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採用ファネルとは?認知から入社までの流れを可視化する考え方

  1. 採用ファネルとは?認知から入社までの流れを可視化する考え方
    1. 採用ファネルと採用マーケティングの違い
  2. 採用ファネルの3種類と使い分け
    1. 1.パーチェスファネル|応募・採用までの移行を分析する
    2. 2.インフルエンスファネル|定着した社員の紹介・発信を考える
    3. 3.ダブルファネル|入社前と入社後の取り組みをつなぐ
  3. 採用ファネルが求められる理由
    1. 仕事観や働き方の希望が人によって異なる
    2. 求人市場では自社を選んでもらうための比較が必要
    3. SNS・求人サイト・紹介など採用経路が多様
  4. 採用ファネルを活用する3つのメリット
    1. 1.採用活動の全体像を把握できる
    2. 2.応募数だけでなく採用の質を検討できる
    3. 3.改善の優先順位と効果を数値で確認できる
  5. 採用ファネルで追うKPIと歩留まりの計算方法
    1. 主なKPIと計算式
    2. 採用ファネルの計算例|72人の応募から9人が入社した場合
    3. 小規模サロンでも使える最低限の管理項目
  6. 【段階別】採用ファネルのアプローチ方法
    1. 認知|潜在層へ自社の存在や魅力を届ける
    2. 興味・関心|応募前の疑問や不安を減らす
    3. 応募|求人原稿と応募導線を見直す
    4. 選考|返信速度・面接方法・評価の運用を整える
    5. 内定・入社|承諾辞退を防ぎ、定着まで支援する
  7. 採用ファネルを改善する5つの手順
    1. 1.採用目的と求める人物像を明確にする
    2. 2.自社の採用経路とステージを整理する
    3. 3.数値と辞退・不通過の理由を集める
    4. 4.課題の大きい段階から改善策を試す
    5. 5.改善結果と入社後の状況を振り返る
  8. 採用ファネル分析で失敗しないための注意点
    1. 応募数だけを増やすことを目標にしない
    2. 離脱をすべて企業側の失敗とみなさない
    3. 少人数の率や異なる期間の数字を比較しない
    4. 個人情報の取り扱いに配慮する
  9. 採用ファネルの運用に役立つ4つの手段
    1. 1.SNS|認知・関心を高め、社員紹介とも連携する
    2. 2.採用管理システム(ATS)|選考状況を一元管理する
    3. 3.採用ホームページ|仕事内容・待遇・働く人を伝える
    4. 4.MAツール|候補者への情報提供を管理する
  10. 採用ファネルを採用成果につなげるためのポイント
    1. 採用目的と自社の強みを結び付ける
    2. 採用ターゲットが利用する経路を選ぶ
    3. 採用フローを継続して改善する

求人を出しても応募が増えない、応募はあるのに採用が決まらない。その原因を整理する際に役立つのが「採用ファネル」です。

採用ファネルとは、求職者が企業を認知し、興味・関心を持って応募、選考、内定・入社へと進む過程を段階別に可視化したものです。各段階の人数や移行率を確認すると、採用活動のどこで候補者が離れているかを把握し、改善施策を選びやすくなります。

本記事では、既存のファネル図解をもとに、3種類のモデル、採用マーケティングとの関係、段階別の施策に加え、歩留まり・KPIの計算例と改善の進め方を解説します。美容・ヘルスケア業界の採用事例も紹介するため、経営者や採用担当者の実務にお役立てください。

採用ファネルとは?認知から入社までの流れを可視化する考え方

「ファネル」は漏斗(じょうご)を意味します。多くの人に自社を知ってもらう段階から、関心を持ち、応募や選考を経て入社するまで、対象者が段階的に絞られていく様子を表します。

基本的な採用ファネルは「認知→興味・関心→応募→選考→内定」の5段階で表されます。実際の採用管理では、内定承諾・入社を別段階とし、入社後の定着まで追跡するのも有用です。段階数は企業の選考フローに合わせて設計してください。

採用ファネル

▲採用ファネルの基本構造(既存図解)

段階 候補者の状態 企業が確認すること
認知 企業名や求人の存在を知る 求人の表示・到達状況、発信先との相性
興味・関心 求人詳細や仕事内容、職場の雰囲気を調べる 求人詳細の閲覧、採用サイトへの遷移、情報の不足
応募 応募フォームなどから応募する 応募数、閲覧から応募への移行率、応募のしやすさ
選考 書類選考、面接、適性確認に参加する 面接実施数、選考通過率、辞退・連絡不通の理由
内定 雇用条件を確認し、内定を受けるか判断する 内定数、承諾率、条件・配属への懸念
入社・定着(拡張) 入社し、職場になじみ継続勤務する 入社率、早期離職、受け入れ・育成状況

求職者の行動は必ずしも一直線ではありません。SNSで知ってから何度も求人を見る人も、最初から求人サイトで応募する人もいます。ファネルは全員の行動順序を決めつける図ではなく、採用上の課題を発見するための整理・分析の道具として使います。

採用ファネルと採用マーケティングの違い

採用マーケティングは、企業が採用したい人材のニーズを把握し、自社の魅力を伝え、応募・入社につなげるための戦略や施策全体を指します。一方、採用ファネルは、その取り組みを段階別に整理・評価するための枠組みです。

たとえば、SNSで仕事風景を紹介する、採用サイトで教育制度を説明する、面接対応を改善することはいずれも採用マーケティングの施策です。採用ファネルで数値や離脱原因を確認することで、どの施策を優先するか判断しやすくなります。詳しい進め方は採用マーケティングとは?進め方や使えるフレームワークを解説も参考になります。

採用ファネルの3種類と使い分け

採用活動に応用されるファネルには、主に「パーチェスファネル」「インフルエンスファネル」「ダブルファネル」があります。これらはマーケティングで用いられるモデルを採用領域へ応用したもので、段階の名称や範囲が厳密に統一されているわけではありません。

1.パーチェスファネル|応募・採用までの移行を分析する

パーチェスファネルは、企業の認知から興味・関心、応募、選考、内定・入社までの流れを、上から下へ細くなる形で表したモデルです。求人の閲覧数は多いのに応募が少ない、応募数に対して面接実施数が少ないといった、各段階の歩留まりを確認するのに向いています。

パーチェスファネル

▲パーチェスファネル(既存図解)

段階 主な取り組み
認知 SNS、求人広告、学校との接点などから自社を知ってもらう
興味 職場環境、仕事内容、待遇、教育制度を具体的に伝える
応募 応募条件を明示し、フォーム入力や問い合わせの負担を減らす
選考 面接日程の調整、評価基準、応募者への対応を整える
内定・入社 労働条件を共有し、内定承諾から入社までフォローする

2.インフルエンスファネル|定着した社員の紹介・発信を考える

インフルエンスファネルは、入社後の社員が職場への理解や愛着を深め、知人への紹介や職場の発信などを通じて新たな候補者との接点を生む流れを表します。採用人数だけでなく、働き続けられる環境をつくり、社員の声を採用活動に活かしたい企業に適しています。

インフルエンスファネルの図

▲インフルエンスファネル(既存図解)

段階 内容
継続 入社後に働き続け、仕事や職場への理解・信頼を深める
紹介・発信 社員が希望に応じて知人へ職場を紹介したり、仕事の魅力を外部へ伝えたりする

社員による紹介や発信は、本人の自発性を尊重して進めることが前提です。また、定着率や紹介数を評価する際も、無理に紹介を求めるのではなく、職場環境や制度の改善と組み合わせます。

3.ダブルファネル|入社前と入社後の取り組みをつなぐ

ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたモデルです。採用して終わりにせず、入社後の定着や社員の紹介・発信までを一連の流れとして考えます。

ダブルファネル

▲ダブルファネル(既存図解)

たとえば、採用活動で「教育が充実した職場」と伝えていても、入社後の研修が整っていなければミスマッチが起こりかねません。求人情報と実際の働き方をそろえ、入社後の声を次の採用に反映することが、ダブルファネルの考え方です。

種類 向いている課題
パーチェスファネル 応募不足、面接辞退、内定承諾率などを改善したい
インフルエンスファネル 定着や社員紹介、職場の魅力発信を強化したい
ダブルファネル 採用から定着までの一貫した仕組みをつくりたい

採用ファネルが求められる理由

採用ファネルを使う意義は、採用の成果が「求人を出すこと」だけでは決まらない点にあります。求職者の価値観や情報収集の方法、求人市場、募集経路に応じて、認知から入社まで複数の改善点が生じるためです。

仕事観や働き方の希望が人によって異なる

同じ美容師やネイリストでも、給与、休日、技術習得、教育制度、働く時間、将来の独立支援など、勤務先を選ぶ判断材料は異なります。採用ターゲットに何を伝えるべきか把握し、求人情報や説明会の内容へ落とし込む必要があります。

リジョブが2022年4月29日~5月9日に実施した調査では、美容・ヘルスケア業界の18~34歳の従事者225人を対象に、仕事に対する価値観を質問しています。調査上の区分は「Z世代=18~24歳(112人)」「ミレニアル世代=25~34歳(113人)」です。これは2022年当時の調査区分であり、2026年現在の年齢区分や業界全体の構成比を示すものではありません。

仕事とプライベートのどちらを軸に働いていますか?の回答

▲「仕事とプライベートのどちらを軸に働いていますか?」の回答(既存画像・2022年調査)

出典:リジョブ「Z世代とミレニアル世代を調査!世代別で見る仕事の価値観レポート」(2022年調査、対象225人)

こうした調査は若年層の仕事観を考える参考になりますが、全員に同じ希望があると決めつけず、自社の応募者や社員へのヒアリングも組み合わせましょう。

仕事観の違いや若年層への訴求を詳しく検討したい場合は、次の資料も参考になります。

求人市場では自社を選んでもらうための比較が必要

厚生労働省が2026年10月2日に公表した「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」では、有効求人倍率(季節調整値)は1.18倍でした。これはハローワークの求人・求職状況を示す全国の指標であり、美容業界だけの採用難易度や自社の応募見込みを直接示すものではありません。

参考:厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年8月分)」

自社が採用したい職種や地域、待遇条件によって候補者との接点は変わります。採用ファネルを用いて、認知不足なのか、求人内容で比較負けしているのか、選考中の辞退なのかを区別することが有効です。

SNS・求人サイト・紹介など採用経路が多様

求人広告、人材紹介、SNS、専門学校、社員紹介(リファラル)、採用ホームページなど、求職者と接する手段は複数あります。各経路を一律に評価するのではなく、「どの経路から何件応募があり、そのうち何人が入社したか」を確認すると、費用や担当者の時間を配分しやすくなります。

美容サロン「ALBUM」の採用担当者は、過去の採用データを振り返る取り組みについて、次のように話しています。

ALBUMでは、より良い人材を確保するために「採用業務もマーケティングの一部」という考えで向き合っています。そのため、僕が所属している管理部では10月から準備が始まります。

その年に採用した方たちの特徴や行動から傾向をまとめた結果を元に、フィードバックを行います。性格診断テストの結果と各年の退職率を比較し、会社とマッチする人を分析し、次年度の採用に活かしています。

引用:モアリジョブ|美容サロン「 ALBUM」経営管理部広報部門長 山本剛瑠さん

2024年の取材時点での同社の取り組みですが、入社した人材の傾向やその後の状況を次年度の採用へ反映する考え方は、ファネル分析にも通じます。

採用ファネルを活用する3つのメリット

1.採用活動の全体像を把握できる

認知・興味関心・応募・選考・内定を分けると、求人広告の表示数だけでは見えなかった課題を整理できます。求人の閲覧が十分あるのに応募が少なければ、まず求人内容や応募導線を見直す、といった判断ができます。

2.応募数だけでなく採用の質を検討できる

応募数が増えても、求める経験や資格に合わない応募ばかりでは採用につながりません。職種・経験層・応募経路ごとの選考結果を比較し、採用要件と訴求内容のずれを見つけやすくなります。なお、選考基準の見直しでは、職務との関連性や評価の公平性も確認する必要があります。

3.改善の優先順位と効果を数値で確認できる

応募前の離脱が大きいのか、面接から内定への移行が少ないのかにより、有効な対策は異なります。改善前後で同じ定義の指標を追跡すると、採用施策の効果を比較できます。ただし、数値の変化だけで原因を断定せず、応募者の声や採用条件の変更も確認しましょう。

採用ファネルで追うKPIと歩留まりの計算方法

採用ファネルを実務で使うには、段階ごとの人数だけでなく、次の段階へ移った割合を把握します。これを一般に「歩留まり」や「移行率」と呼びます。

主なKPIと計算式

指標 計算式・見方
求人閲覧からの応募率 応募数 ÷ 求人詳細の閲覧数 × 100
応募後の面接実施率 面接実施人数 ÷ 応募人数 × 100
面接からの内定率 内定人数 ÷ 面接実施人数 × 100
内定承諾率 内定承諾人数 ÷ 内定人数 × 100
入社率 実際の入社人数 ÷ 内定承諾人数 × 100(※分母を内定人数にする運用もあるため定義を固定)
採用単価 採用活動の総費用 ÷ 採用人数
早期定着率(例) 入社3か月後の在籍人数 ÷ 同じ対象集団の入社人数 × 100

指標ごとに、対象期間、応募者の重複処理、応募キャンセルの扱い、内定承諾と入社の区分をそろえましょう。求人の表示回数は人数とは限らず、求人閲覧数も同一人物の重複を含むことがあります。そのため、表示数・閲覧数を使った率と、同じ応募者集団を追う選考移行率は分けて解釈します。

採用ファネルの計算例|72人の応募から9人が入社した場合

下表は、架空の美容サロンで、同じ募集に応募した72人を入社まで追った場合の説明用の仮定例です。業界平均やリジョブの実績ではありません。

段階 人数・件数 直前段階からの移行率
求人詳細の閲覧 1,200回 ―
応募 72人 6.0%(閲覧回数を分母とした参考値)
面接実施 36人 50.0%
内定 12人 33.3%
内定承諾 9人 75.0%
入社 9人 100.0%

この例では、応募者72人のうち面接まで進んだのは36人で、移行率は50.0%です。ただし、残り36人には企業側の書類選考不通過、日程調整中の辞退、本人の希望変更などが含まれる可能性があります。「50%だから低い」と結論付けず、次の段階へ進まなかった理由を分けることが先決です。

内定承諾率は9人÷12人×100=75.0%です。承諾を辞退した3人について条件や仕事内容の説明不足がなかったかを確認できます。採用単価まで比較したい場合は採用単価の計算方法と改善策も参考になります。

小規模サロンでも使える最低限の管理項目

専用システムがない場合は、表計算ソフトで「応募日」「応募経路」「募集職種・店舗」「応募人数」「面接実施」「内定」「承諾」「入社」「辞退・不通過の主な理由」を記録する方法から始められます。少人数で率が大きく動く場合は、パーセンテージだけでなく人数も併記しましょう。

【段階別】採用ファネルのアプローチ方法

採用ファネルのどこに課題があるか確認したうえで、それぞれに合った施策を選びます。以下は美容・ヘルスケア業界の採用場面を中心にした例です。

認知|潜在層へ自社の存在や魅力を届ける

認知段階では、まだ転職を具体的に検討していない人も対象となります。企業・店舗の名前を知ってもらい、「どんな職場か気になる」と思える接点を増やします。

アプローチ 実施例
採用ブランディング SNS・ブログ・動画などで店舗の理念、技術、スタッフの日常や仕事のやりがいを伝える
広告による接点拡大 採用したい地域・経験層を考慮して求人広告やSNS広告を選ぶ。LinkedInやFacebookなども職種に応じて検討する
口コミ・社員紹介 従業員の紹介制度、専門学校との関係、過去に接点のあった候補者への適切な情報提供を活かす

「grico」店長の寺尾フミヤさんは、採用前の関係づくりについて次のように話しています。

正直なところ、実際に働いてみないとわからない部分は多いので、採用試験のなかでも「この試験が重要」というものはありません。全体を通して、どんな人間性なのかを見ている感じです。だから強いて言うなら、応募前にどこまで関われるかというのは、結構重要だと思います。

引用元:モアリジョブ|「grico」店長 寺尾フミヤさん

同店では当時、応募前にサロンへ来店してもらうことを求める取り組みが紹介されていました。すべてのサロンで同じ仕組みが適しているわけではありませんが、応募前から職場を知ってもらう機会の大切さが分かります。

興味・関心|応募前の疑問や不安を減らす

興味・関心の段階では、仕事や条件を具体的に比較し始めた求職者が対象です。給与や休日だけでなく、技術習得、研修、配属、キャリアパス、職場の人間関係などを確認できるようにします。

アプローチ 実施例
ターゲット別の情報提供 アシスタント向けにデビューまでの育成、経験者向けに入客機会や評価制度を説明する。採用サイトに社員インタビュー・職場紹介を置く
説明会・見学 店舗ごとの特徴や実際に働くスタッフの声を伝え、求職者が質問できる機会を設ける
再接点の設計 採用ページ閲覧後の情報発信、同意や設定に配慮したリマーケティング広告などを必要に応じて検討する

「GARDEN Tokyo」代表の久分祐太郎さんは、説明会でスタッフが魅力を伝える取り組みを紹介しています。

GARDENに興味を持ってもらえるように、会社の説明会には力を入れています。サロンごとにコンセプトが違うところが特色なので、役職や年齢は関係なく、各店舗から何人か働いているスタッフをピックアップし、説明会で魅力を発信してもらっています。どんなところがどのように働きやすいのか、実際に働いているスタッフから聞いたら入ってきやすいと思うんです。

引用元:モアリジョブ|「GARDEN Tokyo」代表 久分 祐太郎さん

説明会は応募を急がせる場ではなく、働くイメージを具体化する機会として活用できます。

応募|求人原稿と応募導線を見直す

閲覧はあるのに応募が少ない場合、給与・勤務時間・休日・応募条件などの情報が不足していないか、また応募フォームが長すぎないか確認します。資格が必要な職種では、その条件や仕事内容を明確に記載してください。

アプローチ 実施例
求人内容を具体化 仕事内容、給与、休日、教育制度、応募要件、勤務地、1日の流れを示す
応募の負担を軽減 入力項目や必須書類を点検し、応募後の連絡方法と選考予定を知らせる
SNS・社員紹介と連携 投稿や紹介から求人詳細へ迷わず移動できる導線を設ける

「MINX shibuya smart salon」の取締役・池戸裕二さんは、応募前の情報提供について次のように話しています。

MINXが主催で行う会社説明会が一番の特長かと思います。説明会では、学生により近い存在の若手スタイリストが入社したときの感想や就活へのアドバイスなどを発信し、学生にとってタメになる情報を発信しています。ただ、定員があって先着順になるので、早めにHPから予約をすることを案内しています。

引用元:モアリジョブ|「MINX shibuya smart salo」取締役 池戸 裕二さん

求人票だけでなく説明会を設けることで、求職者が判断材料を得る機会が生まれます。具体的な求人原稿の改善策は応募したくなる求人広告の書き方でも解説しています。

選考|返信速度・面接方法・評価の運用を整える

応募数はあるのに面接に進まない場合は、選考辞退と不通過を分けて考えましょう。応募者から返信がない、日程が合わない、面接前に辞退されるなど、運用上の問題が見つかることがあります。

アプローチ 実施例
迅速・丁寧な連絡 応募受付の連絡、面接候補日、選考予定、結果の通知時期を明確にする
面接形式の柔軟化 対面のほか、必要に応じオンライン・電話での事前面談などを検討する
評価・情報共有 採用要件に沿った評価項目を整理し、面接官による判断のばらつきを減らす
候補者との信頼形成 会社の理念や入社後の仕事を説明し、質問に答える機会を設ける

面接実施率が低くても、資格・経験などの採用要件を満たさない応募が多い場合は、選考対応だけでなく募集段階の訴求を見直します。採用基準や面接の考え方は採用基準の作り方も参考にしてください。

内定・入社|承諾辞退を防ぎ、定着まで支援する

内定を出しても承諾や入社につながらない場合、給与・働き方・配属先・入社後の教育について認識のずれがなかったか確認します。口頭説明だけで済ませず、入社後の働き方を具体的に伝えることが有用です。

アプローチ 実施例
内定後フォロー 労働条件・配属・入社日を整理し、質問への窓口を用意する
オンボーディング 入社後の研修、メンター、業務手順の説明、店舗内の役割分担を整える
継続的な対話 1on1や研修の振り返り、キャリア相談を行い、困りごとを早期に把握する
職種に合う働き方 勤務シフトや休暇、報酬制度などを実態に即して整え、求人の説明とも一致させる

「NAILsGUSH・NAIL MAFIA」のオーナー、木下さとこさんは、スタッフの定着につながる職場づくりについて次のように語っています。

うちの会社は「多様性を楽しもう」という文化がスタッフ全員に根付いているんですよ。他者の考えを受け入れた上で議論できる土壌があるから、スタッフは安心して意見を交わすことができるし、アイデアの幅も広がる。結果「人が辞めない→会社が発展する」という好循環が生まれています。

引用元:モアリジョブ|「NAILsGUSH・NAIL MAFIA 」オーナー 木下さとこさん

同社では、入社後の座学で理念や価値観を共有する取り組みも行っています。

当社では、入社後の座学で、理念・ミッション・カルチャー・行動基準・マインドを明確に共有しています。ネイリストってそもそも何のためにいるの?と自分達をメタ認知するところから始まり、他者を承認すること、自分の感情を大切にすること、成長を喜ぶことってなぜ大切なの?といった内容まで、生物学、心理学、歴史などのさまざまな観点から学んでいきます。

引用元:モアリジョブ|「NAILsGUSH・NAIL MAFIA 」オーナー 木下さとこさん

採用ファネルを定着まで拡張する際は、採用時に伝えた魅力を入社後の制度や運営で実現できているか確認しましょう。離職防止の具体策は人材定着に役立つ取り組みも参考になります。

採用ファネルを改善する5つの手順

1.採用目的と求める人物像を明確にする

欠員補充、店舗拡大に向けた複数人採用、経験者の確保など、目的を決めます。採用人数だけでなく「どんな経験や技能が必要か」「いつまでに採用するか」を共有しましょう。求める人物像が曖昧なら、採用ペルソナの作成方法が参考になります。採用目的から募集・選考までの全体設計には、既存関連記事の採用戦略の立て方と成功のポイントもあわせてご覧ください。

2.自社の採用経路とステージを整理する

求人媒体、Instagram、採用ページ、専門学校、社員紹介など、現在の候補者との接点を書き出します。そのうえで、応募、面接、内定、承諾、入社までの段階を自社の実際の採用フローに合わせて定義します。

3.数値と辞退・不通過の理由を集める

応募数・面接実施数などを募集職種や店舗、経路別に整理し、辞退理由や候補者の疑問も記録します。求人広告の閲覧数が取得できないときは、測定できる応募以降の段階から始めても構いません。

4.課題の大きい段階から改善策を試す

応募が少なければ求人原稿や媒体との相性、面接辞退が多ければ返信速度や日程調整、内定辞退が多ければ条件提示や説明内容など、原因に応じて対策を選びます。最初から全段階を一斉に変更せず、改善点を絞ると施策の効果を確かめやすくなります。

5.改善結果と入社後の状況を振り返る

変更前後の移行率を同じ定義で比較し、採用職種、募集条件、季節などの違いも考慮します。採用人数だけでなく、入社後の定着や現場評価も確認して次回に反映しましょう。

採用ファネル分析で失敗しないための注意点

応募数だけを増やすことを目標にしない

表示や応募の増加だけでは採用成功を判断できません。応募者との条件の一致、内定承諾、入社後の定着までを見て、採用したい人材に情報が届いているかを確認します。

離脱をすべて企業側の失敗とみなさない

書類選考で要件を満たさなかった、候補者が別の職場を選んだ、条件が合わなかったなど、次の段階に進まない理由は複数あります。不採用と候補者の辞退は分け、数値の変化に加えて理由も確認してください。

少人数の率や異なる期間の数字を比較しない

応募数が数人の場合、1人の辞退で率が大きく変化します。また、応募月と内定・入社月が異なるケースもあるため、同じ応募者集団を追う指標と、月次集計の人数を混同しないことが必要です。

個人情報の取り扱いに配慮する

応募者の選考履歴や接触履歴を管理する際は、利用目的を明らかにし、必要な範囲で適切に取り扱います。広告の行動データ利用やMAツールの導入に際しても、取得方法・利用目的・外部サービスとの共有を確認しましょう。参考:個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」。

採用ファネルの運用に役立つ4つの手段

1.SNS|認知・関心を高め、社員紹介とも連携する

Instagram、Facebook、LinkedInなどは、職場の雰囲気やスタッフの声を継続して伝える手段です。仕事風景や技術研修、スタッフ紹介を発信し、求人情報への導線も整えます。従業員によるSNSでの求人紹介は、本人の希望に応じたリファラルの取り組みとして活用できます。

株式会社Londのゼネラルマネージャー/リクルーター、関根孝文さんは、2024年の取材で次のように話しています。

専門学校に置かれている求人票などのいわゆる紙媒体は、あまり見ていない印象があります。その学校の風土にもよると思いますが、紙の求人票をファイリングして置いてある学校もあるんです。でも、やっぱり見ないですよね。紙よりもウェブになれている世代ですから、求人票よりもSNSの投稿の方が親しみやすいのかなという感触はあります。中途の場合も、SNSと採用エージェントからの申し込みが半々くらいの印象ですね。

引用元:モアリジョブ|「株式会社Lond 」ゼネラルマネージャー/リクルーター 関根孝文さん

新卒・中途の採用経路は異なる可能性があります。SNSでの反応が良くても、応募・面接・入社まで追って評価することが大切です。

2.採用管理システム(ATS)|選考状況を一元管理する

採用管理システムは、応募者の情報、応募経路、面接日程、選考結果などをまとめて管理するためのツールです。複数の求人媒体から応募がある場合、担当者間の情報共有や応募後の連絡漏れの防止に役立ちます。

活用方法 内容
応募者の一元管理 経路ごとの応募数や選考状況を一覧化し、採用チームで共有する
連絡・調整の効率化 日程調整、通知、選考結果の共有など、対応できる範囲を仕組み化する

専用システムが必要かどうかは、応募数やスタッフ体制で判断しましょう。採用業務全般の効率化は採用業務を効率化する方法6選で解説しています。

3.採用ホームページ|仕事内容・待遇・働く人を伝える

採用ホームページには、企業理念、店舗の特色、給与・休日、福利厚生、教育体制、社員インタビュー、選考の流れなどをまとめられます。検索流入やSNSから訪れた求職者が比較検討しやすい構成にしましょう。SEOによる認知拡大を狙う場合も、情報の正確性と更新性を優先してください。

4.MAツール|候補者への情報提供を管理する

MA(マーケティングオートメーション)ツールは、Web上の情報提供やメッセージ配信などを条件に応じて管理・自動化する仕組みです。採用でも、説明会申込者への案内配信や関心に合わせたコンテンツの紹介などに応用できます。

ただし、候補者の閲覧履歴などを収集・活用する場合は、サービス仕様と個人情報の取り扱いを確認する必要があります。小規模な店舗では、まず求人内容や応募者対応の整備を優先し、必要になった段階で導入を検討するとよいでしょう。

採用ファネルを採用成果につなげるためのポイント

採用目的と自社の強みを結び付ける

採用したい人数・経験層・時期が明確になったら、競合と比較して自社が伝えられる強みを整理します。教育制度が魅力なら、研修内容やデビューまでの支援を具体化するなど、募集対象に合った情報を発信しましょう。

採用ターゲットが利用する経路を選ぶ

求人媒体の種類や知名度だけでなく、採用したい地域・職種・経験層に届くかを確認しましょう。選び方は目的別のおすすめ求人媒体比較も参考にできます。

美容・ヘルスケア領域の専門職の採用では、総合型に加えて業界特化型求人サイトも候補になります。たとえばリジョブの求人掲載・料金に関する公式案内では、美容・ヘルスケア業界向けの求人掲載やスカウトなどを紹介しています。自社の採用課題に合うサービスか、料金条件や利用できる機能も含めて確認してください。

求人原稿の改善に役立つ資料については、以下も参考になります。

採用フローを継続して改善する

応募数、面接実施率、内定承諾率、入社率などを定期的に確認し、候補者の反応と照らし合わせて改善します。特に、応募が増えたのに入社人数が変わらない場合は、募集対象と選考条件の一致や、面接・内定後の対応を改めて確認しましょう。

まとめ

採用ファネルは、認知から応募・選考・内定・入社までを段階別に整理し、採用活動の改善点を見つけるための考え方です。採用して終わりにせず、定着や社員紹介まで視野に入れると、長期的な採用活動にも活かせます。

  • パーチェス・インフルエンス・ダブルの3種類を目的に応じて使い分ける
  • 応募数だけでなく、面接実施率・内定承諾率・入社率などを同じ定義で確認する
  • 各段階の離脱理由に応じて、求人内容・選考対応・入社後の受け入れを改善する
  • 美容・ヘルスケア業界では、職場の魅力や現場の声を伝えることも採用判断の助けになる

まずは自社の直近の募集について、応募から入社までの人数と、辞退・不通過の理由を整理するところから始めてみましょう。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。