「うちの店は、お客様との関係も良好で、カルテもしっかり書いているから大丈夫」と思っていないでしょうか?
ホットペッパービューティーアカデミーの顧客満足調査(MOT)によると、お客様が美容室に不満を感じる点として、実に10人に1人以上が「前回の施術内容や自分の悩みを覚えていない」「何度も同じ話を聞いてくる」と回答しています。
これは、まさにカルテが正しく活用されていないことで生まれる、典型的な不満です。 お客様は口には出さずとも、内心がっかりし、静かに次のサロンを探し始めているかもしれません。
あなたのサロンでは、紙と電子、どちらのカルテでこの失客を防ぎますか?本記事では、サロンの未来を左右するカルテの最適な選び方と、その活用法を詳しく解説します。
美容室の適切なカルテ管理でリピート率が高まる理由
お客様に「また来たい」と思っていただき、リピートに繋げるには、全ての美容室経営者にとって重要なテーマです。
その鍵を握るのが、日々の接客で何気なく記録している「カルテ」の正しい活用法にあります。
適切なカルテ管理は、単なる業務記録にとどまらず、顧客との信頼関係を築き、リピート率を高めるために欠かせません。
以下では、カルテがリピート率向上に繋がる3つの具体的な理由を、実際のデータを交えながら解説します。
「覚えてくれている」という特別感でお客様と信頼関係を築く
お客様が美容室に繰り返し通う理由は、単に「技術」だけではありません。それ以上に、「この人は私のことを分かってくれる」という、スタイリストとの間に生まれる「信頼関係」が大きく影響します。
株式会社ファンくるが会員を対象行ったアンケート調査でも、美容室を選び続ける理由として「仕上がりが好み」「技術が高い」に次いで、「接客が良い」(33%)、「居心地の良さ」(28%)、「美容師との関係が良好」(23%)といった、関係性に関する項目が上位に並びました。
この、お客様一人ひとりとの信頼関係を築く上で、最も強力な武器となるのが「カルテ」です。
前回の施術内容や、会話の中で出たお客様の好みやライフスタイルを記録しておきましょう。
その行動ひとつ取り入れるだけで、次回来店時に一人ひとりに寄り添った会話が可能になります。この「覚えてくれている」という経験は、お客様にとって「自分は大切にされている」という安心感に繋がるでしょう。
スタッフ間の情報共有で、サロン全体のサービス品質を底上げする
お客様の信頼は、一人の優れたスタイリストの技術力だけで築かれるものではありません。担当者がお休みの日や、万が一退職してしまった場合、失客に繋がるリスクが高まってしまいます。
ミュゼプラチナムがヘアケアに関するアンケート調査によると、お客様が行きつけの美容室を変えようと思う瞬間の上位に、「担当者が辞めたら」という回答が挙げられています。
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行きつけの美容院を変えたいと思う瞬間 |
割合 |
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ほかに気になる美容院を見つけた |
32% |
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理想の髪型にならなかった |
28% |
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担当者が辞めた |
19% |
これは、お客様の約2割が、スタイリスト個人に紐づいていることを示唆しており、経営上の大きなリスクといえるでしょう。
このリスクを軽減し、お客様の信頼を「個人」から「サロン全体」へと広げるために欠かせないポイントが、カルテによる情報共有です。
詳細な施術履歴やお客様の好みが記されたカルテがあれば、どのスタッフが担当しても、安定したサービスを提供できます。
蓄積した情報を活用し、戦略的に再来店を促す
これから紹介する内容は、カルテに蓄積された情報を活用し、サロン側からお客様に再来店を働きかける「戦略的なアプローチ」についての解説です。
例えば、お客様の来店周期や過去のメニュー履歴をカルテで分析すれば、「そろそろカラーの時期ですね」といった、一人ひとりに合わせた最適なタイミングと内容で、LINEやDMを送信できます。
ただし、メッセージがお客様にとって「迷惑な宣伝」になってしまわないよう注意が必要です。以下のサロンの広報責任者は、一方的な一斉配信のリスクと、一人ひとりに合わせた配信の重要性について、次のように語ります。
「LINE公式アカウントの運用にあたり、友だち追加数、メッセージの配信数、開封率、そこからの予約や商品の購入を指標として注視していますが、何より一番重視しているのはターゲットリーチ(ブロックしていないユーザー数)です。せっかく友だち追加してもらってもブロックされたら何もアプローチができなくなりますし、お客さまにとって必要ないメッセージはノイズでしかありません。だからメッセージの一斉配信はなるべく行わず、パーソナライズした配信を徹底しています」
引用:LINE for Busines|株式会社MASHU 企画広報部 部長/オフィス室長 中島盾さん
この言葉が示すように、お客様全員に同じメッセージを送るべきではありません。
カルテ情報を基に「そのお客様が本当に必要としている情報」を届けるように意識するなど、丁寧な心遣いこそが、ブロックを防ぎ、お客様との信頼関係をさらに深めるコツです。
カルテは、お客様との未来の対話を生み出すための情報の宝庫だと思っておきましょう。このデータを活用した戦略的なアプローチが、お客様との長期的な関係を築く鍵となります。
お客様との関係構築に繋がる、効果的なLINE公式アカウントの運用方法については、以下の記事で詳しく解説しています。
美容室のカルテに必ず書くべき必須項目
どのサロンにもある顧客のカルテは、単なる施術の記録簿だと思っていないでしょうか?
一枚のカルテには顧客をファンに変え、サロン経営を安定させるための強力なヒントが隠されています。
以下では、カルテを安全確保のための「守りの情報」と、ファンを作る「攻めの情報」に分け、その活用法をまとめてあります。
カルテに最低限記録すべき「守りの情報」
お客様とサロン双方を守り、安全で確実な施術を提供するための土台となる、最低限記録すべき「守りの情報」について解説します。
これらは、お客様との関係を深める以前に、プロとして必ず把握しておくべき必須項目です。
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カルテに必ず書くべき必須項目 |
記録すべき内容の例 |
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基本的な個人情報 |
・氏名 ・生年月日 ・性別 ・住所 ・電話番号 ・メールアドレス ・来店動機(SNS、チラシ、口コミなど) |
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お客様の髪の現状 |
・髪質(直毛、くせ毛、髪の広がりなど)や頭皮の状態 ・アレルギーの有無(薬剤や金属アレルギーなど) |
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施術履歴 |
・使用した薬剤やヘアカラー剤の情報 ・施術後の髪型の詳細(髪色の写真など) |
これらの「守りの情報」を漏れなく記録し、管理してください。それが、お客様の信頼を得るための第一歩であり、次にご紹介する「攻めの情報」を活かすための、不可欠な土台となります。
顧客をファンにする「攻めの情報」
安全な施術の土台となる「守りの情報」を記録したら、次はお客様との関係をさらに深め、リピートに繋げるための「攻めの情報」を記録していきましょう。
これは、お客様を単なるリピーターではなく、サロンの熱心な「ファン」に変えるための、非常に重要な情報です。
「攻めの情報」は、主にカウンセリングと施術中の会話から得られます。
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次の提案に繋げるための項目 |
詳細 |
|---|---|
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カウンセリングの内容 |
・髪に対しての悩みやコンプレックス ・理想のヘアスタイルや避けたいスタイル ・普段のライフスタイル(職業、趣味、ヘアケアにかけられる時間など) |
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会話をした内容 |
・趣味や好きな雑誌、家族構成などのパーソナルな情報 ・施術中の会話で得た情報(旅行の予定、イベントなど) ・施術後の感想(お客様が満足したポイントや改善を求めた点を記録) |
「守りの情報」がお客様の不満を防ぐためのものだとすれば、「攻めの情報」は、お客様に期待以上の感動を与えるためのものです。この両輪が揃って初めて、カルテは強力なコミュニケーションツールとなります。
良いカルテは「良い人材」から!経営を安定させる採用の重要性
どんなに素晴らしいカルテの仕組みを整えても、それを活かすのは、最終的に「人」であるスタッフです。つまり、カルテの質は、スタッフの質そのものである、と言っても過言ではありません。
お客様一人ひとりに真摯に向き合い、その言葉に耳を傾け、未来の提案のために情報を丁寧に記録・活用できる姿勢を持つ人材こそが、お店の経営を安定させ、未来を創ります。
だからこそ、良いカルテ作りを追求することはもちろんですが、それ以上に「良い人材」をいかにして惹きつけ、定着させるか、という採用活動そのものが、経営者にとって最も重要です。
では、どうすれば自店と相性が良く、お客様をファンにできるような人材に出会えるのでしょうか?
採用面接の辞退や、入社後の早期離職を防ぎ、本当にサロンに合った人材を惹きつけるための具体的なステップについては、以下の資料で詳しく解説しています。
電子カルテと紙カルテ、それぞれの長所・短所と選び方の基準
カルテに何を書くべきかがわかったら、次はそれを記録するためのツール選びです。
- 昔ながらの紙カルテを使い続けるべきか?
- 便利な電子カルテに移行すべきか?
多くの経営者が悩むこの問題に、以下では明確な答えを出すための判断材料をまとめました。電子カルテと紙カルテ、それぞれの長所と短所を、実際のサロンオーナーの声を交えながら比較しています。
電子カルテの長所と短所
近年、多くの美容室で導入が進む電子カルテは、サロン経営を大きく効率化し、お客様へのサービスを向上させる可能性を秘めています。その具体的な長所と、導入前に理解しておくべき短所を、一覧で見てみましょう。
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電子カルテの長所 |
電子カルテの短所 |
|---|---|
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・業務効率化と省スペース化 ・スタッフ間のスムーズな情報共有 ・写真やデータを活用した顧客満足度向上とマーケティングへの応用 |
・導入・維持コストと、スタッフの操作習熟が必要 ・通信障害や停電時の利用リスク ・情報漏洩を防ぐ厳重なセキュリティ対策が必須 |
特に長所の中でも注目したいのが、写真やデータを活用した「顧客満足度の向上」です。過去の履歴を基にした提案はもちろん、近年では、お客様自身にカルテ情報の一部を共有し、新しい価値を提供するサロンも現れています。
ご希望されるお客様へは写真や施術内容を、自社開発したIKINAというカルテアプリで配信しています。ダウンロードしていただければ、来店いただいた時に撮るビフォア・アフターが写真で見られるので、『トップにこんなにレイヤーが入ったんだ』とお客様自身に変化をより分かっていただけるので、喜んでもらっていると思います。
引用:モアリジョブ|ALBUM SHIBUYA トップスタイリスト兼マネージャー 積大輔さん
このように、電子カルテは単なる業務効率化ツールにとどまらず、お客様との新しいコミュニケーションを生み出す可能性も秘めています。
ただし、コストやセキュリティといった短所も正しく理解し、自店に合ったシステムを慎重に選びましょう。
紙カルテの長所と短所
次に、昔ながらの紙カルテについて見ていきましょう。導入の手軽さという大きな魅力がある一方で、お店が成長するにつれて見えてくる課題も存在します。
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紙カルテの長所 |
紙カルテの短所 |
|---|---|
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・導入コストが低く、誰でも直感的に使える手軽さ ・手書きならではの自由度の高さと、停電時も使える安心感 |
・保管場所の確保や、紛失・劣化のリスク管理が必要 ・過去の情報の検索や、スタッフ間の情報共有に時間がかかる ・データを集計・分析し、マーケティングに活用することが困難 |
これらの短所の中でも、特にスタッフ数が多くなるほど大きな課題となるのが、「情報共有の難しさ」です。
担当者が不在の場合や、複数のお客様が同時に来店された際など、紙カルテの物理的な制約が、業務の妨げになってしまうかもしれません。
以下のサロンに関しても、この課題を解決するためにカルテの電子化に踏み切ったと語ります。
もともとは紙で共有していたカルテは、ウェブ上でみんなが見られるようにしました。それを見ながら、混みあっている場合は譲り合うように意思疎通をしています。
引用:モアリジョブ|株式会社PiNCH 代表 ヨシダアキヒロさん
このように、紙カルテは手軽さという大きな魅力を持つ一方で、サロンの成長と共にその限界が見えてくる側面もあります。
初期費用を抑えたい新規開業時や、一人サロンには適していますが、将来的な店舗展開や業務効率化を考える上では、これらの短所を理解しておきましょう。
自店に合ったカルテシステムの選び方の基準
電子カルテと紙カルテ、それぞれの長所と短所を理解した上で、最後に、あなたのサロンに本当に合ったシステムを選ぶための、具体的な判断基準を見ていきましょう。
「流行っているから」といった理由だけで選ぶのではなく、以下の視点から、総合的に検討してください。
- 店舗の規模と運営スタイル:一人サロンや新規開業時であれば、手軽な紙カルテも選択肢として有力。一方、スタッフ数が多く、情報共有の頻度が高いサロンであれば、電子カルテの利便性が高まる。
- 必要な機能:シンプルな記録だけで十分か、あるいは写真の保存やデータ分析といった、より高度な機能が必要か。お店の目的に合わせて必要な機能を洗い出すこと。
- コストと予算:初期費用だけでなく、月々の維持費まで含めた総コストを考える。電子カルテの場合は、IT導入補助金などの活用も視野にいれられる。
- 操作性とスタッフの習熟度:スタッフが使いこなせなければ意味がない。ITが苦手なスタッフが多い場合は、紙カルテや直感的に使えるアプリを選ぶ配慮が必要。
- セキュリティとリスク管理:「大切な個人情報をどう守るか」という視点は不可欠。紙の紛失リスク、電子データの漏洩リスク、それぞれに対する管理体制を考える。
- 将来的な拡張性:5年後、10年後のお店の姿を想像することも大切。顧客数やスタッフが増えても対応できるか、という長期的な視点で選ぶこと。
これらの基準を基に候補を絞り込んだら、導入前にスタッフの意見を聞き、電子カルテの場合は無料体験などを活用するなどして、カルテ選びを行いましょう。
お客様本人が初回カルテを「書きたくない」と感じる理由
美容室では、お客様一人ひとりに合った最高のサービスを提供するため、初回ご来店時にカルテのご記入をお願いするケースがあります。
しかし、サロン側のこうした想いとは裏腹に、お客様の中にはカルテの記入に、ためらいや不安を感じるケースは珍しくありません。
以下では、お客様が「書きたくない」と感じるその本当の心理を、実際のデータを交えながら、その不安を「安心」に変えるための具体的な伝え方や工夫などを、多角的に解説していきます。
個人情報への不安や不信感など、お客様が抱える本当の心理
お客様に初回カルテの記入をお願いした際、少し戸惑ったような表情をされた経験はないでしょうか?
その背景には、お客様が抱えるいくつかの心理が考えられます。
- 個人情報を提供することへの不安:個人情報の利用目的に対する純粋な不安。現代において、個人情報の取り扱いに慎重になるのは自然な感覚だと意識しておく。
- 書かれる内容への不信感:お客様に見えない場所で、自分に関する情報が記録されることへの抵抗感が考えられる。実際に、「カルテに髪の悪口などを書かれているのでは?」といった切実な不安の声が見受けられる。
- 単純に「記入が面倒」という気持ち:来店してすぐに細かい文字を書き込む作業は、単純に手間だと感じられるケースも少なくない。
これらの心理は、決して特別なものではなく、多くのお客様が内心感じている可能性があります。こうしたお客様の気持ちを理解し、寄り添うことが「信頼を築くための伝え方」の第一歩となるでしょう。
個人情報の取り扱いへの厳しい視線
一般社団法人日本プライバシー認証機構(JPAC)が行った調査によると、企業による個人情報の取り扱いに対し、「不安を感じる」(「強く」と「やや」の合計)と答えた人の割合は、68.5%にものぼりました。
つまり、3人に2人以上が、初めて訪れるお店で個人情報を書く際に、程度の差こそあれ、何らかの不安を抱いている可能性があります。
これは、お客様があなたのサロンを信頼できるかどうか、厳しく見ている表れでもあると思っておいてください。
個人情報の扱いは、もはや単なるマナーではなく、お客様からの信頼を得るための大前提と言えるでしょう。だからこそ、お客様の不安を「安心」に変えるための具体的な工夫が、現代のサロン経営には欠かせません。
カルテ管理に関わる個人情報保護法
お客様の不安に寄り添い、信頼を築くための丁寧なカルテの取り扱いは、単なる心遣いの問題だけでなく、法律で定められた事業者の「義務」でもあります。
以下は、サロン経営者が最低限知っておくべき「個人情報保護法」の要点を、分かりやすくまとめたものです。
- 利用目的を伝える義務:お客様から個人情報をいただく際には、「より良い施術のため」「ご連絡のため」など、何に使うのかを明確に伝える。
- 同意なく第三者に提供しない義務:お客様の同意なしに、その情報を他の会社や個人に渡すことは、原則として禁止されている。
- 特にデリケートな情報は、必ず本人の同意を得る:アレルギー歴など、特に配慮が必要な情報を聞く場合は、必ず口頭などで本人の同意を得る必要がある。
- 情報を安全に管理する義務:お客様の情報を漏洩などから守ることは、事業者の最も重要な義務のひとつ。紙のカルテなら鍵のかかる場所に保管する、電子カルテならパスワードを設定するといった、具体的な安全管理が法律で定められている
(安全管理措置)
第二十三条 個人情報取扱事業者は、その取り扱う個人データの漏えい、滅失又は毀損の防止その他の個人データの安全管理のために必要かつ適切な措置を講じなければならない。
引用:e-Gov 法令検索|個人情報の保護に関する法律
難しく感じるかもしれませんが、これらの法律を守ることは、突き詰めれば「お客様の情報を、自分のものと同じように大切に扱う」という、プロとして当然の姿勢です。
この当たり前を徹底できれば、お客様からの揺るぎない信頼に繋がり、結果としてサロンを法的なリスクから守れます。
信頼感を高めてお客様をファン化させる会話のコツ
お客様に「またこの人に担当してもらいたい」と思っていただくために、技術と同じくらい大切なのが、お客様との信頼関係を築くコミュニケーションです。信頼は、お客様が来店された瞬間から、施術を終えてお帰りになるまでの、一連の流れの中で育まれていきます。
その第一歩が、初回カルテの丁寧な伝え方です。「お客様の安全と、より良い提案のため」という目的を伝え、記入を強制しない姿勢を見せましょう。
最初の信頼作りを何よりも重視する以下のサロンの代表は、次のように語っています。
お客さまに安心して任せていただけるように、接客は最初から最後までスタッフが入れ替わらず、完全マンツーマンで対応しているのも当店の特徴です。中でも大切にしているのはカウンセリングの時間。ご新規のお客さまの場合は30分〜1時間ほどいただいています。
引用:モアリジョブ|CHOUCHOU 代表 武藤鎌矢さん
信頼関係をさらに深めるのが、施術中のカウンセリングと会話です。
ここでのコツは、一方的に「聞き出す」のではなく、お客様の本音を「引き出す」ことです。
ホットペッパービューティーアカデミーのアンケート調査によると、お客様が話して役に立ったと感じる話題は「髪の悩みについて」が圧倒的に多く、逆に嫌だった話題にはプライベートな内容が挙げられています。
まずはプロとして、髪の悩みに真摯に寄り添っていきましょう。これが信頼を高める会話の基本となります。
その上で、お客様が心からリラックスできる雰囲気作りが、最終的に目指したいポイントです。以下のサロンでは、独自のコンセプトでファンとの親密な関わりを築いています。
——「雰囲気のよさ」や「お客さまとの親密な関わり」について具体的に教えてください。
「『友達の家にいる感覚でくつろいでもらう』をコンセプトにサロン作りをしています。『THE CENTRAL』というコミュニティのなかに、たまたま髪を切ることができる私たちがいるイメージですね。そのため豊富にドリンクを揃えたり、常連の方にいただいた差し入れを、他のお客さまにおすそ分けをしたりすることも多く、このスタイルがハマる方はファンになってくださいます。
引用:モアリジョブ|THE CENTRAL ゼネラルマネジャー 小嶋猛さん
施術中の何気ない会話をカルテに記録し、次回来店時に触れるといった丁寧なコミュニケーションの積み重ねが、お客様を熱心なファンに変えていきます。
まとめ
本記事では、美容室のカルテをテーマに、その役割から具体的な書き方、選び方、そしてお客様の心理までを多角的に解説しました。
日々の業務の中で何気なく扱っているカルテが、サロンの未来を左右する、非常に重要なツールであることをご理解いただけたのではないでしょうか?
最後に、お客様に選ばれ続けるサロンになるための、カルテ活用の最も重要なポイントを振り返ります。
- カルテは単なる「記録」ではなく、お客様との信頼を築き、リピートに繋げる「コミュニケーションツール」と捉えること。
- 安全を守る「守りの情報」と、ファンを作る「攻めの情報」の両方を、バランス良く記録すること。
- 紙と電子の長所・短所を理解し、自店の規模や将来像に合った最適な道具を選ぶこと。
- お客様の個人情報への不安に寄り添い、その情報を大切に扱う姿勢を徹底すること。
カルテは、お客様の「なりたい姿」が描かれた大事なツールです。ぜひ一度、あなたのお店のカルテ管理の方法を見直してみてください。
その一枚一枚を大切に活用していくことが、お客様との間に揺るぎない信頼を育み、長く愛され続けるサロンを築くための、確かな一歩となるはずです。
- 執筆者情報
- 関 慎一郎(Seki Shinichiro)