顧客満足度を上げる方法を知りたい方は多いのではないでしょうか。企業や店舗に対する口コミやコメントが重視され、SNSによる評判が広まりやすい昨今において、顧客満足度が利益や経営に与える影響は多大です。
そこで本記事では、顧客満足度を上げるべき理由と上げるメリットを整理した上で、顧客満足度の調査手法、そして具体的に上げる方法を紹介します。顧客満足度の向上につながった事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
顧客満足度を上げるべき理由
そもそも、なぜ顧客満足度を上げるべきなのでしょうか。主な理由を、3つ紹介します。
企業や店舗に対する口コミやコメント内容が重視されるため
昨今の消費者は商品やサービスを選ぶ際、口コミやレビューサイト、ランキングを利用・購入の判断材料として重視する傾向にあります。
例えば、株式会社フォーイットの調査によると、「口コミやランキングは気にしますか?」という質問に対して、全体の約80%の人が「気にする」と回答しています。以下はその内訳までを示したグラフです。
この結果からも、良い口コミが増えることで新規顧客を呼び込む可能性が高まることが分かります。一方で、悪い口コミが拡散されると顧客離れの原因になるため、顧客満足度の向上はリスク回避の観点からも重要です。
特に接客業では、顧客一人ひとりの体験が口コミに直結するため、丁寧なサービス提供が欠かせません。
SNSの普及で評判が広まりやすくなっているため
SNSの急速な普及により、顧客の意見や体験が瞬時に広く共有されるようになりました。
製品やサービスに満足した顧客がポジティブなレビューを投稿すれば、多くの潜在顧客に届く可能性があります。特にXやInstagramでは、画像付きの投稿が話題となり、企業や店舗の認知度を一気に高める効果があります。
反対に、不満を持った顧客がネガティブな投稿をすると、瞬時に拡散されるリスクもあります。これを防ぐためにも、顧客満足度を維持・向上するための努力が常に求められるのです。
市場競争の激化によって差別化が必要なため
現在、多くの業界で競争が激化しており、他社との差別化がますます重要になっています。美容室業界でも同様に、多数のサロンが同じエリアに存在する中で顧客に選ばれるには、「満足度の高いサービス」や「忘れられない体験」を提供することが不可欠です。
競合他社と同じようなサービスを提供するだけでは、価格競争に巻き込まれ利益が圧迫されるリスクがあります。そこで、顧客満足度の向上を通じて「顧客ロイヤルティ」を育み、リピーターを増やすことが店舗の安定的な成長に直結します。
顧客満足度を上げるメリット
顧客満足度を上げるメリットについて、6つ紹介します。
リピート率の向上
顧客満足度を上げると、顧客のリピート率の向上につながります。製品やサービスに満足した顧客は「また利用したい」「家族や友人にも勧めたい」という意欲が高まり、長期的な信頼関係を構築できます。
顧客単価の向上
顧客満足度が高いと、顧客が追加のサービスや高価格帯の商品を購入しやすくなります。例えば、ECサイトでカスタマーレビューによる評価が高い店舗の商品がよく売れるように、顧客は「購入するなら信頼できそうな店舗からまとめて購入したい」と考えるのです。
また、顧客の信頼を得ている企業は値引きに頼らずとも、相互の信頼関係の上で「価値」を訴求しやすくなるため、更なる顧客単価の向上につながります。
ブランドイメージの向上
顧客満足度を上げる取り組みに注力すれば、企業や店舗のブランドイメージが良くなり、他社との差別化につながります。
ブランドイメージが高い企業は価格競争に巻き込まれにくい利点があります。例えば「この企業なら少し高くても価値がある」と思ってもらえると、顧客が継続的に利用する動機づけになります。具体的には、Appleやスターバックスといった企業が挙げられます。
新規顧客の獲得と顧客層の拡大
顧客満足度が高ければ、口コミやSNSの投稿によって新規顧客を引き寄せる効果があります。満足した顧客が自然と他人に紹介すれば、広告費を用いずに新規顧客を獲得できます。
また、幅広い年齢層やニーズを持つ顧客層にもアプローチでき、顧客基盤を拡大する可能性が高まります。例えば、飲食店で「子ども連れでも安心」という評判が立てば、新たな顧客層を呼び込むきっかけとなるでしょう。
長期的な店舗運営の安定化
顧客満足度の向上は、安定した収益基盤の確立に直結します。満足した顧客は継続的に製品やサービスを購入するため、売上が安定し、長期的な経営が可能になります。
さらに、満足度の高い顧客は価格よりもサービスの価値を重視するため、価格競争に巻き込まれるリスクが軽減されます。この効果は、市場での価格競争が激しい昨今において特に重要です。
採用ブランディングへの貢献
顧客満足度が高い企業は、顧客だけでなく求職者にも魅力的に映ります。
例えば、「どの従業員も対応が丁寧」「笑顔で楽しそうに働いている」といった口コミがあれば、求職者にとっても好印象に映り「ここで働きたい」と思う可能性が高まります。
企業の評判は、顧客体験だけでなく、採用活動にも影響を与える時代です。特にサービス業や小売業では、顧客満足度と従業員満足度がリンクしていることが多いため、ポジティブな口コミは採用にも大きな利点をもたらすでしょう。
顧客満足度の調査手法
顧客満足度の主要な調査手法を、4つ紹介します。
アンケートを実施する
アンケートは、顧客満足度を直接把握できる最も基本的な手法です。顧客に対して、商品やサービスの満足度、改善点、再利用の意図などを具体的に尋ねることで、現状を数値化できます。
また、オンラインツール(Google FormsやSurveyMonkeyなど)を活用すればコストを抑えつつ多くの回答を集められます。回答率を高めるためには、設問数や内容は簡潔にし、回答の負担を軽減する工夫も大切です。
SNSや評価サイトの口コミを分析する
昨今は、SNSやGoogleレビュー、各種評価サイトに顧客の意見が数多く投稿されています。これらを収集して分析すれば、顧客が評価するポイントや不満点をある程度は把握可能です。
特にSNSではリアルタイムで感想が共有されるため、早期に改善のヒントを得られると同時に迅速な対応を求められます。口コミを定期的にチェックする体制を整えておくとよいでしょう。
調査指標を活用する
顧客満足度に関する既存の調査指標を活用すれば、より客観的な知見を得られます。以下に主要な調査指標を3つ紹介します。
NPS
NPS®(Net Promoter Score) は、顧客が企業やサービスを他者にどの程度推奨したいかを測定する指標です。
アンケート形式で、「0〜10」の11段階で推奨意向を評価してもらい、回答者を推奨者(9〜10)、中立者(7〜8)、批判者(0〜6)の3つに分類します。
その後、「推奨者の割合から批判者の割合を差し引く」ことでスコアを算出します。
NPSの特徴は、顧客満足度だけでなく、ロイヤリティやブランドへの信頼度を示す点です。高スコアは優良顧客が多いことを意味し、企業が成長する可能性を示唆します。
CSI
CSIは、Customer Satisfaction Indexの略称であり、まさに「顧客満足度を評価するための指標」です。顧客が特定の製品やサービスに対してどの程度満足しているかを数値化します。
CSIの調査は「顧客期待値」や「顧客不満度」など計5つの要素をアンケート形式で測定してスコアを算出します。算出されたスコアは、顧客の購買行動やリピート意向に直結しており、客観的な現状把握に役立ちます。
JCSI(日本版顧客満足度指数)
JCSI(Japanese Customer Satisfaction Index)は、CSIを日本向けにカスタマイズした顧客満足度指標です。主な違いは、JCSIではCSIの項目に「推奨意向」を加えた6つの指標で測定する点です。
調査主体は公益財団法人 日本生産性本部であり、毎年スコア上位企業の調査結果がランキング形式で発表されています。
専門機関へ依頼する
先に紹介した調査指標を用いる場合、適切なサンプル数や統計的分析のノウハウが必要です。そのため、より正確な測定・分析を行いたい場合は、各専門機関への依頼を検討するとよいでしょう。
専門機関に依頼すれば、統計分析やレポート作成など、社内では難しい作業を委託可能でき、調査や分析ノウハウによって的確なデータを得られます。
顧客満足度を上げる方法
顧客満足度を上げる方法を、7つ紹介します。
接客に関する教育を行う
接客は顧客満足度を上げるために重要な要素です。新入社員への基礎教育だけでなく、定期的な研修やロールプレイングにより、現場スタッフの対応力を高められます。
例えば、コミュニケーション力やヒアリング力、観察力、提案力などは、顧客満足度に影響を与えます。接客スキルに関しては、以下の記事で詳しく解説していきますので、ぜひ合わせてご覧ください。
問合せ・クレーム対応を円滑化する
顧客からの問い合わせやクレームへの対応は、顧客満足度を大きく左右します。迅速かつ誠実な対応を行えれば満足度を維持もしくは向上できますが、対応が遅れたり冷たい印象を与えたりすれば一気に低下しかねません。
問い合わせについては、専用の問い合わせ窓口を設置したり、FAQを充実させたりすれば、対応の効率化を図れます。
クレームについては、日本労働組合連合会の調査によると、消費者が最も許せないのは「いろいろな部署をたらい回しにされる」であり、次点で「こちらに落ち度があるような言い方をされる」でした。
顧客からのクレームが合った際には、上記に該当する対応は可能な限り避けるべきでしょう。
また、クレーム内容をデータとして蓄積し、同じ問題が発生しないよう業務改善に役立てるのも効果的です。こうした対応姿勢は、顧客満足度を高めるだけでなく、リピート率の向上にもつながります。
顧客ニーズと提供内容のマッチングを確かめる
顧客が求める製品やサービスを把握し、それに合った提供を行うことが、満足度を高める鍵です。
例えば、アンケート調査や購入データの分析を通じて、顧客ニーズを定量的に把握する方法があります。その上で、サービス内容や製品ラインアップを見直し、ターゲット層との一致度を高めるための新企画や改善策を立ち上げましょう。
なお次の項目のように、顧客の声を直接聞く仕組みを整えれば、より実態に即したサービス提供が可能になります。
顧客アンケート調査を行う
顧客満足度を上げるためには、アンケート調査によって顧客の声を積極的に集めるのも効果的です。
例えば、店舗やオンラインで簡単に回答できる仕組みを備えて、不満や要望を直接収集します。調査結果を分析して改善に活かせば、顧客に「意見が反映されている」と感じてもらえます。
また飲食店の事例ではあるものの、アクティブ・メディア株式会社の調査によると、お客様アンケートを実施する行為自体が好意的に受け取られる傾向が示唆されています。これは、「顧客の声をもとにサービスの改善を図りたい」という企業姿勢そのものが評価されたと推察できます。
なお同調査における下記の結果を踏まえると、アンケートの回答率を高めるには「スタッフによる回答のお願い」と「特典の付与」が有効です。
SNSを活用して情報を発信する
SNSは、顧客との接点を増やし、満足度を向上させるための有効な手段です。新商品やキャンペーン情報をいち早く届けるだけでなく、顧客のコメントに返信したり、質問に答えたりすれば、企業と顧客の距離感が縮まります。
また、SNS上でポジティブな評判を獲得できれば、新規顧客の獲得やブランドイメージの向上にもつながります。
ただし、気軽に活用可能なSNSであっても、発信内容は企業としての思いやスタンスを表すため、慎重な投稿を心がけましょう。軽率な発信をしてしまえば、反対に顧客満足度を大きく下げかねません。
好評なキャンペーンを定期的に実施する
顧客満足度を上げるには、顧客に「得をした」と感じてもらうのが有効です。例えば、期間限定割引、ポイント還元、プレゼントキャンペーンなど、顧客から評価の高い企画を定期的に行いましょう。
キャンペーン内容は過去の実績を分析し、顧客層のニーズに合ったものにするのがポイントです。こうした取り組みは、一時的な満足度向上に留まらず、リピート率や顧客単価の向上にも寄与します。
顧客対応の効率化に有効なツールを活用する
顧客対応の効率化につながるツールの導入も満足度向上に効果的です。
例えば、24時間対応のチャットボットを導入すると、主要な問い合わせへの迅速な対応が可能になります。
他にも、顧客管理システム(CRM)を活用すれば、顧客の購買履歴や嗜好を把握し、パーソナライズされたサービスの提供を実現可能です。これにより、顧客は「自分のことを理解してくれている」と感じ、満足度が向上します。
こうした各ツールの導入は、顧客満足度の向上だけでなく、業務効率の向上にもつながります。
顧客満足度の向上につながった成功事例
顧客満足度の向上につながった成功事例を6つ紹介します。
顧客ニーズを正確に把握するためのカウンセリングを実施
株式会社ダイヤモンドアイズは、顧客ニーズを正確に把握するためのカウンセリングにより、リピート率および顧客満足度の向上に成功しています。
技術を提供するだけでなく、カウンセリングにも力を入れているところが、お客様のリピートにつながっていると思っています。
(中略)お客様が「どんな目もとになりたいのか」をきちんと把握するにはカウンセリングがとても重要です。それと同時に、お客様がイメージする目もとに近づけるために、私たちができる技術をご提案するように心がけています。
引用:モアリジョブ|株式会社ダイヤモンドアイズ 人事担当 笛木清美さん
たとえ優れた技術を提供できたとしても、顧客ニーズに沿わなければ満足度向上にはつながりません。まさに「顧客第一」「お客様ありき」を体現した姿勢といえるでしょう。
サービスの質を高める教育制度を導入
ネイル&まつエクサロン「ネイル&アイラッシュTerra」では、日々の忙しい営業活動のなかでもまとまった研修時間を確保し、技術と接客それぞれの質向上に努めています。
すき間時間ではなく、きちんと時間を確保して技術研修を行っています。開催しているペースは週に3回ほどですね。レッスンでは、ネイルやアイラッシュの技術だけではなく、カウンセリング方法などの接客術を伝えることもとても大切です。
引用:モアリジョブ|ネイル&まつエクサロン「ネイル&アイラッシュTerra」取締役事業部長 北川亜由美さん
また同店は、インストラクターという役職を設けており、現役の技術者と研修講師を兼任するスタッフが複数名います。現場に即したスキルを教えるため、スタッフは研修で得た技術をすぐに顧客に提供可能です。
顧客満足度の高い従業員を表彰
株式会社ヘッドライトは、顧客満足度の高い従業員(美容師)を表彰する「STYLISTA(すたいりすた)」とよばれる社内コンテストを年に1度開催しています。
ヘッドライトグループのヘアサロンに所属する美容師900名以上のなかから、技量やサービス力など顧客満足度の高い美容師を3段階の星印で認定するイベントになります。授賞式にはスタイリストのご家族や友人も招待させていただくので、やりがいやモチベーションを感じる場になっていると信じています。
引用:モアリジョブ|株式会社ヘッドライト 代表取締役 小松俊介さん
各従業員のモチベーション向上を図りながらロールモデルを示すことができ、更なる顧客満足度アップにつながる好事例といえるでしょう。
自社にマッチした人材の採用
都心に複数店舗を構える美容室グループ「MINX」は、理念への共感と社内教育を重視する観点から「他者への奉仕の気持ちをもてる人」であることを採用の基準としています。
今後も特化していくためには、同じ志を持つ人を採用しなければなりません。そう考えたとき、自分が良ければ良い人ではなく、自分と同じくらい他人に尽くせる気持ちが必要だと思っています。
引用:モアリジョブ|MINX shibuya smart salon ディレクター 取締役 池戸 裕二さん
上記の通り、理念を追求して顧客満足度の向上を実現するためには、技術や仕組み以前に顧客や周囲のために尽くす意識を持つ人材が欠かせません。
スキルの高さや自社や店舗への愛着、収入への意欲なども大切ですが、顧客のニーズに応え、喜んでもらいたいという意識こそが、顧客満足を高めるのです。
オンリーワン戦略による差別化
阪急百貨店は、JCSIを用いた顧客満足度調査で百貨店部門1位を獲得しました。同社は、他の百貨店との差別化を図るため、独自の商品やサービスを提供する「オンリーワン戦略」を推進しています。
同社は、他業種企業とタッグを組み、既存の有名商品を新たな商品へと変化させた限定商品を発売しています。
例えば、様々な食感とフレーバーで仕上げた亀田製菓の「柿の種」、クラフト生地のオシャレなパッケージにした日清食品の「カップヌードル」など、阪急百貨店でしか購入できない魅力的な限定品を展開してきました。
こうした話題性にも満ちた阪急百貨店ならではの取り組みが、高い顧客満足度につながっているのです。
顧客の「体験」を最重視
スターバックスコーヒーは、JCSIを用いた顧客満足度調査でカフェ部門1位を獲得しました。同社は、単にコーヒーを提供するだけでなく、顧客の「体験」を最重視することで、高い顧客満足度を実現しています。
その「体験」は、オシャレで落ち着いた空間演出、快適な座席、丁寧かつフレンドリーな接客、心地よいBGMなど、様々な要素の融合により生み出されています。さらに、季節限定商品などで「ワクワク感」を演出し、顧客の期待に応えます。
その結果、スターバックスは単なるカフェではなく、顧客にとってのサードプレイス(第三の場所)となり、高い顧客満足度を維持しているのです。
本事例は、製品や価格、技術レベルだけでなく、顧客が実際にどのような「体験」をするかを重視する大切さを示唆しています。
まとめ
顧客満足度の向上は、企業の成長と安定した経営に直結します。本記事で紹介したポイントを以下にまとめます。
- 企業や店舗への口コミやコメント、SNSによる評判の拡散、あらゆる業界での市場競争激化を勘案すると顧客満足度の向上は不可欠
- アンケートやSNSの口コミ分析、各種指標、専門機関による調査を活用することで、顧客のニーズや不満を明確に把握することが重要
- 顧客満足度を上げる方法としては、接客スキルの向上、問い合わせやクレーム対応の強化、顧客ニーズと既存商品のマッチ度の見直しなどが有効
顧客の声に真摯に耳を傾け、ニーズや課題の的確な把握によって、より良いサービスや商品を提供しましょう。その結果、顧客との長期的な関係が築かれ、企業全体の成長と安定経営を実現できるのです。

- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部