整体院の運営で経費として処理できるものとは?節税方法についても解説
個人で整体院の開業を考えているものの、資金面に不安を抱く人もいるのではないでしょうか。特に、経費や税金といった言葉には、苦手意識を持ってしまうかもしれません。しかし、どのような費用が経費になり、どうすれば節税につながるのか、項目をひとつずつ理解すれば心配はいりません。
本記事では、整体院の運営に必要な経費や、経費として処理できる費用、個人事業主が考えておきたい節税方法について解説します。法人化した場合のメリット・デメリットも紹介しているため、自身の状況と照らし合わせ、今後の参考にしてください。
整体院の運営に必要な費用
整体院とは、整体やカイロプラクティック、リフレクソロジーなど、さまざまな施術が行われる店舗のことです。整体院の運営に必要な運転資金は、毎月決まって発生する「固定費」と、月の運営状況によって変わる「変動費」に分けられます。
固定費は売上に関わらず毎月支払う費用です。主な固定費として、以下のものが挙げられます。
- 土地代・家賃(テナント家賃や駐車場代など)
- 通信費(院の電話代やインターネット契約料金など)
- 人件費(スタッフの給与や手当など)
- リース料(機材やレセコンなど)
売上が少ない月でも支払いは続くため、固定費をなるべく抑えることが経営を安定させるポイントです。
一方、変動費は院の運営状況や施術内容によって支払い額が変わる費用です。月ごとに増減するため、無駄な支出を抑えるための管理が求められます。主な変動費として、以下のものが挙げられます。
- 仕入れ代(衛生材料・テーピングなどの医療消耗品)
- 水道光熱費(水道や電気、ガス料金など)
- 消耗品(雑貨やガソリンなど)
- 宣伝広告費(看板維持費やホームページ管理費・WEB広告掲載料金・チラシ作成費など)
- 組合費(協会費用・賠償責任保険料金など)
この中でも、宣伝広告費は変動しやすい項目です。開業当初は新規の利用者を獲得するために広告費をかける必要があるため、宣伝広告費の割合が高くなります。将来的には、口コミやリピーターを増やす施策で広告費を抑えるのがよいでしょう。
整体院で経費として処理できる費用
整体院の運営で発生した費用の多くは、経費として処理できます。事業のために使った費用は漏れなく計上しましょう。ここでは、経費として処理できる費用について解説します。
1.施術用機器や材料
利用者への施術に使う道具は、経費として計上できます。例えば、電気治療器やベッド、枕、カーテンなどが対象です。施術ベッドや電気治療器のような高価で長期間使うものは「備品」として記録します。ただし、価格が10万円を超える機器は「固定資産」として、数年にわたって経費を計上する減価償却として処理します。
また、施術に使う材料や販売用の商品は「仕入」として経費に計上します。代金を後から支払う場合や、月まとめ請求の場合は「買掛金」として処理しましょう。
2.消耗品
施術や店舗運営で使う消耗品も経費の対象です。テーピングや包帯などの医療消耗品から、トイレットペーパーや電池まで、幅広く計上できます。消耗品費として処理できる主なものは、以下のとおりです。
- テーピング
- 包帯
- アルコール綿
- マスク
- 医療消耗品
- 施術者の手荒れ防止用ハンドクリーム
- 施術時間をはかるストップウォッチ
- トイレットペーパー
- 電池 など
店舗で使う雑貨やインテリアも、一組10万円未満であれば消耗品費として処理できます。10万円を超えるような高額な機器については、「固定資産」として減価償却として処理しましょう。
施術着の白衣やポロシャツ、利用者用のタオルや、それらのクリーニング代は「衛生費」として計上します。利用者用に出すお茶やお菓子、ウォーターサーバーの費用は「サービス費」として処理できます。
3.家賃・水道光熱費
テナントを借りて整体院を運営する場合、家賃や水道光熱費も経費として処理できます。電気代・ガス代・水道代などは「水道光熱費」として、賃貸借契約をして店舗を使用している場合は「地代家賃」として記録します。
時間貸しのスペースを利用した場合は、固定費と区別するため「賃借料」として計上するとよいでしょう。自宅の一部を施術スペースにしている場合は、事業で使っている割合分だけを経費にでき、これを家事按分といいます。
家事按分は、面積や使用時間の割合などを用いて、事業に係る部分とプライベートの部分を合理的に区別しなければなりません。例えば、家賃10万円の住まいのうち、1/4のスペースを整体院として使っているなら、2.5万円分を経費として計上します。
4.通信費・広告宣伝費
予約受付に使う電話やインターネット回線の費用、ホームページの運営費も経費の対象です。店舗の電話代やインターネット代は「通信費」として記録します。
チラシの作成費や広告出稿費などは「広告宣伝費」として記録します。店舗やサービスを紹介するホームページの制作費や運営費も広告宣伝費です。ホームページの運営費には、サーバーやドメインの利用料も含まれます。広告宣伝費として処理できる主なものは、以下のとおりです。
- チラシ作成費・印刷費
- 名刺作成費・印刷費
- 会員カードの作成費・印刷費
- ホームページの制作費や運営費(サーバーやドメインの利用料も含む)
- SNS広告
- Web媒体広告費
- 紙媒体広告費
- Googleへの広告
ただし、ショッピングカート機能のようにソフトウェアに該当する部分がある場合は、減価償却を検討しましょう。
5.事務処理用のPCやデスク
事務作業で使うPCやデスクは、原則として「器具備品」として資産計上し、減価償却を行います。減価償却とは、定められた耐用年数に応じて数年に分けて経費化する会計処理です。減価償却は、金額によって処理方法が異なります。
10万円未満の場合は「消耗品費」として一括で経費にできるため、減価償却する必要がありません。10万円以上20万円未満の場合、3年で均等に経費化する「一括償却」を選択できます。10万円以上のものについては、一つひとつの償却方法を確認したうえで、処理しましょう。
このほか、クレジットカード決済を導入した際の決済手数料も経費として計上できます。
6.車両費
利用者の自宅へ出張して施術を行う場合や、打合せや会合などに参加する際の、移動にかかった費用も経費として計上できます。「車両関連費」として処理できる費用は以下のとおりです。
- ガソリン代
- 高速代
- 駐車場代
- 自動車保険 など
「旅費交通費」として処理できる費用は以下のとおりです。
- 電車料金
- バス料金
- タクシー代
- レンタカー代
- 出張時の宿泊費 など
家賃・水道光熱費と同様に、車を仕事とプライベートの両方で使っている場合は、家事按分が必要です。仕事で使った割合を明確に分けたうえで計上しましょう。
7.勉強会参加費
施術スキルを高めたり、経営について学んだりするための費用も経費として認められます。セミナー参加費や学習用の教材費などは「図書研究費」として計上します。「研修費」や「新聞図書費」として処理しても問題ありません。
セラピストやマッサージ協会などの各種団体に支払う会費は「諸会費」とします。セミナーや勉強会に参加する際の交通費は「旅費交通費」として計上できます。
8.接待費
取引先との食事や、業界関係者との懇親会など、事業を円滑に進めるための費用は「交際費」として経費にできます。利用者との食事代も、事業に関連するものであれば経費として認められます。
ただし、私的な理由による食事や飲み会は、接待費とは認められません。あくまでも事業に関連している場合に限ることを理解しましょう。
経費として認められない費用
整体院の運営に関わる多くの費用が経費になる一方、以下のような支出は経費として認められません。
- 自宅兼整体院として使用している物件の家賃や通信料のうち、プライベートで使用している部分
- 所得税や個人住民税
- 国民健康保険や国民年金
- 医療費
- 生命保険料や地震保険などの各種保険料
- 住宅ローンの利子
- 私的な移動に使用したガソリン代 など
原則として、私的な利用の支出は経費として認められません。事業用の支出と私的な利用の支出は、明確に区別して管理しましょう。
整体院の個人事業主が考えておきたい節税
整体院の経営を続けるうえで、税金の負担は避けては通れない問題です。とはいえ、制度を正しく活用すれば、納税額を抑えることが可能です。ここでは、整体院の個人事業主が考えておきたい節税方法を紹介します。
1.青色申告の65万控除を活用する
節税を考えるのであれば、まず活用したいのが「青色申告」です。事業を開始してから原則2か月以内に「青色申告承認申請書」を税務署に提出し、正規の簿記の原則にしたがって記帳・申告すれば、年間の所得金額から最大65万円の所得控除が受けられます。
開業届を税務署に提出する際に必要な主なものは、以下のとおりです。
- 開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書。原則として開業日から1か月以内に提出)
- 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- マイナンバーがわかるもの(マイナンバーカード、個人番号通知書のコピー、個人番号が記載された住民票の写しなど)
- 所得税の青色申告承認申請書(青色申告を希望する場合のみ。原則として開業日から2か月以内に提出)
2.セーフティ共済に加入する
セーフティ共済(経営セーフティ共済)は、取引先の倒産のような事態に備えるための制度です。継続して1年以上事業を行っている中小企業者や個人事業主が対象です。年間最大240万円(月額20万円)までの掛金を全額経費にできるため、節税につながります。
掛金は月々5,000円~20万円の範囲で自由に設定可能です。整体院は季節による需要の変動が少ないため、無理のない範囲で掛金を設定するとよいでしょう。
3.小規模企業共済に加入する
個人事業主の退職金制度ともいえるのが、小規模企業共済です。月々1,000円から7万円までの範囲で掛金を設定でき、全額が所得控除の対象です。セーフティ共済が「経費」になるのに対し、小規模企業共済は「所得控除」である点が異なります。
将来、共済金を受けとるときは税制上の優遇措置がある「退職所得」として扱われるため、将来に備えながら節税ができる制度といえます。
4.広告費を増やす
整体院は、経費として使える費用の幅が限られているため、節税が難しい業種のひとつです。その場合、広告費のように売上に直結する経費を効果的に使うとよいでしょう。
例えば、内容を充実させたホームページや広告を制作して集客に力を入れ、売上が増えれば、結果として節税につながります。なんとなくホームページや広告を作るのではなく、売上につながるように設計しましょう。
5.専従者給与を計上する
個人事業主で整体院を運営している人の中には、受付や事務作業を家族になんとなく手伝ってもらっているケースは少なくないでしょう。家族に業務を手伝ってもらっている場合、その業務に見合った給料を支払えば、給料を経費として計上できます。
ただし、事前に税務署へ「専従者給与の届出」を提出しなければなりません。適正な給料を支払えば自身の所得が減るため、節税効果が期待できます。
6.法人化する
個人事業主として整体院を運営し、売上が順調に伸びてきた場合、法人化が頭をよぎる人がいるかもしれません。ある一定の所得を超えると、個人事業主として所得税を納めるよりも、会社を設立して法人税を納めるほうが税金の負担を軽くできる場合があるため、結果的に節税になります。
将来的に、安定して売上増加が見込めるのであれば、法人化を検討する価値はあるでしょう。法人化による、具体的なメリット・デメリットについては後述します。
7.税理士に相談する
節税対策は自分でも調べられますが、より確実に節税対策をしたい場合は、専門家へ相談するとよいでしょう。税理士に相談すれば、具体的な節税アドバイスをもらえるはずです。税理士は記帳や確定申告の代行も依頼できるため、本業に集中する時間を確保できます。
また、収益や費用のバランスを見ながら、法人化のタイミングをはじめとした経営判断についても考えてくれます。節税だけでなく、経営面全般について相談できる心強いパートナーになるでしょう。
整体院が法人化した場合のメリット
整体院が法人化した場合のメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 所得税を下げられる
- 経費の幅が広がる
- 消費税が2年間免除される
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
所得税を下げられる
個人事業主の場合、売上から経費を差し引いた金額のすべてが自分の所得となり、所得税が課されます。所得が増えるほど税率も高くなる累進課税です。
一方で、法人化すると売上は会社のものになり、自分へは会社から「役員報酬」という給料を支払います。個人事業主では売上すべてに対して所得税がかかっているのに対し、法人であれば売上にかかる税金を「法人税・役員報酬に対する住民税・役員報酬に対する所得税」に分割できます。役員報酬はコントロール可能なため、支払う税金の負担を抑える効果が期待できるのです。
節税によって生まれた資金を、スタッフの雇用や設備投資に回せば、事業の拡大や業務効率化にもつながるでしょう。
ただし、役員報酬を少なくすれば会社の利益が多く残るため、法人税が上がります。いくらに設定すれば、総合的に支払う税金を抑えられるのかを検討したうえで役員報酬を決めましょう。
経費の幅が広がる
法人化すると、経費として認められる範囲が個人事業主のときよりも広がります。個人事業主よりも範囲が広がる主な経費は以下のとおりです。
- 役員報酬: 自分への給料
- 社宅:自宅を社宅扱いにした場合の家賃や光熱費の一部
- 出張日当:日当(旅費交通費として)
- 退職金: 役員や従業員への退職金
自宅を社宅扱いにした場合でも、プライベートで使用する分の光熱費は、経費として認められないため、注意が必要です。
消費税が2年間免除される
消費税の負担が事業を圧迫するケースは少なくありません。法人を設立し、特定の条件を満たせば、設立から最大2年間(2期分)の消費税の納税が免除されます。免除された資金を事業投資に活用できるだけでも、メリットといえるでしょう。
消費税が2年間免除される条件は以下の2つです。
- 資本金が1000万円未満
- 年間売上高が1000万円以下
特に、個人事業主が法人化を検討するタイミングを「年間売上が1,000万円を超過したとき」とするケースは少なくありません。消費税の2年間免除を狙って法人化するのであれば、売上高に条件があることを覚えておきましょう。
整体院が法人化した場合のデメリット
整体院が法人化した場合のデメリットとして、以下の3つが挙げられます。
- 役員報酬は1年間変更できない
- 社会保険の加入が必須
- 会計処理や手続きが複雑になる
ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。
役員報酬は1年間変更できない
役員報酬は、一度設定すると原則として1年間は変更できません。直近の売上が高いからと役員報酬を高く設定したものの、売上が下がり所得税や住民税の割合が高くなるケースや、売上が予想外に上がり、法人税の割合が高くなるケースがあります。
そのため、役員報酬の設定は事業計画に基づいて慎重に検討しなければなりません。「かえる鍼灸整骨院」の鈴木さんも、経営をしていて大変と感じることに「売上の不安定さ」を挙げています。
売り上げが安定しないことですね。いい月もあれば悪い月もあって、頑張った分だけ数字に反映される。常に先を見て走っていかなければなりません。そのためには、軸となるものが必要です。定まっていない状態での経営は難しいと感じますね。
引用:モアリジョブ|かえる鍼灸整骨院 院長 鈴木智之さん
社会保険の加入が必須
個人事業主では国民健康保険として支払っていたものが、法人になると「社会保険」になります。役員が1人だけの法人でも、社会保険への加入が義務付けられています。
社会保険料は会社と個人で半分ずつ負担するものです。しかし、役員1人の場合は実質的に全額を自分で負担することになります。保険料は役員報酬額の約20%になるため、負担となる点を理解しておきましょう。
会計処理や手続きが複雑になる
法人は、個人事業主の確定申告よりも会計処理や手続きが複雑です。会社の名義変更や住所変更などをする際も、数万円単位の費用が発生します。法人の税務手続きを自分自身で進めるのは簡単ではありません。
たとえ手続きを自分で進めたとしても、本業の時間を取られてしまうでしょう。そのため、多くの場合は顧問税理士に依頼しています。ただし、税理士に依頼するのであれば依頼料がかかります。税理士への依頼料も含めて法人化を検討しましょう。
法人化を検討する際のポイント
法人化を検討する際のポイントとして挙げられるのは、以下の3つです。
- 安定した売上を確保する
- 事業計画書を作成する
- 自社によりマッチした人材を採用する
ここでは、それぞれのポイントについて解説します。
安定した売上を確保する
法人化を成功させるには、安定した売上の確保が不可欠です。考えている法人化の規模に対して、必要な売上を把握しておく必要があります。J-Net21の調査によると、マッサージ店の1回あたりの利用金額は「3,000円~5,000円未満」が40%と最も多く、次いで「1,000~3,000円未満」「5,000~10,000円未満」でした。
仮に60分の施術料を5,000円、月の営業日を25日とした場合の売上目安は以下のとおりです。
- 2回/日 → 50回/月: 25万円/月
- 4回/日 → 100回/月: 50万円/月
- 5回/日 → 125回/月: 62.5万円/月
- 6回/日 → 150回/月: 75万円/月
- 8回/日 → 200回/月: 100万円/月
これらの金額を参考に、運営に必要な資金と照らし合わせて、現実的な売上目標を立てましょう。「かえる鍼灸整骨院」の鈴木さんは、はじめは低めの単価設定でしたが、1人当たりの単価と施術時間を上げることにより売上と顧客満足度の両立につなげています。
最初は、「早い」「安い」をテーマにしたクイック型だったんです。でも、その時に表面上の痛みは取れても、繰り返してしまうのでは根本的な解決はできていないんじゃないかって思って。だったら、一人ずつ時間をかけて診た方が施術や指導も手厚くすればお客様も安心できるし、何より施術側もやりがいを感じられる。クイック型の頃の売り上げと差が出ないように、一人にかける時間を増やした分は単価を上げて調整しました。
引用:モアリジョブ|かえる鍼灸整骨院 院長 鈴木 智之さん
売上分析については、以下の記事でも詳しく解説しています。
事業計画書を作成する
個人事業主や法人にかかわらず、整体院を開業する目的やビジョンを明確にするうえで、事業計画書の作成は欠かせません。整体院を開業したい動機を深く掘り下げ、コンセプトや主なターゲット層を明確にしましょう。コンセプトやターゲット層を決めたら、それを基に運営方法や経営戦略、具体的な目標数値(月間患者数や売上高など)を検討し、事業計画に落とし込みます。
「かえる鍼灸整骨院」の鈴木さんは、綿密に立てたビジョンをもとに収益の見込みまで計画し、安定した経営につなげています。
ただお金を稼ぎたいとか利益のことだけ考えて開業しても地域の方には見破られますし、うまくいかない。綿密に立てたビジョンの元、これだけの収益が見込める、というところまで計画しておかなければなりません。ただ、覚悟を持って挑めば、やりがいは感じられるし楽しいと思えるはずです。
引用:モアリジョブ|かえる鍼灸整骨院 院長 鈴木 智之さん
事業計画書に書くべき内容は以下のとおりです。
- 事業を始める動機
- 経営者の略歴(経験やスキルなど)
- 具体的なサービス内容
- 従業員数(予定を含む)
- 現在の借り入れ状況
- 開業に必要な資金額とその調達方法
- 事業の将来的な見通し(目標とする売上高や予想される経費など)
日本政策金融公庫では、次の書式が見本として紹介されています。
書式についても、以下のサイトからダウンロードできます。
融資を受ける際にも事業計画書の提出が求められるため、商工会や商工会議所に相談しながら作成するのもおすすめです。
自社によりマッチした人材を採用する
開業後に売上を伸ばしていきたいと考えている場合、スタッフの採用も視野に入れましょう。複数名のスタッフがいる体制を整えることで、繁忙期での予約の取りこぼしを防ぎやすくなります。宣伝活動をはじめとした施術以外の業務に取り組む時間的な余裕も生まれます。
採用する際は、院のコンセプトや雰囲気に合った人材を見極めることが重要です。ミスマッチな採用は早期離職につながり、再び採用活動をするためのコストが発生します。
経験者を採用する場合には、提供する施術メニューに対応できるスキルを保有しているかどうかも確認する必要があります。運営状況や予算に合わせて、雇用形態を検討することも大切です。
採用コストを抑える工夫も必要です。人材紹介サービスや総合型の求人サイトを利用する方法は、採用単価が高くなる傾向があります。自社の採用ページを充実させたり、SNSを活用して情報発信をしたりすれば、採用ブランディングにつながるため、長期的にみればコストを抑えた採用につながります。
「Shebelle代官山」の杉本さんは、自社の規模を拡大するため「Shebelle代官山で働きたい」という人材を採用する方向で動き始めました。
『より多くのお客さまをケアするためにスタッフを増やしたい』と思っています。最近はスタッフを1名採用し、施術スペースも2部屋増やしました。現在は『Shebelle代官山で働きたい』と言ってくださっている方が2名ほどいるので、これからはさらに仲間を増やして、『質の高い施術で、お客さまを笑顔に導きたい』と思っています
引用:モアリジョブ|Shebelle代官山 杉本さん
自社で能力を発揮し、活躍できる人材を採用するためには、ノウハウが重要です。リジョブでは、売上を最大化させるための採用に取り組みたい方に向けたノウハウを提供しています。手順を詳しく知りたい場合は、無料でダウンロードできる下記の資料をご覧ください。
まとめ
整体院の運営に必要なさまざまな費用は、経費として計上できます。本記事を参考に、どの費用が経費になるのかを正しく理解し、記録することにより健全な経営が可能です。
整体院の経営を続けるうえで、税金の負担は避けては通れない問題です。しかし、以下のような節税策をうまく活用すれば、納税額を抑えられます。
- 青色申告の65万控除を活用する
- セーフティ共済に加入する
- 小規模企業共済に加入する
- 広告費を増やす
- 専従者給与を計上する
- 法人化する
- 税理士に相談する
売上が安定し、さらに事業を拡大したいと考えるなら、法人化も有効な選択肢のひとつです。ただし、法人化にはメリット・デメリットがあるため、本記事で解説した内容を参考に、自社に合った方法を選択しましょう。
- 執筆者情報
- 田仲ダイ(Tanaka Dai)