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離職率の計算方法とは?計算時の注意点と活用方法の一例を紹介

離職率の計算方法とは?計算時の注意点と活用方法の一例を紹介

日本は少子高齢化が進んでいるため、どの業界も人手不足です。むしろ、今よりも人手が足りなくなるのは明白です。そのため、人事をしている身からすれば、離職率を計算できるようになって損はありません。

離職率が計算できれば、社内で起こっている問題を把握できます。人材流出を対策できるようになる大事なポイントとなるため、離職率の把握を急ぎましょう。本記事では、日本全体の離職率の平均値から、計算方法、離職率が高くなる要因まで細かく解説してあります。

離職率とは?

※引用:データブック国際労働比較2023|労働政策研究・研修機構 (JILPT)より

日本では終身雇用が当たり前の時代もありました。しかし現在では、雇用形態が変化しており、人材確保に力を入れないといけない時代になっています。

厚生労働省が2023年に発表した勤続年数別の雇用者割合を見てみると、20年以上同じ職場で働き続けた人の割合は22.6%です。アメリカやカナダなどの諸外国では、10年以上働いた労働者が30%近い割合になっており、さほど違いがなくなってきています。

2020年発表の厚生労働省のデータによれば、若者に関しても同様に大学卒の若者が32.8%となっており、約3人に1人が離職しています。高校卒業のさらに若い世代となれば、39.5%と大学卒業者よりも離職率が高めです。人手不足に嘆いている業界が多いのも納得の数値といえるでしょう。

離職率が高くなれば会社に必要な人材が不足し、経営が続けられなくなってしまいます。そこで離職率についての具体的な内容をまとめているので、これを参考に自社の労働環境について考え直してみてください。

離職率とは?

ここでいう離職率とは、退職理由とは関係なく、今の仕事から離れた人の割合を指します。退職率と重なる部分もありますが、退職は仕事を辞めることです。仕事を辞めたという行為が退職であり、離職は仕事を離れたという状態と覚えておきましょう。

しかし、一般的にいう離職と退職には大きな違いはありません。解雇された人と自己都合で退職した人は、同じ離職として計算されますが、ほぼ同じ意味で使われていると思っておいてください。また、国の統計で計算される離職率は、今の職場を辞めた後に仕事に就いていない状態として定義してあります。今回の離職率とは違うものとなっているので注意しましょう。

定着率との違い

定着率は、離職率と反対の意味で使われる言葉です。つまり離職をせずに、そのまま会社に在籍し続けている社員の割合になります。定着率が高い会社は離職する人が少ないため、離職率が低くなる傾向にあります。逆に離職率が高いのなら定着率が低くなるので、その時は社内で何かしらの問題を抱えていると思っておきましょう。

定着率を知りたいのなら、次のような計算方法を使うのが一般的です。

【会社に在籍している人の数 ÷ 入社時の在籍人数 × 100 = 定着率(%)】

これが基本となる定着率の計算式となりますが、期間を定めて計算することも可能です。次のように計算式を変えるだけで、知りたい年の定着率を簡単に把握できるようになります。

【(〇年に在籍していた人の数 - 〇年に離職した人数)÷ 入社時の在籍人数 × 100 = 定着率(%)】

離職率をすでに把握しているのなら、100%から離職率を引いてしまえば定着率もわかります。例えば、離職率が10%なら定着率は90%です。簡単に数値がわかるようになるので取り入れてみてください。

様々な離職率の計算方法

離職率を計算するためには、次の情報を算出しておく必要があります。

  • 初日の従業員数
  • 最終日の従業員数
  • 期間中に退職した従業員数

これを踏まえた上で、知りたい情報に合わせて計算方法を変えてください。月間と年間の離職率、さらに新卒社員の離職率の計算方法を紹介します。

全従業員の月間離職率

離職率が高い原因を知りたい場合、月間の離職率の計算方法を知っておくと便利です。

【(1ヶ月の離職した人の数÷1ヶ月間の在籍人数) × 100 = 月間の離職率】

例えば、7月の離職率が高いのなら、ボーナスをもらって離職している人が多くなっているのかもしれません。

ボーナスが出る時期は、一般的に7月前後とされているためです。それと同様に、冬のボーナスは一般的に12月とされています。自社でその時期にボーナスを出しているのなら、大きなトラブルは起きていないのかもしれません。ただし、それ以外の時期に離職率が高くなっているのなら、原因把握に急ぎましょう。

離職率が異常に高くなっているのなら、どのタイミングであろうと社内で問題が起きている可能性があります。社内でカウンセリングを行うなどして、何月にトラブルが起きているのか把握し、離職率を低くする対策を考えましょう。

全従業員の年間離職率

離職率が高いかどうか把握したい時には、全従業員の年間離職率の計算方法を知っておきましょう。

【1年間の離職者数 ÷{(年度始めの在籍人数 + 年度終わりの在籍人数)÷ 2 ]} × 100 = 従業員の年間離職率 】

基本的に国が出している統計の多くは、年間で表記されていることが多いため、自社の離職率を1年間ごとに計算してください。実際に計算してみて、国が出している離職率よりも高い数値が出れば、離職率が高くなっていることがすぐにわかります。その時は、同時に上記で紹介した月間離職率を使って原因を探ってみてください。

新卒社員の離職率

若手が育たないと感じている時ほど、新卒社員の離職率を計算できるようになっておきましょう。

【新卒社員の離職人数 ÷ 新卒社員の在籍人数 × 100 = 新卒社員の離職率】

例えば10人の新卒社員が入ってきて、1年間で1人の新卒社員が辞めたのなら、新卒社員の離職率は10%となります。

ここでいう新卒社員とは、大学などの学校を卒業して入った新入社員のことです。厚生労働省によると、卒業後の3年間は新卒扱いだという資料もあるため、卒業後の3年までの間を新卒だと定義している企業もあります。マイナビが行ったアンケートでは、3年以上働けば一人前だと実感すると答えた若手社員が最も多くいました。これも新卒社員が3年だと定義するポイントといえるでしょう。

新卒社員の離職率を知りたい時は、この定義をしっかり社内で把握できるようにしておくと、話のすれ違いは防げるはずです。

労働政策研究・研修機構が出した新規学卒就職者の離職状況という統計では、3年以内の新卒社員の離職率が30%以上となっています。「3年後離職率」という離職率を示す指標があるように、3年以内の離職率が30%よりも下回れば、いい会社だと認識されやすく、会社の人事としては意識するべき数字です。労働政策研究・研修機構のアンケートでは、労働条件や人間関係によって辞めたと応えた新卒社員が多く、3年以内の離職率が高ければ、社内の労働環境を見直すようにしましょう。

離職率の計算時の注意点

離職率の数値だけを、全て鵜呑みにしないようにしましょう。離職率は意図的に調整できるからです。特に、人事に離職率の計算を任せている時ほど注意してください。統計を出す期間を設けて計算すれば、離職率を簡単に下げられます。

例えば、離職率を計算した期間が2023年5月1日から2024年4月30日までの1年間だったとします。2023年4月30日にたくさんの人が離職していた場合、離職率の計算には含まれていません。2023年4月30日に10人離職していたとしても、計算した2023年5月1日から2024年4月30日の間に離職者が0人なら、離職率は0%です。

正しい離職率を知りたいのなら、できるだけ過去のデータも算出してもらいましょう。1年ごとの離職率だけでなく、月間離職率や3年間ごとの離職率など、様々な期間ごとの離職率がわかるように統計を出すと、原因の把握がしやすくなります。

日本企業の平均離職率

日本企業の平均離職率と自社の離職率を比較しましょう。これから紹介する数値よりも自社の離職率が高いのなら、離職率を低下させる対策を考える必要があります。

  • 過去の平均離職率
  • 新卒採用の3年以内離職率
  • 産業別の平均
  • 一般労働者とパートタイム労働者

離職率の内容によっては、原因や対策に違いがでてきます。様々な見方ができるように、複数の離職率の統計を紹介しておくので参考にしてみてください。

日本企業の平均離職率は8.7%

※引用:令和5年上半期雇用動向調査結果の概要より

 厚生労働省が出した令和5年上半期雇用動向調査結果によると、日本企業の平均離職率は8.7%と出ています。入職率が9.7%となっており、仕事を辞める人よりも入職者数のほうが多くなっていますが、大きな差はありません。

入職者率

9.7%(前年同期と比べて0.4ポイント上昇)

離職者率

8.7%(前年同期と同率)

入職超過率

1.0ポイント(入職超過)(前年同期と比べて0.4ポイント拡大)

※引用:令和5年上半期の雇用労働者の動き|厚生労働省より

過去の平均離職率

年度

離職率

令和5年上半期

8.7%

令和4年上半期

8.7%

令和3年上半期

8.1%

令和2年上半期

8.5%

※引用:令和5年上半期の雇用労働者の動き|厚生労働省より

※引用:令和4年上半期の雇用労働者の動き|厚生労働省より

※引用:令和3年上半期の雇用労働者の動き|厚生労働省より

※引用:入職率・離職率の推移(各年上半期)|厚生労働省より

 過去の平均離職率を確認すると2009年には9.3%となっていましたが、現在では8.7%と落ち着いています。過去3年では8.5%を前後しており、大きな変化はほぼありません。

新卒採用の3年以内離職率

▼高校卒

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▼大学卒

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※引用:新規学卒者の離職状況|厚生労働省より

新卒採用の3年以内離職率を確認すると、令和2年度の大学卒の新卒社員の離職率は32.3%となっています。高校卒の新卒社員だと37.0%となっており、大学卒業者よりも離職率が高い傾向が続いています。過去10年の統計を確認しても、大学卒の新卒社員の離職率は約30%。高校卒の新卒社員の離職率は40%前後となっています。

産業別の平均

産業

入職率

離職率

入植超過率

鉱業,採石業,砂利採取業

5.4%

5.2%

0.2ポイント

建設業

5.8%

5.1%

0.7ポイント

製造業

5.8%

5.1%

0.7ポイント

電気・ガス・熱供給・水道業

6.0%

6.3%

-0.3ポイント

情報通信業

7.3%

6.9%

0.4ポイント

運輸業,郵便業

6.0%

5.2%

0.8ポイント

卸売業,小売業

8.2%

8.0%

0.2ポイント

金融業,保険業

5.9%

5.6%

0.3ポイント

不動産業,物品賃貸業

9.5%

9.7%

-0.2ポイント

学術研究,専門・技術サービス業

7.5%

7.7%

-0.2ポイント

宿泊業,飲食サービス業

18.4%

14.8%

3.6ポイント

生活関連サービス業,娯楽業

20.6%

15.0%

5.6ポイント

教育,学習支援業

11.3%

11.0%

0.3ポイント

医療,福祉

10.0%

8.7%

1.3ポイント

複合サービス事業

4.1%

5.2%

-1.1ポイント

サービス業(他に分類されないもの)

11.6%

11.7%

-0.1ポイント

※引用:産業別の入職と離職の状況|厚生労働省より

離職率は産業によってかなり違いがあります。離職率が高い順番に並べると以下のような結果となりました。

  • 生活関連サービス業,娯楽業:15.0%
  • 宿泊業,飲食サービス業:14.8%
  • 教育,学習支援業:11.0%
  • 不動産業,物品賃貸業:9.7%
  • 医療,福祉:8.7%

個人へのサービスを提供するBtoCの業種は、離職率が高い傾向です。土日や祝日での勤務があり、残業が多い企業も少なくありません。生活関連サービス業や娯楽業が15.0%と、最も離職率が低い製造業や建設業の5.1%と比較すると、約10%の開きがあるのがわかります。

一般労働者とパートタイム労働者

 

一般労働者の離職率

パートタイム労働者の離職率

令和3年度上半期

6.3%

12.9%

令和4年度上半期

6.8%

13.7%

令和5年度上半期

6.8%

13.5%

※引用:令和5年上半期の雇用労働者の動き|厚生労働省より

※引用:令和4年上半期の雇用労働者の動き|厚生労働省より

 一般労働者とパートタイム労働者でも、離職率に大きな違いがあります。それは一般労働者よりも約2倍の離職率となっているところです。パートタイム労働者が多い企業ほど、離職率が高くなってしまう可能性があります。令和3年と比べて令和5年度は、パートタイム労働者の離職率が0.6%分だけ少し高くなっています。

離職率が高くなる主な要因

離職率が高くなる要因は、大きく分けて2つあります。

  • 業界や社会の傾向による要因
  • 会社固有の要因

労働者側から見れば、原因がどちらであっても働きにくいと感じて、その結果離職している可能性があります。原因をしっかり見極めて、労働者が働きやすい環境を作れるように努力をしましょう。

業界や社会の傾向による要因

離職率が高くなって困るのは、会社そのものが原因でないケースもあります。それは少子高齢化や人口減少が関係しているからです。

内閣府が出している「生産年齢人口と労働力人口の推移」によると、生産年齢人口が年々少なくなっていくため、人手不足が加速すると予想されています。日本全体の労働者人口が少なくなれば、どの業界も人手不足になるのも理解できるでしょう。

また少ない人口の中で人材確保をしようとしても、いい人材が見つかりにくくなるのも無理はありません。

例えば、原材料の高騰で給料などの人へのコストがかけられない業界になると、賃金の上昇が見込めなくなってしまいます。その結果、労働者の不満が高まる上に離職率が高くなるだけでなく、雇用へのコストがかけられなくなり、社内の人材が少なくなるという負のループが始まってしまいます。

さらに将来的な不安が感じられるなど、悪いイメージを払拭できない業界に関しては、新しい人材すら入ってきません。そして人手が足りなくなってくると、人材育成に力を注ぐ人材も不足するため、賃金がさらに上げられなくなってしまいます。

いずれにしても、労働者に不満がたまれば、離職率が高まるのは間違いありません。離職率が高まるのは社会が原因だと断定して諦めずに、離職率を下げるためには不満を減らす努力も重要です。

中には業界独特の風習のようなものが、離職率を高める要因となっているケースも少なくありません。

大型のチェーン店では、30人採用しても多くが途中で辞めてしまいます。一人前になれるのはだいたい5人ほど。原因は、サロンの教育法に問題があるんです。毎日深夜まで練習し、そのうえ休日は研修会があって休めない状況が続くので、耐えられず辞めてしまうんです。

※引用:モアリジョブ|金内光信さん

業界全体が当たり前だとされている環境であっても、離職率が高くなれば、その風習のようなものを断ち切る意識が大事になります。一定の離職があるのは仕方がありませんが、少しずつでもいいので、会社独自の仕組みを作って離職率を下げる意識を持ちましょう。

会社固有の要因

離職率が低い業界であっても、離職率が高くなっている会社は少なくありません。労働者に目を向けていないと、離職率が高まる可能性があります。

厚生労働省が離職をする人に理由を聞いたアンケートによると、次のような理由が多く集まっていました。

  • 満足のいく仕事内容でなかったから
  • 労働条件(賃金以外)がよくなかったから
  • 賃金が低かったから

仕事内容や労働条件に不満を感じてしまう人が多くなると、離職率が高まります。さらに賃金が低く、労働環境に見合っていないと労働者が感じるのも、離職率を高めるひとつの原因です。キャリア支援が整っていない会社なら、特に賃金が低くなる傾向があるため、離職率を高めてしまいます。

さらに会社で働く人間同士のトラブルも、離職率を高める要因のひとつです。労働者ができる限り不満なく働ける環境を作ることができれば、離職率を抑えられるので、社内の問題を洗い出して離職率を下げるようにしましょう。

離職率の改善方法

離職率が高い原因は、社会的な要因と業界内の問題が関わっていると上記で紹介しました。さらに長時間労働の問題や人事評価制度の不備などが原因で、労働者の不満が溜まりやすくなっていると離職率が高まります。労働者の不満がたまる要因は、大きく分けると次の2パターンです。

・労働者にとって高いストレス

・働き甲斐を感じられなくてモチベーションが上がらない

離職率を下げるためには、社内の労働者に対してヒアリングを行うなどして、労働者と会社の運営側とのコミュニケーションを増やし、不満を溜めないように仕組みを作ることが大事です。離職率の原因に合わせた対策について知りたい人は、以下の記事を参考にしてみてください。

離職率を下げるためには、経営者が社内の問題を把握する努力をし、柔軟に対応していく必要があります。離職率を下げるための対策は、以下で具体的にまとめてあります。 

会社全体の仕組みを変えてコミュニケーション不足を解消する

労働者の不満が溜まる原因は、コミュニケーション不足です。社内のコミュニケーションが円滑になると、社内の雰囲気がよくなり、労働者の不満が溜まりにくくなります。

「私だったらこうするなあ」「Mikuちゃん上手くなったね」と、かけてくださる言葉ひとつひとつが嬉しかったです。おかげさまで劣等感はいつの間にか感じなくなっていて、日々成長を実感していました。あとは、チームとしてもいい関係を築くことができたので、頻繁にコミュニケーションをとることの大切さを学べたと思います。

※引用:モアリジョブ|Mikuさん

経営者側がコミュニケーション対策を行うためには、次の3点を意識して、コミュニケーション対策の仕組みを作っていきましょう。

面談を定期的に行う

面談というのは、管理職や経営者が労働者にする面談です。社内の仕組みを変えるキッカケとして利用してください。キャリアアップの仕組みや人間関係の悩みなど、幅広く不満がないか聞きだしてみましょう。

上司となる管理職のマネジメント能力をアップさせる講習を行う

その前に、管理職などの上司となる人材の育成も大事になります。仕事を指示する上司に不満があれば、若手が早く離職するリスクを高めてしまいます。ハラスメントなどのトラブルが起きないように、講習を行うのは基本です。管理職などの上司が、若手に対してコミュニケーションをスムーズにとれるようになると、お互いが意見を言いやすくなり、離職率が増えるのを防げます。

メンター制度を導入して先輩社員に悩みを相談しやすくする

管理職のような上司ではなく、労働者として身近な存在の先輩社員に関しても、メンター制度を利用しましょう。メンター制度は、若手社員が新入社員をサポートする制度です。社内全体のコミュニケーションがとりやすい環境を作りやすくなるので、うまく活用してください。

キャリア支援制度や評価制度を柔軟に変えていく

社内の雰囲気がよくなれば、会社の不満に対する意見を言いやすくなります。その意見を取り入れて、柔軟に社内の仕組みを変えるようにしましょう。不満が少なくなれば、離職率を下げるいいキッカケとなります。特に、キャリア支援制度や評価制度を見直してください。労働者側の仕事に対するモチベーションが上がりやすくなります。

研修制度は、労働者のスキルを伸ばす大事な仕組みのひとつです。効率よくスキルアップのできるカリキュラムを作ることができれば、給料がアップしやすく、労働者のお金に対する不満を解消できます。

研修制度は半年をかけて、目もとの構造を学ぶ座学から具体的な技術の指導までカリキュラムを組んでいます。半年間で基準をクリアできなければ研修期間を延長して、とことん学んでもらいます。逆にマスターするペースが早ければ期間を短縮することもできるんですよ。

※引用:モアリジョブ|笛木清美さん

評価制度に関しても見直しが必要です。業界全体の風習に倣って、そのまま評価システムを導入していないでしょうか?働き方改革が進んでいる現在では、過去の評価制度では不満に感じる人がいるかもしれません。特に離職率が高い状況だとわかっているのなら、面談などで労働者からの意見を取り入れて、会社独自の評価システムを作りましょう。

キャリアプランが「管理職への昇進」一辺倒なんです。プレイヤーがより高い収入を得るには、管理職になるしかない。でも本来は、プレイヤーとしてその腕を磨き続けることも、リーダーになることと変わらず尊いはず。リーダーになることや、数字管理を苦手とする人もいて当然です。そういう人達も、頑張った分だけ高い収入になるような人事評価システムを構築しています。

※引用:モアリジョブ|木下さとこさん

希望に合わせた働き方や待遇を変えていく

会社の働き方や待遇に関しても柔軟に対応できるようにしておくと、離職率を下げられるようになります。リクルートの離職理由に関してのアンケートによると、離職した人の25%が労働環境はよくないと応えていました。ここで言う労働環境とは、労働時間や休日のとりやすさなどが含まれています。新入社員や若手に対するアンケートのため、若手の流出を防ぎたい時は参考にしてみましょう。

個人の仕事観として、プライベートの充実を含めた自己の幸福追求が、より叶いやすい組織を選ぶ傾向が高まっていることが背景にあると考えられます。

※引用:リクルートマネジメントソリューションズより

労働時間や休日に関する対策としておすすめなのが、テレワークやフレックスタイム制の導入です。仕事を自宅で済ませられるとなれば、会社に束縛されたという認識が薄くなり、労働環境への不満を抑えられるでしょう。フレックスタイム制に関しても同様です。自分で自由に働く時間を決められるのなら、仕事に対するストレスも今まで以上に少なくできます。

これらの対策はあくまで一例です。自社での会社に対する不満を把握するためにも、カウンセリングや面談を繰り返し、労働者の不満を把握してください。労働者の意見を尊重しながら仕組みを少しずつ変えて、柔軟に対応できるようになれば、離職率を下げられるようになります

まとめ

自社で離職率を計算できるようになれば、異常な離職率の高さを把握できるようになります。労働者が離職する主な原因は、会社に対する不満です。つまり、離職率が高い状態は社内で何らかのトラブルが起こっていると推察できます。その原因を把握するためにも、定期的に面談を行ってください。さらにコミュニケーション不足が補えるように仕組みを作ることも大事になります。

社会全体が少子高齢化で人口が減少しており、業界によっては慢性的な人手不足が起こっているのは確かです。ある程度の離職率は仕方がありませんが、工夫次第で人材の流出を防げるようになります。離職率を把握して社内のトラブルを防止し、労働者の不満を把握する仕組みも作りましょう。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。