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人材育成マネジメントとは?成功させる5つの心構えや事例を紹介!

人材育成マネジメントとは?成功させる5つの心構えや事例を紹介!

  1. 人材育成におけるマネジメントとは
    1. 人材育成におけるマネジメントの役割
    2. 日本における人材育成の現状
  2. 人材育成マネジメントを行うべき理由・メリット
    1. 1.社員のモチベーションと定着率の向上
    2. 2.組織文化の強化と価値観の共有
    3. 3.イノベーションの促進
    4. 4.リーダーシップの向上
    5. 5.組織の競争力向上
  3. 人材育成に必要なスキル
    1. マネジメントスキル
    2. フィードバック・コーチングスキル
    3. コミュニケーションスキル
    4. ロジカルシンキング
    5. クリティカルシンキング
    6. クリエイティブシンキング
  4. 人材育成マネジメントを成功させる5つの心構え
    1. 1.主体的な学びを促進するサポートをするべし
    2. 2.既にある知識・経験と結びつけるべし
    3. 3.学習者の立場・職位・役職で課題を捉えるべし
    4. 4.実践的かつ即時に活用可能な知識を提供するべし
    5. 5.内発的動機付けを行うべし
  5. 新入社員育成のポイント
    1. ポイント1:基礎的な知識や技術をOJTで実践的に学ぶ
    2. ポイント2:学習者の立場に応じて興味のある学習内容に微調整する
    3. ポイント3:学習者の過去の経験に基づいて新しい学びを提供する
  6. 中堅社員育成のポイント
    1. ポイント1:実践的な方法で部下の育成を学んでいく
    2. ポイント2:さらに自ら考え抜く力を過去の経験を活かしてサポートする
    3. ポイント3:将来のキャリアについて再確認
  7. 管理職(マネージャー)育成のポイント
    1. ポイント1:コミュニケーションスキルを強化するのは最も大事なポイント
    2. ポイント2:目標達成に向けて部下のモチベーションを高められるスキルを高める
    3. ポイント3:進捗管理能力を高めて目標達成をスムーズに進めていく
  8. 人材育成マネジメントの成功事例3選
    1. 株式会社ファーストリテイリング
    2. 株式会社リクルートホールディングス
    3. 株式会社AB&Company

あらゆる業界で人材育成の重要性が高まる中、部下の育成に課題を抱える企業も少なくありません。

株式会社EdWorksの調査によると、管理職の32.2%が「どう育成して良いかわからない」と悩んでおり、約3人に1人が人材育成に課題を感じています。

本記事では、「人材育成マネジメントを成功させる5つの心構え」や成功事例を通じて、企業成長に欠かせない人材育成のポイントと実践的なスキルを紹介します。

部下の環境やキャリア段階に応じた育成方法を知りたい人や、効率よく部下を成長させたいと考える場合は、ぜひ参考にしてください。

人材育成におけるマネジメントとは

人材育成におけるマネジメントとは、組織やチームの目標を達成するために、社員やメンバー一人ひとりの成長を促進し、能力を最大限に引き出すための管理や指導を行うプロセスです。

企業の成長を支える重要な投資であり、長期的に課題解決を図るための施策として位置づけられます。

特に近年の人手不足が拡大する状況において、人材育成マネジメントの活用は、効率的な人員確保につながります。

しかし、人材育成マネジメントの具体的な内容を知らない人も多いかもしれません。

まずはその役割と、日本における人材育成の現状について理解を深めていきましょう。

人材育成におけるマネジメントの役割

人材育成におけるマネジメントの役割は、社員の成長を通じて企業全体の目標達成を支援し、組織としてのパフォーマンスを高めるところにあります。

人材不足が課題とされる現代では、限られた人材の力を最大限に引き出し、組織を長期的に成長させるためには、人材育成を目的とした適切な管理体制が必要です。

人材育成マネジメントでは、社員を重要な投資対象と見なして長期的に取り組む点が大きな特徴といえるでしょう。

うまく機能すると、社内で理想の人材が継続的に育つことで人材採用を最小限に抑えられるため、会社が安定的に成長できるようになります。

日本における人材育成の現状

日本における人材育成や能力開発には、多くの課題が存在します。

厚生労働省の「能力開発基本調査」によれば、79.8%の事業所が人材育成に関して何らかの問題を抱えており、企業が直面する人材育成の課題は、いまだ深刻な状況にあります。

過去5年間のデータを見ても、この割合は増加傾向にあり、人材育成マネジメントの重要性が一層高まっているといえるでしょう。

調査年度

人材育成に関する問題がある事業所の割合

令和元年度

76.5%

令和2年度

75.0%

令和3年度

76.4%

令和4年度

80.2%

令和5年度

79.8%

たとえば美容業界では、まつ毛エクステンションに関わる健康被害の相談が国民生活センターに寄せられています。厚生労働省が発表した以下の情報を確認しても、業界全体で安全性向上が大きな課題となっている点がわかります。

年度

まつ毛エクステンションによる健康被害を含む保健所等への相談件数

平成29年度

143件(美容師68件、資格なし51件、資格不明24件)

平成30年度

83件(美容師33件、資格なし25件、資格不明25件)

令和元年度

105件(美容師48件、資格なし34件、資格不明23件)

令和2年度

49件(美容師23件、資格なし13件、資格不明13件)

令和3年度

40件(美容師22件、資格なし12件、資格不明6件)

こうした状況を踏まえ、厚生労働省は美容師養成施設と現場の連携を強化し、まつ毛エクステンションの教育についても各施設に周知を促している状況です。

施術の安全性を高めるためにも、美容業界では人材育成の強化が欠かせません。

人材育成マネジメントを行うべき理由・メリット

人材育成マネジメントを行う理由やメリットは、主に5つあります。これらの中に1つでも魅力を感じるなら、人材育成マネジメントの導入は有益と言えるでしょう。

1.社員のモチベーションと定着率の向上

適切な人材育成マネジメントが実施されている環境では、社員が必要な知識やスキルを早く確実に身につけられるため、仕事へのモチベーションを保ちやすくなります。

結果として、定着率が向上し、離職による人材不足も軽減されるでしょう。

dodaがネットリサーチ会社を利用して行ったインターネット調査では、転職理由として「社員を育てる環境がない」と回答した割合が21.2%に上り、5人に1人以上が人材育成の不備を理由に転職していると明らかにしています。

社員が成長できる環境を整え、モチベーションを維持しやすい体制を構築できれば、安定した組織づくりも夢ではありません。

2.組織文化の強化と価値観の共有

適切な人材育成マネジメントは、組織文化を強化し、企業の価値観や理念の共有に大きく貢献します。

人材育成は、企業のビジョンや戦略に基づいて行われるため、社員にとって組織の目指す方向や目的が自然と理解しやすくなる点も、会社としては大きなメリットといえるでしょう。

人材育成マネジメントを行う際には、まずビジョンや戦略を明確に定めてください。

こうした基本方針がしっかりしていると、育成のプロセスで企業文化が浸透し、社員が同じ価値観を共有できるようになります。

3.イノベーションの促進

人材育成マネジメントを正しく実施できた場合は、新しい発想や取り組みの推進にも大きく貢献できます。

社員に継続的な学習や成長の機会を提供すると、創造性や問題解決能力が向上し、新たなアイデアや改善提案が生まれやすくなります。

こうした環境は、日々の業務で生じるトラブルへの対応力を高め、組織全体をより柔軟に成長させることができます。

企業が長期的に発展するためには、革新的な発想を持つ社員の育成が欠かせません。人材育成マネジメントは、長期的に会社を続けるための重要な要素のひとつといえます。

4.リーダーシップの向上

人材育成マネジメントには、リーダーシップ向上に必要な多くのスキルが含まれており、指導を担う社員自身の成長を後押しする役割も果たします。

リーダーに求められる能力として具体的には、マネジメント能力や適切にフィードバックする力、指導力、さらにはコミュニケーションスキルなどが挙げられます。

リーダーシップに課題を抱える企業であっても、これらのスキルを身につけることで組織力の向上が期待できます。

5.組織の競争力向上

人材育成マネジメントを通じて、上記で紹介したスキルや要素が組織内で定着すると、結果的に組織全体の力が強まり、競争力の向上が期待できます。

人材育成マネジメントは「人を活かし、短期・長期の組織パフォーマンスを高めること」を目的とするため、業績向上にも直結する取り組みです。

こうして組織の力が育まれ、環境に左右されにくい強さが定着できれば、他社との競争にも有利に立てるでしょう。

人材育成に必要なスキル

人財育成に必要なスキルを、6つ紹介します。

これらのスキルが必要な理由や、身につける方法といった具体的な内容となっていますので、人材育成に悩んでいる場合は参考にしてください。

マネジメントスキル

効率的にマネジメントスキルを身につける方法の一つとして、OJTが有効です。OJT(On-the-Job Training)とは、職場で実際の業務を通じて行われる教育訓練のことを指します。新入や若手の社員が、上司や先輩の指導のもと、実務を経験しながら必要な知識やスキルを習得します。

指導者側からすると育成計画に沿った指導が求められるため、計画実行力の向上が期待できます。指導者として経験が少ない場合は、OJTトレーナー向けの研修を通じて、より実践的なマネジメント力を磨けるでしょう。

人材育成の現場では、単に計画を立てるだけでなく、計画通りに実行していく力が欠かせません。この実行力がなければ育成計画は形だけになってしまうため、目標管理や進捗管理といったスキルが特に求められます。

フィードバック・コーチングスキル

フィードバックやコーチングのスキルは、人材育成のマネジメントにおいて重要なスキルです。

フィードバックスキルでは、結果に対して改善策を提示し、客観的に指摘できる力が求められます。一方、コーチングスキルでは、相手の話をしっかりと聞き、効果的な質問で気付きを促し、自主的な行動を引き出すことが重要です。

こうしたスキルを駆使できれば、社員が自身の現状を把握し、成長のための具体的なステップを見つけやすくなります。

このスキルを身につけるためには、フィードバックやコーチングに特化した研修に参加し、実践的なロールプレイングで経験を積みましょう。

コミュニケーションスキル

コミュニケーションスキルを高めると、社員が話しやすい雰囲気を作ったり、相手の意図を正確に理解できたりするため、指導者と社員との間で信頼関係を築きやすくなります。

また、自分の考えをわかりやすく伝える力も必要です。特に、指導後にフォローする場合は、社員のモチベーションを維持しつつ、やんわりとしたフィードバックを行いましょう。

スキル向上には研修でのロールプレイングが効果的で、実生活でも意識的に会話を積み重ねてください。

高いスキルがあれば育成が計画通りに進みますが、不足していると信頼関係が築けず、離職につながるケースもあります。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングは、論理的な思考を身につけることで、問題解決や的確な指導に役立つ重要なスキルです。

この能力が高まると、人材育成中に発生する問題やトラブルの解決法を順序立てて考えられるため、根拠に基づいた説得力のあるアドバイスができるようになります。

このスキルを身につけるためには、ロジカルシンキングに関する研修やセミナーを受け、OJTを通して実践を積んでいきましょう。

例えば、社員の成長が計画通り進まない場合、ロジカルシンキングができている人はデータに基づいた質問やアドバイスができるため、相手の理解が深まりやすく、社員も成長しやすくなります。

一方、このスキルが不足していると感情的な指導になりがちです。結果的に社員のモチベーションを下げてしまい、成長にブレーキをかける原因にもなりかねません。

クリティカルシンキング

クリティカルシンキングは、物事を疑いながら問題解決を進める思考法です。このスキルを使うと、自分と相手の認識のズレや育成中の違和感に気付きやすくなり、柔軟にアプローチを変えながら人材育成を進められます。

画一的な指導方法では、社員によってはストレスが増し、成長が滞ることもあります。そこで、クリティカルシンキングを活用すれば、個々に適した教育方法を検討しやすくなり、育成がスムーズになるのです。

このスキルを身につけるには、はじめに理論を学び、日常業務で「これでよいのか?」と問い続ける習慣をつけることが重要です。思考を深める練習を重ねれば、冷静な判断と新たな解決策が見つけやすくなるでしょう。

クリエイティブシンキング

クリエイティブシンキングは、既存の枠組みにとらわれず、新しい発想やアプローチを生み出すための思考法です。

これにより、課題に直面した際も、柔軟に対応しやすくなり、社員一人ひとりに合わせた適切な方法を発見しやすくなります。

似たような思考法の中には、ロジカルシンキングとクリティカルシンキングがありますが、目的や内容に違いがあるため注意しましょう。

  • ロジカルシンキング:論理的な根拠をもとに段階を踏んで考えを進める思考法で、問題解決に向けた順序立てが得意
  • クリティカルシンキング:物事を疑い、最適な結論を導き出す方法で、既存の方法に疑問を投げかけ、別の可能性を探る
  • クリエイティブシンキング:柔軟な発想で新しい解決策や教育手法を考える際に役立つ

クリエイティブシンキングを身につけるには、専門セミナーやeラーニングで基礎を学ぶのもおすすめですが、異なる部署や職種へジョブローテーションするのもいいでしょう。

人材育成マネジメントを成功させる5つの心構え

人材育成マネジメントを成功させるためには、成人学習理論を活用してみてください。

成人学習理論とは、成人の学ぶプロセスや方法を体系的に研究したもので、代表的な理論としてアンドラゴジーが挙げられます。ここでは、アンドラゴジーに基づく5つの心構えを紹介します。

1.主体的な学びを促進するサポートをするべし

人材育成マネジメントを成功させるには、学習者が主体的に学びを促すサポートが欠かせません。

アンドラゴジーでは、学習者の自律性を尊重することが重要とされています。指導者はただ正解を教えるのではなく、学習者が自ら考えて答えにたどり着けるよう支援する姿勢が大切です。

こうした主体的な学びが進むと、社員は受け身ではなく能動的に学びに取り組むようになり、業務での応用力も高まります。

主体性のある社員が増えれば、組織全体の効率や仕事の質が向上し、リーダーシップも発揮しやすい環境が整えられます。

結果として、社員同士が協力し合う風土が育まれ、会社の成長を支える人材が自然と増えていくでしょう。

2.既にある知識・経験と結びつけるべし

新しい知識を効果的に学ぶには、学習者が既に持っている知識や経験と結びつけることが重要です。

社会人になるまでには少なくとも15〜18年、大卒新卒者なら22年もの経験が積み重なっており、その中で培った知識やスキルが学びの土台となります。

このような過去の経験を活かすと、学習への理解が深まり、スキル習得も自然と加速するでしょう。

例えば、グループ学習の場でメンバー同士が過去の成功体験を共有すれば、互いに新たなノウハウを取り入れる機会が増えます。

また、美容学生が新しい施術技術を学ぶ際には、既存の美容に関する基礎知識に基づいて指導することで、理解度が深まり、知識やスキルがより身につきやすくなるでしょう。

このように、既存の知識を活用しながらの学習は実践的かつ有意義なものとなり、人材育成マネジメントの成功を後押しする環境が整えられます。

3.学習者の立場・職位・役職で課題を捉えるべし

人材育成を成功させるためには、学習者それぞれの環境や責任範囲に合わせて課題を与えると効果的です。立場が異なれば、必要なスキルや直面する課題も変わるため、それぞれの状況に応じた課題設定や指導を行いましょう。

例えば、立場が似ているメンバーを集めて同じカリキュラムで社内研修を行えば、共通の課題に対する理解が深まります。また、同じ境遇の人同士でディスカッションを行えば、互いの成功体験を共有でき、学び合う機会が生まれるため、効率的な学習が可能です。

同じ役職でも過去の経験は異なるため、共有する内容に新しい発見が生まれるケースも少なくありません。

このように、学習者の立場や役職に合わせた指導と交流の機会を設けられると、効率的かつ深い学びを実現しやすくなります。

4.実践的かつ即時に活用可能な知識を提供するべし

人材育成マネジメントを活用して物事を教える場合は、学習者がすぐに業務に活かせる実践的な知識を提供しましょう。

成人教育理論であるアンドラゴジーでも、得た知識が具体的な目的に結びつくことで、学習意欲が高まるとされているからです。

学習した内容が実際に現場で役立つと実感できれば、学習者にとって大きな自信となり、モチベーションも向上しやすくなります。

現場でよく直面する問題や課題に対する解決策をテーマにしたカリキュラムを組んだ場合、即時性の高い知識が得られるでしょう。

また、実際の業務で頻繁に使うスキルや知識を学べる内容を含めると、スムーズに職場で応用できるようになります。

このように、現場での実用性を意識したカリキュラムの設計は、効果的な人材育成に欠かせないポイントです。

5.内発的動機付けを行うべし

人材育成マネジメントを成功させるには、学習者の内発的な動機付けを意識した教育を取り入れてみましょう。

内発的動機付けとは、学習者が「もっと知りたい」と感じることで自発的に学習に取り組む意欲を引き出す方法です。このように、興味や関心に基づいて学ぶと、意欲的に無理なく集中して取り組めるため、スキルの効果的な習得が期待できます。

また、学習者の関心に合わせた内容を提供し、学習者同士が刺激を与え合えるような交流の場を整えてみてください。これも、内発的な意欲を引き出しやすくする方法としておすすめです。

一方で、お金や罰則を使う外発的動機付けは、短期的に成長を促すことには向いていますが、長期的な成長を目指す人材育成マネジメントには適さないケースが多いでしょう。

状況に応じて両者を使い分けると、学習者が自発的に学べるようになるため、組織の目標達成に貢献できる人材へと成長できます。

新入社員育成のポイント

ここまで人財育成マネジメントに必要なポイントについて解説してきましたが、より実践的な新入社員育成について紹介します。

新入社員を育成するためには、実践に近い育成を心がけましょう。

学習のモチベーションを下げない工夫も大事になります。これらのポイントを踏まえて、以下で紹介する内容も取り入れてみてください。

ポイント1:基礎的な知識や技術をOJTで実践的に学ぶ

新入社員育成に指導する際には、基礎的な知識や技術をOJTで実践的に学ぶ環境を整えましょう。

OJTは実務を通じて学べるため、新入社員が即戦力として必要なスキルを自然に身につけられます。

また、新入社員が「学んだ内容が業務でどのように活かせるか」を具体的に理解できるようサポートしましょう。

実務に即したカリキュラムやシミュレーションを取り入れ、意欲的に学習へ取り組む姿勢が身につきます。

さらに、学びの場ではすぐに正解を教えるのではなく、考えさせて試行錯誤を促すアプローチも大切です。実際に、実践的な教育で短期間での技術力向上に成功した美容室もあります。

たとえば1年目はアシスタントとしてスタイリストの補助を行うだけのお店が多いと思うのですが、「REDEAL」は入社後すぐにブリーチワークに入れてもらえるなど実践的なスタッフ教育に力を入れているんです。

その機会を生かせるように、アシスタントについた際はどんな技術を使ってカラーをしているのか必死で見て、考えて、毎回目と頭を全力で使っていました。そして実際にカラーモデルの施術を行う際に、学んだことを自分の技術に落とし込む。これを繰り返したことが、短い期間で高い技術力を習得できた理由だと思います。

引用:モアリジョブ|REDEAL 美容師 福住亮介さん

主体性を引き出す育成環境が構築できると、新入社員は自ら問題解決力を養えるため、著しい成長が期待できます。

ポイント2:学習者の立場に応じて興味のある学習内容に微調整する

新入社員の育成では、学習者の立場や役割に応じて、学習内容を微調整してください。

業務内容や役割に即した課題を用意できれば、実際の業務で直面する問題を効果的に解決する力が身につきます。

その課題をさらに効果的に活用するおすすめの方法が、同じ職位や職務のメンバーとディスカッションする場を設けることです。共感が生まれやすく、知識の共有も進み、お互いの学びが深まりやすくなるでしょう。

また、新入社員が「もっと学びたい」と感じられるような内発的な動機付けも育成には欠かせません。

学習者の興味や関心に合わせた教育プログラムを用意するとともに、学びの場で学習者同士が活発に交流できるようにすると、主体的な成長が期待できます。

興味に基づいた学習と同期の仲間との切磋琢磨できる環境を整えておくと、学びのモチベーションが高まり、成長への意欲が引き出されるでしょう。

ポイント3:学習者の過去の経験に基づいて新しい学びを提供する

新入社員の成長を支えるためには、彼らのこれまでの経験や知識、新しい学びの関連付けが重要です。

例えば、業務内容を説明する際に、学生時代のアルバイト経験をもとに解説すると、学習者側は伝えたい内容を把握しやすくなり、よりスムーズに知識を吸収しやすくなります。

学生時代やインターンシップで得た経験があるのなら、それを土台として新しい知識に結びつけて説明しましょう。

中堅社員育成のポイント

中堅社員の育成は、新入社員育成とは異なり、すでに基礎スキルの習得が完了していることを前提とするため、応用的な内容を指導することが求められます。

具体的には、自らの経験を活かした問題解決力や、チームを導くリーダーシップ、将来的なキャリア志向に基づいた学習が重要です。

個人の成長を支えつつも、リーダーとして他者をサポートし、組織全体の成果に貢献できるようなスキルを身につけられるよう指導していきましょう。

ポイント1:実践的な方法で部下の育成を学んでいく

OJT(職場内訓練)を通じて部下の育成を実践的に学んでもらうと、業務を通じた成長が促進され、応用力も身につきやすくなります。

また、実務に基づいたリーダーシップやマネジメントスキルの強化を目指してみましょう。実際にOJTで部下を育成する中で、適切なフォローが求められる場面も多くなってきます。

スキルアップを図るためには、『とにかく実践あるのみ!』というのが基本的な私の考え方ですね。やる気のあるスタッフには積極的にチャンスを与え、成長を後押しします。ですがやはりキャリアの浅いうちは広い視野で物事を見ることが難しいので、要所での的確なフォローも非常に大切になってきます。

引用:モアリジョブ|hair make nell 松岡さん

中堅社員にはチーム全体を導く力が求められるため、部下のフォローアップやプロジェクト管理などの役割を積極的に任せてください。こうした実践を通じて、自分の役割がチームの成果に直結することを実感し、さらに成長意欲を引き出せるでしょう。

ポイント2:さらに自ら考え抜く力を過去の経験を活かしてサポートする

課題へのアプローチ方法や意思決定を中堅社員に任せ、試行錯誤を通じて新たなリーダーシップや視点を養えるよう促しましょう。これにより、新入社員とは異なる自主性と創造力が発揮されやすくなります。

さらに、中堅社員には既存の知識や経験を活用して未経験の課題に対応する力が必要です。過去の成功体験を整理し、それを後輩育成やチーム運営に活用する機会を与えると、組織全体の成長につながるでしょう。

ポイント3:将来のキャリアについて再確認

中堅社員はキャリアビジョンを明確にしておくと成長への意欲をさらに高められるでしょう。

定期的なキャリア相談や長期的な目標設定の機会を設け、将来的な役職やスキルアップの可能性を具体化させると、自己成長への意識も強められます。

また、中堅社員が自分のキャリア目標に合わせて、自己啓発に取り組めるよう環境を整えておきましょう。仕事への意欲だけでなく、組織への貢献度も向上しやすくなります。

管理職(マネージャー)育成のポイント

管理職の育成では、組織全体を見据えた戦略的な視野や長期的な意思決定力が求められます。

また、管理職は部下を育成しチームの成長を支援する役割も担うため、リーダーシップの成長や助言役としての能力向上も重要です。

さらに、チーム全体に組織のビジョンを浸透させ、それに向かって進むためには、高いコミュニケーション力が求められます。またメンバー同士の結束を強め、一体感を醸成するスキルも欠かせません。

ポイント1:コミュニケーションスキルを強化するのは最も大事なポイント

管理職やマネージャーには、組織のビジョンを共有し、チーム全体が一丸となって目標に前進させるための高いコミュニケーション能力が欠かせません。

単なる情報伝達ではなく、ビジョンがしっかりと理解され、行動に繋がるような伝え方が必要です。

伝え方を工夫できるようになると、自己成長にもつながったという事例は多く、コミュニケーションスキルの向上は、自身のキャリアを左右する要素にもなります。予め意識して取り組みましょう。

チーフに就任。スタッフを指導する立場になり、部下からの視線を考えて行動するように。振る舞いや伝え方などを変えていくことで、自分自身も成長できたように感じた。

引用:ホットペッパービューティーアカデミー|REGINA Tri’or スタイリスト 鈴木康子さん

さらに、適切なフィードバックや問題解決のための対話力の高さも必要です。中堅社員が業務レベルでの連携を担うのに対し、管理職やマネージャーはチームをリードし、信頼関係を築くための発信力も求められます。

ポイント2:目標達成に向けて部下のモチベーションを高められるスキルを高める

管理職やマネージャーには、組織全体の目標達成に向けた戦略的な視野の広さと、部下のモチベーションを引き出すスキルが求められます。

まず、組織全体を見通す力を養い、個人やチームの成長のみならず、会社の成長と部門の方向性を理解し、それに沿った計画や意思決定ができるよう目指しましょう。

現状の課題やリソースを見極めつつ、目標達成に向けた適切な判断を下す力が必要です。

さらに、管理職やマネージャーには、チーム作りと指導力の両方が求められます。

部下が働きやすい環境を整え、彼らの強みを引き出してモチベーションを高められる人材は、どの業界においても重宝されるでしょう。

このようなスキルを発揮することで、部下との信頼関係が深まり、組織全体の一体感が高まります。

ポイント3:進捗管理能力を高めて目標達成をスムーズに進めていく

管理職やマネージャーには、チームや部門の目標を設定し、その達成に向けて進捗をしっかり管理する力が欠かせません。

まず、メンバーと共有する明確な目標を定め、定期的に進捗確認を行いましょう。必要に応じて軌道修正を繰り返していき、成果に結びつくプロセスを確立していきます。

中堅社員が個人の目標に向かうのに対し、管理職はチーム全体をまとめ、目標達成へ導く役割が求められる点が大きな違いです。

また、管理職やマネージャーには複雑な問題への迅速な対処や、確かな意思決定も不可欠となります。

予測不能な状況であっても適切な判断ができるよう、問題解決力やリスク管理のトレーニングを行い、ロールプレイングを通じて実践力を磨く場を提供するといいでしょう。

人材育成マネジメントの成功事例3選

ここでは、人材育成に独自のアプローチを取り入れ、社員の成長と組織の発展を同時に実現している企業3社の成功事例をご紹介します。それぞれの事例から、人材育成の工夫とその効果を見ていきましょう。

株式会社ファーストリテイリング

ファーストリテイリングでは、グローバルに活躍できる人材を育成するため、社内教育機関といわれるFRMICを通じて「変革する力」「儲ける力」「チームを作る力」などを養うプログラムを提供しています。

また、入社直後の管理者研修を含む「店長育成プログラム」も、人材育成マネジメントをする上で魅力的なポイントのひとつです。

新卒社員も経営視点を持ち、実践的な学びを得られる環境が整っているといえるでしょう。

早ければ入社1年目から年商3億円以上の経営を任され、ヒト・モノ・カネ・情報のマネジメントができるのも、入社3年目から海外事業の経営に携われるのもこのためですが、それも自らの成功体験や失敗体験に優る教材はないことを、私たち自身が身をもって学んできたからです。

引用:株式会社ファーストリテイリング|FR Management and Innovation Center 統括部長 内藤 聡さん

ファーストリテイリングでは、全世界の社員が同じ内容の研修を受講できる仕組みを導入しています。これにより、異なる国や地域の社員間でも企業理念を共有しやすくなり、組織全体に一体感を強めることが可能です。

加えて、店舗スタッフから経営層に至るまでのキャリアパスが明確に示されており、長期的なキャリア形成を支援する体制も整えられています。

株式会社リクルートホールディングス

リクルートホールディングスでは、「Will/Can/Must」という独自のキャリアアップの考えを導入し、社員の自律的なキャリア形成を支援している企業です。

これにより、社員は自分の意志や強み、組織から求められる期待を明確にし、それぞれを基にキャリアの目標を設定します。

年に2回、社員は自身のキャリアのビジョンを考える機会があり、上司と対話しながら自分のキャリアプランを設定しなおす環境が整えられている点が魅力のひとつです。

上司自身も、メンバーのキャリアをサポートする意識が高く、積極的にキャリアアップができる仕組みも豊富に用意されています。

スキルフルなメンバーたちが各々の強みを活かしながら、ワクワクして働ける状態を作ることこそ、自分がマネジャーとしてやるべきこと。メンバー一人ひとりの仕事の動機付けを支援し、圧倒的な速さで成長し続けられる環境整備をすることが役割だと思っています。

引用:リクルートホールディングス|リクルート社員 安井智起さん

このような人材育成マネジメントによって、社員が自らの強みを最大限に発揮し、組織の成長とともにキャリアを充実させる環境が整っている点が、リクルートホールディングスの強みともいえるでしょう。

株式会社AB&Company

日本最大手の美容室チェーンである「HAIR SALON Agu.」を運営する株式会社AB&Companyでは、人材育成と幅広いキャリア選択を支える体制が整えられています。

例えば、スタイリスト育成のためのアカデミーが用意されている点が、他の美容室にはない大きな特徴です。

平日の水、木、金曜日の3日間にわたるOFF-JTで基本を学び、土日祝日は店舗でOJTを通じて実践を積む流れが確立されています。

この教育プログラムにより、コツコツ型のプランで1年、スピード型で半年のスタイリストデビューができ、美容室の中でも比較的早く美容師としての基礎的なスキルを身につけられるでしょう。

アカデミーの拠点は全国に設けられており、学習頻度や場所も自由に選べる点も魅力的です。

また、スタイリストデビュー後も、自身に合った働き方を選べます。安定している正社員か、自由度が高い業務委託スタイリストとして働くケースの2パターンです。

業務委託を選ぶ場合、Agu.グループが新規集客を行い、税理士サポートを含む体制が整っているため、安心して業務に専念できるでしょう。さらに、フランチャイズオーナーへの独立支援も充実しており、独立後も本部がサポートする環境が整備されています。

私も2009年に創業した頃は、これらすべてを一人でやっていましたが、相当キツイなと思ったので…。そういった総務・集客・人事を本部で一括管理することで、FCオーナーのみなさんには、「人を育てること」に集中してもらえる環境ができます。ロイヤリティをいただいているからには、その価値をしっかりお返ししていきたいと思っています。

引用:ホットペッパービューティーアカデミー|株式会社AB&Company 代表取締役 市瀬 一浩さん

独立後の支援が続く明確なキャリアプランが示されているため、独立も安心して目指せるのが魅力です。

まとめ

人材育成マネジメントは、社員の成長を支え、会社全体の発展を促すための重要な戦略的取り組みです。

社員が自己成長を実感し、組織に貢献できるよう、効果的な育成環境を整えていきましょう。

  • 役職に応じた育成環境の整備が必要
  • 基礎知識をOFF-JTで学び、実務をOJTで習得することで、現場で即戦力となる人材を育てられる
  • 社員が自律的にキャリアを築ける仕組みを整えることで、成長意欲を維持しやすくなる
  • それぞれの働き方に応じてキャリアを選べる環境を提供することで、長期的に働き続けられる職場を実現できる

人材育成マネジメントを通して、社員が成長を実感し、組織全体の結束力と競争力がさらに高まるでしょう。

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Bizリジョブ編集部
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