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一人美容室は儲かるって嘘? 開業資金やリアルな年収、成功のポイントを徹底解説!

一人美容室は儲かるって嘘? 開業資金やリアルな年収、成功のポイントを徹底解説!

  1. 自由な働き方として注目される「一人美容室」とは?
    1. 今「一人美容室」が選ばれる理由
    2. 一人美容室の基本的なビジネスモデル
  2. 一人美容室で働く主なメリット
    1. 営業時間も休日も、すべてを自分で決められる自由度の高さ
    2. 人件費がかからず、利益を確保しやすい
    3. 人間関係のストレスがなく、お客様一人ひとりと向き合える
  3. 一人美容室ならではのデメリットと注意点
    1. 売上げの上限は自分次第、病気や怪我で収入ゼロのリスク
    2. 施術から経理・集客まで、すべてを一人でこなす業務負担
    3. 経営の相談相手がいない孤独感と、将来への不安
  4. 一人美容室の開業準備からオープンまでの具体的な流れ
  5. 一人美容室の開業に必要な具体的な資金
    1. 開業資金にかかる総額の目安を解説
    2. 費用の内訳をシミュレーション
    3. 初期費用を抑えるコスト削減術
    4. 主な資金調達の方法
  6. 一人美容室のリアルな売上げ・経費・収入を徹底解説
    1. 【売上げの目安】平均年商は約700万円
    2. 売上げから差し引かれる「経費」の主な内訳
    3. 【シミュレーション】オーナーの手取り収入はいくらになる?
  7. 成長を見据えた一人美容室として、次のステップを把握しておく
    1. 一人経営のままで売上げを伸ばす工夫
    2. 「スタッフ雇用」でサロンの限界を突破する
    3. データで見るサロン規模と利益率の関係
    4. 「チーム」で挑むサロン経営のメリット
  8. 一人美容室の経営で失敗しないためのポイント
    1. 他店との差別化を図る「独自のコンセプト」を明確にする
    2. コンセプトを反映した「価格設定」で利益を確保する
    3. 経営を安定させる「集客の仕組み化」を構築する
    4. 定期的な資金計画の見直しと経費管理の徹底
    5. オーナー自身の「健康管理」こそが最大のリスク対策

厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、美容師の平均的な給与は約30万円ですが、あなたひとりが月にどれだけの売上げをサロンにもたらしているか、考えたご経験はあるでしょうか?

日本政策金融公庫の小企業の経営指標調査によれば、美容室の椅子1台ごとに年間に生み出す売上げは平均約700万円となっています。1カ月単位に計算し直すと、約58万円もの価値を、ひとりの美容師がサロンで生み出していると思ってよいでしょう。

「給与30万円、売上げ58万円」である場合、その差額は28万円です。もちろん、この中には材料費や家賃、そして会社の利益が含まれますが、その差額の大部分をあなた自身の収入にできる働き方があったとしたら、いかがでしょうか?

その可能性を秘めているのが「一人美容室」です。

本記事では、あなたの技術と努力が生み出す価値を、正当な収入へと変えるための具体的な方法を紹介します。開業資金のリアルな数字から、失敗しない経営のポイントまで、余すことなく押さえていますのでぜひ参考にしてください。

自由な働き方として注目される「一人美容室」とは?

近年、美容師の新しい働き方の一つとして、「一人美容室」への関心が高まっています。

大規模サロンでの人間関係や働き方に疑問を感じ、自分自身の裁量でお客様一人ひとりと向き合える環境を求める声が増えているのは事実です。

一人美容室とは、その名のとおりオーナー美容師のみで運営する小規模美容室を指し、経営の自由度が高く、シンプルな構造です。

以下では、まずそんな一人美容室が選ばれる社会的な背景と、その基本的なビジネスモデルについて、客観的な視点から解説します。

今「一人美容室」が選ばれる理由

人間関係の摩擦を避け、施術と顧客体験に集中したいというニーズが強まっています。

株式会社イーグラント・コーポレーションの調査では、転職を経験した美容師の約4割が離職理由に「人間関係」をあげました。現場では予約調整や施術分担、教育などでスタッフ間の連携が欠かせません。

1_人間関係を理由に離職する人が4割もいることがわかる調査

スタッフ同士で連携や調整を行うなかで、価値観のズレや、役割の曖昧さが積み重なると心理的な安全性が下がります。

対して一人美容室であれば、価格やメニュー、予約運用も自分で決められるためリソースの管理が可能で、目の前の顧客体験に集中しやすくなるでしょう。

口コミや固定客との関係も自分のペースで磨けるため、人間関係由来のストレスを抑えつつ、技術とサービスの質を高めやすい選択肢といえます。

一人美容室の基本的なビジネスモデル

一人美容室という働き方は、一般的な複数人で運営するサロンとは異なる、ビジネスモデルを持っています。その主な特徴は以下の3点です。

  • 小規模な店舗での運営:施術台は1〜2台、店舗の広さは6〜12坪程度といった、比較的小さなスペースで運営されるのが一般的
  • オーナーが全ての意思決定権を持つ:営業時間や定休日、メニュー構成や価格、店舗の内装やコンセプトに至るまで、経営に関わる全ての事柄をオーナーの裁量で決定する
  • 人件費を伴わないシンプルなコスト構造:スタッフを雇用しないため、売上げの中から給与や社会保険料といった人件費を支払う必要がない

このように、「小規模」「完全な裁量権」「シンプルなコスト構造」という3つの要素が、一人美容室のビジネスモデルの根幹です。この独自の構造こそが、次に解説する、多くの美容師が求める具体的なメリットを生み出す源泉にあります。

一人美容室で働く主なメリット

上記では、一人美容室の客観的なビジネスモデルについて解説しました。

ここからは、その特徴がオーナー個人にとって、具体的にどのような「メリット」になるのかを、さらに深掘りします。

実際のオーナーの声も交えながら、それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

営業時間も休日も、すべてを自分で決められる自由度の高さ

一人美容室は、自分の理想を追求できる「自由度の高さ」を魅力に感じる方もいるのではないでしょうか? 店舗のコンセプトや内装、サービスメニューや価格設定といった経営の根幹はもちろん、営業時間や定休日まで、すべてを自身の意思で決定できるからです。

これにより、「平日は早めに閉めて、週末に集中して営業する」といった、自身のライフスタイルに合わせた柔軟な働き方ができます。組織に属していると難しい、仕事とプライベートの両立がしやすくなる点も大きなメリットです。

実際に、一人美容室をオープンしたオーナーからは、まさにこの「自由な働き方」を求める声が聞かれます。

――今後のお店の展望について教えてください。 「まだオープンしたばかりなんで、1~2年はひとりで経営していきたいなと思っています。もう本当~に、のんびりやりたいんですよ(笑)。1人で経営するなら休めるときに休めるし、自由にできるお店作りをしていきたいです。いまは月曜のみ定休日ですけど、本当はもっと休みたいです!!」

引用:モアリジョブ|RAVENALA CUT & STAND オーナースタイリスト 宇高さん

このように、自分自身のペースで、理想のサロンと働き方を同時に実現できる点が、一人美容室が選ばれる理由の1つです。

人件費がかからず、利益を確保しやすい

経営面における一人美容室のもう1つのメリットは、コスト構造がシンプルで、高い収益性を目指しやすい点です。特に、スタッフを雇用しない分「人件費」を抑えられることに魅力を感じる方も少なくないでしょう。

少し古いデータにはなりますが、厚生労働省の平成27年度の生活衛生関係営業経営実態調査報告によると、一般的な美容室では売上げの約3割が人件費として支出されています。

▼1施設当たりの売上高に占める人件費の割合

総数(全体の平均)

個人経営

法人、その他等企業

 

給料賃金

32.0%

25.6%

41.7%

福利厚生費

1.2%

1.0%

1.5%

合計(人件費の割合)

33.2%

26.6%

43.2%

一人美容室では、この経営における最も大きなコストが一切かかりません。人件費がかからず、小規模な店舗で家賃などの固定費も抑えやすいため、売上げの多くが直接オーナー自身の収入へとつながります。

これは、ホットペッパービューティーアカデミーの美容サロン従事者に対して聞いた調査で「仕事で最も重要視するものは給与」と答えた美容師が最も多かったことからも、非常に大きな魅力といえるのではないでしょうか?

▼あなたが働くにあたって最も重要だと思うことは?

2_仕事で最も重要視するものは「給与」だと応える人が多いことがわかるホットペッパービューティーアカデミーの調査

一人美容室は、自身の頑張りが収入に反映されやすいビジネスモデルです。

さらに、生み出された利益の使い道も自由のため、新しい設備への投資や広告宣伝費に回してさらなる事業拡大を目指すなど、すべてを自身の判断で、戦略的に資金を活用できます。

人間関係のストレスがなく、お客様一人ひとりと向き合える

一人美容室は、精神的な負担が少ない点も魅力のひとつです。美容師の中には、スタッフ間の人間関係の悩みや、採用・教育といった管理業務のプレッシャーを理由に離職する方もいますが、これらの悩みからも解放されます。

これにより、目の前のお客様と自身の技術に集中できる環境が整っているため、美容師の仕事が好きな人にとっても、かなり大きなメリットといえるのではないでしょうか?

こうした環境は、お客様へのサービス品質の向上にも直結します。カウンセリングから仕上げまで、すべてをマンツーマンで担当するため、お客様一人ひとりの髪質や好み、ライフスタイルまでを深く理解し、長期的な信頼関係を築きやすくなるでしょう。

また、他の顧客やスタッフがいないため、お客様にとっても心からリラックスできる時間となり、それ自体がお店の魅力を高めてくれます。実際に、貸し切り空間でお客様と深いコミュニケーションを取られているオーナーもいました。

アシスタントもなしで、私一人のみです。広さ的にはもっと席を作れますが、中途半端な人数だとお客様も話がしずらいだろうし、いつでもリラックスしていただけるよう貸し切り状態の営業にしています。

完全に一対一だと、お客様といろんな会話をしますよ〜。私も子供がいるので、子育てについて、旦那さんについてなんかも話しますし、一緒に涙ぐんじゃったりして。おばあちゃまからの人生のアドバイスは本当に貴重です。

引用:モアリジョブ|Hair Make ibee 代表 太田知佳さん

サロン内部のストレスがないからこそ、お客様一人ひとりと真摯に向き合い、質の高いサービスと心地よい時間を提供できます。

一人美容室ならではのデメリットと注意点

多くのメリットがある一人美容室ですが、その自由な働き方の裏側には、一人経営ならではのデメリットや注意点も存在します。開業してから後悔しないためにも、事前に知っておくべき現実的な課題を押さえましょう。

以下では、一人美容室が抱える3つの大きな課題を詳しく解説します。

売上げの上限は自分次第、病気や怪我で収入ゼロのリスク

一人美容室の最も大きなデメリットが、収益構造に関するリスクです。

まず、一人で施術できるお客様の数には物理的な限界があるため、どれだけ人気が出ても、売上げには自ずと上限が生まれます。自身の労働時間と体力が、そのまま売上げの最大値となってしまう点を覚えておいてください。

さらに深刻なのが、自身の体調が収入に直結する点です。会社員とは異なり、自分が病気や怪我で休んでしまえば、その間の売上げはゼロになります。

もちろん、美容室に所属していないため、基本的に有給休暇や傷病手当金といった保障もありません。そのため、休業はそのまま収入の減少につながります。

特に、長期の休業を余儀なくされた場合、それまで通ってくださっていたお客様が、他のサロンへ流れてしまうかもしれません。一人ですべてを担うからこそ、自身の稼働が止まることが経営の最大のリスクになるという点は、常に意識しておく必要があります。

施術から経理・集客まで、すべてを一人でこなす業務負担

一人美容室のオーナーは、美容師であると同時に、一人の経営者でもあります。そのため、お客様への施術という本来の業務に加え、経営に関わる全ての業務を一人で担わなければなりません。

以下のように、その仕事は多岐にわたります。

  • 日々の予約管理や薬剤の在庫確認
  • 売上げの計算などの経理業務
  • 店内の清掃
  • SNSの更新やチラシ作成などの集客活動 など

これらの業務をすべて一人でこなすとなると、お客様がいる時間以外も働かないといけません。さらには、休日を事務作業に充てるケースも増えてくるでしょう。

結果として、長時間労働が常態化し、心身ともに大きな負担となってしまう可能性があります。

そして、オーナー自身の疲労の蓄積は、サービスの質の低下に直結しかねないというリスクも忘れてはなりません。集中力の低下や、疲れが見える接客は、お客様の満足度に影響を与えてしまう危険性があります。

経営の相談相手がいない孤独感と、将来への不安

一人美容室のデメリットは、売上げや業務負担といった物理的な側面に限りません。精神的な負担や長期的な視点での不安も、開業前に理解しておきましょう。

日々の運営における小さな悩みから、今後の経営方針を左右する大きな決断まで、すべてを自分一人で判断しなければなりません。そのため、経営者は常に孤独感を抱えがちです。

新しい技術の習得や効果的な集客戦略など、常にアンテナを張って学び続けなければならないというプレッシャーも、一人ですべて背負わなければいけません。

さらに、長期的な視点での不安もつきまといます。

  • 年齢を重ねて体力が低下した際に、どのように働き方を調整していくのか?
  • 退職金や手厚い年金制度がない中で、引退後の生活をどう設計するのか?
  • 後継者がいなければ、大切に育ててきたサロンをどうするのか?

こうした事業承継や社会保障の面で、会社という後ろ盾がないことによる将来への不安は、一人で経営を続ける上で真剣に向き合うべき課題といえるでしょう。

一人美容室の開業準備からオープンまでの具体的な流れ

一人美容室の開業は、夢やアイデアを形にする「計画」の段階から、実際にお客様を迎える「オープン」の日まで、いくつかの大きなステップに分かれています。

以下では、その全体的な流れの概要を解説します。なお、各ステップの詳しい手続きについては、以下の記事も併せてご参照ください。

【開業までの3つの主要ステップ】

  1. 計画フェーズ(コンセプト設計・事業計画・資金調達):どんなサロンにしたいかを固め、融資に必要な事業計画を作成。開業資金も準備しておくなど、最も重要な土台づくりの段階
  2. 店舗づくりフェーズ(物件契約・内装工事・設備導入):コンセプトに合った物件を契約し、内装・外装の工事を進めておく。美容機器や備品などをそろえて理想のサロンを形にしていく段階
  3. 最終準備〜オープンフェーズ(開業手続き・集客・開店):保健所や税務署への法的な届出を済ませ、SNSやウェブサイトで告知を開始するなど、万全の体制でお客様を迎える最終準備の段階

このように、各ステップを計画的に、順序立てて進めることが、スムーズな開業の鍵となります。

一人美容室の開業に必要な具体的な資金

一人美容室の開業を決意した時、誰もが最初に直面するのが「いったい、いくら必要なのか? 」という資金の問題です。

夢を具体的な計画へと落とし込むためには、この数字と真正面から向き合わなければいけません。そこで以下では、その資金計画の核心について詳しく解説します。

開業資金にかかる総額の目安を解説

一人美容室の開業を計画する上で、最初に把握すべきは「いったい、いくら必要なのか? 」という資金総額の目安です。その参考として、公的機関である日本政策金融公庫の新規開業実態調査を見てみましょう。

この調査によると、創業者全体の開業資金は以下のような2つの数字が示されています。

  • 平均値:985万円
  • 中央値:580万円

「平均値」である約1000万円という金額には、都心の一等地への出店や、内装・設備に多額の投資をしたケースも含まれるため、全体の金額が引き上げられる傾向にあります。

一方で「中央値」は、全ての創業者を金額順に並べた際のちょうど真ん中の値です。つまり、約580万円という金額が、より多くの創業者にとっての現実的な開業資金のラインといえます。

このデータを踏まえると、比較的小規模でスタートできる一人美容室の場合、後述するコスト削減術などを実践できれば、中央値である500万円〜600万円前後を開業資金の現実的な目標として設定できるでしょう。

費用の内訳をシミュレーション

では、前の章で示した開業資金は、具体的に何に使われるのでしょうか?

その内訳を理解するために、創業者への融資を専門に行う日本政策金融公庫が示す「設備資金」と「運転資金」という分類を参考に、費用のシミュレーションを見ていきましょう。

3_一人美容室の開業に必要な具体的な資金を把握するために参考にした日本政策金融公庫の開業に必要な費用の内訳

まず設備資金とは、美容室をオープンさせるために、事前に必要となる投資です。主に以下のような項目が含まれます。

  • 物件取得費(50〜100万円):店舗となるテナントを借りるための、敷金、礼金、仲介手数料など
  • 内外装工事費(300〜700万円):コンセプトに合わせた内装や外装、電気、水道、ガスなどの工事費用。開業資金の中でも大きな割合を占める
  • 設備機器費(100〜200万円):スタイリングチェアやシャンプー台、ミラー、促進器といった、美容室の運営に不可欠な専門機器の購入費用
  • 雑費(30〜50万円):洗濯機や冷蔵庫、パソコン、電話といった、店舗運営に必要な備品や家電などの費用

次に運転資金とは、サロンをオープンさせた後、経営が軌道に乗るまでの間、事業を継続していくために必要となる資金です。売上げが安定しない開業当初の赤字を補填する、いわば「経営の体力」ともいえる重要なお金となります。

  • 広告宣伝費(10〜40万円):ウェブサイトの作成や予約サイトへの掲載、チラシの配布など、サロンの存在を知ってもらうための費用
  • 材料費(30〜60万円):シャンプーやカラー剤、パーマ液といった、施術に使用する当面の材料の仕入れ費用
  • 当面の諸経費・生活費(100〜200万円):開業後すぐには十分な売上げが見込めないため、数カ月分の家賃や水道光熱費、そしてオーナー自身の生活費をあらかじめ準備しておく

上記のシミュレーションを合計すると、開業資金はおよそ620万〜1350万円が目安となります。もちろん、これは物件の規模や立地、どこまで内装にこだわるかによって大きく変動するため、あくまで参考値として捉えてください。

このように、開業資金の内訳を一つひとつ具体的に把握できれば、漠然としていた「お金の問題」が、現実的な「事業計画」へと変わります。

以下では、ここであげた各費用を賢く抑えるための、具体的なコスト削減策を見ていきましょう。

初期費用を抑えるコスト削減術

開業資金の負担を軽減し、余裕を持ってスタートを切るためには、いくつかのコストを削減する方法があります。

最も効果的な方法は、「家賃」と「内装工事費」を抑えることです。

たとえば、モスバーガーの戦略を参考にしてみてはいかがでしょうか? 創業者が提唱した、あえて駅前などの一等地を避けて家賃の安い「二等地」に出店する戦略です。

家賃を抑えた分、質の高いサービスにお金をかけ、「地域に根ざしたサロン」として付加価値で勝負できるため、一人美容室と非常に相性がよいといえるでしょう。

オーナーたちが目指したのは地元に根を張ることだ。「街のハンバーガー屋」は当初からのイメージモデルだという。

引用:日経BizGate|モスフードサービス 商品開発部長 濱崎真一郎さん

また、物件選びの際に、美容室の設備や配管が残っている「居抜き物件」を活用すれば、数百万円単位の工事費を削減できるかもしれません。

その他にも、スタイリングチェアなどの高額な設備はリースや中古品を利用するなどして、内装をシンプルなデザインにし、DIYを取り入れるなど、方法はさまざまです。

主な資金調達の方法

開業に必要な資金をすべて自己資金で賄うのは簡単ではありません。一般的には、性質の異なる以下のような資金を組み合わせて準備を進めていきます。

  • 自己資金: 計画の土台となる、自身で準備するお金
  • 融資: 不足分を補うための、金融機関からの借入金
  • 助成金・補助金: 条件が合えば活用できる、返済不要の公的資金

資金計画を立てる際は、まず開業資金全体の2〜3割程度を自己資金で準備するのが理想的です。自己資金は事業への本気度を示す指標となり、融資の審査でも有利に働きます。

その上で、不足する分は創業者への支援が手厚い日本政策金融公庫などを活用した融資で補うのが一般的な流れです。

さらに、国や自治体が提供する返済不要の助成金・補助金も積極的に活用したいところですが、多くは経費を使った後に支払われる「後払い」形式です。そのため、開業時の初期費用として見込む際は注意しましょう。

一人美容室のリアルな売上げ・経費・収入を徹底解説

一人美容室の開業を考える上で、最も気になるのが「実際のところ、どれくらいの収入になるのか? 」という点ではないでしょうか? 漠然とした夢を具体的な目標に変えるためには、リアルな収支構造を理解することが不可欠です。

以下では、そのシミュレーションを行うために、公的機関である日本政策金融公庫の「小企業の経営指標調査」のデータを活用しました。

平均値

概要

計算式

 

椅子1台当たり売上高

694万3000円

一人店の生産能力の上限を見るKPI。稼働率や客単価の議論に直結

売上高÷椅子台数

売上高総利益率

84.2%

材料費の重さ=メニュー構成のリアル。粗利で固定費を賄えるかの要

(売上高−売上原価)÷売上高×100

諸経費対売上高比率

37.5%

水道光熱・通信・広告などの固定費の重さ。家賃の重さを語る根拠となる

販管費(人件費除く)÷売上高×100

売上高営業利益率

-4.6%

採算の最終評価(本業の利益力)。値付け・稼働・コストの総合結果

営業利益÷売上高×100

人件費対売上高比率

45.1%

一人美容室では「オーナー取り分(擬似人件費)」として管理。高すぎると利益圧迫、低すぎると過労化

人件費÷売上高×100

この調査には、売上げの目安となる「椅子1台当たり売上高」から、材料費や人件費、家賃といった経費の平均的な割合まで、収支計算に必要な指標が網羅されています。

【売上げの目安】平均年商は約700万円

一人美容室のリアルな収入を考える上で、全ての計算の起点となるのが「売上げ」です。まずは、目標とすべき売上げの目安を、客観的なデータから把握しましょう。

上記で紹介した同調査によると、美容業における「椅子1台当たり売上高」の平均値は、年間694.3万円となっています。

セット面1台で運営する一人美容室の場合、この約700万円という数字が、平均的な年商の一つの目安といえるでしょう。

より具体的なイメージを持つために、この年商を12カ月で割ると、月商は約58万円となります。

もちろん、この金額はあくまで全国の小規模企業の平均値です。あなたの美容室の客単価や月の稼働日数によって、売上げそのものは変動します。しかしながら、自身の事業計画を立てる上で、現実的な目標設定の第一歩として非常に参考になる数字といえるでしょう。

売上げから差し引かれる「経費」の主な内訳

先ほど設定した売上目標の約700万円が、そのままオーナーの収入になるわけではありません。ここから、サロンを運営するためにかかった「経費」を差し引いていく必要があります。

経費は、主に「売上原価(材料費)」と「諸経費(販管費)」の2つに大別できます。これも、日本政策金融公庫のデータを参考に、それぞれの割合を見ていきましょう。

まず「売上原価」は、シャンプーやカラー剤といった、施術に直接使用する材料費のことです。データの「売上高総利益率」が84.2%であることから、売上げに対して約15.8%が、この材料費としてかかっている計算になります。

もう一つの「諸経費」は、サロンを運営・管理していくために必要な費用全般を指す経費です。同調査の「諸経費対売上高比率」は37.5%となっており、主に以下のような項目が含まれます。

  • 家賃: 店舗の賃料
  • 水道光熱費: 電気、ガス、水道代
  • 通信費: 電話やインターネット回線の費用
  • 広告宣伝費: 予約サイトの掲載料やチラシ作成費

つまり、売上げのうち、オーナーの収入を計算する前の段階で、少なくとも約53%(材料費15.8% + 諸経費37.5%)が経費として差し引かれる、ということを把握しておきましょう。

【シミュレーション】オーナーの手取り収入はいくらになる?

それでは、これまでのデータをもとに、オーナーの手元に最終的に残る収入がいくらになるのか、年商700万円をモデルケースとしてシミュレーションしてみましょう。

まず重要なのが、一人美容室における「人件費」の考え方です。スタッフがいないため、人件費はそのまま「オーナー自身の収入(取り分)」と考えられます。

日本政策金融公庫のデータによると、「人件費対売上高比率」の平均は45.1%です。これを年商700万円に当てはめて計算すると、以下のようになります。

700万円(年商) × 45.1% = 315.7万円

つまり、オーナーの年間収入の目安は約315万円です。

では、売上げから全ての経費とオーナーの収入を支払った後、サロンにはどれくらいのお金が残るのでしょうか? これが「営業利益」です。同調査では、「売上高営業利益率」は-4.6%という結果でした。

これは、平均的な一人美容室では、オーナーが自身の収入を確保した結果、事業としては赤字になっている状態を示しています。つまり、サロンの将来のための投資や、万が一の事態に備えるための資金を十分に確保できていないケースが多いのかもしれません。

このシミュレーションが示すように、安定した一人美容室の経営を実現するためには、計画的に経費を管理し、自身の収入と事業に残す利益のバランスを意識しましょう。

成長を見据えた一人美容室として、次のステップを把握しておく

上記では、一人美容室が抱える売上げの上限や業務負担といった、現実的なデメリットについて解説しました。しかし、それらの課題は、美容室が次のステージへ進むための成長のサインと捉えられます。

以下では、それらの課題を乗り越え、美容室をさらに成長させていくための「次のステップ」について考えましょう。

一人経営という形に固執するのではなく、将来を見据えた多様な選択肢を知っておくことが、長期的に愛される美容室を築く鍵です。

一人経営のままで売上げを伸ばす工夫

スタッフを雇用し事業を拡大する前に、まずは一人経営のスタイルを維持したまま、売上げをさらに伸ばすための工夫について考えてみましょう。

一般的な多店舗サロンは、広告などで「客数」を増やして全体の売上げを伸ばしていきます。

それに対して一人美容室は、一人で対応できる客数に限界があるため、単に客数を増やす集客に力を入れるのではなく、お客様一人あたりの「客単価」を高めるところを目指してください。

客単価を上げるには、カットやカラーといった基本メニューに加えて、以下のような、より付加価値の高いサービスを導入するのが効果的です。

  • お客様の髪の悩みに応える髪質改善トリートメント
  • 癒しを提供するヘッドスパ
  • 独自のスペシャルメニューを開発する

これにより、お客様の満足度を高めながら、自然な形で売上げを伸ばせるようになるでしょう。

また、限られた時間を最大限に活用するための、効率的な時間管理も欠かせません。

オンライン予約システムを導入して予約管理の手間を省くだけでなく、自身の得意な施術に集中できる時間帯を設けるといった方法も売上げの向上につながります。

このように、一人経営の強みを活かし、お客様一人ひとりとの関係性を深めながら、提供するサービスの価値を高めていくことが、一人美容室ならではの成長戦略です。

「スタッフ雇用」でサロンの限界を突破する

一人経営のままで客単価を高めていく工夫は非常に重要ですが、その成長にもやがて限界が訪れます。

売上げの上限や、一人ですべてをこなす業務負担といった、一人経営ならではの根本的な課題を解決し、美容室を大きく成長させるための最もパワフルな選択肢が「スタッフ雇用」です。

スタッフの雇用は、主に3つの大きなメリットが生まれます。

  • 対応できるお客様の数が増えるため、一人では超えられなかった売上げの上限を突破できる
  • 自身が病気や怪我で休んでも、他のスタッフが店を運営してくれるため、収入がゼロになるリスクを分散できる
  • 業務の分担によって、オーナーは自身の負担を軽減し、より経営や得意な施術に集中できる

採用を成功させるには、ただ求人を出すだけでなく、計画的な戦略が必要です。採用成功率を高めるための具体的なステップについては、以下で配布している資料で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

データで見るサロン規模と利益率の関係

一人美容室の自由な働き方は魅力的ですが、サロンの持続的な成長を考えた時、その働き方が最適であり続けるとは限りません。

ここで、厚生労働省の生活衛生関係営業経営実態調査報告をもとに、サロンの規模と利益率の関係性を見てみましょう。

従業者規模

売上原価率

給料賃金比率

水道光熱費率

その他経費率

 

総数

14.7%

27.3%

4.2%

31.4%

22.3%

不詳

13.8%

6.8%

41.0%

37.6%

10人以上

15.6%

35.1%

2.4%

20.0%

27.0%

5人~9人

17.9%

39.7%

2.9%

22.4%

17.1%

3人~4人

15.7%

28.6%

3.6%

36.5%

15.7%

1人~2人

11.5%

19.2%

5.8%

33.0%

30.5%

この調査によると、「1人~2人」規模の美容室が、全規模の中で最も高い30.5%という営業利益率を記録しており、人件費という大きなコストがかからない一人美容室が、いかに利益を出しやすい効率的なビジネスモデルであるかを客観的に示しています。

しかし、利益率は高くても、利益の絶対額も高いとは限りません。なぜなら、一人で対応できるお客様の数には上限があるため、年間の売上総額も自ずと限界があるからです。

たとえば、利益率が低い複数人規模の美容室でも、全体の売上規模が大きければ、最終的な利益は一人美容室を上回る可能性があります。つまり、売上総額を大きく伸ばせる可能性を秘めているのが、スタッフを雇用する複数人規模の美容室です。

このことから、一人経営を続けることは「高い利益率で効率的に働く」選択であり、スタッフの雇用は「全体の売上規模を拡大し、より大きな利益額を目指す」ための成長戦略であると考えられます。

「チーム」で挑むサロン経営のメリット

一人美容室のオーナーがさらなる成長を目指す時、一人ですべてを抱え続けるのではなく、「チーム」で経営に挑むという発想の転換が、大きな飛躍のきっかけになるかもしれません。

これは、スタイリストは施術に、経営やマーケティングはそれぞれの専門家が担う、という「得意分野への集中」を徹底する考え方です。実際にこの考え方で事業を大きく成長させている美容室のオーナーは以下のように語っています。

それにサロンワークもやりながら、経営もやっていかないといけない。実際にこれがすごく大変で、スタッフに不安や負担をかけてしまう。過去の経験から、財務やマーケティング、広報、営業などを担当するスペシャリストを最初からバックオフィスにつけました。

最短でビジョンに向かう為には、それぞれの得意分野の役割を100%全うする事が大切だと思います。そうすることによって、美容師がサロンワークに集中し、技術や接客面において最高水準を目指せる環境を作るというのが最大のテーマです。

引用:モアリジョブ|GOALD  中村トメ吉さん

この言葉が示すように、「チームで挑む経営」には、主に3つのメリットがあります。

  • オーナー自身が苦手な業務から解放され、負担が軽減される
  • 美容師がサロンワークに集中することで、お客様へのサービス品質が向上する
  • 各々が専門性を最大限に発揮することで、サロンのビジョンをよりスピーディーに実現できる

一人で始める場合でも、将来の成長を見据え、このようなチーム経営の考え方を知っておくことは非常に有益といえるでしょう。

一人美容室の経営で失敗しないためのポイント

先ほどまでは、一人美容室のメリット・デメリットから、具体的な資金計画や収支モデルまでを解説してきました。

以下では、それらの内容の総まとめとして、一人美容室の経営を成功させ、長くお客様に愛される美容室を続けるポイントを紹介します。

他店との差別化を図る「独自のコンセプト」を明確にする

数多くの競合の中から、お客様にあなたの美容室を選んでもらうためには、全ての土台となる「独自のコンセプト」が欠かせません。

特に一人美容室の強みは、複数のスタッフを抱える大型サロンでは実現が難しい、オーナーの個性を色濃く反映したコンセプトを打ち出せる点にあります。

大型サロンは、様々なスタッフの個性やスキルを平準化し、幅広い客層に対応させなければいけません。

しかし、一人美容室なら「オーガニック製品しか扱わない」など、オーナー自身の「好き」や「得意」を100%つめ込んだ、ユニークな価値を提供できます。

その成功事例の一つが、以下の「無言接客サービス」です。これは、スタッフ全員に徹底するのが難しい、一人経営ならではのコンセプトといえるのではないでしょうか?

————まず『LORONG』が人気を集めている理由は、どのようなポイントにあるのでしょうか?

「『無言接客サービス』というコンセプトが現代にマッチしているからですね。『無言接客サービス』とはあえて会話を控える接客スタイルのことで、業界を見ていると、『会話を盛り上げることも仕事のひとつだ』と考えている美容師もいますが、私は『美容師との会話よりも、自分時間を大切にするお客さまが年々増えている』と感じています。

引用:モアリジョブ|LORONG オーナー 斉藤達也さん

このように、「静かに過ごしたい」という現代の隠れたニーズを見出し、それを美容室の絶対的な魅力へと昇華させています。

「なぜ、他店ではなく、あなたのサロンでなければならないのか? 」という問いに対する明確な答えとなる「独自コンセプト」こそが、お客様が遠くからでも足を運んでくれる強い動機付けになるでしょう。

コンセプトを反映した「価格設定」で利益を確保する

独自のコンセプトが固まったら、次はその価値を「価格」へと転換する、経営の根幹ともいえるステップに進みます。

一人美容室では、安易に安売りをしないという意識が重要です。

あなたの価格は、単なる施術の対価だけではありません。それだけでなく、サロンのコンセプト、長年培った技術、そしてお客様に提供する心地よい空間といった、全ての「価値」を反映したものであるべきです。

また、一人で対応できる客数には限りがあるため、利益を確保するにはお客様一人あたりの「客単価」を意識したメニュー構成が欠かせません。基本メニューに加え、髪質改善トリートメントやヘッドスパといった、高付加価値のサービスを充実させることで、客単価の向上を目指しましょう。

「価格を上げると、お客様が離れてしまう」と不安に感じるかもしれません。しかし、ホットペッパービューティーアカデミーの調査によると、約6割のお客様が「(行きつけのサロンが)値上げをしてもサロンを変えるつもりはない」と回答しています。

▼Q. 値上げによってサロンを変えたいと思いますか。

4_値上げによってサロンを変えるかどうか顧客に聞いたホットペッパービューティーアカデミーの調査

このデータが示すように、お客様にとってあなたの美容室が「お気に入りのサロン」になることさえできれば、価格が多少高くても通い続けてくれるはずです。自信を持って、あなたの価値に見合った価格を設定できれば、安定した利益を生み出せるでしょう。

経営を安定させる「集客の仕組み化」を構築する

独自のコンセプトと適切な価格設定が固まったら、次はお客様に来ていただくための「集客の仕組み」を構築するステップです。一人美容室の集客は、「新規顧客の獲得」と「リピーターの育成」という2つの軸で考えましょう。

まず「新規顧客の獲得」で重要なのは、サロンのコンセプトに合ったターゲット層に情報を届け続けることです。

たとえば、SNSやブログ、地域のチラシなどを活用し、自身の想いや技術のこだわりを継続的に発信し続けましょう。これが、未来のお客様との出会いにつながります。

すぐに結果が出ないかもしれませんが、地道な発信は着実に実を結ぶはずです。実際に、ブログでの情報発信を成功させた事例があり、以下でその重要性について語っています。

先ほどもお話しした通り、僕のことを知ったうえで通ってくれるお客さまが増えたこと。そして最盛期で5万PVがついて、収益化ができたこと。あとは情報発信の成功体験になったことです。その後、社会の流れにあわせて発信の媒体を変えていったのですが、発信は効果が出るまでに時間がかかります。でも続けていればかならず効果が出る。ブログの発信を通してそれを知れたことが、大きなプラスになっていると思っています。

引用:モアリジョブ|AURUM  代表 金田昭徳さん

そして、新規獲得と同じか、それ以上に重要なのが「リピーターの育成」です。対応できる客数に限りがある一人美容室にとって、安定した経営の要は、繰り返し通ってくださるお客様の存在に他なりません。

カウンセリングから仕上げまで全てをひとりで担当するマンツーマン接客の強みを活かし、お客様一人ひとりと丁寧に向き合いましょう。そして、来店後のアフターフォローなどを通じて長期的な信頼関係を築くことが、お客様が「また来たい」と感じるサロン作りにつながります。

定期的な資金計画の見直しと経費管理の徹底

ここまで、魅力的なコンセプト作りや集客の仕組み化といった、いわば経営の「攻め」の戦略について解説してきました。しかし、サロンを長く安定して続けるためには、それと同じくらい重要な「守り」の戦略、すなわち資金計画と経費管理が不可欠です。

上記で解説したように、開業時には楽観的すぎない売上予測を立て、数ヶ月分の運転資金を確保しておきましょう。これが、心の余裕を持ってスタートするコツです。

そして開業後も、利益を確保するために、家賃などの固定費を中心に経費を適切に管理し続けなければいけません。これらの資金計画や経費管理を「一度やったら終わり」にしないようにしてください。

月に1度は必ず売上げと経費を振り返り、常に自店の経営状況を数字で把握する習慣をつけましょう。この地道な管理の徹底が、問題の早期発見と対策を可能にし、盤石な経営基盤を築く上で最も確実な方法といえます。

オーナー自身の「健康管理」こそが最大のリスク対策

一人美容室の経営における最大のリスク、それは経営者自身の「健康問題」です。あなたが働けなくなれば、その日からサロンの収入は完全にゼロになってしまいます。

それにもかかわらず、個人事業主は自身の健康管理を後回しにしがちである、という調査データがありました。産業医科大学の産業保健経営学研究室が作成したデータによると、個人事業主の約3割が「5年以上健康診断を受けていない」、約2割が「これまで一度も受けたことがない」と回答しています。

これまで一度も受けたことがない人の割合

5年以上受診していない人の割合

数年に1回は受けている

 

建設業

19.4%

25.0%

20.4%

運輸業・郵便業

14.3%

23.8%

28.6%

その他の業種

19.1%

38.0%

21.1%

だからこそ、一人美容室のオーナーにとって、健康管理は最重要の経営課題と認識してください。

日々の体調管理はもちろん、意識的に定期的な休日を設定して心身を休ませましょう。

そして、病気や怪我で働けなくなった場合に備えて生活費や固定費をカバーする「所得補償保険」に加入しておくなど、具体的なリスク対策を講じておくのも大切です。

あなた自身の心と体が、美容室にとって最も大切な「資本」です。その資本を守り、健康を維持し続けることが、長くお客様に愛されるサロンを続ける基盤となります。

まとめ

今回は、一人美容室の魅力と現実的な課題、そして開業準備から成功させるためのポイントまでを、多角的に解説してきました。

理想を追求できる一人美容室の開業は、多くの美容師にとって、夢と希望に満ちた勇気のいる決断です。最後に、その夢を現実のものとし、長くお客様に愛される美容室を築くためのポイントをまとめておきます。

  • 「独自のコンセプト」を明確にし、その価値に見合った価格設定を行うこと
  • 楽観視せず、数ヶ月分の運転資金を含めた現実的な資金計画を立てること
  • お客様に来ていただくための「集客の仕組み」を地道に構築し続けること。
  • 経営の土台として、定期的な収支管理とオーナー自身の「健康管理」を徹底すること
  • 一人経営に固執せず、サロンの成長段階に応じて「スタッフ雇用」も視野に入れること

一人美容室の経営を成功させるには、優れた技術者であると同時に、優れた経営者であるという視点が不可欠です。

周到な準備と正しい知識、そして長期的な視点を持つことで、あなたの理想の美容室はきっと実現できます。この記事が、その勇気ある一歩を踏み出すための、確かな後押しとなれば幸いです。

関 慎一郎(Seki Shinichiro) プロフィール画像
執筆者情報
関 慎一郎(Seki Shinichiro)
美容師として8年間サロンワークを経験。その後、現場の声を活かしながら、Webマーケティングによる集客戦略の立案、補助金制度を活用した資金繰りの改善などに取り組み、創業40年以上の老舗美容室の経営に携わる。Bizリジョブ編集部では、現場と経営の両方を経験した視点から、美容サロンが抱える採用や集客などの課題解決に貢献できるよう、リアルで実践的な情報を発信。