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ネイリストの採用でやるべきことは?難しい理由や押さえるべきポイントを解説!

ネイリストの有効求人倍率が低い一方で、人材採用で悩んでいるサロンオーナーは多いようです。実際に弊社がモアリジョブに掲載したインタビューでも、次のようなオーナーの声が聞かれました。

「サロンスタッフの採用に困っていたため、認知度アップはさけては通れない」

「ネイル業界は、なぜこんなにも個人サロンという形での独立が多いのか? 」

「プレーヤー志望のネイリストが多くて、すぐに独立してしまう...」

ネイル業界は、独立志向の人材や女性が多い点が特徴。そのため、独立を考える若手や女性の希望に寄り添って採用活動を進めることもポイントです。

また最近の傾向として、男性ネイリストが増えている点も押さえておきましょう。女性だけではなく、男性の採用を検討するのもひとつの手段です。

ネイリストが利用する媒体で求人を出して、認知度をアップし採用につなげることも大切でしょう。本記事では、ネイリストの採用でやるべきことや押さえるべきポイントについて詳しく解説します。

ネイリスト採用の現状と難しさ

ネイリスト採用については、現在のところ有効求人倍率が低く、採用の難易度が比較的低い状況です。しかし将来的には、店舗数の増加により人材獲得競争が激しくなり、採用が難しくなる可能性があります。

ネイリストの有効求人倍率

厚生労働省運営「jobtag」に掲載のハローワーク求人統計データ によると、ネイリストの有効求人倍率は0.99倍でした。求人倍率1.0倍を下回っているため、採用自体はそれほど難しくはないと考えられます。

しかし、採用はできたもののスタッフが早期に離職してしまっては、採用コストが膨らむ要因にもなります。そのため、なるべく自社にマッチした求人を採用して、離職を防ぐことが大切でしょう。

店舗数の増加による採用難の可能性

現在は人材確保が比較的容易なネイル業界ですが、店舗数の増加により、今後は採用が難しくなる可能性があります。

ネイル白書2023 によると、コロナ禍の影響で一時的に増加が鈍化した店舗数も、コロナ禍の収束により回復の兆しをみせています。

ネイルサービス市場の推移

コロナ禍の影響で年間100店舗にまで落ち込んだ増加数も、それ以前は年間で1000店舗以上の増加数でした。今後、店舗数の増加が元の状態に戻ることを想定すると、店舗間の人材獲得競争が激しくなり、採用が難しくなると予想されます。

以上から、ネイリストを採用する場合は、離職率を抑制するために自社にマッチした人材を採用することが大切です。また将来的な人材獲得競争で優位性を保つためにも、ネイル業界のトレンドを掴みつつ、ネイリストの特徴を理解しながら採用活動の改善を図るとよいでしょう。

ネイリストの求職者の利用率が高い採用媒体を選ぶ

採用活動を優位に進めるためにも、ネイリストがよく利用する採用媒体には求人を出すようにしましょう。 ホットペッパービューティーの調査 によると、採用媒体に対する休職者の利用割合は次のとおりです。

ネイリスト求職者の利用率が高い採用媒体

「美容系専門の求人サイト」や「美容サロンの検索サイト」など、インターネットを利用して就職先を探すネイリストが多いことがわかります。

その一方で、「ハローワーク」や「親や知人からの紹介」などの、従来から行われている手段で就職先を探すネイリストも目立ちます。

ネイリストは、さまざまな方法を利用して就職先を探す特徴があるので、採用側も多くの媒体に対応することが大切です。

次の記事では、複数の求人媒体を比較しながら紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目的別のおすすめ求人媒体を比較|総合型や特化型など、ニーズに合わせて特徴を一覧表で解説

採用したいネイリストとのマッチング率を上げる

採用後にスタッフが離職するリスクを抑えるためには、自社に適したネイリストを採用することが大切です。そのためにも、求める人材を明確にしたり、女性の転職理由を理解したりしましょう。

求める人材を明確にする

ネイリストを採用する場合は、まずは施術スキルをチェックすることが大切です。しかし、それ以外にもコミュニケーション能力や顧客に対する気配りなどの施術以外の要素も、求める人材として明確にしましょう。

ネイリストは、施術中に顧客とコミュニケーションを取ることの多い仕事です。そのため施術以外の要素も、採用後にスタッフが活躍するかどうかを判断する材料になるでしょう。

施術スキルをチェックする場合は、実際に施術をしてもらうと採用の可否を判断しやすいです。

技術チェックでは、ワンカラーなどのベーシックな技術を見せてもらっています。実技の時間は60分ほどで、経験者の場合は「このデザインを作ってください」と、急に課題を出すこともあります。

引用元: モアリジョブ

サロン見学会や条件面のすり合わせも、採用後のミスマッチを防ぐ対策になります。

選考に進む前に条件やサロンについての説明を丁寧に行う、サロン見学の機会を必ず設けることです。このステップによって採用後のアンマッチを防ぎ、気持ちよく働けるように心掛けています。

サロン見学では30~60分ほどをかけて、設備や道具、雇用形態、給与体制、お店のスタイルなどについて説明します。

引用元: モアリジョブ

資格や経験年数などの外せない採用条件は、明確にしておく必要があります。

(採用の際に設けている条件は、)「ネイリスト技能検定試験の2級以上を取得していること」と、「サロンワークの経験が1年以上あること」です。

引用元: モアリジョブ

女性の転職理由を理解する

ネイリストは女性が多い職業。 ホットペッパービューティーの調査 からも、他のサービス業と比べて女性が多いことがわかります。

美容職における男女比

女性が多いため、女性の希望に寄り添いながら休職者にとって好ましい雇用条件をアピールすることが大切です。

「令和3年雇用動向調査結果の概況」 によると、女性の転職者が前職を辞めた理由は次のとおりでした。

女性の転職理由に関する割合

以上の転職理由をカバーできるような雇用条件があれば、積極的にアピールすると女性ネイリストを採用しやすくなります。

たとえば、労働時間や休日などの労働条件が悪くて前職を辞める女性は多いので、自分で出勤時間が決められたり、残業がなかったりする点をアピールするとよいでしょう。

ネイリストの中途・新卒採用のポイントを押さえる

中途および新卒で採用を目指すネイリストは、それぞれで希望する条件が異なります。そのため、中途と新卒のポイントを押さえて採用活動をすることが大切です。

中途採用のポイント

中途採用を成功させるためには、前職の転職理由を参考にして、求職者のニーズに寄り添えるように労働条件や職場環境を整えるのもひとつの手段です。 ホットペッパービューティーの調査 によると、ネイリストが転職をした理由は次のとおりです。

ネイリストが転職をした理由

以上のなかから対応できるものがあれば、労働条件や職場環境の改善に努めるとよいでしょう。

たとえば、「働いているスタッフの人柄がよくない」「上司と考え方が合わない」といった人間関係に関する不満は、あわせて25.7%にも及びます。つまり4人に1人は人間関係への不満が原因のひとつとなって、転職をしていることになります。

スタッフ同士の人間関係や、オーナーや店長のスタッフに対する接し方を改善して、それを求職者にアピールするだけでも採用数を増やせるでしょう。

多様性も認めたり、自由に意見交換をしたりできる土壌が店舗内で整っている点は、ひとつのアピールポイントになります。

うちの会社は「多様性を楽しもう」という文化がスタッフ全員に根付いているんですよ。他者の考えを受け入れた上で議論できる土壌があるから、スタッフは安心して意見を交わすことができるし、アイデアの幅も広がる。

引用元: モアリジョブ

新卒採用のポイント

新卒を採用する場合は、新卒者の就職先の探し方を参考にして求人を出すとよいでしょう。 ホットペッパービューティーの調査 によると、学校の求人情報を利用して就職活動をする新卒者が多いことがわかりました。ネイリスト新卒者の就職先の探し方

ネイリストは、ネイルの専門学校で技術を習得するのが一般的です。そのためネイルコースを抱える美容専門学校が近所にあれば、そこに求人を出したいことを伝えるとよいでしょう。

学校で説明会を開いたり、専門学校生をサロン見学会に誘ったりするのもひとつの手段です。

採用に進む前に、学校説明会、弊社が開催する説明会、サロン見学などを通してkakimoto armsのスタイルをきちんと伝えています。当たり前のことではありますが、とても大切なことだと思いますね。実際に、カットやカラーなどひとつの技術を極めたい学生が応募をしてくれています。

引用元: モアリジョブ

ネイリスト業界の動向・採用トレンドを知る

次にネイル業界の動向や採用トレンドを把握して、それを採用活動に活かしましょう。

男性ネイリストの需要拡大

現在、ネイル業界では男性ネイリストの需要が拡大しています。男性の美容市場において、とくにネイル分野の市場規模が拡大しているのです。 ホットペッパービューティーの調査 によると、2022年に100億円だった男性向けネイルの市場規模が、2023年には165億円になりました。

伸び率は1.65倍で、他のメンズ美容市場に比べても最も大きな伸び率です。

メンズ美容市場の規模

男性向けのネイル市場が拡大することで、それに合わせて男性ネイリストの数も少しずつ増えています。

ネイリストを目指す男性が増えていることもあり、実際に男性専門のネイルスクールも開講されています。日本初の男性専門ネイルスクール「Vision~ヴィジョン」代表の鈴木光昭さんは、次のようにコメントしています。

オーナーさんによると、ネイル業界は常に人材不足なのだそうです。その原因の1つに性別の偏りもあるようです。やはり女性ばかり、男性ばかりの職場はどうしてもハラスメントが起きやすいんですね。男性のネイル業界への進出は、職場環境の安定のためにも大いに意義があると思っています

引用元: 「男だってネイルしたい…」日本初の男性専門ネイルスクール代表が語る“メンズネイル”の現在地(ORICON NEWS)

男性ネイリストの採用は、業界の人材不足解消の一助になるかもしれません。男性向けネイル市場が成長の途上にある現状に先駆けて、早めに男性ネイリストを採用するのもおすすめです。

独立開業の多さ

ネイル業界の特徴として、独立開業を目指す人が多い点が挙げられます。独立開業が多いのは、管理職が評価される反面、プレーヤーが評価されづらい業界の風土が影響しているからです。ネイルサロンを経営する木下さとこさんは、次のようにコメントしています。

ネイル業界は、なぜこんなにも個人サロンという形での独立が多いのか? と問いを立てた時に、現存の人事評価制度に問題があることに気がつきました。キャリアプランが「管理職への昇進」一辺倒なんです。プレイヤーがより高い収入を得るには、管理職になるしかない。でも本来は、プレイヤーとしてその腕を磨き続けることも、リーダーになることと変わらず尊いはず。

引用元: モアリジョブ

つまり施術を極めたいネイリストが高い収入を得るための手段として、独立開業が選ばれている側面もあります。施術を極めたいネイリストが多いと、必然的に独立開業も多くなると考えられます。

独立開業が多い背景には、プレイヤーとして評価されたいという現役ネイリストの願望が関係しているため、プレイヤーを評価するような人事評価制度にすると、採用数を増やせる可能性があります。

実際に独立開業を目指した人に話を聞くと、プレーヤーとしての評価を希望していることがわかります。

お客様のために施術しているはずなのに、いつの間に「お店や上司に評価されよう」と頑張ってたことに気づいて。私は「お客様からの評価」が欲しいと思ったので、独立することにしました。

引用元: モアリジョブ

ネイリストの特徴を理解して採用活動を改善する

最後に、ネイリストの特徴を理解して採用活動を改善してみましょう。まず、休日や勤務時間をコントロールしたいと考えるネイリストが多い点が特徴。さらに、技術を身に付けたい若手が多い点も特徴です。これらの点を踏まえて採用活動の改善に取り組んでみてください。

休日や勤務時間をコントロールできる点をアピールする

現在の自社の営業形態を考えた場合、スタッフが休日や勤務時間を比較的自由に設定できるのであれば、その点をアピールすることをおすすめします。

求人票に、

「残業なし」

「働き方自由」

「希望休取得可」

などと記載して、時間的に働きやすい点をアピールするのもおすすめです。

ネイリストのなかには子育てをしたり、家族と過ごす時間を確保したりするために、自由な働き方を求めて独立する人もいます。

急なシフトの調整をお願いすることも多々あったので、それならば休日や勤務時間を自分でコントロールできる働き方をしようと、独立を決めたんです。

引用元: モアリジョブ

休日や勤務時間をコントロールできる点をアピールすると、以上のようなプライベート重視の働き方が独立の理由となっているネイリストを採用しやすくなります。

若手にはスキルアップできることを伝える

将来のキャリアアップを目指す若手ネイリストは、スキルアップに対して貪欲です。

若手ネイリストには、

「研修制度が充実」

「スキルアップしやすい」

「社内研修有」

のような文言を求人票に入れて、アピールするとよいでしょう。

プレーヤーとして技術力を高めたいと考える若手ネイリストも多いため、教育制度に力を入れたことで、求人への応募者が増えた事例もあります。

サロンに所属する限りは学び続けられる環境を整えました。採用についても研修制度の充実をかかげられるようになったので、技術を高めたい方の応募が増えてサロンのスタッフのレベルがどんどん上がって行くといった好循環が生まれています。

引用: モアリジョブ

独立開業を目指してスキルアップを図るネイリストが多い点も、ネイリスト業界の特徴です。

ネイリストの世界は「色々なお店で経験を積みたい」「いずれは独立したい」と考える人が多いのが特徴。もちろんお店としては、長く勤めてもらえるとありがたいのが本心です。でも個人的には、店を移りたいという向上心を持つのは、常に新しい感性を必要とするネイリストとして当然の感覚だとも考えています。

引用: モアリジョブ

がんばっている若手を応援したいので、スキルアップできる環境を作りたいと思っています。『%』で腕を磨いて自信が付いたらお店を構えて、どんどん活躍してほしいです。

引用: モアリジョブ

まとめ

ネイリストの採用数を増やすためには、次の点に注意しましょう。

  • 店舗数が増加傾向にあるため、現在は有効求人倍率が低くても、将来的に採用が難しくなる可能性がある
  • 自社にマッチした人材を採用して離職率を抑えることが大切である
  • 独立開業による離職を防いだり、プレイヤー志望のスタッフの採用数を増やしたりするためにも、プレイヤーを評価するような人事制度を整える

ネイリストの採用を成功させて人材を確保したい場合は、この記事で解説した内容を把握した上で、採用活動に取り組んでみてください。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。