個人で鍼灸院を開業したいけれど、失敗を恐れて不安を抱いている人もいるのではないでしょうか。たしかに鍼灸院を開業した人全員が成功するわけではありません。しかし、開業で失敗する理由や、やりがちな失敗を知れば、事前に取るべき対策がみえてきます。
本記事では、鍼灸院の開業で失敗する理由や開業後にやりがちな失敗とともに、成功するための心構えについて解説します。
鍼灸院の開業で失敗する理由
東京商工リサーチの調査によると、整骨院・療術・マッサージ業者の倒産は増加傾向にあります。
パソコンやスマートフォンなどの利用による身体への負担から、鍼灸院へのニーズは高まっているものの、需要を上回る店舗数が存在するため、競合との争いが起きているのが現状です。
厚生労働省の調査によると、令和6年の「あん摩、マッサージおよび指圧を行う施術所等の数」は145,280件でした。日本フランチャイズチェーン協会の調査(コンビニエンスストア統計調査年間集計(2024年1月から12月))によると、2024年末時点の全国のコンビニエンスストア店舗数が55,736店舗であり、約3倍もの施術所が存在しています。
需要を超える施術所があることで競合争いが起き、業績不振に陥る店舗がでてくると考えられます。ここでは、競合との争いに敗れ、開業に失敗してしまう理由について解説します。
立地のリサーチ不足
鍼灸院の開業時に重要なのが、店舗の立地です。鍼灸院の場所が需要の少ないエリアの場合、集客が難しくなります。集客のための広告費用がかさみ、経営の負担が増える可能性もあります。需要が少ないエリアの主な特徴として挙げられるのは、以下のとおりです。
- 競合の他院が多い
- 地域の人口が少ない
- 人通りが少なく目立たない場所にある
- 公共交通機関でのアクセスが悪い
店舗の賃貸契約を結ぶ前に物件の周辺を確認し、地域の需要を確認しましょう。公的データを参考に人口統計や世帯数を調べ、現地に足を運んで調査を行うのがポイントです。
顧客の分析不足
想定する顧客の分析が不足したまま開業してしまうケースがあります。ターゲット層が違えば、メニューのニーズも、接客で求められることも異なります。
例えば、地方で高齢者を対象とするのであれば、敬語を使わずに親しみやすく接すると関係性を構築しやすいでしょう。しかし、都心でビジネスパーソンを対象とする鍼灸院で同じように接しても、関係性を構築するのは困難です。
想定するターゲットがどのような雰囲気やサービスを期待しているのかを、開業前に分析する必要があります。商圏内の住居分布や患者の性別、年代、家族構成などを調査し、メインターゲット層を把握しましょう。
リピート率や離反率、メニューの人気なども分析すると、ニーズを深く理解でき、新しいサービスの開発につながります。
基本的なサービスの不足
施術のレベルが高いものの、部屋に埃がたまっていたり、トイレが清潔でなかったりなど、施術以外のサービスがおろそかになっている鍼灸院があります。競争が激しい鍼灸院では、施術以外のサービスも選ばれるポイントです。
定期的な清掃や整頓はもちろん、明るく清潔感のある内装を意識すると、利用者によい印象を与えられます。顧客満足度を上げるためにも、施術以外の基本的なサービスの質を上げることが大切です。
白金鍼灸サロンフュームの折橋さんは、リピーターが増えなかった時期の課題として接客での気遣いを指摘されたそうです。
鍼灸師としてキャリアがあったので、けっこう上手くやれると思っていたんです。ところが、リピーターが全然つかなくて…。
ある日サロンのチーフが私を呼んで、「折橋さんは技術はしっかりしているけれど、接客全般でお客さまへの気遣いが足りないかな」って教えてくれたんです。
引用:モアリジョブ|白金鍼灸サロンフューム 美容鍼灸師 折橋梢恵さん
Siranの麻生さんは、施術以外のサービスとして、Siranオリジナルティを提供し、顧客満足度向上につなげています。
施術だけでなく、サロンに来てもらうのが楽しみだと感じてもらえるようなエッセンスがあったらいいなと常々考えています。そのひとつが、Siranオリジナルティです。異業種交流会で、スリランカに農園を持っている方と知り合い、その方の思いに賛同して作らせていただきました。思いがあるものには、共感していただける方が多いですね。
引用:モアリジョブ|Siran オーナー 麻生恵里さん
集客戦略の不足
鍼灸院を開いて待っているだけで、来院者数を増やすのは困難です。集客の仕組みを理解し、戦略的に施策を講じなければ、集客に結びつきません。
例えば、SNSを利用しない高齢者が多い地域で、SNSに力を入れても効果は限定的でしょう。逆に、SNS利用者が多い地域では、SNSを活用しなければ集客の機会を逃す可能性があります。
自院の特性や利用者の傾向とともに、エリアの特徴やターゲット層に適した集客方法を検討しましょう。また、具体的な数値に対する目標設計も欠かせません。以下の項目は確認するようにしましょう。
- 総純患者数
- 新規患者数
- 離反率
- 1日当たりの来院人数
- 1人当たりの来院平均
- 1回当たりの単価
目標に対して進捗状況を把握し、分析と改善を繰り返すことが大切です。
差別化の不足
鍼灸院の競争は激しいため、他院との差別化が求められます。競合にはない独自のサービスを提供すれば、利用者に新しい価値を届けられ、自院が存続できる可能性が高まります。競合と差別化するうえでのポイントは、以下のとおりです。
- 顧客分析を徹底する
- ターゲット層に合ったメニューを設ける
- コンセプトを明確にする
- あえて異なる視点を取り入れる
差別化するためには、開業を予定している地域にある競合が、どのような施術メニューを提供しているのかを調べてみるとよいでしょう。鍼灸院だけでなく、整体院やマッサージ業者のメニューも調査対象です。
アイム鍼灸院では、クリニックと連携して東洋医学での治療をしていることを強みと捉え、集客につなげています。
当院の一番の特徴といえるのが、クリニックと連携して質の高い東洋医学での治療を行っていることです。激戦区といえども、このスタイルを持っているのはまだまだ少ない。だからこそ、他院との差別化になっていると思っています。
引用:モアリジョブ|アイム鍼灸院 総院長 横山奨さん
仕組み化・自動化の不足
鍼灸院の業務内容は、施術・顧客管理・集客・経理など多岐にわたります。特に開業時は作業量が多く、鍼灸師1人では業務に支障をきたしたり、利用者に迷惑をかけたりする可能性があります。
そのような場合に必要となるのが仕組み化と自動化です。仕組み化とは、業務や作業の進め方を定め、単純化することです。仕組み化により、毎回発生する業務をスムーズにこなせるようになります。
自動化とは、人間が行っていた作業やプロセスを、機械やソフトウェアなどに代替させて、人間の介入を最小限に抑えることです。自動化により作業工数を大幅に削減できます。
仕組み化や自動化の方法として、電子カルテアプリや予約システム、経理ソフトなどを活用する方法があります。利用者に迷惑をかけないためにも、仕組み化と自動化の準備を事前に進めておきましょう。
運転資金の不足
鍼灸院の開業には、物件の取得費用や内装工事費、備品の購入費用、広告宣伝費などの資金が必要です。これらの費用とは別に、経営が軌道に乗るまでの運転資金も確保しておかなければなりません。
日本政策金融公庫総合研究所の「2025年度新規開業実態調査」によると、開業費の平均値は985万円、中央値は580万円でした。また同調査によると、開業費用の分布は500万〜1,000万円未満の割合が最も多く、開業資金の調達先として「金融機関等からの借入」の平均額が780万円でした。
運転資金の目安は、月間売上の3〜6か月分程度といわれています。開業してから数か月は、集客が安定せず赤字経営になる可能性も考慮し、家賃や人件費などの固定費の支払いが滞らないよう、余裕を持った資金計画を立てることが大切です。
施術スキルの不足
鍼灸院は鍼灸師の資格があれば、誰でも開業できます。しかし、利用者が求めるサービスを提供できなければ、リピーターの確保ができず経営が悪化します。施術スキルや技術力を高めるため、関連資格の取得も検討するとよいでしょう。
鍼灸師に役立つ主な資格は、以下のとおりです。
- 柔道整復師
- あん摩指圧マッサージ師
- アロマセラピー
- カイロプラクティック
- スポーツトレーナー
複数の資格を保有すれば提供できる施術が増え、利用者のニーズに応えやすくなります。接客や心理学など、鍼灸院の経営に役立つセミナーに参加するのもおすすめです。
鍼灸院の開業後にやりがちな失敗
鍼灸院の開業後にやりがちな失敗として、以下の4つが挙げられます。
- 利用者の出費を心配する
- 施術時間をかけすぎる
- 予約日を利用者の希望に合わせすぎる
- ネガティブな口コミを放置する
ここでは、それぞれの失敗について解説します。
利用者の出費を心配する
利用者の出費を心配し、低価格に設定したりサービス価格にしたりする場合があります。その結果、売上が上がらず、廃業となるケースは珍しくありません。利用者は、自身の問題を解決したいと思い来院します。
そのため、「自分の技術でここまでお金をもらっていいのか」「利用者にとって負担にならないか」と、利用者の懐具合を心配する必要はありません。利用者のほうがお金に困っていない可能性もあります。
治療家である鍼灸師が心配するべきは、利用者の体であることを忘れないようにしましょう。
施術時間をかけすぎる
サービス精神から施術時間をかけすぎてしまうケースがあります。施術時間を長くすれば、顧客満足度が高まるとは限りません。むしろ、短い時間で問題を解決できたほうが、満足度は高まる可能性があります。
施術時間が長引いた場合、1日に対応できる人数が減り、売上の減少にもつながります。時間内に質の高いサービスを提供することを心がけましょう。収入目標から逆算し、最低ラインの治療時間を把握することがポイントです。
予約日を利用者の希望に合わせすぎる
予約日を利用者の希望に合わせすぎた結果、細かい空き時間ができ、売上が下がるケースがあります。集客につなげるためには、流行っている治療院と思ってもらうことが大切です。そのため、次の予約日時を利用者に決めさせるのではなく、こちらから提案するのが理想です。
例えば、「この時間しか空いていない」と伝え、予約を午前中や午後の早い時間などに固めて入れます。そうすると、利用者同士がすれ違うようになり、人気の院に見せられます。
また、診療時間を固めることで、まとまった空き時間が確保できるため、その時間をマーケティングなどに活用できるのもメリットです。
ネガティブな口コミを放置する
Googleビジネスプロフィールなど、インターネット上のコメント欄にネガティブな口コミが書き込まれるケースがあります。口コミを放置した場合、それを見た人からもネガティブな印象を持たれ、集客に悪影響を及ぼす可能性があります。
コメント欄を確認する人の中には、誠意ある対応をとる治療院かどうかも確認している場合があります。口コミへの対応をSNSで拡散されるケースもあるでしょう。ネガティブな印象が広がらないようにするためにも、口コミには誠意ある対応をすることが大切です。
鍼灸院の開業を成功させるための心構え
鍼灸院の開業を成功させるには、ビジネス視点やリピーターの活用、安売りしすぎないなどの心構えを持つことが大切です。ここでは、鍼灸院の開業を成功させるための心構えを解説します。
鍼灸院の開業を成功させるためのポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。
ビジネスの視点を持つ
鍼灸院において、施術内容や個人のやりたいことは非常に重要です。しかし、お金が循環していなければ経営は続きません。鍼灸院の経営者になるのであれば、鍼灸の知識や技術の他に、経営の知識を身につける必要があります。
健全な経営をするためには、必要となるコストにどのような項目があるのかを把握しましょう。鍼灸院を開業する場合に必要なコストの項目は以下のとおりです。
- 固定費:売上の増減にかかわらず、毎月発生する費用(家賃・人件費・通信費・広告費・水道光熱費など)
- 変動費:売上の増減に伴って変動する経費(材料費・消耗品・雑貨・清掃用品・修繕費用・交通費など)
経営者は、鍼灸院運営の全ての責任を負わなければなりません。クレーム対応や資金調達、集客など、治療以外にもさまざまなことに目を向ける必要があります。経営に関する本を読んだり、セミナーに参加したりするなど、経営やマーケティングについて学びましょう。
ReCORE鍼灸接骨院の山下さんは、独立前にさまざまな治療院で学んだ際、経営や運営に悩まれている院が多い印象を持ち、経営面の勉強の重要さに気づきました。
なかでも記憶に残っているのは、経営や運営に悩まれている治療家の方が多いという印象を受けたことです。治療技術はもちろん大切ですが、独立をするのであれば経営面の勉強もしなくてはいけないという現実を知ることができたと思います。
引用:モアリジョブ|ReCORE鍼灸接骨院 院長 山下雅史さん
口コミを活用する
インターネット上のコメント欄にネガティブな口コミが書き込まれると、集客に悪影響を及ぼす可能性があります。書き込まれた内容が事実である場合は、意見をくれたお礼とともに、改善の意思を書き込みましょう。事実ではない場合は、丁寧に反論することが大切です。
口コミはネガティブなものだけではありません。ポジティブな口コミをしてもらえるような接客ができれば、集客に期待できます。
「TSL とがし整体Labo」や「Siran」は、丁寧な接客や施術によりポジティブな口コミが広がり、集客につなげています。
施術でお客様のニーズをきちんと満たすことができれば、こちらからお願いしなくても自然と口コミを書いて下さったり、SNSなどで発信して下さるんだと分かりました。
そこで、着実に技術を磨いてきた僕のこれまでの行動は間違ってなかったんだと大きな自信につながりましたね。それにお客様が感じたことをありのままに書いて下さった口コミは、他院と比べてとても具体的に書かれているため、新たなお客様の来店にもつながりやすく日々ありがたみを感じています。
引用:モアリジョブ|TSL とがし整体Labo 代表 富樫こうちさん
知り合いにヨガのインストラクターの方がいて、その方に施術体験してもらったところ、とても気に入ってくれて、インスタにあげてくださったんですね。そうしたら、ヨガの生徒さんたちも来てくれて、いまだに通ってくださっている方もいらっしゃいます。わたし自身、SNSがあまり得意じゃなかったんですが、やはりSNSの力は大きいですね。
引用:モアリジョブ|Siran オーナー 麻生恵里さん
リピーターを狙う
経営を安定させるうえで欠かせないのが、リピーターの存在です。リピーターが増えれば広告を出さずに安定した売上が見込めるだけでなく、リピーターの口コミによる新たな利用者獲得にもつながります。
リピーターの獲得には、利用者に「通う価値がある」と思ってもらうことがポイントです。利用者の問題を解決するだけでなく、気持ちに寄り添うような対応をすれば、自然に価値を見出してくれます。
来院履歴がある利用者へのアプローチも大切です。長く来院していない利用者の中には、存在を忘れていたり治療の必要性を感じていない人もいます。そのような利用者には、DMで現在の様子を確認し、来院を促しましょう。
鍼灸師の白石さんは、次回以降も来院してもらうため、眼の前の利用者さんに対し、何らかの成果を残せるよう取り組んでいます。
目の前の患者様に対して成果を上げられなければ、この方がまた次にいらっしゃることはないし、その先のご紹介もなくなってしまうかもしれないという危機感が常に私にはあったんです。だからこそ患者様の身体をどのように改善していくかということを、追求していました。
すべての施術において必ず何らかの成果を上げるということは決めていました。たとえば五十肩で肩が上がらない患者様がいたとして、1回の施術で完璧に改善するということはなかなか難しく、数回通っていただくことになります。
引用:モアリジョブ|鍼灸師 白石明世さん
メニューを限定する
提供できるメニュー数が多いこと自体は悪くありません。しかし、利用者からすると、どのメニューが良いのかわからず、ネガティブな要素として受け止めてしまう恐れがあります。利用者の選びやすさを考慮するのであれば、提供するメニュー数は限定するのがおすすめです。
メニュー数を限定すれば、院の強みや特徴が伝わり、差別化やブランディングにもつながります。
お灸堂の鋤柄(すきから)さんは、差別化を狙い、メニューをお灸のみに絞りました。それにより集客に成功しています。
京都には有名な鍼灸師の先生も大勢いらっしゃいますし、若手の私は差別化しないと経営を立ちいかせるのは困難だと思って、ポジションがあいていたお灸の専門院にすることにしました。メニューを増やすと複雑化するし、そもそもできないことも多いので、お灸のみにしぼったんです。その後はSNSなども活用しながら徐々に集客できるようになっていったんです。
引用:モアリジョブ|お灸堂 院長 鋤柄誉啓(すきから たかあき) さん
安売りしすぎない
集客がうまくいかない場合、施術料金を下げるケースがあります。施術料金を下げると利用者数は増えるかもしれません。しかし、一人当たりの単価が下がるため売上が上がらず、赤字になってしまう可能性があります。
また、自院が施術料金を下げたことで、周辺の競合も料金を下げ始めるケースがあります。そうなると価格競争が発生し、その地域の相場自体が下がってしまう状況になり、共倒れになってしまう可能性もあるでしょう。
目指したい理想の目標売上と、経営を維持するために最低限確保しなければならない売上額を具体的に決めます。そこから、1日に対応可能な施術人数を考慮して逆算し、理想とする価格と、最低限維持すべき価格を割り出します。
算出した価格帯を基に、地域の競合店の料金設定なども参考にしつつ、最低限維持すべき価格を下回らない範囲で、提供する施術サービスの価格を決定しましょう。
J-Net21の調査によると、鍼灸院の1回当たりの利用金額は「3,000円未満」での利用が50%と最も多く、次いで「3,000円~4,999円未満」「5,000円~9,999円未満」でした。全体で、3,000円が1回あたり利用金額の相場であろうと推定されます。
店舗経営を維持するために必要な売上とニーズとのバランスを考慮しながら施術の価格を設定すれば、経営的に無理なく顧客満足度を高めることにつながります。例えば、1回の施術時間を15分・30分・60分のように複数設定し、それぞれの時間に合わせて料金単価を設定すれば、売上を確保しつつ利用者からの多様なニーズにも応えられます。
「Forme Face&Body」の福田さんは安売りしないよう、ブランディングを意識し、施術満足度や空間満足度、時間単価を加味した施術料金にしています。
開業時に、『施術満足度』『空間満足度』『時間単価』などを加味して施術料金の見直しを行いました。
1人になると、料金を下げてしまえば給料も下がります。同じだけ稼ごうと思ったら実働時間を長くするしかありません、そうすると身体への負担が大きくなり、疲労度が変わってきますよね。そのバランスを見直す必要がありました。
1人運営なら自分の施術を安売りしないことが、ブランディングにもつながると思います。
引用:モアリジョブ|Forme Face&Body 代表 福田篤志さん
コミュニケーション力を磨く
鍼灸院では、施術前に利用者の状態や悩み、要望などを詳しく伺うカウンセリングを行います。その際、利用者と円滑にコミュニケーションが取れなければ、悩みや体の状態を正確に引き出せません。
施術に関する会話だけでなく、何気ない雑談や打ち解けた会話が自然にできるようになれば、利用者との信頼関係も深まります。良好な関係性を築ければ、口コミや紹介による新規顧客の獲得も期待できるでしょう。
鍼灸師の白石さんは、利用者との信頼関係を重視し、誠実に対応することを意識しています。
鍼灸師と患者様との関係性のなかで何より大切なのは信頼だと思っています。誠実でいることを心掛けてきた結果、治療をすべて任せてくださる患者様も増えてきました。そして信頼をしていただいているからこそ、その思いに絶対に応えなくてはいけないという気持ちも強くなります。
引用:モアリジョブ|鍼灸師 白石明世さん
川口元郷名倉堂接骨院の森永さんは、コミュニケーションを重視し、来院から見送りまでの声掛けを重要視しています。
コミュニケーションを大事にしています。完全予約制で何時に誰が来るのか分かっているので、カーテン越しでも「鈴木さんこんにちは」と声をかけ、お見送りのときは「お大事に」だけでなく「風邪気をつけてね」とか必ず一言二言軽いアドバイスも。来院からお見送りまで、僕から声をかけて僕で終わるように心がけています。
引用:モアリジョブ|川口元郷名倉堂接骨院 院長 森永悠介さん
施術スキルを高める
集客がうまくいったとしても、施術スキルが低ければ、利用者は満足せず、リピーターにはつながりません。スキル不足に関する良くない評判が口コミで広がってしまうと、その後の集客はさらに困難になる可能性があります。
鍼灸院を長く続けていくためには、常に新しい知識や技術を学び続け、自身の施術スキルを高めていくことが大切です。
鍼灸師の白石さんは鍼灸師になった当時、専門学校で学んだスキルだけでは足りないことを実感し、勤務後も研鑽を続けました。
専門学校で国家試験に合格するだけの技術や知識を身につけてはいましたが、正直身体のつぼが分かっていて鍼がさせる位のレベルだったと思います。鍼がさせることと身体の状況を改善させるということは全く別の次元の話しだということ、教科書通りに鍼を打ったとしても治るとは限らないのだと毎日実感する日々でした。
3年で独立をするということを決めていたので、このままではだめだという思いもあり、鍼灸院での勤務が終わった後に家に友人やその紹介で来ていただいた人を呼んで施術をさせてもらったり、お休みの日もすべて返上して施術を繰り返していました。少しでもうまくなりたいという気持ちがとても強かったんです。
引用:モアリジョブ|鍼灸師 白石明世さん
「Forme Face&Body」の福田さんは、定期的にセミナーに参加したり施術者同士で交流したりすることで、新しい情報をインプットするようにしています。
セミナーなどに行って新しい情報を入れることは、定期的にしています。あとYouTubeの美容系チャンネル「Fann Channel」に出させていただいてから、施術者同士のつながりができたので、情報交換をしたり意見をもらったりするようになりました。
引用:モアリジョブ|Forme Face&Body 代表 福田篤志さん
チームを作る
将来的に売上を伸ばしていきたいのであれば、スタッフを採用し、チームで運営していくことも必要です。売上が拡大するにつれて、施術以外にもやるべき業務が増え、ひとりでは手が回らなくなるケースは珍しくありません。
そのような場合には、スタッフに施術を任せて自身はマーケティング活動に専念したり、ブログやSNSの運用経験があるスタッフを雇用して情報発信業務を任せたりするなど、役割分担が必要です。信頼できる仲間と協力し、それぞれの強みを活かせば、ひとりでは成し遂げられない成果を生み出せる可能性が高まります。
「晴レヤカ鍼灸治療院」の松岡さんは、仲間と相談しながら進めるメリットが大きいと感じ、信頼できる鍼灸師の仲間とともに治療院を運営しています。
そうなんです。独りでやるのには不安もあったし、家賃負担もキツそうだったので、周りの信頼できる鍼灸師に声をかけて、一緒にやってくれそうな仲間を探しました。相談しながら進めるメリットも大きいと思って。
開業にあたっての契約や内装などの費用負担は私がしています。『代表』と名乗るからにはその辺りのことは私がしっかりしておこうと思って。あとは、営業を曜日で担当してもらって、家賃などを担当分シェアしてもらっているという形です。
引用:モアリジョブ|晴レヤカ鍼灸治療院 代表 松岡有理子さん
「Forme Face&Body」の福田さんは、夫婦でチームを組み、それぞれの得意分野を担当しています。
店舗での施術や運営面は僕、妻はプロデュース面と経理などをしてくれています。HPのコンセプトなども妻が書いてくれたものです。
引用:モアリジョブ|Forme Face&Body 代表 福田篤志さん
スタッフを採用する際は、開業した鍼灸院のコンセプトや雰囲気に合った人材を選ぶことが大切です。自店の社風や求めるスキルと合わない人材を採用した場合、早期離職につながり、再度採用活動を行うためのコストが発生します。
経験者を採用する場合には、鍼灸院で提供する施術メニューに対応できるスキルを保有しているかどうかも確認する必要があります。店舗の運営状況や予算に合わせて、雇用形態を検討することも大切です。
採用コストを抑える工夫も必要です。人材紹介サービスや総合型の求人サイトを利用する方法は、採用単価が高くなる傾向があります。自社の採用ページを充実させたり、SNSを活用して情報発信をしたりすれば、採用ブランディングにつながるため、長期的にみればコストを抑えた採用につながります。
自社で能力を発揮し、活躍できる人材を採用するためには、事前準備が重要です。リジョブでは、これから独立・開業をして将来的にスタッフの採用を検討している方に向けたノウハウを提供しています。手順を詳しく知りたい場合は、無料でダウンロードできる下記の資料をご覧ください。
鍼灸師を採用するためのポイントについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
まとめ
鍼灸院をはじめとしたマッサージ業は、需要を超える施術所があることで競合争いが起き、倒産する院は増加傾向にあります。そのため、志を持って開業したものの、失敗してしまうケースは珍しくありません。
競合との争いに敗れ、開業に失敗してしまう理由として、立地のリサーチ不足や顧客の分析不足、集客戦略の不足などが挙げられます。鍼灸院で成功するためには、以下の心構えを持っておくことが大切です。
- ビジネスの視点を持つ
- 口コミを活用する
- リピーターを狙う
- メニューを限定する
- 安売りしすぎない
- コミュニケーション力を磨く
- 施術スキルを高める
- チームを作る
本記事を参考に、自身の理想とする鍼灸院の実現に向けて動きましょう。
- 執筆者情報
- 田仲ダイ(Tanaka Dai)