セラピストを効率的に育成するには?技術指導や接客指導のポイントも解説
「セラピストの育成の仕方が分からない」とスタッフ教育に悩むオーナーや教育担当は少なくありません。
セラピストは専門的な技術や知識を必要とし、言語化しづらい部分も多いため、育成を進めるうえで課題となっています。
今回の記事ではセラピスト育成を進めるコツと、指導するときのポイントについて解説します。顧客対応に時間が取られて、育成の時間があまり取れないサロンにとっても有益な情報となっているので、ぜひ参考にしてください。
セラピストの育成が大切な理由とは?
セラピストの育成が大切な理由は、生産性の向上と利益の最大化につながるためです。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査をもとに「競争力をさらに高めるために強化すべきもの」として最も高かったのが「人材の能力・素質を高める育成体系」でした。
▼競争力をさらに高めるため強化すべきもの
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順位 |
項目 |
割合 (%) |
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1 |
人材の能力・資質を高める育成体系 |
52.9 |
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2 |
顧客ニーズへの対応力(提案力含む) |
45.5 |
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3 |
従業員の意欲を引き出す人事・処遇制度 |
39.5 |
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4 |
既存の商品・サービスの付加価値を高める技術力(現場力) |
36.7 |
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5 |
新製品・サービスの開発力 |
24.0 |
※独立行政法人 労働政策研究・研修機構の調査をもとに割合の高い順に5項目を抽出
人材の能力・素質を高める育成体系を築くためには、中長期での成長を見据えた育成計画や目標を定める必要があります。
多くのサロンでは研修で最低限のスキルや知識を学び、技術チェックで合格したら一人前のセラピストとしてお客様の施術に入るのが仕事です。
ただ生産性の向上や利益の最大化のためにはデビューがゴールではなく、各セラピストの個性や特性に合わせて育成や企画など別の業務を担える人材へと道筋をつけると良いでしょう。
もちろん技術者として成長しつづけることも大切です。お客様の体はひとりとして同じ状態ではありません。疲れの元はどこに潜んでいるかなど、常に考えながらお客様の体に向き合い、知識や技術をさらに高めるための努力を惜しまないようにしましょう。
生徒さんにもよく話すのですが、その方にとってベストな施術ができるように、自分もしっかり準備すること。心の余裕を持って施術できるように、知識の上でも、技術の上でも、しっかり準備をしておくことが大切だと思っています。
引用:モアリジョブ|東京メディカルアロマ ホリスキュア 代表講師/鍼灸・指圧マッサージ師 堀 有紀恵さん
セラピストを育成するコツ
セラピストの育成を成功させるには、制度や体制を整えましょう。そして実際に育成する際にはいくつかの意識すべき点があります。
セラピスト育成のコツを「制度や体制」と「育成で意識すべきこと」の2つに分けて解説します。
セラピスト育成のための制度や体制
セラピスト育成のために必要な制度と体制は下記の6つです。
- 目標設定をサポートする
- メンター制度を導入する
- 自己研鑽をサポートする
- 最新の技術や知識を得るための研修を催す
- 定期的な達成評価と新たな目標設定を行う
- 指導者がリスキリングできる機会を設ける
詳しく解説するので参考にしてください。
目標設定をサポートする
物事を進めるうえで目標の設定は不可欠です。まずは目標設定から始めましょう。
なお、先に触れたようにセラピスト育成の目的は生産性の向上と利益の最大化です。
そのためここでの目標は最終的な目的「生産性の向上と利益の最大化」につながるものでなくてはなりません。
まず企業や店舗の目標と方向性を伝えたうえで、セラピスト自身に目標設定をしてもらいます。
目標を立てる際には下記の点を意識するように伝えましょう。
- 達成可能な目標にする
- 明確な数字で書き出す(いつまで=期間、いくら=売上)
- 目標設定の理由を添える
目標設定の理由を明確に言語化することは、対顧客に対しても大切なポイントです。普段から目的と理由をセットで考える癖は業務をする上でも役立ちます。
―ただ「歩く練習をしましょう」ではなく、段差を登れるように練習をしましょうと、理由がわかれば納得がいきますね。
そうなんです。ここが業界的に定着していないところだと思っています。目標設定をしている割には説明がなく、明確性に欠けている。利用者様のニーズを知って、どうアプローチしていくかを伝える必要があります。
引用:モアリジョブ|株式会社ゴルディロックス代表 龍嶋裕二さん
メンター制度を導入する
セラピストの育成にはメンター制度の導入を検討してみるのも良いでしょう。メンター制度とは、経験豊かな先輩社員が後輩社員と双方向の対話を介して、キャリア形成のための課題や悩み解決のサポートを行うものです。
HR総研の調査によると調査に回答した企業の約4〜5割がメンター制度(もしくはそれに準ずる取組み)があると回答しています。
▼メンター制度がある企業の割合
入社して間もない社員の場合、分からないことがあっても周りに聞きにくく、自己解決しようとひとりで頑張ってしまう場合があります。
メンターがサポートすることで不安や疑問を早期に解決し、自信をもって業務にあたれるようになります。また周りに早く馴染めるように橋渡し役になるなど、若手育成には欠かせない存在と言えるでしょう。
僕は勤続8年目のベテラン組ということで、新しいスタッフが配属されると、メンターの役割を担うことが多いです。(同僚談)相手を成長させてあげようという気持ちが強く、頼りがいのある先輩です。私たち周りのスタッフに「新人さんが入るから協力してね」とわざわざ声をかけて、新しい方が職場に早く馴染めるよう根回しも欠かさないんですよ。
引用:モアリジョブ|リハビリ型デイサービス「パライソ大和」 菊地さん、平林さん
自己研鑽をサポートする
セラピスト育成を進めるうえで、自己研鑽も不可欠な要素です。出来る限りのサポートを行いましょう。
厚生労働省の調査によると自己啓発支援に支出した企業の割合は、平成20年からほぼ横ばいの25%前後でした。さらに労働者ひとり当たりの支援額は、約3千円とわずかな支援金に留まっています。
自己研鑽には書籍による学びや施術体験など、さまざまな方法があります。いずれにせよ、専門書の購入や施術費用は積み重なると大きな負担となります。
成長意欲のあるスタッフが金銭的な理由で学びを諦めないように、施術費用や書籍購入費の補助など可能なサポートを行いましょう。
最新の技術や知識を得るための研修を催す
セラピストの意欲を高めるために、定期的に最新の技術や知識を得るための研修を催しましょう。
いつも同じ業務の繰り返しでは仕事に対する新鮮さや達成感が薄れ、意欲が低下します。またセラピスト業界も技術や知識は日々更新されており、最新の情報を得ることは失客防止や新規顧客獲得にもつながります。
なかでも人気のメニューが毎年変化する点を意識して研修を組み立てると、顧客獲得につながります。
ホットペッパービューティーアカデミーの調査からも、人気のメニューが年によって異なることがわかります。
最近であれば、ヘッドスパ・ドライスパが2022年にくらべ2024年は4ポイントも増加しており人気を集めています。このようにセラピスト業界のトレンドも取り入れつつ研修を組むと、新規集客数の増加が期待できるでしょう。
また株式会社ビースタイルが行った調査ではエステティシャンが直面している課題としてもっとも高かったのは「お客様の要望に応える技術」でした。
課題解決に重要なこととして「顧客のニーズに応えた施術メニューの導入」や「スタッフの技術向上」が挙げられています。
最新技術の研修をセラピスト育成に取り入れることは従業員満足度や顧客満足度の向上、しいては店舗の成長に期待ができます。
定期的な達成評価と新たな目標設定を行う
育成の成果と個人や店舗の成長のために、定期評価を行いましょう。最初に設定した目標をどれくらい達成できているのか、達成できた理由(もしくはできなかった理由)はなぜなのかなど、振り返りはこれからの育成に生かせます。
同時に新たな目標設定も行います。達成できた場合はワンランク上の目標を、達成できなかった場合や達成見込みが難しい場合は目標を立て直しましょう。
なお定期評価を実施するタイミングは目標の内容やサロンの状況を考慮しつつ、1ヵ月、3ヵ月、半年もしくは1年などの間隔で設定すると良いでしょう。
リラクゼーションサロンや整骨院などの場合、顧客の来店頻度は1週間から1ヵ月に1回ペースが一般的であるため、評価や目標設定の見直しも細やかに行うことをおすすめします。
指導者がリスキリングできる機会を設ける
セラピスト育成において、教育を行う指導者には定期的なリスキリングの機会を設けましょう。
HR総研が行った調査によると1,001名以上の大規模企業の約5割がメンター制度(それに準ずる制度・取り組み)を導入している一方、メンター制度を廃止したという企業は約15%に及びます。その理由にメンターの質の安定や数の確保の難しさ、メンター自身の負担増が挙げられています。
メンターや指導者は自分の業務と並行して、セラピスト育成に必要な資料や育成プランを準備するケースが多いです。その中でさらに指導に必要なスキルの学び直しの時間を捻出するのはかなりの負担となり、質の低下も否めません。
成果のある育成制度を確立するには、指導者側のリスキリングの機会を整備しておく必要があります。
セラピスト育成で意識すべきこと
セラピストが前向きに店舗運営に関わり、自主的に成長意欲をもてるように、下記4つの点を意識しましょう。
- 相手の立場に立って納得できるフィードバックをする
- セラピストの個性を大切にする
- 責任感や連帯感の大切さを共有する
- 褒めるときと注意するときは場面を使い分ける
相手の立場に立って納得できるフィードバックをする
相手の立場に立って、納得してもらえるフィードバックを行いましょう。
とくにネガティブなフィードバックを行う際には注意が必要です。未達成という結果やできなかった部分だけを指摘すると、モチベーションダウンになりかねません。
フィードバックには「サンドイッチ型」「SBI型」「ペンドルトンルール」といった3つの手法があります。
サンドイッチ型はポジティブな内容で挟んで改善点を指摘するため、相手のモチベーションダウンを最小限に留められます。
SBI型はポジティブなフィードバックにもネガティブなフィードバックにも使える手法です。原因と結果を順序立ててフィードバックするので、内容を理解しやすいのがメリットです。
ペンドルトン型は心理学者のペンドルトン氏が開発したフィードバック手法です。相手に自分で振り返りをしてもらうため、モチベーションアップや能動的な行動につながります。
フィードバックする内容やフィードバックする相手の性格、タイプによって3つの手法を使い分けて行うと良いでしょう。
セラピストの個性を大切にする
セラピストの個性を大切にして、育成しましょう。
育成において方向性や目標を共有するのは不可欠ですが、個性はセラピストの強みや特長となります。
たとえば、ゆっくりとしたスピードで話すセラピストは穏やかな方と波長が合う一方で、お客様に対してハッキリとした口調で話すセラピストが好まれることもあります。
喋り方や商品の提案のタイミングなど細かいところまで指導するのではなく、個性として尊重したうえで統一した方がうまくいくこともあります。
協調性をもってもらいつつも、セラピストの個性はサロン運営するうえで大切にすべきといえるでしょう。
責任感や連帯感の大切さを共有する
セラピストにはコミュニケーション力や技術力など、さまざまなスキルが必要とされますが、責任感や連帯感も重要である旨をセラピストと共有しておきましょう。
お客様の心や体を癒す仕事であるセラピストはお客様が信じて委ねてくれた以上、お客様に寄り添い、真摯に最後まで向き合う責任感をもつことが大切です。
またセラピストの仕事はワンマンプレーに思われがちですが、サロン運営や日々の営業においては連帯感も必要です。
しかし業務委託で成り立つ個人サロンを中心にセラピストの仕事は個人主義になりがちで、放置しておくと離職者を増やすなど、業務に支障をきたす恐れもあります。
ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、人間関係が理由でリラクゼーション業を離職した人は13.5%と3番目に多い結果となっています。
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離職理由 |
割合 |
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体調・体を崩してしまったから |
17.3% |
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給与が低いから |
14.6% |
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働いているスタッフの人柄が良くない・自分とは合わなかったから |
13.5% |
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上司と考え方・意見が合わなかったから |
13.5% |
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サロンの雰囲気やテイストが合わなかったから |
11.9% |
※ホットペッパービューティーアカデミーが行った調査をもとに作表
個人プレーがチームの輪を乱してしまわないよう、採用面接の段階でチームワークの必要性を伝えるのはもちろん、研修や育成を通じて常に意識の共有をしておく必要があります。
サロンの目指す方向性や雰囲気に合った人材を採用するための面接時のポイントを資料にまとめましたので、興味がある方は下記より無料でダウンロードしてください。
面接辞退・早期離職を防ぐ! 相性の良い人材を惹きつける3STEP
褒めるときと注意するときは場面を使い分ける
褒めるときと注意する時は場面を使い分けることで、育成の成果を高められます。褒めるときは、多くの人がいる前で行うことで承認欲求を満たす効果が期待できます。
承認欲求とは、自分の存在や価値を他者に認めてもらいたい、評価されたいという心理的な欲求です。アメリカの心理学者アブラハム・マズローが提唱した欲求5段階説でも2番目に位置しています。
成長欲求を推進するためには、承認欲求が欠かせないため、セラピストを育成するためにも効果的な場面で褒めることが大切です。
一方で注意する際は多くの人がいない場所で行いましょう。人前での叱責や注意はプライドを傷つけ、ときにはハラスメントと捉えられる危険性があるため注意しましょう。
ただ人前で褒められるのは苦手という人もいます。個々に応じて場面を使い分けて対応するようにしてください。
セラピストに接客指導する際のポイント
セラピストに指導する際は、技術力以外の要素を加味する点がポイントです。美容ヘルスケア職の施術者が顧客満足度の高いサービスを提供するためには、人柄や人間力といった技術力以外の要素が求められる場合もあります。
――高い評価はどうやって獲得しているのでしょうか。
技術はできて当たり前。お客様の満足度や感動は、プレイヤーの人柄や人間力で決まるというのがスタッフ間での共通認識です。
引用:モアリジョブ|ao.ネイリスト&アイリスト兼マネージャー 宍戸琴美さん
以上は美容職の事例ですが、セラピストも人とかかわる機会が多い点を考慮すると、同じように技術力以外の要素が求められると考えられます。
人柄や人間力などの要素は、接客スキルを伸ばすことである程度カバーできます。以下の5つの項目について接客指導をして、顧客を満足させられるセラピストを育成しましょう。
- 言葉遣い
- 身だしなみ
- 接客マナー
- カウンセリング
- 電話対応
各項目について詳しく解説します。
言葉遣い
接客業は丁寧な言葉遣いが不可欠ですが、他人行儀になりすぎても冷たい印象を与えるため顧客満足度の低下を招く恐れがあります。言葉選びには配慮しつつもある程度、距離を近づけた会話が理想です。
接客で理想とされるのが、2〜3年先輩の人に話すときの言葉遣いと言われています。
会話のテーマや話し方のトーンなどはお客様によって異なりますが、サロンの統一性を取りたいのであればロールプレイングをしたり、ワークショップを開催したりして会話のトレーニングを積み重ねると良いでしょう。
身だしなみ
セラピストは接客業のため、お客様を不快にさせないように身だしなみを整えることが大切です。
特別おしゃれでなくても清潔感のある髪型や服装、そしてお客様に直接触れるため爪先のケアも怠ってはいけません。
バックヤードには全身鏡を設置し、セラピスト自身が自分の目でチェックできるようにしましょう。
なお、身だしなみへの意識の高さは採用面接でもチェックできます。
――採用試験に向けて何か準備はしましたか?
(前略)他にも取り組んだことに、身だしなみを整えることがあります。
美容師は接客業なので、お客さまが気持ちよく過ごせるスタッフでなければなりません。そのため、髪を染め直したり、白を中心とした服を用意したりして清潔感はとくに意識にしました。またそのサロンで働いている姿が想像できるような、サロンにいても浮かない服装で面接に挑みました。
引用:モアリジョブ|「HONEY shibuya」スタイリスト近 菜摘さん
以上のように、身だしなみに配慮できるセラピストを採用できると、接客指導時の負担を減らせます。
接客マナー
おじぎや手の位置、目線など接客マナーで指導すべき点は多岐に渡ります。
とくにサロンのこだわりが強くなければ、基本的な接客マナーの育成は外部委託するのもおすすめです。接客マナーのプロが講師となり、一からいろはを教えてくれます。
接客マナーの研修や外部委託については下記のサイトで詳しく解説しています。
▼内部リンク:離職率
店舗研修の手法を徹底比較!おすすめの研修会社もご紹介 | Bizリジョブ
カウンセリング
カウンセリングの質はリピート率や失客にも関わる重要なポイントです。
ホットペッパービューティーアカデミーが行った顧客離れに関する調査で、男性、女性ともにサロンを変えた(変えようと思った)理由として「カウンセリング」が上位にランクインしていました。
ジャンルは少し異なりますが、どちらもお客様と距離が近い接客業であり、参考になるデータでしょう。
カウンセリングの質を高めるためには、施術間のインターバルに余裕が持てるようなシフトにすることが大切です。お客様ひとりひとりに寄り添い、丁寧なカウンセリングができるように現場の環境を整えましょう。
電話対応
電話の際も直接お客様と接客しているような対応を心がけましょう。
「笑声」と言われるように、電話をしているときに笑顔であれば声は明るい印象を与え、背筋がピンと伸びていれば声にもハリが出ます。
相手に見えないからと表情のない顔やだらけた姿勢での電話対応は、手を抜いた接客をされたという印象を与えます。
言葉遣いや電話マナーはもちろん、電話であってもお客様の対応をしているんだという意識をもつよう指導しましょう。
【カテゴリー別】セラピストに技術指導する際のポイント
セラピストに技術指導する際のポイントを、カテゴリー別に事例を交えながら解説します。技術指導のポイントや必要な専門知識についても解説するので、参考にしてください。
アロマセラピスト
アロマセラピストはお客様の素肌に触れるため、とくに多くの配慮が必要です。たとえば次の点を意識して指導するように心がけましょう。
- お客様の肌に触れる前にお声掛けすること
- 適度な室温かどうかお客様に確認すること
- 爪が皮膚に当たって不快ではないかどうかお客様に確認すること
また、ただ眠りたいお客様や疲れて話したくないお客様もいるため、カウンセリングでは施術中のコミュニケーションのとり方についてお客様に確認するように伝えましょう。
以上の基本事項の他に、セラピスト自身の健康管理やアロマトリートメントについても指導することが大切です。
セラピスト自身の健康管理
顧客満足度の高い施術サービスを提供するためにも、セラピスト自身が健康管理に配慮するように指導することも大切です。
セラピストの場合、健康管理が行き届いていないと疲れていることが、お客様に触れる手を通して伝わる恐れがあります。また不摂生が影響して手先が冷えると、手の温もりによる癒しを十分に提供できなくなるかもしれません。
――アロマセラピストとして、心がけてきたことはどんなことでしょうか?
アロマセラピストはお客さまのお身体に直接触れる仕事で、自分の手のひらからすべてが伝わってしまいます。自分自身が心地よく整った状態でお客さまに接することを一番に心がけています。そのために、自分の気持ちのありかたというのがとても大事だと思っていて。
引用:モアリジョブ|「Salon Sonoteto」代表 坂口千晴さん
以上のように体調管理の重要性を伝えながら、セラピストを指導すると納得してもらえるでしょう。
アロマトリートメントについて
アロマトリートメントは、全身の巡りを整えて疲れを改善することが主な目的です。セラピストを指導する際には、アロマに関する知識はもちろん、リンパや筋肉、血管などの基本的な知識について、初期段階で理解を促しておく必要があります。
アロマセラピスト育成の一環として、AEAJ認定のアロマテラピー検定(1級・2級)やアロマテラピーインストラクターなどの関連資格の取得をサポートするのもおすすめです。資格取得を支援すると、各セラピストの能力の底上げが期待できます。
リフレクソロジスト
リフレクソロジストを育成する場合は、施術をお断りするケースがあることやメリットなどについて指導するとよいでしょう。
施術をお断りする場合
リフレクソロジストは足裏に触れる仕事です。そのためセラピストには、お客様の足裏に角質肥厚や水虫などの皮膚疾患がある場合の対処法について指導することが大切です。
角質が肥厚してお客様の足の裏が硬くなっていると、セラピストが施術をする際に指を痛める可能性があります。そのため角質肥厚がある部位については、施術を避けるように指導しましょう。
またお客様の足が水虫に感染している場合、丁寧に施術をお断りするように指導することも大切です。セラピストの手が水虫に感染する恐れがあるだけではなく、セラピストの手を介して他のお客様に水虫を移す恐れがあるのです。
水虫が理由で施術をお断りする場合は、「足が水虫にかかっている」という直接的な表現を避けるように指導し、お客様の心情に配慮する点も伝えましょう。たとえば次のように、水虫を他の言葉に置き換えつつ断定表現をさけるようにすると、お客様がネガティブな気持ちになるのを抑えられます。
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「足にトラブルを抱えているかもしれません。足にトラブルを抱えたお客さまには施術をできない決まりになっています。申し訳ありません。」 「足の皮膚が弱っているようなので、皮膚の状態がよくなったら改めて施術をさせていただきたいです。」 |
以上のように、角質肥厚や皮膚疾患など触れられない状態になっている場合もあるため、カウンセリングで事前に確認と施術前に割けるべき箇所などのお声掛けが必要になることもあります。
禁忌事項にも目を通してもらい、セラピスト自身も自分の手を守るように心がけなくてはなりません。
リフレクソロジーのメリットについて
リフレクソロジーのメリットについて、セラピストに伝えると、施術に対するモチベーションにつながる可能性があります。
リフレクソロジーのメリットは、疾患や妊娠などで体のケアができない場合にできるという点です。体に触れられるのに抵抗がある高齢の方にもアプローチしやすい施術です。とくに初めての人には強さや体勢の確認など、配慮を怠らないようにしましょう。
リフレクソロジーの良さは、心に働きかける効果があること。手のぬくもりが触れるだけでお腹の痛みが和らいだという経験をしたことがある人は多いでしょう。その方が心配だという気持ちは、ちゃんと手を通して伝わるんです。
引用:モアリジョブ|日本リフレクソロジスト認定機構 理事 川口香世子さん
ヘッドスパニスト
頭皮にあるたくさんのツボを刺激してケアするドライヘッドは、適格にツボを刺激しないと不快感や頭痛など、かえって状態を悪くしてしまう恐れもあります。
またお客様の要望だからと強く押しすぎるのも危険です。特に経験の浅いヘッドスパニストが自分の判断で過剰な強さで施術を行わないよう、危険性についての指導は定期的に行いましょう。
さらにリフレクソロジスト同様、指を使った施術であるためヘッドスパニスト自身の指も大切にしないといけません。
先輩ヘッドスパニストを交えて指を傷めない施術方法ポイントの実技研修を行い、技術の共有を行うと良いでしょう。
人によって頭の形が異なるため、技術研修はなるべく多くの人の頭で行いましょう。本格的にデビューするまでは見習い期間として価格を落としてお客様の頭を借りて経験を積むのもおすすめです。
ボディセラピスト
ボディセラピストは着衣のまま施術を行うため、骨格や筋肉など体の構造に関する知識が必要です。
技術研修と並行して体の仕組みを学ぶ機会を設けましょう。座学は外部から柔道整復師や鍼灸師など体の構造を知る有資格者を講師として招くのも良いでしょう。
技術は日々の積み重ねで成長していく部分でもあるので、デビュー割など特別価格を設定し通常価格よりお得な価格で打ち出し、経験を積ませていきます。
ボディセラピストは基本的にほぐす手技がメインですが、ストレッチを行うサロンもあります。ストレッチは関節の可動域など関節の仕組みを十分に理解してから行わないと、肘や膝など関節を痛めてしまう危険性も伴います。
一定の研修を終えても知識や技術が不十分と判断した場合にはデビューさせずに追加で技術指導を行いましょう。
柔道整復師
外傷ごとに適した治療と正しい判断、高い技術が求められるため、有資格者であっても経験が浅いセラピストはデビュー前、デビュー後も小まめな技術指導が必要です。
技術面の研修は、学んだ内容が動画や教科書にも落とし込まれているので、復習がしやすかったです。また学んだ内容に対するテストが細かくあったので、自分の技術が合っているかの確認ができ、習得も早かったような気がします。
ほかにも希望者に対してトレーナーの研修も週に1回あって、元Jリーグのサッカーのトレーナーさんが講師となり、たくさんのことを学びました。
引用:モアリジョブ|株式会社マーサメディカル まつなが鍼灸整骨院 お花茶屋院所属 柔道整復師 梶浦千紘さん
このようにひとりでも復習ができるシステムを整えたり、外部研修の機会を設けたりするのもおすすめです。
また柔道整復は触診診察から始まり、いくつもの療法や手技を組み合わせて行うものです。経験を積むまでには判断に迷うこともあるかもしれません。新人が担当した患者のカルテを共有しながら、フィードバックやフォローを行うようにしましょう。
鍼灸師
鍼灸の施術でとくに難しいとされるのが細長い鍼での施術です。
細長い鍼は柔らかくしなるため、扱う際は高い技術が求められます。
とくに背部や胸部周辺に針を打つ際は、鍼灸師が肺の位置を把握したうえで、思い通りの方向に鍼を刺せなければ、気胸を引き起こし医療事故につながる恐れがあります。鍼灸師を育成する場合、まずは気胸を防ぐことを念頭に指導することが大切です。
一方で太い鍼は固く皮膚に入りやすいため、施術が雑になったり、技術があがっているように錯覚したりする点がデメリットとしてあげられます。
また太い鍼は人によっては刺激を強く感じ、鍼に恐怖心を抱いてしまう場合もあります。
細い鍼を打てるようになるとそのような刺激に弱い人や鍼が初めての人、子供や妊婦など多くの人にアプローチでき、集客アップも期待できます。
技術指導の際は細い鍼での研修も検討してみましょう。
まとめ
本文を総括すると次のとおりです。
- セラピストの育成は、生産性の向上と利益の最大化につながる
- セラピストを育成するには制度や体制の整備を行う
- 育成の際にはセラピストの個性やモチベーションを大切にする
- セラピストは高い技術力だけでなく、接客力やコミュニケーション力も必要
技術力を要するセラピストは研修が終わってデビューするのがゴールではなく、そのあとも成長し続けることが大切です。技術だけでなく、お客様や患者の心に寄り添い、身体も心も癒せるのが本来のセラピストの役目だと言えます。
そのためには育成環境の構築や整備が不可欠です。定期的な研修や個々の悩みや苦手を改善できる育成環境を整えていきましょう。
- 執筆者情報
- 田中 久美(Tanaka Kumi)