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セルフエステを開業する流れとは? 需要や開業までの流れを解説

セルフエステを開業する流れとは? 需要や開業までの流れを解説

個人でセルフエステの開業を考えているものの、どのような手順で準備を進めていけばよいのかわからない人もいるのではないでしょうか。セルフエステの開業は、正しい手順を踏まえ、ポイントを押さえて準備を進めれば、決して難しいものではありません。

本記事では、セルフエステの需要とメリットを紹介します。また、開業形態とともに、開業までの具体的な流れや成功するためのポイント、活用できる補助金について解説します。

セルフエステの需要

セルフエステとは、プロが施術で使う業務用美容機器を、サロンに来店したお客様自身が操作し、施術を受けるサービスです。元々は、家庭用の美容機器を用いて自宅で施術をすることをセルフエステと呼んでいました。

一般的なエステサロンは、専門技術を持つエステティシャンが施術を提供します。しかし、コロナ禍を経て、より手軽で手ごろな価格でエステを受けたいというニーズが高まりました。

フィットネスジムのように月額制のサブスクリプションでサロンに通う人も現れ、セルフエステの需要は急上昇しています。セルフエステは、エステ業界の新たな事業形態のひとつとして注目されつつあります。

セルフエステを開業するメリット

セルフエステを開業するメリットとして、新規参入のしやすさや、安定的な収入が見込めることなどがあげられます。ここでは、セルフエステを開業するメリットを解説します。

新規参入しやすい

セルフエステサロンの開業に、特別な資格や許可は必要ありません。エステティシャンという職業自体に、国家資格が存在しないためです。そのため、美容業界での経験や知識がなくても、セルフエステサロンを開業できます。

必要な備品を準備し、マシンの使い方を説明できるスタッフがいれば開業できるため、参入のハードルは低いといえるでしょう。施術用のベッドを複数配置する必要がなく、省スペースで開業できる点も魅力です。

安定的な収入が見込める

セルフエステは、月額定額制のサブスクリプション方式と相性がよい業種で、多くのサロンでこの料金形態が採用されています。従来のエステサロンでは、初回の施術後、まとまった回数のコース契約を提案する方法が主流です。そのため、リピーターを確保するには、施術品質を超えて顧客をコース契約に導かなければなりません。つまり、エステティシャンのクロージング力が必要でした。

その一方、セルフエステでは、月々の定額を支払うお客様が継続利用するため、リピーターを確保しやすくなります。お客様の滞在時間が短く、回転が速いため利用者を増やしやすく、売上げを安定して獲得できます。

採用や教育のハードルが低い

セルフエステサロンのスタッフ業務は、受付や接客、清掃が中心です。専門知識を要する機器のメンテナンスは、専門業者が担当します。そのため、従来のエステサロンと比べると、採用や教育のハードルは低いといえるでしょう。

美容業界の経験がない人を雇用しても問題ありません。施術スキルが求められない点をふまえると、むしろ接客業の経験を重視して採用活動をするとよいでしょう。

人件費が抑えられる

セルフエステは施術スタッフが不要なため、人件費を最低限に抑えられます。従来のエステサロンでは、お客様1人に対し、最低でも1名の施術スタッフが必要です。スタッフを増やせば客数は増えるものの、スタッフ数に比例して人件費も増加してしまいます。

セルフエステであれば、客数とスタッフ数は比例しません。人件費は最小に抑えながら、売上げを伸ばせます。

備品や消耗品費が安い

セルフエステは、備品や消耗品にかかる費用も抑えられます。従来のエステサロンの場合、お店のコンセプトに合わせてタオルやシーツを選定する必要がありました。使い心地のよいものを選んだり、使用の度にクリーニングに出したりするため、費用がかかります。

セルフエステサロンでは、ペーパータオルや使い捨てのシーツカバーなどに切り替えて営業することも可能です。備品一式を比較的安価に済ませられます。

従来のエステと競合しない

従来のエステサロンと競合しにくい点も、セルフエステの強みです。エステ業界の市場は成熟しており、すでに多くの形態のエステサロンが存在します。

しかし、セルフエステは「短時間で済ませたい」「接客を受けたくない」「肌や身体を見られたくない」といった、従来のエステとは異なるニーズを持ったお客様がターゲットになります。

そのため、従来のエステサロンと顧客の取り合いになりにくいのです。すでにエステサロンが多くあるエリアでも、集客できる可能性があります。

セルフエステの開業形態

セルフエステの開業形態には、独自開業とフランチャイズがあげられます。ここでは、それぞれの開業形態について、解説します。

独自開業

独自開業は、フランチャイズに加盟せず、すべて自分で準備して開業する方法です。他店との差別化が図りやすく、競合店に対抗できるサービスを提供しやすいことがメリットです。

マーケティングから経営までの創意工夫が、そのまま売上げとして反映されやすく、モチベーションも保ちやすいでしょう。

オリジナリティの高いサロンを作りたい人や、自分が主導権を持って経営したい人に向いている開業形態です。

フランチャイズ

フランチャイズは、加盟店が本部にロイヤリティを支払い、商標やビジネスのノウハウなどを得るシステムです。本部からのサポートが受けられる点が、フランチャイズに加盟する主なメリットといえます。

本部が持つ経営ノウハウや精度の高い情報を得られるため、ゼロから自力で事業を始めるのはハードルが高いと感じている人におすすめの開業形態です。ただし、ロイヤリティを支払う必要があるため、独自開業と比べるとコストはかかります。ロイヤリティは定額のケースと、月々の売上げから一定の割合を支払うケースがあります。

セルフエステを開業する流れ

セルフエステを開業する際は、以下の準備を段階的に進めていく必要があります。

  1. 開業形態を決める
  2. 事業計画を立てる
  3. 開業資金を調達する
  4. 物件を見つける
  5. 店舗を準備する
  6. 開業届を提出する
  7. 宣伝する
  8. スタッフを採用する

ここでは、セルフエステを開業するまでの一般的な手順を見てみましょう。

1.開業形態や開業場所を決める

初めに、独自開業かフランチャイズのどちらでセルフエステを開業するかを決定します。開業する場所についても検討しましょう。自宅や賃貸マンションで開業すると、家賃や賃料を抑えられます。戸建て住宅で、ローンを払い終えている物件であれば、家賃はかかりません。

賃貸マンションは、テナントを借りる場合と比べて家賃相場は安いため、検討したい選択肢のひとつです。どのように運営したいのか、どのような生活をしたいのかを整理すると決めやすくなります。

BODY ARCHIは、イメージするターゲットに合わせ、隠れ家的な場所で店舗を構えています。

当初は商業施設内やメインストリート沿いの路面店など、目立つ立地を考えていました。でも、BODY ARCHIがイメージするターゲットは30代のワークアウト系の女性であること、自分磨きを目的とする場所であることを考えて、あえて目立つ場所でなく、隠れ家的な場所に切り替えました。

引用:モアリジョブ|BODY ARCHI 人事・採用担当 羽根美緒さん

2.事業計画を立てる

開業形態を決めたら、具体的な事業計画を策定します。セルフエステを開業したい動機を深く掘り下げ、コンセプトや主なターゲット層を明確にしましょう。たとえば「高級エステ機器を使いたい」「落ち着ける空間で過ごしたい」など、ニーズを掘り下げましょう。

コンセプトに基づいて、運営方法や経営戦略、収支計画などを検討し、具体的な事業計画書に落とし込みます。

事業計画書は、これから始める事業をどのように進め、どのようにして収益を上げていくのかを具体的にまとめたものです。開業に必要な資金の調達方法や返済方法などの資金繰りの計画も、併せて考えましょう。

新規開業の場合、経営の実績がまだないため、金融機関からの信用がありません。そのため、事業計画書を丁寧に作成し、事業が成功する見込みがあることを示す必要があります。

マツエクサロン「salon de beaute Jolie」のMihoさんは、過去の採択データや見本を読み込みながら、書き方のコツをつかんだようです。

お金がかかることも多いですが、今は自治体ごとに小規模事業者向けの補助金制度もあるので、そういった情報をしっかりキャッチして積極的に活用しています。

申し込むには事業計画書を書いたり登録手続きをしたり、慣れないうちは大変ですが、過去の採択データや見本を隅から隅まで読むと書き方のコツがつかめてきました。苦手だったことまた1つ克服できたので、いい経験になりました!

引用:モアリジョブ|salon de beaute Jolie オーナー Mihoさん

事業計画書に書くべき内容は以下のとおりです。

  • 事業を始める動機
  • 経営者の略歴(経験やスキルなど)
  • 具体的なサービス内容
  • 従業員数(予定を含む)
  • 現在の借り入れ状況
  • 開業に必要な資金額とその調達方法
  • 事業の将来的な見通し(目標とする売上げ高や予想される経費など)

商工会や商工会議所に相談して事業計画書を作成するのもひとつの方法です。日本政策金融公庫では、次の書式が見本として紹介されています。

1.事業計画書

書式は以下のサイトからダウンロードできます。

各種書式ダウンロード 国民生活事業|日本政策金融公庫

融資を受ける際にも事業計画書の提出が求められるため、商工会や商工会議所に相談しながら作成するのもおすすめです。

3.開業資金を調達する

開業形態や自己資金にもよるものの、開業には少なからず資金が必要です。日本政策金融公庫総合研究所の「2024年度新規開業実態調査」によると、開業費の平均値は985万円、中央値は580万円でした。

開業費用の分布は500万~1000万円未満の割合が最も多く、日本政策金融公庫が公開している「2024年度新規開業実態調査」によると、開業資金の調達先として「金融機関等からの借入」の平均額が780万円でした。

運転資金の目安として、月間の売上げ目標額の3カ月分~6カ月分程度を準備しておくとよいでしょう。また、開業してから数カ月は、集客が安定せず赤字経営になる可能性も考慮し、家賃や人件費などの固定費の支払いが滞ることのないよう、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。

自己資金だけでは開業費用が不足する場合は、外部から資金を調達する方法を検討します。主な調達方法は以下のとおりです。

  • 親族や知人からの借入
  • 民間金融機関や日本政策金融公庫、地方自治体からの融資
  • クラウドファンディングによる資金集め
  • 国や地方自治体が提供している助成金や補助金の活用

内装が何もないスケルトン物件の場合、工事費用が高額になる傾向があります。そのため、前のテナントの内装や設備を利用できる居抜き物件を選んだり、中古やリースの設備や機材を利用したりして、初期費用を抑える工夫をしましょう。

4.物件を見つける

自宅以外で開業する場合は、店舗となる物件を選定します。賃貸物件を探す際のポイントは、以下のとおりです。

  • ターゲット層が集まりやすい立地か
  • ランニングコストを抑えられるか

都市部であれば駅からのアクセスがよい場所、郊外であれば利用者が車で来店しやすいよう、ある程度の広さがある駐車場を備えた場所を選ぶとよいでしょう。

賃貸マンション物件の場合、セキュリティを理由に商用利用を許可していないケースが存在します。そのため、管理会社にサロンの営業が可能な物件か事前に確認しましょう。

また、実際に開業予定のテナントの前を通る人々の年齢層や性別といった属性や、時間帯ごとの人通りなども確認しておくと安心です。最寄りの駅やバス停からの導線を、利用者の視点に立って確認しましょう。

物件を決めたら賃貸借契約を締結します。物件契約にかかる主な費用は以下のとおりです。

  • 敷金・礼金・保証金
  • 仲介手数料
  • 保険料
  • 前払いで支払う分の家賃

契約時には登記簿謄本(法人の場合)や印鑑証明書、代表者の連帯保証などが必要です。必要書類は事前に確認しておきましょう。

CLEVYは、セキュリティに配慮した物件を選ぶとともに、緊急時に駆け付けられるよう、会社付近で開業しています。

その点を考慮して、店舗はセキュリティ面のしっかりしたマンションの一室にしました。防犯面、感染対策、「人に会いたくない」というニーズに応えるため、予約時間ごとの入れ替え制にしています。またご予約ごとに異なる暗証番号式のキーレスキー、玄関外の防犯カメラの設置、入退室の記録などのセキュリティ対策も万全。会社もすぐ近くにあるので、緊急時はすぐにかけつけられるようになっています。

引用:モアリジョブ|CLEVY エステティシャン 千葉美優さん

5.店舗を準備する

ターゲットに合わせ、リラックスして施術を受けてもらえるようなレイアウトにすると、顧客満足度を高められます。セルフエステサロンでは、マシンのスペックが集客に影響を与えます。

そのため、また使いたいと思うような、効果を実感できるマシンの導入が欠かせません。お客様自身でマシンを操作するため、操作性や安全性への配慮も必要です。マシンを試用した上で、導入するとよいでしょう。

マシンの導入方法には、新品購入のほか、中古品の購入やリースなどの選択肢もあります。マシン導入後のメンテナンスや保証の有無も選定のポイントです。中古品はメーカー保証が切れている場合が多いため、注意しましょう。

マシンにかかる費用は本体だけではありません。消耗品にかかる費用も把握しておく必要があります。

また、SNS発信が集客の主力になることも多いため、設計段階から意識すべきポイントとして「写真や動画で魅力が伝わるか」があげられます。以下のポイントを意識するとよいでしょう。

  • 自然光を取り入れる窓配置
  • ブランドカラーを使った壁面
  • 照明の色温度はやや暖色寄りにする
  • カメラやスマ-トフォン撮影の角度を計算した配置

「シェアしたくなる空間」にしておくことで、広報コストを抑えられます。観葉植物を置いたり個室ブースを設置したりするなど、お客様が安心して施術を受けられる環境を整えることも重要です。

6.開業届を提出する

セルフエステを開業するにあたっては、特別な資格や免許は必要ありません。管轄の税務署に開業届を提出すれば開業できます。個人事業主としてセルフエステを開業する場合は、開業届と併せて税務署へ「青色申告承認申請書」も提出しましょう。条件を満たせば、年間の所得金額から一定額(最高で65万円)を控除できるため、節税効果が期待できます。

開業届を税務署に提出する際に必要な主なものは、以下のとおりです。

  • 開業届(正式名称:個人事業の開業・廃業等届出書。原則として開業日から1カ月以内に提出)
  • 本人確認書類(運転免許証やパスポートなど)
  • マイナンバーがわかるもの(マイナンバーカード、個人番号通知書のコピー、個人番号が記載された住民票の写しなど)
  • 所得税の青色申告承認申請書(青色申告を希望する場合のみ。原則として開業日から2カ月以内に提出)

7.宣伝する

開業後、スムーズに集客につなげるためには、開業前から宣伝活動を始めることが大切です。客単価が上がれば、集客難易度も上がるため、マーケティングを意識した集客戦略を練る必要があります。主な宣伝方法としてあげられるのは、以下のとおりです。

  • 自店のホームページやブログを立ち上げ、情報発信する
  • Googleビジネスプロフィールに登録する
  • インターネット広告(リスティング広告やディスプレイ広告など)に出稿する
  • SNSを活用して情報発信する

モアリジョブが行ったアンケート調査によると、美容室ではホームページの作成やSNSの活用といった、オンラインでの集客活動に力を入れている店舗が比較的多いという結果が出ています。鍼灸院においても、オンラインでの情報発信は有効な手段のひとつといえるでしょう。

▼現在、集客のために導入している方法はありますか? (複数回答)

2.集客のために導入している方法

鍼灸師の鈴木さんは、ターゲット層に刺さるチラシを作成し、集客につなげています。

ターゲットをしぼったチラシを打ったことが大きかったと思っています。ターゲットを決めるにあたっては、出店するエリアの近くを実際に歩いてみてどんな人たちが多いかを目で確かめました。出店エリアは東京の郊外で、公園も多く、妊婦さん、小さな子連れのママさんを多く見かけたんです。そこで「産後ケア」を打ち出したチラシをまいたところ、ママ層にリーチすることができ、集客につながりました。

引用:モアリジョブ|鍼灸師 鈴木むつよさん

ターゲットによって効果的な宣伝方法は異なります。コンセプトを踏まえた上で、ターゲットに刺さる集客方法を選択するとよいでしょう。

8.スタッフを採用する

開業後に店舗の売上げを伸ばしていきたいと考えている場合、スタッフの採用も視野に入れましょう。複数名のスタッフ体制を整えることで、繁忙期でも予約の取りこぼしを防ぎやすくなります。宣伝活動をはじめとした施術以外の業務に取り組む時間的な余裕も生まれます。

スタッフを採用する際は、自社のコンセプトや雰囲気に合った人材を選ぶことが大切です。自店の社風や求めるスキルと合わない人材を採用した場合、早期離職につながり、再度採用活動を行うためのコストが発生します。店舗の運営状況や予算に合わせて、雇用形態を検討することも大切です。

採用コストを抑える工夫も必要です。人材紹介サービスや総合型の求人サイトを利用する方法は、採用単価が高くなる傾向があります。自社の採用ページを充実させたり、SNSを活用して情報発信をしたりすれば、採用ブランディングにつながるため、長期的にみればコストを抑えた採用につながるでしょう。

BODY ARCHIは、ターゲットに合わせ、健康的で爽やかな雰囲気のスタッフを求めています。

BODY ARCHIはエステ事業ですが、お客さまはフィットネスジムに通うような感覚でいらっしゃるので、スタッフには健康的で爽やかな雰囲気が求められます。

引用:モアリジョブ|BODY ARCHI 人事・採用担当 羽根美緒さん

セルフエステの開業を成功させるためのポイント

セルフエステは需要が高まっていますが、すべてのセルフエステが経営に成功するわけではありません。東京商工リサーチの調査によると、エステティック業の倒産は増加傾向にあります。

3.エステティック業の倒産推移

厳しい業界で成功するためには、物品販売やSNS・チラシ・ホームページでの集客のほか、チーム構築や価格設定などのポイントを押さえる必要があります。ここでは、セルフエステの開業を成功させるポイントについて解説します。

物品販売を取り入れる

セルフエステサロンを訪れるお客様は、美容関連に興味が深い人や、美容で悩みごとを抱えている人が大半でしょう。そのような人たちに向け、自宅用の美容家電やコスメの販売をするのがおすすめです。

物品販売であれば、カウンターや施術ルームなど、目につく場所や手に取れる場所に商品を設置するだけで、購買意欲を持ってもらえる可能性があります。物品販売でも利益が出るようになれば、安定的な経営につながるでしょう。

SNSやチラシを活用して集客する

予算を抑えて認知拡大を図る場合は、SNSの活用がおすすめです。多くの人がスマートフォンを使う現代では、SNSによる口コミの効果は計り知れません。最近では、サロン内での写真撮影を許可するところも増えています。

お客様が「自撮り」をし、SNSでその様子を発信してくれれば、口コミによる集客を狙えます。「シェアしたくなる空間」を作ることが、広報コストを抑えるポイントです。チラシを作成してサロン周辺でポスティングするのもおすすめです。

ホームページを充実させる

お客様は、セルフエステの利用を検討する際にホームページを閲覧する傾向にあります。そのため、ホームページを充実させれば、利用を迷っている人に対するアピールになります。

清潔感やわかりやすさはもちろん、予約しやすい動線作りも意識しましょう。マーケティングに取り組む際には、景品表示法や薬機法、医師法、医療法といった関連する法律を遵守した広告表現を心がける必要があります。

たとえば以下の内容は広告に記載できないため、書き方に注意する必要があります。

  • 「むくみが消える」や「細胞を活性化する」など、症状の具体的な記載
  • 「治療」や「治る」などの表現(「治療」は「施術」に変更する)
  • 法律以外の疑似医療行為
  • クリニックや治療院などの医療機関と混同される表現
  • 「最先端」「満足度No.1」などの誇大広告や比較広告

施術のトラブルに備える

業務用美容機器の使用はプロの使用を想定しており、お客様の使用にはケガや身体の不調を招くリスクが伴います。国民生活センターの調査によると、セルフエステの相談件数は決して少なくありません。

▼「セルフエステ」に関する相談件数

4.「セルフエステ」に関する相談件数

料金設定や解約時の違約金など、金銭的なトラブルも考えられます。毎回スタッフが説明できるとは限りません。認識の違いによりトラブルに発展するケースもあります。お客様にとって利益になる部分だけでなく、不利益になる部分も説明することが大切です。

施術のトラブルに備え、以下のような準備をしておきましょう。

  • お客様目線で資料を作成する
  • マシンの試運転を毎日実施する
  • メーカーによるメンテナンスを定期的にする
  • 保険に加入する
  • 同意書へのサインをもらう

施術メニューは幅広く用意する

セルフエステは差別化がしにくいため、施術メニューで工夫をしましょう。ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、セルフエステでニーズが高かったのは「脱毛」でした。

セルフエステを選ぶ主な理由は、以下のとおりです。

  • 自分の好きな箇所だけを好きなだけ施術できるから:41.0%
  • 気軽だから:28.2%
  • 短時間で済む・済みそうだから:28.2%
  • スタッフなど、人と話さなくていいのが気楽だから:28.2%
  • スタッフに肌・体を見られたくないから:28.2%

この結果からは「自分で処理はしたいけれど効果のあるサロン機材を使いたい」というニーズが見えてきます。意識したいのは施術メニューの幅広さです。

お客様の希望にあわせて、さまざまな場所をケアできるメニューを展開するとよいでしょう。業務用美容機器は、メーカーによって機能も性能も価格も異なります。安全性や操作性のよさ、省スペースでも施術しやすい多機能なタイプなど、実際に導入後のイメージをしてから選んでみてください。

施術と組み合わせるのもひとつの方法です。CLEVYは、エステティシャン派遣オプションを提供し、差別化を図っています。

施術面に不安がある場合は、「エステティシャン派遣オプション(30分¥3,300~)」をご利用いただければ私が施術します。また新規のお客様の場合は、最初のカウンセリングや機械の使い方の説明などが必要になるため、必ず私が立ち会うことになっているんです。

引用:モアリジョブ|CLEVY エステティシャン 千葉美優さん

カウンセリングにはオンラインも活用できます。Shebelle代官山では、24時間体制でのオンラインカウンセリングサービスを提供し、集客につなげています。

オンラインカウンセリングのご連絡は24時間いつでも私のもとに届き、なるべく早くにご返信をしているので、『本当にパーソナルに寄り添ったサポートができている』と思っています

引用:モアリジョブ|Shebelle代官山 杉本さん

チームを作る

将来的に売上げを伸ばしていきたいのであれば、スタッフを採用し、チームで運営していくことも必要です。売上げが拡大するにつれて、やるべき業務が増え、ひとりでは手が回らなくなるケースは珍しくありません。

そのような場合には、案内を担当するスタッフを採用してオーナー自身がマーケティング活動に注力したり、ブログやSNSの運用経験があるスタッフを雇用してマーケティング業務を任せたりといった体制づくりが必要です。

助産師ヨガ講師のSAKIEさんは、それぞれの得意なスキルを活かせるような仲間作りを意識し、オンラインサロンを作り上げました。

最初からひとりでやろうとは思っていなかったので、仲間作りはすごく意識してやりました。 

まず、ママたちが生き生きと健康でいられる世の中を作りたいというビジョンは明確にありました。

私はインストラクターやるね。じゃあ私はZOOMの入室管理。私は告知のサムネイルとチラシを作るねという感じで、それぞれが得意を生かしてオンラインヨガサロンを作り上げていきました。それがどんどん波及していって、参加したい人が増えて、参加した方が「私も運営側になりたい」と言ってくださり、いま運営メンバーが30人くらいいるんですよ。 

引用:モアリジョブ|助産師ヨガ講師  SAKIEさん

理想の価格と最低限維持すべき価格を決める

利用料金を決める際に重要なのは、料金を安く設定し過ぎないことです。料金を安く設定した結果、忙しいにもかかわらず利益が上がらないという状況に陥るケースが珍しくありません。

まずは、目指したい理想の目標売上げと、経営を維持するために最低限確保しなければならない売上げ額を具体的に決めます。そこから、1日に対応可能な人数を考慮して逆算し、理想とする価格と、最低限維持すべき価格を割り出します。決定した価格を地域の競合の価格と比較しつつ、最低限維持すべき価格を下回らないように、提供するサービスの価格を決定しましょう。

ホットペッパービューティーアカデミーの調査による理想の金額と支払ってもいい金額が参考になります。

5.エステサロンでの理想の金額と支払ってもいい金額

ご覧のように、「フェイシャル」は、セルフエステの金額のほうがスタッフ施術のエステより高くなっています。この結果からは「多少金額が高くても自分の好きな時間に利用できる」ことにメリットを感じている人がいると考えられます。

たとえばフェイシャルの場合、従来のエステよりも高めに設定しても集客できるでしょう。必要な売上げとニーズとのバランスを考慮しながら施術の価格を設定すれば、経営的に無理なく顧客満足度を高めることにつながります。

運用コストを把握しておく

セルフエステを運営するには、必要となるコストにどのような項目があるのかを把握しておくことが大切です。セルフエステを開業する場合に必要なコストの項目は以下のとおりです。

  • 固定費:売上げの増減にかかわらず、毎月発生する費用(家賃・人件費・通信費・広告費・水道光熱費など)
  • 変動費:売上げの増減に伴って変動する経費(材料費・消耗品・雑貨・清掃用品・修繕費用・交通費など)

健全な経営を続けるためには、これらの経費の種類や、それぞれの費用が全体の支出に占める割合などを把握し、管理することが重要です。

キャッシュレス決済を導入する

近年では、クレジットカードや電子マネー、QRコード(バーコード)決済といったキャッシュレス決済が社会に広く浸透しており、支払い方法としてキャッシュレス決済に対応している店舗を選ぶ利用者が増えています。

日常的に現金を持ち歩かない人も増えており、キャッシュレス決済に対応していないという理由だけで、利用されないケースも珍しくありません。顧客満足度の向上や会計業務の効率化のためにも、ターゲット層のニーズに合わせて、キャッシュレス決済システムの導入を検討しましょう。

予約システムを導入する

セルフエステに限らず、オンラインで手軽に予約ができるサービスが増えています。たとえば、深夜やジムの休業日など、思い立ったときに予約ができなければ、他の予約可能なセルフエステにお客様が流れてしまう可能性もあるでしょう。

ホットペッパービューティーアカデミーが公開する、「美容センサス2025年上期」のデータによると、ネット予約できるかどうかでサロンを選ぶ、という割合が高くなっています。ネット予約システムを導入すれば、24時間365日の予約受付ができるため、機会損失を防げます。

注意したいのが、マシンの使用時間の重複です。個室やスペースごとに機能の異なるマシンを導入している場合は、マシンの空き状況も予約情報に連携する必要があります。車で来店されるお客様がいるサロンであれば、駐車場の空き情報も連携させておきましょう。

セルフエステの開業に活用できる補助金

セルフエステを開業する際には、国や地方自治体が設けている補助金制度を活用できる場合があります。これらの制度を活用すれば、開業時の資金負担の軽減が可能です。ここでは、セルフエステの開業時に活用を検討できる代表的な3つの補助金を紹介します。

また、これら以外にも、地域によっては以下のような独自の補助金や助成金制度が設けられている場合があります。

  • 東京都:「創業助成事業」「商店街起業・承継支援事業」「創業支援事務所等賃料補助金」
  • 大阪府:「大阪起業家グローイングアップ補助金」
  • 愛知県:「あいちスタートアップ創業支援事業費補助金(起業支援金)」「令和5年度名古屋市スタートアップ企業支援補助金」
  • 北海道:「さっぽろ新規創業促進補助金(札幌市経済観光局経営支援・雇用労働担当部商業・経営支援課)」

ご自身の開業予定地域で利用できる制度がないか、確認してみましょう。

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、小規模事業者の販路開拓や業務効率化への取り組みに対して、その経費の一部を補助する制度です。対象となるのは、常時雇用している従業員の数が20人以下である事業者です。ただし、商業・サービス業のうち宿泊業と娯楽業を除いた業種では、従業員数が5人以下の事業者が対象となります。

この補助金を利用するためには、地域の商工会議所や商工会から支援を受け、申請手続きを進める必要があります。セルフエステの開業時にこの補助金を活用する場合は、創業支援に特化した「創業枠」に申し込むとよいでしょう。

条件を満たせば、インボイス発行事業者としての特例と合わせて、最大で250万円までの補助を受けられる可能性があります。

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、新しいサービスの開発や試作品の製作、生産プロセス改善に向けた設備投資などに対して、その費用の一部を補助する制度です。すでに創業している中小企業または個人事業主として開業している事業者が対象です。

過去には、整体院や整骨院がエコー測定器を導入した際に、この補助金が活用された事例があります。従来のセルフエステではあまりみられないような、新しいサービスや独自の仕組みを導入していくことが、補助対象となる条件です。

たとえば、新しいサービスを提供するために必要な専用の機器やシステムを導入する際の投資などが該当します。

IT導入補助金

IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者などが、生産性向上を目的としてITツールを導入する際に、その費用の一部を補助する制度です。セルフエステの開業時であれば、IT導入補助金の申請要件を満たせるため、申請できます。

対象となるのは、業種ごとに定められている資本金や従業員数の上限が、国が定める基準以下である法人または個人事業者です。IT導入補助金を申請するためには、国から認定されたIT導入支援事業者と連携して手続きを進める必要があります。

▼IT導入補助金に申請する事業者と支援事業者の関係

6.IT導入補助金に申請する事業者と支援事業者の関係

引用:IT導入支援事業者とは|IT導入補助金2025

IT導入補助金を活用するためには、IT導入支援事業者により当該のITツールが、あらかじめ補助金対象として登録されている必要があります。セルフエステに関連するツールとしては、以下のものがあげられます。

  • 電子カルテシステム
  • オンライン予約システム
  • キャッシュレス決済サービス
  • モバイルオーダーシステム(健康グッズなどの販売をする場合)
  • ECサイト構築システム(健康グッズなどの販売をする場合)
  • 勤怠管理システム
  • 会計システム など

これらのITツールの導入により、業務の効率化や顧客満足度の向上を図る際の費用負担を軽減できます。

まとめ

セルフエステは、手軽にプロ仕様の美容機器を使いたいというニーズの高まりから、注目を集めています。特別な資格がなくても開業でき、人件費や消耗品費を抑えられるため、新規参入しやすいビジネスといえるでしょう。

セルフエステを開業する際は、以下の手順で段階的に準備を進めていく必要があります。

  1. 開業形態を決める
  2. 事業計画を立てる
  3. 開業資金を調達する
  4. 物件を見つける
  5. 店舗を準備する
  6. 開業届を提出する
  7. 宣伝する
  8. スタッフを採用する

セルフエステで成功するためには、物品販売やSNS・チラシ・ホームページでの集客のほか、チーム構築や価格設定などのポイントを押さえる必要があります。また、キャッシュレス決済や予約システムなど、システムの導入も集客につながります。

本記事で解説した内容を参考に、セルフエステ開業に向けて動きましょう。

田仲ダイ(Tanaka Dai) プロフィール画像
執筆者情報
田仲ダイ(Tanaka Dai)
エンジニアリング会社にて、人事・採用・従業員評価・業務管理・部門管理・社内監査など、さまざまな業務に計14年従事。これまでの経験を活かし、bizリジョブ編集部では、採用や店舗経営に役立つリアルな情報を記事として発信する。