ハローワークで求人が掲載されるまでの流れ6ステップ!費用や注意点、メリットについても解説
ハローワークは無料で掲載ができるうえに、利用する求職者が多い魅力的な求人媒体です。これから採用活動をはじめるにあたり、まずはハローワークを利用しようと考える方も多いのではないでしょうか。
経営者や採用担当者には意外と知られていないことですが、ハローワークは仕組みを理解すれば求職者へアピールするための効果的な手段です。
なぜなら、失業中の求職者の7割以上が失業手当を受け取るためにハローワークを訪れるからです。求職者のなかには、ハローワークでそのまま活動をはじめようと考えるケースも多いと考えられます。
さらに失業手当の給付を受けるためには、ハローワークやその他の民間機関で月2回以上求職活動をする必要があります。失業手当を継続させるためにも、ハローワークは定期的に利用されやすい機関といえます。
また、ハローワークと連携する職業訓練校で技術を習得した人材にアプローチできることも利点です。
今回は、ハローワークの公式サイトに掲載されている情報をわかりやすくまとめました。ご覧になると、求人を掲載するまでの流れや注意点、メリットを一通り把握できます。
民間の求人事業者を併用すべき理由についても解説するので、ハローワークの利用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ハローワークで求人掲載するまでの流れ
ハローワークで求人掲載するまでの流れは、次のとおりです。
- 事業所を登録する
- 求人情報の入力をする(求人申込書に記入する)
- ハローワークの窓口で登録内容を確認する
- 求人情報が公開される
- 求職者を募集する
- 採用の可否を決定する
各手順について詳しく解説します。
事業所を登録する
まずは事業所を登録しましょう。ハローワークを訪れて登録する方法とインターネットサービスを利用して登録する方法の2パターンがあるので、それぞれ解説します。
ハローワークを訪れる場合
ハローワークを訪れた際に、まずはハローワーク内にあるパソコンで事業者情報を入力して仮登録をします。その後、ハローワークの担当者が仮登録の内容を確認すると、本登録が完了します。
もしパソコンを使った仮登録が難しい場合は、ハローワーク内にある求人申込書に記入して窓口に提出する方法でも、仮登録が可能です。
▼事業所の仮登録の際に記入する書類(1枚目の表面)
申込書に記入して事業者情報を登録する場合は、以上のような書類を全部で6ページに分けて記載する必要があります。
ハローワークインターネットサービスを利用する場合
会社からハローワークインターネットサービスを利用して仮登録をする場合は、当該サイトにアクセスしたうえで事業所情報を入力します。
ハローワークと会社のパソコンから、ハローワークインターネットサービスで仮登録をする場合に必要な情報は次のとおりです。
情報の種類 |
記入項目 |
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企業基本情報 |
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事業所基本情報 |
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事業所詳細情報 |
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事業所就業場所情報 |
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事業所PR情報 |
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求人情報の入力をする(求人申込書に記入する)
事業者情報を入力して仮登録が済んだ後は、引き続き求人情報の仮登録を進めます。
ハローワークを訪れる場合
求人情報を仮登録する場合も、事業者情報の仮登録と同様に、ハローワーク内のパソコンを使って入力できます。
パソコンを利用して求人情報を入力できない場合は、求人申込書に記入して仮登録を進めることも可能です。
▼求人情報の仮登録の際に記入する書類(1枚目の表面)
申込書に記入して求人情報を登録する場合は、上記のような書類を全部で4ページに分けて記入する必要があります。
ハローワークインターネットサービスを利用する場合
会社などからハローワークインターネットサービスを利用して仮登録をする場合は、当該サイトにアクセスしたうえで求人情報を入力します。
ハローワークを訪れる場合と会社などからハローワークインターネットサービスを利用した場合の両方に共通して、次の求人情報を入力して仮登録を進めます。
情報の種類 |
記入項目 |
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求人区分などの情報 |
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事業所情報 |
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仕事内容情報 |
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賃金手当情報 |
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労働時間情報 |
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保険年金定年に関する情報 ※託児所についての質問事項以外は、事業所登録情報と異なる場合に記入 |
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求人PR情報 |
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選考方法情報 |
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※参考元:求人情報の入力方法について|ハローワーク
ハローワークの窓口で登録内容を確認する
ハローワークの担当者が求人内容を確認して、問題がなければ本登録が完了し、求人情報が公開されます。はじめて申し込みをした場合は、担当者が事業所を訪問したり、電話で申込内容を確認したりすることもあります。
求人情報が公開される
求人情報が公開されると、ハローワークの職員が求職者に求人情報を紹介します。求人者の希望に応じて、インターネット公開も可能です。
求職者から応募がくる
求職者からの応募は、次の3パターンに分かれます。
- ハローワーク窓口での応募
- オンラインハローワークからの応募
- オンラインハローワークにあるマイページへの自主応募
ハローワーク窓口での応募
ハローワークの窓口で求職の申し込みが入ると、求人条件を確認したり、面接日を決定したりするためにハローワークの職員から連絡がきます。ハローワークの職員に希望の面接日を伝えて、求職者との面接に臨みましょう。
オンラインハローワークからの応募
ハローワークの職員が求職者のマイページに求人情報を送信して、それに求職者が応募すると、求人者に応募があったことを伝える通知が届きます。求職者と直接連絡をとり、面接の日時を決めてください。
オンラインハローワークにあるマイページへの自主応募
求職者がハローワーク職員からの紹介を受けずに、自主的に応募することもあります。その場合も応募があったことが求人者に通知されるため、求職者と直接連絡を取って、面接日時を決めます。
なお、求人情報を登録する際に「求人情報・事業所名の公開範囲」の「オンライン自主応募の受付」の項目にて、「オンライン自主応募を受け付ける」にチェックを入れると、オンライン自主応募の受付けが可能です。
採用の可否を決定する
採用と不採用を決定したら、いずれの結果でもすぐに応募者やハローワークの担当者に連絡する必要があります。求人者マイページを開設している場合は、そこから採否の結果を通知できます。
ハローワークで求人掲載する際の注意点
ハローワークで求人掲載をする場合は、次のことに注意しましょう。
- 求人には有効期限があること
- 雇用保険適用の事業所単位で申し込むこと
- 職種や就業場所、雇用形態、フルタイム・パートごとに分けて申し込むこと
求人には有効期限があること
申し込んだ求人は2カ月後の月末まで有効です。たとえば、5月15日に申し込んだ場合は、7月31日が有効期限になります。
2カ月経っても採用できない場合は、求人の内容を見直して再び申し込めます。求人票を見直す際には、ハローワークの担当者に相談することも可能です。
また、有効期限の前に求人を終える場合は、すぐにハローワークに連絡をしなければ、募集終了後に応募の連絡がくることもあるので注意しましょう。
雇用保険適用の事業所単位で申し込むこと
求人の申し込みは、雇用が保険適用された事業所単位で申し込むことになります。
もし複数の職場でまとめて求人したい場合は、ハローワークに申請して事業所が雇用保険適用に非該当であることを認めてもらわなければなりません。
次の条件を満たさない場合は、雇用保険適用の事業所に非該当と判断されます。
【雇用保険適用事業所の条件】
- 独立した場所に事業所が立地する
- 経営単位として独立性がある
- 施設としての継続性がある
たとえば、下記の場合は営業所と出張所がひとつの適用事業所と判断されて、複数の職場の求人をひとつの求人情報にまとめて登録できます。
職種や就業場所、雇用形態、フルタイム・パートごとに分けて申し込むこと
求人を申し込む際は、職種や就業場所、雇用形態、フルタイム・パートごとに分けて求人情報を登録する必要があります。
「求人区分などの情報」を登録する際には、求人区分を分けて記入する仕様になっているため、雇用条件や職種などの複数の求人情報をひとつにまとめて掲載できません。
ハローワークで求人掲載するメリット
ハローワークで求人掲載するメリットは次のとおりです。
- 無料で掲載できる
- 多くの求職者にアピールできる
- 職業訓練校とのつながりを作れる
それぞれについて解説します。
無料で掲載できる
ハローワークは無料で掲載可能です。民間の求人広告サービスを利用すると、多額の費用がかかる場合もあるなか、無料で掲載できることは資金に余裕のない小規模事業者や中小企業にとっても魅力です。
無料でハローワークを利用できる理由は、運営元が国の機関のひとつである厚生労働省だからです。国が運営するサービスだから、費用がかからないにも関わらず多くの求職者に対して求人を募れます。
無料でできる求人方法には、他にもさまざまなものがあります。次の記事では、無料の求人方法について詳しく解説しているので、参考にしてください。
多くの求職者にアピールできる
ハローワークは多くの求職者にアピールできる点も魅力です。ハローワークは全国に137カ所あり、令和4年の新規相談者数は約15万人です。就職件数も約6.4万件と、多くの求職者がハローワークを利用していることがわかります。
失業手当を受給するためには必ずハローワークに行く必要があることが、利用者の多い理由のひとつと考えられます。失業者の多くがハローワークを訪れることは、他の民間職業紹介事業者には見られない利点といえるでしょう。
労働政策研究・研修機構の調査によると、実際にほとんどの求職者がハローワークで情報収集をしています。
職業訓練校とのつながりを作れる
ハローワークは職業訓練校の運営も行っており、そこでスキルや知識を学ぶ訓練校生に求人を紹介します。職業訓練校を卒業してスキルを身に着けた人材を採用できる可能性があります。
職業訓練では、次のような資格を学ぶための講座が開かれています。
【職業訓練校の講座一例】
- はり師・きゅう師
- 柔道整復師
- あん摩マッサージ師
- 美容師
- 理容師 など
職業訓練校には、他にもさまざまな資格を取得できる講座が準備されており、専門学校でスキルや知識を本格的に学べるシステムが整えられています。
専門職の人材を採用したい場合も、ハローワークは有効に活用できます。
ハローワークでの求人掲載を成功させるためのコツ
ハローワークでの求人掲載を成功させるためのコツは次のとおりです。
- 仕事内容を詳しく書く
- 職業訓練校の卒業生にフォーカスする
- 競合他社と比べる
それぞれについて詳しく解説します。
仕事内容を詳しく書く
仕事内容は求職者が最も知りたい情報であるため、詳細に書くことをおすすめします。労働政策研究・研修機構がハローワークの来所者について調べた結果によると、担当する仕事の具体的内容をもっと詳しく書いてもらいたいと感じる人が、半数近くに上ることがわかりました。
ハローワークの求人票に書かれている仕事内容が不十分と考えている人が多いため、求人情報を登録する際は意識して詳しく書きましょう。例えば、ハローワークが解説する求人を作成する際のポイントでは、以下のような書き方の参考事例が紹介されています。
職業訓練校の卒業生にフォーカスする
即戦力の人材を採用したい場合は、職業訓練校の卒業生に絞ってアプローチすることもおすすめです。
職業訓練校には一般的な専門学校が指定されているため、卒業生にフォーカスして求人をすると、未経験者よりもスキルの高い人材の採用が期待できます。
ハローワークを通して職業訓練校で学んだ人材にアプローチする場合、一般的に次の手順を踏みます。
- ハローワークに求人を申し込む際に「職業訓練修了者の採用意向があること」を伝える
- 「求人票」の「求人に関する特記事項欄」に『職業訓練修了者の採用意向があること』を表記する
- ハローワークを通して、訓練受講者や訓練修了者に求人情報が提供される
- 求人票に興味を持った訓練受講者や訓練修了者から連絡が来る
引用:石川労働局・ハローワーク
ハローワークの所在地により、やり方が異なる可能性があるので、詳しい方法については担当者に尋ねてみましょう。
実際の卒業生のコメントを確認しても、職業訓練修了者を採用すると、比較的スキルが高い人材の獲得を期待できることがわかります。
▼ネイリスト養成科で4カ月学んだ学生の声
練習量も多く、ネイルに関するたくさんのことを学べました。先生方と話す機会も多かったので、ネイルの技術・知識、ネイルサロンについても伺うことができて充実していました。とても楽しかったです。
訓練施設の皆様がとても丁寧で親切に対応してくださり、4カ月間とても楽しかったです。授業の内容もわかりやすく、知識や技術もしっかり身に付いたと思います
職業訓練校経由でアロマ専門のスクールに行きました。3ヵ月と短いんですが、朝から晩までみっちり授業を受けました。60分の全身手技など、実践メインの授業が充実していましたね。
引用:モアリジョブ
競合他社と比べる
競合他社と比べて、魅力的な訴求軸でアピールできないか考えましょう。
ハローワークは無料で掲載できることもあり、多くの事業者や企業が求人票を出しています。求職者は、それぞれの求人票を比較しながら、少しでも自分に合った職場を探したり、条件の良い会社に就職しようとしたりするでしょう。
ハローワークに求人を出すときは、多くの競合と比べられていることを意識して、他者よりも魅力的な職場であることを求人票でアピールすることが大切です。
効果的な訴求軸を考えるにあたって、求職者のニーズにマッチした条件を把握することが大切です。そのためには、労働政策研究・研修機構がハローワーク求職者を対象に調査した離職・求職理由が参考になるでしょう。
肉体的、精神的に健康を損ねたことが理由で求職している人が最も多い結果でした。そこで、残業が少ないことやノルマがないことをアピールするとよいでしょう。仕事で無理をする必要のないことが求職者に伝われば、職場に興味を持ってもらえるかもしれません。
次に多かった回答は、「人間関係がつらい」でした。人間関係が原因で前職を辞めて求職活動をしている人に対しては、スタッフ同士の仲がよく楽しく仕事に取り組めることをアピールするとよいでしょう。
ハローワーク以外の媒体を併用するべき理由
ハローワーク以外にも採用しやすい媒体も存在するため、そちらにも目を向けて採用活動を充実させることも大切です。
たとえば、マイナビの中途採用状況調査2023年版(2022年実績)によると、転職サイトや人材紹介会社は、ハローワークよりも採用人数が多いです。
さらに、マイナビが行った同調査によると、転職サイトや人材紹介会社、求人検索エンジンなどの媒体がハローワークよりも満足する人の割合が高いことがわかりました。
ハローワークに求人を出すことも有効な手段ですが、ハローワーク以上に効果的な媒体も併用すると、さらなる採用活動の効率化が期待できます。
他にもハローワーク以外の媒体を利用した方がよい理由があるので、ひとつずつ解説します。
ハローワークを利用する若年層は減少傾向
ハローワークを利用する若年層は減少傾向にあるため、今後はハローワークだけに頼って採用活動をすると、うまく人材を確保できなくなるかもしれません。
職業安定業務統計によると、ハローワークにおける30歳未満の新規求職件数は減少傾向です。
※「一般職業紹介状況(職業安定業務統計):雇用関係指標(年度)|厚生労働省」をもとに作図
その一方で、民間事業所の就職件数は増加傾向にあります。
民間事業所の就職件数は増加傾向
厚生労働省の「労働市場における雇用仲介の現状について」によると、ハローワーク経由の就職件数が減少する一方で、民間職業紹介事業者を経由した就職件数は伸びていることが
わかりました。
民間職業紹介事業者を経由した就職件数は2000年には30万件でハローワークに対して20%にも満たなかったのですが、2018年には約50%にまで伸びました。
民間職業紹介事業者のなかでも、とくに民間の求人広告サイトの増加が顕著です。
民間求人広告サイトが増加傾向
先ほどの「労働市場における雇用仲介の現状について」によると、民間の求人広告会社を利用して就職した人の割合が最も多いです。
ハローワークインターネットサービスよりも民間サイトの利用者割合が大きいため、民間サイトも併用した方が多くの人材を獲得できると考えられます。インターネットを利用して採用活動をする場合は、民間の求人サイトも有効活用するとよいでしょう。
まとめ
本記事の内容を総括すると次のとおりです。
- ハローワークは国が運営する施設なので求人掲載のための費用はかからない
- ハローワークへの訪問やインターネット利用で事業者登録をすると求人を掲載できる
- ハローワークの利用者数は若年層を中心に減少傾向なので、他の媒体との併用がおすすめ
ハローワークは無料で求人情報を掲載できるうえに、利用する求職者の数も多いので、採用コストを確保できない場合はとくにメリットの大きな採用媒体です。
ハローワークだけでは求める人材を採用できない場合は、民間の求人サイトと併用するとさらに効果的な採用活動を展開できるでしょう。
- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部