人手不足が続くなか、多くの企業で採用活動の強化が進められています。しかし、人材確保を考えるうえでは、新しく採用するだけでなく、既存従業員の離職を防ぐことも重要です。
厚生労働省の「 令和6年 雇用動向調査結果の概要 」によると、令和6年の離職者数は719万5,300人、離職率は14.2%でした。産業別に見ると、宿泊業・飲食サービス業、サービス業、生活関連サービス業・娯楽業などで離職率が高い傾向があります。
また、新卒採用においても早期離職は大きな課題です。 厚生労働省が公表した令和4年3月卒業者のデータ では、就職後3年以内の離職率は新規高卒就職者が37.9%、新規大卒就職者が33.8%でした。
この記事では、最新データをもとに離職率が高い業界ランキングを紹介し、各産業に共通する特徴や、離職率が高い企業に見られる課題を解説します。採用後の定着率を高めたい経営者・店長・採用担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
離職率が高い業界・産業ランキング【最新版】
厚生労働省が発表した最新の雇用動向調査の結果を踏まえて、離職率の高い産業をランキングで紹介します。
また、離職者の中でも新規学卒者の離職状況についても解説するので、新規学卒者の採用を検討している方や、採用後の早期離職に悩まれている方は参考にしてください。
最新調査で見る離職率が高い業界・産業
厚生労働省の「令和6年 雇用動向調査結果の概要」によると、令和6年における主要産業の離職率上位5つは以下の通りです。
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順位 |
産業 |
離職率 |
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1位 |
宿泊業,飲食サービス業 |
25.1% |
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2位 |
サービス業(他に分類されないもの) |
20.3% |
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3位 |
生活関連サービス業,娯楽業 |
19.0% |
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4位 |
卸売業,小売業 |
15.1% |
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5位 |
医療,福祉 |
13.8% |
▼産業別の離職率(令和6年)
※ 厚生労働省「令和6年 雇用動向調査結果の概要」表4-2「産業、就業形態別入職率・離職率・入職超過率(令和6年)」 をもとに作成
最も離職率が高いのは、宿泊業,飲食サービス業の25.1%です。次いで、サービス業(他に分類されないもの)が20.3%、生活関連サービス業,娯楽業が19.0%となっています。
宿泊・飲食、生活関連サービス、娯楽、美容、医療・福祉などは、接客や対人サービスを中心とする業界です。シフト制、休日の取りにくさ、労働時間の長さ、給与・評価への不満、人間関係の負担などが離職につながりやすい傾向があります。
宿泊業,飲食サービス業
宿泊業,飲食サービス業には、ホテル、旅館、飲食店、デリバリーサービスなどが含まれます。令和6年の離職率は25.1%で、主要産業の中で最も高い水準です。
この業界で離職率が高くなりやすい背景には、シフト制勤務、土日祝日の勤務、長時間労働、繁忙期と閑散期の差、接客対応による精神的負担などがあります。特に飲食店や宿泊施設では、急な欠員が出ると残った従業員の負担が増えやすく、さらなる離職を招くリスクがあります。
また、宿泊業ではインバウンド需要の高まりも人手不足に影響しています。 観光庁の「宿泊旅行統計調査(2025年 年間値・速報値)」 によると、2025年の外国人延べ宿泊者数は1億7,787万人泊で、前年比8.2%増となりました。2024年に大きく回復したインバウンド需要は、2025年も高い水準で推移していることが分かります。
▼年別・延べ宿泊者数推移(2021~2025)
※出典: 観光庁「宿泊旅行統計調査(2025年 年間値・速報値)」
需要が高い状態が続く一方で、人材確保や職場環境の整備が追いつかない場合、現場スタッフの負担は高まりやすくなります。そのため、宿泊業・飲食サービス業では、採用数を増やすだけでなく、シフト設計、休暇取得、教育体制、現場負担の平準化を進めることが重要です。
サービス業(他に分類されないもの)
サービス業(他に分類されないもの)は、職業紹介・労働者派遣業、廃棄物処理業、自動車整備業など、他の産業分類に含まれないさまざまなサービスを含む産業です。令和6年の離職率は20.3%で、宿泊業・飲食サービス業に次いで高い水準です。
この分類は含まれる業種が幅広いため、離職理由を一概にまとめることはできません。ただし、対人対応が多い仕事、現場作業の負担が大きい仕事、勤務時間が不規則になりやすい仕事では、心身の負担が離職につながる可能性があります。
サービス業の離職理由を考えるうえでは、現場で働く人が「きつい」と感じる要因にも目を向ける必要があります。 ClipLine株式会社 が、過去1年以内にサービス業(外食・小売・運輸・介護)で非正規社員として勤務し、離職を経験した1,033名を対象に実施した調査では、勤続期間に関わらず「仕事がきつかった」が最も多い離職理由でした。特に勤続期間が短い人ほどその割合が高く、入社前のイメージとのギャップや、仕事に慣れる前の負担が早期離職につながっている可能性が示されています。
また、同調査では、離職理由を正直に伝えた人は42%にとどまり、何も言わずに離職した人も17%いました。つまり、現場では不満が表面化しないまま離職につながるケースもあります。業務量が属人化している企業や、店長・管理者が現場の負担を把握しきれていない企業では、担当者の負担が大きくなり、離職リスクが高まりやすくなります。
そのため、サービス業では、単に採用数を増やすだけでなく、業務負担の見える化、シフトや人員配置の見直し、教育・サポート体制の整備、従業員が不満を相談しやすい仕組みづくりが重要です。特に多拠点・多店舗で運営している企業では、現場ごとの負担や離職理由を把握し、早い段階で改善につなげることが求められます。
生活関連サービス業,娯楽業
生活関連サービス業,娯楽業には、美容室、理容室、エステティックサロン、リラクゼーションサロン、クリーニング店、映画館、旅行関連サービス、葬儀業などが含まれます。令和6年の離職率は19.0%で、主要産業の中でも高い水準にあります。
美容業界では、技術職ならではの成長期間の長さや、営業時間外の練習、土日勤務、給与水準への不満などが離職につながりやすい要因となります。
リクルート「美容就業実態調査2026 チャート集」では、美容サロン6職種の初職入社半年以内に感じたギャップとして、「給与・手取り額の低さ」が44.6%、「拘束時間の長さ・残業の多さ」が42.6%、「休日・休暇のとりづらさ」が35.5%とされています。これは、美容・ヘルスケア業界における早期離職を防ぐうえで、給与、勤務時間、休暇取得の見直しが重要であることを示しています。
▼入社半年以内に感じたギャップ(複数回答)
美容・ヘルスケア業界の店舗では、技術力の育成だけでなく、給与・評価制度、教育体制、練習時間の扱い、キャリアパスの見える化が重要です。若手スタッフが「この店舗で成長できる」と感じられる環境を整えることが、離職率の低下につながります。
卸売業,小売業
卸売業,小売業には、百貨店、スーパー、アパレルショップ、ドラッグストア、ガソリンスタンド、食品販売店などが含まれます。令和6年の離職率は15.1%で、主要産業の中でも高い部類に入ります。
小売業では、接客対応、立ち仕事、シフト制、土日祝日の勤務、繁忙期の業務量増加などが負担になりやすい傾向があります。また、店舗によっては人員に余裕がなく、入社直後から多くの業務を任されるケースもあります。
さらに、販売職ではキャリアパスが見えにくいと感じる人もいます。店長やマネージャーへの昇進機会、評価基準、給与アップの条件が不明確なままだと、将来への不安から離職につながる可能性があります。
小売業で定着率を高めるには、シフトの柔軟性、教育マニュアル、評価制度、店長・リーダーのマネジメント力向上が重要です。
医療,福祉
医療,福祉には、病院、診療所、介護施設、障害福祉サービス、保育関連施設などが含まれます。令和6年の離職率は13.8%です。年間離職率では上位5産業の中では低めですが、3年以内離職率では高卒49.2%、大卒40.8%と高い水準にあります。
医療・福祉分野では、利用者や患者の生活・健康に関わる責任の重さ、夜勤やシフト勤務、人員不足による業務負担、人間関係の問題などが離職につながりやすい傾向があります。
介護分野については、 介護労働安定センターの「令和6年度 介護労働実態調査」 で、直前の仕事が介護関係だった人の離職理由として「職場の人間関係に問題があったため」が24.7%で最も高いとされています。
▼直前の仕事が介護関係か否か別・直前の仕事を辞めた理由(複数回答)
医療・福祉分野では、給与水準の見直しだけでなく、相談しやすい体制、チーム内コミュニケーション、休暇取得、勤務負担の調整が離職防止に重要です。
3年以内の離職率が高い業界・産業ランキング|上位5産業
次に、3年以内の離職率に絞って、離職率の高い産業を紹介します。
厚生労働省が公表した令和4年3月卒業者のデータ によると、就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者が37.9%、新規大卒就職者が33.8%でした。
産業別に見ると、高卒・大卒ともに、宿泊業,飲食サービス業、生活関連サービス業,娯楽業、教育,学習支援業、医療,福祉、小売業が上位に入っています。
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順位 |
高卒者の産業 |
高卒3年以内離職率 |
大卒者の産業 |
大卒3年以内離職率 |
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1位 |
宿泊業,飲食サービス業 |
64.7% |
宿泊業,飲食サービス業 |
55.4% |
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2位 |
生活関連サービス業,娯楽業 |
61.5% |
生活関連サービス業,娯楽業 |
54.7% |
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3位 |
教育,学習支援業 |
53.6% |
教育,学習支援業 |
44.2% |
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4位 |
医療,福祉 |
49.2% |
医療,福祉 |
40.8% |
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5位 |
小売業 |
48.3% |
小売業 |
40.4% |
出典: 厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
3年以内離職率は、通常の年間離職率よりも高い数値になりやすい指標です。特に宿泊業,飲食サービス業では、高卒者の64.7%、大卒者の55.4%が就職後3年以内に離職しています。
新卒者は社会人経験が少ないため、入社前に想像していた仕事内容と実際の業務にギャップを感じやすい傾向があります。採用時の説明、入社後のフォロー、教育体制、相談しやすい環境づくりが不十分だと、早期離職につながりやすくなります。
宿泊業,飲食サービス業
高卒、大卒ともに3年以内の離職率が最も高かったのは宿泊業,飲食サービス業でした。年間離職率でも上位に位置しており、業界全体として人材の定着が課題になりやすい産業です。
コロナ禍後の需要回復やインバウンドの増加により、ホテルや飲食店では人手不足が深刻化しやすくなっています。若い働き手は多くの企業が求めているため、待遇や働き方に不満があると早期離職や他社への転職につながりやすいといえます。
生活関連サービス業,娯楽業
生活関連サービス業,娯楽業は、高卒者61.5%、大卒者54.7%と、3年以内離職率でも高い水準です。美容室やエステティックサロンなど、技術習得に時間がかかる職種が含まれる点も特徴です。
美容サロンでは、入社直後から給与、拘束時間、休日、技術習得、人間関係などにギャップを感じやすいことが、早期離職の要因になり得ます。採用時に仕事内容や働き方を正確に伝え、入社後も定期面談や教育計画を通じてフォローすることが重要です。
小売業
小売業では、高卒者48.3%、大卒者40.4%が就職後3年以内に離職しています。接客、品出し、レジ対応、在庫管理など業務範囲が広く、シフト勤務や土日勤務も多いことから、働き方への不満が生まれやすい産業です。
また、販売職ではキャリアアップの見通しが不明確だと、将来への不安から離職につながる可能性があります。店長候補、教育担当、マネージャーなど、将来の役割を示すことも定着支援につながります。
教育,学習支援業
教育,学習支援業は、高卒者53.6%、大卒者44.2%と、3年以内離職率で上位に入っています。学校教育や学習塾などでは、授業準備、保護者対応、事務作業などが重なり、長時間労働や精神的な負担が生じやすい傾向があります。
文部科学省の「令和6年度 公立学校教職員の人事行政状況調査」 では、教育職員の精神疾患による病気休職者数は7,087人とされています。教育分野では、業務負担の軽減や相談体制の整備が離職防止に欠かせません。
▼教育職員の精神疾患による病気休職者数の推移(平成 27 年度~令和6年度)
出典: 文部科学省「令和6年度 公立学校教職員の人事行政状況調査」
医療,福祉
医療,福祉は、高卒者49.2%、大卒者40.8%と、3年以内離職率でも高い水準です。人の健康や生活に関わる責任の重さに加え、夜勤、シフト勤務、人手不足による負担などが離職の要因になります。
特に介護分野では、職場の人間関係や運営方針への不満が離職理由として挙がりやすくなっています。若手職員が孤立しないよう、相談窓口やメンター制度、定期面談を整えることが重要です。
離職率が高い企業の特徴
ここまで紹介した離職率の高い産業と早期離職率の高い産業には、共通する特徴があります。業界全体の傾向だけでなく、自社・自店舗に当てはまる点がないか確認してみましょう。
長時間労働や残業が慢性化している
離職率が高い企業では、長時間労働や残業が慢性化しているケースがあります。人手不足の状態が続くと、残った従業員が欠員分の業務をカバーすることになり、さらに負担が増えます。
厚生労働省の「令和6年 雇用動向調査結果の概要」でも、転職入職者が前職を辞めた理由として「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が挙げられています。特に女性では、「その他の個人的理由」を除くと「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」が高い割合となっており、勤務時間や休日の取りにくさは離職につながりやすい要因といえます。
美容室、飲食店、介護施設、宿泊施設などでは、営業時間や予約状況に合わせて人員配置が必要です。現場の人数が足りないまま運営を続けると、休憩が取りにくい、希望休が通りにくい、残業が増えるといった不満につながります。
離職率を下げるには、予約管理、シフト設計、業務分担、ITツール活用などで、現場の負担を減らす仕組みづくりが必要です。
人事評価制度が整っていない
離職率の高い企業では、人事評価制度があっても評価基準が明確でなかったり、実態として機能していなかったりする場合があります。従業員が「頑張っても評価されない」と感じると、不満が蓄積しやすくなります。
特に美容・ヘルスケア業界では、技術力、接客力、指名数、売上、教育担当としての貢献など、複数の要素が成果に関わります。評価基準があいまいなままだと、従業員は不公平感を抱きやすくなります。
歩合制やインセンティブを導入する場合も、算定基準を明確にし、何を頑張れば評価されるのかを共有することが大切です。
社員のモチベーションが低下している
社員のモチベーションが低下している職場では、業務への主体性が下がり、離職につながりやすくなります。給与や待遇だけでなく、職場での承認、成長実感、上司との関係性も重要です。
現場責任者や店長は、スタッフの悩みや希望を把握し、目標設定やフィードバックを行う必要があります。従業員が自分の役割や成長の方向性を理解できると、職場への納得感が高まりやすくなります。
人材の育成制度が整っていない
人材育成制度が整っていない企業では、若手や未経験者が早期に離職しやすくなります。入社後に何を学び、どの段階で一人前になり、将来的にどのような役割を担えるのかが分からないと、従業員は成長実感を得にくくなります。
美容師やエステティシャン、鍼灸師、介護職などの専門職では、技術習得に時間がかかります。そのため、入社後の研修、先輩によるフォロー、定期面談、キャリアパスの提示が欠かせません。
休暇が取りにくい
休暇が取りにくい職場も、離職率が高まりやすい傾向があります。土日祝日に来客が集中する業界では、従業員が家族や友人と予定を合わせにくく、プライベートとの両立が難しくなります。
また、急な欠勤が出たときに特定のスタッフへ負担が偏る職場では、従業員同士の不満も生まれやすくなります。休暇を取りやすくするには、シフト作成のルールを明確にし、業務を属人化させないことが大切です。
ハラスメントが横行し、企業として対応していない
ハラスメントや一方的なコミュニケーションがある職場では、従業員が安心して働き続けることが難しくなります。上司や先輩からの指導が厳しすぎる、相談しても聞いてもらえない、職場内で不公平な扱いがあるといった状況は、離職の要因になります。
厚生労働省の「あかるい職場応援団」では、社内に相談窓口がない場合や、相談しても取り合ってもらえない場合などに利用できる相談窓口が案内されています。企業側は、従業員が不安や違和感を抱えたまま離職に至らないよう、社内の相談窓口や匿名相談、定期面談など、早めに声を上げられる仕組みを整えることが重要です。
管理者は、現場からの報告だけで判断するのではなく、定期面談や匿名相談、ハラスメント相談窓口などを通じて、従業員が安心して声を上げられる環境を整える必要があります。
働き方の柔軟性がない
働き方の柔軟性がない職場では、育児、介護、通学、副業、体力面の事情などを抱える人材が定着しにくくなります。
正社員だけでなく、パート、時短勤務、業務委託、週休3日制、短時間勤務など、複数の働き方を用意することで、応募者の幅を広げられます。特に美容・ヘルスケア業界では、女性スタッフや子育て中のスタッフも多いため、柔軟な勤務形態は採用力と定着率の両方に影響します。
ただし、柔軟な働き方を導入する際は、一部のスタッフだけに負担が偏らないようにすることも重要です。シフトや業務分担のルールを明確にし、全員が納得できる運用を目指しましょう。
人間関係が悪い
人間関係の悪さは、業界を問わず離職につながりやすい要因です。上司や先輩との関係、同僚との連携、職場の雰囲気は、働き続けやすさに大きく影響します。
人間関係が原因で辞める人は、必ずしも本音を伝えてから退職するとは限りません。経営者や責任者は現場からの報告を鵜呑みにするのではなく、定期面談や日常的なコミュニケーションを通じて、職場の雰囲気を把握することが大切です。
採用時の説明と入社後の実態にズレがある
今回追加したい重要項目です。採用時の説明と入社後の実態にズレがあると、早期離職につながります。求人票では「働きやすい職場」と書かれていたのに、実際は残業が多い、休みが取りにくい、教育体制が整っていないといった状況では、従業員の不信感が高まります。
リクルート「美容就業実態調査2026 チャート集」でも、初職入社半年以内に感じたギャップとして、給与、拘束時間、休日、人間関係などが挙げられています。採用時に魅力を伝えることは大切ですが、実態以上によく見せすぎると、入社後のギャップが大きくなります。
仕事内容、勤務時間、給与、評価制度、研修内容、キャリアパスをできるだけ具体的に伝え、入社後も定期的に面談を行うことで、採用時の説明と現場実態のズレを小さくできます。
まとめ
本記事では、最新データをもとに、離職率が高い業界ランキングと、3年以内離職率が高い産業の特徴を解説しました。
本記事を総括すると次のとおりです。
- 令和6年の産業別離職率では、宿泊業,飲食サービス業が25.1%で最も高い。
- サービス業(他に分類されないもの)、生活関連サービス業,娯楽業も離職率が高い。
- 新規学卒者の3年以内離職率では、宿泊業,飲食サービス業、生活関連サービス業,娯楽業、教育,学習支援業、医療,福祉、小売業が上位に入っている。
- 離職率が高い企業には、長時間労働、給与・評価制度への不満、人材育成不足、休暇の取りにくさ、人間関係の問題、採用時の説明と入社後の実態のズレなどが見られる。
- 採用活動だけでなく、入社後の定着支援、職場環境の改善、キャリア支援をあわせて行うことが重要。
少子高齢化により働き手の確保が難しくなるなか、離職率を下げることは、採用コストの削減だけでなく、サービス品質や店舗運営の安定にもつながります。
離職率が高い業界に属する企業・店舗ほど、採用後の定着支援まで含めた人材戦略が欠かせません。求める人材が何を重視しているのかを把握し、働き続けたいと思える職場環境を整えていきましょう。
- 執筆者情報
- 高橋祐哉(Takahashi Yuya)