整骨院の経営が厳しいといわれる理由とは?経営難になる院の特徴や成功のポイントも解説
個人で整骨院を経営しているものの、思うように集客できずに悩んでいるオーナーは少なくないでしょう。競合が増え続けるなか、ただ待っているだけで利用者が来院することは困難です。
しかし、経営が厳しい院の特徴を理解し、ポイントを押さえれば、成功の可能性は高まります。本記事では、整骨院の経営が厳しいといわれる理由や、経営難に陥りやすい院の特徴とともに、経営を成功するためのポイントについて解説します。整骨院経営における必須の考え方や盲点、直ぐにできるコツまで網羅していますので、ぜひ自院の経営成功のヒントにしてください。
整骨院の経営が厳しいといわれる理由
整骨院業界を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。 東京商工リサーチの調査 によると、整骨院を含むマッサージ業者の倒産は増加傾向にあるのが現状です。
整骨院の経営が難しくなっている主な理由として、以下の3つが挙げられます。
- 競合率の増加による顧客の分散
- 保険請求の厳格化による難易度向上
- 保険診療に依存した収益モデルの限界
ここでは、それぞれの理由について解説します。
競合率の増加による顧客の分散
整骨院の数は増加の一途をたどっており、顧客の争奪戦が激化しています。「 令和6年衛生行政報告例(就業医療関係者)の概況 」によると、接骨院・整骨院に就業したり開業したりする柔道整復師の数も施術所の数も年々増えていることが明らかになりました。
背景には、1998年の規制緩和により柔道整復師養成施設が急増したことが挙げられます。1998年には14校だった養成学校は、2011年には104校まで増加しました。また、あん摩マッサージ指圧を扱う治療院や鍼灸院に加え、一般的なマッサージ店やカイロプラクティック院も増加しています。
疲労回復目的であれば、安価で気軽に利用できるマッサージ店を選ぶ方も多くなりました。選択肢の増加により利用者が分散し、経営がうまくいっている整骨院とそうではない整骨院の二極化が進んでいます。
保険請求の厳格化による難易度向上
保険収入に頼った経営は困難になりつつあります。整骨院の施術では保険請求ができる範囲が限られていますが、収入確保を目的として、水増し請求や架空請求などの不正を行う院が増加し、その行為が問題視されました。
その結果、療養費の適正化に向けた規制が強化され、請求のチェックが厳しくなっています。 厚生労働省の資料 によると、柔道整復の療養費は減少傾向にあります。保険施術をメインに経営してきた院にとって、療養費の減少は死活問題です。
また、不正請求問題を背景に、金融機関が整骨院への追加融資に慎重になるケースも増えてきました。資金調達のハードルが上がり、資金繰りに行き詰まって廃業する院も少なくありません。
保険診療に依存した収益モデルの限界
大手グループや大型院の台頭により、個人経営の整骨院は苦戦を強いられています。大型院は豊富な資金力を活かし、経営ノウハウや高い集客力をもっているのが特徴です。保険診療だけに依存せず、自費診療メニューを充実させて収益の柱を複数確立しています。
多様なニーズに応えるメニューをもつ大型店に対し、保険診療のみで戦う個人院は集客面で不利になりがちです。保険診療以外の収益源をもたない経営スタイルは、限界を迎えつつあります。
経営が厳しい整骨院の特徴
経営難に陥る整骨院の特徴として挙げられるのは、以下のとおりです。
- 経営スキルが不足している
- 売上を保険に依存している
- 集客活動が不足している
- 技術力やコミュニケーション力が不足している
- サービス業としての視点を持てていない
- 立地選びに失敗している
- スタッフの離職率が高い
- 仕組み化・自動化が不足している
- 利用者に合わせすぎている
ここでは、それぞれの特徴について解説します。
1.経営スキルが不足している
「経営」と聞くと売上を重視しがちですが、継続的な運営において売上よりも重要な要素は「利益」です。経営に関する知識や経験が不足しているため、利益を出す仕組みを作れずに苦しむケースは珍しくありません。
経営スキルには、財務管理やマーケティング、人材管理など多岐にわたる要素が含まれます。売上や利益の計算ができない、資金繰りや経費の管理が甘いといった状態では、適切な経営判断を下せません。
感覚頼りの運営では、売上が下がった際の原因分析やコスト削減のポイントがわからず、対応が後手に回ってしまいます。スタッフを雇うタイミングを見誤り、人件費が経営を圧迫することもあるでしょう。
必要なスキルを学び実践することが、健全な経営につながります。
2.売上を保険に依存している
療養費が減少傾向にある中で、売上の大半を保険施術に頼ることはリスクが高い経営といえます。顧客数に対して収益が頭打ちになりやすいうえに、制度変更によって売上が大幅に下がる可能性も否定できません。
保険の請求額が減少すれば利益率は低下し、経営は圧迫されます。自費診療メニューの導入に消極的なままでは利益率の改善が難しく、赤字体質から抜け出せなくなります。
3.集客活動が不足している
競合がひしめくなか、待っているだけで利用者が集まることはありません。1990年代までは、整骨院の数が少なかったため、特別な集客をしなくても経営が成り立っていました。
しかし、現在は利用者が施術所を比較検討して選ぶ時代です。認知度の高い院に利用者が流れる一方で、情報を発信していない院には人が集まりません。地域やターゲットに合わせた集客戦略を練ることが不可欠です。
若年層がターゲットならSNS活用が欠かせません。高齢者が多い地域ではSNSよりもチラシが有効な場合もあります。自院の特性とエリアの傾向を分析し、適切な方法を選択しましょう。以下の数値を管理し、目標に対する進捗を確認することも大切です。
- 総純患者数
- 新規患者数
- 離反率
- 1日当たりの来院人数
- 1人当たりの来院平均
- 1回当たりの単価
現状を数字で把握し、PDCAサイクルを回す姿勢が求められます。
4.技術力やコミュニケーション力が不足している
新規集客に成功しても、肝心の技術力が低ければ利用者は定着しません。一方、技術力が高くても、利用者に与える印象が悪ければリピートにはつながらないものです。
「利用者の話を聴かない」「回数券をしつこく売り込む」「説明が不足している」といった対応は、顧客満足度を大きく下げます。リピーターが増えなければ売上は安定せず、常に新規集客に追われることになります。
白金鍼灸サロンフュームの折橋さんは、接客面の配慮不足を指摘された経験があるそうです。
鍼灸師としてキャリアがあったので、けっこう上手くやれると思っていたんです。ところが、リピーターが全然つかなくて…。
ある日サロンのチーフが私を呼んで、「折橋さんは技術はしっかりしているけれど、接客全般でお客さまへの気遣いが足りないかな」って教えてくれたんです。
引用: モアリジョブ |白金鍼灸サロンフューム 美容鍼灸師 折橋梢恵さん
5.サービス業としての視点を持てていない
整骨院は医療類似行為を行う場所ですが、同時にサービス業でもあります。施術の効果だけでなく、院内の環境や接客の質も顧客満足度を左右する重要な要素です。以下のような状態が続けば、利用者は不快感を抱き、足が遠のきます。
- 院内が散らかっている
- 部屋に埃がたまっている
- トイレが不潔である
- 施術者の身だしなみが整っていない
- 予約システムが不便で使いにくい
「また利用したい」と思ってもらえるよう、定期的な清掃や整理整頓を徹底し、清潔感のある空間づくりを心がけましょう。利用者に寄り添う姿勢が、長期的なファン獲得につながります。Siranでは、サロンに来る楽しみを作ることを意識した経営をしています。
施術だけでなく、サロンに来てもらうのが楽しみだと感じてもらえるようなエッセンスがあったらいいなと常々考えています。そのひとつが、Siranオリジナルティです。異業種交流会で、スリランカに農園を持っている方と知り合い、その方の思いに賛同して作らせていただきました。思いがあるものには、共感していただける方が多いですね。
引用: モアリジョブ |Siran オーナー 麻生恵里さん
6.立地選びに失敗している
どれだけ良い施術を提供していても、立地条件が悪ければ集客は困難です。人通りが極端に少ないエリアでは認知されるまでに時間がかかりますし、アクセスが悪ければリピート率は下がります。需要が少ないエリアの主な特徴として挙げられるのは、以下のとおりです。
- 競合の他院が多い
- 地域の人口が少ない
- 人通りが少なく目立たない場所にある
- 公共交通機関でのアクセスが悪い
ターゲット層とエリアの属性が合っていない場合も致命的です。例えば、高齢者向けの施術を提供するのに若年層が多い地域を選んだり、バリアフリー対応していない院で高齢者をターゲットにしたりするのは避けたほうがよいでしょう。
駅から遠い立地にもかかわらず、駐車場がないのも、リピーターが増えにくい原因になり得ます。戦略的な立地選定が集客の土台となることを理解しましょう。公的データを参考に人口統計や世帯数を調べ、現地に足を運んで調査を行うのがポイントです。
7.スタッフの離職率が高い
スタッフが定着しない院は、採用・教育を継続的にしなければならないため、採用や教育にかかるコストが膨らみます。常に新人を指導しなければならない環境では、既存スタッフの負担が増え、モチベーション低下や残業増加などの悪循環を生みかねません。
その場合、接客や施術の品質が安定せず、顧客離れを引き起こします。結果的に、従業員数に見合った売上を確保できなくなり、赤字に転落するリスクが高まるのです。
ボディスプラウトでは、スタッフとの価値観の違いから離職が増えた経験があるようです。
一番大きかったのは、価値観のギャップでしょうか。僕はどちらかというとベンチャー企業のようなイメージでいたんですが、宮前平で働きたいという人は、もっとゆっくり楽に働きたい人が多かった。だから「ついていけない」という結果になってしまったんだと思います。「これはまずい」と、そこから必死で頑張りましたね。
引用: モアリジョブ |株式会社ボディスプラウト 代表 小林篤史さん
8.仕組み化・自動化が不足している
整骨院の業務は施術や顧客管理、集客、経理など、多岐にわたります。これらをすべて手作業で行っていては、忙しいときにパンクしてしまい、業務に支障をきたしたり利用者に迷惑をかけたりすることが考えられます。
そのような場合に必要となるのが仕組み化と自動化です。仕組み化とは、業務や作業の進め方を定め、単純化することです。仕組み化により、毎回発生する業務をスムーズにこなせるようになります。
自動化とは、人間が行っていた作業やプロセスを、機械やソフトウェアなどに代替させて、人間の介入を最小限に抑えることです。自動化により作業工数を大幅に削減できます。
業務の仕組み化と自動化の例として挙げられるのは、以下のとおりです。
- 電子カルテ
- 予約システム
- 経理ソフト など
事務作業の負担を減らせば、施術や利用者とのコミュニケーションに集中できる環境を整えられます。
9.利用者に合わせすぎている
利用者の要望に応えようとするあまり、施術時間を延ばしすぎるのは経営的に危険です。ひとりの利用者に時間をかけすぎた場合、1日に対応できる人数が減り、売上が上がりません。利用者は時間の長さよりも、悩みの解決に価値を感じるものです。
目標とする売上から逆算し、適切な施術時間を設定しましょう。予約に関しても、利用者の希望に合わせすぎる必要はありません。「次はいつにしますか?」と利用者に委ねるのではなく、「この日時が空いています」と提案したほうが、空き時間を減らせます。
予約枠を詰めて効率的に稼働させることで、空き時間をマーケティング活動などに充てられます。治療院で成功するには、流行っている院に見せることが大切です。人気で予約が取りづらい院に見せたり、利用者同士がすれ違う状況を作ったりすることも、ブランディングにつながります。
整骨院の経営を成功させるポイント
厳しい環境下でも、工夫次第で経営を成功させることは可能です。整骨院の経営を成功させるポイントとして、ビジネスの視点を持つことや院のコンセプトを明確にすることなどが挙げられます。ここでは、院のコンセプトを明確にするポイントについて解説します。
1.ビジネスの視点を持つ
治療家としての理想ややりたいことは大切ですが、経営者として「お金」を循環させる視点を持たなければ事業は継続できません。必要となる経費を把握し、利益が出る構造を作ることが重要です。従業員と異なり、経営者は治療以外のあらゆる業務に責任を負う必要があります。クレーム対応や資金調達、スタッフ管理など、多岐にわたる課題に向き合わなければなりません。
経営に関する本を読んだりセミナーに参加したりして、知識をアップデートし続けましょう。経営コンサルタントや会計士などの専門家に相談し、サポートを受けるのも有効な手段です。
ReCORE鍼灸接骨院の山下さんは、経営や運営に悩まれている治療家の方が多いと感じ、経営面の勉強の必要性に気づきました。
なかでも記憶に残っているのは、経営や運営に悩まれている治療家の方が多いという印象を受けたことです。治療技術はもちろん大切ですが、独立をするのであれば経営面の勉強もしなくてはいけないという現実を知ることができたと思います。
引用: モアリジョブ |ReCORE鍼灸接骨院 院長 山下雅史さん
2.院のコンセプトを明確にする
「どのような悩みを抱える人に」「どのようなサービスを提供したいのか」など、院のコンセプトを明確に打ち出しましょう。以下のようにターゲットやコンセプトを絞り込めば、他院との差別化が図りやすくなるものです。
- 近隣の高齢者を対象:腰痛や肩こりなどのメニューを提供
- スポーツに取り組んでいる人を対象:スポーツ選手向けのリハビリ施術を提供
- 女性を対象:産後ケアや美容整体など、特定のニーズに応えるメニューを提供
"オーナーの信念や院が持つ強みをもとにコンセプトを決めるとよいでしょう。通勤・通学者を対象にするのか、特定のスポーツ競技者に特化するのかなど、ペルソナは具体的に設定します。
コンセプトが決まれば、それに合わせた内装や雰囲気づくりもスムーズに進みます。マーサメディカルではスポーツに携わる方をターゲットにしています。
一般の患者様ももちろんいらっしゃいますが、スポーツ外傷系の治療や、スポーツ選手の体のケアを得意としていることから、スポーツに携わる方の来院がかなり多いです。
引用: モアリジョブ |マーサメディカル 求人担当 鈴木彩夏さん
3.ターゲットやコンセプトに合った立地を選ぶ
ターゲットのライフスタイルや行動範囲を考慮して、適した立地を選定します。会社員がターゲットであれば駅近やオフィス街、主婦層であればスーパーの近くや住宅街などが候補になります。郊外であれば利用者が車で来店しやすいよう、ある程度の広さがある駐車場を備えた場所を選ぶとよいでしょう。
エリア内の競合状況も併せて調査し、勝算のある場所や他院との差別化を図れるのかを検討することも重要です。実際に開業予定のテナントの前を通る人々の年齢層や性別といった属性や、時間帯ごとの人通りなども確認しておきましょう。最寄りの駅やバス停からの導線を、利用者の視点に立って確認する必要があります。
4.リピーターを狙う
経営を安定させるうえで欠かせないのが、リピーターの存在です。リピーターが増えれば広告を出さずに安定した売上が見込めるだけでなく、リピーターの口コミによる新たな利用者獲得にもつながります。
リピーターの獲得には、利用者に「通う価値がある」と思ってもらうことがポイントです。利用者の問題を解決するだけでなく、気持ちに寄り添うような対応をすれば、自然に価値を見出してくれます。
また、来院履歴がある利用者へのアプローチも大切です。長く来院していない利用者の中には、存在を忘れていたり治療の必要性を感じていない人もいます。そのような利用者には、DMで現在の様子を確認し、来院を促しましょう。
一人ひとりの利用者と向き合う姿勢が、リピーター獲得につながります。鍼灸師の白石さんは、目の前の利用者に尽くすことが、次につながると信じて施術を行い、集客につなげています。
目の前の患者様に対して成果を上げられなければ、この方がまた次にいらっしゃることはないし、その先のご紹介もなくなってしまうかもしれないという危機感が常に私にはあったんです。だからこそ患者様の身体をどのように改善していくかということを、追求していました。
引用: モアリジョブ |鍼灸師 白石明世さん
5.自費診療のメニューを増やす
保険診療だけで安定した売上を確保するのは簡単ではありません。そのため、自費診療メニューを導入して収益性を高める必要があります。自費診療メニューは価格を自由に設定できるため、単価アップが狙えます。
整骨院におすすめの自費診療メニューの例として挙げられるのは、以下のとおりです。
- 鍼灸
- 骨盤矯正
- 骨格調整
- パーソナルトレーニング
- スポーツマッサージ
- リラクゼーションメニュー など
得意分野やニーズに合わせたメニューを展開しましょう。施術の幅が広がれば、顧客満足度の向上にもつながります。のぞみ整骨院グループは、自費診療メニューを増やしたことで、来院数が倍増したそうです。
整骨院を成功させるには、患者様一人一人のニーズに応えることが大事だと気づきました。それぞれのニーズに応えるために、全身マッサージ、耳ツボダイエット、鍼灸治療、アロマ・リンパドレナージュなど自費診療メニューを増やし、一人一人の患者様に接するようになってからは来院数が倍増していきました。
引用: モアリジョブ |のぞみ整骨院グループ 代表 橋口望さん
6.自社によりマッチした人材を採用する
売上を伸ばしていきたいと考えている場合、スタッフの採用も視野に入れましょう。複数名のスタッフがいる体制を整えることで、繁忙期での予約の取りこぼしを防ぎやすくなります。宣伝活動をはじめとした施術以外の業務に取り組む時間的な余裕も生まれます。
スタッフを採用する際は、自社のコンセプトや雰囲気に合った人材を選ぶことが大切です。自店の社風や求めるスキルと合わない人材を採用した場合、早期離職につながり、再度採用活動を行うためのコストが発生します。自院の運営状況や予算に合わせて、雇用形態を検討することも大切です。
採用コストを抑える工夫も必要です。人材紹介サービスや総合型の求人サイトを利用する方法は、採用単価が高くなる傾向があります。自社の採用ページを充実させたり、SNSを活用して情報発信をしたりすれば、採用ブランディングにつながるため、長期的にみればコストを抑えた採用につながるでしょう。
「Shebelle代官山」の杉本さんは、より多くのお客さまをケアするため「Shebelle代官山で働きたい」という人材を採用する方向で動き始めました。
「『より多くのお客さまをケアするためにスタッフを増やしたい』と思っています。最近はスタッフを1名採用し、施術スペースも2部屋増やしました。現在は『Shebelle代官山で働きたい』と言ってくださっている方が2名ほどいるので、これからはさらに仲間を増やして、『質の高い施術で、お客さまを笑顔に導きたい』と思っています」
引用: モアリジョブ |Shebelle代官山 杉本さん
自社で能力を発揮し、活躍できる人材を採用するためには、ノウハウが重要です。リジョブでは、売上を最大化させるための採用に取り組みたい方に向けたノウハウを提供しています。手順を詳しく知りたい場合は、無料でダウンロードできる下記の資料をご覧ください。
7.集客や宣伝に力を入れる
新規集客とリピーター獲得のためには、マーケティングの知識が欠かせません。客単価が上がれば、集客難易度も上がるため、マーケティングを意識した集客戦略を練る必要があります。主な宣伝方法として挙げられるのは、以下のとおりです。
- 自店のホームページやブログを立ち上げ、情報発信する
- Googleビジネスプロフィールに登録する
- インターネット広告(リスティング広告やディスプレイ広告など)に出稿する
- SNSを活用して情報発信する
- チラシを配る
- コミュニティに入る
モアリジョブが行ったアンケート調査 によると、美容室ではホームページの作成やSNSの活用といった、オンラインでの集客活動に力を入れている院が比較的多いという結果がでています。ヨガ教室やヨガスタジオにおいても、オンラインでの情報発信は有効な手段のひとつといえるでしょう。
姿勢調整師のみちのさんは、複数の発信方法を持つことで集客につなげています。
当初からオーナーに「発信する場は1つだけじゃダメだよ」と言われていて、数年発信をしてみて自分でも実感しています。ウェブはもちろん、チラシや声掛けも必要だし、お客様に紹介していただくのも、すべてがあって成り立つんだなと感じますね。「これをしたら勝てる」みたいなパターンはないと思います。
引用: モアリジョブ |姿勢調整師 みちのえみこさん
ターゲットによって効果的な宣伝方法は異なります。コンセプトを踏まえたうえで、ターゲットに刺さる集客方法を選択するとよいでしょう。
マーケティング活動に取り組む際には、景品表示法や医師法・医療法といった関連する法律を遵守した広告表現を心がける必要がある点も、押さえておきましょう。
8.データ思考を取り入れる
データを活用せず、感覚だけに頼った経営判断は「自分に都合のよい解釈」を生むリスクがあります。これは「認知バイアス」と呼ばれ、人間の脳の癖のようなものです。都合よい解釈をしないためには、データ思考が欠かせません。
客観的なデータに基づいた判断により、精度の高い戦略を立てられるようになります。以下のデータを収集・分析する習慣をつけましょう。
- 利用者の情報
- 利用者1人当たりの年間売上(LTV)
- 利用者の流入経路
- 流入経路別の獲得単価(CPO)
- 2か月以内の来店率
数字は嘘をつきません。現状を正確に把握するツールとして活用しましょう。
9.チームを作る
売上を伸ばしていきたいのであれば、スタッフを採用し、チームで運営していくことも必要です。売上が拡大するにつれて、施術以外にもやるべき業務が増え、ひとりでは手が回らなくなるケースは珍しくありません。
そのような場合には、スタッフに施術を任せて自身はマーケティング活動に専念したり、ブログやSNSの運用経験があるスタッフを雇用して情報発信業務を任せたりするなど、役割分担が必要です。信頼できる仲間と協力し、それぞれの強みを活かせば、ひとりでは成し遂げられない成果を生み出せる可能性が高まります。
ヘッドスパプロデューサーの辻さんは、日本で一番のヘッドスパ専門店を作ること目標に掲げたものの、働き方を変えなければならない事情があり、チームとしてのビジネスモデル構築に取り組みました。
僕がプロデュースしたヘッドスパ専門店はチームとして動いているんです。だから例えば、各々たかが知れている広告費でも、チームとしてそれを動かしたら、より大きな効果を生み出すことができます。
引用: モアリジョブ |ヘッドスパプロデューサー 辻敦哉さん
「ReViA」の廣瀬さんは、スタッフの増加により利用者の枠数を増やしただけでなく、セミパーソナルでのサービスの提供といった、サービスの幅を広げることにもつなげています。
「小さいジムのときはお客様が入れても1時間ひとりだったので、1日最大13枠しかできませんでした。でも今は広さもあるしスタッフも増やせたので、倍の枠が取れるようになりました。またマンツーマンだけでなく、一対複数のセミパーソナルができるようになったのも大きいですね。」
引用: モアリジョブ |ReViA 代表 廣瀬拓海さん
10.競合と差別化する
集客の難易度が高い整骨院では、競合となる他の整骨院との差別化を意識することが重要です。競合にはない独自の施術サービスや強みを打ち出せれば、利用者に選ばれる理由となり、差別化につながります。
差別化するためには、開業を予定している地域にある競合が、どのような施術メニューを提供しているのかを調べてみるとよいでしょう。整骨院だけでなく、接骨院やマッサージ業者のメニューも調査対象です。
業界では当たり前とされていることや、既存の施術方法にあえて異なる視点を取り入れ、新しいアプローチで施術メニューを考案するのも、有効な差別化戦略になります。
複数の技法を組み合わせて、新しい施術メニューを作るのもひとつです。出張マッサージ「椎名屋」の椎名さんは、自身のスキルであるアロマと整体を組み合わせ、独自の施術サービスを提供しています。
単純にアロマと整体を組み合わせた手技で、整体の関節を動かすダイナミックな手技を加えながらアロマトリートメントを行います。
アロマトリートメントだけでは改善されない肩こりの症状も、整体の手技を加えることで緩和されるのでお客様の満足度も高いんですよ。
引用: モアリジョブ |椎名屋 整体師 椎名宣行さん
のぞみ整骨院グループは、エリア内の営業時間での差別化を図っています。
競争が激しい都内では、日曜だけでなく夜中までやっているところもありますが、御殿場市内で日曜祝日に診療している院は一軒もありませんでした。一応社長なので、経営の基本として「他がやらないことをやる」という考えでやっています。ちなみに患者さんの送迎をやっている整骨院も市内ではうちだけです。
引用: モアリジョブ |のぞみ整骨院グループ 代表 橋口望さん
11.安売りしすぎない
集客がうまくいかない場合、施術料金を下げるケースがあります。施術料金を下げると利用者数は増えるかもしれません。しかし、一人当たりの単価が下がるため売上が上がらず、赤字になってしまう可能性があります。
また、自院が施術料金を下げたことで、周辺の競合も料金を下げ始めるケースがあります。そうなると価格競争が発生し、その地域の相場自体が下がってしまう状況になり、共倒れになってしまう可能性もあるでしょう。
目指したい理想の目標売上と、経営を維持するために最低限確保しなければならない売上額を具体的に決めます。そこから、1日に対応可能な施術人数を考慮して逆算し、理想とする価格と、最低限維持すべき価格を割り出します。
算出した価格帯を基に、地域の競合店の料金設定なども参考にしつつ、最低限維持すべき価格を下回らない範囲で、提供する施術サービスの価格を決定しましょう。
J-Net21の調査 によると、整骨院の1回当たりの利用金額は「1,000円~3,000円未満」での利用が31%と最も多く、次いで「500円~1,000円未満」「3,000円~5,000円未満」でした。全体で、3,000円が1回あたり利用金額の相場であろうと推定されます。
整骨院経営を維持するために必要な売上とニーズとのバランスを考慮しながら施術の価格を設定すれば、経営的に無理なく顧客満足度を高められるでしょう。例えば、1回の施術時間を15分・30分・60分のように複数設定し、それぞれの時間に合わせて料金単価を設定すれば、売上を確保しつつ利用者からの多様なニーズにも応えられます。
「颯整体院」の石田さんは、強気の価格設定により売上が向上した経験があるそうです。
あとは価格設定ですね。もともとは週末営業から始めたこともあったからか、どうしても強気の価格設定ができなかったんです。でも、何度かセミナーに通ううちに「この技術に対して今の値段はちょっと低いな」など感じることが増え、徐々に新規の方から料金設定を改定したことで売り上げが増してきたんだと思います。
引用: モアリジョブ |颯整体院 代表 石田一平さん
12.運用コストを把握しておく
整骨院を運営するには、必要となるコストにどのような項目があるのかを把握しておく必要があります。整骨院を開業する場合に必要なコストの項目は以下のとおりです。
- 固定費:売上の増減にかかわらず、毎月発生する費用(家賃・人件費・通信費・広告費・水道光熱費など)
- 変動費:売上の増減に伴って変動する経費(材料費・消耗品・雑貨・清掃用品・修繕費用・交通費など)
健全な経営を続けるためには、これらの経費の種類や、それぞれの費用が全体の支出に占める割合などを把握し、管理することが重要です。
また、税金の負担は避けては通れない問題です。とはいえ、制度を正しく活用すれば、納税額を抑えられます。以下のような方法で節税し、利益率を上げましょう。
- 青色申告の65万控除を活用する
- セーフティ共済に加入する
- 小規模企業共済に加入する
- 広告費を増やす
- 専従者給与を計上する
- 法人化する
具体的な節税方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
13.技術力やコミュニケーション力を高める
集客がうまくいったとしても、施術スキルが低ければ利用者は満足せず、リピーターにはつながりません。スキル不足に関する良くない評判が口コミで広がってしまうと、その後の集客はさらに困難になる可能性があります。
整骨院を長く続けていくためには、常に新しい知識や技術を学び続け、自身の施術スキルを高めていくことが大切です。マーサメディカルでは、入社後の研修期間を1か月確保し、座学と実技両方の教育をしています。
研修には、かなり力を入れています。新入社員に対しては、入社後の1カ月間をまるまる研修期間に充てていまして、学校のような形で座学と実技のカリキュラムを細かく組んでいますし、その後も適宜フォローアップ研修を行っています。全員が対象となる研修は、営業時間内に行うのが基本です。
治療技術は体系化されており、教科書が4冊ほどあるので、そちらを参考にしながら技術力を上げることが可能になっています。
引用: モアリジョブ |マーサメディカル 求人担当 鈴木彩夏さん
また、整骨院では施術前に利用者の状態や悩み、要望などを詳しく伺うカウンセリングを行います。その際、利用者と円滑にコミュニケーションが取れなければ、悩みや体の状態を正確に引き出せません。
施術に関する会話だけでなく、何気ない雑談や打ち解けた会話が自然にできるようになれば、利用者との信頼関係も深まります。良好な関係性を築ければ、口コミや紹介による新規顧客の獲得も期待できるでしょう。
「かえる鍼灸整骨院」の鈴木さんも、利用者とのコミュニケーションについての指導を重要視しています。
他にもコミュニケーションの仕方を指導していますが、これは伝えることが非常に難しくて…。密接に関わり合い繋がりが深い地方で開業していることもあり、コミュニケーションについては徹底的にレベルを上げるよう指導しています。今後も院を経営していくために大事なことだと感じています。
引用: モアリジョブ |かえる鍼灸整骨院 院長 鈴木 智之さん
14.サービスの質を高める
院内環境やスタッフの身だしなみは、利用者の第一印象を決定づける要素です。どんなに優れた施術を行っても、院内が散らかっていたり埃がたまっていたりするような不衛生な環境では、マイナスの評価を受けてしまうでしょう。
特にひとりで運営している場合、掃除や身だしなみがおろそかになりがちです。第三者にチェックしてもらったり、利用者にアンケートをとったりして、客観的な意見を取り入れましょう。友人や家族に率直な感想を求めるのも、ひとつの方法です。細部への気配りが顧客満足度の向上につながります。
15.口コミと紹介に力を入れる
地域密着型ビジネスの整骨院にとって、口コミや紹介による集客を意識したいものです。特に地方であれば、コミュニティからの集客は欠かせない手段といえます。地域のイベントに参加したり、スポーツチームと連携したりしてコミュニティとの関係を深めると、自然と認知が広がります。
紹介キャンペーンや地元住民向けの特典などを作り、紹介しやすい仕組みを作るのも有効です。「TSL とがし整体Labo」の富樫さんは、技術にこだわり続け、口コミからの集客につなげています。
施術でお客様のニーズをきちんと満たすことができれば、こちらからお願いしなくても自然と口コミを書いて下さったり、SNSなどで発信して下さるんだと分かりました。
そこで、着実に技術を磨いてきた僕のこれまでの行動は間違ってなかったんだと大きな自信につながりましたね。それにお客様が感じたことをありのままに書いて下さった口コミは、他院と比べてとても具体的に書かれているため、新たなお客様の来店にもつながりやすく日々ありがたみを感じています。
引用: モアリジョブ |TSL とがし整体Labo 富樫こうちさん
整体師YouTuberとして活躍している高橋さんは、施設でのイベントに参加し、地域住民とのコミュニケーションをとることで集客につなげています。
施設でのイベントに施術体験ブースを出展させてもらったり、何かのお手伝いに行ったりという場を作り、そこにスタッフを派遣する。積極的に地域とのコミュニケーションをとる努力は絶対的に必要ですね。
引用: モアリジョブ |整体師/YouTuber 高橋竜士さん
16.キャッシュレス決済や予約システムを導入する
近年では、クレジットカードや電子マネー、QRコード(バーコード)決済といったキャッシュレス決済が社会に広く浸透しており、支払い方法としてキャッシュレス決済に対応している店舗を選ぶ利用者が増えています。利用のしやすさという観点から、整骨院も例外ではありません。
日常的に現金を持ち歩かない人も増えており、キャッシュレス決済に対応していないという理由だけで、利用されないケースも珍しくないのです。顧客満足度の向上や会計業務の効率化のためにも、ターゲット層のニーズに合わせて、キャッシュレス決済システムの導入を検討しましょう。
また、オンラインで手軽に予約ができるサービスが増えています。例えば、深夜や休日など、思い立ったときに予約ができなければ、他の予約可能な整骨院に利用者が流れてしまう可能性もあるでしょう。
ホットペッパービューティーアカデミーが公開する、「 美容センサス2025年上期 」のデータによると、ネット予約できるかどうかでサロンを選ぶ、という割合が高くなっていました。ネット予約システムを導入すれば、24時間365日の予約受付ができるため、機会損失を防げます。
空き状況も予約情報に連携する必要があります。車で来店される利用者がいる整骨院であれば、駐車場の空き情報も連携させておきましょう。
まとめ
整骨院をはじめとしたマッサージ業は、顧客の分散や保険請求の厳格化、保険診療に依存した収益モデルの限界などの理由により年々厳しさを増しており、倒産する院は増加傾向にあります。
経営難に陥る整骨院の特徴として、経営スキルの不足や立地のリサーチ不足、スタッフの離職率が高いことなどが挙げられます。整骨院の経営を成功させるためには、以下の心構えを持っておくことが大切です。
- ビジネスの視点を持つ
- 院のコンセプトを明確にする
- ターゲットやコンセプトに合った立地を選ぶ
- リピーターを狙う
- 自費診療のメニューを増やす
- 自社によりマッチした人材を採用する
- 集客や宣伝に力を入れる
- データ思考を取り入れる
- チームを作る
- 競合と差別化する
- 安売りしすぎない
- 運用コストを把握しておく
- 技術力やコミュニケーション力を高める
- サービスの質を高める
- 口コミと紹介に力を入れる
- キャッシュレス決済や予約システムを導入する
本記事を参考に、選ばれ続ける整骨院づくりを目指しましょう。
- 執筆者情報
- 田仲ダイ(Tanaka Dai)