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美容室の事業計画書とは?具体的な項目や記入例、テンプレートを紹介

美容室の事業計画書とは?具体的な項目や記入例、テンプレートを紹介

美容室を開業・運営する際、事業計画書は重要な役割を果たします。たとえば、融資や補助金の申請に必要なだけでなく、経営戦略を明確にし、成功に導くための重要な指針となるのです。

そこで本記事では、美容室向けの事業計画書について、その目的や具体的な記入例、テンプレート、作成時のポイントを紹介します。有効な事業計画書を作成し、競争の激しい美容業界で成功するための一歩を踏み出しましょう。

美容室の事業計画書とは

美容室の事業計画書とは、サロンの経営方針や成長戦略、収益の目標・見込みなどを明確に記載した書類です。

主に開業時の融資申請、開業後の補助金・助成金の申請に用いますが、自社の経営戦略を整理・策定するために自主的に作成するケースもあります。

美容室が事業計画書を作成する目的

美容室の事業計画書は、融資や補助金の申請時に求められるだけでなく、経営者自身が事業の方向性を明確にするためにも役立ちます。

以下では、美容室が事業計画書を作成する主な目的について解説します。

開業時に融資を受けるため

美容室の開業には、店舗の賃貸費用、内装工事費、美容機器の購入費、広告宣伝費などを賄うため、多くの開業資金が必要になります。

こうした資金を自己資金だけでまかなうのは難しく、多くのオーナーは日本政策金融公庫などの金融機関から融資を受けます。日本政策金融公庫の調査 によると、美容室の平均開業資金1,177万円のうち68%が金融機関からの融資です。

▼開業資金の調達先の内訳

1_開業資金の調達先の内訳

そして融資の申請時に必須なのが、「創業計画書」としての事業計画書です。金融機関は事業計画書をもとに、美容室の収益性や経営の安定性を評価し、融資の可否を判断します。

そのため、創業計画書(事業計画書)を通じて事業の概要、提供するサービスのセールスポイント、想定する顧客層、売上・収支のシミュレーションなどを具体的に記載し、実現可能性を明確にしめさなければなりません。

融資審査を通過するためには、単に希望金額を記載するだけでなく、返済計画を含めた説得力のある内容を作成する必要があるのです。

なお、美容室を開業するまでの際の流れについて理解したい方は、こちらの記事をご覧ください。

補助金・助成金を受けるため

美容室の運営には、国や自治体が提供する補助金や助成金を活用することで、設備投資や販促活動にかかる費用を軽減できる可能性があります。

たとえば、以下のような補助金が利用されています。

  • 小規模事業者持続化補助金

用途例:広告宣伝費や販促ツール制作費の補助など

  • ものづくり補助金

用途例:最新の美容機器導入や店舗設備改善の補助など

  • 雇用関係助成金

用途例:従業員の採用・研修費用の補助など

これらの補助金・助成金を申請する際には、申請対象ごとに指定されたフォーマットの事業計画書を提出する必要があります。

審査機関は、補助金の活用目的や事業の成長戦略、投資計画、期待される経済効果などを評価し、支給の可否を決定します。そのため、計画書には補助金を活用する具体的なメリットや、その資金をどのように活用するのかなどについて明確な記載が重要です。

自主的に事業の方向性を明確にするため

事業計画書は、融資や補助金の申請だけでなく、美容室の運営を成功させるための指針としても有効です。

美容室を経営していくなか、競争の激しい市場環境で生き残るためには、明確なビジョンと戦略が欠かせません。

そこで事業計画書の作成により、以下のようなポイントを整理できます。

  • ターゲット顧客は誰か?(年齢層、ライフスタイル、来店頻度など)
  • 提供するサービスの特色は?(トレンドに合ったメニュー、他店との違い)
  • 売上目標と収支計画は?(月ごとの売上予測、固定費・変動費の管理)
  • 長期的な成長戦略は?(新メニューの導入、店舗拡大の可能性)

これらを明確にすることで、経営のブレを防ぎ、効果的な経営判断を行えるようになります。スタッフとビジョンを共有する際にも役立ち、チームの一体感を生み出す効果も期待できます。

また、表参道・⻘山エリアに5店のサロンを展開する 「KANOW GROUP」では、社内独立制度における審査材料として「事業計画書」を用いています。

「社内独立制度」とは、事業計画書をつくってオーナーにプレゼンし、ブランディング、物件探し、内装決め、工務店探し、店舗運営、メニュー展開、リクルートに至るまで一任させてもらえるという制度です。

引用:モアリジョブ|KANOW GROUP 代表 桐山弘一さん

事業計画書の主要な項目|美容室向けの記入例

事業計画書の主要な項目と、それぞれについて美容室向けの記入例を紹介します。

なお、ここでは主要な融資申請先である日本政策金融公庫が公開している「創業計画書」の項目を基に紹介します。この事業計画書を用いる理由は、基本的な項目を網羅しており、他の事業計画書を作成する際にも有効なためです。

創業の動機(目的)

美容室を開業しようと考えたきっかけや、経営理念を記載する項目です。自身の経験や市場のニーズを踏まえて記述しましょう。この項目を明確にしておけば、事業計画書以外の場面で問われた際にもスムーズに回答できるようになります。

▼記入例:創業の動機(目的)

美容師として10年以上の経験を積み、お客様一人ひとりに寄り添った施術を提供したいと考え、美容室開業を検討していた。髪質改善に特化したメニューを強みとし、地域に密着した長く愛されるサロンを目指す。


また先に開業した先輩オーナーが独立を後押ししてくれ、ショッピングセンターへの通り道に面した好条件の物件が見つかったこのタイミングで開業を決意した。

経営者の略歴

経営者の経験やスキルを示して、信頼性を確保します。

経営者自身の美容業界における経験やスキルを記載します。美容師としてのキャリアのスタートから現在に至るまでの職歴や、過去に携わった業務内容、取得資格、実績などを詳しく書きましょう。

▼記入例:経営者の略歴等

H〇年〇月~

〇〇美容専門学校卒業

H〇年〇月~

美容室〇〇4年勤務(アシスタント3年、スタイリスト1年)

→若手美容師対象のコンクールで入賞

H〇年〇月~

ヘアサロン〇〇8年勤務(スタイリスト8年)(現在の月給25万円)

→人材育成や店舗運営を任され、店長就任1年目に売上を10%増加

R〇年〇月~

退職予定(退職金80万円)

過去の事業経験

事業を経営していたことはない

取得資格

美容師免許(H〇/〇)・管理美容師(H〇/〇)

※番号等123456号・7890号

知的財産権等

特になし

事業・取扱商品・サービスの内容

事業や提供する施術メニュー、使用する商材などの内容について具体的に記載します。

カット・カラー・パーマ・トリートメントなどの基本メニューに加え、特定の技術(縮毛矯正、髪質改善、ヘッドスパなど)に強みがある場合は明記しましょう。

▼記入例:事業・取扱商品・サービスの内容

事業内容

20~40代を中心にカット、カラー、パーマ等のサービスを提供

取扱商品・

サービスの内容

1.カット(シャンプー、ブロー込み)4,000円~(売上シェア40%)

2.カラーやパーマ(カット込み)9,000円~(売上シェア55%)

3.ヘアケア商品販売(シャンプー等)1,500円~(売上シェア5%)

客単価

客単価とは、1人の顧客が1回の来店で消費する平均金額です。月単位・日単位は問わず「平均売上÷平均客数」で算出します。

たとえば「1日の売上平均68,000円・1日の平均客数8名」の場合、「68,000円÷8=8,500円」です。なお開業前の場合は予測で構いません。

▼記入例:客単価

客単価

8,500円

営業日数・営業時間

定休日や営業時間を明記し、売上計画の根拠とします。

▼記入例:営業日数・営業時間

営業日数/月

24日

定休日

毎週火曜日、第2・第4水曜日

営業時間

10:00~20:00(最終受付19:00)

セールスポイント

競合店と差別化できる特徴や強みをアピールしましょう。

▼記入例:セールスポイント

セールスポイント

・完全予約制のプライベートサロンとして、マンツーマン施術を提供

・髪質改善とヘッドスパに特化し、リラックスできる空間を演出

・最新のオーガニック製品を使用し、敏感肌のお客様にも対応

販売ターゲット・販売戦略

美容室のターゲット層と、どのように集客するかを記述します。

▼記入例:販売ターゲット・販売戦略

販売ターゲット・

販売戦略

ターゲット:20代後半〜40代の男女を中心に、髪のダメージが気になる方や育毛ケアを求める男性客も想定。


販売戦略:InstagramやLINE公式アカウントを活用し、施術事例やお得な情報を発信。地元のカフェや雑貨店と提携し、相互プロモーションを実施。

競合・市場の状況

競合店や市場環境の分析を記載する項目です。自社の事業がどのような市場に属し、どのような競争環境にあるのかを具体的に説明します。

競合店の立地、市場のトレンド、今後の成長性などを分析し、それらに対する自社の戦略を記載することで、事業の実現可能性の高さを示します。

また、市場の規模や成長率、顧客のニーズの変化についても言及すると、より説得力のある計画になります。

▼記入例:競合・市場の状況

競合・市場など

企業を取り巻く状況

出店予定エリアには半径1km以内に5店舗の競合があるが、高価格帯のサロンが中心で、髪質改善を専門とする店舗は少ない。


店舗予定地は、ショッピングセンターへの通り道に面した商業ビルの1階であり、周辺は人通りも一定数あるため新規顧客の獲得を十分に期待できる。


近年、ヘアケア需要が高まっており、特にオーガニック商材を使用した施術への関心が増加している。

従業員

開業時に予定しているスタッフの人数と構成の内訳を明記します。従業員数に自分(経営者)は含みません。

▼記入例:従業員数

従業員数

1人

(うち家族従業員:0人)

(うちパート従業員:1人)

計画書作成時に事業的な目標や来客予想などを立て、「必要な従業員数」とあわせて「育成期間」や「人材要件」を考えておきましょう。

取引先・取引関係等

事業に関わる取引先や仕入れ先、業務提携先について記載する項目です。

主要な取引先の名称や取引シェア、回収および支払いの条件などを明確にし、安定した供給体制が確保されていることを示します。

なお「掛取引の割合」とは、取引額のうち何%が後払いになるかを示しています。

▼記入例:取引先・取引関係等

 

取引先名

所在地

取引先のシェア

掛取引の割合

回収・支払の条件

販売先

一般個人

(現金)

40%

0%

即日

一般個人

(クレジット・電子マネー)

60%

100%

末日締め・

翌月20日回収

仕入先

(株)〇〇商事

※住所

50%

100%

末日締め・

翌月末日回収

(株)〇〇会社

※住所

50%

100%

末日締め・

翌月末日回収

人件費の支払い

末日締め・翌月15日支払

借入状況

現在の借入金の有無や、金融機関との取引状況について記載する項目です。借入先名や使い道、借入の残高、年間の返済金額を明記しましょう。

▼記入例:借入状況

借入先名

使い道

借入残高

年間返済額

〇〇銀行〇〇支店

76万円

24万円

必要な資金と調達方法

開業や運営に必要な資金の総額と、その調達方法を記載する項目です。

設備資金・運転資金の内訳を明確にし、自己資金や親類からの借入、金融機関からの借入など、具体的な調達手段を説明しましょう。

▼記入例:必要な資金と調達方法

 

必要な資金

見積先

金額

 

調達の方法

金額

設備資金

・合計

・店舗内外装工事

(設備工事含む)

・セット椅子3台

・シャンプー台2台

・什器・備品類

・保証金

〇〇社

〇〇社

〇〇社

〇〇社

870万円

600万円

30万円

40万円

100万円

100万円

自己資産

330万円

親、兄弟、知人、友人等からの借入

0円

運転資金

・合計

・消耗品等仕入

・広告費等諸経費支払

・家賃等

160万円

30万円

100万円

30万円

日本政策金融公庫からの借入:元金7万円×72回(年〇%)

500万円

〇〇信用金庫からの借入:元金3万円×67回(年〇%)

500万円

合計

1,030万円

合計

1,030万円

事業の見通し

事業の成長見込みや収益予測を記載する項目です。短期~中期の目標を設定し、その達成根拠を明確にします。

 

創業当初

1年後または

軌道に乗った時

(〇年〇月頃)

売上高、売上原価(仕入高)、

経費を計算した根拠

売上高①

95万円

150万円

■創業当初

①売上高

6,000円(客単価)×3台×2回転×26日=93万円 +ヘアケア商品販売 月2万円

②原価率 15%

③経費

人件費:アシスタント1人 10万円

家賃:10万円

支払利息(内訳):

500万円×年〇%÷12ヵ月=〇万円

200万円×年〇%÷12ヵ月=〇万円 計2万円

その他光熱費、消耗品費等:20万円


■創業1年後(軌道に乗った後)

・2回転→3回転(勤務時の経験から)

・当初の原価率を採用

・人件費スタッフ1人増 20万円増

・その他諸経費 10万円増

売上原価②

(仕入高)

15万円

22万円

経費

人件費

10万円

30万円

家賃

10万円

10万円

支払利息

2万円

2万円

その他

20万円

30万円

合計③

42万円

72万円

利益

①ー②ー③

38万円

56万円

なお、開業後の補助金申請などの場合、「業績推移と今後の計画」としてより詳しい収支報告を求められます。とはいえ、上記構成の経費・売上部分をより詳細にした程度であり、実際に経営を始めたら当然のように扱う数値ばかりですので問題ありません。

事業計画書のテンプレート|ダウンロード先の紹介

事業計画書のテンプレートをダウンロードできるサイトを紹介します。

ここでは、美容室が融資申請先として利用することが多い金融機関「日本政策金融公庫」の書式ダウンロードページを掲載します。

たとえば、次のような事業計画書のフォーマット(書式)とテンプレート(記入例)を入手可能です。

  • 創業計画書
  • 事業計画書(中小企業経営力強化関連用)
  • 事業計画書(創業後目標達成型金利用)
  • 事業計画書(挑戦支援資本強化特別貸付用)
  • 海外展開事業計画書

今すぐに申請せずとも、フォーマットを自社の経営戦略の策定に活用したり、テンプレートを確認して将来に向けた融資申請の事前準備を整えたりするのも有効です。

各種書式ダウンロード|国民生活事業|日本政策金融公庫

美容室の事業計画書を作成する際のポイント

美容室の事業計画書を作成する際のポイントを、5つ紹介します。

客観的な数値や根拠を示す

事業計画書は、申請時や事業の方向性を明確にするために、具体的な数値やデータに基づいて作成することが重要です。

たとえば、以下のような計算を用いると説得力が増します。

  • 客単価の算出:平均売上÷平均客数
  • 月間売上の見積もり:客単価×席数(台)×1日あたりの回転数×営業日数
  • 売上予測:客単価×月間来店客数

また申請を行う際は、勤務経験や実績も数値や根拠をもって示しましょう。店長の経験があるというだけでなく、何年経験して売上や運営にどう貢献したかなどを具体的に示すと、信頼性が高まります。

さらに「必要なスタッフ数」を算出すれば、より実効性の高い計画となります。たとえば、ある美容サロンが月間300人の来客を見込んでいるとします。

  • 1人あたりの施術時間が平均1.5時間
  • 営業時間が10時間(休憩を除く実働時間8時間)
  • 1人のスタッフが対応できるのは1日約5~6人

この場合、スタッフ2名では最大360人の対応が可能ですが、予約の重複やキャンセル対応を考慮すると、3名以上のスタッフが必要であると分かります。

安定性や将来性を示す

美容室の事業計画書を作成する上では、長期的な経営を見越して安定性や将来性を示せるかもポイントです。

特に美容室の経営は、新規顧客とリピーターの獲得により安定性を確保できます。そのため、いかに新規顧客とリピーターを得ていくかの販売戦略および具体策を提示しましょう。

たとえば、以下のような施策が挙げられます。

  • オンライン集客の強化:Googleマップ(MEO対策)、Instagram・TikTokなどのSNS運用、予約サイト活用
  • 初回限定キャンペーン:新規客向けの割引クーポン、紹介制度(既存客が新規客を紹介すると両者に特典)
  • 次回予約の促進:施術後に次回予約を提案し、リピーター専用割引を提供
  • ポイントカード・会員制度:一定回数利用で特典がもらえる制度や、LINE公式アカウントでのクーポン配信

こうした具体的な施策を計画することで安定性や将来性は高まり、申請の承認も得やすくなるでしょう。

独自の強みや競合との違いを示す

厚生労働省による 令和5年度の衛生行政報告例 によると、美容室の数は27万4,070軒、美容室の新規オープンの数は4,181軒であり、総数・新規開店数ともに増加傾向にあります。

こうした背景から、事業計画書では以下のように「競合との差別化ポイント」を示す必要があります。

  • ターゲットの明確化:特定の層に特化(例:若年層向けのハイトーンカラー専門、美容医療と連携したエイジングケアサロン)
  • 技術やサービスの独自性:オーガニックヘアケア専門、マンツーマン施術による高付加価値サービス
  • 価格やメニューの工夫:月額制メニューの導入、トレンドを取り入れた期間限定メニュー

さらに、競合店舗の数や特徴を分析し、それに対してどのように優位性を確保するかを具体的に説明すると、差別化の説得力が増します。

申請先や先輩オーナーに相談する

事業計画書の作成で迷ったら、以下のような相談先を活用するのが有効です。

  • 金融機関の創業支援窓口:融資の審査基準に合致した計画書の作成アドバイスを受けられる
  • 商工会議所や中小企業診断士:事業計画のブラッシュアップや補助金活用の相談が可能
  • 先輩オーナー:開業時の課題や成功・失敗事例をヒアリングし、計画に反映する

とりわけ先に美容室を開業して順調な経営を行えている先輩オーナーは頼りやすく、なお且つ美容室の経営者目線でのアドバイスを期待できます。

サロンの設計図を見てもらって、「動線としてどう思います?」とか、「こんな風に進めているんですけど大丈夫ですか?」とか、サロンを開業した先輩として、いろいろアドバイスをもらいました。

ほかにも、先に独立した後輩たちにも助けてもらいました。事業計画書を作るにも、見たことも書いたこともないので途方に暮れていたら、「僕のでよかったら参考にしてください」って。本当にたくさんの人にサポートしてもらいました。

引用:モアリジョブ|美容室「Sourire」代表 宇野陽輔さん

創業の動機(目的)を重視する

事業計画書のなかでも「創業の動機」は、今後の事業展開の核となる部分であり、自社にとっても融資担当者にとっても重要なポイントです。

創業の目的が明確であれば、将来の成長戦略にも説得力を持たせられます。また、申請先に対しても、事業に対する本気度が伝わりやすくなり、資金調達の成功率が向上します。

「美容師の仕事が好きだから」という理由だけでなく、具体的な市場課題や社会的ニーズに基づいた動機を示すことが重要です。

「イズムを持つこと」、自分が何をしたいのかはとても重要です。根本的に何がしたいのかわからないサロンはたくさんありますが、そういうサロンは2〜3年でつぶれてしまう。それは着地点がサロンを開くことになっていて、そこで終わっているからだと思います。その先までビジョンがないといけない。

引用:モアリジョブ|ALICe by afloat 代表 ムッシュ豊田さん

美容室の事業計画における「人材と採用」の重要性

美容室の事業計画を策定・実行する上で、特に重要な「人材・採用」について解説します。

安定した経営には優れたスタッフの確保が不可欠

美容室を安定的に経営し発展させるためには、技術力が高く接客スキルに優れたスタッフの確保が欠かせません。

美容室は人材の質によって売上が大きく左右される業種であり、優秀なスタイリストがいればリピーターの定着率が高まり、口コミや紹介による集客効果も期待できます。

ホットペッパービューティーアワードにて5年連続の「GOLD Prize」受賞を果たしたALBUMグループで店長を務める野出さんも、人材の重要性について次のように述べています。

とにかく美容院は人材が命。豊富な人材力が今のALBUM GINZAの強さをつくり出しているのは間違いない事実です。所属スタイリスト一人ひとりが強力な戦力として、これからも長く活躍してくれることを願っています。

引用:モアリジョブ|美容室「ALBUM GINZA」店長 野出貴弘さん

なお、自社が求める人材を確保するために不可欠な「採用計画」の策定方法について知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

美容室の成長には計画的な採用と定着が必要

美容室が成長していくためには、単にスタッフを増やすだけでなく、計画的な採用と人材の定着が重要です。急な欠員補充ではなく、事業拡大や売上向上を見据えた中長期的な採用計画を立てることで、経営の安定性を高められます。

ただ一方で、美容業界の採用市場では競争が激化しています。

厚生労働省のデータ(令和5年度)によると美容師の有効求人倍率は6.1倍であり、美容師の求職者1人に対して6件以上の求人が存在する計算です。これは有効求人倍率の全体平均1.29倍と比べても非常に高い数値であることが分かります。

こうした背景から、「事業を安定・発展させるために採用したいができない」「採用しても定着しない」といった悩みを抱える美容室オーナーが後を絶ちません。

そこで美容業界における採用の成功率を高めるためのフレームワークやノウハウを紹介した資料を公開しています。無料ダウンロードの上、ぜひ事業計画の実現にお役立てください。

まとめ

美容室の事業計画書は、経営の指針としてだけでなく、融資や補助金申請にも必要な重要な書類です。本記事で紹介したポイントを以下にまとめます。

  • 融資申請時に必須:日本政策金融公庫などの融資を受ける際には、事業計画書の提出が求められる
  • 補助金・助成金の申請にも必要:国や自治体の支援を受ける際も、事業計画書が審査の要となる
  • 事業戦略の明確化に貢献:ターゲット顧客や提供サービスの特徴を整理し、経営方針を明確にできる
  • 経営のブレを防ぐ:スタッフとのビジョン共有にも役立ち、長期的な成長を促す

事業計画書をしっかり作成し、経営の安定と発展を目指しましょう。適切な事業計画を立てることで、美容室の成功確率が大きく高まります。

高橋祐哉(Takahashi Yuya) プロフィール画像
執筆者情報
高橋祐哉(Takahashi Yuya)
BtoB・BtoC双方の商社で、営業・経営企画・企業HP運用・採用・社員教育・総務など企業の根幹を支える業務に計11年従事。幅広い実務経験を活かし、人材確保や店舗経営に役立つ実践的な情報をメディア記事として発信中。Bizリジョブ編集部では記事執筆のほか、一部編集・ディレクションを担当。