人材育成の課題と解決策を紹介!育成を成功に導く考え方も紹介!
企業にとって人材育成とは、企業全体の競争力の向上と持続的な成長を支えるために欠かせない重要な取り組みです。とくに近年は人材不足や労働環境の変化に伴い、即戦力となる人材を育成し、早期に現場で活躍させることが重要な取り組みの1つとなりました。
しかし人材育成に際して、教育時間の確保、指導者の能力向上、従業員の成長に対するモチベーションの維持などの課題を抱える企業も多く見られます。
本記事では、人材育成の主な課題と、その具体的な解決策について詳しく解説します。美容・ヘルスケア業界を例に、人材育成の方針やマインドについての具体例を紹介するので、ぜひ参考にしてください。
人材育成が求められる理由
人材育成が求められる理由として、まずは企業の競争力を高めることが挙げられます。従業員のスキル向上や能力開発が進むと、企業の成長を後押しできます。
さらに人手不足が深刻化する現代においては、人材育成により即戦力を育て、早く一人前として働いてもらうことも重要です。
ここでは、人材育成が求められる理由について、データを交えながら解説します。
企業の競争力を高めるため
厚生労働省の労働経済白書によると、企業が競争力を高めるために強化すべきものとして、「人材の能力・資質を高める育成体系」と答えた企業が最も多い結果でした。
▼企業が競争力を高めるために強化すべき項目
このデータからもわかるように、従業員のスキルや能力が企業の競争力に直結しているのです。
とくにAIやデジタル技術の発展に伴い、業界を問わず専門知識を備えた人材が求められています。企業が他社との差別化を図り、競争優位を築くためには、従業員のスキルアップに力を入れ、変化に適応できる人材を育成することが大切です。
また教育プログラムのデジタル化という時代の流れのなかで、マインドの伝達やコミュニケーションの部分で課題を抱えるケースもあります。
美容サロン「MINX」銀座店でディレクターと取締役を務める菅野久幸さんは、コロナ禍の影響でスタッフ同士が対面で関わる機会が少なくなった際に、とくにマインドの伝達やコミュニケーションに課題を感じたそうです。
時代の流れで、アシスタントの学ぶ環境が減ってしまうことが懸念されます。今までよりも、教育する時間、練習する時間、コミュニケーションをとる時間さえも短くなっている。環境の質を下げない、時間とカリキュラムの工夫が必要になってくると思います。
技術面などは教える手段がまだあるとしても、マインドが教えられない。そういう時間が取れない。これまでは直接話したり指導したりが普通にできましたけど、デジタル化していくと、そういう中にマインド的な情報は入っていないんですよね。思いが学べなくなる。人間的な部分ですよね。
引用:モアリジョブ|美容サロン「MINX」銀座店でディレクター・取締役 菅野久幸さん
人手不足に対応するため
人手不足が深刻化している現代では、企業の業務効率化が求められており、それについても人材育成が重要な役割を果たします。
日本商工会議所の「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」によると、人手不足への対策として「社員の能力開発による生産性の向上」を挙げた企業が28.9%でした。4社中1社以上が、人手不足対策の一環として人材育成に力を入れていることになります。
▼企業が実施する人手不足対策
その一方で、人手不足対策について最も回答数が多かった施策は「正社員の採用活動強化」である点も考慮する必要があります。つまり人材育成は人手不足対策として有効な施策ですが、同時に採用活動にも注力することも重要です。
人材育成における5つの課題
厚生労働省の「労働経済白書」によると、人材育成における課題は多い項目から順に次のとおりでした。
▼人材育成における課題
ここでは、以上のデータをもとに人材育成における課題を5つ解説します。
人材育成に充てる時間を確保できない
先述のデータによると、半数以上の企業が人材育成に充てる時間が確保できないと回答しました。とくに多忙を極める現場では日常業務に追われ、従業員のスキルアップや研修の時間が取れずに後回しにされがちです。
さらに人材育成には計画的な準備と実施が求められるため、時間的余裕がない企業にとっては、優先順位が下がることもあるでしょう。
指導者の育成能力が不足している
企業によっては指導者の育成能力に課題があり、人材育成がうまくいかないケースがあります。とくに現場での経験は豊富でも、それを体系的に教えるスキルやコミュニケーションスキルに乏しいと、経験や技術を伝えることが難しくなります。
指導者の育成能力が不足すると、教育が十分に行き届かず、研修生が期待通りに成長しないことがあります。
人材育成で担当者不在となった業務をカバーできない
従業員が日常業務と指導を兼務すると、育成に参加する従業員がその間に担当していた業務を遂行できなくなります。
研修や教育に時間を割くことで、担当者が不在となり、その業務を他の従業員がカバーしなければならない状況が生じることもあるでしょう。このような場合、他の従業員に過剰な負担がかかり、結果として業務効率が低下することもあります。
人材育成を受ける側の意欲が低い
人材育成の効果は、受ける側の意欲にも大きく左右されます。従業員が研修やセミナーに積極的に取り組まないと、せっかく学びの場を提供しても、期待通りに人材が育たない可能性があります。
人材育成を受ける側の意欲が低下する要因として、育成の目的が不明確であったり、自身の成長に結びついている実感が持てなかったりすることが考えられます。
また採用段階で仕事内容や企業方針の伝達が不十分で、従業員が自分の希望に合ってないと感じると不満を抱え、研修にしっかりと取り組んでくれないこともあるでしょう。
社内で人材育成に取り組む雰囲気が醸成できない
最後に、社内全体で人材育成に取り組む雰囲気が醸成されていないことも大きな課題です。人材育成は企業全体の文化として定着することが望ましいですが、企業の中には育成が一部の従業員に任されてしまい、他の従業員や部署との連携が不十分なケースもあります。
これでは、育成の効果が十分に発揮されず、社内全体の成長にはつながりにくくなります。
人材育成の課題を解決するための方法
ここでは前項で紹介した課題を解決するための方法を紹介します。人材育成の課題を解決するための具体例を交えながら解説するので、参考にしてください。
e-ラーニングを導入する
e-ラーニングはパソコンやタブレット、スマートフォンなどを介し、インターネットを使った学習形態です。近年、コスト効率の高い人材育成の手段として注目されています。
従業員は場所や時間を選ばずに、自分のペースで学習を進められます。また容易にコンテンツの更新をできるため、常に最新の知識やスキルを習得できる環境を整えることも可能です。とくにテクノロジー分野や規制が頻繁に変わる業界では、e-ラーニングが効果的です。
美容業やヘルスケア業などの店舗ビジネスでも動画を活用したe-ラーニングが役立っているようです。美容サロン「ALBUM」では、スタッフが動画を繰り返し見ながらスキルアップできる教育システムを取り入れています。
まずは講義を受けてもらい、動画を繰り返し見て学ぶ。動画は、専門学校などが行っていた動画講習の方法を真似して取り入れました。授業を休んでしまっても同じ内容の授業の動画を見て学べたことに感銘を受けたんです。デビューまでの技術はベーシックなのだから、同じ動画を何度も見て学べるツールとして動画が最適だと感じました。反復が大事ですからね。
モアリジョブ|株式会社オニカム代表 槙野光昭さん
整体サロンPOWWOWの研修にもe-ラーニングが導入されており、動画を活用した研修が、担当者のライフワークバランスの改善や研修にかける人的コストの抑制に役立っているようです。
いまは施術より教育・研修対応の時間が長いのですが、座学研修はリモートなので、自宅でも対応することができます。
(中略)子どもが体調不良でも出勤しなさいという方針ではないので、会社の体制やスタッフに本当に助けられています。研修も動画を駆使しており、座学などは私がいなくても、リモートでも学びができるように体制を整えているところです。
モアリジョブ|POWWOW研修・育成担当 泉さん
教育担当者を育成する
人材育成を成功させるためには、担当者自身が高いスキルを持っていることが求められます。教育担当者の育成に注力すると、育成プロセスの効率化が期待できるでしょう。外部の専門講師を招いたり、教育担当者が外部セミナーに参加することを推奨したりして、教育レベルの底上げを図りましょう。
たとえば新潟県新潟市に8店舗の美容サロンを展開する「ITAKURA」では、メーカーを交えた講習会を開いたり、外部講師として活躍するスタッフをグループ店に配置したりして、グループに所属するスタッフのスキルアップを図っています。
インプットの場として、トレンドの勉強会を開いたり、発表会をしたり、コンテストへ積極的に参加させたり、メーカーを交えた講習会を開いたりしています。また、外部講師として活動しているスタッフを各店舗におくことで、全店舗でトレンドのアップデートをはかっています。
モアリジョブ|美容サロングループ「ITAKURA」常務 YUZOさん
採用活動を強化する
採用活動を強化して、人材育成にかける人員を確保できる状態にすることも大切です。採用に注力して従業員数を増やすと、実務にあたるスタッフに余裕ができるため、研修生の指導にも対応できるようになります。
研修制度が整うと、それに魅力を感じて入社を希望する人材が増える可能性もあります。採用と研修との間で好循環が生まれるので、研修に注力するのと同時に、どのようにして採用活動を強化するのかを考えることをおすすめします。
実際に、美容サロンを首都圏に展開する株式会社ダイヤモンドアイズの人事担当者は、求人への応募者が多い理由について次のように答えています。
研修制度が充実していることが理由だと思います。特に研修制度は半年をかけて、目もとの構造を学ぶ座学から具体的な技術の指導までカリキュラムを組んでいます。半年間で基準をクリアできなければ研修期間を延長して、とことん学んでもらいます。逆にマスターするペースが早ければ期間を短縮することもできるんですよ。
モアリジョブ|(株)ダイヤモンドアイズ 総務部 人事担当 笛木清美さん
採用活動の強化で研修の充実に必要な人員を確保したあとに、研修制度を整え、そこから採用者数が増えるという好循環を目指すとよいでしょう。
自社にマッチした人材を採用する
人材育成の効果を高めるためには、自社にマッチした人材を採用することも欠かせません。自社にマッチした人材は職場に貢献したいという意欲が高いため、人材育成のためにプログラムやセミナーにも積極的に取り組んでくれるでしょう。
さらに、人材育成でスキルを身に着けてもらうことができても、人間性を育てるのは難易度が高いと考えられます。そのため人間性を見極めた上で、採用することも大切です。
あとから、いくらでも技術は伸ばすことができます。しかし、人の人間性はなかなか変えられません。そしてサービス業の経営でリピート率は何よりも大切ですが、お客さまがリピーターになるかどうかは担当者の人間性次第です。経営者としては、リピーターの取れるスタッフが欲しい。でも、この人間性を育てるのは本当に難しい。だから、そういうものを最初から持っている人を採用するようにしています
モアリジョブ|小顔矯正サロン『QPU』オーナー 猪瀬悠希さん
自社にマッチした人材を採用するためには、まずは求職者に対して自社のビジョンや文化、働き方、労働条件などを明確に伝えることが重要です。採用プロセスでしっかりとした選考基準を設け、企業にとって最適な人材を見つけることが、後の育成の成功を左右します。
自社にマッチした人材の採用方法については、次の記事で詳しく解説します。
メンター制度を導入する
新入社員や若手社員には、経験豊富なメンターが必要です。メンター制度を導入すると、若手社員が業務に慣れるまでのスピードが向上し、モチベーションの維持にもつながります。メンターは業務知識の伝達だけでなく、キャリアの方向性についてもアドバイスを行い、長期的な成長を支援できるように体制を整えるとよいでしょう。
実際にプライベートの相談にも載ってくれるメンターがいることに新入社員が魅力を感じるケースがあり、人材育成にも役立っているようです。
メンターという教育係の先輩が新人それぞれについてくれるんですね。僕の場合は、現在のお店のオーナーが最初の配属先でメンターになってくれたのですが、技術や仕事全般に関わることはもちろん、プライベートの相談まで聞いてもらっていたほど。そのときは、つくづくFORTEにしてよかったなと思いました。
モアリジョブ|FORTE Lei青山 岳上拓実(おかうえ たくみ)さん
1on1ミーティングを実施する
1on1ミーティングを導入すると、上司と部下が定期的にコミュニケーションを取る機会を設けられるため、人材育成に有効です。このミーティングを通じて、部下の目標達成状況や問題点を把握し、必要なサポートを提供すると、効率的に人材を育てられるでしょう。
また1on1ミーティングの担当者にコーチングのスキルを獲得してもらうと、さらに効果的なミーティングが期待できます。たとえば美容サロン「FILMS」では、毎月1on1ミーティングを実施しており、それを担当する役職メンバーに向けたコーチングの勉強会も実施しています。
例えば自分の技術の進捗や抱えている悩みなどを出せる場として、役職のあるメンバーとの1on1ミーティングを全スタッフが毎月行います。その精度を上げるために、役職メンバーには講師を入れたコーチングの勉強会もしているんです。
モアリジョブ|美容サロン「FILMS」代表 若林紀元さん
目標管理制度を導入する
目標管理制度は、従業員一人ひとりが明確な目標を持ち、それに向かって進むための指標です。適切な目標設定を行い、その達成状況を定期的に評価すると、従業員の成長を促進し、企業全体の成長につながります。
目標は具体的で測定可能なものであり、個人と組織の双方に利益をもたらすものとすることがポイントです。
そうすると、従業員も行動に移しやすくなり、成長にもつながります。さらに指導する側も、アドバイスをしやすくなるため、人材育成を効率よく進められるでしょう。
都内を中心にヘアサロン「Of HAIR」を展開する株式会社オブの代表を勤める古里オサムさんは、目標が具体的であるのと同時に長期、中期、短期の3つに分けた目標設定も大切と述べています。
夢を叶えるためには短期、中期、長期の3つに分けた目標設定が大切です。10年後にサロンを持つという長期目標があるとすると、サロンに入りたてのアシスタントであれば、そのためには、3年後にスタイリストになっていなければいけないという中期目標ができ、そのために、今はいろんな勉強をしておくなど短期目標ができる。そうして目標を具体的にしていけば、ひとつひとつのハードルはそんなに高くありません。ざっくりした目標だけだと、具体的な行動ができないんです。具体的に行動に落としていけば、必ず要所要所でいいアドバイスをしてくれる人が出てくるはずです。
引用:モアリジョブ|株式会社オブ 代表 古里オサムさん
目標を設定する際には、具体性と期間ごとに設定することを意識するとよいでしょう。
【階層別】人材育成を成功させるためのポイント
ここでは、次の階層別に人材育成を成功させるためのポイントを解説します。
- 新入りスタッフ
- 中堅スタッフ
- リーダー・マネージャー
- 管理職・エリアマネージャー
育成の方針と概要を解説するので、参考にしてください。
新入りスタッフの育成
新入社員の育成においては、モチベーションの維持が課題となるケースがあります。新しい環境や業務に慣れない新入社員は不安やストレスを抱えやすく、失敗して自信を失うと、離職につながることがあります。そのため、組織は新入社員のモチベーションをしっかりと管理し、サポートすることが求められます。
効果的な解決策として、新入社員自身が自分のモチベーションを維持させる方法を身につけることが挙げられます。これにより、モチベーションを自分でコントロールできると、職場にもスムーズに適応できるでしょう。
また、育成担当者も部下のモチベーションに自らの言動が大きく影響することを理解し、コミュニケーションの取り方に配慮する必要があります。たとえば期待していることを明確に伝えたり、意見を求めたりすると、部下が「期待されている」という実感を持ち、人材育成の効果を高められます。
中堅スタッフの育成
中堅スタッフの育成では、管理職候補としての自覚を持ち、マネジメントスキルを身につけてもらうことも視野に入ります。
プレーヤーとして独り立ちした中堅スタッフに、どのようにして次のステップである管理職への道を歩ませるかを考えることが重要です。とくに育成担当者としての役割を担ってもらう場合は、適切な指導方法を学んでもらうようにしましょう。
たとえばOJTやメンター、プロジェクトリーダーとして抜てきすると、現場での実践的なマネジメント経験を積ませることにつながります。
任命する際には、事前にOJT研修やメンター研修を受講させ、必要な知識を得たうえで責任の伴う役割を任せることも重要です。
また中堅スタッフは既に多くの業務を抱えているため、人材育成に携わることで業務過多に陥らないよう、なるべく負担がかからないように配慮しましょう。具体的には、周囲がサポートできる体制を整えたり、e-ラーニングをうまく活用したりすると、中堅スタッフの負担を軽減できます。
さらに、モチベーションの維持やキャリア形成を支援するために、目標管理制度や定期的な面談を実施し、個別の評価や将来のキャリアについてのフォローアップも行うとよいでしょう。
リーダー・マネージャーの育成
リーダーには、以下の能力を身に着けてもらうことを意識して育成プログラムを組むとよいでしょう。
- 問題解決力:課題を把握して解決策を考え、それを実行する力
- 意思決定力:特定の問題や課題に対して意思決定する力
- コーチング力:部下のモチベーションを維持しながら指導する力
- ファシリテーション力:チームの意見をまとめる力
以上のスキルを身に着けてもらうと、組織内の課題を解決し、メンバーの成長を促進できるようなリーダーを育てられるでしょう。
リーダー層の育成方法としては、OJT(On the Job Training)と研修を組み合わせて行われることが多いです。
OJTでは先輩リーダーの指導を受けながら実践的なスキルを磨き、研修では座学やケーススタディを通じて理論的な知識を習得します。さらにe-ラーニングを活用すると、リーダーとしての知識やスキルをいつでも効率的に学べる環境を提供できます。
リーダー育成では、リーダーとしての自覚やマインドセットの醸成も大切です。組織のビジョンを理解し、メンバーをリードするための責任感を育むことが、真のリーダーシップを発揮できる人材を育成することにつながります。
管理職・エリアマネージャーの育成
管理職やエリアマネージャーは自らの役割を果たすだけでなく、部下を育成する立場にあるため、常に自己成長を意識する必要があります。しかし彼らが教育の対象者となる機会は少なく、育成対象であることを自覚していないケースも少なくありません。
管理職クラスの人材に学びの機会を提供する際には、経営知識やハラスメント防止に関する研修を受けさせるとよいでしょう。さらに資格取得の支援や書籍購入の補助など、自己啓発を促す施策を導入すると、積極的に学ぶ姿勢を示す管理職が増えるため、部下の学習意欲向上にもつながります。
また新任の管理職にはマインドチェンジを促す研修を行い、経験豊富な管理職には応用力を磨くための組織マネジメント研修やリーダーシップ研修を提供するのも1つの手段です。
【業種別】人材育成に関する具体的な考え方
ここでは人材育成に関する考え方やマインドについて、具体例を交えながら解説します。美容サロンと鍼灸整骨院、アイブロウ&アイラッシュサロンの業界別に具体例を解説するので、参考にしてください。
なお、具体的な施策については次の記事で紹介しているので、そちらもご覧ください。
美容サロン
人材育成の基本は、個人の成長を促し、組織全体の持続的な発展を支えることにあります。ヘアサロン「Cocoon」の代表を務めるVANさんが提唱する育成方針では、相手の基準を理解し、その物差しに合わせた対応を行うことが重視されています。
僕がサロンを立ち上げたときから言っているのは、「相手の基準値を理解してから自分の行動を決めなさい」ということ。相手の物差しと自分の物差しにはズレがあるもの。そのズレを考えないと、自分の考えを押しつけるように受け取られます。これはお客さまに対しても、後輩を指導するときも同じです。
引用:モアリジョブ|Cocoon代表 VANさん
また従来のトップダウン式の指導法ではなく、スタッフの視点を尊重し、お互いの課題を明確にすることで、長期的な関係を築くスタンスを大切にしています。
スタッフには技術や接客、美容師として大切なことを伝えたいし、お客さまにはご自身が思い描いていらしたスタイルを超えたものを一緒にご相談しながら提案したい。そこのスタートに僕の価値観やセンスの押しつけはいらないんです。僕の価値観なんて、スタイルの最後に隠し味程度に入っていればいいんですよ(笑)。
引用:モアリジョブ|Cocoon代表 VANさん
VANさんが目指したのは、「人が辞めないサロン」です。そのためには、単に技術や接客を教えるだけでなく、スタッフとのつながりを深め、共に成長することが重要であると考えています。
とくに離職者が多い美容業界で、人材の定着を図るためには、スタッフが安心して学び続けられる環境づくりが欠かせません。また相手に押し付けるのではなく、柔軟な指導方法を採用することで、個々の可能性を最大限に引き出せます。
鍼灸整骨院
関西圏で27店舗を展開する「あい・グループ」では「人」を中心に据えた事業方針が特徴であり、その結果として離職率が低く抑えられ、売上向上にも貢献しています。
その方針は人事にも反映されており、新店舗を出展する際には、まずは人材育成が優先されています。
社長がよく言うのは、店舗展開が先ではなく、人が育ったから新しく店舗を出すんだよということです。例えば何店舗まで増やしたいからといって、まだ育っていない人を院長に当て込んでも、結果として対応の質が悪くなってしまったりする。それでは、その地域の人にいいことではないので、ちゃんと院長を任せて大丈夫と思える人が育ったからこそ新しい店舗を出すという「人」ありきの店舗展開をしています。
引用:モアリジョブ|あい鍼灸院・接骨院 阪急高槻市駅院 院長 中井良祐さん
人材育成を重視する「あい・グループ」は教育体制も整えられており、新人には1カ月間の研修を実施し、その後即戦力として現場に送り出しています。
「あい・グループ」では4月に入社後、1カ月間の研修があるんです。本社の研修施設で座学やコンプライアンス、保険の取り扱いなどについて学び、3週目からは配属予定の院での実習を通して研修と現場との差がないようにすり合わせを行います。その後、また研修で改善に取り組むので、店舗に配属されたときには1人のお客様に最初から最後までつける状態になっているんです。
引用:モアリジョブ|あい鍼灸院・接骨院 阪急高槻市駅院 院長 中井良祐さん
このような徹底した人材育成と人材の能力を重視した組織作りにより、グループ全体の成長が支えられています。
アイブロウ&アイラッシュサロン
アイブロウ&アイラッシュサロン「en(エン)」の店長を務めるyuyuさんは、人材育成に臨む際にはスタッフ一人ひとりに合わせた柔軟な対応とコミュニケーションを心がけています。
私が伝えたことがあまり響いていないなら寄り添う形で接してみよう、褒めて伸ばしてみようなど、とにかくスタッフとコミュニケーションをとって、みんなが同じモチベーションを保てるように意識していますね。
引用:モアリジョブ|アイブロウ&アイラッシュサロン「en(エン)」 店長 yuyuさん
また技術共有にも力を入れており、自分だけでなくスタッフ全員が顧客から指名されるレベルに成長することを目指しています。
技術の面では、自分が大切にしている毛抜きだったりは、細かくチェックしています。お客様に「このサロンだから来たい」と感じてもらえる技術をみんなに持ってほしいなと思っているので、自分だけにお客さんがつくというよりも、スタッフみんなが指名で埋まるくらいにしたいと思っています。
引用:モアリジョブ|アイブロウ&アイラッシュサロン「en(エン)」 店長 yuyuさん
最終的には、個々のスタッフが唯一無二の施術者になるように導き、サロン全体の質を向上させていくことがyuyuさんの理想です。スタッフに寄り添った人材育成の方針により、スタッフと良好な関係を築けています。
まとめ
本記事の内容を総括すると次のとおりです。
- 人材育成は企業の競争力向上と人手不足の解消に欠かせない取り組み
- 教育時間の確保や指導者の能力向上、従業員のモチベーション維持が多くの企業における課題となっている
- 人材育成を担当する人材や時間を確保するためにも採用に力を入れて人材を確保することが大切
人手不足が進行する美容ヘルスケア業界においても、人材育成の効率化により即戦力を確保することが求められています。人材育成で即戦力を育てたい場合は、採用にも力を入れることをおすすめします。
とくに自社にマッチした人材を採用すると、学習へのモチベーションを高く維持できるため、人材育成を効率的に進めやすくなります。
美容ヘルスケア業界で自社にマッチした人材を求めている場合は、リジョブの活用をご検討ください。下記の資料をダウンロードしていただくと、リジョブの詳細についてご覧になれます。
- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部