リラクゼーションサロンを開業する場合、資金や集客に関する不安はつきものです。たとえば開業前の悩みとして、次のような内容が考えられます。
自営業はどうしても不安定な仕事ですから、お金が絡んでくる分、仕事がメンタル面へ与える影響も大きい。
私たちも、技術は学んでも、そのあとどうやって開業したらいいか不安でした。サロンに勤務していたとしても、マーケティングや経営まで教えてもらえるわけではありませんから。
リラクゼーションサロンは工夫次第で費用をあまりかけずに開業できます。さらにテナントをシェアすると集客しやすい場所で開業することも可能です。適切な開業の手順を踏んでサロン経営を成功させましょう。
この記事では、リラクゼーションを開業する前の流れやメリット、ポイントを解説します。働き方に合わせた開業方法について、事例を交えながら解説するので参考にしてください。
リラクゼーションサロンを開業するメリット
リラクゼーションサロンを開業すると、自由に働けたり、収入を伸ばしやすかったりすることがメリットです。また、あまりコストをかけずに開業できる点も魅力。リラクゼーションサロンを開業するメリットを解説するので、参考にしてください。
自由に働ける
リラクゼーションサロンを開業すると、サロンのコンセプトを自由に設定できます。そのため自分の活動に共感してくれる人に絞って、自分のやりたい施術をできる点が魅力です。
最初のシェアサロンで1年ほど活動して、お金の流れや時間の使い方などが見えてきたので、自分が思うかたちでサロンもやっていけるんじゃないかと思ってアトリエを持ちました。
自由なあり方のままちゃんとセラピーを提供する。そういう新しいタイプのセラピストとして活動しています。
組織に所属しないため活動の制限を受けることもなく、自分の施術や思想を、さまざまな人に伝えられます。
制限のない自由な働き方を実現したくてサロンを開業したこともあり、活動の幅を広げていけたらいいなと考えています。具体的にいうと、オンラインでアロマやセルフケアに関する講座を開くこと。「自分の身体は自分で変えることができる」ということを、オンラインを通していろんな人に周知してもらうためにも取り組んでいきたいです
収入を伸ばしやすい
リラクゼーションサロンは、高額な機械を購入したり、商品を仕入れたりする必要がないため比較的利益率の高いビジネスといえます。たとえばリラクゼーションサロンと近いビジネス形態として、エステサロンが挙げられます。エステサロンの利益率は15%といわれており、利益を出しやすいといわれています。
一般的な企業の利益率の平均値は4%程度で10%あれば優良企業と言われるなか、エステサロンの利益率は15%と高い水準にあります。この点からエステサロンは、利益を得やすいビジネスと言えるでしょう。
収入を伸ばすためには、顧客増加にともなうスタッフの雇用を検討することも大切です。スタッフを雇用すると1人よりも多くの顧客に対応でき売上が伸びるため、収入アップが期待できます。
なるべく経済的な負担を抑えてスタッフを雇いたい場合は、業務委託契約を活用するのも1つの手段です。
副業を始めて半年で売上が見込めたので独立することに。
2年経った頃にはひと月200人もの方にご連絡いただくようになっていて、1人では周りきれなくなり、「椎名屋」スタッフ登録制で業務委託スタッフを増やしていきました。今では10人以上の登録スタッフがいます。
開業資金を抑えやすい
リラクゼーション業界で独立開業する際は、自宅や出張などの手段で開業資金を大幅に抑えられることが魅力です。
どこかを借りてサロンをするとなると、当然費用の負担が出てきますし、開業にあたり場所を探すところからスタートなので時間がかかります。
私の場合は、幸い自宅に使っていない部屋があったので、そこで始められました。その点では、とても恵まれていたと思います。
出張や自宅で開業すると、仮に集客がうまくいかない場合も経済的な負担が少ない分、事業を続けられます。顧客が増えたタイミングで店舗を借りて移転すると、閉業のリスクを抑えられるでしょう。
店舗を借りずに出張サロンとして開業しました。開業して間もない頃は、とにかく集客に苦労していたのをよく覚えています。営業の経験がなかったのでチラシを作ってもどこかに置いてもらうこともできず、一応作ったホームページもほとんど機能していない状態でした。
(中略)
サービスを続ける中で、「たまには外でもマッサージを受けたい」というお客さまからの声も聞こえてきたんです。予約数の増加に合わせてスタッフも雇用していましたし、一人でも多くのママに笑顔になってもらうためにも店舗の運営を始めました。
リラクゼーションサロンで開業するまでの流れ
リラクゼーションサロンで開業するまでの流れは次のとおりです。
- サロンのコンセプトを考える
- 開業の方法を決める
- 開業資金と運転資金を準備する
- 内装工事を依頼して物品を購入する
- スタッフを採用する
- 集客方法を考える
以上の手順について詳しく解説します。
サロンのコンセプトを考える
開業する場合、はじめにリラクゼーションのコンセプトを考えましょう。
ターゲット
コンセプトを決める場合は、はじめにターゲットを絞ることが大切です。ターゲットを絞らずにコンセプトを決めると、ぶれる可能性があります。ただ単に、「癒されたい人」「疲れを取りたい人」など施術を受ける目的だけではなく、顧客の年代やライフスタイルなどを考えてターゲットを絞ることが大切です。
私はターゲットをしぼってよかったと思っています。決めるまでが大変でしたが、そのあとの店名、内装、メニュー決めなどが、スムーズに進めることができました。たとえば、「疲れている女性全部」という風にしてしまうと、あまりに広すぎて結果的に届かなくなってしまうこともあると思いますし、コンセプトもぶれてしまうと思うんです。
たとえば次のように、顧客が悩みを抱えるようになった背景まで考えると、しっかりとターゲットを絞り込めるでしょう。
『こころもからだも温める』をコンセプトに掲げました。会社員として働いてきたなかで、心身ともに冷え切っている人が多いと感じていたんです。基本的に企業は資本主義ですから、社員の気持ちよりも会社の利益を優先している会社もなかにはあります。会社は儲かっているにもかかわらず社員にボーナスが出ず、日々の残業に追われていてライフワークバランスにゆとりがない方も多い。
サービス内容
ターゲットをもとにフェイシャルエステやリフレクソロジー、アロマテラピーなど、これまでの施術経験をもとにサービス内容を考えましょう。利益優先ではなく、顧客に合わせたメニューを考えると売上につながることが多いようです。
売上のために商品を作ろうとか、施術メニューを作ろうということは考えたことがなくて、どちらかというと「こんなメニューが必要だな」「こんなものがあれば、あの人にもあの人にもいいよね」という感じで必要なものを作ってきました。それが結果的に喜ばれたり、すごく売れたりということが多いです。
また、あえて特定の施術メニューを設定せずに、顧客に応じて臨機応変に対応するようなサービスの提供方法もあります。
事前にコースを決めずに、どのような施術をするか、その場でメニューを組み立てます。通常の全身アロマトリートメントに加え、リフレクソロジーやヘッドマッサージを入れるなど、臨機応変に対応しています。また、ママは授乳や寝かしつけなどで、ずっと同じ姿勢が続くことがよくあります。前かがみの姿勢で体が固まっている方も多いため、その場合はストレッチを入れたりもしていますね。
なお、リラクゼーションの1つとして人気のある施術にマッサージがあります。
一般顧客にも認知してもらいやすい魅力的な施術メニューですが、法律上マッサージを提供できるのはあん摩マッサージ指圧師に限定されるため注意しましょう。無免許の状態でマッサージ施術をするとコンプライアンスにおいて問題視されるケースもあります。
「整体」「カイロプラクティック」「リラクゼーション」「エステ」「足つぼ」「手もみ」と称したなかで行われているマッサージ行為は違法であり、人体に危害を及ぼす可能性のある危険な行為でもあります。
あん摩マッサージ指圧師以外の人がリラクゼーションサロンを開業して施術メニューを考える場合、マッサージの名称を使わないことが大切です。
開業の方法を決める
次に開業の方法を決めましょう。リラクゼーションサロンを開業する主な方法を紹介します。
出張
出張は顧客の自宅など指定された場所で施術をする方法です。移動手段さえあれば開業できるため、物件の取得費や内装工事費が不要です。開業資金を低く抑えたい場合は、まずは出張からはじめるとよいでしょう。
会社員として働いていた頃から長年、人と接する職業で自立してみたいと夢見てましたので、整体師になったら自分で開業しようと思っていました。
ですが、開業するには資金が必要。当時すでに私には家族がおり、家も持っていたので開業するなんて現実的ではありませんでした。
そこで先生に相談したところ、「出張」形態の働き方があると教えてもらったんです。
出張だと店舗を構えた時のように高額な経費がかからないため、施術費用を安く抑えられる点も魅力です。施術費を安価にできると顧客からの予約が入りやすくなるため、施術スキルを高める機会を作りやすくなります。
最初の1年間は場所を構えず、呼んでもらえれば全国どこでも行くという出張スタイルでスタートしました。基本的には都内で施術をし、長期休みや、連休の時に地方に行っていました。当時は1人2000円で施術させてもらっていたこともあり、1泊2日で20人くらい施術をしたこともありました。
自宅サロン
自宅で開業する場合は、自宅の一部をリラクゼーションサロンとして活用します。内装にこだわり過ぎなければ、低コストで開業できる方法です。
その反面、立地が悪かったり、看板が出せなかったりすると集客が難航することもあります。自宅サロンで開業する場合は、地域とのつながりや近隣住民から認知されることを意識して開業することが大切です。
独立前の1年をかけて、とにかく人に知ってもらうことにしました。私は愛知県岡崎市の自宅で開業したのですが、岡崎市のかなり端の方で、山と畑で囲まれているような町でしたので、放っておいてもお客さまが来てくれることはないと思ったんです。
最初は本当に足を使って、一軒一軒チラシを配ったりもしましたね。移住した当時は今ほどSNSも発展していませんでしたし、自宅サロンなので看板なども出していない分、市内中のコミュニティボードにチラシを貼りに行ったりして、とにかく知ってもらうことを意識しました。
レンタルサロン
レンタルサロンとは、サロンが必要なときだけ施術スペースを借りられる仕組みです。通常の物件のように年単位の契約や月額の固定費がかからない点が魅力。開業して間もない収入が不安定な時期に、安心してサロンを運営できます。
リスクを抑えて開業したい場合はまずはレンタルサロンからはじめて、固定客がついた後にテナントを借りるのも1つの手段です
最初はお客さんが全然来ませんでした。だから、はじめは店を借りず、レンタルサロンだったんです。ネットやSNSなどでたどり着いたお客さんを相手に勉強代をいただくような感じで、施術していましたね。そこから徐々にお客さんが増えてきて、ようやく2013年に店舗を構えられました。
マンション
マンションはテナントを借りるよりも安価に店舗を構えられる点が魅力です。さらにマンションでマンツーマンの施術を提供すると、プライバシーを守りたいというニーズにも応えられます。
とくに、時間で動いている働く世代の方、1万円出してでも改善したい方、プライバシーを守りたい方が多くいました。「こういうところを探していたんだよね」という方が、すごく多かったですね。自宅で施術を行っていた時に感じたニーズから、現在の形態で開業しましたが、結果的によかったです。
テナント
テナントの場合、人通りが多い場所や駅や住宅街の近くなど、集客に有利な場所で開業しやすいメリットがあります。
マンションや自宅サロンよりも入り口や内観を確認しやすく、顧客が安心して入りやすいことも集客に有利な点です。トラストファイブの調査によると、はじめてリラクゼーションサロンを利用する顧客は、店舗の入口がわかりづらいことで入店をためらうケースが多いようです。
予算に余裕があればテナントで開業したほうが、顧客が入店をためらわずに済むため新規顧客を集客しやすいと考えられます。
その一方で、テナントを借りるための費用が高額になりやすく、開業時にもまとまった資金が必要になることが特徴です。金融機関から借り入れをする場合は、開業後に家賃と返済が経費に含まれるので、資金管理を徹底する必要があります。
フランチャイズ
リラクゼーションサロンを開業する場合、大手サロンとフランチャイズ契約を結ぶ方法も考えられます。大手サロンとのフランチャイズ契約を結ぶと、ネームバリューを利用できるため集客をしやすい点がメリットです。
その一方で、フランチャイズ契約のルールを厳守したり、決められたロイヤリティを本部に支払ったりする必要があります。内装の仕様が決められていることもあり、開業に多額な資金が必要な場合もあります。フランチャイズ比較.netによるとリラクゼーションのフランチャイズ開業に必要な資金は、約1600万円といわれています。
開業資金と運転資金を準備する
一般的な開業資金と運転資金の目安を解説します。
開業資金
近しい業界であるエステサロンのコンサルタントサービスを展開する株式会社ウィズ・アスを参考に、リラクゼーションサロン開業に必要な資金を自宅とマンション、テナント別に示すと次のとおりです。
▼開業資金
開業方法 |
開業費用 |
---|---|
自宅で開業 |
20~30万円 |
マンションで開業 |
150~200万円 |
テナント |
300~600万円 |
マンションやテナントを借りるためには、敷金や初月の賃料、保険料、内装費などが開業資金として必要です。その一方で自宅で開業すると、内装費のみで開業できるためコストを低く抑えられます。
運転資金
店舗を運営するためには、運転資金を毎月支払う必要があります。運転資金には毎月決まった額の負担が生じる固定費と、売上に連動して発生する流動費があります。
▼運転資金の項目
固定費 |
流動費 |
---|---|
人件費 |
原材料費 |
固定費を抑えて、流動費の割合が大きいと経営が安定しやすいといわれています。固定費は全体売上の20%以内に収めるとよいでしょう。(※1)
また毎月の売上変動が20%以上ある場合、毎月の固定費と借入金の返済額を合計した金額の3~6ヵ月分を元手資金として確保すると安心です。(※2)
※1 参考:リラクゼーションサロンの開業資金と黒字経営を続けるための3つの秘訣|ArchiCloud
※2 参考:資金繰りを良くするためのきほんとは|佐藤修一公認会計士事務所
内装工事を依頼して物品を購入する
開業資金を確保したら、内装工事を依頼して物品を購入しましょう。
内装工事
コンセプトやテーマをもとに装飾やデザインに一貫性を持たせ、ターゲットに満足してもらえるような内装にすることが大切です。
お客さまに非日常を感じてもらいたくて。私たち自身の理想の癒し空間をみんなで一緒に考えて、他にないようなオリジナルのデザインにしました。
コンセプトは森と海。森も海も自然のものなので、癒し効果があります。あと、青はリラックス効果が期待できるので、青いライトも多く使っていますね。
内装が完成したら、施術ベッドやワゴン、タオル類などのリラクゼーション用の物品を揃えましょう。インターネットショップなどをうまく活用すると、必要な物品を安く揃えれられます。
スタッフを採用する
スタッフ採用をする際は、サロンのコンセプトや方針、施術メニューにマッチした人材を採用すると、離職率を抑えられます。求める人材を明確にしたうえで、サロンで働く際の条件や仕事内容、雰囲気などの求人情報も詳しく開示しましょう。
また新卒や中途、アルバイトなどの求職者の属性によって、採用のコツが異なります。各タイプの特徴を把握して採用戦略を立てることが大切です。人材採用については、次の記事で詳しく解説しています。
集客方法を考える
開業して間もない頃は、集客に多くの費用をかけられないかもしれません。そのような場合は、SNSやチラシ配りなどを活用して費用を抑えて集客するとよいでしょう。
リラクゼーションサロンの集客と相性の良いSNSとして、Instagram(インスタグラム)が挙げられます。Instagramで顧客に感想を書いてもらったり、写真をアップしてもらったりすると、それを見た別の顧客からの予約や問い合わせが期待できます。
前の店で働いていたときのお客さまがある程度いたんですが、それに加えて、オープン当時はInstagramでキャンペーンを行ったんです。「Instagramで感想や写真をアップすることを条件に価格をお安くする」というような内容でした。
この方法で、インスタをアップした方の紹介という形で、お問い合わせが多くなっていきました。大きく広告を打つよりは、こうした方が「コンセプトに合ったお客さまが来てくれる」と思っていたので、そこは戦略通りでしたね。
またインターネットを活用しない集客方法としてチラシも有効です。自分でチラシを配布すると、近所の状況が把握できるうえにポスティング費用も抑えられます。
ターゲットをしぼったチラシを打ったことが大きかったと思っています。ターゲットを決めるにあたっては、出店するエリアの近くを実際に歩いてみてどんな人たちが多いかを目で確かめました。出店エリアは東京の郊外で、公園も多く、妊婦さん、小さな子連れのママさんを多く見かけたんです。そこで「産後ケア」を打ち出したチラシをまいたところ、ママ層にリーチすることができ、集客につながりました。
予算がある場合は、口コミサイトを活用するのもよいでしょう。コンサルタントを一緒にサービスとして提供している口コミサイトであれば、集客スキルの獲得にもつながります。
口コミサイトへの掲載も始めたのですが、これもすごく効果的だったと思います。サイトによると思いますが、私が登録しているサイトは開業パックというのがあって、3ヶ月間のサポートがセットになっていました。集客のコンサルをしてくれて、ホームページ作りについても「最近はみんなスマホで検索するので、スマホの文字列に合わせて作るといいですよ」など、アドバイスをしてくれたんです。すごく助かりました。
店舗集客については、次の記事でも詳しく解説しているので参考にしてください。
リラクゼーションサロンを開業する場合におすすめの資格
リラクゼーションサロンを開業する場合におすすめの資格を3つ紹介します。
あんまマッサージ指圧師
医療系国家資格取得のあん摩マッサージ指圧師を取得すると、顧客の信頼を集めやすい点が魅力です。この資格を取得するためには、解剖学や生理学、施術スキルを専門の教育機関で3年間学ぶ必要があります。
知識向上とスキル獲得にもつながるので、本格的にリラクゼーションサロンを開きたい場合はおすすめです。
リフレクソロジスト
リフレクソロジストとは、顧客の足裏や手、耳を刺激して健康を維持したり、リラクゼーションを図ったりする施術者です。主な資格の認定団体として「JREC」が挙げられます。
この資格を取得するためには、施術スキルだけではなく、体の仕組みや食生活に関する知識を学ぶ必要があります。複数の認定資格が準備されていて、レベルに応じた資格取得を目指せます。
アロマテラピスト
アロマテラピストとは精油に関する知識をもとに顧客に心身のケアをするためのアドバイスをしたり、精油をブレンドしたアロマオイルを使ってトリートメント施術をしたりする職業です。主な資格の認定団体の1つに「AEAJ(日本アロマ環境協会)」があります。
アロマテラピー検定1級・2級やアロマテラピーアドバイザー、アロマテラピストなど目的やレベルに応じて複数の資格が準備されています。香りの効果を使ってリラクゼーションを提供したい場合は、受検してみるとよいでしょう。
リラクゼーションサロン開業のおける目的別のポイント
リラクゼーションサロンを開業するポイントについて、3つの目的に分けて解説します。
自由に働きたい場合
ライフサイクルに合わせて自由に働きたい場合は、自宅やマンションなどで1人で開業する方法が考えられます。初期費用や経費を抑えられるため、廃業のリスクを軽減できます。
その一方で、店舗の存在を近隣住民に認知されづらいため集客には不利になることが難点です。
そこで売上も伸ばしたい場合は、集客に有利な場所にあるテナントでの開業を検討する必要があります。しかしテナントは自宅やマンションと比べて、家賃が高額になりがちです。1人で開業する場合は経済的負担が大きく、なかなか踏み出せないこともあるでしょう。
そのような場合は、テナントをシェアしてもらえるパートナーを探して家賃の負担を軽減するのも1つの手段です。
独りでやるのには不安もあったし、家賃負担もキツそうだったので、周りの信頼できる鍼灸師に声をかけて、一緒にやってくれそうな仲間を探しました。相談しながら進めるメリットも大きいと思って。
開業にあたっての契約や内装などの費用負担は私がしています。『代表』と名乗るからにはその辺りのことは私がしっかりしておこうと思って。あとは、営業を曜日で担当してもらって、家賃などを担当分シェアしてもらっているという形です。
売上を伸ばしたい場合
売上を伸ばしたい場合は、スタッフを雇用してより多くの顧客に施術サービスを提供する必要があります。また集客にも力を入れる必要があり、院長が集客を担う場合は、施術を任せられるスタッフを雇用する必要があるでしょう。
集客のノウハウがない場合は、集客に詳しいスタッフを採用すると顧客を集めやすくなります。現在は、集客のやり方も多様なので、複数のスタッフで役割分担すると効率的に集客できます。
当初からオーナーに「発信する場は1つだけじゃダメだよ」と言われていて、数年発信をしてみて自分でも実感しています。ウェブはもちろん、チラシや声掛けも必要だし、お客様に紹介していただくのも、すべてがあって成り立つんだなと感じますね。「これをしたら勝てる」みたいなパターンはないと思います。
多店舗展開をしたい場合
多店舗展開をすると、さらなる売上アップと経営の安定化が期待できます。複数の店舗があることで、1店舗で売上が落ち込んでも他でカバーできるのです。
多店舗展開を成功させるためには、業務内容をマニュアル化したり、スタッフ教育に力を入れたりする必要があります。また予約システムを導入すると、電話対応の削減や店舗間の応援体制の構築など多店舗展開後の業務を効率化できます。
サロンのオープン時間ではない早朝や深夜に予約を入れてくださっているお客様も多く空き枠が埋まりやすくなりました。またサロンでの電話対応が少なくなってよりお客様に集中できる環境になりました。
急なキャンセルがあった時にもメール配信をすぐに行うなど集客が効率的にできるようになり客数増につながっています。
本部で予約状況を確認して、すぐに応援体制を組んだりすることができるようになったことも大きいです。
リラクゼーションサロンの開業事例
ここではリラクゼーションサロン開業事例を3つ紹介します。
自宅で開業
セラピストのあらいみかさんは、東京で看板を出さずに自宅サロンを開業しました。はじめは、ママ友や近隣住民を中心に施術サービスを提供。メディアや書籍に取り上げてもらったことをきっかけに多くの方が訪れるようになりました。
その後、熊本で整体院「Therapy Room Joy & Love」を立ち上げました。熊本では地域に密着することを意識して、チラシを配ったり、コミュニティボードを活用したりして地道に集客活動を展開。その後は口コミだけで集客を続けています。
地方では、とにかく地域に密着すること、どう地元に根差すかというところが重要でした。最初は本当に足を使って、一軒一軒チラシを配ったりもしましたね。移住した当時は今ほどSNSも発展していませんでしたし、自宅サロンなので看板なども出していない分、市内中のコミュニティボードにチラシを貼りに行ったりして、とにかく知ってもらうことを意識しました。
でも、その後はクチコミだけでやってきました。1人でやっているので受けられる人数も限られますが、ありがたいことに続けられています。
レンタルサロンで開業
山田暁子さんは時間貸しで利用できるレンタルサロンのメリットを活かし、コロナ流行という不安定な状況下での開業を乗り切りました。
もともと店舗を構えて開業する予定だったのですが、ちょうどコロナが流行ってしまって。先行き不安な状態が続き、まずはレンタルサロンでスタートすることにしたんです。レンタルサロンは会員になると、会費をさえ払えばあとは時間貸し。1時間の施術を行うとして前後30分ずつ抑えたとしても、2時間分の出費で済みます。開業したばかりの人にはメリットが大きいですね。
その後は、集客のことを考えマンションに移りました。
レンタルサロンを卒業し、住所や予約の空き状況をきちんと公開できるようになったら、以前より早いスピードで新規のお客さまも増えていきました。やはり「誰がどこでどういう施術をする」というちゃんとした情報を紹介できた方が、お客さまも安心して来られるんでしょうね。
部屋の内装にもこだわり、リラックスできる空間で鍼灸の施術サービスを提供されています。
スタッフを採用して開業
小牧めぐみさんは、2001年に横浜で「カ・ラ・ダファクトリー」1号店を開業。2019年には320店舗以上を展開しました。1号店では整体の経験者をスタッフとして雇用しましたが、そのときの苦労を次のようにコメントされています。
外から経験者を雇ったのですが、この世界は学ぶ場所が変わると教え方が全く変わってしまいます。そうすると、『私は悪くない。あなたの技術が悪い』といった『否定』が始まります。そして、仲間を認め合わなくなってしまいました。
1号店開業時の苦労を乗り越えたあとは、店舗を精力的にマネジメントして320店舗拡大への土台を作り上げました。
楽しくて、仕方なかったです(笑)。1号店は大きなお店だったので、スタッフの採用からマネジメント、給料計算に給与振り込みと、全て1人でやらなくてはいけなかった。でも、対お客さまも対スタッフも、店長としてやること一つ一つが誰かのためになっていたので、自分を他人と比較する時間がないくらい仕事に夢中になれた毎日でした。この経験が、今、320店舗以上の店舗拡大へ続く、スタートラインだったんです
タイトル
本記事を総括すると次のとおりです。
- 自宅サロンや出張、レンタルサロンの利用などリラクゼーションサロンは比較的低コストで開業できる手段がある
- テナントを低コストで借りたい場合は、雇用したスタッフとシェアするのもおすすめ
- 「自由に働きたい」「売り上げを伸ばしたい」などの目的別に開業方法を選ぶとよい
リラクゼーションサロンの開業方法によって、必要な開業資金や運転資金が大きく異なります。希望する働き方や目的を明確にして、開業の準備を進めましょう。
- 執筆者情報
- Bizリジョブ編集部