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ネイルサロン開業に必要な手続きの流れや資金とは?成功のために準備すべきことを解説

ネイルサロン開業に必要な手続きの流れや資金とは?成功のために準備すべきことを解説

ネイルサロンの市場規模は年々増加傾向です。ネイルサロンはさまざまな場所や規模で開業されており、人気の業種といえます。


ただ一方で、開業にあたり手続きの流れや資金について疑問や悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。開業に必要な資金や手続きを知ることで開業後の経営も大きく変化します。

そこで本記事では開業に必要な情報だけでなく、開業後の成功のコツも解説していきます。最後までぜひご覧ください。

 

ネイルサロン開業で知っておきたいこと

ネイルサロンを開業するうえで、基本的な流れや税金について解説していきます。

ネイルサロン開業の流れ

開業は準備が大切であり、怠れば事業が不安定になりかねません。長く事業を続けるためにも、必要な準備と開業までの流れを把握しましょう。

1.サロンコンセプトを決める

オーナーがどんなコンセプトでネイルサロンを開業したいのか決めましょう。他店との差別化のリサーチ、自身の強みなどを理解するとコンセプトがみえてきます。

2.オープン日を決める

オープン日を明確に決めると開業に必要な準備期間を把握できます。個人サロンであれば3か月でオープンも可能です。ただしネイルサロンの種類、求人募集、外装内装工事を希望する場合は半年以上の準備が必要になります。

3.物件を決定する

開業エリアを決めたら、物件の契約をします。自宅サロン、マンション、店舗型、スケルトン物件などの店舗形態により物件が異なります。スケルトン物件の場合、居抜き物件よりも内装工事が長期間に及ぶ可能性があるため、余裕を持ってスケジュールを組み立てましょう。各店舗形態のネイルサロン開業にかかる準備は後ほど解説します。

4.インフラの準備をする

オープン後に施術をスムーズに行うためにはインフラの準備が大切です。電気や水道、インターネットや電話だけでなく、お客様が快適に過ごせるように空調設備や衛生面にも気を配りましょう。

5.求人募集を行う

複数人で営業したい場合は、スタッフの募集は必須です。SNSを使用した採用活動は時間がかかることがあります。求人サイトを使用すると多くの求職者が閲覧できます。すぐに応募が来ないこともあるため、余裕を持って採用活動を開始してください。

採用スタッフが決まったら事前にサロンコンセプトの共有、技術接客の研修をし、安定したサービスを提供できるようにしましょう。

6.ネイル機器・什器・家具の準備をする

提供メニュー、コンセプトによってサロンで導入する機器や商材が異なります。メニューで必要な機器の準備、物件の内装に合う什器や家具の設置をしましょう。オープン日に間に合うように在庫や配送状況などを把握してください。

7.SNSの開設をする

ネイルサロンの集客ツールとしてSNSは強力な戦力になります。特にInstagramはネイルデザインを幅広いユーザーに届けられます。アカウント開設当初は投稿表示やフォロワー獲得に時間がかかることがあります。アカウントを持っていなければ早めに開設しましょう。

店舗アカウントも開設し準備の様子やオープン日の告知、キャンペーンや施術例を投稿して集客を行ってください。

8.ホームページ開設や予約ツールの活用

ホームページは企業にとって大切な広告ツールです。SNSとは違い、メニューやキャンペーンや定休日などの情報を分かりやすく伝えてくれます。SNSを活用していない人も閲覧可能なため、幅広い層に宣伝できます。予約ツールを活用してお客様が来店しやすい動線作りも行いましょう。

9.プレオープンをする

限定したお客様を招待し、プレオープンを行いましょう。プレオープン実施には次のメリットがあります。

  • 店舗の運営のサービスの確認
  • オペレーションの確認
  • 不備の発見

 改善点はグランドオープンに向けて準備し、より納得のいく開業を目指しましょう。

開業届は必要?

開業届は個人として、何かしら事業を始めたり開業・廃業したりする際にその旨を管轄の税務署に届ける書類のことであり、ネイルサロンも対象になります。

開業届は事業開始から1カ月以内に提出しなければいけません。なお開業届を税務署に提出しなくても罰則はなく、開業した年の事業収支を全て税務署に確定申告すれば問題ありません。ただし開業届の提出により、次のメリットを受けられます。

  • 青色申告で確定申告ができる
    青色申告の最大のメリットは節税効果が高くなります。白色申告とは違い、最高で65万円の特別控除などのさまざまな特典があり、個人事業主の方は手続きを行いましょう。手続きは所得税の青色申告承認申請書を開業届と一緒に届け出ると青色申告ができるようになります。
  • 屋号で銀行口座が作成できる
    開業届の提出は、自身の事業が世間に認知されます。そのため屋号で銀行口座を開設が可能です。事業口座を作成すると収支が明確に分かるため、経費管理が容易になります。

現在はネットで開業届の提出が可能です。国税庁の公式ホームページに作成・提出方法が記載されています。必要に応じてご確認ください。

税金について

スタッフ採用の有無に関わらず開業により所得があると個人事業主として納税しなければなりません。毎年2〜3月に前年の売上高を確定申告します。

青色申告で受けられる控除額を活用するために、経費になるもの、ならないものを事前に把握しましょう。また確定申告時期に慌てないように収支の管理は定期的に行ってください。確定申告を忘れてしまうと罰則が科せられるため注意しましょう。

ネイルサロンの開業に必要な資金

開業に最も必要とされるのが資金です。開業前にかかる費用を把握して資金を計画的に運用しましょう。それにより開業後も安定した経営が行えます。理想のサロン開業のために、必要な開業資金は計画的に準備しましょう。

1.自己資金の準備を始めた時期

引用:新たに美容業を始めるみなさまへ 創業の手引+|日本政策金融公庫

物件取得費用

物件所得費用は、ネイルサロンを開業する物件を借りるためにかかる費用です。

ネイルサロンの開業スタイルは、自宅をサロンとして始める「自宅型」、マンションの一室を借りる「マンション型」、店舗・テナントを構える「店舗・テナント型」の3つに分けられます。各物件の取得費用には大きな差があります。

開業スタイル(場所)

物件取得費用の目安

自宅型

0円

マンション型

20~50万円程度(家賃月10万円の場合)

※前家賃、礼金仲介手数料などが含まれる

※立地により費用は異なる

店舗・テナント型

500万円程度(都心の一等地路面店の場合)

※前家賃、保証金、礼金仲介手数料などが含まれる

※立地により費用は異なる

内外装・設備費用

コンセプトのイメージに合うように内外装や設備を整える必要があります。内外装・設備もサロンスタイルによりかかる費用に差が生じます。ここではスタイル別に費用の解説をします。

開業スタイル(場所)

内外装・設備費用の目安

自宅型

・内外装を活かせば費用は不要

・壁紙を張り替える程度の場合が多く、費用は10〜20万ほど

マンション型

・内装を活かせば費用は不要

・改装工事ができない物件もあるため、契約前にマンションの規約を要確認

店舗・テナント型(居抜き物件)

・残された空調や照明をそのまま使用できるため30〜50万円ほど

・スケルトン物件に比べ費用を抑えられる

店舗・テナント型(スケルトン物件)

・内外装が何もないため、こだわり度合いによって変化

(内装工事で50万円前後/外装工事で100万前後)

・コンセプトに合わせたデザインの設計から始められるため、資金に余裕があり、こだわりが強い方に向いている

・退去時には原状復帰が必要な場合が多く、その際にも費用を要する


機材・商材費用

ネイルサロンの開業の初期費用にはネイルケア・ネイルアートに必要なネイル用品の商材費用がかかります。商材費はサロンメニューにより違いがあり、ジェルネイルやスカルプなどのメニューを増やすと高くなります。目安は20〜30万円程度になりますが、物価上昇により商材費用も上がっているので確認しましょう。

また施術テーブル・椅子・UV・LEDライト・待合のソファ、パソコンや電話などの備品も必要です。店舗の規模やこだわりにより費用に違いがありますが、50万円程度はかかるでしょう。

広告費用

どんなに居心地が良いサロンや技術が優れたスタッフがいても、お客様に存在を知ってもらわなければ売上は上がりません。そのために広告を打ち出して集客を行う必要があります。広告にはさまざまな種類がありますが、内容によっては多額の費用がかかる場合もあります。サロンの売上に見合った広告を打ち出しましょう。

広告費用は、以下の計算式で算出できます。

予算=目標の客単価×目標の件数

例えば、客単価(4000円)×件数(40件)=16万円です。またSNSやブログは無料で始められる広告ツールです。ネイルデザインを投稿し集客につなげましょう。

採用費用

複数人でネイルサロンを営業するなら採用費用も大切な項目です。

採用活動は多くのネイリストが登録している美容業界に特化した求人サイトがおすすめです。ネイリスト1人当たりの採用費は採用媒体などにより異なるため幅がありますが、採用単価として20万円~100万円程といわれています。すぐに応募が来ないこともありますので、早めの採用活動をはじめましょう。

また採用後ネイリストを採用したら、1人あたり20〜30万程度の人件費が発生します。人件費は一か月の売上の40〜45%といわれています。その他に社会保険の支払いも発生するため計画を立てて採用活動に臨みましょう。

その他備品にかかる費用

ネイルサロン開業時には消耗品がいくつもあり、サービスに支障のないようにストックしておきましょう。

▼ネイル用品

  • ジェルネイル
  • ネイルパーツ
  • ネイルアート用品

▼爪のケア用品

  • ファイル
  • キューティクルクリーム
  • バッファー

▼消毒用品

  • エタノール
  • アセトン
  • 消毒液

▼その他

  • コットン
  • ティッシュ
  • 石鹸

これらは提供メニューやサロン規模により使用量が異なりますので、開業前に適切な量を準備してください。リスト化することで在庫不足を防げます。

サロン開業場所における費用の違い

ネイルサロンは自宅やマンション・テナントや店舗などさまざまな場所で開業可能です。ただし、開業する場所にかかる費用は異なります。

ここでは、サロンを開業する場所における費用の違いを解説します。

自宅サロン

自宅サロンとは自宅の一部をネイルサロンとして開業します。自宅の生活スペースを使用するため初期費用やランニングコストを抑えることができます。内装工事を行ったとしても安価にできるため、開業しやすいのがメリットです。

また平日は会社員として働き休日のみの営業も可能であり、通勤時間もないため家事や子育てを両立しやすく、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができるでしょう。

ただし、自宅の玄関やお手洗いを共有することがあり、生活感が出やすいため注意が必要です。また立地によっては集客しにくい場所もあるため、商圏内のリサーチを行い、集客プランを立ててください。借家の場合は店舗として使用できないケースもあるため、事前に契約書や管理会社に問い合わせましょう。

マンション

店舗・テナント型に比べ家賃や保証金などの初期費用が抑えられます。マンション型は自宅で使用するエアコンや照明などを設置できるためランニングコストも安くなります。またプライベート空間での演出もでき、静かな環境で営業できます。

マンション型は住居用として利用する目的で作られているため、店舗として利用できない場合があります。契約する前に規約を不動産屋に確認しましょう。

またマンション型は外からネイルサロンと認識しにくい場合もあります。開業前にチラシやネット、SNSを活用し集客活動を行いましょう。

スケルトン物件

内外装が何もないコンクリート打ちっぱなしの状態をスケルトン物件です。自由に内装をレイアウトできるため、こだわりを持ったサロンを作れます。

また都市部や商業施設で開業する際は、賃料が高くなりますが集客を一定数見込めます。初期費用やランニングコストは高くなりますが、サロンのブランドイメージを多くのお客様に宣伝できます。

エアコンや照明などの新規設備を導入した際、取扱説明書や保証書もそろい管理しやすくなります。定期的なメンテナンス期間も把握でき、万が一故障しても保証期間内であれば無料で修理も可能です。

ただし、スケルトン物件は内装工事に時間がかかります。電気設備や空調設備の工事から始める場合は工期が長くなるでしょう。その期間も賃料は発生するため、費用に関して計画的に考えてください。

居抜き物件

空調や電気の設備が前の借家が使った状態で残っている状態を居抜き物件といいます。

前がネイルサロンで居抜き物件だった場合は、スケルトン物件に比べ内装費を抑えて開業できます。内装工事も比較的短い期間で済み、開業までの時間を短縮できます。また以前ネイルサロンだった場合は、周囲の人からの認知もあり、集客しやすい可能性もあります。

ただし、居抜き物件では、自由な内装やレイアウトを行えない可能性もありますので注意してください。ネイルサロンの居抜き物件の場合、お客様の評判がいいものでなかったり、経営不振による撤退かもしれません。事前にリサーチしてから契約しましょう。

ネイルサロンの開業に活用できる補助金・助成金

開業には費用がかかりますが、補助金を活用すれば資金の負担を軽減できます。

補助金は審査がある公募制ですが、採択されれば申請者に支給されます。ここでは開業に活用できる「小規模事業者持続化補助金」と「地方自治体の創業者向け補助金制度」の解説をします。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金とは、販路開拓や業務効率化のための経費の一部を補助するものです。法人に関わらず個人事業主も対象でネイルサロンも含まれます。

補助金は50万円〜250万円です。50万円までは誰でも申請可能ですが、50万円を超える場合はいくつか条件がありますので、確認してから申請しましょう。

補助金は使える用途が限られています。使える経費は販路開拓のための費用となり、集客において重要な資金となります。以下は使用できる用途の一例です。

  • 広報費
    新サービスの紹介をお客様にお知らせするチラシ・パンフレット・DMが対象となります。また店頭で集客に必要な看板の設置も広報に含まれます。ただしサービスの宣伝目的としないもの、会社案内、求人広告に関する広報費は対象外のため注意してください。
  • ウェブサイト関連費
    こちら単体での申請はできませんので、他の経費項目と合わせて申請する必要があります。ウェブサイト関連費は制限があり、補助金交付申請額の4分の1が上限です。なお、集客のためのウェブ広告掲載はこれに該当します。
  • 委託外注費
    補助事業遂行に必要な店舗改装で自ら実行することが困難な業務の一部を第三者に依頼する経費です。例としては店舗入り口に手すり、スロープを付けるなどがあります。
  • 機械装置費
    ネイルサロンで必要な機械等が対象です。新サービスに必要な機械の導入が販路拡大に必要な経費となる場合は申請できます。

地方自治体の創業者向け補助金制度

各自治体では創業者を対象とした補助金があります。各自治体により補助金の金額や申請要件が異なるため、あらかじめ確認してから行いましょう。

東京都は創業初期に必要な経費の一部を助成する「創業助成事業」があります。

対象者

都内創業予定者又は創業して5年以内の中小企業者



申請要件

TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援の終了者

インキュベーション施設運営計画認定事業の認定施設の入居者

東京都及び都内区市町村が行う創業を対象とする制度融資利用者

都内区市町村で認定特定創業支援等事業(産業競争力強化法)による支援を受けた方

対象事業要件

都内に本店又は主たる事業所等を有し、活動を行う事業等

助成限度額

400万円(助成対象経費の3分の2以内)

助成対象経費

賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費、市場調査・分析費

引用:東京都及び公益財団法人東京都中小企業振興公社「創業助成事業」

その他に神奈川県では「創業支援融資」、大阪府では「開業・スタートアップ応援資金」として補助金・助成金がありますので、開業する自治体にお問合せください。

補助金、助成金についてはこの他にさまざまな種類があります。詳細を知りたい方はこちらから参照できます。

ネイルサロン開業に向けて準備すること

開業に向けては資金以外の準備も必要です。この準備を怠ると開業後に思いがけない苦労をする可能性もあるため、注意してください。ここでは開業後も安定した経営を図るためのポイントを解説します。

利益率適正なメニュー価格の決定

メニュー価格の設定は利益率を考慮しなければなりません。そのため毎月発生する家賃や材料費、人件費などの原価に利益を上乗せした価格を設定しましょう。メニューごとにかかる材料費や施術時間、広告宣伝費などを考慮し、利益が出るようにします。

また商圏内のリサーチも行います。ネットの予約ツールを使用すれば周辺のネイルサロンの価格が分かります。低価格サロン、高級サロンなど開業するスタイルにより価格は異なりますので慎重に設定してください。

他店のリサーチ

全国のネイルサロンは約3万件といわれており、特に都市部では店舗数が増えています。新しく開業する際は、商圏内のネイルサロンのリサーチを行いましょう。地域やサロンによりターゲット層、コンセプトや提供するサービス、料金体系が異なる場合もあり、リサーチを通して競合店の強みがみえてきます。

その上で競合店の強みを知り、自社しかない強みをお客様にアピールしましょう。競合店のリサーチは、予約サイトやホームページ、SNSを活用すれば雰囲気や料金体系、得意なデザインが分かります。

また口コミでお客様の評価もリサーチしてください。また覆面調査として実際に競合店を利用するとより他店の詳細が分かります。リサーチしたデータはいつでも見返せるように整理し管理しましょう。

予約の仕方や施術、お出迎えからお見送りなど、勉強も兼ねてフットネイルだけサロンでやってもらっています。カウンセリングシートの内容はサロンによって違うので、とても勉強になるんです。

引用:モアリジョブ|GO TODAY SHAiRE SALON 平井彩香さん

参考:NPO 法人日本ネイリスト協会発刊『ネイル白書 2023』

集客の実施

開業してもすぐに集客できるとは限りません。オープンしてからの集客活動では売上が上がるまでに時間がかかってしまいます。開業する前から集客活動を行い、新規客を獲得することで利益が生まれます。

気軽に始められる集客方法の一つにSNSがあります。ネイルデザインを投稿し、共感してくれたお客様が来店するきっかけになります。

InstagramではDMを活用し予約を受け付けることも可能です。幅広いユーザーに宣伝できますが運用直後は表示されるまで期間がかかる可能性があります。オープン日より前から計画を立てて運用を始めましょう。

ホームページも集客方法として有効です。SNSを利用しない年代やユーザーからの集客が見込まれます。MEO(Map Engine Optimization)などのGoogle関連のサービスと連携することで商圏内の集客を強化できます。

チラシやパンフレットも有効で、商圏内の住宅などにポスティングするとサロンの認知度が上がり集客につながります。それだけでなく近くの飲食店などのチラシの設置をお願いできれば、飲食店を利用した人の目に留まります。

オープン当初は近隣に住んでいる方をターゲットに、手作りのチラシを1,000部ほど配布しました。チラシにはメニュー内容とサロン案内を書き、クーポンも付けました。地道に活動を続けたところ少しずつお客さまが増えていき、集客が安定したのは半年くらい経った頃だったと思います。

引用:モアリジョブ|ネイルサロンディーネ 代表 柳原京子さん

また近年では、LINEと連携した予約ツールがあります。新しい予約ツールは扱いに慣れるまで時間がかかる場合があり、身近なツールのLINEと連携して予約を受けられれば、お客様も簡単に予約できるでしょう。2.リザービアLINEサービス

参考:リザービア LINE連携予約

技術力の向上

ネイリストに技術力がなければどんなに集客してもリピートは難しいでしょう。ネイル業界はトレンドの変化が激しい業界です。トレンドに乗り遅れないためにも常に技術力向上に努める必要があります。

技術力を向上する方法は主に次の3つです。

1.基礎技術を見直し、毎日練習を行う

技術職は基礎が大切です。基礎を見直し、安定したサービスを提供しましょう。そのためには継続的な練習が欠かせません。練習する際は自分の爪とモデルの爪の両方で練習すると、ネイル器具を使用した時の力加減も分かるようになります。また経験豊富なネイリストから学ぶことで短い期間で成長できるでしょう。

2.経験値を増やす

場数を経験するとさまざまなケースに対応できるようになります。同じデザインでも分厚い爪や薄い爪、皮膚の状態も異なるため、同じ結果にならないことがあります。どんな状態の爪でも臨機応変に対応できるように経験値を増やしましょう。経験値を増やすことでクオリティ高く、スピーディに施術を行えます。

3.最新の技術やトレンドを学ぶ

ネイルのデザインはトレンドの移り変わりが激しいものです。トレンドをつかめないと集客やリピートに影響が出かねません。トレンドを掴むためにSNS、ネイル業界誌、雑誌やテレビを常にチェックしましょう。また新しい技術が打ち出された場合は積極的に学ぶ姿勢が大切です。ターゲット層の好みも把握していきましょう。

ネイリストを始めるには資格はありませんが、検定試験を取得しておくとお客様からの信頼が向上します。それだけでなく技術力向上につながりますので開業前に取得しておくと良いでしょう。ここでは検定の一部をご紹介します。

  • JNECネイリスト技能検定
    日本ネイリスト検定試験センター主催で行っており、正しい知識と技術の習熟度を測ります。検定内容は実技と筆記で資格は3級、2級、1級があります。
  • JNAジェルネイル技能検定試験
    日本ネイリスト協会主催で行っており、ジェルネイルの正しい知識と技術の習熟度を測ります。検定内容は実技と筆記で資格は初級、中級、上級があります。
  • JNA認定ネイルサロン衛生管理士
    ネイルサロンの衛生管理に関する知識を習得したことを証明する資格です。ネイルで使用する器具は他のお客様にも使用するものがあります。思いがけないトラブルにならないために適切に消毒をし衛生を保つ必要があります。取得することでお客様からの信頼度アップにつながるでしょう。

資格を取得していることは、ネイリストとして必要な一定の知識や技術を身につけていることの証明になるため、お客様からの信頼を得やすくなります。また、資格を持つスタッフが在籍しているネイルサロンだということから、サロン自体の信用度も高められる可能性があります。

引用:モアリジョブ|ネイルサロンは無資格でも開業できる? 開業の形態や成功させるためのポイントを紹介

接客力の向上

どんなに素晴らしい技術もお客様に不快感を与えてしまっては意味がありません。接客力が足りず失客してしまうこともあり、接客力の向上は技術と同じように重要です。サロンコンセプトに見合う接客を繁忙期でも安定してお客様に提供していきましょう。

接客の基礎は次の3つです。

挨拶の徹底

基本的な挨拶である「いらっしゃいませ」「ありがとうございます」はお客様の目を見て言いましょう。最初の第一印象でサロンやスタイリストの印象が決まります。忙しい時でも笑顔での挨拶を心がけることが大切です。

実際の接客については第一印象がとても重要になります。お客さまの多くが初めて行くサロンに対して緊張しているはず。その緊張をほぐすように笑顔で迎えるようにしています。

引用:モアリジョブ|nail salon&school Bloom.s 山内亜巳さん

お客様への声掛け

ネイルはお客様の体の一部を施術する大事な仕事です。施術中は刃物や消毒薬を使用しますので「しみてないですか?」「痛くないですか?」などお客様の立場になり細やかな声掛けを行いましょう。また施術にかかる時間、料金などお客様が気になる項目を事前に伝えると安心できます。

プロ意識

ネイリストは美容のプロです。美容に関してお客様の見本とならなければいけません。そのため自身の身だしなみにも気を使いましょう。爪のケアはもちろんですが、髪が乱れていたり、服装にシワがあったりするとお客様からの支持が減る可能性もありますので常にチェックしてください。

リピート施策の検討

競合店が多い地域ではリピート率の向上が売上を安定させます。新規集客はコストがかかりますが、リピーターが増えるとコストは大幅に抑えられるでしょう。それだけでなくリピーターは爪の状態やデザインの好みも把握できており、施術にかける時間も短くなります。

以下では、リピート施策の参考になるポイントを解説します。

お客様に寄り添うカウンセリング

リピートを増やすにはお客様に「また来たい」と思ってもらえる施策が大切です。その中の一つに「カウンセリング」が挙げられます。すぐに施術に入るのではなく、お客様の来店目的、デザインの要望をしっかりと反映させるカウンセリングが必要です。

その際には、プロのネイリストとしての提案も求められます。お客様のライフスタイルや色の組み合わせを考慮してプロの提案を加えるとお客様の共感も得られリピートにつながります。飽きさせないように定期的にデザインの提案をしましょう。

たとえば、季節やイベントなどの行事に合わせたカラーやデザインの提案は、お客様から喜ばれるきっかけになります。

カウンセリングの際、お客さまの爪にジェルを試し塗りすることを徹底しています。実際に自分の爪に塗った時の色を確認していただくためです。画像やチップを見ただけで色を決めてしまうと実際の仕上がりと異なる場合があります。そのため、カラーの見本も置いていません。

引用:モアリジョブ|Affinita fam 中野 代表 Megumiさん

SNSの活用

Instagramはお客様と直接つながれるツールです。お客様に施術したデザインを投稿すれば、実績を示せるだけでなくお客様からコメントを得られ、来店後のコミュニケーションが取れます。またDMで来店を促すメッセージを送れますのでぜひ活用しましょう。

口コミ増やす

口コミはお客様の素直な評価です。口コミが良いとネイリストやサロンに好印象を持つお客様も多く、リピートになります。口コミを投稿してくれたお客様に割引クーポンの特典も付ければ、積極的に口コミを増やしてくれます。口コミが良いサロンは集客力も強くなり、売上増加につながります。

ただし、良い評価をつけることを特典付与の条件にすると、ステルスマーケティングと見なされて措置命令を受ける可能性があるため、注意しましょう。

必要な運営資金の準備

運営資金の準備は開業後にかかる月々の支払いに充てられるため、安定的・継続的に利益を確保できるまで不可欠です。開業後の収支を適切に管理し運営することで長期的な店舗運営ができます。

基本的な運営資金は次の通りです。

家賃

毎月発生する家賃は大きな固定費になり、家賃は月の売上に対し10%が目安です。売上に関わらず毎月発生するため、安定した収益が見込める期間を考慮して準備してください。約7割の企業の経営が安定するまで半年以上かかっていることから、家賃6カ月分は必要となります。

参考:新たに美容業を始めるみなさまへ 創業の手引+

光熱費

光熱費も家賃同様、毎月発生します。光熱費は月の売上に対して1〜10%が目安です。電気・水道・ガスは営業時間やサロン面積、施術で使用する機器により異なります。高騰している光熱費を抑えるために節水、節電に努めましょう。

材料費・消耗品費

ネイルには施術でさまざまな材料を使用します。材料費は月の売上に対して3〜10%が目安といわれていますが、メニューやサービスにより異なります。メニューやニーズに合わせて適切に在庫管理を行いましょう。

人件費

複数のネイリストで運営する場合、人件費がかかります。人件費は月の売上に対して40〜60%が目安です。人件費の中には社会保険や福利厚生など雇用に関わる費用も発生します。採用を考えているなら事前に労働局や社会保険労務士(社労士)に相談してください。また個人サロンで一人で営業する場合でも自分の給料を人件費に含めて考えましょう。

ネイルサロン賠償保険の加入

ネイルはお客様の体の一部を施術します。ネイルサロンを経営するなら万が一のトラブルに備えてサロン向けの保険を検討しましょう。サロン保険とは填補賠償責任保険と呼ばれ店舗を守る保険です。補償内容と保険内容は次の通りです。

  • 施設所有(管理)者賠償責任保険
    ネイル業務中やそれ以外で発生した身体・財物を補償する保険です。
    例:お客様の指を誤って傷つけてしまった
      サロン内での転倒、お客様の所有物の汚れ
  • 受託者賠償責任保険
    お客様から預かった荷物の紛失物を補償する保険です。
    例:バックや上着、時計などの紛失
  • 生産物賠償補償(PL補償)
    ネイルでは店販商品に不備があった場合に補償する保険です。
    例:店販商品でお客様の肌が荒れた
  • 人格権侵害補償
    ネイリストはお客様とのコミュニケーションが必須です。その中で思いがけずお客様の人権侵害や名誉棄損に発展する可能性があります。そういったトラブルを補償する保険です。
    例:お客様との会話の中でプライベートに対し不快感を与え、訴えられてしまった
  • 事業活動総合保険
    火災による休業などにより休業を余儀なくされた際に補償される保険です。店舗の修復中に営業できない場合は、重要な収入源となります。

必要な人材の採用

複数人でネイルサロンを営業する際、人材採用は必須です。

厚生労働省運営「jobtag」に掲載のハローワーク求人統計データ では、有効求人倍率は0.39倍求人倍率となり採用自体は難しくないと考えられます。ただし、ネイル業界は独立志向が多いのが特徴です。そのため独立志向が強い人材に対する理解、そして人員を補うためのノウハウは欠かせません。

また、採用時にはより多くの求職者にサロンを知って見てもらうための施策も行いましょう。今はネットを使用した就職活動が主流であり、美容業界に特化した求人サイトでは、多くのネイル経験者が登録し応募を検討しています。必要とする人材を確保するためには開業前に計画して採用活動をし万全な体制でオープンを迎えてください。

またリジョブは美容・ヘルスケアに特化した求人サイトです。求職を検討しているネイリストが多数登録していますので、ぜひご検討ください。

内部リンク:ネイリストの採用を検討する

まとめ

ネイルサロン開業を目指すにあたって次を行いましょう。

  • サロンコンセプト・オープン日の決定
  • 業態に合わせた物件の選定
  • メニュー提供で使用する機器の準備
  • 採用や集客活動の実施

また開業には費用がかかります。自己資金だけでなく助成金や申請できる補助金を検討してください。資金だけでなく人材採用や教育もオープン日から考慮した運営が、安定したサロン経営につながります。

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Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。