美容室は儲かる?厳しい経営の実態を紹介
最近の美容室業界では、人件費や材料費などのコスト高に加え、消費者の節約志向も顕著になっており、経営の厳しい実態が浮き彫りになっています。
帝国データバンクの調査によると、2024年1~8月までの美容室の倒産ケースは過去最悪のペースで推移しており、139件に上りました。これは前年の1.5倍のペースであることから、「美容室経営は儲からない...」と悩む経営者も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、美容室経営の課題とそれを解決する方法を詳しく解説します。経営の安定化につながる開業手順も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
美容室は儲かる?厳しい経営の実態を紹介
美容室は華やかなイメージを持たれがちですが、経営の実態は厳しいです。
ここでは、業界の現状や経営の厳しさを具体的なデータや事例をもとに紹介します。
美容室の数は年々増加している
美容室の数は日本全国で増加傾向にあり、競争が激化しています。厚生労働省のデータによると、美容室の数は年々増加傾向にあり、2022年度時点で27万件近くに達しました。
しかし、店舗数の増加は需要の拡大に比例していない点が問題です。人口減少や消費者の節約志向により、一人当たりの美容室利用頻度や単価が伸び悩んでいます。その結果、新規開業した美容室が数年以内に閉店するケースも珍しくありません。
売上が予想通りにならないことが多い
美容室の売上は、変動が大きい傾向があります。
実際、日本政策金融公庫の調査では、予想売上が未達成の店舗が全体の約6割を占め、多くの美容室が予想通りに売上を伸ばせていない状況です。
以上より、美容室の経営が予想通りに行かないことを見越したうえで、運転資金には余裕を持って開業するべきと考えられます。
年収1000万円越えの美容室オーナーは少ない
美容室オーナーとして成功を収め、年収1000万円を超える例は存在しますが、業界全体では極めて少数派です。実際、イーグラント・コーポレーションの調査では以下のような結果が出ています。
高収入を実現しているオーナーの多くは、複数店舗を運営しているか、店舗運営以外に教育事業や美容関連商品の販売など、多角化経営を行っているケースが多いです。
一方で、単独店舗での運営では、設備費や人件費、賃料といった固定費が大きな負担となり、高収益を上げるのは難しいのが現状です。
一人美容室が増えている理由とは?
近年、美容業界で「一人美容室」が注目を集めています。一人美容室とは、美容師一人で運営する小規模な美容室で、オーナー兼美容師が店舗運営の全てを担当します。
一人美容室が増える理由のひとつとして、人件費の高騰が挙げられます。理美容ニュースが厚生労働省の調査をもとにまとめたデータによると、2022年の理容・美容師の年収は330万で、2020年の329万を上回り、最高額を更新しています。以前よりも人件費の負担が増えたため、スタッフを雇わない一人美容室が増加していると考えられます。
しかし一人美容室の場合、人件費を削減できるメリットがある一方で、売上を伸ばせないことがデメリットです。
おかげさまでお客様に恵まれ、1ヶ月間休みなくフル稼働したことがあったんですね。売上もかなり上がったんですが、喜ぶどころか、逆に絶望してしまったというか。美容師という職業は労働集約型なので、一人の力だけではアッパーがここまでなんだ…と一人経営の限界を知ったんです。
引用元:モアリジョブ|「hair salon LeonCovo」オーナー 吉田海人さん
プレイヤーが美容師一人だけでだと、病気やケガの際に一気に売上がなくなるリスクもあります。売上を伸ばして安定した経営基盤を築きたい場合は、スタッフの雇用を検討することも大切です。
美容室の開業に必要な資金
日本政策金融公庫の調査によると、サロン開設費用の内訳は次の通りです。
費用の半数以上を「内装外工事(476万円)」が占めます。次に多い「機械・什器・備品等(197万円)」にかかる費用は美容室が提供するサービスによって、異なるでしょう。
美容室の開業には「管理美容師免許」が必要
美容室を開業する際には、美容師免許だけではなく「管理美容師免許」の取得が法律で義務付けられています。
ここでは、管理美容師免許の取得条件を紹介します。
管理美容師免許の取得条件
管理美容師免許の取得条件は次の通りです。
取得条件 |
詳細 |
①美容師免許の保有 |
管理美容師免許の取得には、美容師免許の保持が前提です。美容師免許の取得には、美容学校で指定の課程を修了し、国家試験に合格する必要があります。 |
②実務経験3年以上 |
美容師免許を取得した後、美容業務に従事した経験が3年以上あることが条件です。 |
③管理美容師講習会への参加 |
実務経験を満たした後、各都道府県の美容組合や自治体が実施する「管理美容師講習会」の受講が必須です。この講習では、美容室運営に必要な衛生管理や法的知識について学びます。講習は数日間にわたり、講習後に修了証が発行されます。 |
④講習修了後の登録 |
管理美容師講習を修了すると、その証明として管理美容師免許が発行されます。この免許があれば、開業する美容室の衛生責任者として活動できます。 |
美容室を開業するために必要な手続き
美容室を開業する手順は次の通りです。
- 市場調査をする
- 事業計画を立てる
- 資金を調達する
- 保健所や消防署に開業の手続きをする
- 内装工事に着手する
- 設備や備品を購入する
- スタッフを採用する
- 宣伝活動をする
- 開業する
経営をなるべく早く安定化させるためには、開業の前に、市場調査にもとづいて顧客ターゲットを設定したり、コンセプトを明確にしたりすることが欠かせません。
また保健所や消防署への開業手続きを漏れなく進めて、開業後にトラブルが起きないようにしましょう。次の記事では、美容室の開業手順について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
成功する美容室経営者にある3つの共通点
成功する美容室経営者にある3つの共通点は次の通りです。
- ビジョンと経営戦略が明確
- 従業員の意見を取り入れている
- 常に顧客目線をもっている
それぞれの共通点について詳しく見てみましょう。
ビジョンと経営戦略が明確
成功する美容室経営者の第一の共通点は、明確なビジョンと経営戦略をもっていることです。成功する人は、ただ「売上を上げたい」「店舗を増やしたい」といった漠然とした目標ではなく、具体的なビジョンとそこに至るための経営戦略が明確です。
たとえば、「地域で最も信頼される美容室を目指す」というビジョンを掲げ「具体的にリピート率を年間20%向上させる」または「SNSを活用して若年層にリーチし、店舗アカウントのフォロワーを1,000人増やす」といった戦略を立てます。
また経営方針が明確であれば、従業員や顧客にもその熱意が伝わり、店舗全体が目標達成に向け動きやすくなります。
従業員の意見を取り入れている
成功している経営者は、スタッフの意見を積極的に取り入れ、働きやすい環境作りに力を入れています。
たとえば、技術研修やキャリアアップの機会を事前に用意し、スタッフが成長できる環境を整備することは非常に重要です。また、シフトや休暇の調整に柔軟性をもたせ、スタッフのワークライフバランスを向上させる経営者も多くいます。
こういった取り組みは、離職率の低下や従業員のモチベーションを上げ、結果として店舗の安定経営につながります。
常に顧客目線をもっている
美容室経営の中心には、常に顧客が存在します。成功する経営者は、顧客のニーズや期待を敏感に察知し、それに応える努力を惜しみません。
たとえば、施術中の会話から顧客のライフスタイルや好みを把握し、それを次回の提案に生かすなど、個別対応の徹底が重要です。また、SNSや口コミサイトを活用して、顧客の声を収集し、サービス向上につなげる経営者も多くいます。
さらに、美容室の経営者ら店内の清潔感や快適な空間作りにも細心の注意を払っています。ちょっとした配慮や気遣いが、顧客の満足度やリピート率に大きく影響するためです。こういった視点やアイデアは、顧客目線があれば自然と浮かんできます。
美容室の経営でよくある失敗
美容室の経営でよくある失敗は次の通りです。
- 採用がうまくいかない
- 集客ができていない
- 立地選定のミス
- 接客や技術が不十分
- スタッフの離職率が高い
- 経営知識が不足している
それぞれの失敗例を把握し、リスクを未然に防ぎましょう。以下では、実際の事例を用いて詳しく解説します。
採用がうまくいかない
美容室経営において、スタッフの質と満足度は店舗の成否を左右する重要な要素です。しかし、多くの美容室が「適切な人材を採用できない」という問題に直面しています。
- 求人やスタッフ育成は難しいと感じています。(50代・美容師歴30年弱)
- 人に関する問題は一番難しいです。(40代・美容師歴27年)
- 従業員の雇用や良好な人間関係の維持は課題です。(50代・美容師歴30年)
- 事業継承と、店長より上の立場の役職づくりの難しさを感じています。(40代・美容師歴23年)
引用元:JOBOON
求人広告をただ出すだけでは、競争の激しい美容業界で目立つのは難しく、SNSや口コミを活用しないと、ターゲットとなる求職者に情報が届きません。
また、採用がうまくいっても、職場環境や育成体制に課題があるとスタッフがすぐに離職してしまいます。結果として、再び採用に多くのコストをかける悪循環に陥ります。そのため、現場の声を反映した働きやすい環境作りが大切です。
集客ができていない
多くの美容室が抱えるもう一つの課題は、集客力不足です。新規顧客が増えない、既存顧客がリピートしない、という状況に陥ると経営は困難になります。
特に新規開業の場合、認知度が低いため顧客が集まりません。広告やSNS、ポスティングなど、積極的なマーケティングが必要です。
また、ターゲット層が不明確だと、効果的な集客施策が打てません。たとえば、若年層をターゲットにする場合、InstagramやTikTokの活用は欠かせないでしょう。
ただし、以下事例からも分かるとおり、都内と地方では集客方法が異なるため注意が必要です。
実は、ご新規様の約8割はご紹介なんですよ。それが一番のやりがいですね。地元で開業して良かったと心から思えます。
都内に勤務していた頃は、同じ駅でも「南口には行くけど、北口には行かない」という人が多かったんですが、こっちだとそれがないんです。「同じ職場の人に教えてもらった」「家族の紹介で」という理由で、隣の市からわざわざ通ってくれる方もいるくらい。「紹介」はエリアを超えるんです。
引用元:モアリジョブ|「ambino」オーナー 蛸井タケミネさん
上記事例からも分かる通り、安定した集客の実現には、地域やターゲット層に応じたマーケティング戦略が重要になります。
立地選定のミス
美容室経営で見落とされがちなのが、立地の重要性です。どれだけ優れた技術やサービスを提供しても、立地が適切でなければ顧客に利用してもらえません。
たとえば、競合店が多すぎるエリアは、駅前や商業施設周辺は人通りが多い反面、競争も激しくなります。差別化できない場合、価格競争に巻き込まれるでしょう。
そのため、以下の事例からも分かる通り、事前のリサーチと将来性を加味した立地選定が重要です。
小さい街ながらも、美容室がない地区を選びました。
(中略)
それで友達に色々と情報を聞いて、美容室がまだ一店舗もなかった大町地区を選びました。
実は、大町地区は美瑛町の中でも新興住宅地として注目度が高く、新しい家が建ち並び、人口も増えてきているんですよ。若い世帯を含む色々な年代が住んでいる地区の方が将来的に良いだろうなと思ったんです。
引用元:モアリジョブ|「three peace」オーナー うらしままいこさん
開業前に十分なリサーチを行い、最適な場所を選びましょう。
接客や技術が不十分
美容室において、接客や技術は顧客満足度に直結する重要な要素です。これらが不十分だと顧客離れを招き、経営に悪影響を及ぼします。
たとえば、美容師がスキルアップを怠ると、最新のトレンドに対応できず、顧客に「古い印象」を与えかねません。特にトレンドに敏感な若年層は、技術力の高い店舗を求める傾向があります。
また技術力が優れていても、接客態度が悪いとリピート率は低下します。
接客や技術を高いレベルでキープするためには、定期的な技術研修や教育実績のある人材の採用がおすすめです。
スタッフの離職率が高い
スタッフの離職率の高さは、美容室経営における大きな問題です。人材不足は、サービスの質や店舗運営の効率に直結するため、たとえ売上が順調でも悪循環を引き起こします。
オープン半年後には、新規顧客が月に80人以上、顧客も順調に増えていきましたが、スタッフが次々とやめていき、新規顧客のほとんどを断るという事態に陥りました。自分のお店なのに、お客様にもスタッフにも常に気を遣い、なんでこんなに苦しまなきゃいけないんだろう。その時期がいちばん辛かったですね。
引用元:モアリジョブ|「Umineko」オーナー 古瀬ハナさん
スタッフの離職は、長時間労働や給与に対する不満が多いです。また、休暇制度が整っていない職場も離職率が高くなります。
離職率を低下させるためには、どういった人材を採用するのかが重要です。マッチ度が高ければ離職されづらくなります。
ASUNAROオーナーのMASAさんは、採用で大事なのは「素直さ」であると語ります。
一番は美容が大好きという気持ち。ストイックになれとは言わないけれど、美容が好きな人はどんどん突き詰めていくし、成長していくんですよね。もう一つが、素直さ。この二つが備わっていれば、あとはサロンがバックアップするので大丈夫です。
引用元:モアリジョブ|「ASUNARO」オーナー MASAさん
経営知識が不足している
美容室経営者の中には、美容技術に優れていても経営に関する知識が不足しているケースがあります。特に売上や経費の管理などの数値面で悩む経営者は多いです。
- 安定した来店がないと毎月の浮き沈みが激しく、気持ち的にしんどくなる時があります。(30代・美容師歴10年)
- 利益を出し続けることが難しいと感じています。(30代・美容師歴12年)
- 人件費や経費の管理は難しいです。(30代・美容師歴15年)
引用元:JOBOON
上記事例の通り、美容室経営では、設備投資や材料費、人件費などのコストがかかり、これらを適切に管理しないと、赤字経営に陥るリスクがあります。
また数値面だけでなく、新規顧客を獲得するための広告やSNS活用、リピーターを増やすためのキャンペーンなど、効果的なマーケティング戦略がなければ集客力は低下します。
以下の事例からも分かる通り、こういった経営判断は、経験にもとづいたものであれば成功につながりやすいため、店長経験があるようなベテランスタッフの採用も効果的です。
原宿で店長をしていたときの失敗を踏まえ、周辺地域で一番高いサロンよりやや安めの価格に設定しました。逆に高くしすぎると、学生さんが通いにくくなるので。エリアによって客層が変わる都内と違い、学区単位での集客になるため、どの年代でも通いやすい価格にした方が良いと考えたんです。
やはり、東京とは少し相場が違うので、料金設定は一番苦労しましたね。ただ、よくある「初回だけ安くて、そのあとは高い」「一年以上ご来店のない方は半額!」のようなことはせず、毎月ご来店の方が一番安くなる設定にしてきました。
引用元:モアリジョブ|「ambino」オーナー 蛸井タケミネさん
美容室の開業・経営を成功させるコツ8選
美容室の開業・経営を成功させるコツは次の通りです。
- 大幅な初回値引きを避ける
- リピート率にこだわる
- 開業準備の段階でコンセプトを明確にする
- 経営に関するノウハウや知識を習得する
- 従業員が働きやすい環境をつくる
- 店販を積極的に行う
- 採用ターゲットを明確にし、戦略的に採用する
- スタッフ育成に力を入れる
それぞれのコツについて詳しく解説します。
1.大幅な初回値引きを避ける
多くの美容室が新規顧客を呼び込むために、初回割引キャンペーンを実施しています。しかし、大幅な値引きは一時的な集客効果がある反面、長期的に見ると収益に悪影響を及ぼすリスクがあります。
オープン時はチラシを地域の方々に配り、初回料金も大幅に割引しました。2000〜3000 円くらい下げたときもありましたが、のちのち自分を苦しめてしまうことに…。最初は「どんなお店なんだろう」と好奇心で来てくれるけど、2回目以降に繋がりにくいなと感じました。2回目以降にぐんと価格が上がるのはお客様にとっても優しくないですよね。
だから、価格を設定するときは将来を見据えてしっかり考えた方が良いよ、とこれから開業を目指す人には伝えています。
引用元:モアリジョブ|「three peace」オーナー うらしままいこさん
上記事例の通り、極端な割引を行うと「安いから来店した」という顧客が増え、価格競争に巻き込まれます。その結果、リピートにつながりにくく、安定した経営が難しくなります。
したがって、初回値引きをする場合は「次回以降の割引券」や「特別メニューの体験」など、リピートにつながる仕掛けを用意するのが効果的です。
2.リピート率にこだわる
既存顧客のリピート率向上は、美容室経営の安定に直結します。
リピート率の向上には、心地よい接客やリラックスできる空間作りが重要です。また、ポイントカードや会員特典を設ければ、定期的な来店を促せるでしょう。
Uminekoを経営する古瀬ハナさんは、シャンプー・ブローサービスを付け、リピート獲得を狙いました。
来てくださった方全員に10日間無料のシャンプー・ブローサービスをつけていました。お出かけ前に髪を巻いたり、サービスで前髪をカットしたり。そうすることでリピートが増え、ついでに店販購入してくださったり、紹介も増えていきました。2ヶ月に1回の来店だと年間6回ですが、このサービスを実施することで年12回まで接触回数を上げることができたんです。当時、このサービスを実施しているお店は他にはなかったと思います。LTV(Life Time Value:顧客が生涯のうちにもたらす利益)に換算するとこれをやる意味は大きかったですね。
引用元:モアリジョブ|「Umineko」オーナー 古瀬ハナさん
3.開業準備の段階でコンセプトを明確にする
開業準備段階でのコンセプト設定は、美容室の差別化において欠かせないポイントです。この点、uruuオーナーの狩生さんはしっかりとしたコンセプトを掲げ、成功につなげています。
以前勤めていたサロンで、白内障や緑内障、レーシック、また美容整形など手術の後に顔を濡らすことができず、シャンプーに困る方が一定数いることを知りました。行きつけの美容院にシャンプーだけお願いしに行くのも気がひけるそうで、そんな方に気軽にきていただける場所を作りたいという思いから事業を進めることにしたんです。
(中略)
ほかのメニューを取り入れるメリットをあまり感じられませんでした。オペレーションが増える、原材料や教育の時間がかかるため、メニューを増やしても負荷が増えるだけかな、と。何でもできるサロンはほかにもたくさんあるので、シャンプー専門というニッチなところを攻めることで、わかりやすくお客さまに周知ができていると思います。
引用元:モアリジョブ|「uruu」オーナー 狩生志保さん
上記事例のように、ターゲット層の明確化がカギを握ります。「若年層向けのトレンド重視型サロン」なのか、「落ち着いた空間でくつろげる高級志向のサロン」なのか、ターゲット層を明確にすれば、必要な施策も具体化するでしょう。
4.経営に関するノウハウや知識を習得する
美容師としての技術力だけでなく、経営者としての知識も必要です。利益管理、マーケティング、法務、人事など、多岐にわたる分野のスキルを習得すれば、経営も安定しやすくなります。
自身に経営スキルや店舗立ち上げの経験がない場合は、それらの経験を持ち合わせた人材の採用がおすすめです。
経験者が一人いれば、開業後の慌ただしい時期を乗り越えられるだけでなく、長期的な経営も安定しやすくなるでしょう。
5.従業員が働きやすい環境をつくる
従業員満足度の向上は、美容室の成功に直結します。スタッフが働きやすい環境を整えれば、離職率を下げ、チームの生産性を高められます。
具体的には、競合他社よりも魅力的な給与・福利厚生を提供したり、面談を通じてスタッフの意見や要望を把握したりといった施策が効果的です。
また、普段の接し方も大切です。Dearsオーナーの北原さんは、怒るより褒めるほうが効果的であると語ります。
新規集客が大変でしたね。ほとんどのお客さまが常連の方で、月に多くても3人や5人しか新規の方の来店がありませんでした。
(中略)
実は、集客に効果的だったメールマガジンは、はじめは社内用に発行していました。怒るよりも褒めたほうが、スタッフは生き生き働くと気づいたので、『今日の○○さんは、この点がよかった』など、1000字ほど書いて全員に送っていたんです。1人あたり1時間ほどかけて毎日書いていましたたね。そのメールマガジンが、スタッフのご両親の目にとまり、そしてご家族の勤め先の社長まで読み始めたんです。その後、スタッフの身近にいる方がサロンに関心を持ち、お客さまとしていらっしゃったことで一気に新規集客が伸びました
引用元:モアリジョブ|「Dears」オーナー 北原孝彦さん
6.店販を積極的に行う
美容室経営において、施術以外の収益源として店販(ヘアケア製品の販売)はとても重要な要素です。店販を強化すれば従業員に依存せず売上をつくれるためです。
5人のスタッフで売上1,200万円(店販のみ)を超える「Clip Clap」のオーナー 庄司琢麻さんは、次のようにしてノウハウを習得したと語ります。
メーカー主催の勉強会やセミナーなどにこまめに足を運び、最新の商品情報や薬剤知識、マーケティング的な目線でどのようにしたら商品が売れるかを学びました。そこで得た知識をアレンジして、独自の接客方法を編み出しました。
学んだ知識をお客さまにお伝えすることで「この人は髪のプロフェッショナルだ!」という信頼感を得るのにも役立っていますよ!
引用元:モアリジョブ|「Clip Clap」オーナー 庄司琢麻さん
具体的な売り方についても解説してもらいました。
たとえばシャンプーを売りたい場合、いきなりお客さまに「シャンプーいかがですか?」と話し掛けるのは、すごく不自然ですよね(笑)。ですから、自然な流れでシャンプーの話ができるようなシチュエーションを作ります。
具体的にはシャンプーをする前に、アシスタントから「お客さまにあったシャンプーを選びたいので、髪の悩みを聞かせていただけますか。」と声を掛けます。「パサつきが気になる」などお悩みを教えてもらったら、髪にあったシャンプーを選び、実際にそのアイテムを使って洗髪をします。そうすると自然に「このシャンプーは、うるおいを保てるんですよ!」という具合に、アイテムの話ができますよね。問題解決のための手段の一つとしてナチュラルにアイテムを紹介できるのでおすすめです。
引用元:モアリジョブ|「Clip Clap」オーナー 庄司琢麻さん
上記事例のとおり、カウンセリング時に顧客の髪質や悩みに応じた商品を提案すれば、信頼感を高めながら売上を増加できます。
7.サロンの価値観と採用ターゲットを明確にし、戦略的に採用する
美容・ヘルスケア業界において、「人」の採用は事業の根幹を担う重要な要素です。しかし、この業界は専門性の高さや独立のしやすさ、流動性の高さから採用難易度が高いとされています。採用の際は適切なステップを踏み、戦略的に採用を進める必要があります。
そのためにもまずは、自社の価値観や志向を言語化しましょう。言語化の際には、「アットホームなサロン」や「働きやすい職場」などの抽象的な表現を避け、具体性を心がけることが大切です。
次にその価値観にもとづいて採用ターゲットを明確化します。そして、ターゲットとなる求職者に強く響くメッセージを作り上げ、最後に求職者の希望する条件(給与・社会保険・交通費など)を理解し、自社の求人が他社に埋もれないよう対策を講じます。
「売上が上がってから採用を考えよう」という発想ではなく、むしろ売上向上や事業拡大のための先行投資として採用戦略を構築することが大切です。
美容・ヘルスケア業界で採用成功率を上げるための具体的なステップについては、無料ダウンロードできる下記の資料で詳しく解説しています。
8.スタッフ育成に力を入れる
採用したスタッフの長期的な育成は、店舗全体の成長につながります。
スタッフの育成においてはまず、育成の基盤づくりが重要です。たとえば、スタッフが将来を見据えた成長を実感できるよう、明確なキャリアパスを設計します。明確なキャリアパスを示せば、離職率の低下やモチベーションの向上を図れるでしょう。
特に開業時は、将来的に店舗運営を担える人材をどのようにして育成するかの事前設計が大事です。
まとめ
美容室経営は、競争が激しく、成功するには準備と努力が必要です。しかし、経営のポイントを押さえ、課題を適切にクリアしていけば、安定した収益を得られます。
美容室経営を成功させるポイントは次の通りです。
- 戦略的な採用計画の策定
- ターゲットや出店場所などの事前リサーチ
- スタッフの働きやすい環境づくり
上記のポイントを押さえれば、美容室経営の成功率は上がります。ぜひこの記事をもとに踏み出してください。

- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部