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個人事業主でも求人を出せる?募集の出し方やポイントを解説

個人事業主でも求人を出せる?募集の出し方やポイントを解説

個人事業主は求人にあてられる予算が限られるケースが多いため、できる限り低コストで求人を出したいと考える方も多いのではないでしょうか。

この記事では、個人事業主の求人の出し方について基本事項をお伝えします。さらに無料で求人する方法や求人票を作成するポイント、採用後の手続きについても解説します。費用の負担を減らしながら求人する方法がわかるので、ぜひ最後までご覧ください。

求人を出す個人事業主は多い

従業員を雇う個人事業主は多く、求人を出すことは割と一般的なことです。

例えば美容業界の場合、事業者の大半が個人事業主である一方で、スタッフを雇用する店舗の多い業界です。

このことは、厚生労働省「理容師制度及び美容師制度を巡る現状と動向について」で確認できます。この資料によると、美容業界は約80%が個人事業主で、従業員が1人以上いる事業所は約74%でした。このデータから考えると、美容室の多くが個人事業主でありながら従業員を雇用していると考えられます。つまり、個人事業主が求人を出すことは珍しくないのです。

他にもヘルスケア関連事業や飲食事業、小売業などの一般消費者を相手にサービスを提供する事業形態においても、美容室業界と同じ傾向にあると考えられます。

個人事業主がスタッフを雇用する際に考えるべきこと

個人事業主が求人する際には、業務委託と雇用のいずれかを選ぶ必要があります。

業務委託と雇用の大きな違いは、報酬の対象です。業務委託は納品された成果物に対して報酬を支払います。あくまでも成果物が報酬の対象であり、かかった時間は関係ありません。

一方、雇用の報酬対象となるのは働いた時間です。依頼した業務が想定した時間より早く終われば次の業務を依頼できますが、遅く終わればその分の支払いが増加します。

個人事業主が掲載できる求人媒体

個人事業主が求人票を掲載する媒体を決める際は、小規模企業の採用手法を参考にするとよいでしょう。

マイナビ「中途採用状況調査(2023年版)」によると、50名以下の企業で中途採用につながった求人媒体の上位3つは以下のとおりでした。

  • ハローワーク:24.3%
  • 転職サイト:17.6%
  • 求人検索エンジン:15.4%

ここでは、それぞれの求人媒体の特徴や料金体系について解説します。

ハローワーク

ハローワークは、厚生労働省が運営する総合的雇用サービス機関で正式名称は「公共職業安定所」です。無料で利用できることから、低コストで求人を出したい個人事業主にとって魅力的な媒体です。

厚生労働省の一般職業紹介状況(職業安定業務統計)によると、ハローワークの利用者年齢層は約63%が40歳以上で、29歳以下の利用者は約18%でした。30代の利用者数は約18%となっていることから、比較的高い年齢層の人材や経験豊富な人材を採用したい場合に有効な媒体であると考えられます。一方で人材の伸び代を考慮して若手を採用したい場合は、別媒体の利用も検討したほうがよいでしょう。

またマイナビ「中途採用状況調査2024年版(2023年実績)」によると、採用人数1名の採用が1番多い媒体でした。個人事業主のように採用人数が少ない場合での実績がある媒体といえるでしょう。

ハローワークで求人を掲載するメリット・デメリットや利用方法については、次の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

内部リンク:ハローワークで求人掲載する場合の料金は?掲載するメリットやデメリットについても解説

求人サイト(求人広告)

求人サイトは、Web上に企業の求人情報を掲載し、転職希望者から応募を集める媒体です。メリットとして、求人数の多さと掲載内容の情報量が多いことが挙げられます。マイナビ「中途採用状況調査(2023年版)」では、50名以下の企業において求人サイトの利用率は有料手法の中で1位でした。

マイナビの中途採用状況調査(2024年版)によると、平均採用人数が一番多い媒体であり、安定して応募者を集められます。

求人サイトには、総合型と特化型が存在しています。美容師に特化している求人サイトも存在しており、美容師の実務経験者を募集したいのであれば、転職サイトの利用も狙い目です。

総合型と特化型の主な求人サイトとその料金体系は以下のとおりです。

サービス名

タイプ

料金モデル

掲載費

成果報酬費

マイナビ転職

総合型

掲載課金型

20万円〜120万円

-

doda

25万円〜150万円

-

リクナビNEXT

18万円〜180万円

-

エン転職

20万円〜120万円

-

女の転職Type

20万円~(4週間)

-

リジョブ

特化型

掲載+採用課金型

要問合せ

要問合せ

美容師求人,com

採用課金型

-

月給×1.2か月分~

ジョブメドレー

-

4万円〜

リクエストQJナビ

要問合せ

要問合せ

求人検索エンジン

求人検索エンジンは、さまざまな求人サイトに掲載されている求人情報を検索できる媒体です。代表的な求人検索エンジンとして挙げられるのは、以下の3つです。

  • Indeed
  • 求人ボックス
  • スタンバイ

求人サイトに掲載すると、自動的に求人検索エンジンにも掲載されるサービスも存在します。

1.求人検索エンジン

求人サイトとは異なり、求職者が細かい条件で探しにくく、ターゲットを限定できないことはデメリットです。また、求人検索エンジンの多くはクリック型課金となっており、応募につながらなくても費用が発生する恐れがあります。

求人媒体以外で求人する方法

求人媒体以外でコストを抑えて求人する方法として、自社サイトやSNSの活用が挙げられます。これらの方法は、広告の作成や運用に工数がかかるうえに、露出の少なさから応募数が集まりにくい可能性も考えられます。

そのため、SNSの反応から求人広告を作成したり、SNSから採用ページへの流入経路を作ったりするなどの、それぞれの手法を組み合わせることもひとつの方法です。ここでは、それぞれの方法の特徴について解説します。

自社サイト

自社サイトは、自社のホームページで採用ページを作成し、募集する方法です。マイナビ「中途採用状況調査(2023年版)」によると、50名以下の企業での利用率はハローワークに次ぐ4位でした。

ディスコの調査によると、志望企業の研究に有益な情報源として個別企業のホームページがトップでした。

2.志望企業の研究に有益な情報源

その中でも、96.8%の学生が採用ページを閲覧しており、採用ページが学生の就職活動において有益な情報源となっていることがわかります。自社採用ページにおける一般的な構成は以下のとおりです。

  • 企業紹介
  • 事業説明
  • サービス紹介
  • 仕事紹介
  • 社員紹介
  • 採用担当者からのメッセージ
  • 採用データ

自社サイトをすでに所有している場合は、サイト内に採用ページを設置するだけで求人を募集できます。

一方で、自社サイトを所有していない場合は、サイトを作成するところから始める必要があるため、工数がかかります。その手間を省きつつ求人を募集したい場合は、engageやWantedly のような採用ページ作成サービスを利用するのもおすすめです。

SNS

SNSは、InstagramやX(旧Twitter)などのSNSを使って採用活動をする手法です。総務省情報通信政策研究所の調査によると、LINEは全年代を通じて利用されており、X(旧 Twitter)やInstagramは、10~20代の比較的若年層の利用率が高くなっています。

20代は検索エンジンよりもSNSで情報収集することが当たり前になっており、美容学生であれば、特にInstagramを利用している人が多いようです。

美容業界では、Instagramを積極的に利用する店舗がみられ、実際にInstagramで「#美容師求人」を検索すると、125万件の投稿が見つかりました。オーナーや採用担当者でSNSを活用して採用に成功した事例も存在します。

Londの場合、いろいろな採用媒体にも登録はしていますが、申し込みの比率は僕が運用しているInstagramが大きいです。とくに新卒採用に関しては、外部の採用媒体には掲載しておらず、Instagramと美容学校からの紹介からしか取っていません。

引用:モアリジョブ 株式会社Lond 関根孝文さん

Instagramで採用活動をするのであれば、求人情報だけでなく、理念や教育方法を伝えることにより差別化につながります。無料体験サービスを提供するのもよいでしょう。動画を使って雰囲気を伝えるのも有効です。

個人事業主が求人を成功させるためのポイント

個人事業主は、予算や時間が限られているため、予算や人員に余裕がある企業と同じように求人を出してもよい成果を得ることは困難です。自社の状況を踏まえて雇用方法や条件を設定する必要があります。ここでは、個人事業主が求人を成功させるためのポイントについて解説します。

正社員雇用はリスクや他社優位性を加味して検討する

正社員を雇用するのであれば、毎月安定した報酬を支払う必要があります。資金に余裕がないのであれば、正社員登用はリスクがあるかもしれません。後述するような手続きも必要です。ただし、正社員であれば以下のようなメリットがあります。

  • マンパワーが増えるため、対応できる業務範囲が拡大する
  • 依頼した業務が早く終われば次の業務を依頼できる
  • 同志として目標に向かって一緒に働ける

特に、マンパワーが増えることは正社員の大きなメリットです。例えば、雇用した従業員に事務作業や集客や採用活動などの業務を任せれば、自身は美容師としての仕事に専念できます。アシスタントを雇用し、シャンプーやカラーリング、パーマなどの業務を任せ、対応できる顧客数を増やす道もあります。

近隣の求人情報を調査し、他社と比較したうえでリスクと優位性を加味し、雇用形態を検討しましょう。

業務委託・副業人材を検討する

正社員雇用のリスクが高い場合は、業務委託を活用する方法もあります。正社員雇用の場合、決まった時間内であれば多様な業務を任せられる反面、業務量が多くない時間や時期でも業務を振り分けなければなりません。

業務委託であれば成果に対して報酬を支払うため、業務量に合わせて仕事を依頼できます。例えば、限定した事務作業や資料作成などの業務を業務委託として任せる活用方法もあります。副業人材に依頼するのもひとつの方法です。

業務委託の活用事例として「株式会社afrodite」を紹介します。

すべてのスタッフを業務委託契約で雇用しています。ただし、普通の業務委託とは違い、

「業務委託と教育サロンのハイブリット」が目的。業務委託というと個人でお客さまと一対一の関係を築くイメージが大きいですよね。「afrodite」はその考えではなく、すべてのお客さまはスタッフ全員の担当であるという精神を持つようにしています。

たとえばお出迎えやお会計、シャンプーなど、担当者本人が忙しい場合はお客さまをお待たせするのではなく、手の空いているスタッフがサポートします。このようにみんなで協力し合うことはサロンで働く上で当たり前のことだと思っていて。「1人で売上をあげられるわけではない」という意識を持って働いてほしいとスタッフには話しています。

引用:モアリジョブ 株式会社afrodite 代表取締役 和田光弘さん

アルバイトを検討する

正社員雇用のリスクが高い場合の方法として、アルバイトを雇用するのもひとつです。アルバイトであれば、短時間勤務での雇用が可能です。忙しい時間帯にスタッフ数を増やして対応したり、短時間で事務作業を任せたりといった活用方法が挙げられます。

育児や介護などの事情でフルタイム勤務が困難な人材を活用する方法としても有効です。アルバイトを活用した事例としてエステサロン「クラン・シュプール」を紹介します。

サロンをやって行く上で、実はスタッフを育てることが一番大変ですし時間もかかります。ですから、出産後も継続して働けるように子育て支援を積極的に行っています。フルタイムが難しければ契約社員とかアルバイトで働いてもらったり、産後4ヶ月で復帰したスタッフがいるんですが、子どもが保育園に入るまでの半年くらい、弊社のマネージャーでもある私の夫が子守りをしてその間に仕事をしてもらっていたこともあります

引用:モアリジョブ クラン・シュプール 代表 松本如央さん



募集年齢の条件を狭めない

求人を出す際、若い世代の人材を求めるケースは珍しくありません。若い世代を採用するメリットとして「伸び代がある」「固定観念が少なく自社のやり方を受け入れてもらいやすい」などが挙げられます。

しかし、個人事業主が人材を求めている場合、教育に時間をかけることは困難でしょう。ひとりで判断して動いてもらいたい場面もあり、自立して働ける人材でなければ、負担が増加してしまう可能性も考えられます。

そのため、幅広い年齢層の人材を募集したほうがターゲットに近い人材が見つかる確率が高いでしょう。社会人経験値の高い人材を雇用した事例として、オーガニックサロン「ORGANIC MOTHER LIFE」を紹介します。

前職のサロンで働いていたとき、技術が上手い人より社会経験値の高い人の方が指名がつくことに気づいたんです。一般的なエステサロンでは、若い子の方が体力があるので重宝されますよね。でも、お客様からすると「若い」はあまり良いことではありません。技術もトーク力も未熟なわけなので。

40〜50代の社会経験値が高い人の方がお客様は安心します。お子さんがいる人だと子育てを通じてありとあらゆる社会経験を積んでいるし、女性の人生の一番重い部分を背負ってきたわけですから。

引用:モアリジョブ ORGANIC MOTHER LIFE 代表 坂田まことさん

報酬は高めに設定する

個人事業主の場合、設備や福利厚生で競合と差をつけるのは困難でしょう。特に個人事業主が求人を出した場合、企業と比較すると信用度が低くなるのが現実です。そのため、求職者に対してわかりやすい差別化ポイントをアピールする必要があります。

求職者に対してわかりやすい差別化となるのは報酬です。前述したように、個人事業主の場合、社会人経験値の高い人材の採用が効果的です。しかし、社会経験値の高い人材は求める報酬も高く、低い報酬を設定した場合、報酬条件だけで求人情報を読み飛ばしてしまう人もいるでしょう。

報酬が高ければ、報酬に見合った成果も求めやすくなります。報酬は投資と捉え、近隣の競合よりも高めに設定することが求人成功のポイントです。

求人票を作成する際のポイント

個人事業主が求人票を作成する際は、以下のポイントを抑えることが大切です。

  • 業務内容と採用ターゲットを明確にする
  • 待遇は具体的に記載する
  • 求職者の興味を引くキャッチコピーをつける

ここでは、それぞれのポイントについて解説します。

業務内容と採用ターゲットを明確にする

求人票を作成する際は、依頼したい業務内容と採用したい人材のイメージを明確にすることが大切です。事務作業を依頼するのかアシスタントを依頼するのかで、求める人材は異なります。

どのような業務を任せたいのか、その業務を任せるにはどのようなスキルや経験、特性を持った人材が適しているのかを明確にしましょう。例えば、美容業界のサロンスタッフを募集するのであれば、以下のように定義します。

業務・カルチャー

人材要件

期待行動

・サロンスタッフ


・お客さまと話す機会が多い

・美容が好き


・技術や知識をインプットし続けられる


・コミュニケーション能力(意図を察する力・傾聴力)

・業界のトレンドにアンテナを張っている


・一方的に話しかけるのではなく、相手の話を聞いたうえで会話する

待遇は具体的に記載する

求職者にとって、待遇は応募先を決めるうえで欠かせない条件です。給与額はもちろん、福利厚生や手当、労働時間も具体的に記載しましょう。正社員やアルバイト、業務委託に対して記載しておきたい主な情報は、以下のとおりです。

正社員

アルバイト

業務委託

・毎月の給与額

・交通費の支給限度額

・時間外労働手当額

・資格手当の有無

・昇格の有無

・昇給の程度

・賞与の有無

・労働時間

・休憩時間

・休日

・福利厚生

・日給・時給の種類

・交通費の有無や支給限度額

・希望する労働時間

・シフトの融通度

・福利厚生

・昇給の有無や程度

・休憩時間

・想定できる月収モデル

・報酬額

・交通費の支給限度額

・希望する労働時間

・想定できる月収モデル



上記に挙げた情報のほか、利用できる備品や喫煙場所の有無など、求職者が興味を持ってくれそうな待遇も記載するとよいでしょう。

求職者の興味を引く情報を記載する

先述したように、個人事業主は設備や福利厚生で競合と差をつけるのは困難です。業務内容や待遇だけでは求職者の目にとまらない可能性も考えられます。そのため、業務内容や待遇以外の情報でも差別化を図ることがポイントです。

例えば、接客や施術における大手サロンとの差をアピールする方法が挙げられます。小規模ならではの業務範囲の広さや権限の大きさをアピールしたり、目を引くようなキャッチコピーをつけたりするのもひとつの方法です。求職者目線で自社の強みをアピールすることがポイントです。

リジョブでは、美容・ヘルスケア業界における求人広告の書き方の資料を提供しています。現場の意見や資料を参考に、応募数が上がる求人広告を作成しましょう。

個人事業主が人材を雇用する際の手続き

個人事業主が人材を雇用する際は、労働者や税務署に対して以下の手続きを踏む必要があります。

  • 労働条件の通知
  • 労働保険と社会保険の手続き
  • 税務署への届け出
  • 源泉徴収の準備
  • 法定三帳簿の管理

この手続きは、正社員だけでなくアルバイトにも必要です。ここでは、それぞれの手続きについて解説します。

労働条件の通知

労働基準法第15条第1項により、雇用主は労働者に対して労働条件を書面で明示し、雇用契約を締結することが義務付けられています。書面に記載する主な項目は以下のとおりです。

  • 契約期間
  • 期間の定めがある場合は、契約を更新する基準
  • 就業場所
  • 従事する業務
  • 始業・終業時刻、休憩、休日
  • 賃金の決定方法や支払い時期
  • 退職に関すること(解雇の事由を含む)

書面を作成する際は、厚生労働省が公開している「労働条件通知書」の書式を利用するとよいでしょう。退職手当や賞与などの手当については、支給することを定めた場合に限り明示が必要です。

労働者側が希望すれば、メールでの交付も可能です。ただし、労働条件を定めた書類については、労働基準法第109条により、従業員の退職から5年間の保管を義務付けられています。

労働保険と社会保険の手続き

人材を雇用した場合、労働保険と社会保険の手続きが必要です。労働保険と社会保険は、それぞれ以下の保険を総称した呼び名です。

  • 労働保険:労災保険・雇用保険の総称
  • 社会保険:健康保険・厚生年金保険・介護保険の総称

雇用形態にかかわらず従業員を1人でも雇用した場合は、手続きが義務付けられています。以下の書類を労働基準監督署へ提出する必要があります。

  • 労働保険関係成立届:雇用後10日以内
  • 労働保険概算保険料申告書:雇用後50日以内

1週間に20時間以上の勤務時間で31日を超えても雇用する見込みがある場合は「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」を事業所を管轄するハローワークへ提出する必要があります。

従業員が退職した場合、退職者が失業保険を受け取れるようにするため「雇用保険被保険者資格喪失届」「離職証明書」の提出も必要です。

社会保険は、従業員が5人未満の個人事業主の場合、加入は任意です。ただし未加入の場合、給与の14~15%相当の保険料を雇い主と従業員が負担する必要があります。

労働保険と社会保険の手続きは、社会保険労務士への委託も可能です。手続きが負担になる場合は、社会保険労務士に委託するのも1つの方法です。

税務署への届け出

初めて従業員を雇用する場合は、税務署に「給与支払事務所等の開設届出書」を提出しなければなりません。ただし、個人事業主の開業とともに従業員を雇用する場合は、その旨を開業届に記載すれば「給与支払事務所等の開設届出書」の提出は不要です。

税務署への手続きは、税理士に委託可能です。労働保険や社会保険の手続きと同様に、手続きが負担になる場合は税理士に委託するとよいでしょう。

源泉徴収の準備

従業員の雇用後は「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を従業員に記入してもらい、税務署に提出する必要があります。情報変更の有無にかかわらず、毎年提出が必要です。雇用主は、この申告書をもとにして源泉徴収税の金額を計算し、税務署へ納めなければなりません。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を税務署に提出しておけば、半年に1度の納付が認められています。

法定4帳簿の管理

労働基準法と労働基準法施行規則により、従業員を雇用した場合は法定4帳簿の作成および管理が義務付けられています。

帳簿の種類

作成・管理

必須記載項目

賃金台帳

・従業員ごとに作成

・事業場ごとに管理

氏名

性別

賃金計算期間

労働日数

労働時間数

残業・休日・深夜の労働時間数

基本給および手当額

賃金控除額

労働者名簿

・従業員ごとに作成

・事業場ごとに管理

氏名

生年月日

履歴

性別

住所

従事する業務

雇入年月日

退職年月日

出勤簿

・労働者ごとに1か月1枚で作成

・事業場ごとに管理

氏名

出勤日

出勤日ごとの始業終業時間

休憩時間

残業時間

年次有給休暇取得管理簿

・労働者ごとに作成

取得日

付与日

日数

保存期間はいずれも5年間です。元々は「賃金台帳・労働者名簿・出勤簿」の3つでしたが、2019年4月1日からの年5日の年次有給休暇の取得義務化により、年次有給休暇取得管理簿が追加されました。

これらの帳簿は以下の場合に提出が求められる場合があります。

  • 労働基準監督署による監査時
  • 従業員が離職する際の失業保険の申請時
  • 健康保険・厚生年金保険の被保険者報酬月額変更届の手続き時

労働者名簿と賃金台帳については、厚生労働省が公開している各様式を利用するとよいでしょう。

個人事業主が業務委託する際の手続き

個人事業主が業務委託する際の手続きは雇用時とは異なり、届け出は必須ではありません。ただし、2024年11月から「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(通称:フリーランス新法)」が施行されました。

この法律により、取引条件の明示や成果物を受領した日から原則60日以内での報酬の支払い、ハラスメント対策のための体制整備などが義務付けられています。業務委託先とのトラブルを回避するためにも、以下の項目を記載した業務委託契約書の締結が必要です。

  • 委託する業務内容
  • 報酬やその基準(単価や税抜きなど)
  • 支払い条件
  • 支払い方法
  • 著作権や知的財産権の帰属
  • 再委託の可否
  • 秘密保持に関する条項
  • 反社会勢力の排除
  • 禁止事項
  • 契約に関する事項(契約期間や更新や解除など)
  • 損害賠償の発生条件と内容
  • 所轄の裁判所

業務委託契約書と秘密保持契約書を別で作成する場合もあります。

まとめ

個人事業主が人材を活用する方法には、人材を雇用する方法と業務委託する方法があり、求人を出すことは可能です。個人事業主が掲載できる方法には、以下のものが挙げられます。

  • ハローワーク
  • 転職サイト
  • 求人検索エンジン
  • 自社サイト
  • SNS

採用につなげるためには本記事で解説したポイントを押さえることが重要です。また、人材を雇用する場合と業務委託する場合では手続きが異なります。自社の状況や予算を把握したうえで、適した方法を選びましょう。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。