美容室を開業する流れとは?保健所への手続きや開業届についても解説!
美容室は参入障壁が低く、小規模事業者の多い業界です。競合店が多いため、開業する場合は他店との差別化を意識しなければ、顧客の支持を得られず廃業を余儀なくされる恐れがあります。
コロナ禍が緩和して経済活動がもとに戻りつつあるなかでも、少子化や人口減少による過当競争は今後もまずます激しくなると予想されています。
人流が回復しコロナ禍が緩和しても、少子化や人口減少に伴う同業者間の競合は激化を増している。さらに、人件費増や電気代の上昇、商材の価格高騰も収益悪化に追い打ちをかけている。
技術や価格などでの差別化が困難な美容室を中心に、今後は淘汰が加速し、2023年の美容室倒産は2019年以来、4年ぶりに100件台に乗せる可能性も出てきた。
経営状況が厳しい美容室が増える中で、廃業のリスクを抑えて開業するにはどうすればよいのでしょうか。
本記事では、保健所・消防署への手続きや資金調達などの美容室の開業に必要な基本事項をわかりやすく解説。さらに開業に成功している美容室の事例を交えながら、長く存続できる美容室を開業するためのポイントについて説明します。
美容室を開業する流れ
美容室を開業するまでの流れは次のとおりです。
- 市場調査をする
- 事業計画を立てる
- 資金を調達する
- 保健所や消防署に開業の手続きをする
- 内装工事に着手する
- 設備や備品を購入する
- スタッフを採用する
- 宣伝活動をする
- 開業する
各ステップについて事例を交えながら概要を解説します。各項目の詳細については後述するので、そちらもご覧ください。
市場調査をする
開業するための準備として、まずは市場調査が欠かせません。
市場調査をする際には、出店を希望する地域の人口や世帯数、周辺施設、競合サロンなどから地域住民の特性を読み解き、需要があるかどうかをチェックすることが大切です。
メンズを得意として売り出しているサロンがあまりない割には、需要が高いことがわかったので、「W hair salon」はメンズ専門のサロンを大きく打ち出し、東京の有名サロンで磨いた技術力の高さを売りにしました。
美容関連施設が多い地域は需要が高いケースもあるため、あえて競合が多い地域で出店することで成功することもあります。
念のため市場調査もしてみたところ、美容系クリニックやサロンが立ち並ぶ、競争率が高い立地ということがわかりました。
ということは、それだけ美容にお金をかけている人がたくさんいるということ。そうなれば、お金ではなく私の想いを理解して頼ってくれる方が多いのでは?と思い、心機一転移ることにしました。
事業計画を立てる
市場調査が完了したら、事業計画をたてましょう。新規開業で金融機関から融資を受けたい場合はとくに、綿密な事業計画の立案が欠かせません。新規開業は経営の実績や金融機関からの信用に乏しいため、事業計画書をしっかり書いて事業が成功することを示す必要があるのです。
こっちで開業するとなると当然地方銀行でお金を借りなければいけませんが、僕はずっと東京で活動していたので、こっちでの実績はゼロ。集客をはじめ、全てのことがゼロスタートなわけなので、「お店を出します」と言ったところで銀行の信用を得ることは難しくて…。「根拠あるの?」と結構突っ込まれました(笑)。結局、事業計画の練り直し、練り直しで、予定より2ヶ月遅れでのオープンになりました。
事業計画の立て方についての詳細は、後述するのでそちらもご覧ください。
資金を調達する
美容室を開業するためには、店舗費や内装費、設備費、運転資金などを合わせて1,000万円~2,000万円が必要といわれています。
850万円借りることができました。自己資金650万円とあわせて、最終的な金額はトータルで1500万円。内訳は、内装費に950万円(デザイン料込み)、店舗費に150万円(敷金、礼金、仲介手数料、前家賃など)、美容設備費260万円(美容器具、材料、備品、商品)、その他諸経費と2か月分の運転資金130万円を合わせた金額です。自己資金の一部は両親から借りています
自己資金で足りない分は融資を受けて開業することになります。日本政策金融公庫の調査によると、開業資金のなかで融資が占める金額は約70%であることがわかりました。
▼開業資金の調達先の内訳
残りの約30%は自己資金を貯めたり、家族や友人知人から支援してもらったりして工面するケースが多いです。開業を目指す場合は融資に依存するのではなく、勤務しながら貯金してまとまった自己資金を準備することが大切です。
基礎はできていたので1年間ぶっ通しで仕事をして開業資金を貯めました。そして、25歳の後半にオーナーとして「Colors nail」をオープンしたんです。
広島のサロンで2年間働いて開業資金を貯め、また湘南に戻ってきました。大船のサロンに1年ほど勤めたあと、「LaidBack」を立ち上げたんです。
保健所や消防署に開業の手続きをする
美容室を開業する場合は、内装工事に着手する前に保健所や消防署で開業の手続きをして、サロンの図面を確認してもらい構造に問題がないかチェックしてもらいましょう。
キッズスペースなどの美容とは直接関係のないスペースについても、保健所に相談して内装工事に移る方が安心です。
だからキッズルームを設置するにあたり、保健所などにも相談をしてしっかりしたものを作りました。
内装工事に着手する
次に、内装工事に着手しましょう。美容室で内装工事に失敗しないためのポイントは、エアコンや空調には資金を投入して快適な空間づくりを目指すことです。空調設備の工事を開業後にやり直すと割高になるケースもあるため注意しましょう。
またコンセントの位置やドライヤーなどの電気設備にかかる容量で失敗しないためには、美容室の内装工事に慣れた業者に依頼することが重要です。
設備や備品を購入する
内装工事と同時に設備や備品の購入もはじめましょう。事前にリストを作っておくと、必要な設備や備品を漏れなく揃えられます。必要な備品を近隣の店舗で購入して関係を築いておくのもおすすめです。
技術以外の良し悪しの噂はすぐに広まって、独立後の売り上げを左右させてしまうと思います。開業前と後の挨拶、サロンに必要な備品とかは近隣のお店で買うなどしてお付き合いしていくことをおすすめします
スタッフを採用する
スタッフを採用する場合は、求人サイトを活用したり、知人の伝手を頼ったりするとよいでしょう。求人サイトを活用する場合は、美容関連に特化した求人サイトで募集をかけると美容師資格を持ったスタッフを採用しやすくなります。
(株)リクルート ホットペッパービューティーアカデミー 美容就業実態調査2023によると、転職先を探す美容師(ヘア)の場合、美容系専門の求人サイトを活用する人が10.4%だったのに対し、美容系専門以外の求人サイトを使う人は2.9%でした。
▼美容師が求職活動をする際に活用する媒体
求人サイトを採用に活かそうと考えている場合は、美容師に特化した求人サイトを活用すると、その他の求人サイトを活用するよりも応募者の母数が広がると考えられます。多くの母数のなかから採用した方が、技術力や接客力の高いスタッフを採用しやすくなるため、美容師特化型の求人サイトの活用も検討するとよいでしょう。
リジョブも美容師に特化した求人サイトの1つで、多くの利用者から満足の声をいただいています。詳しい資料を下記よりダウンロードできますので、ぜひ活用をご検討ください。
宣伝活動をする
開業の準備が整ったら、開業する前に宣伝活動を行いましょう。利益率を重視する場合は、ホームページを自作して集客するのも1つの手段です。
お店の開業時から今に至るまで、WordPressで自作したwebサイトでの集客を行っています。
お店の規模感や状況によっては、外部の予約サイトなどを利用したほうが効率がいいこともあると思います。しかし私のサロンのオープン時はひとりで切り盛りをしていたため、利益率などを考慮し、外部サービスを利用しない集客を行うことにしました。
また宣伝媒体で活用する写真の雰囲気を、ターゲットのニーズと一致させることもポイントです。
写真とターゲット層が合っていなかったんだと思います。スタイリッシュでとがった写真をなるべくやめて、お店のなかにある雑貨の写真や、柔らかい表情の夫婦の写真などに変えていったら集客サイトの閲覧数が急激に伸びて、そこから集客につながっていきました。
SNSからの予約経路も意識して開業前から発信をしておくと、開業後はスムーズに集客へとつなげられます。来店のハードルを下げられるようなプロフィール作りや投稿を行って、SNSから予約してもらえるようにしましょう。
SNSでの予約経路は意識しましたね。プロフィールから離脱する時間は5秒と言われているので、パッと見やすくするため、プロフィールにエリア名・得意スタイル・予約方法などを箇条書きに記載し、ストーリーには予約の空き状況や価格を記載。なるべく来店前のハードルを下げられるように工夫しました。
開業する
開業の準備が整ったら、地域住民にオープン日を告知しましょう。
開業の前にプレオープンという形で、知り合いや勤務時代の顧客を招いて試しに施術を受けてもらうのもおすすめです。顧客対応や施術に関してネックとなる問題を事前に洗い出すことで、本開業の際は余裕を持ってサービスを提供できます。
プレオープン、やってよかったです。カラーをするときはここに秤があると便利とか、シャンプー台に案内するときはこちらから回るといいとか、細かなことがすごくよく分かりました。時間の配分も分かりました。前の店でやっていた時間配分より、長めに設定しているんですよ。北山田駅から近いのですが、初めていらっしゃる方は迷うかもしれません。その分、ゆとりを持った方がいいと判断しました。
事業計画の立て方
事業計画を立てる際には、日本政策金融公庫が公開している創業計画書の記入例を参考にするとよいでしょう。
▼創業計画書(美容室)
ここでは事業計画の立て方について日本政策金融公庫の創業計画にある次の記入事項について解説します。
- コンセプトを決める
- サービス内容を決める
- スタッフの人数を決める
- 物件を決める
- 内装工事を計画する
- 設備費を見積もる
- 集客方法を考える
- 開業後の売上を予測する
事例を交えながらポイントを解説するので、参考にしてください。
コンセプトを決める
事業計画を立てる際は、はじめにコンセプトを決めることが大切です。コンセプトを決めることで、美容室のスタイルや内装、集客の方針を決められます。
まずはサロンのコンセプトにこだわりました。なぜならコンセプトが決まらなければ、スタッフがどのようなスタイルを目指せばよいのかわからないうえ、お店の内観も作ることができません。さらに集客のための発信もどのように打ち出せばよいのかわからないので、お店の魅力がまったくお客さまに届かないんです。
コンセプトを決める際には、市場調査の結果をもとにまずはターゲットを設定するとよいでしょう。ターゲットとは性別や年代、職業、家族構成などの顧客の属性をさします。はじめにターゲットを設定すると、コンセプトも明確になりやすく内装や施術メニューを他店と差別化しやすいのです。
小さなお子さんがいる主婦層の方をターゲットにしています。
特にAmeri chouchouの店舗にはキッズスペースがあり、お子さんと一緒に同時施術ができて嬉しい!という声をよくいただきます。もちろん、Ameri Love Hairでも歓迎しております!
ターゲットが定まらない場合は、他の要素をもとにコンセプトを決めるのも1つの手段です。たとえば次のようなコンセプトで、顧客の支持を集めるケースもあります。
▼公益性をコンセプトに掲げた事例
『オーガニック&サスティナブル』という強いコンセプトを掲げているからだと思います。少し補足すると『オーガニック』とは、農薬や化学肥料を使わずに農産物を作ることです。そのため、サロンでは自然由来の成分から作られている商材を扱っています。
また『サスティナブル』とは、『持続可能であること』を表している単語です。美容室に関わることでは、土に帰るボトルを採用している商品の導入などがあります。つまり『CANNA』は、生物と環境に優しい美容室です
▼自分の得意分野をコンセプトにした事例
サロンで働いた時にショートカットスタイルで全国ランキングの3位に入ったことがあり、オーダーがどっと増えた時期がありました。そこで徐々に力を入れ始め、その頃から肩書を付ける美容師が増えてきたので、僕も『ショートカット専門美容師』と名乗ることに決めたんです。自分にコンセプトを設定する時は、好きなものから見つけることがとても大切だと思います
サービス内容を決める
次にコンセプトをもとにサービス内容を決めましょう。サービス内容を考える際には、他店との差別化を意識することが大切です。まずは施術サービスで、他店との差別化を図れるか検討してみてください。
▼マンツーマン施術で差別化
他のサロンはわりと高めの料金でスタイリストとアシスタントが担当をしているようでしたが、うちでは完全にマンツーマン。ひとりのお客様につき、ひとりのスタイリストが全ての施術を担当するようにしました。他のサロンとは違う体制をとったことがいい結果に繋がったと思います。
▼得意な施術スキルで差別化
ゼロからのスタートであれば何か特化したメニューなどを作るのもいいと思います。僕の場合は髪質改善ですが、メンズサロンとか、明るいカラーに特化したサロンとか、何か得意なことに特化すると、お客様も選びやすくなり集客のきっかけになるんじゃないでしょうか。
施術サービスで他店と違いをつけづらい場合は、施術以外の要素で他店と差別化するのも1つの手段です。たとえば次のような差別化の方法もあります。
▼こだわったサービスドリンクで差別化
サービスドリンクもこだわっているポイントです。コーヒーは本店で豆から挽いており、お客さまのタイミングに合わせてドリップしてご提供しているんです。『インスタントとは違う本格的な味わいを楽しめる』と好評をいただいていますね。他にもハーブティーを3種類用意していてこちらも人気です。基本的な接客はできて当たり前ですから、小さなサービスにこだわってお客さまの満足を提供することが大切だと思っています」
▼送迎サービスで差別化
送迎サービスはこのお店ができた時に始めました。これも他で送り迎えをしている美容室がなかったのでやろうと。もしかすると、個人店とかならあるのかもしれませんが、うちではちゃんと専用の車を買って専用のドライバーを雇っています。送り迎えも相乗りではなく個別でお迎えにいくので、そういうサービスをしているところはあまりないと思います
スタッフの人数を決める
店舗の広さに合わせて採用するスタッフの人数も決めましょう。理美容室(床屋)専門の店舗デザインを扱うLofty Designによると店舗の広さに対応したスタッフ数の目安は次のとおりです。
美容室の広さ |
スタッフ数 |
10~15坪 |
1~3人 |
20~30坪 |
4~8人 |
30坪以上 |
30坪以上 |
スタッフ数が多いと勤怠管理が複雑になるため、デジタル管理を導入するなどの対策を考える必要があります。
発熱期間は有給で休むけれど、そこから2週間は自宅待機ということで有給ではなく会社の指示で(出勤扱いで)休ませたりする。そういったいろんなパターンが出てくると、スタッフ数が多い場合、全員の勤怠の内容まで把握するのが難しくなってきます。
これまではシンプルなタイムカードを使っていたのですが、そのあたりをしっかり把握するためにも、完全にデジタル管理に移行しました。
スタッフが増えると、それをまとめる難易度が上がる反面、顧客の多様なニーズに対応しやすい点がメリットです。
そんな多様なニーズに寄り添うことができるように、お店としてもスタッフの個性による感性のバリエーションを豊富に揃えておくことがベスト、というのが僕の考え方だからです。美容師の個性がお客様それぞれの個性を輝くものにできるように、僕としてできることは各々のスタイリストの色を生かし、伸ばすことで大切にしていきたいと感じています。
物件を決める
物件を探す際には、まずはターゲットが通いやすい立地を意識することが大切。さらに適切な物件を見つけたら、他社に契約される前に物件を確保するスピード感も重要です。
“30代~40代の主婦層が住んでいて、世帯的にも余裕のある人が多く住んでいそうな町”と設定し、気になるエリアをいくつか散策。当時、美容院が少なく、ギャラリーやカフェが増える時期でこれから注目を集めるエリアだと思い、清澄白河で探そうと決めたその日に不動産屋さんへ。ここを紹介されて、速攻契約。実はこの物件、何年か前に通った時にはギャラリーをやっていて、“いつかここで美容室ができたら最高だな”と思っていた物件なんです。ここだ! と思ったらすぐに契約をするスピード感が重要です
居抜き物件を契約して店舗費を抑えると、スタッフの給与や求人、広告などの店舗運営に必要な費用に資金を投入できます。
最初に見栄を張ってお金をかけすぎないこと。自分の理想のサロンを作りたいと思うと、いつの間にか費用がかさんでしまうので(笑)、まずは見栄を張らずに。僕も当時はイヤだったんですが、今だったら居抜きの物件を選ぶし、固定費を下げることを考えます。逆にスタッフの給料や求人費にお金をかけるほうがいいと思いますよ。
内装を計画する
内装は工夫次第では、美容室の集客にも影響を与える重要な要素の1つです。たとえば外から内装が見えるようにして目立たせると通りかかった人にアピールできるため、集客につながります。
なるべく目立つような内装にして、通りかかった人がここは何だろう?と気になるようなお店にしました。内装が真っ白ですごく目立つんです。さらに店名もわざと読みづらいものにして、通りかかったときに何度も見てもらえるようにしました。お店の前に信号があるんですけど、変わるのに時間がかかるので、車のなかからも見て気になる存在になっていたんではないかと思います。
内装も赤を基調にしたポップなデザインに。西荻窪店は全面ガラス張りで店内が外からよく見えるので、道行く人が赤い色に惹かれて来店してくれることも多かったですね。ネットが普及する前だったので、集客の上でもかなり効果的でした。
顧客の来店からお帰りまでの導線を整えることで、リピート率に良い影響を与えた事例もあります。
僕は『お客さまが通る導線を完璧にすることが大切だ』と思っています。言い換えると、『ご来店からお帰りまでを満足させ続ける』ということです。
そこで、僕たちは内装作りに徹底的にこだわりました。
この美容室では、待合室のカウンターの向きやロッカーに工夫を凝らしてリピーターを増やすことに成功しました。
設備や備品にかかる費用を見積もる
美容室の場合、規定の設備を見込んで費用を見積もるとまとまった初期費用が必要になります。そのため開業資金に限りがある場合は、自宅サロンを開業する方法もあります。
サロンを開くには、水回りや、換気扇、壁紙、床の素材など規定のものにする必要があり、初期投資はそこそこ掛かりますが、美容師という大好きな仕事を長く続けていきたいという思いや、周りの協力もあり、自宅サロンをつくることに決めたんです。
開業に必要な費用を正確に把握するためにも、必要な設備や備品をリスト化して、漏れなく費用を見積もるようにしましょう。設備や備品の詳細については後述するので、そちらもご覧ください。
集客方法を考える
美容室の場合、インスタグラムやX(旧ツイッター)、YouTube、TikTokなどのSNSを使った集客方法は無料でできるため主流となっています。
SNSを活用する最も重要なメリットは、自分を知ってもらうきっかけ作りです。もしSNSを活用しない場合の美容師の働き方は、どうしてもお店が集客したお客様の施術をこなすだけになってしまう。自分に集客できる力がなければ、会社に依存しなければいけなくなるんです。
自分で集客できるきっかけを作るため、自立できる美容師になるためには、SNSでの発信はマストになっています。SNSをしていない美容師は、現状ほぼいないのではないでしょうか。
美容師がどんな人なのかわかることで、見ている方に安心感を与えることができるんです。新規のご来店のハードルを下げるためにも僕自身が写真や動画にうつって、自分の言葉で伝えることを心掛けています。
インスタのDMなどで個人の予約をいただくようになったのは発信に力を入れて半年くらいでした。現在はほとんどの予約がTik Tokやインスタグラム経由で入ります。
SNS以外にも、ホームページで集客に成功した事例もあります。下記は美容室のホームページにヘアにまつわるQ&Aを掲載したところ、人気サイトに成長して集客につながった事例です。
サイトづくりは、前職のサロンに在籍時から5ヶ月間かけて行いました。予約などができる基本的な機能にプラスしてヘアのお悩みに関するQ&Aのコーナーを設置した点が特徴的だったように思います。私が美容師として働く過程で学んできた知識を、そっくりそのままサイト上に移植するイメージでQ&Aを作成しました。このコーナーが、集客につながった実感があります。
ホームページからの予約数を増やす方法として、SEO対策によりGoogle検索で上位表示させてアクセス数を伸ばすやり方もあります。
まずはGoogle検索で上位にくるようなキーワードを調べます。ざっくりと「ショートヘア」だけでは母数が大きすぎるので、「ショート 長め」「刈り上げショート」に絞り込み、その中で上位を狙う。毎回、キーワードを戦略的に定め、その内容に特化した記事を書くようにしています。
開業後の売上を予測する
事業計画書には開業の売上予測を載せて、事業が軌道に乗るまでの根拠を示すことが大切です。それが金融機関から希望通りの融資を引き出すことにつながります。
美容室の場合、次の計算をもとに売上を予測するとよいでしょう。
月間売上=客単価×設備単位数(座席など)×回転数×1ヵ月の営業日数(※1) |
たとえば次の条件で美容室の売上を計算してみましょう。
- 客単価が6000円
- 椅子が4台
- 1大当たりの回転数が1日3回転
- 月に25日稼働
以上の条件を月間売上の計算式に入れると、180万円になります。売上予測から経費を差し引いた金額が利益です。実際に事業計画書に記入する際には、開業後どれくらいで黒字化するのかを示す必要があります。
※1 参考:創業において「事業の見通し」は根拠を計算式で示す|石黒健太税理士事務所
資金の調達方法
美容室の開業に必要な資金の調達方法として一般的には、自己資金や親族からの借り入れ、日本政策金融公庫の融資の3パターンが考えられます。
自己資金
自己資金とは自分で所有するお金をさします。自己資金を準備しておくと、それが地道に開業の準備を進めてきたことを証明することになります。金融機関に計画的であることを示し信用を得られるため、融資を受けやすくなるのです。
また開業資金のなかで自己資金の占める割合が高いと、金融機関への返済額を抑えられるため、経営が安定しやすくなります。金融機関から融資を受けるためには、開業資金の3割以上の自己資金を準備しましょう。(※2)
※2 参考:融資を受ける際の自己資金とは?|創業融資ガイド
親族からの借り入れ
親族からの借り入れで自己資金をカバーするケースも多いです。親族から借り入れる場合は、利息をつけて毎月決まった金額を返済するようにしましょう。
利息や毎月決まった金額の返済がない場合は、親族からの贈与と見なされて税金の支払いが発生する可能性があります。ただし親族から支援してもらった金額が110万円以下の場合は、贈与税は発生しません。(※3)
※3 参考:贈与税がかかる場合|国税局
日本政策金融公庫からの融資
美容室を新規開業する場合、まずは日本政策金融公庫に融資の相談をするのが一般的です。日本政策金融公庫には「新規開業資金」と呼ばれる融資枠があり、新しく事業をはじめる人や事業開始後7年以内の人に7,200万円(うち運転資金4,800万円)を上限に新規開業をサポートしてくれます。
設備資金の返済期限が20年以内、運転資金の返済期限は10年以内に設定されており、据置期間も5年以内で対応してもらえるので新規開業者でも比較的無理なく返済計画を立てられます。新規開業資金についての詳細は、日本政策金融公庫の公式ページをご覧ください。
美容室の開業で必要な手続き
美容室を開業する際には、保健所や消防署で手続きをする必要があります。また税務署には開業届を提出しましょう。スタッフを雇う場合は、労務関連の手続きも必要です。
保健所に開業の許可を申請する
美容室を開業する前に、保健所に以下の書類を提出して開業の許可申請を行う必要があります。(※4)
- 美容所開設届
- 従業者名簿(有資格者の免許証、健康診断書、管理美容師の講習終了証)
- 構造設備の概要(美容所の平面図)
- 住民票の写し(開設者が外国人の場合)
- 法人の登記事項証明書
美容所開設届の書式は、各地域の保健所のホームページからダウンロードできます。
※4 参考:美容所のてびき|東京都西多摩保健所
消防署の検査を受ける
建物の面積や構造が一定の基準を超えた場合は、開業前に消防署による消防用設備の検査を受ける必要があります。
さらにテナントを借りて開業する場合は、防火対象物使用開始届出書や防火対象物工事等計画届出書の提出も必要です。それぞれテナントを使用する7日前、テナントを工事する7日前に消防署に提出する必要があります。(※5)
※5 参考:新たにテナントを使用する皆様へ|東京消防庁
税務署に開業届を提出する
美容室の開業後は1ヵ月以内に税務署に開業届を提出しましょう。開業届を提出しなくても罰せられることはありませんが、次のようなメリットがあるので、開業届を提出することをおすすめします。
- 青色申告を選択することで、所得から65万円を控除して所得税を計算できる(税金が減る)
- 屋号で銀行口座を開設できる(美容室用の銀行口座を作れる)
- 開業届を就労証明として利用できる(子ども保育園に預ける際に就労証明を提出できる)
(※6)
※6:個人事業主になったら開業届は必要?手続きやメリットは|株式会社クレディセゾン
労務関連の手続きを行う
スタッフを雇用する場合は、年金事務所やハローワークなどで労働保険や社会保険関連の手続きをする必要があります。
労働保険関連の手続きを完了させるためには、次の書類を労働基準監督署やハローワークに提出する必要があります。(※7)
- 保険関係成立届
- 概算保険料申告書
- 雇用保険適用事業所設置届
- 雇用保険被保険者資格取得届
法人または、従業員を5人以上雇う個人事業主の場合は、社会保険関連の手続きが必要です。(※8)手続きに必要な書類は次のとおりです。(※9)
- 新規適用届出
- 被保険者資格取得届
- 被保険者異動届
- 履歴事項全部証明書又は登記簿謄本(法人の場合)
- 事業主の世帯全員の住民票(個人の場合)
※7 参考:労働保険の成立手続|厚生労働省
※8 参考:社会保険(厚生年金保険・健康保険)への加入手続はお済みですか?|厚生労働省
※9 参考:健康保険・厚生年金保険 新規加入に必要な書類一覧|日本年金機構
内装にこだわった美容室の事例
ターゲットやコンセプトを加味したうえで内装にこだわると、新規集客やリピーターの増加につながります。内装にこだわった美容室の事例を3つ紹介するので、参考にしてください。
非日常感を味わえる美容室
ヘアサロン「hair+resort valentine」は、リゾート感を意識した内装で女性顧客の集客に成功しています。店内は中世の古城をイメージして作られており、プラネタリウムが設置されたシャンプールームで顧客が非日常感を味わえるように工夫されています。
30台前後の働く女性をターゲットにして、リラクゼーションをコンセプトに打ち出すことで顧客からの支持を集めています。
個性的なコンセプトを出そうとしたときに、思いついたのが中世の古城でした。お客さまに非日常感を味わっていただくことで、よりリラックスしていただけると思っています
このサロンがリラクゼーションを売りにしていることもあり、来ていただくお客さまのほとんどが30代前後の働いている方が多いんですね。なので自分でも扱いやすいスタイルをメインのコンセプトにしています。あまり奇抜な感じのスタイルというよりは、好感度が高いスタイルですね
シンプルで落ち着ける美容室
ヘアサロン「ILUM hairsalon」は「普通を極めた美容室」をコンセプトに掲げ、通いやすい美容室として成功しています。顧客の60~70%がリピーターで、多くの顧客に繰り返し来店してもらうことに成功しているようです。
内装もコンセプトに合わせるかたちで、シンプルで落ち着ける空間を意識しています。中の様子がわかりやすい内装であるため、入りやすい美容室として集客にも好影響を与えています。
入り口の窓が大きいので、中がよく見えるんですよ。お客さまが入っている状態が外からも見えることでいい宣伝になると思い、この物件を選びました。8坪しかないのですが、開放感があるおかげで狭く感じないところもポイントです。空間のコンセプトとしては僕自身がカフェの雰囲気が好きなのでそこを目指しています。木目と白を基調に観葉植物を置いて、しかしおしゃれにしすぎると入りづらいと思うのでここでも「普通の美容室」を意識してシンプルで落ち着く内装にしました。ターゲットである大人の女性がリラックスできる場所になっていると思います。
ナチュラルな内装が人気の美容室
ヘアサロン「mieno」はナチュラルな内装で多くのファンを集め、20年以上営業を続ける老舗の美容室です。「オーガニック、ナチュラル」のコンセプトに合わせて内装が整えられており、それが顧客からの共感を得ています。オーガニック志向が高まりを見せる今の時代の流れに合ったサロンとして、他店との差別化にも成功しています。
オープンしたばかりの頃は、まだ若かったので漠然としていましたが、経営をするなかでだんだんと確立していきました。コンセプトとしてはオーガニック、ナチュラルにこだわって、お客さまの髪をきれいにするということを使命としています。薬剤は体につけるものですし、体に悪いものが入っていないものを使っていきたいと思ったんです。僕の感性にも、時代にも合っている気がしています。今ではオーガニックに特化したサロンとして認知していただけるまでになりました
美容室の開業で必要な設備や備品
ここでは美容室を開業する際に必要な設備や備品を紹介します。
施術に必要な設備
施術の際には、次のような設備が必要です。
- シャンプー台
- スタイリングチェア(カット椅子)
- 鏡(スタイリングウォールミラーなど)
- パーマ用機器
- パーマロッド
- カラーのための加湿器 など
施術の利便性を考慮してコンセントを多めに設置するケースもあります。「SYNERGY SALON NEHAN」では、1つの施術ブースにつき6~8個のコンセントを設置して業務の効率化を図っています。
僕は、スムーズな施術をご提供するためには『コンセントの数が、想像以上に大切だ』と思っています。たとえば4つしか用意がなければ、アシスタントと2人でお客さまを担当する時に差し込み口が足りずに困ることがあります。また、延長コードを使い無理やり増やしてしまうと、コード床を走っているため美容師が動きにくくなる
インテリア
美容室に次のようなインテリアを設置すると、空間に彩を添えることができます。
- 時計
- 照明
- 待合室のソファ
- 観葉植物
- ゴミ箱 など
施術スペースの照明を調整できるようにしておくと、カットだけではなくヘッドスパなどのリラクゼーションメニューも対応しやすくなります。
ただ、賑やかなカットスペースとは違う静かな空間も作りたかったので、シャンプースペースは照明を落とし、ヘッドスパが受けられる個室も設けています。特にヘッドスパは力を入れているメニューなので、周りの音を遮断して心身共にリラックスできる空間にしました
リラクゼーションを意識した店舗づくりをする場合は、明るさを調整できる照明を取り入れるとよいでしょう。
施術に必要な道具
施術に必要な道具は主に次のとおりです。
- シザー
- シザーケース
- コーム
- パーマ用品(パーマロッドなど)
- ドライヤー
- ヘアーアイロン
美容業界で活躍するトップスタイリストのなかには、複数のコームを使い分けているケースもあります。
細い櫛目で柄の細いものは、ハイライト用に使っています。同様に、細い櫛目だけれど、やや柄が太いものは、ストレート用。地肌にあたっても痛くないので、お客様に対しても優しいかな、と。ほかに、メンズ用など、カットする相手や用途によって使い分けるようにしています。とくにブランド等のこだわりはないのですが、使用頻度の高いコームは、2本ずつシザーケースに入れてあります。
利用頻度の高いコームは2本準備しておいて、落としてもすぐに施術を続けられるようにしているようです。
施術で使う消耗品
施術で使う消耗品には、主に次の項目が考えられます。
- シャンプー
- トリートメント
- カラー剤
- パーマ液
- スタイリング剤
- 施術用手袋
- ケープ など
消耗品はECサイトから手軽に購入できますが、顧客の要望に合わせて海外から取り入れる美容室もあるようです。
カラーも流行りすたりが早いので、薬剤も常に新しいものを取り入れています。カラー剤においても流行りの外国人風の薬剤ばかりでなく、海外から仕入れたものも使用しています。20代半ばから30代のお客さんも多いので、落ち着き感とナチュラルな透明感があるカラー剤をおすすめしたりしています
また比較的高価な消耗品を安く仕入れできるように工夫すると、低価格ながらも高品質なサービスを提供できるため顧客満足度の向上につながります。
そういう知識のあるお客様が多いのです。これら最先端&高品質の薬剤をさまざまな工夫を重ねて安く仕入れることができていますので“低価格かつ高品質”が実現できているのです
その他の消耗品や備品、設備
その他の消耗品や備品、設備として次のようなものが挙げられます。
- トイレットペーパー
- ハンドソープ
- 雑誌
- 洗剤
- 事務用品
- 清掃用具
- ショップカード
- 予約管理システム
最近では予約管理システムを導入しておくとスタッフと顧客の利便性が高まるため、美容室運営の効率化や集客に良い影響を与えるケースも多いようです。
しかし、予約システムを入れて自動化したところ、電話対応の負荷が減り、圧倒的に楽になって驚きました。
当サロンは火・水曜日の週休2日なのですが、休業日でも予約を入れていただけているのは、予約システムを導入した大きな成果です。
スタッフの採用方法
スタッフを採用する際には、ミスマッチが起きないようにすることが大切です。たとえばチームプレイを重視する美容室で、個人を優先する人材を採用するとミスマッチが生じて早期離職につながります。
個人でやっていく方が性に合っていたということで、チームプレイを大切にするLondのビジネスモデルとのミスマッチがあったということだと思います。離職は少ないとはいえ、やっぱりそういうリスクはあるので、そのあたりは今後もしっかり伝えて、その方が目指す美容師像とのミスマッチがないようにしていきたいと思っています。
ミスマッチが起こらないようにするためにも、美容室の運営方針については採用前にしっかりと伝えることが大切です。
また条件面についてすり合わせを行って、スタッフが入社後に入社したことを後悔しないようにすることも重要です。雇用形態や給与体制などを丁寧に説明して、しっかりと情報を開示しましょう。
選考に進む前に条件やサロンについての説明を丁寧に行う、サロン見学の機会を必ず設けることです。このステップによって採用後のアンマッチを防ぎ、気持ちよく働けるように心掛けています。
サロン見学では30~60分ほどをかけて、設備や道具、雇用形態、給与体制、お店のスタイルなどについて説明します。サロン見学の終わりに「もし興味があったら名刺のアドレス宛に連絡をください」とお伝えをして、選考に進むかどうかを本人に委ねるようにしています。
次の記事では、美容師の採用でやるべきことについてターゲットとする人材別に紹介しているので、ぜひご覧ください。
集客活動のやり方
美容室における集客活動のやり方には大きく分けて、オンライン集客とオフライン集客の2パターンがあります。モアリジョブが行ったアンケート調査によると、ホームページの作成やSNSの活用などのオンライン集客に力を入れる美容室が比較的多い傾向です。
▼美容室が取り入れている集客方法
オンライン集客のやり方としては、他にも予約サイトを活用するケースも目立ちます。予約サイトは経費がかかるため費用対効果を考えつつ集客に活用することが大切です。
オープン当初から現在まで美容の予約サイトに登録しています。広告は経費がとてもかかるので費用対効果を考え、しっかりと使いこなす工夫をすることが大切。たとえば最初に画面に出てくるヘッダーやスタイルの写真をつねに更新したり、クーポンを定期的に見直したり、とにかく頻繁に見直して改良して、たくさんの方に目に留まってもらえることを考えています。おかげさまで予約サイトからの予約も多いですね。
店舗集客については次の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。
スタッフを雇用して美容室を開業するメリット
スタッフを雇用して美容室を開業すると、集客や店舗運営の効率化の面で大きなメリットがあります
SNSを効果的に活用できる
スタッフを雇用することで、SNS運用をスタッフに任せることができます。複数のスタッフがSNSに美容室の情報を発信することで、存在をアピールすることも可能です。ヘアサロン「air」では、複数のスタッフに店舗情報を同時に発信してもらうことで、投稿をバズらせて集客することに成功しています。
最近はSNSでの集客が主流なので、スタッフそれぞれでも力を入れて更新していますよ。ただ、SNSは話題にならなければ意味がありません。そこで『air』では新店舗オープンなどお知らせごとがある場合には、同時刻にスタッフ全員で同内容を発信するんです。すると、うちのスタッフを複数フォローしている数十万人のタイムラインが『air』の情報だらけになり、見た方に強烈な印象を残します。このような人為的にバスらせる戦略をはじめ、さまざまな手法を常に考えています
引用:モアリジョブ|ヘアサロン「air」ディレクター 金丸佳右さん
ただしSNSのテクニックで集客するだけではなく、スタッフの施術スキルを上げて来店した顧客に満足してもらうことも大切です。
まず技術面では、確かな技術でいいヘアスタイルを提供すると、それだけでリピートの確率が上がります。お客さまは周りから褒められて『この人に切ってもらってよかった』と思ってくれますから。最近はSNSの技術が上がって魅せ方ばかりうまくなっている美容師が多いように感じますが、やっぱり本質である技術をおろそかにすると本末転倒ですね。
引用:モアリジョブ|ヘアサロン「air」ディレクター 金丸佳右さん
対応できる顧客数を増やせる
「Nailsalon.BIEN」のオーナー兼ネイリストの稲村裕子さんは、ネイルサロン開業当初はひとりで施術を行っていました。しかし、その状況に限界を感じ、スタッフを6名雇用したそうです。
「Nailsalon.BIEN」は私が出産するまでは、ひとりで長く営業を続けていました。このままひとりで続けようかと思ったこともありましたが、それには限界があって。昨年からスタッフ募集を行い、一気にネイリストを増やしました。現在は私も含めて6名のスタッフが在籍しており、うち4名は子育て中のママさんです。
引用:モアリジョブ|「Nailsalon.BIEN」オーナー ネイリスト 稲村裕子さん
スタッフを雇うと、事情により出勤できないときにスタッフが代わって顧客対応してもらえるため失客を防げます。また既存顧客で予約が埋まってしまう場合は、スタッフを雇うことで新規顧客に対応できる余裕が生まれます。
子どもが熱を出したときに出勤ができなくなるなど、お客さまに迷惑をかけてしまい、失客をすることもありました。それでもなんとかリピーターさんに来ていただいて経営を続けていたのですが、昨年頃から育児も落ち着き、本格的に働ける状態になったので、新規のお客さまにも来ていただくためにスタッフの増員を行ったんです。現在はより多くのお客さまを対応できるようになり、その分売上も上がりました。
引用:モアリジョブ|「Nailsalon.BIEN」オーナー ネイリスト 稲村裕子さん
顧客が増えて1人で対応するのが難しくなったタイミングで、すぐにスタッフを雇える体制を整えておくことも大切です。
役割を分担できる
美容室「middle daikanyama」では、スタッフに得意な仕事を任せて業務を効率化しています。たとえばスタッフが美容予約サイトやインスタグラムアカウントの運営が得意であれば、その運用を任せています。各スタッフの特性に合わせた役割分担で、集客を効率化しているのです。
それぞれが得意な分野でお客さまが増やせたらいいなと思い、各スタッフの性格に合わせた集客を行っています。
具体的には、あるスタッフには美容予約サイトの運営を任せて、メルマガや企画などに積極的に参加してもらったり、お店の公式サイトを任せているスタッフには、お店のインスタグラムアカウントも併せて運営してもらったり。各スタッフとどんなところで集客していくかを話し合いながら、完全に任せるのではなく協力してやっています。
引用:モアリジョブ|「middle daikanyama」代表 丸岡奈央さん
またスタッフの得意スタイルをSNSにアップしてもらい集客を伸ばしています。スタッフと協力することで信頼関係を築きながら売上アップに成功しています。
まずはスタッフとの信頼関係を構築すること。スタッフを巻き込み、二人三脚で成果を出すことです。具体的には、ショートスタイルが好きなスタッフには「私もショートが好きなので、お互いに上がっていけるように協力してSNSにショートスタイルをアップしよう」と働きかけたり。小さなことでも、一緒になって結果に結びつけることができれば、信頼関係が構築されます。
引用:モアリジョブ|「middle daikanyama」代表 丸岡奈央さん
タイトル
本記事を総括すると次のとおりです。
- 美容室を開業するためには保健所や消防署などへの届出が必要
- 事業計画を立て自己資金を確保して融資の相談に行くことが大切
- スタッフを雇用すると集客にも取り組みやすくなるため、売上アップにつながる
美容室を開業する場合は、手続きや資金確保などの開業をスタートさせることにばかり注力するだけではなく、開業後の展開にも目を向けることが大切です。
具体的にはターゲットおよびコンセプトの明確化や、競合店との差別化を意識しましょう。それが売上アップにつながり、美容室を軌道に載せることにつながります。さらに売上を伸ばしたい場合は、スタッフを採用したり、教育したりすることも想定して事業計画を立てるとよいでしょう。
- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部