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【経営者・人事の悩み】退職による人手不足が深刻化?原因や解消法を解説!

【経営者・人事の悩み】退職による人手不足が深刻化?原因や解消法を解説!

厚生労働省の調査によると、令和2年3月に学校を卒業した学生が就職してから3年以内に離職する確率は37.0%でした。若手人材を採用しても4分の1が3年以内に退職するなか、連鎖退職と呼ばれる現象で急に人手不足に陥るケースもみられます。

この記事では、連鎖退職や通常の退職が発生する原因と対策について解説します。データや事例を示しながら、解説するので参考にしてください。

人手不足が急激に深刻化!連鎖退職の原因

昨今は、短期間で多くの従業員が退職する「連鎖退職」の事例が報告されています。

ある1人の退職をきっかけに退職者が続出。最悪、組織の存続さえ危ぶまれる事態に―人手不足が社会問題化する今、このような「連鎖退職」がさまざまな会社から報告されている。

引用:連鎖退職|山本 寛

1人の社員が退職したことをきっかけに次から次へと退職者が増えることで、人材を採用しても必要な労働力を補えなくなります。

いつからか、”退職が感染する”ようになった。これまでは1人の社員が退職したところで、正直に言えばそこまでダメージはなかった。だが、3人、5人と退職が続くとなれば話は別だ。退職がドミノのようになっている。始まったら止まらない。これでは採用してもしても追いつかないし、育成しても徒労感が漂ってしまう

引用:日本人材ニュース

急激な人手不足を防ぐためにも連鎖退職の原因を把握して、対策を講じることが大切です。ここでは、連鎖退職に陥る原因について解説します。

中心的な人物が辞めたから

カナダのグエルフ大学の人事教授、ニタ・チンザー氏によると、チーム内で優秀な人物が職場を離れると、他の従業員も退職を検討するケースが見られるようです。

チーム内で最も優秀な人材が雇用環境を離れると、他の人たちは突然職場との関係を再評価し始め、退職を検討するようになることがわかっています

引用:BBC WORKLIFE

また青山学院大教授の山本寛氏は、エース級の人材が辞めることで周囲の若手社員が会社の将来性に不安を覚えて連鎖退職につながるケースがあることを語っています。

企業への聞き取りで「エース級の人材だった〇〇さんが辞めたことで、会社の将来に不安を覚えた若手社員たちが大量に連鎖退職した」という話を何度か耳にした。

引用:読売新聞

また中心的な人物が辞めた後に、その人物に対して何のフォローもないと、周囲の社員にネガティブな印象を与え、連鎖退職につながる可能性があるため注意が必要です。

今問題になっている連鎖退職というのは、プロジェクトチームがゴソッと一体で辞めるというよりも、ハイパフォーマーや中核的人物が辞めたとき、その社員に対し会社は何のフォローもしなかった、自分も頑張ったところで結局その程度の扱いなのか、と負の空気感が周囲に蔓延してしまうこと。

引用:東洋経済

労働環境が悪化したから

従業員の退職が積み重なり、職場が慢性的な人材不足に陥ると、残った従業員への負担が増加します。業務負担に耐えられない従業員が現れて、連鎖退職につながるケースもあります。

労働政策研究・研修機構の調査によると、「労働時間が長い」や「仕事がきつい」など、仕事の業務負担に関連した離職理由がそれぞれ20%以上に上りました。

労働環境が悪化した状態を放っておくと、次々に退職者が増えるリスクがあるので、何らかの対策を講じることが大切です。

業務負担を理由とした退職は、とくにサービス業で頻繁にみられるケースです。例えば、美容業界や整骨院業界では次のような事例があります。

今私は美容師のアシスタントを初めて1年と半年くらいになります。

正直入って半年目くらいから辞めたいなあとは思っていました。

(中略)

もうすぐで12月ですので、めちゃくちゃ忙しくなります。

去年経験してますが、あの忙しさを1人で回すのは不可能です。たくさんのお客さんを逃す事にもなりそうです。

どれだけ忙しくても私の給料は上がらない訳ですが。

引用:Yahoo!知恵袋

今日初めて美容室で勤務をしました。ですが1日でもう辞めたいと思ってしまいました。

(中略)

拘束時間が長い、休憩時間が無い。そんなことは分かっていたのに初日から朝早く出勤し、それもこれからずっと続くし休憩もない。面接の時に聞いてない話もいくつかあり、(社会保険や別の店舗での勤務など)これからこのお店でやっていく自信もないし、美容師として働く自信もないです。

引用:Yahoo!知恵袋

給料に見合った仕事の量でなく毎日朝7時半に出勤、夜は残業続きで22時以降に帰ったり、仕事が終わらないので休日出勤が当たり前になっています。

(中略)

昨年だけでも20人中5人が退職しており、今年も部下や上司も少なくとも4人は辞めようとしております。

私もこの会社の現状で何度も体調を崩したり、適応障害になったりと、体力的にも精神的にも仕事を続けられる状態では無いので辞めたい

引用:Yahoo!知恵袋

会社の業績が悪化したから

会社の業績が悪化すると、将来性に不安を感じて連鎖的に従業員が退職する可能性があります。この場合、退職してもすぐに新しい転職先を見つけやすい優秀な人物が辞めることが多いといわれています。優秀な人物が会社にいなくなることで、会社の業績立て直しが難しくなるケースもあるようです。

優秀な人は往々にして「エンプロイアビリティー」(転職できる能力)が高いため、条件の良い転職先を見つけやすい。あるIT企業の関係者も「(希望退職の募集で)一番残ってほしいと思っていたエンジニアが真っ先に辞めた」と明かす。かえって業績の立て直しが難しくなったという。

引用:読売新聞

業績が立て直せないと、人材の採用に必要なコストも捻出できなくなり、人手不足が加速する恐れがあります。                

従業員が退職する理由

従業員が徐々に退職すると、慢性的な人手不足や連鎖倒産に陥るリスクがあります。そのため日ごろから従業員の退職を予防するように努めて、人手不足のリスクを避けることも大切です。有効な対策を考えるためにも、まずは従業員が退職する理由を分析しましょう。

退職理由を分析する際には、本当の退職理由を語らない従業員が多いことに留意する必要があります。エン転職の調査によると、4割近くの退職者が本当の理由を伝えなかったと回答しています。

▼退職する際に本当の理由を伝えたかどうかに対する回答の割合

さらに同調査によると、会社に伝えなかった本当の退職理由を多い順から並べると次のとおりでした。

  • 職場の人間関係が悪い 35%
  • 給与が低い 34%
  • 会社の将来性に不安を感じた 28%

ここでは、上記の退職理由について詳しく解説します。

職場の人間関係が悪い

職場の人間関係については、職場の上司と部下間のコミュニケーションが課題になることが多いようです。第一生命の調査によると、職場の上司とうまくコミュニケーションをとれない部下の割合が多い結果でした。

▼コミュニケーション相手に関する調査

部下と上司間の人間関係に関連するトラブルについても、さまざまな事例が報告されています。

美容師アシスタント一年目ですが、今退職を考えています。

理由としては、人間関係が悪いところ、店長しか閲覧できない管理システムのパスワードを教えて2年目のアシスタントに作業させるなど、会社の運営方針に納得できない部分があることです。

引用:Yahoo!知恵袋

上司に嫌われており、年次有給休暇を出しても「その日は忙しいから」などと言われて休めない場合はどうしたらよいのでしょう。シフト制の職場の場合、「人員配置に余裕がない」「繁忙期がある」などの事情も理解できるから、と自分の希望を押し通せない人もいるのではないでしょうか。

引用:Yahoo!ニュース

上司Dは些細なミスに対して執拗に非難する。この前も、班内会議で使う資料にページがついていなかったことについて、資料を作成した部下に対し、「お前は小学生か」、「仕事のやり方が本当に下手だ」などと皆の前で起立させたまま、大声で長時間叱責し続けた。

引用:茨木労働局

社員Aは、上司Bより、休日にメッセージが送られてきていたが確認していなかったことを厳しく叱責された。

また他の社員に対しても、休日や時間外にSNSを使った連絡をしており、「今時SNSを使ってコミュニケーションもとれないのか!」と怒鳴っていた。

このようなことが続き、社員Aは仕事に集中できなくなった。

引用:東京人権啓発企業連絡会

以上のように、上司と部下間の人間関係がネックになったり、上司のパワハラが原因になったりして退職するケースが見られます。

給与が低い

株式会社スタジオテイルの調査によると、現在の年収に不満を抱えている人の割合が満足している人よりも多いことがわかりました。

さらに、同調査によると20代や30代などの比較的若い層が年収への不満を抱える傾向が強いようです。

▼給与に対する満足と不満の割合

従業員の給与については、現在のところ大企業を中心に大幅な引き上げが進んでいて、給与に対する不満が軽減される企業も見られます。

NHKが国内の主な企業100社に行った調査によると、ベースアップを行うと回答した企業は、2023年と2024年を通して大幅に伸びました。

その反面、中小企業の中には賃上げをできる経済的余力がない企業もあります。賃上げをできないことで退職者が増えたり、採用数が減ったりすることが考えられ、将来的に人手不足による倒産に陥るリスクを抱えています。

賃金の引き上げは当然、企業経営を圧迫する。このため日本企業は賞与の増額や特別賞与の形で従業員に利益を還元し、ベースアップを極力避けてきた。特に中小企業ではこの傾向が強かった。

(中略)

それでも中小企業は賃上げを行わなければならないジレンマを抱えている。人手不足による倒産の可能性があるためだ。コロナ禍からの回復過程で、人手不足はサービス業などを中心に深刻化している。賃上げの背中を押すのが、最後は“人手不足による倒産の危機”というのは皮肉でしかない。

引用:政経電論

会社の将来性に不安を感じた

一般的には、会社の業績が悪化したり売上が減少したりすると、従業員が会社の将来性に不安を感じると考えられています。しかし、これからの時代は会社の業績だけでなく、企業理念も重視されるようです。

企業理念を示せないと従業員をはじめとしたステークホルダーから将来性がないと見限られるケースもあります。

ステークホルダーへの対応を考えていくと、その解決策として、必然的に企業理念の策定と実装が要請されます。

 逆に、「儲けてさえいればいい」という思想を持ち続けて、社会的善を顧みようとしない組織のままでは、これらのステークホルダーから「将来性がない」と見限られてしまいますし、存続が難しくなるリスクもあると思います。

引用:ダイアモンド・オンライン

従業員に不安を与えないためにも、企業理念を示して、それに沿った経営を進めていくことも大切と考えられます。

定年退職を迎えたから

定年退職を迎えるベテラン従業員が増えると、それが人手不足につながることがあります。そのため、中小企業を中心に、ベテラン従業員を引き止めて技術や労働力を確保しようとする動きが活発です。

厚生労働省の調査によると、企業規模が小さいほど、雇用を確保するための措置を講じる割合が増えていることがわかりました。

さらに同調査では、60歳以上の常用労働者が増加していることも示されています。

人手不足を回避する手段のひとつとして、定年制の廃止や定年の引き上げ、継続雇用制度の導入などを検討する企業は今後も増えると考えられます。

人材不足による経営への影響

人材不足が進むと経営にも大きなダメージを与える可能性があります。帝国データバンクの調査によると、人手不足による倒産件数が2021年以降急激に増加していることがわかりました。

人手不足で倒産する場合、人手が少ないことで仕事を受けられない状況が続いて経営が続けられなくなります。

特に人手不足による倒産が顕著な運送業や建設業、理美容業(サービス業)では、人手不足に関連して次のようなニュースが話題になっています。

運転手が足りないため大型トラック2台を売った。「仕事はあるが運転手がいない。まだ使えるが…」。業者に引き取られる車両を見送り、寂しさがこみ上げた。

引用:Yahoo!ニュース

近時は職人の高齢化に加え、若手や新卒人材の応募が少ないなど、人材不足が目立つほか、給与に不満を持つ建築士や施工管理者など業務遂行に不可欠な資格を持つ従業員の離職・独立により、工事の受注や、施工そのものがままならなくなった中小建設業者の倒産が目立ち始めた。

引用:Yahoo!ニュース

総じて労働集約型にある理美容業界にとって、「人手不足への対応」が急務だ。今年 9 月には、 フィットネスクラブ併設型のエステサロンを全国 30 店舗経営していた(株)ビーゲイト(川崎市 麻生区)が事業を停止した。同社は多店舗化に見合う集客を得られず、エステティシャンの確保も進まなかったことが主な破綻要因となった。

引用:新日本法規

退職による人手不足を解消するためのポイント

次の施策を講じて退職の原因を解消すると、人手不足を回避できる可能性があります。

  • 社内コミュニケーションを活性化させる
  • 給与の評価基準を明確にする
  • 経営理念を設定する
  • OJTを実施する
  • 働き方改革に取り組む
  • 採用を強化する

それぞれについて具体例を交えて解説します。

社内コミュニケーションを活性化させる

食事会や1on1ミーティング、イベントを開催して社内コミュニケーションを活性化させると、上司や同僚間の人間関係が改善されて退職を防げる可能性があります。

具体的には次のような事例があります。

新たに採用した新卒社員、中途社員に対して、入社半年後に「新入社員フォローアップ懇

談会」という昼食会を実施している。この懇談会では、人事担当者が新入社員に対し、①仕

事に慣れたかどうか、②担当している仕事についての理解度、③仕事を苦痛に感じていない

かどうか、④先輩の指導や教え方、⑤職場の人間関係、⑥職場内のいじめや嫌がらせの有無、

といった点をたずね、就業状況について把握するとともに、悩みに関する相談に乗るなど定

着に向けた働きかけを行っている。

引用:厚生労働省/製造業「北見木材株式会社」

働きやすさとしては、やっぱり人間関係がすごく大切なので、コミュニケーションを重視して施策をうっています。例えば自分の技術の進捗や抱えている悩みなどを出せる場として、役職のあるメンバーとの1on1ミーティングを全スタッフが毎月行います。その精度を上げるために、役職メンバーには講師を入れたコーチングの勉強会もしているんです。

引用:モアリジョブ/美容サロン「FILMS」 代表 若林紀元さん

給与の評価基準を明確にする

給与の評価基準が不明確だったり、反映されていなかったりすることが従業員の不満につながるケースもあります。そのため従業員の退職を防ぐ場合は、給与基準を明確にすることが大切です。

識学の調査によると、評価の基準が不明瞭だったり、評価が報酬に反映されていなかったりすることが人事評価の不満につながっています。

人事評価に対する従業員の不満を減らすためには、コミュニケーション能力やリーダーシップ、責任感などのあいまいな評価項目の設定を避けることが大切です。評価項目があいまいだと、評価者によって評価にばらつきが生じ、不公平感を覚える従業員が出てくる可能性があります。

そこで評価をできる基準を統一して、従業員に明確に示すことが大切です。たとえば、次のように検定を利用したり、基準を明文化したりすると従業員の納得を得られやすくなるでしょう。

美容の技術には、評価基準がとても曖昧な部分があるんです。たとえばメイクの制作物を見て、それが果たしてできているのか、できていないか。うまいのか、へたなのか。その判断が難しいんですよ。そこで、最低限の知識を持っているかをはかる基準として、この検定(日本化粧品検定)がとても役立っています。技術者の実力を検定取得という目に見えるかたちで知れることは、教育をしている立場からしても非常に助かりますね

引用:モアリジョブ/美容セミナー講師 原口和也さん

ショップとサロン8軒で約80人のスタッフがいましたが、評価基準の明文化にも取り組んできました。リクルート時代にやっていたことをすべて思い出して、ボーナス前にはかなり時間をさいて作業しました。それでスタッフの士気を上げることができたんだと思います。

引用:モアリジョブ/美容家 吉川千明さん

経営理念を設定する

経営理念を設定する場合は、次の4つを意識するとよいといわれています。

  • Mission(使命):与えられた務め、責任を持って果たすべき任務
  • Vision(志):未来への願望や理想像
  • Value(価値観):物事の判断基準
  • Way(行動指針):志を達成したり、価値観に沿った行動をしたりするための方針

具体的な経営理念として、以下の事例が考えられます。

仕事仲間と一言で言っても、すごす時間の長さは家族以上ですよね。なにかの縁があって奇跡的に知り合えた仲間なので、「ずっと一緒に働けるサロン」を作れたらいいなあと思ったんです。独立後新しく立ち上げた僕たちの会社は「一生付き合える仲間になる」という理念を掲げました。この理念は、今も変わっていないんですよ。

引用:モアリジョブ/美容サロン「Velvet on the Beach」 代表 桜井章生さん

”すべてはみんなの幸せのために”というのを経営理念にしています。みんなというのは、お客さまはもちろん、従業員や私たち代表3人のことも含めて。日々ハードにサロンワークをしていると、目の前のことだけに集中して、周りが見えなくなってしまう。それではみんなバラバラになってしまうので、月に何回か朝礼でサロンのコンセプトや目標などが書かれた冊子を、声に出して読み合わせています。“なんのためにしているのか?”“誰のためにしているのか?”というところを再確認して、全員のベクトルをそろえています。

引用:モアリジョブ/美容サロン「Devellope.」 代表 松田直之さん

OJTを実施する

OJTとは、従業員が日常の業務につきながら職業教育を受けることです。ベテラン従業員が退職する前に、OJTを実施すると若手従業員に技術を継承できるため、人材不足の予防が期待できます。

厚生労働省の調査によると、現在の日本企業におけるOJT実施率は63%で、半数以上の企業が実施しています。

内訳をみると、正社員のみに限定する企業が多い結果でした。そこで今後は、正社員以外のパートやアルバイトにもOJTを実施して、正社員に登用を増やすことで離職の抑制や人手不足の予防が期待されています。

OJTをはじめとした従業員教育は、国を上げて支援が進められているので、教育のためのコストを確保する余裕がない場合は助成金の利用を検討するのもひとつの手段です。人材教育に使える「人材開発支援助成金」についての詳細は、次の記事を参考にしてください。

働き方改革に取り組む

働き方改革に取り組むと、魅力のある職場づくりができ人材不足の解消につながります。働き方改革に取り組む際は、はじめに次に示す働き方改革に関連した法律を守ることが大切です。

  • 使用者は、法定の年次有給休暇付与日数が10日以上の全ての労働者に対し、毎年5日、年次有給休暇を確実に取得させる必要があります。
  • 残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。
  • 同一企業内において、正社員と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

引用:働き方改革 特設サイト|厚生労働省

以上の法律を守ることを前提に、さまざまな工夫をして働き方を実施すると人材不足の解消につながります。

僕が結婚した頃からうちのサロンで働き方改革をはじめ、早番・遅番シフトを導入し、労働時間をきちんと法律に合わせようということになったんです。もちろん残業も極力しないように、というルールに。

僕は基本遅番シフトだったので、12時半〜21時半くらいまでの勤務でした。後輩の練習に付き添ったりすると帰宅時間が遅くなることはありましたが、朝はゆったりしていたので、家事をやる時間はわりと確保できていたかなと思います。

引用:モアリジョブ/美容サロン「kisa fata」 テクニカルディレクター ヤマダアキラさん

最近増えてきていると思いますけど、営業中に練習ができるように時間を取ったりしています。スタッフの育成にちゃんと投資するのはもちろん、働き方改革の波に乗る……じゃないですが。僕らの労働環境って決して恵まれているほうではないので、働く時間の管理だったり、環境をちょっとずつ良くしていこうと思っています。パートさんとかも多いので、最近は特にスタッフ1人1人に合わせた勤務体系というか、時短で働くなど、個別で対応するようにしています

引用:モアリジョブ/美容サロングループ「OBJE GROUP」 ジェネラルマネージャー 宮本常男さん

カットもブローもなし、シャンプーとカラーリングにサービスを特化した。店舗で働くスタッフには、休眠美容師を積極的に採用した。美容師は一度現場を離れてしまうと技術力に不安が出てしまう。「最近の流行のセンスについていけない」「厳しい業務に耐えられない」などの不安から、復職を尻込みする人が多い。伊勢地社長は「染髪は難しい作業ではない。有資格者なら簡単に習得できる」と考え、休眠美容師を雇用したカラーリング新業態を2013年2月に開業した。すると1店舗で60人の採用応募が集まるなど、予想を超えた反響があった。60歳代、70歳代の有資格者もいたという。

引用:働き方改革 特設サイト|厚生労働省/美容室「ウノプリール」 社長兼グループCEO 伊勢地亮さん

採用を強化する

退職者をなるべく出さない体制が整ったら、採用を強化して退職によって不足した人材を補いましょう。退職率による業績への影響が大きい場合は、定着率の改善施策と並行して、採用を進めることも大切です。退職しない人材を採用するためには、自社にマッチした人材や労働条件に納得した人材を採用することが大切です。

例えば会社の理念を理解していないスタッフを雇うとすぐに退職する可能性があります。そのため、会社理念への理解を採用条件に加えることで、雇用の安定化を図るケースもみられます。

第一条件は、会社の理念を理解してくれていること。「有名だから」「聞いたことがあるから」という感覚だと、もし入社できたとしても1年くらいで「何か違いました」と辞めてしまうことが多いんです。

正反対の2ブランドを運営している分、合わない考え方を選ぶとすぐ辞めてしまうんだなというのを、すごく実感します。働き方や考え方に共感できていれば、働き始めてすぐに「合わないな」と感じることはないと思うんです。これは新卒、中途を問わず、求めていることです。

引用:モアリジョブ/株式会社エターナル 準執行役員/LallYou 渋谷 代表 守道さん

また求職者が納得できる労働条件を提示するために、人件費以外のコストカットにこだわって人材確保に成功している美容室もあるようです。

人件費以外の経費をどれだけ削れるかです。一番大きいのは家賃。儲けを出すための家賃比率は売上の10%未満が鉄則と言われますが、Lond Bloomでは約2%に抑えられています。この浮いた8%に加えて僕の役員報酬を下げることで、かなりの額をスタッフに還元できています。

引用:モアリジョブ/株式会社One Bloom代表取締役・Lond Bloom 代表/津賀雅也さん

次の記事では自社にマッチした人材を採用するためのコツについて事例を交えながら詳しく解説しているので、参考にしてください。

まとめ

記事の総括

  • 退職で人手不足に追い込まれる場合、いきなり多くのスタッフが辞める連鎖退職のパターンと徐々に退職する人が出てくるパターンがある
  • それぞれの退職の原因や理由を把握して対処することが大切
  • コストをかけずにできることもあるので、まずは費用のかからない施策を実施していくことがおすすめ

退職者が出る状況を放置すると、いくら採用数を増やしても職場に人材が定着せずに慢性的な人手不足に陥ります。

給与アップをすると人手不足に陥るリスクを減らせますが、中小企業の場合それが難しいケースも多いようです。しかし、費用をかけずにできる施策にもさまざまなものがあるので、まずはできることから取り組むとよいでしょう。

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Bizリジョブ編集部
Bizリジョブ編集部では、人材・採用、店舗運営、経営、美容・ヘルスケア業界などで経験があるメンバーで構成されています。 美容・ヘルスケア業界の経営者・オーナー様にとって、リジョブだからこそ集められる価値ある情報をわかりやすくお届けします。