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店舗マネジメントとは?店舗運営との違いや求められるスキル、大切なことについてわかりやすく解説!

店舗マネジメントとは?店舗運営との違いや求められるスキル、大切なことについてわかりやすく解説!

店舗をマネジメントするとひと言に言っても、具体的には何をしたらいいのかわからない人も多くいるのではないでしょうか。仕入れ金額や物価高も問題視されている状況で、2024年4月の日本政策金融金庫による景況調査では、「仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁できない店舗」が50.3%もあるという結果であり、経営の難しさを物語っています。

マネジメント業務は経営していくうえで重要なことです。そこで本記事では具体的なマネジメントにおける行動やスキル、マネジメントを進めたときに直面しやすい課題と解決策についてお伝えします。

さらに、実際にマネジメントを進めるうえでの大切なことについても解説します。立場の違いに分けて求められるスキルを解説しますので、マネジメントに関わる人はぜひ参考にしてください。

店舗マネジメントとは?

店舗マネジメントをするには、まずは用語そのものの意味や違いについて知っていきましょう。意味を正しく理解することで、自分の行っている業務内容に自覚を持ちやすくなるはずです。

意味をはっきりと認識することで、マネジメントができているのかの漠然とした不安からも脱却できるでしょう。

店舗マネジメントの定義

店舗マネジメントとは、店舗全体のマネジメントを行う業務のことです。これだけでは、あまり詳細なイメージが湧きにくい気もしますね。そこでマネジメントの意味自体を辞書で調べてみると、以下のように記載されています。

「マネジメント」とは、組織やプロジェクトの運営や管理を行うための一連のプロセスや手法である。これには、目標の設定、計画立案、実行、評価・改善といった一連の活動が含まれる。組織の成果を最大化するために、人材や資源を効果的に活用し、問題解決や意思決定を行うことが求められる。

出典:weblio辞書

これを踏まえて、厚生労働省の作成した資料を見てみましょう。厚生労働省は、資料内で指定した仕事をする人に必要と考えられるスキルや技術の一覧を作成しています。

資料では、スーパーマーケット業のなかに「ストアマネジメント」という職務があり、職務の概要は以下の通りです。

職種:販売     職務:ストアマネジメント

概要
店舗における労務管理、接客販売管理、売場管理、計数管理など、店舗全体のマネジメントを行う仕事。

つまり、店舗運営とはかみ砕くと「店舗が目標を達成するために人材や資源を効果的に活用できるように、労務管理・販売管理などの店舗全体の管理を行うこと」といえるでしょう。

店舗運営の定義

次に店舗運営について考えてみましょう。先ほどの厚生労働省の作成した資料のなかで、店舗運営を職務とした技能があります。業種はDIY業ではありますが、店舗運営のイメージを掴むヒントにはなりそうです。

資料によると、店舗運営をする人の仕事内容は以下のようにまとめられています。

  1. 店舗責任者として各売り場・部門ごとの問題点や課題を把握し、売り場責任者と連携してオペレーションを指導・監督をする。
  2. 課題を把握し、スムーズな店舗オペレーションを実施・改善をする。
  3. 店舗近隣の競合店に対し、既存・新規問わずに対策を立案し実行する。
  4. 近隣周辺の諸配慮を関係者と相談して行う。
  5. 店舗運営の最高責任者の店長に従って「販売計画の策定」、「仕入れ業務」、「販売促進業務」、「人事労務管理」、「店舗施設の管理」、「金銭管理」をする。

資料のなかでは、店舗運営をする人が店長ではなく、店舗の最高責任者は店長であるものの、指示に従って各業務を行うことを店舗運営の仕事としています。

以上のことから、店舗運営の仕事が何を指すかがわかります。また、店舗運営は店長や経営者本人でなければできない仕事というわけではないといえるでしょう。

店舗運営とマネジメントの違い

最後に、似た言葉にもかかわらず別々に使われやすい「店舗運営」と「マネジメント」の2つの言葉を改めて比べてみましょう。

マネジメントは、店舗全体の経営方針や計画を決めることを含めて店舗の運営を管理することを指しており、広義の意味で使われやすいです。一方店舗運営は、実際に実行する手法を指しているように思えます。

ただし、どちらも実行する役職まではっきりと決まっているわけではありません。そのため、店舗運営をしながらマネジメントをする人もいるでしょう。

資料を見比べてみても一致している内容もあることから、2つの言葉を明確に区別する必要はなく、どちらもほぼ同じことを指していると考えて良さそうです。

店舗運営・マネジメントに関わる職種

店舗運営やマネジメントは決まった人がするわけではないと結論付けましたが、基本的にはどちらも責任者が行うものです。運営の責任を担うのは、主に3つの役職があります。

ここからは、それぞれの役職による役割の違い、関係性の違いについて解説しましょう。3つの役職の行う業務、責任範囲と関係性は以下の通りです。

本部と現場の関係図



 

行う業務

責任範囲

店長

  • 店舗スタッフの指導
  • 店舗売上の向上施策の実行
  • 店舗の課題の追求と改善

自担当店舗

SV

  • 担当エリアの社員の指導
  • 担当エリア全体の施策計画
  • エリア全体を通した改善

担当エリア全体

本社

  • 全店のオペレーション策定
  • 地域やエリアごとの課題解決
  • 商品開発・企画

会社全体

店長

店長は、自店舗の売上目標の達成を最終目標に店舗自体を運営します。店舗の売上の最終責任者ではありますが、達成するための手段は基本的には限られていません。そのため、必要人員の算出や採用、採用したスタッフをどのように指導するかは店長の考え次第で変わります。

店舗の売上や面積規模によっても店長の役割は異なります。規模が大きな店舗であれば、店長一人ではスタッフ全員を管理しきることができません。社員やスタッフのリーダーを育成し、店長の分身として行動できるスキルを指導する必要があるでしょう。

逆に小さな規模の店舗であれば、自身がトップとなって率先して売上達成に必要な施策を実行します。

顧客に直接関わる機会が多く、行った施策の反響をダイレクトに確認できるため、売上が達成したときの喜びはもっとも感じやすいポジションでしょう。

SV

SV(スーパーバイザー)は、複数店舗を対象に経営を指導・監督する仕事です。SVの最終目標は、担当エリア全体での目標達成です。店舗ごとの状況の違いを把握し、店舗に合わせた指示を行う必要があります。

またSVは、店長やエリア内の社員の育成や評価も業務の一環です。店長が迷っていることに対してのアドバイスも必要なため、通常は店長からのステップアップで着任することが多い職種です。

SVの指導方針は、会社の方針に則って行わなければなりません。そのため会社方針からズレた施策を行う店長がいた場合、正しい方向への軌道修正や指導なども必要です。

店長が対処しきれないクレーム対応やトラブルなどの二次対応も行う必要があり、総じて店長以上の高い能力を求められる仕事といえるでしょう。

本社

フランチャイズやチェーン店の場合、本部もマネジメントを担当します。本部の役割は、全店が店舗売上の目標を達成できるようにサポートすることです。魅力的な商品の開発や、新店進出の際の土地調査など、業務内容は多岐にわたります。

店長が実行部隊とすると、本社はブレイン。直接店舗に赴くことはほとんどないことが多いです。そのため、現場主義の店長とは真逆に近い職場環境と言えます。

本社所属は現場から希望して転属するケースと、最初から本社所属として所属するケースの2パターンが一般的です。

顧客対応は直接できませんが、責任範囲は全社規模になるため、大会社になるほど大きなプレッシャーと隣り合わせの職種です。本社の決定した施策は全店に導入されることとなるため、とても重要なポジションといえるでしょう。

 店舗運営・マネジメントの仕事内容

店舗運営・マネジメントは、職種ごとに重点的な業務は違うものの、仕事内容は基本的には決まっています。

主な仕事内容は、以下の6つです。

  1. 店づくり・レイアウト
  2. お客様への接客・サービス
  3. 売上管理
  4. 在庫・仕入れ管理
  5. 販促活動・ブランディング
  6. 人材の採用・教育・勤怠管理

それぞれの概要と、マネジメントにおける重要なポイントを見ていきましょう。

1.店づくり・レイアウト

マネジメントの仕事は、売上目標を達成するためにすべて必要なことです。実際に来店した後の接客・サービスの提供はもちろんですが、顧客の満足度を上げるための店づくり・レイアウト作成からマネジメントの手腕は求められます。

店づくり・レイアウトの仕事は、内外装を問わず顧客が居心地の良い空間をトータルで演出したり、スタッフが働きやすい環境・導線を整えたりすることが中心です。どのようにすれば顧客から見て魅力的な空間になるのかを、五感を想像しながら演出していきましょう。

視覚はわかりやすいかもしれませんが、特に忘れがちなのは聴覚や嗅覚です。長期間滞在する空間であれば、BGMの種類や音量、きつ過ぎず生活臭をほど良く消してくれる香りの追求など、お客様目線での好印象を追求しましょう。

2.お客様への接客・サービス

売上を獲得するために次に必要になるのが、顧客への満足度の高いサービスの提供です。厚生労働省の生産性向上のためのマニュアルでは、店舗を利用するお店を決める理由の上位を担当者の技術や提案、マナーで選んでいるアンケート結果があります。

美容室を利用している方のお店を決めている理由



この結果からもわかるように、接客・サービスは売上獲得に必須の事項です。対応するときの接客スキルやクレーム対応などのトラブル対処のスキルに加え、業種ごとに求められるスキルをレベルの高いものにしていく必要があります。

責任者が高いレベルでなければ、店舗全体のレベルも上がることはありません。接客サービスのマネジメントに重要なのは、背中を見せる姿勢と顧客目線を忘れないことといえるでしょう。SVや店長など、立場の違いに限らず言えます。

3.売上管理

目標達成のために必要な売上目標を設定するのも、店舗運営・マネジメントの仕事のひとつです。目標設定をするときは、最終的な目標となる利益達成から逆算して行います。

設定する範囲は、職種によって異なります。店長であれば自店舗の売上目標、SVであればエリアの売上目標を管理しなければなりません。

会社によって異なりますが、チェーン店の場合は店長は年間目標から逆算した月・日の目標金額の設定、SVは各店長の申告した年間目標の調整・決定とまとまった期間の進捗管理など、責任範囲の違いによって管理・設定する数値も異なります。

店長はスタッフ、SVは店長に対してモチベーションを維持できるように、全体の目標だけでなく部門ごとや商品ごとの売上傾向を分析し、数値を分析し、不振な部分があれば改善を行うことが必要です。

4.在庫・仕入れ管理

売上管理とあわせて、店舗の在庫や仕入れを管理することも重要な仕事です。在庫や仕入れを管理するのに重要なのは、ほど良い数を把握し、調整することです。日々の顧客の動向を観察することが求められます。

在庫・仕入れ管理で重要となる適正在庫は、サイクル在庫と安全在庫の数から求めるのが一般的です。

サイクル在庫:発注から次の発注までの間で消費された半分の数
安全在庫:欠品を防ぐための最低限の在庫。

【安全在庫の算出計算式】

「安全係数(1.65)」×「使用量の標準偏差」× √(発注リードタイム+発注間隔

商品などの販売在庫だけでなく、消耗品や備品なども管理する在庫に含まれます。消耗品・備品は削減できる可能性が高い経費です。普段使用しているスタッフと会話しながら削減の糸口を探すのも、マネジメントの一環といえるでしょう。

5.販促活動・ブランディング

整えた店舗を利用してもらうためには、販促活動やブランディングが必要です。競合店舗もひしめく中、他店舗との差別化や利用するメリットを自社からアピールしていかなければ顧客は獲得できません。

顧客にアピールするときは「最大限に自社の魅力を伝えること」を念頭に置いて、施策を計画・実行しましょう。

どちらをするのにも、今の時代はWebコンテンツやSNSを活用することが最も効果的です。有名なInstagramやX(旧Twitter)以外にも、昨今ではLINE公式アカウントによるショップカード作成も注目されています。

LINEアカウントは個人へのお知らせを送れるため、リピート客獲得にも有効です。ステップメール送付にも、開封率やクーポン利用率といったデータ測定・分析にも使えます。

また、販促活動とブランディングはどちらが不足してもいけません。ブランディングは、店づくりやレイアウト作成、接客・サービスなどすべてを総称して店舗自体を高めるイメージです。

販促活動の先にブランディングされた店舗があって、はじめて顧客利用へつながることを意識しておくことが大切です。

6.人材の採用・教育・勤怠管理

働くスタッフの管理全般も店舗運営・マネジメントの仕事です。生産性を考えながら不足している人員を採用した後は、顧客が満足できるレベルまで接客スキルや技術を教育する必要があります。

メインとなる教育方法は、OJTとOFFJTの2つです。OJTでは、実践を通じたトレーニング、OFFJTでは座学を通じたトレーニングをします。

OJTとOFFJT

大規模な会社になるほど、チェーン店ごとのオペレーションの差異をなくさなければ顧客から不信感を抱かれる原因となります。そのため、マニュアル作成はかなり重要な仕事といえるでしょう。

義務的な教育だけでなく、スタッフのモチベーションを上げるような声がけも必要です。マネジメントする役職者には、しっかりと現場の声を聞いて反映したり評価したりする能力も求められます。

顧客人数に合わせたシフト作成なども含まれており、人材に関する業務は店舗運営のなかでも大きな比率を占めています。

店舗運営・マネジメントに必要なスキル

店舗運営・マネジメントの仕事内容について見てきましたが、各職種ごとに求められるスキルには違いがあります。役職ごとの違いを理解することで、今の立場にあったスキル習得が進められるでしょう。

ここからは、店長・SV・本社に分けて仕事内容と照らし合わせながら重要視されるスキルについて解説します。

 店長に求められるスキル

店長に求められるスキルは、コミュニケーション能力と現場対応力です。店長は、多くの考えが違うスタッフをまとめ上げる必要があります。また、シフト作成においてもスタッフの希望と店舗の都合を調整することもときには必要です。

いくら売上に対して意識を店長自身が高めても、自分の考えがスタッフにしっかりと伝わらなければ基本的には結果は伴いません。スタッフや関係者の信頼を得るには、総合的な人間力ともいえるコミュニケーション能力が不可欠です。

人によっては波もあるので、頑張っていこうと言って頑張ってくれる子もいれば、それが難しい子もいる。とにかく一人ひとりとコミュニケーションをとって、「この子はこう伝えた方がいいな」など探り探りですが、自分なりに考えてやってきています。

私が伝えたことがあまり響いていないなら寄り添う形で接してみよう、褒めて伸ばしてみようなど、とにかくスタッフとコミュニケーションをとって、みんなが同じモチベーションを保てるように意識していますね

引用:モアリジョブ/アイブロウ&アイラッシュサロン「en(エン)」yuyuさん

もちろん管理能力も必要ですが、現場を任せるリーダーが育たなくては現場が潤滑に回らなくなります。そのため真っ先に求められるのは、コミュニケーション能力といえるでしょう。

また、クレームやトラブルの対応は咄嗟の判断力が求められます。常に数値を分析して最適解を導き出す必要もあり、現場でどれだけ臨機応変な対応ができるのかが成功のカギとなるでしょう。

SVに求められるスキル

SVに求められるスキルは、高い解決能力と傾聴力、分析能力と伝達能力です。厚生労働省の作成した仕事一覧のスーパーバイザーには、以下のような内容が求められる経験・能力だと記載があります。

  1. 顧客のニーズに応える商品提供のための情報探求力
  2. 社員の協力を得ながら進めるための組織と人に対するマネジメント力と対外折衝能力
  3. 職業人としての社会的責任を誠実に遂行する取り組み姿勢と商材への専門力
  4. 店舗運営に関する幅広い知識・経験、予算策定や各種管理の高い能力

SVの大きな役割は店舗責任者の相談役であり、実際の現場を見ずに店長からの話を聞いて状況を想像し判断しなければなりません。

また、独自の考えを持った店長や店舗責任者を会社の方針へ導く役目もあります。ある程度の自主性がある社員である責任者を説得するには、経験に裏打ちされた発言とともに納得感のある説明をする力も必要です。

さらに店舗運営・マネジメントにおいては、最終判断の権限を持っています。実際に行動するのは責任者に任せるものの、正しく実行できているのか、管理できているのかを担当店舗数分すべて把握しなければなりません。

膨大な量の数値や資料を頭に入れる必要もあり、効率よく時間を使うタイムマネジメント力も要求されます。

本社に求められるスキル

本社・本部に求められるスキルは、マニュアル作成や企画など、部署ごとに異なります。共通しているのは、高い分析能力と計画の策定能力が必要である点です。

本社は多くの店舗のブレイン的役割です。現場の人間は目の前の状況に対処しなくてはならない分、考える時間を取ることがなかなかできません。そんななかで方向性が定まっていないと、全従業員が同じゴールに向かって進むことができなくなります。

そのため本社は全店の売上目標や必要経費といった販管費の全体管理、リサーチなどの現場が集中できるために必要な管理を担います。また、俯瞰的な目線を一番持ちやすい立場であるため、全店のオペレーション統一や顧客満足の底上げを目標としたマニュアル作成なども担っています。

店舗運営・マネジメントにおけるよくある課題

店舗運営・マネジメントに関わる仕事は誰しも順風満帆なわけではありません。業界や業種にあわせて、さまざまな問題に直面します。厚生労働省は課題を打開するべく各業種に分けた対策マニュアルを作成しました。

マニュアルには、解決するべき課題が記載されています。大枠では、収益向上、顧客満足度向上、労働環境改善の3つに分かれており、詳細は下記の10つです。

 

項目の詳細

収益向上

特長ある店舗・施設づくり

費用削減による収益性向上

ICT活用による集客力向上

顧客満足向上

従業員接客力の向上

リピーター獲得

インバウンド顧客の獲得

従業員スキルやモチベーションアップ

労働環境改善

備品・作業導線の見直し

作業効率化

ヒューマンエラーをなくす

店舗運営の課題と各解決方法については、以下の記事で詳細を解説しています。本記事ではよくある一部課題の概要や発生原因と解決策のみを紹介しますので、詳しく知りたい人は併せて参考にしてください。

課題1:IT化ができていない

IT活用は、近年政府も力を入れている施策のひとつです。その証拠に、各職業別にデジタル化推進のための手引きを作成しています。

令和5年にも改訂され、ホームページやSNSの活用方法などの集客方法をはじめ、業務自動化のさまざまなIT導入のためのポイントなどが網羅的に解説されたマニュアルです。

IT導入は、各業界で積極的に進められているデータもあります。総務省の調査結果によると常用雇用者が100名を超える企業では、90.1%がホームページを所有しているとの回答がありました。

ホームページ開設状況

しかし生衛業などの一部業種では導入が進んでいない背景もあります。SNSだけでなくホームページの開設や内容にもこだわると、より多くの顧客へ効果的なアピ―ルができるでしょう。

課題2:リピーターの獲得ができない

新規顧客の獲得と同時並行でリピーターを獲得できなければ、店舗の売上は改善できません。リピーター顧客が獲得できない原因に多いのは、再来店動機に対する施策ができていないことがあります。

再来店する意欲を盛り上げるには、店舗スタッフの接客対応力の向上がもっとも近道です。逆を言うと、接客スキルが良くないだけでどれだけほかが優れていても顧客は離れて行ってしまいます。

厚生労働省の対策マニュアルによると、お店に行くのを辞めた理由の上位は「生活の変化」の次は「担当の技術や提案」が原因によるものです。

お店に行くのをやめた理由

リピーター獲得できない店舗は、提案力の向上や、SNSやメールによる再来店クーポンの配布などの施策を行ってみましょう。

課題3:人的ミス(ヒューマンエラー)がなくならない

ヒューマンエラーは、効率化のうえでもスタッフ育成のうえでも大きな課題です。原因となるのは、オペレーションが統一されていないことや、スタッフ育成が行き届いていないことなどが考えられます。

ヒューマンエラーをなくすにもICTの導入が有効です。また、マニュアルがない場合には統一したマニュアルを作成したり、スタッフの導線や行動を見直したりすることで改善できる可能性があります。

 店舗運営・マネジメントを成功させるために大切なこと

最後に店舗運営・マネジメントを成功させるポイントをまとめて解説します。ここまでの仕事内容やスキル、課題解決などのすべての業務に関わるポイントなので、参考にしてください。

1.数字を元にして、戦略を立てる

店舗運営・マネジメントを成功させるには、店舗の状況や数値にあわせて分析し、戦略を立てる必要があります。まずは自社の状況を確認しましょう。

特に店舗責任者は現場主義な人も多く、分析よりも現場での状況判断を優先することもあります。しかし現場と数値をあわせて分析しなければ、真の課題や改善施策は見えてこないものです。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が立ち上げたよろず支援拠点による改善事例では、自社の強み、単価と利益率を分析した結果、元々の来店客数を活かすセットメニューの考案により客単価をアップ、170%の売上増を達成しています。

SVとも相談しながら自店舗に必要な施策を実行してPDCAを回さなければ、マネジメントの成功はできません。

2.IT導入・活用を進める

IT導入は、あらゆるマネジメント業務を円滑にする可能性を秘めています。戦略を立てるための数値分析にも業務効率化にも集客にも通用し、即効性のある施策といえるでしょう。

厚生労働省のデジタル化推進マニュアルには、導入を進めるには以下の手順を踏むように記載されています。

ICT導入を進める手順

上の内容に則って課題を洗い出し、どのようにデジタル化を導入することで課題を解決するかを考えましょう。本格導入の前に改善されているかの確認も忘れないようにしてください。

IT導入を進めると、一人のオペレーションスキルに頼る俗人化を防ぐことも可能です。自動化によって人員を削減することもできるようになります。

POSレジやキャッシュレス導入などの補助金も利用して、積極的に取り入れてみましょう。

3.人材育成に力を入れる

よほど小さな規模でない限り、店舗責任者のみで店舗を営業することはできません。また責任者はトラブル対応や数値分析で不在になる可能性も高いです。不在になっても円滑に営業できる組織を作る必要があります。

スタッフが売上達成に興味を持てるような仕組み作りや、仕事に責任感を持てるようにする声がけなど、採用したスタッフのモチベーションを上げるように力を入れましょう。

長く仕事を続けたいと思える環境を整えることで、自然とリーダーは育ちます。定期的な面談や毎日の会話を大切にしましょう。

4.人とのつながりを大切にする

店舗運営・マネジメントに必要なのは、SVや本社といった縦のつながりだけではありません。同エリアの他店の店長や同期の店長仲間など、横のつながりも大切です。どちらも欠けてしまうと情報が不足します。

縦のつながりでは、会社の方向性の確認や自店舗の課題について経験者からの知見やアドバイスが得られます。加えて横のつながりを広げることで、自分の知らなかった情報を聞くきっかけとなるでしょう。

他店の店長も同じような壁に直面していることも多く、本やWebサイトによるノウハウよりもさらに今の状況に役立つはずです。

まとめ

店舗運営・マネジメントとは、目標達成に必要な管理業務全般を指します。主な仕事内容は、魅力的な外観・レイアウト作成や売上や在庫管理などの管理業務、人材に関わる採用から管理までの一連の業務です。

店舗運営に関わる職種には、店長・SV・本社の3つがあり、立場ごとに求められる管理範囲も必要なスキルも違います。店長は現場対応とコミュニケーション能力、SVはより高い管理・分析能力、本社では俯瞰的な分析と計画能力が必要です。今の立場に必要なスキルを再確認しましょう。

立場の違いはあるものの、重要なことは変わりません。この記事を参考に、各ポジションに合わせた役割を果たせるように、自分の仕事を見つめなおしてマネジメントに役立ててください。

 

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。