美容業界における効果的な人材育成計画とは?特徴、必須スキル、具体的な立て方までわかりやすく解説!
日本経済団体連合会のアンケート調査によると、9割弱の企業が自社の人材育成施策が環境の変化に「対応できていない部分がある」と回答しています。とくに対応が必要な要因として、7割以上の企業が「従業員の就労意識の多様化」を挙げています。
リジョブが美容ヘルスケア業界で働く人材を対象に実施した調査でも、Z世代とミレニアル世代で仕事の価値観に大きな違いがあることがわかりました。(※1)(※2)
世代間の隔たりに起因した就労意識の多様性に対応するためにも、改めて人材育成計画を見直す必要があるでしょう。
本記事では、美容業における人材育成の特徴と課題および、効果的な人材育成計画の立て方について詳しく解説します。
6つのステップに分けて人材育成計画の立案方法について詳しく解説するので、ぜひ参考にしてください。
※1 仕事に対する価値観について世代間の違いをまとめましたので、下記より無料でダウンロードしてご覧ください。
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※2 Z世代とは、2022年時点で10代〜20代中盤の世代を「Z世代」と呼び、20代後半〜30代中盤を「ミレニアル世代」と呼びます。
人材育成とは?
人材育成は、企業が従業員の能力やスキルを計画的に高め、組織全体の成長を促すための取り組みです。従業員の成長とともに業績向上を図り、企業の競争力を強化する目的があります。
特に美容業界のようなスキルと接客力が求められる業種では、従業員の育成こそ必須事項といえるでしょう。効果的な人材育成ができれば、従業員のモチベーションが向上し、離職率の低下や安定したサービスを提供することにもつながります。
さらに具体的な人材育成の課題や成功に導く方法について知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
人材育成計画の定義と目的
人材育成計画は、組織が求める成長に応じて、従業員を育成する日程や、育成する人数といった具体的に定めた計画に沿って教育していきます。
企業の業績向上に貢献する人材を、効果的に育成することが主な目的です。
理想とする人材像を定義しておき、その状態に近づけるために必要な育成施策やスケジュールを組み合わせて、育成方針を立てていきましょう。
単に人材を育成するのではなく、企業のビジョンや戦略に沿った計画を立ててください。
従業員の現状のスキルを把握し、適切な育成方法を選定できれば、成長に必要な人材が効果的に確保され、組織全体が効果的に成長できるでしょう。
人材育成を計画的に行う重要性・メリット
企業にとって労働者不足が進む現代において、計画的に行う人材育成がますます重要性を増しています。
計画的な育成によって、組織のビジョンに合った人材を効率よく育てられれば、必要なスキルを持つ人材を外部から探す手間が省けるでしょう。
その結果、業績向上を支える人材を自社で確保しやすくなり、企業が効果的に成長できます。
計画的な育成のメリットは、従業員それぞれの現状を把握し、そのスキルや経験に応じて的確なサポートを行える点です。
また、育成のプロセスが共有できるため、育成担当者が交代してもスムーズに引き継ぎが可能で、従業員の成長が途切れずに進められます。
労働者不足を解消するためにも、人材育成計画を効果的に推し進めていきましょう。
効果的な人材育成計画の特徴
効果的な人材育成計画には、共通するいくつかの特徴があります。
厚生労働省が推奨している以下の「職業能力評価基準を核とした人材育成システム」を参考に、効果的な人材育成計画の特徴を見てみましょう。
「職業能力評価基準」、「キャリアマップ」、「職業能力評価シート」の3つを基準に人材育成システムを構築すると、効率よく人材育成計画を立案しやすくなります。
このような構成の育成計画により、企業はそれぞれの従業員ごとに能力向上のサポートがしやすくなり、組織全体のスキルを段階的に高められます。
1.経営計画に沿った目標設定がされている
組織の経営計画に結びついた具体的な目標設定も、育成計画を立てる上で欠かせません。
組織の経営戦略に沿った目標設定ができれば、従業員は日々の業務を通して組織の目標に向かって成長できます。
さらに、目標設定には短期・中期・長期のバランスを持たせましょう。
- 短期:数ヶ月程度
- 中期:1年程度
- 長期:3~5年程度
具体的には、これらの時間軸を組み合わせ、従業員が達成感を感じながら継続的にスキルを磨ける計画を立ててください。
短期目標で成果を実感できるようにし、中期から長期の目標で、さらに専門性を高められる設計をしておくといいでしょう。その結果、モチベーションの維持と持続的な成長が可能となります。
また、定期的な評価とフィードバックによる進捗管理を徹底できれば、従業員が目標に向けて取り組みやすくなり、組織全体として効率的な育成ができるでしょう。
2.スキルレベルに合わせたカリキュラム設定がある
効果的な人材育成計画を実施するためには、従業員のスキルレベルに応じたカリキュラムを設定してください。
まず、会社全体で用意した基本的なカリキュラムを基盤に、各従業員の現状のスキルレベルに応じて調整を行い、最適な育成環境を整えます。
この際、技術的なスキルの育成だけでなく、リーダーシップやコミュニケーション力といった基礎となるスキルをバランスよく取り入れましょう。
さらに、キャリアパスを明確に示すことで、従業員が自身の成長段階を把握しやすくなり、モチベーションを保ちながら目標に向かって取り組めます。長期的な支援体制を整えておき、効率的に成長できるカリキュラムの作成が特に重要です。
3.継続的学習文化と学習機会が豊富にある
従業員がいつでも学べる環境を整え、モチベーションを下げずに、スムーズに学習できる環境を整えておきましょう。
具体的には、職場内での実務訓練や職場外での研修といった多様な学習手段を整備し、従業員が効果的に成長できる環境を整える点が重要です。
これにより、従業員は自分に合った学習方法を見つけやすくなり、学習意欲も高まるでしょう。
また、職場全体で知識を共有し合えるように、従業員同士のコミュニケーションが活発になる環境を整えておくと、自然と学習しやすい職場文化が作られていきます。
効果的な人材育成計画の立案に必要なスキル
効果的な人材育成計画を立てるには、計画を立てる際に必要なスキルを予め備えておきましょう。
人材育成計画は単なるスキルアップの手段ではなく、組織の目標や経営戦略に結びついたものとして設計されるべきです。また、従業員の成長を適切に支援するためのスキルも欠かせません。
具体的には、以下の3つのスキルが育成計画の成功を左右します。
1.戦略的思考と分析力
戦略的思考と分析力の高さは、人材育成計画を立てる際に役立ちます。
組織のビジョンや経営戦略を深く理解し、長期目標に向けて育成計画の内容を戦略的に結びつける能力が求められるからです。
こうした戦略的思考があると、現状と目指すべき状態のギャップを把握しやすくなり、計画の適切な見直しや調整も可能となるため、組織の成長をしっかりと支えられるでしょう。
さらに、正確なデータ分析によって現状を具体的に把握し、育成計画の効果を数値で評価する力も重要です。
また、将来のトレンドを予測し、それに応じた計画を立案する力があれば、組織の変化にも柔軟に対応でき、長期的に安定した経営を実現できるでしょう。
2.コミュニケーションとリーダーシップスキル
人材育成計画を立てるためには、コミュニケーション能力と高いリーダーシップスキルも必要となります。
計画の目的や、重要性を全従業員にわかりやすく伝えられる能力も必要です。育成中の従業員のモチベーションを下げずに、効率的に能力を高めるためには欠かせません。
また、育成担当者には、ただ指導を行うだけでなく、従業員に適切なアドバイスをしながら成長を支援する力が求められます。
こうしたサポート体制を整えられると、従業員一人ひとりが自信を持って取り組む姿勢を育み、組織全体の成長にも繋がるでしょう。
3.学習設計と実行管理スキル
学習設計や実行管理スキルも、人材育成計画には必要となるスキルです。
従業員によってスキルレベルや学習スタイルが異なるため、画一的な内容では十分な成果が得られない可能性があります。
各従業員が効果的に学習できるよう、柔軟に対応できるカリキュラムを設計できる高いスキルのある人材を活用しましょう。
また、実行管理スキルに関して言えば、テクノロジーを活用して進捗や学習成果をリアルタイムで把握し、育成の質を高める工夫も必要です。
このような育成環境を整えられると、組織全体でスムーズかつ統一感のある人材育成が可能となり、会社全体が成長しやすくなります。
美容業における人材育成の特徴と課題
美容業界における人材育成の特徴は、技術力と接客力の両面に加え、常に変化するトレンドを的確に把握し対応する力も求められる点です。
技術力の向上だけではなく、顧客とのコミュニケーションスキルや接客マナーの習得が求められます。
また、美容師のキャリアパスに沿った育成も見逃せません。ここでは美容業における人材育成の特徴と課題について詳しく解説するので、参考にしてください。
実践的な育成計画を作成する際の参考にしてみてください。
1.美容業界特有の人材育成ニーズ
美容業界の人材育成には、特有のニーズが存在します。特に、施術における技術と接客スキルの習得が必須で、常に変化するトレンドに対応する力も必要不可欠です。
そのため人材育成に時間をかける必要があります。たとえば美容室「ALBUM」の場合、就業時間内にしっかりと人材育成の時間を設けて従業員のスキル向上を図っています。
他のサロンでは出勤前・退勤後の時間で練習をするところが多いと思いますが、ALBUMでは就業時間内でみっちり3日間とるため、着実に力をつけられるんです。
※引用:モアリジョブ|ALBUMスタイリスト羽場友紀さん
上記のように、計画的に練習時間を確保できる環境を整えることも、効率的な人材育成には大切なポイントです。
2.美容師のキャリアパスと育成のポイント
美容師のキャリアパスに応じた育成計画を立てるには、それぞれの段階で重要となるスキルを把握し、適切な育成環境を整えましょう。
一般的に、美容師のキャリアは以下のような流れで進めてください。各ステップで必要な技術や知識、スキルが異なるため、段階に応じた育成が求められます。
- アシスタント:「接客の基本」と「技術の基礎」が身につく育成
- スタイリスト:基礎の上に応用力を高める育成
- トップスタイリストやディレクター、店長:マネジメント能力や経営力を高める育成
このように、キャリアごとに求められるスキルは異なるため、育成内容も適宜見直し、個々の成長に合わせた柔軟な育成環境を整えることが重要です。
3.他業種との共通点と相違点
美容業界と他業種の共通点と相違点を挙げると次の通りです。
▼美容業界と他業種の共通点と相違点
項目 |
共通点 |
相違点 |
---|---|---|
技術とトレンドの重要性 |
・継続的な学習と技術向上が求められる ・業界の最新トレンドを把握し、それに適応する能力が求められる |
・美容業では、技術の進歩やファッショントレンドの変化が特に速く、より頻繁な更新が必要 ・他業種と比べ、技術の習得に従業員個人の身体的な技能や感性が大きく関わる |
顧客接点とサービス提供 |
・顧客満足度の向上が重要な目標であり、接客業と同様に接客スキルの育成が必要 ・コミュニケーション能力やホスピタリティの向上が必要 |
・美容業では、顧客との密接な身体的接触を伴うサービスを提供するため、より高度な信頼関係の構築が求められる ・個々の顧客の要望や個性に合わせたカスタマイズされたサービスの提供が、他業種以上に重要 |
キャリアパスと評価システム |
・明確なキャリアパスの提示と、それに基づいた段階的な育成が重要 ・定期的な評価とフィードバックシステムの構築が必要 |
・美容業では、個人の技術や顧客管理能力が直接的に評価や収入に結びつきやすく、より個人ベースの評価システムが一般的 ・他業種と比較して、独立開業やフリーランスへの移行が比較的容易であり、人材の流動性が高い |
効果的な人材育成計画の立て方
人材育成計画を立てるための基本ステップは、次の通りです。
- ステップ1.現状の分析と目標設定
- ステップ2.育成対象および理想像の設定
- ステップ3.育成方法の選定
- ステップ4.研修プログラムの設計
- ステップ5.評価システムの構築
- ステップ6.実施とフォローアップ
各項目について詳しく解説するので、自社の人材育成計画作りの参考にしてください。
ステップ1.現状の分析と目標設定
現状の分析をした上で、明確な目標設定が立てられると、人材育成をスムーズに計画できます。まず、組織のビジョンや経営計画を把握し、それに沿って強みや弱みを洗い出しましょう。
この分析を基に、育成の目標を短期・中期・長期で設定していくと、育成計画に具体性が生まれます。期間としての目安は、以下を参考にしてみてください。
- 短期:数か月程度
- 中期:1年程度
- 長期:3~5年程度
短期的には、基礎スキルを確実に身につけ、中期では応用力、長期では持続的な成長を目指す、といった段階的な目標設計が計画を効果的に進めるポイントです。
ステップ2.育成対象および理想像の設定
育成目標が明確になったら、次に育成対象の選定と理想像の設定を行います。どの従業員を育成するべきかを明確にし、目指すべき理想像を具体化します。
まず、育成対象を選ぶ際には、人材ポートフォリオを活用しましょう。人材ポートフォリオを用いると、従業員の職務内容や職種、配属先などの現状が一目で把握でき、育成対象を決める際にスムーズです。
さらに、これにより組織全体でのバランスの取れた育成計画が作成できます。
現状の従業員のポートフォリオを参考にし、従業員がどのように成長していくべきか具体的にイメージしながら、人材育成計画を立てましょう。
ステップ3.育成方法の選定
育成対象や理想像が明確になったら、次に取り組むべきは具体的な育成方法の選定です。
効果的な人材育成には、従業員の職種やキャリア階層に応じて最適な方法を組み合わせましょう。階層別や職種別に応じた育成計画を立てると、各従業員が必要なスキルや知識を効率よく習得できます。
また、以下の内容を状況に応じて使い分けられると、よりスムーズに従業員が成長しやすくなるでしょう。
- 現場での実務を通じて学ぶ「OJT」
- 職場外での研修を行う「Off-JT」
例えば、アシスタント美容師には、基礎的なスキル習得が重要になるため、OJTでの実務的な指導がおすすめです。
一方、スタイリストやディレクターなどの応用力が求められるキャリアでは、Off-JTで視野を広げたり、専門的な知識を深めたりする機会を作りましょう。
このように、育成対象の特性に合わせた方法を選定できると、従業員が成長しやすい環境を整えられ、理想とする人材に効率よく近づけることができます。
ステップ4.研修プログラムの設計
育成方法が決まったら、次に取り組むべきは効果的な研修プログラムの設計です。
まず、各従業員の能力が把握できる「スキルマップ」を作成し、これを基にして段階的に成長できる研修プログラムを構築すると、一人ひとりの成長がスムーズに進みます。
もし研修内容の設計で行き詰まった場合は、厚生労働省が提供する「職業能力評価シート」を活用してみてください。
業種ごとにキャリアマップが用意されており、必要なスキルや研修内容が具体的に示されています。
これにより、自社に合った育成内容を効果的に設計できるでしょう。活用方法については、後述します。
研修の詳細については、以下の記事もご参考ください。
ステップ5.評価システムの構築
評価システムの構築を進める上では、まず評価基準を明確に設定しましょう。
特に数値化が難しい部分は、定量的・定性的な評価指標を定めておき、具体的な評価が行いやすくなります。
これにより、フィードバックやアドバイスが的確になり、従業員の成長を効果的にサポートしやすくなるでしょう。
また、フィードバックの仕組みも整備し、育成中の従業員が自らの成長を実感できるようにしてください。評価基準をもとに適切なアドバイスやサポートが提供できれば、従業員のモチベーションを維持しやすくなります。
評価方法については、従業員のモチベーションを下げずに済むような、公平性が担保された方法を模索しましょう。
スタッフ全員で一人のスタッフを評価する機会を設け、公平な評価を心がけているサロンの事例も参考になります。
自社でつくった育成シートをもとにした、「評価制度」も特徴的。これは月に1回、スタッフ全員が一人ひとりを評価するもので、たとえ目上の人だろうと、忖度は一切なし!
チェック項目は、「お客さまの名前を呼んでいるか」「きちんと目線を合わせているか」など計20個。各項目ごとにA~Eランクをつけ、最後にフリーコメントで「GOODポイント」を記入する。
引用:ホットペッパービューティーアカデミー|est-r.Fukuoka福岡博多店
評価の透明性を高めるのであれば、以上のようにスタッフ全員で評価するのも一つの手段です。
ステップ6.実施とフォローアップ
入念な準備が整ったら、人材育成計画を従業員教育に取り入れ、実施しましょう。
計画を実行したら、PDCAサイクルを活用し、計画の進捗や従業員の成長度合いに応じて内容を微調整できれば、より効果的に従業員を育成できます。
株式会社mirror ballでは、店長以上の役職を持つ人に、マネジメントについて学べる研修の機会をしっかり設けています。
顧客は誰で、何を提供するかという基本的な事業設計の部分から学び、さらにはそういった知識を元に自分でPDCA(業務改善のためのフレームワークで、Plan=計画、Do=実行、Check=評価、Action=改善をサイクル化していくことで業務改善をはかる)をまわしていける環境があるのが、ほかの会社にはない特徴です。
引用:モアリジョブ|株式会社mirror ball代表取締役中野剛志さん
この会社は、美容室、シェアサロン、ネイルサロン、アイサロンなどを約100店舗展開して急成長を続ける企業です。事業拡大を図るうえでも、人材育成を計画したらPDCAを回すことが大切であることがわかります。
人材育成計画を立てる上で参考にしたい情報
人材育成計画を立てる際には、厚生労働省が発行する資料を参考にするとよいでしょう。資料の詳細については、厚生労働省のサイトをご覧ください。
キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード|厚生労働省
ここではエステティック業に関する情報を中心に紹介します。他業種でも応用できる内容なので、ぜひ参考にしてみてください。
職業能力評価シート
職業能力評価シートは、従業員のスキルや能力を段階的に評価するのに役立ちます。特定の業務スキルや知識の習得度を数値化しやすく、育成の進捗を把握するための目安としても活用しやすいのが特徴です。
評価基準を明確に数値化するのが難しいと感じている場合、この職業能力評価シートが役立ちます。
〇・△・×の3段階評価に基づき、成長度を自動で数値化してくれるため、従業員の習得状況がひと目でわかります。
さらに、この評価シートはExcelで提供されており、基準のカスタマイズも簡単に行えます。自己評価と上司評価の両方を自動で数値化できる点も便利です。
グラフで成長が視覚的に確認できるため、スキルの把握が容易になります。
能力評価シートの他にも、知識に関する自己評価シートや評価基準一覧も用意されているため、自社に合った内容にアレンジし、従業員の成長をより的確にサポートしてみてはいかがでしょうか?
キャリアマップ
キャリアマップは、従業員ごとのスキルレベルを把握し、成長を段階的に計画するためのツールです。職業能力評価基準シートを基にして、スキルや経験、能力に応じたステップアップの道筋が視覚的にもわかりやすく作成されています。
従業員の相対的なレベルを把握し、人材育成計画に役立ててみましょう。
厚生労働省が提供するキャリアマップは、実務での活用を想定して作られており、現場業務を担う店舗やサロンスタッフ向けと、経営やマネジメントに関わる本社スタッフ向けの2種類に分かれています。
特に店舗やサロンで働くスタッフ向けには、エステティック業務などの専門スキルがレベル別に整理されているため、育成計画を立てる際にとても参考になります。
また、フロント業務やマネジメント業務においてもスキルレベルが細かく分かれているため、キャリアマップを作成する際に役立つでしょう。
導入・活用マニュアル
職業能力評価シートやキャリアマップの使い方やカスタマイズ方法がわからない際には、導入・活用マニュアルを確認してみましょう。
例えば、職業能力評価シートの場合、基本的な使い方や評価の基準が詳しく説明されています。また、自社のニーズに合わせた評価シートにアレンジしやすく作られており、導入時の参考になるでしょう。
また、自社に合わせて職業能力評価シートを変更したほうがいいと上記でも紹介しましたが、こちらも具体的なカスタマイズの方法を紹介しています。
こうした無料で提供されているマニュアルは貴重で、しかも厚生労働省という信頼性もあるため、ぜひ活用してみてください。人材育成計画の作成に役立つ情報が揃っています。
まとめ
美容業界における人材育成計画は、技術力や接客力の向上に加え、トレンドの変化に対応する柔軟さが求められます。
以下のポイントを参考に、育成計画を立ててみましょう。
- 組織の目標や経営戦略に結びつけた計画設計
- スキルレベルに応じたカリキュラムの整備
- 最新のテクノロジーを活用し、従業員が学びたい時に学習できる環境の整備
- 「職業能力評価基準」「キャリアマップ」「職業能力評価シート」を基準にした人材育成システムの構築
- 計画立案が難しい場合は、厚生労働省の評価シートやキャリアマップの活用
また、人材育成計画の立案に自信がないオーナーや人事担当者は、育成に強い人材を採用するのもひとつの方法です。特に美容業界は施術や接客、専門知識など求められる能力が幅広いため、育成の知見が豊富な人材の存在は欠かせません。
これから人材育成を本格的に始めようと考えている場合には、自社にマッチした人材の採用も検討してみてください。
- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部