自社採用ページ

自社サイト内に、採用ページを設置している企業もあるでしょう。自社採用ページのスタンダードな構成は以下のとおりです。

  • 企業紹介
  • 事業説明
  • サービス紹介
  • 仕事紹介
  • 社員紹介
  • 採用担当者からのメッセージ
  • 採用データ

これらの情報を設けたうえで忘れてはならないのが、自社が困っていることや成し遂げたいことを踏まえたうえでひと手間加えることです。sky株式会社は、先輩社員が質問に答えるインスタ生配信ライブを実施することにより、候補者が欲しい情報を届けられる仕組みを構築しています。

差別化できる自由なコンテンツを作れることは、自社サイトならではです。候補者が欲しい情報を想像し、伝える手段を考えましょう。

3.オウンドメディア・人事ブログ

オウンドメディア・人事ブログは、ストック型の情報提供のため、情報を蓄積してこそ価値があるものになります。採用ターゲットに向けた情報を継続的に発信することにより、候補者がキャリチェンジを思い立った際に自社を想起してもらえます。

また、候補者は応募前よりも内定後に熱心に情報収集する傾向があるため、情報を継続的に発信することは、採用活動だけでなく内定辞退の防止にもつながるでしょう。

例えば、リジョブの 採用サイトでは、各部門や職種の情報を継続的に発信しています。多くの社員のインタビューも掲載されており、社員の人柄や働き方が伺えるようなコンテンツになっています。

4.イベント

イベントは、WEBや紙面では伝わりにくい雰囲気や人柄といったリアルな情報を伝えられます。イベントには、自社開催イベントと合同イベントがあります。

イベントの種類

特徴

主なイベント

自社開催イベント

  • 趣向を凝らした独自のイベントを開催できる
  • ゲーム形式のイベント
  • ミートアップ

合同イベント

  • 単独開催では集客できない企業でも、候補者の視界に入る
  • ネームバリューの格差がブースの集客数で可視化される
  • 採用系メディア主催の出店型イベント
  • 合同企業説明会

キャリア採用では、社員と食事をしながら話せるミートアップを開催する企業が増えています。ただし、採用ターゲットにマッチしない人材が多い場合、採用にはつながりません。対象やテーマを小分けにしたり、条件を設けてマッチ度が高い人材に参加してもらったりといった、リスクを抑えられる工夫が必要です。

合同イベントは、知名度が低い企業が無策で参加しても多くの実りは得られません。候補者の興味を引くためには、以下の5つのCを工夫することが大切です。

Curiosity:興味や関心を引くような仕掛けはあるか
Character:親しみやすさはあるか
Color:ブースの装飾や色味は候補者の目を引くものか
Call:候補者に呼びかけているか
Cautiousness:しつこすぎたり、意気込みすぎたりして警戒心を高めていないか

コロナ禍では、リアルイベントの開催が制限されており、一方的な情報提供がメインとなるケースもありました。しかし、コロナ禍が明けた現在では、対面でのイベントが開催できます。一方的な情報提供ではなく、候補者とコミュニケーションをとれるような、オンラインイベントにはない価値を提供することを意識しましょう。

5.企業SNS/個人SNS

採用チャネルにSNSを利用するケースもあります。SNSは採用広報を目的として小さな情報を多くの人に発信できるチャネルです。しかし、企業として運用しているはずのSNSが、担当者に任せきりになってしまうケースは珍しくありません。

企業としてSNSに取り組むのであれば、1人の担当者に任せるのではなく、チームとして継続的に取り組むことが大切です。

アースホールディングスでは、採用専用のInstagramアカウントを運用しており、イベント開催の連絡やスタッフ紹介のほか、面接の心構えといった就活に関する情報を発信しています。チームとしてアカウントを運用している好事例といえるでしょう。

また、従業員が個人アカウントで自社の採用情報を発信したり、自分の仕事を紹介したりするケースもあります。個人SNSはリアルな情報を公開できる半面、軽率な発言による炎上リスクや、企業に悪影響を及ぼすケースは珍しくありません。

そのため、個人SNSでの投稿内容を制限する企業も存在します。個人SNSを許可する場合は、SNSのリテラシー教育をしたうえで、従業員を信じて任せられるかどうかがポイントとなるでしょう。

6.WEB広告

採用ターゲットにアプローチできる方法には、WEB広告も挙げられます。WEBマーケティングの技術は進歩しており、採用ターゲットの属性に対して広告を配信できるようになってきました。

Facebookに表示される広告もターゲットの絞り込みができ、年齢や地域以外にも、関心のある分野をもとに配信できるようになっています。自社採用ページとセットで活用すれば、求人サイトへの掲載よりもコストをかけずに応募を集められる可能性もあるでしょう。

ターゲットを絞り込める分、分析や効果検証がしやすい点もメリットです。ただし、他のチャネルと比べて伝えられる情報量が少ないため、キーワードの選定やバナーや広告の文章などの表現の重要性は高まります。他のチャネルでは効果が表れないのであれば、WEB広告を試してみるものひとつです。

7.マス広告

テレビ広告やラジオ広告、新聞広告、雑誌広告といったマス広告は、求人広告に必要な「メッセージ」を幅広く伝えられる手段です。メルカリは、2017年に日本経済新聞で15段の求人広告を掲載し、話題になりました。

イメージカラーである赤を基調とした広告でインパクトを出すとともに「世界にはみ出す人、求む。」というキャッチコピーが、同社の魅力をわかりやすく伝えています。

マス広告は幅広い層にアプローチできるチャネルです。しかし、新聞広告ナビによると、日本経済新聞の全国版の記事内への広告掲載費用は52.9万円と高額です。そのため、予算や費用対効果を十分に検討したうえで利用する必要があります。

8.交通広告・屋外広告

交通広告・屋外広告は、ターゲットに合わせた場所に設置することにより、候補者にアプローチできるチャネルです。特に交通広告は、新卒採用であれなターゲットとなる学生が多く在籍しているであろう大学の最寄り駅に設置すれば、効果が高まります。キャリア採用であれば、ターゲット人材が多くいるであろう企業の通勤沿線に設置すれば、効果的でしょう。

トヨタ自動車は、南武線沿線の企業や研究所に勤務するITエンジニアや研究者をターゲットとして、2017年にJR南武線10駅に広告を設置しました。この広告は、南武線沿線の採用ターゲットからの認知度が上がっただけでなく、インパクトのある広告がSNSで拡散され話題になりました。それにより南武線沿線以外の採用ターゲットからの認知を高めることにも成功しています。

この事例は、場所を限定すると思われがちな交通広告や屋外広告でも、広告の見せ方によってはオンラインとの連動により、広告範囲の拡大ができることを示した事例といえるでしょう。

9.業界誌・業界向けメディアへの広告出稿

業界誌・業界向けメディアへの広告出稿は、業種や職種を限定したうえで潜在層にもアプローチできるチャネルです。キャリア採用の場合、採用ターゲットに近い人材が転職活動をしているとは限りません。しかし、きっかけさえあれば転職に動く「潜在層」が存在している可能性があります。

求人サイトに登録しているユーザーやイベントに参加しているユーザーの多くは、転職活動を始めている「顕在層」であり、これらのチャネルで潜在層を見つけることは困難です。潜在層と出会うためには、潜在層が利用している媒体に対して広告を出稿する必要があります。

例えば専門職であれば、日常的に業界誌や業界向けメディアに目を通している可能性があるでしょう。それに対して広告を出稿すれば、潜在層に対して転職を考えてもらうきっかけになるかもしれません。業界誌・業界向けメディアへの広告出稿は、潜在層を顕在化させる手段のひとつといえるでしょう。

10.採用パンフレット・冊子・ノベルティ

採用パンフレット・冊子・ノベルティも候補者と出会えるチャネルのひとつです。しかし、オンラインでの情報発信が浸透している現代では、オンラインと同じ情報を発信しても思うような効果は得られなくなってきました。

情報を伝えるだけでなく、企業の理念やビジョンを示し、世界観に引き込まれるような「作品」を作ることを意識する必要があります。ノベルティであれば、魅力ある贈り物として人に紹介したくなるようなものでなければ、採用にはつながらないでしょう。

ただし、オンラインでの情報発信が浸透しても、紙やモノの価値がなくなったわけではありません。「触れる」「所有できる」という特性を活かし、採用ターゲットの心をつかめば、競合との差別化ができる有効なツールになります。

AXY GROUPは、入社後の様子や業務内容だけでなく、教育内カリキュラムを掲載することにより、教育に力を入れていることを伝える採用パンフレットを作りました。強みとなる情報を掲載することで、差別化を図った事例といえるでしょう。

ミスマッチを減らす見立てのポイント

候補者と出会うチャネルを見つけたら、次は選考、つまり見立てを行います。厚生労働省の調査によると、過去5年の離職率は8.1~9.1%で推移していました。これは、約10人に1人が離職していることを表しています。

また、入職率から離職率を引いた「入職超過率」は、0~1%でした。この結果から、採用した人材とミスマッチが発生していたケースが多いことが読み取れます。ミスマッチを減らすには、次から説明するポイントを抑える必要があります。

ポイント1.人材要件を正しく定義する

採用活動は「人材要件」を決めることから始まります。採用したい職種から逆算し、パーソナリティや経験・専門性などを整理し、人材用件を定義しましょう。ただし、人材要件が粗かったり間違っていたりすると、適した人材を採用できず、ミスマッチが発生します。

例えば「コミュニケーション能力が高い人」という設定の場合、人によってコミュニケーション能力の定義が異なるため、同じ候補者を見ても評価が分かれてしまいます。このような状況を防ぐためにも、具体的に人材用件を定義しなければなりません。

そのためには、人材要件を業務・カルチャーや期待行動と連動させる必要があります。例えば、美容業界のサロンスタッフを募集するのであれば、以下のように定義します。

業務・カルチャー

人材要件

期待行動

  • サロンスタッフ
  • お客様と話す機会が多い
  • 美容が好き
  • 技術や知識をインプットし続けられる
  • コミュニケーション能力(意図を察する力・傾聴力)
  • 業界のトレンドにアンテナを張っている
  • 一方的に話しかけるのではなく、相手の話を聞いたうえで会話する

ポイント2.選考方法は人材要件に適したものを選ぶ

選考方法は、人材要件や期待行動と連動させたうえで適したものを選びます。人材要件によっては、面接だけでは見極められないものもあるでしょう。そのため、面接に偏重しすぎないように選考方法を考えることがポイントです。例えば前述した人材要件であれば、選考方法は以下のように考えるとよいでしょう。

業務・カルチャー

人材要件

期待行動

選考方法

  • サロンスタッフ
  • お客様と話す機会が多い
  • 美容が好き
  • 技術や知識をインプットし続けられる
  • コミュニケーション能力(意図を察する力・傾聴力)
  • 業界のトレンドにアンテナを張っている
  • 一方的に話しかけるのではなく、相手の話を聞いたうえで会話する
  1. 職務経歴書で保有資格を確認する
  2. 期待行動について面接で確認する

また、面接を効果的なものにするには、以下のプロセスに沿って進めることが大切です。

  1. 事前:履歴書や職務経歴書を読み込む
  2. 前半:面接モードにならないように面接を始める
  3. 後半:解釈を相手に伝え、誤解の払拭やすり合わせを行う
  4. 事後:面接結果を前後の面接官とすり合わせる

組織として統一した面接シートを活用すれば、組織のノウハウが蓄積できるでしょう。

ポイント3.選考担当者を適切に選定する

選考担当者を適切に選定することも、ミスマッチの防止につながります。主観だけで判断してしまうような人材が選考担当者になった場合、採用ターゲットとは異なる人材を採用してしまったり、面接で候補者の情報を引き出せなかったりする可能性があります。そのため、選考担当者を選定する際は、以下の素養を持った人材であるかを確認しなければなりません。

素養

概要

言葉をうまく使える

  • 知りたい情報を話してくれるように導き出せる
  • 曖昧な言葉を的確に言い表せる
  • 言葉を記録して伝えられる

自己開示できる

  • 候補者に本音を話してもらうために自己開示できる

疑問が湧く

  • 候補者に関心を持ち、深堀りする質問が出てくる

バイアスに負けない

  • バイアスの存在を認識できる
  • データをもとに判断できる
  • 経験を積んでも謙虚さを持っている

質問をチューニングできる

  • 決まった質問でも、状況に応じた表現で質問できる

ここまでのポイントを押さえられれば、採用活動が成功する可能性が上がるでしょう。

まとめ

戦略的な採用活動の原理原則となるのは「出会う」「見立てる」「結ばれる」の3つのステップです。候補者との出会い方には、エージェントやリファラル、スカウトといったものがあり、近年ではメディア経由で出会うことが一般的になってきました。

メディア経由での採用に大切なことは、以下の3つのAです。

  • Attention:届けるべき人に届ける施策
  • Attract:惹きつける施策
  • Apply:応募しやすくする施策

メディア経由での採用方法には、さまざまなチャネルがあります。それぞれの特徴を理解することにより、自社に適したチャネルを選択できます。ミスマッチを減らすための見立てのポイントは、以下の3つです。

  • 人材要件を正しく定義する
  • 選考方法は人材要件に適したものを選ぶ
  • 選考担当者を適切に選定する

戦略的な採用活動の原理原則を理解し、自社に適した方法で採用活動に取り組みましょう。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。