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集客につながる美容室のチラシとは?デザインなど作成のポイントや配り方のコツを解説

集客につながる美容室のチラシとは?デザインなど作成のポイントや配り方のコツを解説

今やコンビニエンスストアより多いといわれる美容室を、長く続けていくために重要となるのが集客力です。美容室の集客で主流となっているのがSNSを中心としたWeb広告ですが、店舗経営を長く続けるうえで地域密着の集客が要となります。

そこでおすすめしたいのがチラシを使った集客です。チラシは地域密着の集客に強く、幅広い層のアプローチを見込める広告媒体です。

本記事では、集客につながる美容室のチラシを作成する際のポイントや、無料テンプレート、配り方のコツなどを紹介します。すでに美容室を開業し集客に悩んでいる方や、これから美容室を開業するにあたって集客を検討している方はぜひ参考にしてください。

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集客につながる美容室のチラシ作成のポイント

チラシでの集客でまず重要となるのが、手に取った人に見てもらえるチラシの作成です。そのうえで「一度行ってみようかな」と思わせる、店の魅力が伝わる内容のチラシであることも欠かせません。

ここでは美容室の「集客につながるチラシ」を作成する7つのポイントを解説します。

ターゲットを明確にする

チラシ作成に着手する前に重要となるのが「ターゲットの明確化」です。

ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、初回来店時に重要視されるポイントは「自宅からの近さ」や「明確な料金」「リーズナブルな料金」でした。

しかし詳しい結果を見てみると、美容室選びのポイントは年代によって異なることがわかります。

▼美容室の初回来店時に重要視したポイント(複数回答)

 

自宅から近い

料金がリーズナブル

料金が明確

ネットの口コミが良い

ネット予約できる

全体(n=5,226)

34.1%

31.1%

29.4%

24.1%

22.1%

20代(n=857)

16.5%

20.5%

17.2%

32.7%

18.2%

30代(n=878)

26.7%

29.1%

26.8%

30.4%

27.9%

40代(n=1,097)

33.6%

32.3%

30.3%

25.0%

25.7%

50代(n=1,170)

41.7%

36.5%

33.8%

18.6%

20.4%

※ホットペッパービューティーアカデミー 美容センサス2025上期 美容室編をもとに作表

ターゲットを惹きつける魅力的なチラシ作成のために、まず狙うターゲット層を明確にしましょう。

目立つキャッチコピーを入れる

チラシには、集客したいターゲット層を惹きつける「キャッチコピー」を入れます。

「肌に優しいオーガニック商材を使用」「1人の美容師がカウンセリングから仕上げまで担当」「○○時間でカラーもカットもOK!」など、顧客が美容室に求めるニーズや顧客の悩みにフィットするキーワードを差し込みましょう。

美容室選びでは利便性や価格が重要視されますが、他店ではなく自店を選んでもらえるためにはインパクトのあるキャッチコピーが大切です。

また、美容室を探している人の目に留まりやすくするためにも、一目で美容室だとわかるチラシにしておきましょう。

周年記念やオープニングキャンペーンなど特別感を出す

お得に利用できるイメージの高い「周年記念」や「オープニングキャンペーン」は特別感があり、チラシに目を留めてもらいやすいです。

とくに美容室を探している人にとって、新規でチャレンジするきっかけになります。新規開店や周年記念を迎えるタイミングでチラシ作成を検討している人は、同キーワードを差し込みましょう。

また梅雨入り前やクリスマスなどは髪に意識が向く時期のため、季節やイベントと絡めたデザインやキーワードをチラシに盛り込むのもおすすめです。

お店へのアクセスを載せる

お店への行きやすさは美容室を利用する人にとって大切なポイントです。

厚生労働省の調査でも利用する美容室の決定理由として「行きやすい場所にある」からがもっとも高い結果となっています。

1.美容室を利用している方の利用するお店を決めている理由

また、チラシを見て美容室の場所がイメージできるかどうかは、サロンに行くか否かを決める重要なポイントとなります。

一目でサロンの場所がイメージできるように、簡単なマップやアクセス方法の添付をおすすめします。

郊外にある美容室の場合は車で来店の可能性があるため、駐車場や提携駐車場の情報も載せておきましょう。

美容室のこだわりを3~5つ程度に絞り記載する

キャッチコピーとは別にお店のこだわりポイントを3〜5つ程度、載せるようにしましょう。

とくに競合店の多いエリアで集客するためには、顧客に他店ではなく自店を選ぶメリットを知ってもらう必要があります。

そのため掲げる自店の強みやこだわりは、顧客の悩みとマッチすることが大切です。たとえばカットの仕上がりに満足できなかった人には、他店と異なるカット手法をこだわりに掲げるサロンに惹かれるでしょう。

「Le rond」では、適切に根元のボリュームをとり、アジア人の骨格と髪質に合わせた施術を施しています。つまり、根本はタイトに、毛先には厚みがでるスタイルです。毛先にボリュームを残すことでダメージを軽減し、体と髪のモーションが連動し、造作的にもディティールをよく見せることができますね。

引用:モアリジョブ|Le rond CEO 山本さん

顧客が美容室に何を求めているのかをリサーチし、アピールするこだわりポイントを決めましょう。

こだわりは多く掲げてしまうと個々の印象が弱くなってしまうため、5つ程度に絞るのがおすすめです。

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基本のメニューと価格を載せる

冒頭の表でも示したように、明確な価格表示は選ばれる美容室であるための必須条件です。チラシには、顧客ニーズの高い基本メニューと価格を明記しましょう。

美容室で利用される基本メニューの利用率は以下の通りです。

▼美容室 過去1年間の利用メニュー(実数回答)

 

女性全体

男性全体

カット

96.2%

96.6%

前髪カット

29.6%

19.8%

カラー(リタッチ含む)

51.2%

19.6%

トリートメント

32.4%

15.1%

縮毛矯正・ストレート

16.7%

8.8%

ホットペッパービューティーアカデミー 美容センサス2024年上期〈美容室編〉をもとに作表

過去4年の調査結果と比較するとカットはやや減少傾向、カラーとトリートメントはほぼ横ばいです。そして縮毛矯正は男女ともに増加傾向でした。

またトリートメントの利用者は30代以下で4割前後、縮毛矯正は15〜19歳で3割近い結果となっており、年代によってニーズのあるメニューが異なります。

自店が狙う顧客ターゲットにニーズの高いメニューと価格を明記し、来店につなげましょう。

スタッフ紹介を入れる

初めて来店する人の不安を和らげるため、顔写真付きのスタッフ紹介をおすすめします。

株式会社しんげんの調査によると、30%以上の人が「美容師の雰囲気や相性」を重視して美容室を選んでいます。

2.何を重視して美容院を選ぶか

スタッフ写真とともに得意な技術や趣味など、個性が伝わる紹介文を載せるのも良いでしょう。

美容室の利用時間は女性で約1時間半、男性で約1時間となっています。(参考:美容センサス2024年上期<美容室編

髪の悩みを解決してくれる技術力や共通の話題で楽しい時間を過ごせるかは、美容室を選択する重要な指標といえるでしょう。

一つに特化すれば、客層はたしかに狭まりますが、「〇〇というヘアスタイルは自分だけのもの」という専門性を持っていた方がお客様からしても頼もしいと思うんです。今の時代はオールマイティーさよりも、専門技術を持った美容師の方が勝つのではないでしょうか。自分の得意なものが伝わる発信、これが成功への近道だと思います。

引用:モアリジョブ|Noa.表参道 店長 小嶋正樹さん

初心者におすすめ!美容室のチラシ無料テンプレート

チラシ作成は外注できますが、テンプレートを使えば初心者でも簡単に作成できます。

美容室のチラシ作成におすすめの無料テンプレートは、以下の3つです。

  • Canva
  • クイックデザインOnline
  • ラクスル

無料なので実際に使ってみてサロンのイメージに合うものや、使いやすいと感じるものを見つけてください。

なお、上記すべて商用利用に対応していますが、各ツールごとの規定を確認のうえ利用しましょう。

Canva

Canvaは無料で使えるグラフィックデザインツールです。約61万点のテンプレート(※)と1億点のデザイン素材(※)が用意されており、オリジナリティのあるチラシやポスターを作成できます。

パソコンだけでなくスマホやタブレットなど複数のデバイスに対応しており、同期も可能です。写真を取り込んでトリミングやサイズ変更、文字入れなどを行う、写真編集機能も無料プランに対応しています。

他のデザインツールと比較すると割高にはなりますが、印刷サービス「Canvaプリント」を使えば編集画面から印刷注文もできます。

※一部有料

Canvaの詳細はこちら

Canva(キャンバ)公式

クイックデザインOnline

クイックデザインOnlineは印刷通販のキングプリンターズが2018年11月にスタートした、無料のデザインツールサービスです。プロのデザイナーが作成したデザインテンプレートをベースに、好きな写真や文字を追加して自分好みのチラシに仕上げられます。

美容室向けのデザインテンプレートも豊富にそろっており、デザインセンスやパソコン操作に自信のない人でもお洒落なチラシが簡単に作成できます。サービスの提供元であるキングプリンターズへ印刷注文も可能で、送料無料で指定場所へ届けてもらえます。

クイックデザインOnlineの詳細はこちら

クイックデザインONLINE 公式

ラクスル

ネット印刷会員数トップクラスのラクスルでは、オンラインデザインサービスを提供しています。店舗オープンや周年祭、セールなど目的ごとの豊富なテンプレートが魅力のデザインツールです。

デザインが苦手な人向けの簡単作成テンプレートや美容室向けのテンプレートもあり、平均30分(※ラクスル調べ)の短時間でチラシ作成ができます。

ネット印刷業界大手のラクスルならではの、格安な印刷料金も魅力です。A4両面印刷の場合、500部で約3,000~4,000円と格安で印刷でき、ロットが大きくなるほどさらにお得になります。

ラクスルの詳細はこちら

印刷のラクスル 公式

美容室のチラシによる集客は配り方も重要

集客率を高めるためにはチラシの配り方も大切です。

一般的にチラシの反響率は0.01~0.3%、美容室の客単価は5,000〜7,000円といわれています(ホットペッパービューティーアカデミーの調査による)。

上記をもとに試算すると、利益を得るためには0.05%以上の反響率が必要です。

▼反響率と損益(チラシ1万枚配布/両面カラーA4印刷費20,000円※1/人件費4,500円※2/客単価6,000円の場合)

反響率

集客数

損益

0.01%

1人

-18,500円

0.03%

3人

-6,500円

0.05%

5人

+5,500円

0.1%

10人

+35,500円

※1 参考:A4サイズのチラシ・フライヤー印刷料金表 | 激安ネット印刷のラクスル 

※2 チラシ作成と配布に3時間所要した場合(人件費1時間1,500円と仮定)

チラシによる集客率を高めるためのチラシの配り方とコツを解説します。

チラシの配り方1:ポスティングする

店舗近隣の集客にはポスティングがおすすめです。日本ポスティングセンターによると、美容業種のポスティング反響率は0.1〜0.2%とされており、効果的なポスティングができれば高い利益につながります。

マンションや戸建てに居住する人の雰囲気を観察するなど、ポスティング前にエリアリサーチすることで、ターゲットを狙った集客や集客率アップが期待できます。

とくに40代以上では自宅から近い美容室を選ぶ傾向が高く(※)、年齢層高めをターゲットにしている美容室にはポスティングによる集客をおすすめします。

ホットペッパービューティーアカデミー 美容センサス2024年上期〈美容室編〉参考

チラシの配り方2:手配りする

ターミナル駅やビジネス街など不特定多数の人が行き交うエリアでは、チラシの手配りがおすすめです。

チラシを手配りする際には以下を参考に配る時間や配り方を意識し、チラシを受け取ってもらえる確率を高めましょう。

  • 通勤や帰宅、子供の送り迎えの時間を狙う
  • 繁華街であれば人手が増える夕方以降や土日、祝日を狙う
  • 花粉症の時期にはポケットティッシュ、風邪の流行る時期にはのど飴など、ニーズの高いアイテムとセットで配る

手配りのメリットは美容師自らチラシを配ることで、美容師や美容室の雰囲気を伝えられる点です。

興味を示した人に店やメニューの説明もその場でできるのも、手配りの良さといえるでしょう。

チラシの配り方3:新聞折込する

新聞折込は日にちやエリアを指定した配布をしたい場合におすすめの手法です。

公益財団法人 新聞通信調査会の調査によると、新聞を月ぎめでとっていると回答した人は40代で約30%、50代で約50%と年代が上がるのに比例して高くなっています。

▼新聞の読み方(性・年代別/複数回答、n=2,871)

3.新聞の読み方

折り込みチラシは新聞購読者の手元に確実に届けられるため、高めの年齢層をターゲットとする美容室に向いています。なお折り込みチラシは最低発行枚数が新聞販売店ごとに定められており、平均3,000枚程度といわれています。

かかる費用はエリアやチラシのサイズによって異なりますが、3,000枚で1万円前後、1万枚で3万円前後が相場です。

また、新聞折込をする場合には法令や条例に違反していないかなど、表記内容の事前チェック体制が敷かれています。違反している場合、用意したチラシを配布できない事態になるため、事前に折込チラシ業者へ原稿チェックを依頼しましょう。

 

チラシの配り方4:近隣の店舗に置いてもらう

開業のタイミングであれば、挨拶を兼ねて近隣店舗にチラシを置いてもらえるようにお願いするのもおすすめです。

美容室開業時の内装工事にかかる期間は小規模の場合で2週間から1カ月、中規模の場合は2カ月に及ぶこともあります。

工事中の騒音や工事関係者の出入りで近隣店舗に迷惑をかける恐れもあるため、工事着工前に工事スケジュールなどを伝えておくのがマナーです。

事前にあいさつに伺っておけば開業後も営業しやすくなるうえ、工事期間も各店舗で既存顧客へ宣伝をしてもらえる可能性があります。

一般的には焼き菓子や消耗品などが手土産として推奨されますが、美容室の場合は宣伝にもなるため、自店で取り扱うシャンプーやトリートメントの試供品が良いでしょう。

チラシによる集客が見込めないときの対処法

チラシを配っても集客に変化がない場合、デザインや配り方の見直しをしましょう。

デザインを見直す

チラシを配っても集客につながらない場合、以下の5つのポイントをチェックし、デザインを見直しましょう。

  • テンプレートをそのまま使用する
  • フォントと文字サイズを変える
  • メインカラーは2~3種類に留め、統一感のあるカラーにする
  • 余白を作る
  • ひらがなを多めに読みやすい文章にする

読み手を惹きつけるデザインのポイントは「統一感」と「読みやすさ」です。

テンプレートは読み手を惹きつけるバランスの取れたデザインになっているため、加工せずにそのまま使うのがおすすめです。

チラシに使っている文字のフォントと店舗の雰囲気、狙うターゲット層がマッチしているかも確認してください。

高級感のある美容室であれば大人っぽさや優雅さをもつ明朝体、リーズナブルな価格のカジュアルな美容室ならゴシック体が向いています。

また専門用語や漢字、文字が詰め込まれたチラシは読みにくく、伝えたい情報が伝わりません。載せる情報を精査し、余白のある読みやすいチラシに仕上げましょう。

配り方を見直す

チラシによる集客効果が実感できない場合、配り方の見直しが必要です。

配り方の見直しのためには、チラシを配る前から分析・検証をできる工夫をしておくことが肝心です。

チラシの配布枚数や配布方法、配布したエリア、時間を細かく記録しておきます。そして一定の期間で回収できたチラシを集計し、分析・検証をしましょう。

チラシは捨てられない限り継続した宣伝効果が期待できます。しかし、何もしないと1カ月で約80%忘れるという脳の特性(参考:エビングハウスの忘却曲線)があります。

チラシの効力が切れる1カ月程度を目安に検証結果をまとめ、配り方を見直しましょう。

チラシデザインや配布を外部に委託する

デザインや配り方を見直しても集客につながらないなら、外部に委託するのもおすすめです。

チラシデザインや配布を専門に行う業者は豊富な実績とノウハウを持ち合わせており、外部委託によって集客率アップが見込めます。業者によってはマンションや戸建て住宅など、ターゲットを絞り込んだ配布方法の指定も可能です。

チラシ作成や配布に当てていた時間を美容師の技術や接客力の強化に費やせるため、顧客満足度やリピート率アップが期待できます。

美容室の集客アップには優秀な美容師の採用も不可欠

チラシやSNSなどによる集客と合わせて、力を入れるべきなのが優秀な美容師の採用です。

ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、リピート意向者のうち約半数が「口コミの評判が良い」ことから来店前に「また利用したい」と思ったと回答しています。

▼口コミの評判が良いためにまた利用したいと思った割合(美容室のリピート意向者/来店前/複数回答)

年代

割合

全体(n=1,000)

50.6%

20代(n=291)

54.0%

30代(n=290)

53.4%

40代(n=232)

49.6%

※ホットペッパービューティーアカデミー 顧客満足調査(美容室/ヘアサロン編)をもとに作表

ただ目先の集客を頑張っても、技術力で満足してもらえなければリピートはありません。SNSの発信よりもまず、顧客満足につながる技術力を身につけることが先なのではないかと、僕は思っています。

引用:モアリジョブ|NOT オーナー 長門政和さん

来店した顧客に満足してもらうことはリピートにつながるだけでなく、良い口コミを増やす効果もあります。

そのためにも高い技術をもった優秀な美容師や、育成ができる美容師の採用強化をおすすめします。

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まとめ

本記事を総括すると、次のとおりです。

  • 集客するターゲット層を明確にする
  • 載せる情報は厳選し、統一感のある読みやすいチラシに仕上げる
  • チラシによる集客が低い場合にはデザインや配り方を見直す
  • 集客アップには優秀な人材を採用し、顧客満足度を高めることも大切
田中 久美(Tanaka Kumi) プロフィール画像
執筆者情報
田中 久美(Tanaka Kumi)
温泉施設や大手スポーツクラブのエステティックサロン、大型リラクゼーションサロンにて、エステティシャンやアロマセラピストとして勤務。エステティックサロン勤務時代は人材採用や育成、店舗管理なども担当。 その後独立し、現在は完全貸切のアロマリラクゼーションサロンを運営。約20年の知識や技術を活かし、集客や経営、接客などを自身で行う。約7~8割がリピート顧客で、30代から50代の女性を中心に指示を得ている。