エステサロンでは、商品やサービスそのもの以上に接客の質が売上に影響を与えるケースがたびたびみられます。そのため接客マニュアルを作り込んで、従業員の顧客対応やコミュニケーションの質を高めることが重要です。
また顧客対応のやり方は、物販と施術では異なる点もあるため、接客マニュアルはそれぞれで分けて作りましょう。
本記事では、エステサロンの接客マニュアルの作り方について、施術と物販に分けて具体的に解説。集客に成功しているエステサロンの接客マニュアルについて具体例も紹介します。
エステサロンでは接客マニュアルが重要な理由
エステサロンでは接客の質次第で、コースの成約率や店舗の評判が大きく左右されます。
ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、フェイシャルエステや痩身エステのコースに申し込んだ約4〜5割の人が「体験申込時はお試しだけのつもりだった」と回答しています。
お試しだけのつもりだったのにコースに申し込んだのは「スタッフの接客が良かった・技術があると感じたから」という理由でした。
Beauty Word総研が行ったエステサロンの利用実態調査でも「スタッフの接客態度」はサロン選びをするうえで最重要ポイントとなっています。
▼エステサロン選びの重視点
さらに口コミサイト「みん評」がまとめた脱毛サロンの満足・不満足調査では、不満足な口コミの第2位と第3位に「接客態度への不満」が上がっていることからも、エステサロンにおける接客の重要性がわかります。
▼脱毛サロンの不満足調査
さらにこの調査で注目すべき点が、第8位の「店舗・スタッフの技術差/対応の違い」という声です。
多くのエステサロンではお客様の入店から退店まで、何人かのスタッフが関わります。また担当制ではないエステサロンの場合、日によって対応するスタッフも異なります。
接客マニュアルがあれば、全スタッフが同じ接客・対応を出来るようになります。
エステサロンの接客マニュアルで伝えるべき基本事項
接客マニュアルを作成する際には、次の内容を盛り込みましょう。
- 挨拶の基本
- お客様との距離感
- 会話のバランス
- 共感力
この4つは接客をするうえで基本となるため、接客初心者やエステティシャン初心者が最初に身につけておくべき必須事項です。
挨拶の基本
第一印象は挨拶で決まると言っても過言ではありません。
無表情で抑揚のないトーンでの挨拶ではその後どんなに良い技術を提供できたとしても、コースの申し込みには繋がりにくいでしょう。さらに悪い口コミや評判を広めることになりかねません。
挨拶の基本は下記の4つです。
- 先にする
- 相手の目を見る
- 明るく元気よく
- 笑顔
一般的に挨拶にはお辞儀が伴いますが、カウンター越しのお迎えのときには不要です。お辞儀をセットで行う際は先に挨拶をし、お辞儀をする「語先後礼(ごせんごれい)」が正しいマナーと言われています。
日頃から気持ちの良い挨拶を心がけることで、お客様へも意識することなく自然で気持ちの良い挨拶ができるようになります。スタッフ間でもできているか常にチェックするようにしましょう。
接客や接遇のレベル向上には研修会社へ外注するのもおすすめです
お客様との距離感
接客でお客様へ不快な思いをさせないための心がけのひとつが「距離感」です。
接客における距離感にはパーソナルスペース(対人距離)を指す「物理的なもの」と、会話における「心理的なもの」があります。
パーソナルスペースは「密接距離(45cm以下)・個体距離(45〜120cm)・社会距離(120〜360cm)・公衆距離(360cm以上)」の4つに分かれます。初対面のお客様の場合、体に触れられない「社会距離」を意識するのが良いとされています。
接客マニュアルでは、ここで解説したように、挿絵入りで説明すると従業員にも伝わりやすいでしょう。
いきなり密接距離や個体距離のゾーンに入ってしまうと、相手に不信感や警戒心を抱かせる可能性があります。
また会話ではいきなりお客様のプライベートな部分に踏み込まないなど、心理面への配慮も大切です。
会話のバランス
接客シーンでは多くの場合、聞き役に徹することが大切とされています。ただお客様の中には話すことが苦手な人もいるため、相手の反応を見ながら柔軟に対応することが大切です。
またエステサロンの接客においては施術の内容説明や、お客様の要望や不安を聞き出すためにエステティシャン側が会話の主導を取った方が良いときもあります。施術内容を説明する際には、いきなり勧誘しないように注意しましょう。
エステサロンをはじめて利用する人のなかには、勧誘されることを警戒している人が多いものです。
ホットペッパービューティーアカデミーの「エステサロンに関する意識・実態調査報告書」の「今までにエステサロンを利用したことがない理由」の2番目に「勧誘がありそう・断れなさそう」という理由が上がっています。
▼エステサロンを利用したことがない理由
今までエステサロンを利用したことがない理由 |
全体 |
お金がかかるから |
65.1% |
勧誘がありそう/断れなさそうだから |
22.6% |
興味がないから |
20.1% |
(定期的に)サロンに行くのが面倒だから |
14.9% |
必要性を感じていないから |
14.9% |
※「エステサロンに関する意識・実態調査報告書|ホットペッパービューティーアカデミー」をもとに作表
この調査結果からもわかるように、エステが初めての人は喋ることで勧誘に繋げられるのではと、警戒している可能性もあります。
あまり喋らない人や反応が薄い人は施術の流れや注意事項の説明など、必要最低限の会話に留める配慮が求められます。
接客の経験が必要となる部分ですが、過去の経験をもとに文章に落とし込み、マニュアル化できる部分もあります。
共感力
接客では否定的な言葉はNGです。お客様の意見や思い、考えに対して否定せず共感を示し、会話を進めることが大切です。
研修のロールプレイングでお客様役になることで、お客様の気持ちを理解できます。外部研修の一環としてスタッフを口コミの良いエステサロンに体験へ行かせてみたり、アパレルやコスメショップで共感力を学ばせてみたりするのもおすすめです。
またオーナー自身も共感力を意識してスタッフと接することで、スタッフへの共感力の意識づけにも繋がるでしょう。
エステサロンの接客マニュアルを作る手順
接客マニュアルは、次の手順に沿って作成しましょう。
- マニュアル作成の期限を決める
- 接客の一連の流れを洗い出しマニュアル化する
- 実行と改善を繰り返す
接客技術は経験と思われがちですが、マニュアル化しておくことで困ったときにひとりで解決できるなどの利点があります。ところが小規模サロンほど、接客部分のマニュアル化がされていないのが現状です。
接客マニュアルを作成するにもどこから手を付けるべきか迷っている人は、本項を参考にしてください。
マニュアル作成の期限を決める
多くのエステサロンでは技術のマニュアルはあっても、接客に関してはマニュアルがなく個人の力量や経験に頼りがちです。マニュアルがなくてもなんとかなるため、つい後回しになっているのが現状です。
ただ接客に関するクレームやネガティブな口コミ、もしくはスタッフ間の接客力の差が激しいという場合は失客に繋がっている可能性が高く、早急なマニュアル作成が必要です。期限を決めて即作成に取りかかりましょう。
もし新入社員や新規採用者の入社日が決まっているなら、研修スタートに間に合う期日を期限として設けて作成するのもおすすめです。
接客の一連の流れを洗い出しマニュアル化する
マニュアル作成する際には接客の一連の流れを洗い出して、細かく作成します。その際には下記の点を意識しましょう。
- マニュアルテンプレートを利用しない
- マニュアルに対する理解の共有をする
- 始めから完璧なマニュアルを目標にしない
接客に慣れた人にとっては何気ない事でも、接客初心者にとってはどう対応して良いか判断に困ることがあります。
過去の経験をもとに接客で起こりうるトラブルやクレーム、質問などを想定し作成しましょう。
接客には正解はありません。お客様の年齢層や地域性によって求められる接客は異なります。またサロンのコンセプトも違います。どこかから引用した接客マニュアルではなく、ゼロから独自のものを作成することをおすすめします。
さらに「なぜマニュアルが必要なのか」というマニュアルの必要性について意識共有しておきましょう。そうでないとマニュアルから逸脱した、独自の接客をする人が出てきてしまう可能性があるからです。
接客マニュアルはいきなり完璧なものはできません。次に解説する「実行と改善」でブラッシュアップしていきましょう。
実行と改善を繰り返す
接客マニュアルを作成したらPDCAのように実行と改善を繰り返し、より良いものに作り変えていきます。
PDCAとは1950年代に品質管理の父と言われる、W・エドワード・デミング氏が提唱したフレームワークです。
Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)の頭文字をとったもので、目標達成のために改善を繰り返すものです。
今回は、接客マニュアルの作成を、PDCAの計画に当てはめて考えるとよいでしょう。作成したマニュアルを実行し、評価して改善を加え、また実行という一連の流れを繰り返してみてください。
PDCAを回す過程で、やりにくさや問題点が露呈してくるでしょう。見つかった問題点を改善し、追記や修正を加えて、また実行していくのです。
改善する際にはお客様の声(口コミ)を参考にするのも良いでしょう。
施術編:エステサロン接客マニュアルの具体例
冒頭で紹介したBeauty Word総研の調査からもわかるように、顧客満足度には技術だけでなく接客力も影響を与えています。
接客は来店前の電話対応からカウンセリング、施術など異なる接客シーンがいくつもあります。シーン別でマニュアルを作成することで、個々の苦手な接客シーンを見つけられます。
問い合わせや予約の電話
株式会社ソフツーが行った調査によると、全体の4分の1の人が電話に対して苦手意識を感じており、年代が下がるごとに電話に対する苦手意識は強い傾向であることがわかりました。
▼電話業務に関する意識調査(電話に対して苦手意識を感じているか?)
LINEなどのチャット環境が当たり前で育った世代には電話に慣れていない人が多く、固定電話が家にない環境で育った人も少なくありません。
同調査によると20代がとくに苦手と感じるのは「自分の知識で回答できるか」「取り次ぎがうまくできるか」という不安からのようです。
電話対応は店のイメージを左右する重要なシーンです。電話を利用する世代の顧客が多いサロンでは電話対応の研修を入念に行いましょう。
来店時
お客様が来店されたら、冒頭で解説した「挨拶の基本」をもとに気持ちの良い挨拶でお出迎えします。
美容系サロンが多く入っているビルでは店舗間違えや、日時の勘違いでの来店もあります。
来店されたお客様の名前をフルネームで確認し、間違いがなければカウンセリングテーブルへご案内します。
ご案内の際には手の平を上にして、誘導先(カウンセリングテーブル)を示しつつ、顔はお客様のほうへ向けてお客様の様子も確認します。
ご案内の際は雑談のなかでときどきお客様の名前を呼び、親近感を示しましょう。名前を呼ぶ効果は親近感だけでなく、接客が事務的でなく「あなた」へ向けたものである示しにもなります。
カウンセリング
まずカウンセリングシートの記入をお願いし、記載してもらった内容でカウンセリングを進めていきます。
カウンセリングを始める前に、まず「退店までの流れ」と「各所要時間」を伝えておきましょう。エステサロンの体験は時間がかかる、施術後のコース契約の案内が長くなかなか帰してもらえないなどの悪い印象をもたれがちです。
また事前にお客様の予定時間とのすり合わせができるため、クロージング時間がなくなり契約を取り損ねるといったリスク回避にも繋がります。
カウンセリングはお客様の悩みや要望を確認し、最適な施術を行うためのものです。回答をなぞるだけでなく、時間が許す限り丁寧にしっかりと行うようにしましょう。
感動を与えないと、僕のところにまた行こうとは絶対に思わないはずです。そのために最も重要なのがカウンセリングだと思っています。「想像する、引き出す、提案する」の3つのステップがとても大事で、どれかひとつ欠けても感動はないと思っています。カウンセリングシートの情報やお客様の様子から想像を働かせ、想像します。その後実際のお客様の悩みを聞き出し、提案内容を決めます。カウンセリングをしっかり行い、共通のゴールをイメージすることで「何か違うな」という感覚が生まれるのを防げます。
引用:モアリジョブ|ioe 代表 大垣峰志さん
またどんなにフランクな方でも友人関係のような会話や、トーンにならないように注意が必要です。緊張をほぐしつつもスタッフと客の関係性を崩すことのないよう、距離を保った会話を心がけましょう。
お着替え案内
エステサロン内はスタッフにとっては慣れた環境でも、お客様には初めての場所であり、分からないことだらけです。
トイレの場所やアクセサリーの取扱い、紙ショーツの履き方(ショーツの前後ろの有無など)、段差の場所を伝えるといった、丁寧で細やかな気遣いが印象力アップに繋がります。
口頭での案内と合わせて、お着替え方法やトイレの場所を示す、POPを掲示しておくのもおすすめです。
施術
ホットペッパービューティーアカデミーの調査からもわかるように、コースの契約やリピートするかの決定は多くの場合、カウンセリングや施術中で決まります。
▼サロンをまた利用したいと思った場面
つまり、カウンセリングと施術でほぼお客様の気持ちは固まっており、クロージングで意思を変えるのは難しいということです。
丁寧なカウンセリングに加えて、施術でしっかりと効果を実感してもらう必要があります。ここでは施術の技術力も加味されるので、接客力と合わせて技術力向上のための研修も重要です。
ただここでもお客様を不快にさせない接客が求められます。必要以上の声掛けや余計な会話はゆっくり休みたいお客様にとっては迷惑です。
とはいえ体験の施術ではビフォーアフターの違いを確認してもらったり、肌に違和感がないかを確認したりと、通常より声掛けの量は増えがちです。その際には事前に声掛けが通常の施術より多くなることをお伝えしておくことで、お客様が不快に感じることを軽減できます。
強さの確認や部屋の温度確認など、適度な声掛けは技術の満足度向上にも繋がります。
クロージング
体験の場合のクロージングでは、コースの契約や次回予約をおすすめします。しかしお客様が前向きでないのに勧めてしまうと、セールスされたと感じてしまうリスクがあります。そのため、クロージングに苦手意識をもつエステティシャンが少なくありません。
クロージングは迷っている人の背中を押してあげるタイミングです。あくまで自分の意思で決定してもらうため、エステティシャンはしゃべりすぎないことが大切です。
これからお客様のなりたいとする姿(肌や体型)や目標(いつまでに何キロ痩せたいなど)を再認識してもらえるようなトークをマニュアルに落とし込みましょう。
またクロージングではお客様の不安要素を取り除くのも大切です。お客様にとって無理のない料金プランやコースを進めるなど、負担にならないように一緒に考えてエステプランを立ててあげましょう。
先でも触れたようにカウンセリングや施術中にお客様の気持ちが固まっていることが多いです。すでに「やらない」と決めている人には無理に勧誘せず、スッと引くようにしましょう。
初回は緊張して来られる方も多いので、安心感をもっていただくことと、「わたしは、あなたの肌をきれいにしたい」。この2つを伝えることを最優先にしています。だから初回はなにもすすめません。その代わりご予約のメニューをしっかりやる。他のサロンさんの2倍くらい時間をとって、お時間のあるお客様にはゆっくりしていただくように心がけています。
引用:モアリジョブ|Air Daisies オーナーエステティシャン 櫛原 悠里さん
コースを説明する際「効果がある」という表現は薬機法に違反します。エステティシャン初心者の場合、契約を取るためにふいに言ってしまうことがあるため、マニュアル作成の際は薬機法についても注意書きを入れておくようにしましょう。
次回予約
お客様の来店促進のために、次回予約を勧めるサロンも多いと思います。適切な間隔で施術を受けていただくことで、効果を実感しやすく肌や体形に変化を感じやすくなるでしょう。
ただ多くの女性は育児や仕事、介護との両立で先の予定が立たない人が多いのが現状です。無理に次回予約を進めてしまうと、お客様の再来院へのモチベーションダウンになりかねません。
そのような方に次回予約を促す場合は、インターネット予約を活用するのもおすすめです。店舗独自の予約システムを導入すると、電車での移動中や昼休憩などの空き時間でパッと予約できるため、店舗で予約を入れなかったお客様の予約を促しやすくなります。
エステサロンで予約システムを導入する場合、たとえば「リザービア」がよいでしょう。リザービアは自社のホームページやSNSアカウント、LINEとも連携できて予約の一元管理が簡単にできます。Googleプロフィールに登録しておくと、Googleマップからの予約も可能です。
物販編:エステサロン接客マニュアルの具体例
商品の販売はやり方によっては悪い印象がついてしまうリスクやデメリットがあります。
さりげなく案内したら、あとはお客様が自然に興味をもつ工夫をしておくことが大切です。物販売上を伸ばすためのポイントを4つに分けて解説するので、接客マニュアルを作成する際は参考にしてください。
試飲や試供品の利用
多くの化粧品メーカーでは季節ごとに強化商品を設けており、サンプルを貰えることが多いです。商品サンプルは積極的に活用して、販売に繋げていきましょう。
その際、小分けになっている持ち帰り可能なタイプでもできるだけサロン内で試飲、使用してもらうことをおすすめします。その場で使用感をフォローすることで購入に繋がりやすくなります。
またひとりのスタッフがカウンセリングからクロージングまで行う場合は、ある程度信頼関係ができた施術中(直後)か、クロージング時の案内が良いでしょう。
肌に触れ、たくさん話をしたあとでは心を開き「あなたがお勧めするなら」と購入に繋がる可能性が上がります。
POPの利用
お客様に商品を紹介するにはPOPの活用が有効です。
とくに主力商品や販売強化商品の場合は目立つところにPOPを掲示しておき、入店時からお客様へ意識づけを行っておきましょう。
お待たせしている時間で無意識に視線に入る工夫も大切です。遠くには大きめのPOPで商品パッケージが見えるように、カウンセリングテーブルの所には商品の詳細が書かれたPOPを貼るようにすると良いでしょう。
またPOPで紹介する商品は絞ることで、お客様の目に留まりやすく、スタッフの商品知識を深めるための研修もしやすくなります。
商品の展示
今注目の商品やおすすめの商品(夏なら美白、夏前なら痩身クリームなど)を展示し、お客様の潜在意識に働きかける工夫をしましょう。
商品を積極的にお客様自ら手に取っていただくことで、購買意欲を高めます。キャッチーなワードが入ったPOPを横に貼ったり、紹介されている雑誌を置いたりするなど、お客様が手に取りたくなるような工夫も行いましょう。
ただしスタッフの目が届かない所に現物を置くのは、盗難につながる恐れがあります。使用済みのパッケージのみ展示するか、チェーンでつなぐなど盗難対策を行うことをおすすめします。
クロージング
エステサロンへ通ったことがない人の中には高額な商品を買わされそう、というイメージをもつ人も少なくありません。
商品に興味をもっていない人や買うつもりのない人に詳しい商品説明をしてしまうと、仮に購入に至っても「無理に買わされた」感が残ってしまいます。
商品販売の際には「売る」のではなく、興味をもつ人や必要な人に「紹介」をするという意識をもつことが大切です。
カウンセリングや施術、お客様の様子などからお客様自身に必要だと思うものがあれば、自信をもって提案しましょう。
販売スキルを身につけて行くのが、私にはとても難しく感じました。提案をすることに苦手意識があり、精神的な負担になっている時期があり、購入につながらず壁を感じていました。壁を乗り越えられたのは、気持ちの持ち方を変えたことが大きかったと思います。なぜお客さまに提案をするのかと考えたときに、販売したいからおすすめするのではなく、お客さまに必要なことだから提案をするんだと思えるようになったんです。また先輩の接客から、大切なのはお客さまとの信頼関係だとも気づきました。
引用:モアリジョブ|ルミエ・パリ 所属エステティシャン 中田さん
集客に成功しているエステサロンの接客マニュアルの事例
接客マニュアルを活かした経営をされている2つのサロンの事例を紹介します。
事例1:マニュアルをマスターすれば未経験者でも高いリピート率達成
福岡県天神市に1店舗、全国にFC(フランチャイズ)3店舗を展開するハーブピーリング専門店「エミルカ(EMILUCA)」では「技術」「接客」「肌について」と3つのマニュアルを作成し、未経験からでも高いリピート率を出せるようなマニュアルシステムを整えています。
オーナーの15年におよぶ美容業の経験をもとに、未経験社でも理解できるように「難しくない」ことを意識して作成されたと言います。
実際、マニュアルを元に勉強したエステ未経験の人が研修後にリピート率95%を達成した実績があります。
FC展開し、ブランド力をキープしていくために統一されたマニュアルは重要だと思っています。何か問題ごとや不明点が出てきた場合もマニュアルで解決できる仕組みにしています。お客様対応に迷ったときも、その場面ごとに必要なことや言い回しを掲載しているので、直営店舗でもFC店舗でも関係なく、一人ひとりに任せることができるんです。
引用:モアリジョブ|エミルカ EMILUCA 経営者 佐々木沙織さん
事例2:すべてのスタッフが同じ水準の接客で顧客満足度を高める
ショート・ボブ専門の美容室「CHOUCHOU」「CHOUCHOU-LEA」では1日3名さま限定、完全予約制で運営しています。お客さまに安心して任せていただけるように、接客は最初から最後まで同じスタッフが対応します。
とくにカウンセリングには30分〜1時間かけるなど、お客さまに満足していただくための接客に重きを置いています。
そのために作成したのが「お客さま対応マニュアル」です。すべてのスタッフが同じ水準で接客を行えるように、言葉遣いひとつについても細かく指示をしています。
ただ丁寧な言葉で話せればいいというわけではありません。スタッフには研修期間中に、ちょっとした声かけも含めて、お客さまの気持ちに寄り添うことをしっかりと身につけてもらいます。
引用:モアリジョブ|株式会社CHOUCHOU 代表 武藤鎌矢
まとめ
本文を総括すると次のとおりです。
- エステサロン選びをするうえで「接客態度」は最重要ポイント
- 接客初心者は「挨拶の基本・お客様との距離感・会話のバランス・共感力」を身につける
- 接客マニュアルは期限を決めて作成し、実行と改善を繰り返す
- とくにカウンセリングと施術がリピートを決める
接客は属人化しやすく、個人差、経験差で違いが生まれやすい部分です。そのため担当によって顧客満足度にブレが出て、クレームや悪い口コミに繋がることも少なくありません。全スタッフが全お客様へ同じ対応ができるように、店舗やサロンのコンセプトやカラー、方針を練り込んだ接客マニュアルを作成しましょう。
- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部